説明

点火装置

【課題】電圧降下が小さいアルカリ電池を使用してもフィラメントが切れ難く、長期の使用が出来る点火装置を提供する。
【解決手段】フィラメント3の発熱で灯芯2に点火する点火ヒーター1と、電源である乾電池7とを結ぶリード線8の抵抗値を、0.050Ω〜0.080Ωとしたことで、アルカリ電池の使用でもフィラメント3に作用する電圧は低く抑えられ、このフィラメント3の発熱し過ぎを確実に防止して、短期間に切れる不具合を阻止し、乾電池7の種類に関係なく点火ヒーター1を保護して、長期に渡って良好な点火が行えるようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、灯芯式の石油ストーブに使用される点火装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものでは、点火ヒーターと乾電池とは、0.3mm2(スクエアー)のリード線で、プラス電極側及びマイナス電極側ともに接続されており、その抵抗値は、0.035Ω〜0.045Ωであった。
【特許文献1】(従来例を示すことが出来ない。)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、乾電池がマンガン電池である為に、負荷がかかると大きく電圧降下するので、何ら問題なかったが、近年アルカリ電池が使用されるようになると、電池内部構造の相違から負荷がかかっても大きな電圧降下がなく、高い電圧が点火ヒーターのフィラメントにかかり、発熱し過ぎて切れやすくなり、短期間にフィラメントが切れて点火不能となる危険性を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決するため、特にその構成を、フィラメントの発熱で灯芯に点火する点火ヒーターと、電源である乾電池との間の抵抗値を0.050Ω〜0.080Ωとしたものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、点火ヒーターと乾電池とを結ぶリード線の抵抗値を、0.050Ω〜0.080Ωとしたことで、アルカリ電池の使用でもフィラメントに作用する電圧は低く抑えられ、このフィラメントの発熱過ぎを確実に防止して、短期間に切れる不具合を阻止し、乾電池の種類に関係なく点火ヒーターを保護して、長期に渡って良好な点火が行えるようにしたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次にこの発明に係る点火装置を図面に示された一実施形態で説明する。
1は上下動自在の灯芯2に点火する点火ヒーターで、先端には発熱するフィラメント3を備え保持ケース4内に収納されている。
【0007】
5は保持ケース4の接点と固定されている接点とで構成された点火スイッチで、保持ケース4の点火方向への移動でこの点火スイッチ5は閉成され、点火後の元の位置への復帰で開成されるものである。
【0008】
6は単1形の乾電池7を2本直列(3V)に収納する合成樹脂製の電池ケースで、該電池ケース6と点火ヒーター1との間を、0.2mm2(スクエアー)の径で、プラス側は350mm〜408mmの長さで、マイナス側は295mm〜375mmの長さのリード線8が接続しており、このリード線8のプラス側とマイナス側を合わせた抵抗値が、0.050Ω〜0.080Ωになるように設定しているものである。
【0009】
次にこの一実施形態の作動について説明する。
今燃芯2に点火する為に、点火ヒーター1を灯芯2に近づければ、点火スイッチ5が閉成されて2本の乾電池7から点火ヒーター1に通電れるが、この点火ヒーター1と乾電池7間のリード線8の抵抗値が、0.050Ω〜0.080Ωであるので、従来と比べて電圧が低くなり、特に電圧降下が小さいアルカリ電池でも、電圧が高過ぎてフィラメント3が発熱し過ぎて短期間に切れることがないものである。
【0010】
更にアルカリ電池で、リード線8の太さを変えて抵抗値を変化させての試験結果を下記の各表にまとめたものであり、各表はリード線8の抵抗値を0.049Ω以下とした点火装置と、この発明の0.050Ω〜0.080Ωとした点火装置と、0.081Ω以上とした点火装置とを2台づつで比較したもので、表1は30分以上燃焼させた後、スピード消火させてから、1分後再点火動作させたもので、結果的には、抵抗値0.049Ω以下では、自己熱及び点火部の熱でフィラメント3が切れる溶断が起こるもので、抵抗値0.050Ω〜0.080Ωでは、2台共良好に点火され、抵抗値0.081Ω以上では、溶断は起こらないが電圧が低すぎて、点火できないものである。
【表1】

【0011】
又表2は30分以上燃焼させた後、スピード消火させてから、2分後再点火動作させたもので、この結果は、抵抗値0.049Ω以下では、やはり自己熱及び点火部の熱でフィラメント3が切れる溶断や変形が起こるもので、抵抗値0.050Ω〜0.080Ωでは、すべて良好に点火され、抵抗値0.081Ω以上では、溶断は起こらないが電圧が低すぎて、点火できないものである。
【表2】

【0012】
更に表3は30分以上燃焼させた後、スピード消火させてから、3分後再点火動作させたもので、この結果は、抵抗値0.049Ω以下では、自己熱及び点火部の熱でフィラメント3が切れる溶断や変形が多数起こるもので、抵抗値0.050Ω〜0.080Ωでは、すべて良好に点火され、抵抗値0.081Ω以上では、やはり溶断は起こらないが電圧が低すぎて、点火できないものである。
【表3】

【0013】
従って、点火ヒーター1と乾電池7とを結ぶリード線8の抵抗値を、0.050Ω〜0.080Ωとしたことで、アルカリ電池等の使用でもフィラメント3に作用する電圧は低く抑えられ、このフィラメント3の発熱過ぎを確実に防止して、短期間に切れる不具合を阻止し、乾電池の種類に関係なく点火ヒーター1を保護して、長期に渡って良好な点火が行えるようにしたものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の点火装置の概略説明図。
【図2】同電気回路図。
【符号の説明】
【0015】
1 点火ヒーター
2 灯心
3 フィラメント
7 乾電池
8 リード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィラメントの発熱で灯芯に点火する点火ヒーターと、電源である乾電池との間の抵抗値を0.050Ω〜0.080Ωとした事を特徴とする点火装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−138530(P2006−138530A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327805(P2004−327805)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)