火葬の際ダイオキシンの発生量を減少できる仏衣セット類
【課題】 ダイオキシンを発生させない死体の火葬。
【解決手段】 芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セット。
【解決手段】 芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セット。
【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は死体の火葬の際棺桶に入れられる仏衣及び副葬品セット等に関する。
【0002】
【考案が解決しようとする課題】
現在焼却場から発生するダイオキシンが社会問題となっている。最近の測定によると火葬場からもダイオキシンが発生することがわかった。
【0003】
ダイオキシンは塩素系樹脂(例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等)
の焼却の際に発生すると言われていた。しかしながら、最近各地の火葬場からダイオキシンの発生があることがわかった。死体に着せる仏衣及び死体の火葬の際に棺桶に入れる副葬品は主としてポリエステルから構成され、塩素系樹脂は使用されていない。
【0004】
本考案の幅広い研究によりその原因がポリエステル中に含まれる芳香族環であることがわかった。ヒトは塩分(塩化ナトリウム)を必須としているので、死体は塩素分を含んでいる。本考案者の研究によると、芳香族環を含む化合物、特にポリマーと死体と一緒に火葬した場合、ダイオキシンが発生することがわかった。
【0005】
燃焼施設から発生するダイオキシン類は、炉の運転開始時の低燃焼温度が300〜400℃のときに微量ながら発生し、800〜1,000℃の連続高温燃焼により酸化分解されて無機化するといわれている。
【0006】
火葬炉の稼働状態を見ると、常温下で柩を炉内に収納し、断熱扉を閉じて点火して燃焼が始まる。1つの死体が未燃焼物を残さず燃え尽きる(約70分)と消化し、焼骨を自然冷却(40分)して、燃焼工程が終了する。火葬炉は、このような形式の間欠炉(バッチ炉)のため、点火時から高温燃焼状態を保持できない形態である。また火葬開始時から20分間程度は、主に柩や副葬品の焼却に時間と燃料が費やされているために、火葬開始時の低燃焼時間帯は、事実上廃棄物焼却炉の状態に酷似しているので、極めて少量であってもダイオキシン類が発生する可能性がある。
【0007】
火葬炉の特性とは、完全燃焼ではなく焼骨を得ることを目的とするため、1,200以上の高温燃焼が続くと死体が「灰」となって残骨を残すことはできなくなる。現在の火葬炉は主燃焼炉内雰囲気温度800〜900℃に設定し、主燃焼炉からの排ガスを再燃焼炉により800〜900℃の高温で2次燃焼し、排ガスの有機物質を分解して無機化し、浄化したガスを排気処理装置によって放出する。
【0008】
又、全国に1800ケ所の火葬場の焼却炉をすべてダイオキシンの発生を抑えるように改造することは相当なコストがかかる。特に火葬場すべては市町村の管轄なので、国の方針によって火葬場の改造を行なうことは非常に困難である。
【0009】
全国の火葬場(10ケ所)からの廃ガスの測定値は以下の通りである。
【0010】
【表1】
【0011】
なお、施設Hについては、1回目の火葬に限って約20分毎に時間を区切って測定を行ない、ダイオキシン類排出濃度の時間変動を調査した。
【0012】
【問題を解決すべき手段】
本考案者は、死体の火葬の際仏衣及び棺桶に入れる副葬品等の材質に注目した。その結果それらをレーヨン、綿、ポリプロピレン、アセテート繊維等の芳香族環を含まないポリマーを使用した時、死体の火葬の際にダイオキシンが発生しないことを発見し、本考案に至った。
【0013】
本考案は、芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セットに関する。
本考案の仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セットの種類と好ましい構成材料は次の通りである。
1) 棺布団セット セット明細: 掛け布団、敷き布団、枕、枕カバー 各1枚 素材 : 側地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、中綿→綿1 00%、又は、レーヨン100%、飾りレース→綿100%、 縫い糸→綿100%2) 仏衣セット セット明細: 仏衣、天冠、手甲、脚絆、足袋、頭陀袋、数珠、小物入れ 、数珠 素材 : 生地レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、紐→綿100 %、縫い糸→綿100%、 数珠の素材: 数珠の珠→ポリプロピレン100%、紐→レーヨン、綿又はア セテート繊維100%3) 顔当て 素材 : 側地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、中綿→綿1 00%、縫い糸→綿100%4) 棺覆い 素材 : 生地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、縫い糸→綿 100%5) 棺内張り 素材 : 生地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、飾りレース →綿100%、縫い糸→綿100% 図1は掛布団の平面図。図2は敷布団の平面図。取手は死体を棺に入れる時に使用する。図3は枕の平面図。図4は枕カバーの平面図。図5は仏衣の平面図。
図6は小物入れの平面図。図7は頭陀袋の平面図。図8は脚半の平面図。図9は手甲の平面図。図10は数珠の平面図。図11は顔当ての平面図。図12は棺覆いの平面図。図13は棺内張の平面図。図14は天冠の平面図。
【0014】
葬式の形態は日本各地に非常に異なる。又宗教の種類によっても異なる。従って、仏衣、その他の副葬品セットも全国で異なる場合がある。特にある地域では上述のセットの幾分かを使用しなかったり、また上述のセット以外の副葬品を使用する地域もあるかも知れない。本考案では死体の身に着けるか否かにかかわらず、棺桶に収容するすべての仏衣、副葬品等を含むものである。
【0015】
本考案に従えば、仏衣及び棺桶に収容する備品と死体とを一緒に燃やしてもほとんどダイオキシンが発生しなかった。
【0016】
【考案の効果】
本考案ではダイオキシンをほとんど発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 掛布団の平面図。
【図2】 敷布団の平面図。
【図3】 枕の平面図。
【図4】 枕カバーの平面図。
【図5】 仏衣の平面図。
【図6】 小物入れの平面図。
【図7】 頭陀袋の平面図。
【図8】 脚半の平面図。
【図9】 手甲の平面図。
【図10】 数珠の平面図。
【図11】 顔当ての平面図。
【図12】 棺覆いの平面図。
【図13】 内張の平面図。
【図14】 天冠の平面図。
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は死体の火葬の際棺桶に入れられる仏衣及び副葬品セット等に関する。
【0002】
【考案が解決しようとする課題】
現在焼却場から発生するダイオキシンが社会問題となっている。最近の測定によると火葬場からもダイオキシンが発生することがわかった。
【0003】
ダイオキシンは塩素系樹脂(例えば塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂等)
の焼却の際に発生すると言われていた。しかしながら、最近各地の火葬場からダイオキシンの発生があることがわかった。死体に着せる仏衣及び死体の火葬の際に棺桶に入れる副葬品は主としてポリエステルから構成され、塩素系樹脂は使用されていない。
【0004】
本考案の幅広い研究によりその原因がポリエステル中に含まれる芳香族環であることがわかった。ヒトは塩分(塩化ナトリウム)を必須としているので、死体は塩素分を含んでいる。本考案者の研究によると、芳香族環を含む化合物、特にポリマーと死体と一緒に火葬した場合、ダイオキシンが発生することがわかった。
【0005】
燃焼施設から発生するダイオキシン類は、炉の運転開始時の低燃焼温度が300〜400℃のときに微量ながら発生し、800〜1,000℃の連続高温燃焼により酸化分解されて無機化するといわれている。
【0006】
火葬炉の稼働状態を見ると、常温下で柩を炉内に収納し、断熱扉を閉じて点火して燃焼が始まる。1つの死体が未燃焼物を残さず燃え尽きる(約70分)と消化し、焼骨を自然冷却(40分)して、燃焼工程が終了する。火葬炉は、このような形式の間欠炉(バッチ炉)のため、点火時から高温燃焼状態を保持できない形態である。また火葬開始時から20分間程度は、主に柩や副葬品の焼却に時間と燃料が費やされているために、火葬開始時の低燃焼時間帯は、事実上廃棄物焼却炉の状態に酷似しているので、極めて少量であってもダイオキシン類が発生する可能性がある。
【0007】
火葬炉の特性とは、完全燃焼ではなく焼骨を得ることを目的とするため、1,200以上の高温燃焼が続くと死体が「灰」となって残骨を残すことはできなくなる。現在の火葬炉は主燃焼炉内雰囲気温度800〜900℃に設定し、主燃焼炉からの排ガスを再燃焼炉により800〜900℃の高温で2次燃焼し、排ガスの有機物質を分解して無機化し、浄化したガスを排気処理装置によって放出する。
【0008】
又、全国に1800ケ所の火葬場の焼却炉をすべてダイオキシンの発生を抑えるように改造することは相当なコストがかかる。特に火葬場すべては市町村の管轄なので、国の方針によって火葬場の改造を行なうことは非常に困難である。
【0009】
全国の火葬場(10ケ所)からの廃ガスの測定値は以下の通りである。
【0010】
【表1】
【0011】
なお、施設Hについては、1回目の火葬に限って約20分毎に時間を区切って測定を行ない、ダイオキシン類排出濃度の時間変動を調査した。
【0012】
【問題を解決すべき手段】
本考案者は、死体の火葬の際仏衣及び棺桶に入れる副葬品等の材質に注目した。その結果それらをレーヨン、綿、ポリプロピレン、アセテート繊維等の芳香族環を含まないポリマーを使用した時、死体の火葬の際にダイオキシンが発生しないことを発見し、本考案に至った。
【0013】
本考案は、芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セットに関する。
本考案の仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セットの種類と好ましい構成材料は次の通りである。
1) 棺布団セット セット明細: 掛け布団、敷き布団、枕、枕カバー 各1枚 素材 : 側地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、中綿→綿1 00%、又は、レーヨン100%、飾りレース→綿100%、 縫い糸→綿100%2) 仏衣セット セット明細: 仏衣、天冠、手甲、脚絆、足袋、頭陀袋、数珠、小物入れ 、数珠 素材 : 生地レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、紐→綿100 %、縫い糸→綿100%、 数珠の素材: 数珠の珠→ポリプロピレン100%、紐→レーヨン、綿又はア セテート繊維100%3) 顔当て 素材 : 側地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、中綿→綿1 00%、縫い糸→綿100%4) 棺覆い 素材 : 生地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、縫い糸→綿 100%5) 棺内張り 素材 : 生地→レーヨン、綿又はアセテート繊維100%、飾りレース →綿100%、縫い糸→綿100% 図1は掛布団の平面図。図2は敷布団の平面図。取手は死体を棺に入れる時に使用する。図3は枕の平面図。図4は枕カバーの平面図。図5は仏衣の平面図。
図6は小物入れの平面図。図7は頭陀袋の平面図。図8は脚半の平面図。図9は手甲の平面図。図10は数珠の平面図。図11は顔当ての平面図。図12は棺覆いの平面図。図13は棺内張の平面図。図14は天冠の平面図。
【0014】
葬式の形態は日本各地に非常に異なる。又宗教の種類によっても異なる。従って、仏衣、その他の副葬品セットも全国で異なる場合がある。特にある地域では上述のセットの幾分かを使用しなかったり、また上述のセット以外の副葬品を使用する地域もあるかも知れない。本考案では死体の身に着けるか否かにかかわらず、棺桶に収容するすべての仏衣、副葬品等を含むものである。
【0015】
本考案に従えば、仏衣及び棺桶に収容する備品と死体とを一緒に燃やしてもほとんどダイオキシンが発生しなかった。
【0016】
【考案の効果】
本考案ではダイオキシンをほとんど発生させることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 掛布団の平面図。
【図2】 敷布団の平面図。
【図3】 枕の平面図。
【図4】 枕カバーの平面図。
【図5】 仏衣の平面図。
【図6】 小物入れの平面図。
【図7】 頭陀袋の平面図。
【図8】 脚半の平面図。
【図9】 手甲の平面図。
【図10】 数珠の平面図。
【図11】 顔当ての平面図。
【図12】 棺覆いの平面図。
【図13】 内張の平面図。
【図14】 天冠の平面図。
【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セット。
【請求項2】 仏衣の生地がレーヨンで構成されている請求項1の副葬品セット。
【請求項1】 芳香族環を含むポリマー以外の材料で構成された火葬の際にダイオキシンの発生量を抑制できる仏衣及び棺桶に入れられる副葬品セット。
【請求項2】 仏衣の生地がレーヨンで構成されている請求項1の副葬品セット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図5】
【図12】
【図13】
【図14】
【登録番号】実用新案登録第3065949号(U3065949)
【登録日】平成11年11月10日(1999.11.10)
【発行日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【考案の名称】火葬の際ダイオキシンの発生量を減少できる仏衣セット類
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平11−5462
【出願日】平成11年7月22日(1999.7.22)
【出願人】(000002129)住友商事株式会社 (42)
【登録日】平成11年11月10日(1999.11.10)
【発行日】平成12年2月8日(2000.2.8)
【考案の名称】火葬の際ダイオキシンの発生量を減少できる仏衣セット類
【国際特許分類】
【出願番号】実願平11−5462
【出願日】平成11年7月22日(1999.7.22)
【出願人】(000002129)住友商事株式会社 (42)
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