説明

点検システム、監視装置及び機器点検装置

【課題】
防災用の照明装置を管理する機器点検装置と、それら機器点検装置の上位の監視装置の両方からの照明装置に対する操作を可能としつつ、機器点検装置に対して照明装置が点検を行わせるスケジュール点検を確実に行わせる。
【解決手段】
機器点検装置は照明装置に対して記憶しているスケジュールに従って点検を行わせている。機器点検装置が操作盤で操作を受けた場合などには機器点検装置は照明装置のスケジュール点検を中止する。一方、監視装置は、各機器点検装置からその状態情報を逐次取得しており、機器点検装置がスケジュール動作を実行していないという情報を受けてから所定時間経過したことと、その他の機器点検装置がスケジュール点検を実行していることを受けて、スケジュール点検を実行していない機器点検装置に対してスケジュール点検の実行指示を出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防災照明装置に点検を実行させる機器点検装置及び機器点検装置を監視する点検システムに関する。
【背景技術】
【0002】
誘導灯や非常灯などの防災照明装置は、停電時などの非常時には自己内部の二次電池によって、所定時間点灯しなければならない。二次電池によって、誘導灯は20分以上点灯しなければならないことが消防法に、非常灯は30分以上点灯しなければならないことが建築基準法において定められている。また、これらの防災照明装置は、二次電池によって、所定時間の間点灯し続けるかどうかを6ヶ月周期で点検することが義務付けられている。
【0003】
この点検を人間が、誘導灯あるいは非常灯などを一つ一つ、20分あるいは30分点灯し続けるかどうかを確認するのは非常に手間がかかるので、防災照明装置にネットワークにおける端末機能を付加し、防災照明装置に対して点検を行う診断モードへの切替を指示する機器点検装置が特許文献1に開示されている。
また、大きな工場などにおいては、より大規模なシステムで一括して防災照明装置を管理したいという要望により、特許文献1に開示されているような機器点検装置を複数管理する監視装置が特許文献2に開示されている。
【0004】
そして、特許文献2に開示されているようなシステムにおいては、監視装置及び機器点検装置の両方から防災照明装置に対する操作が可能になっているが、両機器からの指示に矛盾が発生することがある。例えば、監視装置から防災照明装置に対して点検を実行しなさいという指示が実行されたときに、機器点検装置の方では、二次電池からの電源供給を停止させなさいといった指示が実行された場合などである。この矛盾を解決するために、機器点検装置に監視装置が接続されたことを契機にして機器点検装置から防災照明装置に対する操作を無効にする技術が特許文献3に開示されている。
【特許文献1】特開平3−228497号公報
【特許文献2】特開2004−119151号公報
【特許文献3】特開2005−183321号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述のような点検システムにおいて、機器点検装置にスケジュールに従って防災照明装置に点検を実行させることが考えられる。つまりスケジュールを機器点検装置が記憶しておき、それに従って自動的に防災照明装置に点検の指示をだすものである。このようなシステムにおいてシステム管理者が機器点検装置あるいは監視装置を操作して、防災照明装置に対する操作を行うことがある。このとき、システム管理者による防災照明装置に対する入力内容が、スケジュールによる点検と矛盾することが考えられるので、スケジュールによる点検を停止することになる。
【0006】
このような場合において、スケジュールによる点検への復帰操作を施工業者などが忘れてしまったときには、それ以降、防災照明装置の点検が実行されないという問題が発生する。
そこで、本発明においては、上述のような点検システムにおいて、スケジュールに基づく点検処理を中断した場合に、機器点検装置を確実にスケジュールに基づく点検に復帰させることが可能な点検システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る点検システムは、監視装置と、当該監視装置に接続されている複数の機器点検装置と、各機器点検装置に接続されている1以上の被点検装置とからなる点検システムであって、前記監視装置は、自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、当該所定期間において、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行している場合に、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信手段とを備え、前記機器点検装置は、自装置に接続されている被点検装置それぞれに点検を行わせる日時を示したスケジュールを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶されている前記スケジュールに従って、各被点検装置に点検を実行させる実行手段と、前記実行手段が前記スケジュールに従った所定点検処理を実行している場合に、前記所定点検処理を停止する停止手段とを備え、前記実行手段は、前記所定点検処理を実行していないときに、前記監視装置からの前記実行開始命令を受信すると、前記所定点検処理の実行を開始することを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
上述のような構成によって、本発明に係る点検システムの、機器点検装置は、スケジュール点検を中止しても、確実にスケジュール点検を再開できる。
機器点検装置に対して施工業者がなんらかの操作を行うためにスケジュール点検を停止させることが考えられるが、所定時間をおくことで、施工業者に対して施工業者が操作を行う時間的余裕を与えることができる。また、それと共に、施工業者が作業を終えてスケジュール点検の再開操作を忘れたとしても、所定時間後にはスケジュール点検が再開される構成を実現できる。
【0009】
また、機器点検システム設置時、例えばビルが完成した直後においては、人が入るまでは間があるため機器点検システムが稼動している必要がないが、所定割合の機器点検装置がスケジュール点検を実行しているかどうかを検出することで、その割合を上回っていない場合には、スケジュール点検を実行しない構成を実現できる。
また、前記点検システムにおいて前記所定数は、前記監視装置に接続されている機器点検装置の総台数の所定割合に相当する台数によって定まることとしてよい。
【0010】
これにより、監視装置に接続されている機器点検装置の総台数のうちスケジュール点検を実行している機器点検装置の割合によって前記所定数を決めることができる。こうすることで点検システムのシステム管理者は、その割合を自分で決めて、監視装置に、スケジュール点検を実施していなかった機器点検装置に対するスケジュール点検を実行指示を出させることができる。例えば、点検システムで1台でも稼動していれば、残りの機器点検装置にスケジュール点検を実行させる構成にするために割合を低く設定したり、あるいは機器点検装置をまとめて数台点検する場合もあることを考慮に入れて例えば7割以上が稼動していれば、残りの機器点検装置もスケジュール点検を実行させる構成などが実現でき、システムに必要とされる設定ができるようになる。
【0011】
また、前記点検システムにおいて前記監視装置は、更に、前記所定数の機器点検装置が自装置に接続されている被点検装置のスケジュール点検の終了期限を示す終了指定日を取得する取得手段を備え、前記送信手段は、前記実行開始命令と共に、前記取得手段で取得した前記終了指定日をも送信し、前記機器点検装置は、更に、受信した前記終了指定日までに自装置に接続されている全ての被点検装置の点検が終了するようにスケジュールを作成するスケジュール作成手段を備え、前記実行手段は、前記スケジュール作成手段によって作成されたスケジュールに基づく前記所定点検処理を実行することとしてよい。
【0012】
これにより、スケジュール点検を実行していなかった機器点検装置は、その他の機器点検装置がスケジュール点検を終了することが望まれる日にちに、自己に接続されている防災用照明装置の点検を終了することができる。
こうして、監視装置に接続される機器点検装置のスケジュール点検の終了期日を揃えることができるようになるので、システム管理者は、無駄に点検結果の関係省庁への報告を行わなくて済む。
【0013】
また、本発明は、複数の機器点検装置が接続されている監視装置であって、自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出手段と、前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、前記所定時間が経過した場合において、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行しているときには、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信手段とを備えることを特徴としている。
【0014】
これにより、監視装置は、機器点検装置に対して、スケジュール点検実行開始の指示を、機器点検装置がスケジュール点検を実行していなかった時間と、その他の機器点検装置の動作状態に基づいて出すことができるようになる。また、当該監視装置があることで点検システムの構築が容易になる。
また、前記機器点検装置は、自装置に対して自装置に接続されている全ての被点検装置が終了指定日までに点検が終了するように設定されているスケジュールに従って、自装置に接続されている被点検装置に自己の点検を実行させており、前記監視装置において、前記送信手段は、前記一の機器点検装置に対して、前記実行開始命令と共に、前記一の機器点検装置が前記終了指定日までに被点検装置の点検が終了するスケジュールを作成するために、自装置に接続されている他の機器点検装置の終了指定日の情報をも送信することとしてよい。
【0015】
これにより、監視装置は、スケジュール点検を実行していない機器点検装置に対してスケジュール点検を終了する日時を指定できるので、例えば、機器点検装置のスケジュール点検の終了する日時を揃えることができる。
また、本発明は、監視装置と、1以上の被点検装置とが接続されている機器点検装置であって、前記1以上の被点検装置に自装置に設定されているスケジュールに従って順次点検を行わせる所定点検処理を実行する実行手段と、前記実行手段において、前記所定点検処理を実行している場合に、前記所定点検処理を停止する停止手段と、前記監視装置から、スケジュールに従って前記所定点検処理の実行開始支持と、自装置に接続されている全ての被点検装置の点検処理の終了期限を示す終了指定日を受信する受信手段と、受信した前記終了指定日までに自装置に接続されている全ての被点検装置の点検が終了するようにスケジュールを作成するスケジュール作成手段とを備え、前記実行手段は、前記スケジュール作成手段によって作成されたスケジュールに従って前記所定点検処理を実行することを特徴としている。
【0016】
これにより、機器点検装置は、監視装置に指定された日までに自装置に接続されている被点検装置の点検を終了するようにスケジュールを組み、そのスケジュールに従った点検を実行できる。
また、 監視装置と、当該監視装置に接続されている複数の機器点検装置と、機器点検装置に接続されている1以上の被点検装置とからなる点検システムにおけるスケジュール点検開始方法であって、前記監視装置が、自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出ステップと、前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、前記所定時間が経過したとき、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行している場合に、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信ステップと、前記機器点検装置が、前記実行開始命令を受けると、スケジュールに従って自装置に接続されている被点検装置それぞれに点検を実行させる実行ステップとを含むことを特徴としている。
【0017】
この方法を実行することにより、点検システムにおいて機器点検装置は、スケジュール点検を確実に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態である点検システムについて図面を用いて説明する。
<実施の形態1>
<構成>
まず、図1を用いて点検システムのシステム構成について説明する。
図1に示すように、点検システムは、監視装置100と、機器点検装置110a〜110nと、誘導灯や非常灯などの防災用の照明装置01a〜60a、01b〜60b、・・・、01n〜60nと、管理装置130とを含んで構成される。
【0019】
監視装置100は、自機に接続されている機器点検装置を管理し、各機器点検装置から、それぞれの機器点検装置に接続されている照明装置の点検結果や、機器点検装置がスケジュールに基づく点検を実行しているか否かの情報を得る機能を有する。また、監視装置100は、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)サーバとしての機能も有し、管理装置130に対して、イーサネット(登録商標)規格に基づく通信によって、機器点検装置の状態や、照明装置の点検結果などの情報を送信する機能を有する。監視装置100の詳細な機能構成については、図2を用いて後述する。
【0020】
機器点検装置110aには、誘導灯01a〜60aが接続されており、操作盤111aが設けられている。機器点検装置110aは、FTP(File Transfer Protocol)サーバとしての機能を有し、誘導灯01a〜60aを管理し、各誘導灯に対して自機で記憶しているスケジュールに従って、点検を実行させるための指示を出力する機能を有する。また、機器点検装置110aは、操作盤111aからのユーザ入力を受け付けて、あるいは監視装置110からの指示を受け付けて、受け付けた指示内容に従って誘導灯の操作を行う機能も有する。更に、機器点検装置110aは、監視装置からの要請に応じて、自機で管理している誘導灯の点検結果や、自機がスケジュールに基づく点検を誘導灯に実行させているかなどの情報を送信する機能も有する。機器点検装置110aの詳細な機能構成については、図3を用いて後述する。機器点検装置110b〜110nは、点検指示の対象が誘導灯ではなく非常灯のものもあるものの機器点検装置110aと同様の機能を有するものであるため、説明を割愛する。
【0021】
誘導灯01a〜60aそれぞれは、機器点検装置110aからの指示に従って、自機の機器点検を実行する機能を有する。自機の機器点検とは、自機内部の二次電池だけで、20分以上、点灯させることができるか、機器点検装置との通信に異常は発生していないかどうか、ランプに異常はないか、などを点検することをいう。二次電池が20分以上ランプを点灯させられるかについては、二次電池が20分以上規定の電圧値を下回らずに放電し続けるかどうかによって判定する。また、ランプの異常については、ランプ電流の有無によって判定する。機器点検装置との通信異常については、機器点検装置側で30分異常経過しても点検結果が返されなかったことで検知する。二次電池は点検終了後、外部電源に切り替わって自動的に充電される。点検結果については、定められたプロトコルに従い点検結果が送信される。例えば、点検の結果が問題ない場合には「0000」というデータを、電池に異常があった場合には「0001」というデータを返すことなどが予め定められており、ここに記述した以外の異常についても返すデータは定められている。非常灯01b〜60bや誘導灯01n〜60nは、誘導灯01a〜60aと同等の機能を有するものであるため、説明を割愛する。以下、誘導灯や非常灯を単に照明装置と記述する。
【0022】
管理装置130は、PCであり、モニタ上で、監視装置100に接続されている機器点検装置や、機器点検装置に接続されている防災用照明装置の状態を閲覧する機能を有する。また、監視装置で用意されている管理用のウェブページでのCGI入力などにより、機器点検装置や、防災用照明装置に対する操作を受け付け、その操作内容を監視装置100に伝達する機能を有する。
【0023】
では、監視装置100の詳細について説明する。
図2の機能ブロック図に示すように、監視装置100は、上位通信部210と、検出部220と、動作情報取得部230と、記憶部240と、実行指示部250と、下位通信部260とを含んで構成される。
上位通信部210は、管理装置130とネットワークを介してHTTP規格に基づく通信を実行する機能を有し、記憶部240に記憶されている機器点検装置110a〜110nや、それぞれに接続されている照明装置の状態の情報を管理装置130に転送する機能を有する。また、上位通信部210は、管理装置130からの機器点検装置や照明装置に対する指示を下位通信部260に伝達する機能も有する。
【0024】
検出部220は、動作情報取得部230によって取得された各機器点検装置の状態をモニタしており、一つの機器点検装置がスケジュール点検を実行しておらず、他の機器点検装置の8割以上がスケジュール点検を実行している場合に、その旨とスケジュール点検を実行していない機器点検装置の情報を実行指示部250に伝達する機能を有する。
動作情報取得部230は、下位通信部260を介して、各機器点検装置から各機器点検装置がスケジュール点検を実行しているかどうかの状態情報や、照明装置の点検結果情報を取得し、記憶部240に書き込む機能を有する。
【0025】
記憶部240は、HDD(Hard Disc Drive)装置などによって実現され、主に、動作情報取得230によって取得された機器点検装置の状態や、照明装置の点検結果の情報やその履歴を記憶する機能を有する。
実行指示部250は、検出部220から、機器点検装置の情報と、その機器点検装置がスケジュール点検を実行していないという情報を受け取った場合に、当該機器点検装置に対してスケジュール点検を実行するよう実行指示を下位通信部260を伝達する機能を有する。
【0026】
下位通信部260は、機器点検装置110a〜110nとFTP規格に基づく通信を実行する機能を有し、動作情報取得部230からの指示により、各機器点検装置の状態や点検結果を取得し、動作情報取得部230に伝達する機能と、実行指示部250から受け取った実行指示をスケジュール点検を実行していない機器点検装置に対して伝達する機能を有する。また、下位通信部260は、上位通信部210を介して管理装置130からの指示を機器点検装置やそれに接続されている照明装置に対して送信する機能も有し、当該指示が情報を要求するものであった場合には、その情報を送り返す機能を有する。
【0027】
以上が監視装置100を構成する各機能部の説明である。
次に機器点検装置の機能構成を図3を用いて説明する。各機器点検装置は、略同一の機能構成を有するので、代表として機器点検装置110aについて説明する。
機器点検装置110aは、第1通信部310と、ユーザ入力受付部320と、スケジュール点検実行部330と、記憶部340と、操作処理部350と、第2通信部360とを含んで構成される。
【0028】
第1通信部310は、監視装置100とFTP規格に基づく通信を実行する機能を有し、監視装置100からの要求に応じ記憶部340に記憶されている点検結果342や、機器点検装置110aがスケジュール点検を実行しているかどうかの状態情報を送信する機能を有する。また第1通信部310は、監視装置100からの伝達されてきた照明装置に対する指示を操作処理部350に伝達する機能も有する。
【0029】
ユーザ入力受付部320は、操作盤111aを含み、操作盤111aを介して受け付けたユーザからの照明装置に対する指示である入力内容を操作処理部350に伝達する機能を有する。また、ユーザ入力受付部320は、操作盤111aで入力を受け付けた場合に、その旨をスケジュール点検実行部330に伝達する機能も有する。
スケジュール点検実行部330は、記憶部340に記憶されているスケジュール341を参照して、機器点検装置110aに接続されている照明装置01a〜60aに対して点検を行わせるための指示を第2通信部360に伝達する機能を有する。また、スケジュール点検実行部330は、ユーザ入力受付部320から、ユーザの入力を受け付けた旨を通知された場合に、スケジュール点検の実行を中止する機能も有する。もし、スケジュール点検を照明装置に指示し、その結果を得ていない状態である場合には、点検を実行していた照明装置に対して点検の中止命令を第2通信部360を介して伝達する。更に、スケジュール点検実行部330は、第1通信部310からスケジュール点検の実行指示を受けた場合には、スケジュール点検を中断していたところから、スケジュール点検を再開する。中断された箇所の判定は、記憶部340に記憶されている最新の点検結果に基づいて、どの照明装置の点検まで終了していたかを判定する。スケジュール点検を中断していた間にある照明装置の点検を実行する日が経過してしまった場合には、スケジュール点検実行部330は、スケジュール点検を再開したタイミングで再開した時点で点検が終了していなければならない照明装置に点検を行わせる指示を第2通信部360に伝達する機能も有する。
【0030】
記憶部340は、HDD装置などによって実現され、主にスケジュール341と、点検結果342とを記憶する機能を有する。スケジュール341は、各照明装置が自己点検を実行すべき日時を示した情報であり、その詳細については後述する。点検結果342は、各照明装置で実行された点検結果に関する情報であり、スケジュールに従った点検とユーザの指示に従った点検の両方の結果に関する情報を含む。
【0031】
操作処理部350は、ユーザ入力受付部320から受け付けた入力内容である照明装置に対する操作の内容を第2通信部360に伝達する機能を有する。また、第1通信部310を介して監視装置から受けた照明装置に対する操作内容を解析し、第2通信部360を介してその操作内容を実行する指示を出力する機能も有する。
第2通信部360は、照明装置01a〜60aに接続されており、各照明装置と、RS485の規格に基づく通信を実行する機能を有する。第2通信部360は、スケジュール点検実行部330からの指示により指定された照明装置に対する点検を実行する指示を伝達する機能と、操作処理部350からの操作指示を受けて、指定された照明装置に対しての操作指示を伝達する機能とを有する。また、照明装置から点検結果が返されてきた場合に、その点検結果の情報を記憶部340の点検結果342に書き込む機能も有する。
【0032】
以上が機器点検装置110aの各機能部の説明である。
最後に照明装置に関する説明を簡単にしておくと、各照明装置は、機器点検装置とRS485の規格に基づく通信を行い、点検指示を受けた場合に、自己のランプが二次電池によって定められた時間点灯し続けるかどうかなどを点検し、その点検結果の情報を機器点検装置に出力する機能を有する。
<データ>
ここでは、点検システムに係るデータについて説明する。
【0033】
図4は、機器点検装置が記憶しているスケジュール341に関する情報の具体例である。ここでは代表として機器点検装置110aが保持するスケジュール341を示しているが、他の機器点検装置も同様のものを保持している。
スケジュール341は、機器点検装置110aに接続されている各照明装置番号に対応して、それぞれの照明装置が点検を実行すべき日が記された情報である。なお、スケジュール341には点検日のみを記述しているが、基本的にその日の12時に点検を実行するものとする。スケジュールは、スケジュール点検を開始した日時から6ヶ月以内に全ての照明装置の点検が終了するように組まれている。また、同日に全ての照明装置の点検を実行していないのは、全ての照明装置の点検を同日に実行していたときに何らかの災害が発生した場合に防災用照明装置としての用を果たさない、つまり点検途中であったために点灯すべき非常灯が点灯せず避難が困難になったりする可能性があるためである。図4によれば、例えば、照明装置番号36aの照明装置は6月14日に点検を実行することになっている。
【0034】
また、スケジュール341には、機器点検装置110aが自機に接続されている照明装置全ての点検を終了していなければならない期日も記録されている。ここでは、機器点検装置110aが点検を終了しなければいけない期日は8月31日である。スケジュールの通りに点検が実行されれば、最後の照明装置の点検は8月25日に実行されるので、期日に間に合うことになっている。
【0035】
次に、管理装置でモニタできる監視装置100が管理する機器点検装置や照明装置の状態の情報の表示例を図5と図6とに示した。
図5は、監視装置100に接続されている機器点検装置の状態と、機器点検装置に接続されている照明装置の状態を示す表示例である。
機器点検装置ステータスウィンドウ501には、各機器点検装置がスケジュールに基づく点検を実行しているか否かが表示される、スケジュール点検を実行していない場合には、機器点検装置の前のボックスに×が表示される。
【0036】
照明装置ステータスウィンドウ502には、機器点検装置ステータスウィンドウ501でユーザにより選択された機器点検装置に接続されている照明装置の状態が示される。ここでは機器点検装置110aに接続されている照明装置01a〜60aの状態が示されている。例えば、照明装置05aでは、内蔵の二次電池が電池切れを起こしていることを示し、照明装置07aでは、機器点検装置110aの指示により、スケジュールに基づく点検を実行中であることが示されている。
【0037】
図6は、一つの照明装置の点検結果の履歴を示した表示例である。図5に示した照明装置ステータスウィンドウ502で一の照明装置がユーザによって選択された場合に図6に示すような画面が表示される。
照明装置番号ウィンドウ601には、表示している点検履歴がどの機器点検装置に接続されている、どの照明装置の点検履歴であるかを示す情報が表示される。
【0038】
履歴ウィンドウ602には、照明装置で過去に実行された点検や処理の内容を示す情報が示されており、ここでは、日付欄603に対応するように処理内容欄604が設けられている。日付欄603には、何らかの操作が照明装置において行われた日時が示されており、処理内容欄604には、照明装置で行われた処理の内容が示されている。図6に示した表示例からは、例えば、照明装置04aにおいては、2006年3月10日の12時に定期点検が実行され、同日の12時20分に定期点検が終了し、異常がなかったことがわかる。
【0039】
以上が点検システムに係るデータである。
<動作>
次に、点検システムにおけるデータのやり取りや、装置における動作について説明する。まず、実施の形態1における機器点検装置と照明装置間のやり取りについて図7に示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0040】
ここでは代表として機器点検装置110aと、照明装置である誘導灯01a〜60aとの間におけるやり取りを示しているが、その他の機器点検装置とそれに接続されている照明装置間においても同様に実行されている。本タイミングチャートでは、スケジュールに従って照明装置の点検が実行されていることを示す。
機器点検装置110aにおいては、記憶部340に記憶されているスケジュール341に従って、スケジュール点検実行部330が、スケジュール点検を実行している(ステップS701)。スケジュール点検実行部330は、内蔵のタイマ(図示せず)により、3月1日12時が到来したことを検出すると、第2通信部360に、照明装置01aに対する点検実行の命令を伝達する。当該命令を受けた第2通信部360は、その命令が照明装置01aに対するものであることを解析して、照明装置01aにその命令を送信する(ステップS703)。
【0041】
点検実行命令を受信した照明装置01aは、外部電源からの電力供給を切断し、自己内部の二次電池のみでランプが20分(非常灯の場合には30分)点灯し続けるかなどの点検を行う(ステップS705)。自機に設定されている点検項目の全ての点検が終了したなら、異常がなかった場合には、異常なしの情報を、異常があった場合には、異常があった箇所の情報を第2通信部360に送信する(ステップS707)。点検結果の情報を受けた第2通信部360は、その情報を点検結果342に新たに書き込む。なお、異常があった場合には、その旨が更に監視装置を通じて管理装置のユーザにその旨が表示され伝達される。ユーザが表示された内容に従って照明装置の整備を行う。
【0042】
次に、3日後の3月4日の12時になったら、スケジュール341における照明装置02aの点検日時に合致するので、第2通信部360に対して、照明装置02aの点検実行指示を伝達する。当該指示を受けた第2通信部360は、 照明装置02aにその指示を伝達する(ステップS709)。
当該指示を受けた照明装置02aは、自己における二次電池のみでランプが20分点灯し続けるかどうかなどの点検を実行する(ステップS711)。そして、点検が終了したら、その点検結果の内容を第2通信部360に送信する(ステップS713)。そして第2通信部360はその点検結果の内容を点検結果342に追加する。
【0043】
以下各照明装置についてそれぞれの点検日が到来したら、スケジュール点検実行部330の指示に基づいて照明装置が点検を行い、その結果の情報が点検結果342に追加して書き込まれていく。
そして、8月25日の12時が到来したならば、スケジュール341における照明装置60aの点検日時に合致するので、第2通信部360に対して、照明装置60aの点検実行指示を伝達する。当該指示を受けた第2通信部360は、 照明装置60aにその指示を伝達する(ステップS715)。
【0044】
当該指示を受けた照明装置60aは、自己における二次電池のみでランプが20分点灯し続けるかどうかなどの点検を実行する(ステップS717)。そして、点検が終了したら、その点検結果の内容を第2通信部360に送信する(ステップS719)。そして第2通信部360はその点検結果の内容を点検結果342に追加する。ここで、スケジュールに基づく全ての照明装置の点検が終了し、一巡が終了したことになる。以降においては、新たなスケジュールがユーザから与えられたりして、その新たなスケジュールに従って次の一巡のスケジュール点検を実行する。なお、一巡したことは、スケジュール点検実行部330がスケジュールに記載されている最後の日の点検日に対応する照明装置からの点検結果を得ることで検知する。
【0045】
例えば、次のスケジュールにおいて、照明装置01aの点検を実行する日が9月1に設定されていた場合に、9月1日の12時になった時点で機器点検装置110aは、照明装置01aに対して、点検の実行指示をだし(ステップS721)、その指示に対応して照明装置01aは、自己の点検を実行する(ステップS723)。そして、点検が終了したら、その点検結果の情報が機器点検装置110aに返される(ステップS725)。以下、各照明装置は、順に機器点検装置110aによって、点検指示が出され、点検を実行し、点検結果を機器点検装置に転送する。
【0046】
以下、照明装置の定期的な点検が実行され、その点検結果の情報が点検結果342として蓄積されていく。
次に、監視装置と各機器点検装置との間におけるやり取りを図8のタイミングチャートを用いて説明する。ここでは、特にある機器点検装置においてスケジュール点検が中断された場合における処理を示している。
【0047】
監視装置100は、各機器点検装置に対して、所定時間、例えば10分ごとにそれぞれの機器点検装置の状態や、それぞれが保持している照明装置の点検結果や、その時点における照明装置の状態の情報を要求し、各機器点検装置は、その要求に応じて、それらの情報を監視装置100に送信している。
そして、機器点検装置110aの操作盤111aにおいて、ユーザからの操作を受け付けたとする。当該操作をユーザ入力受付部320で受け付ける(ステップS801)と、ユーザ入力受付部320は、スケジュール点検実行部330に対してスケジュールに基づく点検の実行を中止させる。つまり、スケジュール点検実行部330は、スケジュール341に記されている日付と自機のタイマによって刻まれる日付とが一致するかどうかをみて照明装置に対する点検の指示を出しているが、この日付の比較を中止する。なお、ユーザからの操作が監視装置を介して行われた場合には、スケジュール点検実行部330に対してスケジュール点検の中止を依頼するのは第1通信部310になる。そして、機器点検装置110aは、ユーザからの操作に基づいて照明装置の操作を行う。
【0048】
一方、監視装置100は、スケジュール点検が停止中であることをステップS803後の最初の情報取得処理において検知することになる。つまり、監視装置100は、機器点検装置110aに対して、機器点検装置110aがスケジュール点検を実行しているかどうかの状態情報と、機器点検装置110aに接続されている照明装置の点検結果の情報を要求する(ステップS805)。
【0049】
そしてこの要求に対して機器点検装置110aは、自機がスケジュール点検を実行していないという状態情報と、それまでの照明装置の点検結果などの情報を送り返す(ステップS807)。この情報を受けて監視装置100は、機器点検装置110aがスケジュール点検を中止している情報と、この情報を受け取った時間と対応して記憶部240に記憶する。
【0050】
ほぼ同時に監視装置100は、その他の機器点検装置に対しても同様の情報の要求を行っている。例えば機器点検装置110bに対して、状態情報と点検結果の情報を要求し(ステップS809)、その要求に対して機器点検装置110bは、自機がスケジュール点検を実行中であることを示す状態情報と点検結果の情報を送り返す(ステップS811)。機器点検装置110nに対して、状態情報と点検結果の情報を要求し(ステップS813)、その要求に対して機器点検装置110bは、自機がスケジュール点検を実行中であることを示す状態情報と点検結果の情報を送り返す(ステップS815)。
【0051】
以下、この状態情報と点検結果の情報の要求と返信が10分ごとに行われる。
そして、監視装置100の検出部220が、機器点検装置aがスケジュール点検を行っていないという情報を得たタイミングから所定時間、例えば24時間経過したことを検知し、かつ、その他の機器点検装置からはスケジュール点検を実行しているという状態情報を受けていることを検知したとする(ステップS817)。
【0052】
この場合、機器点検装置100は、機器点検装置110aに対してユーザが操作を行い、スケジュール点検の実行再開の指示を実行するのを忘れたと判断し、実行指示部250は、下位通信部260を介して、機器点検装置110aに対して、スケジュール点検を実行する実行指示を出力する(ステップS819)。
そして、機器点検装置110aのスケジュール点検実行部330は、スケジュール点検を実行した最後の照明装置の点検結果と、スケジュール点検指示を受信した日を比較し、その間にスケジュール点検を実行しているべき、照明装置があったなら、その照明装置に対して点検指示を出す。また、その時点から、スケジュール点検を再開する(ステップS821)。
【0053】
最後に、監視装置100のスケジュール点検を実行していない機器点検装置にスケジュール点検を実行させるための判断に係る動作を図9に示すフローチャートを用いて説明する。
監視装置100の動作情報取得部230は、自機に接続されている各機器点検装置に対して、それぞれの状態情報や、各機器点検装置に接続されているそれぞれの照明装置の点検結果などの情報を所定時間、例えば10分ごとに収集している(ステップS901)。そして、検出部220は、状態取得処理で、スケジュール点検を停止しているという情報がないかをモニタしている(ステップS903)。
【0054】
スケジュール点検を停止しているという情報を得ていない場合(ステップS903のNO)は、ステップS901に戻り、以降の処理を実行する。動作情報取得部230は、スケジュール点検を停止しているという情報を得た場合(ステップS903のYES)には、スケジュール点検を停止しているという情報を送信してきた機器点検装置の番号と、スケジュール点検を停止しているという情報と、その情報を取得した日時とを対応付けて記憶部240に記憶する(ステップS905)。その後、監視装置100は、今までどおり10分ごとの状態取得処理を続ける。このとき、スケジュール点検を停止していた機器点検装置から、スケジュール点検を実行しているという情報を得ていた場合(ステップS907のNO)には、その機器点検装置がスケジュール点検を停止しているという情報と共に停止した日時の情報を記憶部240から削除する。また、一度スケジュール点検を実行していないことが記録された機器点検装置については、その情報が記憶部240から削除されるまでは、新たに記録されない。
【0055】
そして、機器点検装置がスケジュール点検を停止しているという情報を記憶してから、所定時間、例えば24時間が経過したとする(ステップS907のYES)。24時間、スケジュール点検を実行していないことを検出した検出部220は、次に、他の機器点検装置の動作状態を確認する。具体的には、検出部220は、スケジュール点検を実行していないとされた機器点検装置以外の機器点検装置の8割以上がスケジュール点検を実行しているかどうかを判断する(ステップS909)。
【0056】
機器点検装置の8割以上がスケジュール点検を実行していなかった場合(ステップS909のNO)、例えば一括で点検を行っていてスケジュール点検を実行していない場合などには、ステップS901に戻り以降の処理を実行する。
機器点検装置の8割以上がスケジュール点検を実行していた場合(ステップS909のYES)には、検出部220は、スケジュール点検を実行していない機器点検装置の情報を実行指示部250に伝達する。そして、実行指示部250は、受け取った機器点検装置の情報に基づいて、当該機器点検装置に対して、スケジュール点検を実行させる実行指示を出力する(ステップS911)。当該実行指示を受けた機器点検装置は、スケジュール点検を再開する。そして、ステップS901に戻り、以降の処理を実行する。
【0057】
以上が、実施の形態に係る点検システムにおける動作の説明である。
<実施の形態2>
実施の形態1においては、機器点検装置がスケジュール点検装置が、スケジュール点検を実行していない場合に、スケジュール点検を実行させる手法について説明したが、実施の形態2においては、点検システムに新たな機器点検装置が追加された場合に、当該機器点検装置で実行されるスケジュール点検の終了日時をもとより点検システムに含まれている機器点検装置のスケジュールの終了期日に揃えることを示す。
【0058】
実施の形態2においては、主に実施の形態1と異なる部分について説明し、実施の形態1と同様の部分については、説明を割愛する。
<構成>
まず、図10に実施の形態2における点検システムのシステム図である。本図にあるように、実施の形態2においては、実施の形態1の図1に示したシステムに加え、機器点検装置100pと、それに接続されている照明装置01p〜60pが追加されている。
【0059】
監視装置100における動作情報取得部230は、実施の形態1で示した機能に加え、各機器点検装置がスケジュール点検での一巡の点検終了期日の情報を取得する機能を有する。
また、実行指示部250は、実施の形態1で示した機能に加え、スケジュール点検を実行すべき機器点検装置に対して、動作情報取得部230が取得した点検終了期日の情報を、スケジュール点検の実行指示と共に出力する機能を有する。
【0060】
機器点検装置100pの機能構成については、図11の機能ブロック図を参照しながら説明する。
図11に示すように、機器点検装置100pは、第1通信部310と、ユーザ入力受付部320と、スケジュール点検実行部330と、操作処理部350と、第2通信部360と、スケジュール作成部1100と、記憶部1110とを含んで構成される。
【0061】
ここで、実施の形態1と同名の機能構成部については、実施の形態1と同等の機能を有する。
第1通信部310は、実施の形態1において示した機能に加えて、監視装置100から伝達されたスケジュール点検を終了しているべき点検終了期日の情報をスケジュール作成部1100に伝達する機能を有する。
【0062】
スケジュール作成部1100は、第1通信部310を介して監視装置100から伝達された点検終了期日までに、自機に接続されている全ての照明装置の点検が終了しているようにスケジュールを作成する機能を有する。
記憶部1111は、実施の形態1に示した記憶部240とは異なり、スケジュール作成部1100が作成したスケジュール1111を記憶する。
【0063】
スケジュール点検実行部330は、スケジュール1111に示されるスケジュールに基づいて照明装置に点検を実行させる。
<データ>
次に、スケジュール作成部1100が作成するスケジュールについて説明する。ここで、点検システムの機器点検装置は、図4に示したスケジュールに従って動作しているものとし、機器点検装置110pは4月1日に点検システムに追加されたとする。
【0064】
通常なら、機器点検装置110pが自機に接続されている照明装置に点検を行わせるスケジュール1111は図12に示すように、4月1日に開始して、6ヵ月後の9月30日までに終了していれば良く、図においては9月25日には、全ての照明装置は点検を終了している状態になる。しかし、これらの防災用の照明装置については、点検結果を報告する義務があり、システム管理者としては、その報告を一括して行えれば、面倒がなくてよい。
【0065】
そこで、機器点検装置110pが点検システムに接続されるときに、監視装置は、他の機器点検装置から、その機器点検装置のスケジュールによる点検終了期日を取得し、その点検終了期日を機器点検装置110pに通知する。その通知された点検終了期日に基づいてスケジュール作成部1100が作成したスケジュールの一例が図13に示すスケジュール1111である。
【0066】
図13に示すように、スケジュール1111は、4月1日にスケジュールの点検を開始していても、8月31日には、全ての照明装置の点検を終了させることができるように組まれている。本図においても、照明装置は、12時に点検を行っており、スケジュール作成部1100は、スケジュールを実施する日がなるべく均等になるようにスケジュールを作成する。ここでは、4月1日から8月31日までの153日間を照明装置の台数60で割ると、2.55になるので、2日おきと3日おきを組み合わせてスケジュールを作成している。割った演算結果が1未満になる場合には、同日に2台以上の照明装置の点検を行うようにスケジュールを作成する。
<動作>
ここで、実施の形態2に係る点検システムにおける監視装置100と機器点検装置との間で行われる動作について図14を用いて説明する。図14は、監視装置100と機器点検装置110a〜110n、110pが点検システムに接続された場合の流れを示したタイミングチャートである。
【0067】
まず機器点検装置110pが監視装置100に接続される(ステップS1401)。監視装置100は、機器点検装置110pの接続を検出し(ステップS1403)、機器点検装置110pに対して点検システムにおけるアドレスであるアドレス情報を与え、状態情報を要求する(ステップS1405)。
次に、機器点検装置110pは、監視装置100に対して、自機がスケジュール点検を実行していないことを示す情報を送信する(ステップS1407)。当該情報を受けて、監視装置100は、機器点検装置110pがスケジュール点検を実行していないことを検出する(ステップS1409)。すると、監視装置100は、機器点検装置110aに対して、スケジュール点検の終了期日の情報を要求する(ステップS1411)。当該要求を受けた機器点検装置110aは、スケジュールに記載されている点検終了期日を送信する(ステップS1413)。
【0068】
監視装置100の実行指示部350は、下位通信部360を介して、機器点検装置100pに対して終了期日の情報と、スケジュール点検の指示を送信する(ステップS1415)。
機器点検装置110pのスケジュール作成部1100は、当該終了期日に基づいて、機器点検装置110pに接続されている全ての照明装置の点検が受け取った終了期日までに終了するようにスケジュールを作成する(ステップS1417)。
【0069】
そして、作成したスケジュールを記憶部1110にスケジュール1111として書き込み、スケジュール点検実行部330は、スケジュール1111に記された日程で照明装置に点検を実行させる(ステップS1419)。
防災設備において、誘導灯や非常灯などの照明の点検結果について、関係省庁に報告する義務が設備管理者に課せられているが、上記のような構成を備えることにより、機器点検装置のスケジュール点検の終了期日をそろえることができるので、一巡につき、報告を行う回数が一度ですむようになる。
<補足>
上記実施の形態に基づいて本発明に係る機器点検装置について説明してきたが、本発明の実施の形態がこれに限られるものではないことは勿論である。以下その変形例について説明する。
(1)上記実施の形態においては、機器点検装置に接続される照明装置は60台としたが、別にこの台数に限る必要はなく、例えば20台あるいは80台であってもかまわない。また、全ての機器点検装置が同じ台数の照明装置を管理する必要もなく、それぞれ異なる台数の照明装置を管理していてもよい。
(2)上記実施の形態においては、管理装置において、各機器の状態を確認していたが、これは管理装置だけの機能である必要はなく、監視装置に各機器点検装置などの状態を確認するためのモニタを設けて、当該モニタで確認できてもよい。
(3)上記実施の形態においては、スケジュールには点検を実行する日にちのみを記載したが、更に時間も指定した記載にしてもよい。
(4)上記実施の形態においては、機器点検装置の8割以上がスケジュール点検を実行していた場合に、スケジュール点検を実行していなかった機器点検装置にスケジュール点検の実行を指示することとしたが、これは別に8割以外の割合でもよく、例えば5割などであってもよい。あるいは割合ではなく、台数を指定してもよい。つまり、機器点検装置が例えば20台以上スケジュール点検を実行していた場合には、スケジュール点検を実行していない機器点検装置に対してスケジュール点検の実行を指示する構成にしてもよい。
【0070】
また、この割合や台数は、システム管理者が自由に設定が変更できる構成にしてもよい。
(5)上記実施の形態において示した各通信部の通信の規格はこれらに限るものではなく、別の通信規格、例えばIEEE802.11の規格などであってもよい。
(6)上記実施の形態2においては、スケジュールを作成する場合には、12時に点検を実施するものとしてスケジュールを作成したが、これは単純に、点検終了期日までを時間換算にして、その時間を照明装置の台数で割って、日時を指定したスケジュールを作成することとしてもよい。
(7)上記実施の形態2においては、新たに機器点検装置110pが点検システムに追加された場合にスケジュールをスケジュール作成部1100が作成していたが、機器点検装置110pが予めシステムに組み込まれていた状態で機器点検装置110pが長時間、例えば2週間にわたってスケジュール点検を実行してなかった場合などに、スケジュール点検を再開したときにまとめてその2週間の間に点検を行うはずだった照明装置の点検を行わせずに、予め定められた終了期日までに、点検結果を返していない照明装置に関して、当該終了期日までに点検が終了するようにスケジュールを作成しなおしてもよい。
(8)上記実施の形態において、点検対象を防災用の照明装置としたが、これは別に照明装置でなくともよく、例えば、電力供給設備を点検対象としていてもよい。
(9)上記実施の形態において、複数の機器点検装置がそれぞれ異なる終了期日で終了するスケジュールで照明装置の点検を実行している場合に、監視装置がいずれか一つの機器点検装置の終了期日を取得し、当該終了期日の取得対象であった機器点検装置以外の機器点検装置に対して当該終了期日を伝達する。そして当該終了期日を受信した機器点検装置は、その終了期日までにスケジュール点検が終了するようにスケジュールを作成し、作成したスケジュールに従ってスケジュール点検を実行する構成としてもよい。
【0071】
こうすることで、機器点検装置のスケジュール点検の終了期日を全て揃えることが可能となる。
(10)上記実施の形態に示した各機能部は、1又は複数のLSI(Large Scale Integration)、VLSI(Very Large Scale Integration)により実現されてよく、一のLSIが各機能部全ての機能を実行できるシステムLSIであってもよい。
(11) また、前記監視装置において、前記所定数は、前記監視装置に接続されている機器点検装置の総台数の所定割合の台数によって定まることとしてよい。
【0072】
これにより、監視装置は、スケジュール点検を実行している機器点検装置の割合を判断基準として、スケジュール点検を実行していない機器点検装置にスケジュール点検の実行指示をだすことができる。
(12)また、前記点検システムにおいて前記被点検装置は、防災用照明装置であり、前記スケジュールは、各防災用照明装置が6ヶ月に1度点検が実施されるように設定されていることとしてよい。
【0073】
これにより、機器点検装置が非常灯や誘導灯など防災用照明装置の点検を実行できるシステムとして点検システムを構築することができ、法に定められた基準に従って点検を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明に係る点検システムの構成を示した概念図である。
【図2】点検システムに含まれる監視装置の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図3】点検システムに含まれる機器点検装置の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図4】機器点検装置が記憶している点検スケジュール表の例である。
【図5】監視装置に接続されている管理装置のモニタで確認できる各機器点検装置の点検状況の表示例である。
【図6】監視装置に接続されている管理装置のモニタで確認できる防災照明装置の点検履歴を示した表示例である。
【図7】点検システムにおける機器点検装置と照明装置間のやり取りの流れを示したタイミングチャートである。
【図8】点検システムにおいて機器点検装置がスケジュール動作に復帰するまでの監視装置と各機器点検装置間のやり取りの流れを示したタイミングチャートである。
【図9】監視装置において機器点検装置に対してスケジュール動作に復帰させる指示をだすための判断処理を示したフローチャートである。
【図10】実施の形態2に係る点検システムのシステム構成図である。
【図11】実施の形態2に係る機器点検装置の機能構成を示した機能ブロック図である。
【図12】点検システムに新たに4月1日に組み込まれた機器点検装置が通常保持していればよいスケジュールの例である。
【図13】点検システムに新たに組み込まれた機器点検装置が作成したスケジュールの例である。
【図14】実施の形態2における機器点検装置110pがスケジュール動作を実行するまでの監視装置と機器点検装置間のやり取りの流れを示したタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0075】
100 監視装置
110a〜110n、110p 機器点検装置
110a〜111n、111p 操作盤
01a〜60a、01b〜60b、01n〜60n 照明装置
130 管理装置
210 上位通信部
220 検出部
230 動作情報取得部
240 記憶部
250 実行指示部
260 下位通信部
310 第1通信部
320 ユーザ入力受付部
330 スケジュール点検実行部
340 記憶部
350 操作処理部
360 第2通信部
1100 スケジュール作成部
1110 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視装置と、当該監視装置に接続されている複数の機器点検装置と、各機器点検装置に接続されている1以上の被点検装置を有してなる点検システムであって、
前記監視装置は、
自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、当該所定期間において、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行している場合に、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信手段とを備え、
前記機器点検装置は、
自装置に接続されている被点検装置それぞれに点検を行わせる日時を示したスケジュールを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている前記スケジュールに従って、各被点検装置に点検を実行させる実行手段と、
前記実行手段が前記スケジュールに従った所定点検処理を実行している場合に、前記所定点検処理を停止する停止手段とを備え、
前記実行手段は、前記所定点検処理を実行していないときに、前記監視装置からの前記実行開始命令を受信すると、前記所定点検処理の実行を開始する
ことを特徴とする点検システム。
【請求項2】
前記所定数は、前記監視装置に接続されている機器点検装置の総台数の所定割合に相当する台数によって定まる
ことを特徴とする請求項1記載の点検システム。
【請求項3】
前記監視装置は、更に、
前記所定数の機器点検装置が自装置に接続されている被点検装置のスケジュール点検の終了期限を示す終了指定日を取得する取得手段を備え、
前記送信手段は、前記実行開始命令と共に、前記取得手段で取得した前記終了指定日をも送信し、
前記機器点検装置は、更に、
受信した前記終了指定日までに自装置に接続されている全ての被点検装置の点検が終了するようにスケジュールを作成するスケジュール作成手段を備え、
前記実行手段は、前記スケジュール作成手段によって作成されたスケジュールに基づく前記所定点検処理を実行する
ことを特徴とする請求項1記載の点検システム。
【請求項4】
複数の機器点検装置が接続されている監視装置であって、
自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出手段と、
前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、前記所定時間が経過した場合において、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行しているときには、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信手段とを備える
ことを特徴とする監視装置。
【請求項5】
前記機器点検装置は、自装置に対して自装置に接続されている全ての被点検装置が終了指定日までに点検が終了するように設定されているスケジュールに従って、自装置に接続されている被点検装置に自己の点検を実行させており、
前記送信手段は、前記一の機器点検装置に対して、前記実行開始命令と共に、前記一の機器点検装置が前記終了指定日までに被点検装置の点検が終了するスケジュールを作成するために、自装置に接続されている他の機器点検装置の終了指定日の情報をも送信する
ことを特徴とする請求項4記載の監視装置。
【請求項6】
監視装置と、1以上の被点検装置とが接続されている機器点検装置であって、
前記1以上の被点検装置に自装置に設定されているスケジュールに従って順次点検を行わせる所定点検処理を実行する実行手段と、
前記実行手段において、前記所定点検処理を実行している場合に、前記所定点検処理を停止する停止手段と、
前記監視装置から、スケジュールに従って前記所定点検処理の実行開始支持と、自装置に接続されている全ての被点検装置の点検処理の終了期限を示す終了指定日を受信する受信手段と、
受信した前記終了指定日までに自装置に接続されている全ての被点検装置の点検が終了するようにスケジュールを作成するスケジュール作成手段とを備え、
前記実行手段は、前記スケジュール作成手段によって作成されたスケジュールに従って前記所定点検処理を実行する
ことを特徴とする機器点検装置。
【請求項7】
監視装置と、当該監視装置に接続されている複数の機器点検装置と、機器点検装置に接続されている1以上の被点検装置とからなる点検システムにおけるスケジュール点検開始方法であって、
前記監視装置が、自装置に接続されている複数の機器点検装置がスケジュールに基づく所定点検処理を実行しているか否かを検出する検出ステップと、
前記検出手段により、前記複数の機器点検装置のうち一の機器点検装置が前記所定点検処理を所定期間以上実行しておらず、前記所定時間が経過したとき、前記一の機器点検装置を除くその他の機器点検装置のうち、所定数の機器点検装置が前記所定点検処理を実行している場合に、前記一の機器点検装置に対して、前記所定点検処理の実行を開始する実行開始命令を送信する送信ステップと、
前記機器点検装置が、前記実行開始命令を受けると、スケジュールに従って自装置に接続されている被点検装置それぞれに点検を実行させる実行ステップとを含む
ことを特徴とするスケジュール点検開始方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−316908(P2007−316908A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145276(P2006−145276)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】