説明

火災報知器の動作試験システム

【課題】 試験中に煙感知器の動作時の警報のリセットを簡単に行える自動火災報知器の動作試験装置を提供する。
【解決手段】 感知器を試験的に作動させるためのチェック手段12と、監視装置に着脱自在に取り付けられチェック手段で作動された感知器に対する監視装置2の光による警報を検知する光検知手段10と、光検知手段で監視装置の光による警報の検知時、チェック手段を操作する作業員へ作動確認信号を送信する送信手段と、送信手段よりの作動確認信号を受信してチェック手段を操作する作業員へ表示する受信表示手段14と、感知器の内の煙感知器の試験動作後に、煙感知器をリセットさせるために監視装置に着脱自在に取り付けられ監視装置に設けられた煙感知器のリセットスイッチをリセット側へ切り替える自動切り替え部とを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、火災を自動的に検知して報知する自動火災報知器の動作試験システムに関し、特に、試験中における煙感知器の動作後のリセットを簡単に行うことができる様にした自動火災報知器の動作試験システムに関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、火災報知器は、図4に示す様に、ビルディングの各フロアの天井等に多数の煙または熱感知器1を分散配設し、これら感知器1と監視装置2との間を多くのケーブル3で接続しておき、いずれかの感知器1が作動すれば上記監視装置2において上記作動した感知器1に対応した警報ランプ4が警報音等と共に点灯することによりいち早くこれを報知するシステムであるが、人命、財産の安全を守るためにシステムの障害が起らないよう頻繁に機能チェックを行う必要がある。従来のこのための動作試験装置(動作試験システム)としては、種々のものが考案されている。上記動作試験装置としては、図4に示す様に、チェック器具5を作業員6が操作して所定の感知器1を試験的に作動させ、別の作業員7が上記監視装置2の警報ランプ4の点灯を確認するやり方があったが人手が要り効率が悪いので、上記監視装置2の警報ランプ4の点灯状態を上記チェック器具5を持った作業員6に自動的に通知する方法が提案されている。上記自動通知方法の一例としては、上記監視装置に誘導送信装置を付加して上記監視装置の警報動作を検知すると共に、上記感知器と監視装置を接続する監視線路のケーブルに高周波信号を重畳して上記検知信号を送信し、チェック器具群に誘導受信機を付加して、上記検知信号の受信を行うように構成したものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、上記感知器1が熱に反応して動作する熱感知器の場合、その正常動作の確認後上記熱感知器は自動的にリセットする。しかしながら、煙に反応する煙感知器の場合、その正常動作の確認後、上記煙感知器は自動的にリセットしない構成となっており、上記監視装置のリセットスイッチをリセット側に切り換えなければならない構成となっていた。従って、従来は作業員がわざわざ上記監視装置の煙感知器のリセットスイッチを切り換えに行っており、作業性が非常に悪かった。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、試験中における煙感知器の動作後のリセットを簡単に行うことができる様にした自動火災報知器の動作試験システムを提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明は、火災を感知するため複数の地区に配設した監視線路に接続された複数の感知器と、上記監視線路を介して上記感知器より送られる感知信号に基づいて少なくとも光によって警報を発する監視装置とを有する自動火災報知器の動作試験を行うための動作試験システムにおいて、上記感知器を試験的に作動させるためのチェック手段と、上記監視装置に着脱自在に取り付けられ上記チェック手段により作動された感知器に対する上記監視装置の光による警報を検知する光検知手段と、上記光検知手段により上記監視装置の光による警報が検知された場合、上記チェック手段を操作する作業員へ作動確認信号を送信する送信手段と、上記送信手段よりの作動確認信号を受信して上記チェック手段を操作する作業員へ表示する受信表示手段と、上記感知器の内の煙感知器の試験動作後に、上記煙感知器をリセットさせるために上記監視装置に着脱自在に取り付けられ上記監視装置に設けられた上記煙感知器のリセットスイッチをリセット側へ切り替える自動切り替え部とを具備することを特徴とする。本発明の他の特徴は、上記自動切り替え部が、上記チェック手段を操作する作業員より無線で送られて来る切り替え指示信号に基づいて上記リセットスイッチをリセット側へ切り替えることである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示した実施形態に基づいて説明する。図1は、本発明による自動火災報知器の動作試験システム(動作試験装置)の一実施形態を示す構成図である。まず、上記動作試験システムの説明をする前に自動火災報知器の構成について説明する。図1に示す様に、この自動火災報知器は、ビルディングの各フロア各室の天井等に多数分散設置された熱感知器1aおよび煙感知器1bと、上記感知器1a、1bに多数の監視線路3を介して接続された監視装置2とを有し、上記監視装置2は、上記感知器1a、1bの作動を点灯で知らせるため少なくとも上記感知器1a、1bと同数以上の数の警報ランプ4および上記煙感知器1bの動作後に上記煙感知器1bをリセットするためのリセットスイッチ15を有しており、上記リセットスイッチ15をリセット側に切り換えることによって上記煙感知器1bをリセットする様になっている。また、上記複数の警報ランプ4は、上記監視装置2の前面パネル8の上部に複数の列9を形成する様に配列されている。
【0006】次に、上記自動火災報知器の動作試験システムを構成する動作試験装置は、図1に示す様に、複数(上記警報ランプ4の一例の数)の光センサ10aが一例に配置された光センサ部10と、上記光センサ部10および監視線路3の片方側に接続される誘導送信機11と、作業員が操作するチェック器具12と、上記チェック器具12の上部に設けられた作動確認信号の受信アンテナ13と、上記アンテナ13に接続された表示装置14と、上記監視装置2のリセットスイッチ15を自動的にリセット側に切り換えるため上記リセットスイッチ15の近くに着脱自在に取り付けられる自動切り替え部16と、上記自動切り替え部16に切り替えの指示を無線で送信するため作業員が操作するチェック器具12に取り付けられた切り替え指示送信部17とを有している。すなわち、上記自動切り替え部16は、図2に示す様に、レーバ型のリセットスイッチ15のレバー18を把持する把持部19と、上記把持部19をロッド20を介して上下へピストン運動させるオートマイクロ21と、上記オートマイクロ21へ受信した切り替え指示信号を接続線22を介して供給する受信器23とを有しており、上記オートマイクロ21は、その磁石部24によって上記把持部19が上記レバー18を把持する様に上記監視装置2の前面パネル8の所定部に着脱自在に取り付けられる。また、上記光センサ部10も、図3に示す様に上記監視装置2の前面パネル8の上部に着脱自在に取り付ける様になっており、上記前面パネル8の上部に取り付けられた状態で上記各光センサ10aが上記一列の各警報ランプ4と一対一で向かい合う様になっている。すなわち、上記各光センサ10aが上記各警報ランプ4の点灯状態を検出できる様になっている。
【0007】次に、上記自動火災報知器の動作試験装置の使用方法について説明する。まず、作業員が上記監視装置2の前面パネル8の所定部に上記自動切り替え部16のオートマイクロ21を取り付けると共に、上記前面パネル8の上部に上記光センサ部10を上記各光センサ10aが上記一列の各警報ランプ4と一対一で向かい合う様に取り付け、上記誘導送信機11を上記光センサ部10および監視線路3の片方側に接続する。その後、上記作業員は上記監視装置2から離れ上記チェック器具12によって上記光センサ10aと向かい合った警報ランプ4に対応した煙感知器1bのチェックを行う。すなわち、上記煙感知器1bに試験的に煙を加える。すると、その煙感知器1bが正常な場合、その煙感知器1bのスイッチが閉じ、その感知信号が上記監視線路3を介して上記監視装置2へ送られ、上記監視装置2が正常な場合対応する警報ランプ4が点灯する。ここで、上記煙感知器1bあるいは監視装置2が異常な場合、上記警報ランプ4は点灯しない。
【0008】そして、上記警報ランプ4の点灯(あるいは不点灯)は、その警報ランプ4に向かい合った光センサ10aによって検出され、その検出信号は上記誘導送信機11へ送られる。そこで、上記誘導送信機11は、上記警報ランプ4の点灯が検出された場合、作動確認信号を上記監視線路3の片方側に重畳して送信する。上記監視線路3に重畳して送信された作動確認信号は、上記煙感知器1bのチェックを行っていた作業員のチェック器具12の上部に設けられた受信アンテナ13によって受信され、上記アンテナ13に接続された表示装置14に表示される。従って、上記作業員は上記表示装置14に表示された作動確認の表示により上記火災報知器における上記煙感知器1bの動作が正常であることをチェックできることとなる。
【0009】次に、上記煙感知器1bの動作チェック後、作業員は、上記煙感知器1bをリセットするために上記切り替え指示送信部17を操作して切り替え指示信号を無線で送信する。上記切り替え指示送信部17よりの切り替え指示信号は上記自動切り替え部16の受信機23に受信され、上記接続線22を介してオートマイクロ21へ供給され、それに伴って上記オートマイクロ21が作動して上記ロッド20を所定方向へ移動させ、それにより上記把持部19が移動し、上記把持部19が把持している上記リセットスイッチ15のレバー18をリセット側に切り替え、それにより上記煙感知器がリセットされる。上述の様に、次々と上記感知器1のチェックを行っていき、上記警報ランプ4の一例の試験が終ると、上記光センサ部10を上記警報ランプ4の他の列へずらしてチェックを続けていけば火災報知器全体の動作試験が効率良く行える。
【0010】そして、最終的に上記光センサ部10および上記自動切り替え部16を上記監視装置2の前面パネル8から取りはずし上記誘導送信機11を上記監視線路3の片方側から切り離して試験終了となる。なお、上記実施形態では上記リセットスイッチ15の切り替え指示を作業員が無線で送る様にしていたが、変形例として、上記煙感知器1bの動作後に所定時間で自動的に切り替え指示が出される様にすることもできる。また、上記実施形態では、警報ランプ4の点灯を検出した場合の作動確認信号を誘導送信機11によって監視線路3に重畳して送信していたが、無線機によって無線で送信する様にしても良い。
【0011】
【発明の効果】本発明は、以上説明した様に、煙感知器の動作試験後に簡単に上記煙感知器のリセットを行うことができるので作業効率が格段に向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動火災報知器の動作試験装置の一実施形態を示す構成図である。
【図2】図1に示した自動切り替え部の取り付け状態を示す図である。
【図3】図1に示した光センサ部の取り付け状態を示す図である。
【図4】従来の自動火災報知器の動作試験装置の構成図である。
【符号の説明】
1…感知機、 2…監視装置、3…監視線路、 4…警報ランプ、5…チェック器具、 6、7…作業員、8…前面パネル、 9…警報ランプの列、10…光センサ部、 10a…光センサ、11…誘導送信機、 12…チェック器具、13…受信アンテナ、 14…表示装置、15…リセットスイッチ、 16…自動切り替え部、17…切り替え指示送信部、 18…レバー、19…把持部、 20…ロッド、21…オートマイクロ、 22…接続線、23…受信機、 24…磁石部、

【特許請求の範囲】
【請求項1】 火災を感知するため複数の地区に配設した監視線路に接続された複数の感知器と、上記監視線路を介して上記感知器より送られる感知信号に基づいて少なくとも光によって警報を発する監視装置とを有する自動火災報知器の動作試験を行うための動作試験システムであって、上記感知器を試験的に作動させるためのチェック手段と、上記監視装置に着脱自在に取り付けられ上記チェック手段により作動された感知器に対する上記監視装置の光による警報を検知する光検知手段と、上記光検知手段により上記監視装置の光による警報が検知された場合、上記チェック手段を操作する作業員へ作動確認信号を送信する送信手段と、上記送信手段よりの作動確認信号を受信して上記チェック手段を操作する作業員へ表示する受信表示手段と、上記感知器の内の煙感知器の試験動作後に、上記煙感知器をリセットさせるために上記監視装置に着脱自在に取り付けられ上記監視装置に設けられた上記煙感知器のリセットスイッチをリセット側へ切り替える自動切り替え部とを具備することを特徴とする火災報知器の動作試験システム。
【請求項2】 上記自動切り替え部が、上記チェック手段を操作する作業員より無線で送られて来る切り替え指示信号に基づいて上記リセットスイッチをリセット側へ切り替えることを特徴とする請求項1に記載の火災報知器の動作試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開平11−53659
【公開日】平成11年(1999)2月26日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平9−224222
【出願日】平成9年(1997)8月6日
【出願人】(592208806)財団法人関東電気保安協会 (14)
【出願人】(000003104)東洋通信機株式会社 (1,528)