説明

灰皿

【課題】 各種のドリンクホルダーであっても支持可能なる灰皿を提供する。
【解決手段】 各種のドリンクホルダーに収容且つ離脱可能なるアウターケース2と、該アウターケース2に収納した位置から上部に突出した位置の間に伸縮機構4を介在して位置移動可能なると共に煙草を保持可能なるインナーケース3とより構成されてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動車や航空機、船舶などの乗り物、或いは劇場、ホテル、家屋などに設けられたドリンクホルダーに支持できる持ち運び可能なる汎用性を有する灰皿に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は、飲料水などの封入されたドリンクボトル、ドリンク缶などを収容するだけで、ドリンクボトル、ドリンク缶などの側部を支え且つ自重により保持され且つ離脱可能なる各種のドリンクホルダーに、ドリンクボトル、ドリンク缶などと同じような形状をした灰皿を、ドリンクボトル、ドリンク缶などの代わりに収容するのみで、持ち運んだ灰皿を簡易に支持出来るようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】実開平6−75877号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の灰皿にあっては、元々さまざまな高さ(長さ)を有するドリンクボトル、ドリンク缶を支持するためのドリンクホルダーを流用するのであるから、全てのドリンクホルダーに保持できるわけではなく、汎用性を目的とした灰皿であるにも関わらず、使用性が良くないことになる。例えば、上下高さが高い(長い)灰皿をドリンクホルダーの支持片までの高さが低い(短い)ドリンクホルダーに挿入すれば、重心のバランスを崩して倒れ込んでしまうおそれがある。また、上下高さが低い(短い)灰皿をドリンクホルダーの支持片までの高さが高い(深い)ドリンクホルダーに挿入すれば、灰皿がドリンクホルダー内に収納して取り出しにくくなるおそれがある。更に、このように上下高さが少ない灰皿であれば、吸い殻や灰の収納容量が少なくなることは自明にことであって、使用性が悪くなる。
【0004】
この発明は、このような従来の技術に着目してなされたものであり、各種のドリンクホルダーであっても支持可能なる灰皿を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、各種のドリンクホルダーに収容且つ離脱可能なるアウターケースと、該アウターケースに収納した位置から上部に突出した位置の間に伸縮機構を介在して位置移動可能なると共に煙草を保持可能なるインナーケースとより構成されてなることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1にかかる灰皿であって、前記伸縮機構は、アウターケースに対してインナーケースを上下に案内可能なるガイド部材と、インナーケースに保持され且つガイド部材に形成された係合部に適宜係合可能なる弾性部材より形成されてなる係合手段とより構成されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、ドリンクホルダーの支持片までの高さが低い(短い)ドリンクホルダーに挿入する時には、灰皿のインナーケースをアウターケースに伸縮機構により収納させて灰皿の上下高さが低くできるので、灰皿の重心のバランスを保持でき、確実に支持可能となる。また、ドリンクホルダーの支持片までの高さが高い(深い)ドリンクホルダーに挿入する時には、灰皿のインナーケースをアウターケースから伸縮機構により上部に突出させて灰皿の上下高さが高く(長く)できるので、灰皿がドリンクホルダーから適宜突出していることになり、ドリンクホルダーからの取り出しが容易となる。
【0008】
請求項2に記載の発明によれば、伸縮機構のガイド部材によりアウターケースに対してインナーケースを上下に案内可能であるから、必要に応じて灰皿自体の高さを調節できる。また、係合手段によりガイド部材の係合部に適宜係合できるので、インナーケースの位置を適宜調節できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
各種のドリンクホルダーであっても支持可能なる灰皿を提供する、という目的を、各種のドリンクホルダーに収容且つ離脱可能なるアウターケースと、該アウターケースに収納した位置から上部に突出した位置の間に伸縮機構を介在して位置移動可能なると共に煙草を保持可能なるインナーケースとより構成されてなることで、実現した。
【実施例】
【0010】
以下、この発明の一実施例を図1〜図9に基づいて説明する。
【0011】
符号1は、本発明にかかる灰皿で、アウターケース2と、インナーケース3と、伸縮機構4と、蓋5とよりなる。
【0012】
アウターケース2は、合成樹脂製の有底状をなし、開口2aの内側には、突起6、6が対向した位置に配されている。
【0013】
インナーケース3は、合成樹脂製の有底状をなし、開口3aの内側には、図示しない周知の煙草を保持可能とした挟持部7及び火消し部8が形成されてなると共にピン9を軸支する貫通孔10が形成されている。開口3aの外側には、周面に沿った係合凹部11、11(図9の他方側の係合凹部11は見えないが、双方に形成されている)が形成されている。インナーケース3の下側の対向した位置には、凹部12、12が形成され、該凹部12,12の貫通孔13,13に弾性部材より形成されてなる係合手段14,14がビス15,15により螺結されている。該インナーケース3の係合凹部11、11には、取っ手18のリング状の突起19、19が係合されてなる。該取っ手18には、割溝18aが形成されていて、割溝18aの部分で拡幅することが可能である。係合手段14は、図4に示すように、鈍角状に形成されていても、円弧状に形成されていても良いし、より鋭角に形成されていても良い。
【0014】
伸縮機構4は、図9に波線で示すように、アウターケース2の半径R1よりも大きな半径R2で二つ割りされてなる第1ガイド部材4aと第2ガイド部材4bとよりなり、該第1ガイド部材4a及び第2ガイド部材4bには、相互に組み合わさる突起4c及び凹所4dが形成されてなる。また、該第1ガイド部材4a及び第2ガイド部材4bの外面は、上側の直径より下側の直径が小さい斜面状に形成されてなると共に、前記突起6に係合可能なる爪部16,16が形成されてなる。更に、該第1ガイド部材4a及び第2ガイド部材4bの内面には、上側と下側とが垂直状に形成されてなると共に、係合部17,17が周面方向に形成されてなる。このように伸縮機構4が第1ガイド部材4aと第2ガイド部材4bとより二つ割りされてなるので、成形金型が簡単に出来る。
【0015】
蓋5は、前記ピン9によりインナケース3に開閉自在に軸支されてなり、インナケース3に配したシートスプリング20により、所定位置を越えると開く方向及び閉まる方向に蓋5が付勢される。図4に示すように、蓋5には、インナーケース3の開口端部を挟むように内側の部材5aと外側の部材5bとが配され、煙草の煙などの漏れ出しを防いでいる。
【0016】
以上のように構成された灰皿1は、ドリンクホルダー30の支持片31までの高さが低い(短い)ドリンクホルダー30に挿入する時には、灰皿1のインナーケース3をアウターケース2に伸縮機構4により収納させて灰皿1の上下高さが低くできるので、灰皿1の重心のバランスを保持でき、確実に支持可能となる。該灰皿1をドリンクホルダー30から持ち上げれば、支持片31の上に載置されているだけなので、灰皿1全体が持ち上がり、吸い殻などを捨てることが出来る。
【0017】
また、ドリンクホルダー30の支持片31までの高さが高い(深い)ドリンクホルダー30に挿入する時には、灰皿1のインナーケース3をアウターケース2から伸縮機構4により上部に突出させて灰皿1の上下高さが高く(長く)できるので、灰皿1がドリンクホルダー30から適宜突出していることになり、ドリンクホルダー30からの取り出しが容易となる。
【0018】
伸縮機構4の第1ガイド部材4a及び第2ガイド部材4bによりアウターケース2に対してインナーケース3を上下に案内可能であるから、必要に応じて灰皿1自体の高さを調節できる。また、係合手段14により第1ガイド部材4a及び第2ガイド部材4bの係合部17に適宜係合できるので、インナーケース3の位置を適宜調節できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
灰皿1が挿入されるドリンクホルダー30として、図1に示すように、自動車のインストルメントパネル32に示す例でもって説明したが、これに限定されるわけではなく、航空機、船舶などの乗り物、或いは劇場、ホテル、家屋などに設けられたものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例に係る灰皿を自動車のインストルメントパネルに配設した状態を示す斜視図。
【図2】図1に示す灰皿の単体を示す斜視図。
【図3】図2の灰皿の蓋を閉成した側面図。
【図4】図3の縦断面図。
【図5】図4のSA−SA線に沿った断面図。
【図6】図2に示す灰皿のアウターケースに対してインナケースを伸ばした状態を示す斜視図。
【図7】図6の縦断面図。
【図8】図7のSB−SB線に沿った断面図。
【図9】図1乃至図8の灰皿の分解斜視図。
【符号の説明】
【0021】
1 灰皿
2 アウターケース
2a アウターケースの開口
3 インナーケース
3a インナーケースの開口
4 伸縮機構
4a 第1ガイド部材
4b 第2ガイド部材
5 蓋
6 突起
13 貫通孔
14 係合手段
16 爪部
17 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種のドリンクホルダーに収容且つ離脱可能なるアウターケースと、該アウターケース内に収納した位置から上部に突出した位置の間に伸縮機構を介在して位置移動可能なると共に煙草を保持可能なるインナーケースとより構成されてなることを特徴とする灰皿。
【請求項2】
請求項1に記載の灰皿であって、
前記伸縮機構は、アウターケースに対してインナーケースを上下に案内可能なるガイド部材と、インナーケースに保持され且つガイド部材に形成された係合部に適宜係合可能なる弾性部材より形成されてなる係合手段とより構成されてなることを特徴とする灰皿。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−166778(P2006−166778A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−363213(P2004−363213)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000000136)市光工業株式会社 (774)
【Fターム(参考)】