説明

無機目地材

【構成】 (A) 膨潤性層状ケイ酸塩、(B) 無機繊維および(C) 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩を含有する無機目地材。
【効果】 耐熱性、耐酸性に優れ、しかも高温と常温との間での加熱冷却作用を反復して受けた場合に耐スポーリング性に優れている。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温で耐酸性の要求される各種反応装置、反応炉、煙突、煙道等に使用される耐火レンガあるいは耐火ボード等の接着接合部等に使用される無機目地材に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、耐火レンガのレンガ積の目地材としては耐火モルタルが使用されている。ところが、従来の耐火モルタルは、高温と常温との間で加熱冷却作用を反復して受けると膨張収縮するため、前記目地材として使用した場合、亀裂、剥離等のスポーリングが生じて構造物の強度が低下し、ひいては構造物の劣化、崩壊を招く原因になっている。
【0003】また、例えば、硫酸と塩化カリウムを原料として硫酸カリウムを製造する反応装置のような、高温下に酸の存在下で溶融あるいは溶解無機物の混合スラリーを扱う反応装置の耐火レンガの目地材等に使用可能な耐熱性と耐酸性の両方を十分に満足する目地材は知られていない。そのため、そのような反応装置の目地材としては、川砂等を使用したモルタルの表面に耐酸キャスタブル等を塗布して保護したものを使用しているが、耐酸キャスタブルは割れやすく、また一度割れるとモルタルが強酸等と反応して目地材が崩壊し、反応装置内の反応物が漏れ出すという問題点がある。
【0004】特開昭50−55603 号公報には、膨張性雲母、無機繊維および無機結合剤を含む膨張性シート材料が開示されている。このシート材料は、膨張後に耐熱性と弾力性を有するものであるが、高温での可とう性、弾力性に欠けており、しかも酸には弱いという欠点がある。
【0005】また、特開平4-200746号公報には、無機繊維を水膨潤性層状粘土鉱物で結合させた不燃性の栓が開示されている。しかし、そのような組成のものを目地材として使用すると、硫酸等の鉱酸の溶融液が目地材の内部まで浸透するといった問題がある。
【0006】そのため、特に高温下において可とう性、弾力性に富み、しかも酸と無機物の混合スラリーに対してすぐれた耐酸性能を有する目地材の開発が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の課題は、耐熱性及び耐酸性に優れ、さらに、高温と常温の間での加熱冷却による膨張収縮作用を反復して受けても亀裂、剥離を生じない耐スポーリング性に優れた無機目地材を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、膨潤性層状ケイ酸塩、無機繊維および薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩の混合物が、耐スポーリング性に優れており、かつ、耐熱性、耐酸性に優れ、特に高温下における鉱酸との溶融あるいは溶解無機物の混合スラリーに対して優れた耐酸性を示すことを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、(A) 膨潤性層状ケイ酸塩、(B) 無機繊維、および(C) 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩を含有する無機目地材を提供する。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】(A) 膨潤性層状ケイ酸塩粘土鉱物は結晶質鉱物と非晶質鉱物に分けられ、前記結晶質鉱物は大部分が層状のフィロケイ酸塩である。層状ケイ酸塩は、 SiO4 四面体(Siの一部がMgやAlで置換されている場合もある。)が二次元網状に配列したシートと、 AlO4 (OH)2 八面体シート(AlがMgに置換されている場合や、OHがFと置換されている場合もある。)から形成されている。層状ケイ酸塩の基本構造は、この四面体シートと八面体シートの組み合わせで定まり、1:1型(カオリン鉱物、蛇紋石等)、2:1型(タルク、スメクタイト、バーミキュライト、雲母等)、および2:1:1型(緑泥石等)が知られている。
【0012】本発明で用いる膨潤性層状ケイ酸塩(A) は、陽イオン交換能を有し、さらに層間に水を取り込んで膨潤する特異な性質をもつ天然または合成の層状ケイ酸塩である。この膨潤性層状ケイ酸塩(A) は、水中で膨潤してゲル化し、薄片または鱗片状の微粒子になるので、目地材全体に均一に分散混合することができ、柔軟性のあるバインダーとして作用する。
【0013】膨潤性層状ケイ酸塩(A) としては、例えば、スメクタイト、膨潤性雲母、膨潤性バーミキュライト等が挙げられる。
【0014】前記スメクタイトとしては、具体的には、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチブンサイト等が挙げられる。また、前記膨潤性雲母としては、具体的には、例えば、Li型フッ素テニオライト、Na型四ケイ素フッ素雲母、Li型四ケイ素雲母等の天然または化学的に合成された膨潤性雲母、これらの置換体および誘導体、ならびにこれらの混合物が挙げられる。
【0015】さらに、膨潤性層状ケイ酸塩(A) としては、タルクを主原料としてインターカレーション法により合成された下記一般式(1) :Xa b c d e (1)(式中、XはNaおよび/またはLiを表し、YはMgまたは(Mg+Al)を表し、ZはSi、(Si+Al)または(Si+Al+Mg)を表す。aは 0.1〜1.5 の数であり、bは2〜3.5 の数であり、cは 3.5〜4.5 の数であり、dは 9.5〜10.5の数であり、eは 1.5〜2.5 の数である。)で表される膨潤性層状ケイ酸塩も挙げられる。この膨潤性層状ケイ酸塩は、2:1型の層状ケイ酸塩であり、鉱物の分類上、雲母の範疇に入る化合物とバーミキュライトの範疇に入る化合物を含む。なお、上記一般式(1) 中のXは膨潤性層状ケイ酸塩の層間位置に入る原子であり、Yは八面体シートに入る原子であり、Zは四面体シートに入る原子である。
【0016】上記一般式(1) で表される膨潤性層状ケイ酸塩は、具体的には、例えば、特公平6-27002 号公報に記載されているように、タルクと、ケイフッ化ナトリウムまたはケイフッ化リチウムとの混合物に、必要に応じてフッ化ナトリウム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム等を添加して 700〜1200℃で加熱処理することにより製造することができる。
【0017】上記一般式(1) で表される膨潤性層状ケイ酸塩としては、例えば、商品名ソマシフ(Na0.5-1.0 Mg2.5-3.0 Si4 101.5-2.5 、コープケミカル株式会社製)で市販されているものを使用することができる。
【0018】上記一般式(1) で表される膨潤性層状ケイ酸塩は、膨潤性が特に優れており、水中では、厚さ 0.1μm以下、平面方向の大きさは1辺が数μm〜数十μmの薄片状の微粒子になって分散する。従って、本発明で用いる膨潤性層状ケイ酸塩(A) としては、この一般式(1) で表される膨潤性層状ケイ酸塩を使用するのが好ましい。
【0019】上記膨潤性層状ケイ酸塩(A) は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0020】(B) 無機繊維無機繊維(B) は、本発明の無機目地材に柔軟性を付与して高温と常温との間の加熱冷却による目地材の膨張収縮の反復作用に対応できるようにするとともに、本発明の無機目地材におけるクッション材としての働きをするのものである。
【0021】本発明で使用する無機繊維(B) としては、耐熱性にすぐれたものであれば特に限定されず、例えば、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ロックウール等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、シリカアルミナ繊維である。シリカアルミナ繊維としては、例えば、SCバルクファイバー(商品名、新日鉄化学株式会社製)、バルクファイバー(商品名、イソライト工業株式会社製)、ファインフレックス(商品名、ニチアス株式会社製)等が使用可能である。
【0022】また、無機繊維(B) は、長さ 0.1〜30mmのものが好ましく、1〜10mmのものがより好ましい。従って、長すぎる場合には、切断して使用するのが好ましい。無機繊維(B) が長すぎると繊維がからみ合って他の成分と均一に混合するのが困難になり、また、短すぎると繊維本来の弾力性や柔軟性が失われる場合がある。
【0023】さらに、無機繊維(B) は、平均径10μm以下のものが好ましい。
【0024】上記無機繊維(B) は、1種単独で、または2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0025】(C) 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩本発明で用いる薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩(C) は、層間に水を取り込まない天然または合成の層状ケイ酸塩である。この非膨潤性層状ケイ酸塩(C) は、熱による膨張収縮性が小さく、水を取り込まないことから、無機目地材に混合することにより一定のスラリー状態を保持しながら水分量を減らすことができ、目地部の空隙を減らすことができる。さらに、該非膨潤性層状ケイ酸塩は、薄片状または鱗片状であるため、各々の粒子が一定の配向性を持って固化するので、鉱酸等の目地部内部への侵入防止に貢献するものと考えられる。
【0026】上記薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩(C) としては、例えば、天然または合成の非膨潤性雲母、非膨潤性バーミキュライト等が挙られる。
【0027】薄片状または鱗片状の非膨潤性雲母としては、具体的には、白雲母、金雲母、黒雲母、K型フッ素金雲母、K型フッ素テニオライト、K型四ケイ素雲母等の天然または化学的に合成した非膨潤性雲母、これらの置換体および誘導体、ならびにこれらの混合物が例示される。
【0028】また、非膨潤性層状ケイ酸塩(C) として好ましいものは、タルクを主原料としてインターカレーション法により合成された下記一般式(2) :Ka b c d e (2)(式中、Y、Z、a、b、c、dおよびeは前記のとおりである。)で表される非膨潤性層状ケイ酸塩である。上記一般式(2) で表される非膨潤性層状ケイ酸塩は、2:1型層状ケイ酸塩であり、鉱物の分類上、雲母の範疇に入る化合物とバーミキュライトの範疇に入る化合物を含む。なお、上記一般式(2) 中のKは膨潤性層状ケイ酸塩の層間位置に入る原子であり、Yは八面体シートに入る原子であり、Zは四面体シートに入る原子である。
【0029】上記一般式(2) で表される非膨潤性層状ケイ酸塩は、具体的には、例えば、特公平6-27002 号公報に記載されているように、タルクとケイフッ化カリウムとの混合物に、必要に応じてフッ化カリウム、酸化アルミニウム等を添加して 700〜1200℃で加熱処理することにより製造することができる。
【0030】上記一般式(2) で表される非膨潤性層状ケイ酸塩としては、例えば、商品名ミクロマイカ(K0.5-1.0 Mg2.5-3.0 Si4 101.5-2.5 、コープケミカル株式会社製)で市販されているものを使用することができる。
【0031】無機目地材本発明の無機目地材は、上記の膨潤性層状ケイ酸塩(A) 、無機繊維(B) 及び非膨潤性層状ケイ酸塩(C) を含有してなる。また、本発明の無機目地材を使用する場合には、(A) 〜(C) 成分に水を添加し、混練して使用する。添加する水の量は、乾燥後に目地部内に空隙を生じないようにするためにできるだけ少ないほうがよく、また、混練後、液だれしない程度のスラリー状になる量を添加すればよい。具体的には、水の割合は20〜70重量%程度が好ましく、30〜50重量%がより好ましい。
【0032】上記(A) 成分、(B) 成分及び(C) 成分の割合は、使用する(A) 成分、(B) 成分及び(C) 成分の種類によっても異なるが、通常、乾燥重量で(A) 成分が5〜40重量%、(B) 成分が10〜70重量%、および(C) 成分が20〜80重量%であり、好ましくは、乾燥重量で(A) 成分が10〜30重量%、(B) 成分が25〜45重量%、および(C) 成分が40〜60重量%である。膨潤性層状ケイ酸塩(A) の割合が多すぎると本発明の無機目地材の使用の際に添加する水の量が多くなるので、高温時に水が抜けて目地部の空隙が増えるという不都合があり、膨潤性層状ケイ酸塩(A) の割合が少なすぎるとバインダーとしての割合が少なすぎるという不都合がある。また、非膨潤性層状ケイ酸塩(C) の割合が多すぎると相対的に無機繊維(B) の割合が少なくなるので目地材の柔軟性が低下するという不都合があり、非膨潤性層状ケイ酸塩(C) の割合が少なすぎると目地材の空隙が増えるという不都合がある。さらに、無機繊維(B) の割合が多すぎると相対的に非膨潤性層状ケイ酸塩(C) の割合が少なくなるので目地材の空隙が増えるという不都合があり、無機繊維(B) の割合が少なすぎると目地材の柔軟性が欠けるという不都合がある。
【0033】有用性本発明の無機目地材は、耐熱性、耐酸性にすぐれ、しかも高温と常温の間での加熱冷却による膨張収縮作用を反復して受けた場合にも耐スポーリング性に優れるので、高温で耐酸性の要求される各種反応装置や反応炉、煙突、煙道等の目地材として、有用である。
【0034】本発明の無機目地材は、例えば、高温下に酸の存在下で溶融あるいは溶解無機物の混合スラリーを扱う、硫酸と塩化カリウムを原料として硫酸カリウムを製造する反応装置に用いる耐火レンガや耐火ボード等の目地材として特に有用である。
【0035】
【実施例】
実施例1目地材Iの製造膨潤性層状ケイ酸塩として、ソマシフ:ME−100(商品名、コープケミカル株式会社製)30g、無機繊維としてファインフレックス(商品名、ニチアス株式会社製、1〜10mm粉砕品、平均径: 2.5μm)70g、非膨潤性層状ケイ酸塩としてミクロマイカ:MK−200(商品名、コープケミカル株式会社製) 110gおよび水 110gを混練して、目地材Iを調製した。
【0036】浸漬試験上記目地材Iを、内径15mm、長さ 150mmのガラス管内に充填した。尚、目地材Iは、該ガラス管の一端から40mmのところまで充填した。続いて、目地材Iを充填したガラス管を室温で12時間放置した後 105℃で12時間加熱して目地材Iを乾燥させた。
【0037】このようにして得られた目地材充填管を 260℃に加熱した硫酸水素カリウム 485gおよび濃硫酸15gの混合液に5日間浸漬した。尚、前記目地材充填管は、図1に示すように、該目地材充填管1の目地材2が充填された端1aを下方に向け、上端1bが前記混合液3の液面3aの上方に位置するように浸漬した。また、浸漬中、揮発した硫酸は液量を確認しながら随時追加した。5日間浸漬後の前記目地材充填管下部からの前記混合液の浸透の程度を観察した。その結果を表1に示す。
【0038】なお、目地部に全く浸透しなかったものをAと、目地部には浸透しているが目地部上部には浸透しなかったものをBと、目地部上部のガラス管部分にまで浸透していたものをCと評価した。
【0039】ひび割れ試験20mm× 150mm×2mmの鉄板を、厚さ10mmになるように上記目地材Iで包んで成形し、室温で一晩放置した後 105℃で一晩加熱して試験体を作製した。得られた試験体を室温から 530℃に1時間かけて昇温し、さらに 530℃で10時間保持し、その後室温で一晩冷却した。そのような昇温から冷却までの操作を5回繰り返した後、試験体のひび割れの状況を観察した。その結果を表1に示す。
【0040】なお、ひび割れが生じなかったものをAと、ひび割れが生じたものをBと評価した。
【0041】実施例2本実施例において、ソマシフ:ME−100の代わりにスーパークレイ〔商品名、天然ベントナイト精製品(主成分はモンモリロナイト)、豊順洋行株式会社販売〕30gを使用した以外は実施例1と同様の方法で目地材IIを調製した。得られた目地材IIを用いて、実施例1と同様の方法で浸漬試験およびひび割れ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0042】実施例3本実施例において、ミクロマイカ:MK−200の代わりに天然の白雲母 110gを使用した以外は実施例1と同様の方法で目地材III を調製した。得られた目地材III を用いて、実施例1と同様の方法で浸漬試験およびひび割れ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0043】比較例1川砂90gと、消石灰30gとを混合したものを水で混練して目地材IVを調製した。得られた目地材IVを用いて、実施例1と同様の方法で浸漬試験およびひび割れ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0044】比較例2耐酸セメント(品川白煉瓦株式会社製)として販売されている高ケイ酸質粉末50gと、水ガラス系液体15gとを混練して目地材Vを調製した。得られた目地材Vを用いて、実施例1と同様の方法で浸漬試験およびひび割れ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0045】比較例3本比較例において、ミクロマイカ:MK−200を使用しなかった以外は実施例1と同様の方法で目地材VIを調製した。得られた目地材VIを用いて、実施例1と同様の方法で浸漬試験およびひび割れ試験を行った。その結果を表1に示す。
【0046】
【表1】


【0047】実施例1〜3で使用した本発明の目地材I〜III は、耐酸性(非浸透性)に優れ、温度変化に対する耐スポーリング性に特に優れていることがわかる。その中でも、実施例1で使用した目地材Iは、きわめて耐酸性が優れていた。これに対して、比較例1で使用した目地材IVは、耐酸性および温度変化に対する耐スポーリング性の両方が劣っていることがわかる。また、比較例2で使用した目地材Vは、温度変化に対する耐スポーリング性が悪く、耐酸性も十分でないことがわかる。さらに、比較例3で使用した目地材VIは、温度変化に対する耐スポーリング性は優れているものの、耐酸性が悪いことがわかる。
【0048】
【発明の効果】本発明の無機目地材は、耐熱性、耐酸性にすぐれ、しかも高温と常温の間での加熱冷却による膨張収縮作用を反復して受けた場合にも耐スポーリング性に優れている。従って、高温で耐酸性の要求される各種反応装置や反応炉、煙突、煙道等の目地材としてきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の浸漬試験において、目地材を充填したガラス管を混合液に浸漬した様子を示す概略図である。
【符号の説明】
1 目地材充填管
2 目地材
3 硫酸水素カリウムおよび濃硫酸の混合液

【特許請求の範囲】
【請求項1】(A) 膨潤性層状ケイ酸塩、(B) 無機繊維、および(C) 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩を含有する無機目地材。
【請求項2】 膨潤性層状ケイ酸塩(A) の含有割合が乾燥重量で5〜40重量%であり、無機繊維(B) の含有割合が乾燥重量で10〜70重量%であり、薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩(C) の含有割合が乾燥重量で20〜80重量%である、請求項1に記載の無機目地材。
【請求項3】 膨潤性層状ケイ酸塩(A) が、スメクタイト、膨潤性雲母および膨潤性バーミキュライトからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の無機目地材。
【請求項4】 膨潤性層状ケイ酸塩(A) が、タルクを主原料としてインターカレーション法により合成された下記一般式(1) :Xa b c d e (1)(式中、XはNaおよび/またはLiを表し、YはMgまたは(Mg+Al)を表し、ZはSi、(Si+Al)または(Si+Al+Mg)を表す。aは 0.1〜1.5 の数であり、bは2〜3.5 の数であり、cは 3.5〜4.5 の数であり、dは 9.5〜10.5の数であり、eは 1.5〜2.5 の数である。)で表される膨潤性層状ケイ酸塩である請求項1または2に記載の無機目地材。
【請求項5】 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩(C) が、非膨潤性雲母および/または非膨潤性バーミキュライトである請求項1、2、3または4に記載の無機目地材。
【請求項6】 薄片状または鱗片状の非膨潤性層状ケイ酸塩(C) が、タルクを主原料としてインターカレーション法により合成された下記一般式(2) :Ka b c d e (2)(式中、YはMgまたは(Mg+Al)を表し、ZはSi、(Si+Al)または(Si+Al+Mg)を表す。aは 0.1〜1.5 の数であり、bは2〜3.5 の数であり、cは 3.5〜4.5 の数であり、dは 9.5〜10.5の数であり、eは 1.5〜2.5 の数である。)で表される非膨潤性層状ケイ酸塩である請求項1、2、3または4に記載の無機目地材。

【図1】
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