無段変速機ベルトに用いられるリング部材
【目的】多数のマルエージング鋼帯を用いた金属製リングと同程度の高い引張強さを有し,かつ安価に作成することができるCVTベルトに用いられるリング部材を提供する。
【構成】リング部材3は,環状に複数回整列されて巻回されたスチールワイヤ5によって形成されるスチールワイヤ層7,8,ならびにスチールワイヤ層7の外周側およびスチールワイヤ層8の内周側に位置し,スチールワイヤ層7,8をその外周側および内周側から挟む2つのマルエージング鋼帯4を備える。
【構成】リング部材3は,環状に複数回整列されて巻回されたスチールワイヤ5によって形成されるスチールワイヤ層7,8,ならびにスチールワイヤ層7の外周側およびスチールワイヤ層8の内周側に位置し,スチールワイヤ層7,8をその外周側および内周側から挟む2つのマルエージング鋼帯4を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,無段変速機ベルトに用いられるリング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用の無段変速機(Continuously Variable Transmission:以下,CVTという)は,1対のプーリと,1対のプーリのそれぞれに形成されたV字形状の溝に掛けられた無段変速機ベルト(CVTベルト)とを備える。1対のプーリのうちの一つ(入力側プーリ)に駆動源(エンジン)からの駆動力が伝達されると,入力側プーリはそのシャフトを回転軸にして回転する。入力側プーリの回転はCVTベルトを介して他方のプーリ(出力側プーリ)に伝えられ,出力側プーリもそのシャフトを軸にして回転する。入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれのV字形状の溝の幅(プーリ径)は可変であり,V字形状の溝の幅が変化することによって,CVTベルトと,入力側プーリおよび出力側プーリの接触径が変化する。これにより入力側プーリと出力側プーリの変速比が連続的に変化する。
【0003】
CVTベルトとして,同一形状の2つの環状の金属製リングと,同一形状の多数の金属製コマを備えた金属製ベルトが知られている(特許文献1参照)。金属製コマの両側部のそれぞれには横向きにスロットが形成されており,上記金属製コマのスロットのそれぞれに2つの環状の金属製リングが側方からそれぞれ差込まれることによって,多数の金属製コマが金属製リングに沿って環状に並べられる。多数の金属製コマが入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれのV字形状の溝に接触する。
【0004】
多数の金属製コマが嵌込まれる金属製リングの材料としてマルエージング鋼が採用されている。マルエージング鋼からなるリング状薄板(マルエージング鋼帯)を多数(たとえば,9つ)積層したものが金属製リングとして用いられている(特許文献2参照)。
【0005】
マルエージング鋼は高い引張強さを有する。しかしながら,その反面,マルエージング鋼は希少金属を添加することによって作られるので非常に高価であるという難点がある。
【0006】
また,環状のマルエージング鋼帯を多数枚積層することによって構成される金属製リングでは,マルエージング鋼帯のそれぞれの寸法(板厚など)に高い精度が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7−81610号公報
【特許文献2】特開2001−316726号公報
【発明の開示】
【0008】
この発明は,多数のマルエージング鋼帯を用いた金属製リングと同程度の高い引張強さを有し,かつ安価に作成することができるCVTベルトに用いられるリング部材を提供することを目的とする。
【0009】
この発明はまた,リング部材における金属同士のフレッティングを抑制することによってリング部材の劣化を防止することを目的とする。
【0010】
この発明による無段変速機ベルトに用いられるリング部材は,環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層,ならびに上記環状スチールワイヤ層を,その外周側および内周側からそれぞれ挟む2つのマルエージング鋼帯を備える。
【0011】
この発明による無段変速機ベルトに用いられるリング部材は,環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層(環状体)を含む。環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤの長手方向はリング部材の周方向に沿う。スチールワイヤはその長手方向の引張強さが比較的大きいので,マルエージング鋼帯を複数枚積層して構成される従来の金属製リングと同程度の強度水準を実現することができる。しかも,マルエージング鋼と比べてスチールワイヤは広く普及しているので,比較的安価に無段変速機ベルトに用いられるリング部材を製造することができる。
【0012】
一実施態様では,上記2つのマルエージング鋼帯の間に複数の環状スチールワイヤ層が積層されている。スチールワイヤの巻回し数が多くなるので,リング部材の強度を高めることができる。
【0013】
複数の環状スチールワイヤ層のそれぞれを1本のスチールワイヤによって構成してもよいし,1本のスチールワイヤによって複数の環状スチールワイヤ層を構成してもよい。
【0014】
好ましくは,複数の環状スチールワイヤ層の間に樹脂(一般にはゴム)が充填されている。環状スチールワイヤ層同士が直接に接触しないので,環状スチールワイヤ層同士のフレッティングの抑制を図ることができる。
【0015】
上記マルエージング鋼帯に隣合う環状スチールワイヤ層と上記マルエージング鋼帯との間に樹脂を充填してもよい。環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯とが直接に接触しないので,環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯とのフレッティングが抑制される。
【0016】
さらに,上記環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤ同士の間にも樹脂を充填させてもよい。整列されて巻回されたスチールワイヤ同士の直接の接触も防止される。
【0017】
一実施態様では,樹脂被覆されたスチールワイヤによって上記環状スチールワイヤ層が形成されている。整列されて巻回されたスチールワイヤ同士,環状スチールワイヤ層同士,環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯との直接の接触が,いずれも防止される。
【0018】
スチールワイヤは丸線(横断面は円形)であってもよいし,扁平線(対向する2つの扁平面と対向する2つの外方に向かって弧状に湾曲する湾曲面とで囲まれた線,横断面はトラック形)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】CVTベルトの部分斜視図である。
【図2】リング部材の一部破断斜視図である。
【図3】リング部材の拡大横断面図である。
【図4】樹脂被覆されたスチールワイヤの斜視図である。
【図5】樹脂被覆されたスチールワイヤの配列状態を示す斜視図である。
【図6】加硫成形工程中のリング部材を示す横断面図である。
【図7】他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図8】加硫成形工程を示す横断面図である。
【図9】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図10】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図11】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【実施例】
【0020】
図1は,この発明の実施例を示すもので,CVTベルト1の一部の斜視図である。図2はCVTベルト1を構成するリング部材3の一部破断斜視図である。
【0021】
CVTベルト1は,車輌用の無段変速機(Continuously Variable Transmission:CVT)が備える1対の入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれに形成されたV字形状の溝に掛けられて用いられ,入力側プーリに駆動源(エンジン)から伝達される駆動力を出力側プーリに伝達するものである。CVTベルト1は多数の同一形状の金属製コマ2と,環状に形成された同一形状の2つのリング部材3を備える。環状のリング部材3の横断面はほぼ長方形であり,長辺の長さがリング部材3の幅に,短辺の長さがリング部材3の厚さにそれぞれ相当する。金属製コマ2は正面から見てほぼ台形状の形状を有し,その左右の両側部には横向きにスロット2a,2bが形成されている。スロット2a,2bの高さはリング部材3の厚さとほぼ一致しており,スロット2a,2bのそれぞれに2つの環状のリング部材3が側方からそれぞれ差し込まれている。2つの環状のリング部材3によって両側から挟まれた多数の金属製コマ2は,2つのリング部材3に沿って環状に並べられる。
【0022】
リング部材3は,スチールワイヤ5と,スチールワイヤ5の周囲を囲む樹脂(ゴム)6と,リング部材3の外側面3aおよび内側面3bを構成する薄板状の2つのマルエージング鋼帯4を備えている。
【0023】
図3はリング部材3の拡大横断面図である。
【0024】
リング部材3を横断面から見ると,外側面3aと内側面3bを結ぶ方向に上下2段に並び,かつそのそれぞれにおいて横方向(リング部材3の幅方向)にほぼ等間隔で一列に9つずつ並ぶ,合計18個のスチールワイヤ5の断面が見える。スチールワイヤ5は,2つの扁平面5a,5bと外方に向かって弧状に湾曲する2つの湾曲面5c,5dとで囲まれたトラック形の横断面をもつ。扁平面5a,5bはリング部材3の外側面3aおよび内側面3bとほぼ平行である。
【0025】
横断面において横方向に並んで見えるスチールワイヤ5の総体を,以下,環状スチールワイヤ層7,8と呼ぶ。2層の環状スチールワイヤ層7,8がリング部材3の周方向に沿って環状に形成されている。
【0026】
環状スチールワイヤ層7,8は,エクストルーダを用いて周囲に樹脂(ゴム)6を被覆させたスチールワイヤ5を,トラバースを用いて横方向(リング部材3の幅方向に沿う一方の方向)に移動させながらボビン等に9回環状に整列させつつ(最密状態で)巻回し,その後,その上に重ね合わせて逆方向に移動させながら9回環状に整列させつつ巻回すことによって環状に形成され,その後,後述する加硫成形を行ったものである。図4は樹脂(ゴム)6によって被覆されたスチールワイヤ5の拡大斜視図である。図5は樹脂6によって被覆されたスチールワイヤ5が環状に整列されて巻き回されている様子の一部を示している。図5に示すように,横断面(図3)において分離して見えるスチールワイヤ5は連続した1本のスチールワイヤ5によって構成されている。
【0027】
上述のように,リング部材3を構成するスチールワイヤ5は樹脂6によって被覆されており,このためリング部材3の横断面においてスチールワイヤ5の周囲に樹脂6が存在する。環状スチールワイヤ層7の外周側および環状スチールワイヤ層8の内周側に,それぞれ薄板状のマルエージング鋼帯4が配置されている。2つのマルエージング鋼帯4の外表面のそれぞれが,リング部材3の外側面3aおよび内側面3bとなる。
【0028】
図6は加硫成形工程中のリング部材を示す横断面図である。
【0029】
扁平状のスチールワイヤ5の周囲にエクストルーダによって樹脂(ゴム)6を被覆したものが用意される(図4)。樹脂6によって被覆されたスチールワイヤ5を上述のようにトラバースを用いて環状に複数回整列させつつ巻回すことによって,環状スチールワイヤ層7,8が配列される(図5)。その後,環状スチールワイヤ層7,8を環状の金型9A,9B内に入れ,高圧環境下で加硫成形する。高圧環境下における加硫成形によって,スチールワイヤ5の周囲を被覆している樹脂6がスチールワイヤ5間の間隙およびスチールワイヤ5と金型9A,9Bとの間隙に浸透する。好ましくは,スチールワイヤ5の表面にあらかじめ接着剤を塗布しておく。加硫成形を経るとスチールワイヤ5と樹脂6とが接着して一体化する。樹脂6が一体化した環状スチールワイヤ層7,8が金型9A,9Bから取出され,その内周側と外周側にマルエージング鋼帯4を嵌込むと,リング部材3(図2)が完成する。
【0030】
製造されるリング部材3はスチールワイヤ5が整列されて並べられた環状スチールワイヤ層7,8を含み,隣接するスチールワイヤ5間,およびスチールワイヤ5とマルエージング鋼帯4との間に樹脂6が充填されている。このため,スチールワイヤ5同士,およびスチールワイヤ5とマルエージング鋼帯4とが直接に接触して摩耗または損傷が生じること(フレッティング)が抑制される。
【0031】
スチールワイヤ5はその長手方向に比較的高い引張強さを有しており,またスチールワイヤ5は扁平状であるのでリング部材3におけるスチールワイヤ5の充填率(リング部材3の横断面の断面積を占めるスチールワイヤ5の断面積の割合)が大きい。したがってスチールワイヤ5を複数回巻回して構成される環状スチールワイヤ層7,8を含むリング部材3の引張強さも高く,マルエージング鋼帯4を複数枚(たとえば9枚)積層して構成される金属製リングとほぼ同程度の高い引張強さを発揮する。また,スチールワイヤ5は広く普及している部材であるから,複数枚のマルエージング鋼帯から構成される金属製リングと比べて安価にリング部材3を製造することができる。さらに,スチールワイヤ5が扁平状であるために,CVTベルト1が掛けられるプーリにおける耐曲げ疲労性もよい。
【0032】
上述した実施例では,2層の環状スチールワイヤ層7,8を含むリング部材3を説明したが,もちろん,環状スチールワイヤ層はさらに多層(3層,4層など)に積層してもよい。環状スチールワイヤ層の層数は,CVTベルト1に用いられる金属製コマ2の大きさ,スロット2a,2bの大きさ,スチールワイヤ5の径等に応じて適宜決定される。
【0033】
また,上述した実施例では,2層の環状スチールワイヤ層7,8を1本のスチールワイヤ5を用いて構成する例を説明したが,環状スチールワイヤ層7,8のそれぞれにおいて別体のスチールワイヤ5(すなわち,2本のスチールワイヤ5)を用いるようにしてもよい。
【0034】
図7は他の実施例によるリング部材3Aの横断面図を示している。図3に示すリング部材3とは,スチールワイヤ5の湾曲面5c,5dが,隣接するスチールワイヤ5の湾曲面5d,5cと接している点が異なる。図8は図7に示すリング部材3Aの製造過程を示す横断面図である。
【0035】
図7に示すリング部材3Aの製造には,樹脂によって被覆されていないスチールワイヤ5が用いられる。
【0036】
図8を参照して,樹脂被覆されていないスチールワイヤ5を用いてリング部材3Aを製造する場合,扁平状のスチールワイヤ5を横方向に移動させつつ9回整列させつつ巻回すことによって環状スチールワイヤ層8を形成する。その後環状スチールワイヤ層8の外周面側に環状の樹脂板(ゴム板)6Bを配置し,樹脂板6Bの上にスチールワイヤ5を9回整列させつつ巻き回すことで環状スチールワイヤ層7を形成する。その後,環状スチールワイヤ層7の外周側および環状スチールワイヤ層8の内周側のそれぞれにも環状の樹脂板6A,6Cを配置する。環状スチールワイヤ層7,8および樹脂板6A,6B,6Cを環状の金型9A,9B内に入れ,高圧環境下で加硫成形してスチールワイヤ5と樹脂板6A,6B,6Cとを一体化する。樹脂が一体化した環状スチールワイヤ層7,8の内周側と外周側にマルエージング鋼帯4を嵌込むと,リング部材3Aが完成する(図7)。
【0037】
リング部材3Aにおいて,隣接するスチールワイヤ5の湾曲面5c,5d同士は接するが,スチールワイヤ5の湾曲面5c,5dが外方に向かって弧状に湾曲しているので,湾曲面5c,5d同士は線状に接触する。従ってフレッティングによる摩耗等は生じにくい。
【0038】
環状スチールワイヤ層7,8とマルエージング鋼帯4との間,および環状スチールワイヤ層7と環状スチールワイヤ層8との間に樹脂6が介在するのは,上述したリング部材3(図3参照)と同様である。
【0039】
図9はさらに他の実施例におけるリング部材3Bの横断面図である。図7に示すリング部材3Aとは,内周側の環状スチールワイヤ層8とマルエージング鋼帯4との間に樹脂が存在しない点が異なる。図9に示すリング部材3Bは,樹脂被覆されていないスチールワイヤ5と,2つの薄い樹脂板6A,6B(図8参照)を用いて製造される。
【0040】
リング部材を含むCVTベルト1(図1参照)はプーリに掛けられて用いられ,プーリにおいて大きな曲げが加えられる。リング部材3Bの外側面3aに近い位置にあるスチールワイヤ5,すなわち外周側の環状スチールワイヤ層7を構成するスチールワイヤ5の方が,内側面3bに近い位置にある内周側の環状スチールワイヤ層8を構成するスチールワイヤ5に比べて大きな伸びが生じる。このため,外側面3a側のマルエージング鋼帯4と環状スチールワイヤ層7の間には,フレッティング等を防止するために樹脂6が充填されている。
【0041】
上述のように,内側面3bに近い位置にある環状スチールワイヤ層8を構成するスチールワイヤ5の伸びは小さいので,内側面3b側のマルエージング鋼帯4と環状スチールワイヤ層8との間に樹脂は充填されていない。樹脂を極力用いないようにすることによって,リング部材3Bを所定の厚さに作成する必要があるときに,より直径の大きなスチールワイヤ5を用いること,または環状スチールワイヤ層の層数を増やすことができる。リング部材3Bの断面積あたりの強度効率を高くすることができる。
【0042】
図10および図11はさらに他の実施例によるリング部材3C,3Dの横断面図である。図3,図7,図9に示すリング部材3,3A,3Bとは,スチールワイヤ5Aが丸線であり横断面の形状が円形である点が異なる。図10に示すリング部材3Cと図11に示すリング部材3Dは樹脂(ゴム)6の有無が異なる。
【0043】
丸線のスチールワイヤ5Aによって環状スチールワイヤ層7A,7Bが形成されている。スチールワイヤ5Aが丸線であるので,隣接するスチールワイヤ5A同士は線状に接触し,かつスチールワイヤ5Aとマルエージング鋼帯4も線状に接触する。従って,フレッティングによる劣化等は生じにくい。
【0044】
樹脂6を用いる場合(図11)には,樹脂6によって環状スチールワイヤ層7A,8Aとマルエージング鋼帯4とが接着される(環状スチールワイヤ層7A,8A同士については,金属製コマ2のスロット2a,2bにリング部材3Dが嵌込まれるので(図1参照),特に接着は必要とされない)。樹脂を用いない場合(図10)には,溶接等によってスチールワイヤ5A同士,および環状スチールワイヤ層7A,7Bとマルエージング鋼帯4とが固定される。
【符号の説明】
【0045】
1 CVTベルト
2 金属製コマ
3,3A,3B,3C,3D リング部材
4 マルエージング鋼帯
5,5A スチールワイヤ
6 樹脂(ゴム)
7,7A,8,8B 環状スチールワイヤ層
【技術分野】
【0001】
この発明は,無段変速機ベルトに用いられるリング部材に関する。
【背景技術】
【0002】
車輌用の無段変速機(Continuously Variable Transmission:以下,CVTという)は,1対のプーリと,1対のプーリのそれぞれに形成されたV字形状の溝に掛けられた無段変速機ベルト(CVTベルト)とを備える。1対のプーリのうちの一つ(入力側プーリ)に駆動源(エンジン)からの駆動力が伝達されると,入力側プーリはそのシャフトを回転軸にして回転する。入力側プーリの回転はCVTベルトを介して他方のプーリ(出力側プーリ)に伝えられ,出力側プーリもそのシャフトを軸にして回転する。入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれのV字形状の溝の幅(プーリ径)は可変であり,V字形状の溝の幅が変化することによって,CVTベルトと,入力側プーリおよび出力側プーリの接触径が変化する。これにより入力側プーリと出力側プーリの変速比が連続的に変化する。
【0003】
CVTベルトとして,同一形状の2つの環状の金属製リングと,同一形状の多数の金属製コマを備えた金属製ベルトが知られている(特許文献1参照)。金属製コマの両側部のそれぞれには横向きにスロットが形成されており,上記金属製コマのスロットのそれぞれに2つの環状の金属製リングが側方からそれぞれ差込まれることによって,多数の金属製コマが金属製リングに沿って環状に並べられる。多数の金属製コマが入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれのV字形状の溝に接触する。
【0004】
多数の金属製コマが嵌込まれる金属製リングの材料としてマルエージング鋼が採用されている。マルエージング鋼からなるリング状薄板(マルエージング鋼帯)を多数(たとえば,9つ)積層したものが金属製リングとして用いられている(特許文献2参照)。
【0005】
マルエージング鋼は高い引張強さを有する。しかしながら,その反面,マルエージング鋼は希少金属を添加することによって作られるので非常に高価であるという難点がある。
【0006】
また,環状のマルエージング鋼帯を多数枚積層することによって構成される金属製リングでは,マルエージング鋼帯のそれぞれの寸法(板厚など)に高い精度が要求される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特公平7−81610号公報
【特許文献2】特開2001−316726号公報
【発明の開示】
【0008】
この発明は,多数のマルエージング鋼帯を用いた金属製リングと同程度の高い引張強さを有し,かつ安価に作成することができるCVTベルトに用いられるリング部材を提供することを目的とする。
【0009】
この発明はまた,リング部材における金属同士のフレッティングを抑制することによってリング部材の劣化を防止することを目的とする。
【0010】
この発明による無段変速機ベルトに用いられるリング部材は,環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層,ならびに上記環状スチールワイヤ層を,その外周側および内周側からそれぞれ挟む2つのマルエージング鋼帯を備える。
【0011】
この発明による無段変速機ベルトに用いられるリング部材は,環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層(環状体)を含む。環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤの長手方向はリング部材の周方向に沿う。スチールワイヤはその長手方向の引張強さが比較的大きいので,マルエージング鋼帯を複数枚積層して構成される従来の金属製リングと同程度の強度水準を実現することができる。しかも,マルエージング鋼と比べてスチールワイヤは広く普及しているので,比較的安価に無段変速機ベルトに用いられるリング部材を製造することができる。
【0012】
一実施態様では,上記2つのマルエージング鋼帯の間に複数の環状スチールワイヤ層が積層されている。スチールワイヤの巻回し数が多くなるので,リング部材の強度を高めることができる。
【0013】
複数の環状スチールワイヤ層のそれぞれを1本のスチールワイヤによって構成してもよいし,1本のスチールワイヤによって複数の環状スチールワイヤ層を構成してもよい。
【0014】
好ましくは,複数の環状スチールワイヤ層の間に樹脂(一般にはゴム)が充填されている。環状スチールワイヤ層同士が直接に接触しないので,環状スチールワイヤ層同士のフレッティングの抑制を図ることができる。
【0015】
上記マルエージング鋼帯に隣合う環状スチールワイヤ層と上記マルエージング鋼帯との間に樹脂を充填してもよい。環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯とが直接に接触しないので,環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯とのフレッティングが抑制される。
【0016】
さらに,上記環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤ同士の間にも樹脂を充填させてもよい。整列されて巻回されたスチールワイヤ同士の直接の接触も防止される。
【0017】
一実施態様では,樹脂被覆されたスチールワイヤによって上記環状スチールワイヤ層が形成されている。整列されて巻回されたスチールワイヤ同士,環状スチールワイヤ層同士,環状スチールワイヤ層とマルエージング鋼帯との直接の接触が,いずれも防止される。
【0018】
スチールワイヤは丸線(横断面は円形)であってもよいし,扁平線(対向する2つの扁平面と対向する2つの外方に向かって弧状に湾曲する湾曲面とで囲まれた線,横断面はトラック形)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】CVTベルトの部分斜視図である。
【図2】リング部材の一部破断斜視図である。
【図3】リング部材の拡大横断面図である。
【図4】樹脂被覆されたスチールワイヤの斜視図である。
【図5】樹脂被覆されたスチールワイヤの配列状態を示す斜視図である。
【図6】加硫成形工程中のリング部材を示す横断面図である。
【図7】他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図8】加硫成形工程を示す横断面図である。
【図9】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図10】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【図11】さらに他の実施例によるリング部材の横断面図である。
【実施例】
【0020】
図1は,この発明の実施例を示すもので,CVTベルト1の一部の斜視図である。図2はCVTベルト1を構成するリング部材3の一部破断斜視図である。
【0021】
CVTベルト1は,車輌用の無段変速機(Continuously Variable Transmission:CVT)が備える1対の入力側プーリおよび出力側プーリのそれぞれに形成されたV字形状の溝に掛けられて用いられ,入力側プーリに駆動源(エンジン)から伝達される駆動力を出力側プーリに伝達するものである。CVTベルト1は多数の同一形状の金属製コマ2と,環状に形成された同一形状の2つのリング部材3を備える。環状のリング部材3の横断面はほぼ長方形であり,長辺の長さがリング部材3の幅に,短辺の長さがリング部材3の厚さにそれぞれ相当する。金属製コマ2は正面から見てほぼ台形状の形状を有し,その左右の両側部には横向きにスロット2a,2bが形成されている。スロット2a,2bの高さはリング部材3の厚さとほぼ一致しており,スロット2a,2bのそれぞれに2つの環状のリング部材3が側方からそれぞれ差し込まれている。2つの環状のリング部材3によって両側から挟まれた多数の金属製コマ2は,2つのリング部材3に沿って環状に並べられる。
【0022】
リング部材3は,スチールワイヤ5と,スチールワイヤ5の周囲を囲む樹脂(ゴム)6と,リング部材3の外側面3aおよび内側面3bを構成する薄板状の2つのマルエージング鋼帯4を備えている。
【0023】
図3はリング部材3の拡大横断面図である。
【0024】
リング部材3を横断面から見ると,外側面3aと内側面3bを結ぶ方向に上下2段に並び,かつそのそれぞれにおいて横方向(リング部材3の幅方向)にほぼ等間隔で一列に9つずつ並ぶ,合計18個のスチールワイヤ5の断面が見える。スチールワイヤ5は,2つの扁平面5a,5bと外方に向かって弧状に湾曲する2つの湾曲面5c,5dとで囲まれたトラック形の横断面をもつ。扁平面5a,5bはリング部材3の外側面3aおよび内側面3bとほぼ平行である。
【0025】
横断面において横方向に並んで見えるスチールワイヤ5の総体を,以下,環状スチールワイヤ層7,8と呼ぶ。2層の環状スチールワイヤ層7,8がリング部材3の周方向に沿って環状に形成されている。
【0026】
環状スチールワイヤ層7,8は,エクストルーダを用いて周囲に樹脂(ゴム)6を被覆させたスチールワイヤ5を,トラバースを用いて横方向(リング部材3の幅方向に沿う一方の方向)に移動させながらボビン等に9回環状に整列させつつ(最密状態で)巻回し,その後,その上に重ね合わせて逆方向に移動させながら9回環状に整列させつつ巻回すことによって環状に形成され,その後,後述する加硫成形を行ったものである。図4は樹脂(ゴム)6によって被覆されたスチールワイヤ5の拡大斜視図である。図5は樹脂6によって被覆されたスチールワイヤ5が環状に整列されて巻き回されている様子の一部を示している。図5に示すように,横断面(図3)において分離して見えるスチールワイヤ5は連続した1本のスチールワイヤ5によって構成されている。
【0027】
上述のように,リング部材3を構成するスチールワイヤ5は樹脂6によって被覆されており,このためリング部材3の横断面においてスチールワイヤ5の周囲に樹脂6が存在する。環状スチールワイヤ層7の外周側および環状スチールワイヤ層8の内周側に,それぞれ薄板状のマルエージング鋼帯4が配置されている。2つのマルエージング鋼帯4の外表面のそれぞれが,リング部材3の外側面3aおよび内側面3bとなる。
【0028】
図6は加硫成形工程中のリング部材を示す横断面図である。
【0029】
扁平状のスチールワイヤ5の周囲にエクストルーダによって樹脂(ゴム)6を被覆したものが用意される(図4)。樹脂6によって被覆されたスチールワイヤ5を上述のようにトラバースを用いて環状に複数回整列させつつ巻回すことによって,環状スチールワイヤ層7,8が配列される(図5)。その後,環状スチールワイヤ層7,8を環状の金型9A,9B内に入れ,高圧環境下で加硫成形する。高圧環境下における加硫成形によって,スチールワイヤ5の周囲を被覆している樹脂6がスチールワイヤ5間の間隙およびスチールワイヤ5と金型9A,9Bとの間隙に浸透する。好ましくは,スチールワイヤ5の表面にあらかじめ接着剤を塗布しておく。加硫成形を経るとスチールワイヤ5と樹脂6とが接着して一体化する。樹脂6が一体化した環状スチールワイヤ層7,8が金型9A,9Bから取出され,その内周側と外周側にマルエージング鋼帯4を嵌込むと,リング部材3(図2)が完成する。
【0030】
製造されるリング部材3はスチールワイヤ5が整列されて並べられた環状スチールワイヤ層7,8を含み,隣接するスチールワイヤ5間,およびスチールワイヤ5とマルエージング鋼帯4との間に樹脂6が充填されている。このため,スチールワイヤ5同士,およびスチールワイヤ5とマルエージング鋼帯4とが直接に接触して摩耗または損傷が生じること(フレッティング)が抑制される。
【0031】
スチールワイヤ5はその長手方向に比較的高い引張強さを有しており,またスチールワイヤ5は扁平状であるのでリング部材3におけるスチールワイヤ5の充填率(リング部材3の横断面の断面積を占めるスチールワイヤ5の断面積の割合)が大きい。したがってスチールワイヤ5を複数回巻回して構成される環状スチールワイヤ層7,8を含むリング部材3の引張強さも高く,マルエージング鋼帯4を複数枚(たとえば9枚)積層して構成される金属製リングとほぼ同程度の高い引張強さを発揮する。また,スチールワイヤ5は広く普及している部材であるから,複数枚のマルエージング鋼帯から構成される金属製リングと比べて安価にリング部材3を製造することができる。さらに,スチールワイヤ5が扁平状であるために,CVTベルト1が掛けられるプーリにおける耐曲げ疲労性もよい。
【0032】
上述した実施例では,2層の環状スチールワイヤ層7,8を含むリング部材3を説明したが,もちろん,環状スチールワイヤ層はさらに多層(3層,4層など)に積層してもよい。環状スチールワイヤ層の層数は,CVTベルト1に用いられる金属製コマ2の大きさ,スロット2a,2bの大きさ,スチールワイヤ5の径等に応じて適宜決定される。
【0033】
また,上述した実施例では,2層の環状スチールワイヤ層7,8を1本のスチールワイヤ5を用いて構成する例を説明したが,環状スチールワイヤ層7,8のそれぞれにおいて別体のスチールワイヤ5(すなわち,2本のスチールワイヤ5)を用いるようにしてもよい。
【0034】
図7は他の実施例によるリング部材3Aの横断面図を示している。図3に示すリング部材3とは,スチールワイヤ5の湾曲面5c,5dが,隣接するスチールワイヤ5の湾曲面5d,5cと接している点が異なる。図8は図7に示すリング部材3Aの製造過程を示す横断面図である。
【0035】
図7に示すリング部材3Aの製造には,樹脂によって被覆されていないスチールワイヤ5が用いられる。
【0036】
図8を参照して,樹脂被覆されていないスチールワイヤ5を用いてリング部材3Aを製造する場合,扁平状のスチールワイヤ5を横方向に移動させつつ9回整列させつつ巻回すことによって環状スチールワイヤ層8を形成する。その後環状スチールワイヤ層8の外周面側に環状の樹脂板(ゴム板)6Bを配置し,樹脂板6Bの上にスチールワイヤ5を9回整列させつつ巻き回すことで環状スチールワイヤ層7を形成する。その後,環状スチールワイヤ層7の外周側および環状スチールワイヤ層8の内周側のそれぞれにも環状の樹脂板6A,6Cを配置する。環状スチールワイヤ層7,8および樹脂板6A,6B,6Cを環状の金型9A,9B内に入れ,高圧環境下で加硫成形してスチールワイヤ5と樹脂板6A,6B,6Cとを一体化する。樹脂が一体化した環状スチールワイヤ層7,8の内周側と外周側にマルエージング鋼帯4を嵌込むと,リング部材3Aが完成する(図7)。
【0037】
リング部材3Aにおいて,隣接するスチールワイヤ5の湾曲面5c,5d同士は接するが,スチールワイヤ5の湾曲面5c,5dが外方に向かって弧状に湾曲しているので,湾曲面5c,5d同士は線状に接触する。従ってフレッティングによる摩耗等は生じにくい。
【0038】
環状スチールワイヤ層7,8とマルエージング鋼帯4との間,および環状スチールワイヤ層7と環状スチールワイヤ層8との間に樹脂6が介在するのは,上述したリング部材3(図3参照)と同様である。
【0039】
図9はさらに他の実施例におけるリング部材3Bの横断面図である。図7に示すリング部材3Aとは,内周側の環状スチールワイヤ層8とマルエージング鋼帯4との間に樹脂が存在しない点が異なる。図9に示すリング部材3Bは,樹脂被覆されていないスチールワイヤ5と,2つの薄い樹脂板6A,6B(図8参照)を用いて製造される。
【0040】
リング部材を含むCVTベルト1(図1参照)はプーリに掛けられて用いられ,プーリにおいて大きな曲げが加えられる。リング部材3Bの外側面3aに近い位置にあるスチールワイヤ5,すなわち外周側の環状スチールワイヤ層7を構成するスチールワイヤ5の方が,内側面3bに近い位置にある内周側の環状スチールワイヤ層8を構成するスチールワイヤ5に比べて大きな伸びが生じる。このため,外側面3a側のマルエージング鋼帯4と環状スチールワイヤ層7の間には,フレッティング等を防止するために樹脂6が充填されている。
【0041】
上述のように,内側面3bに近い位置にある環状スチールワイヤ層8を構成するスチールワイヤ5の伸びは小さいので,内側面3b側のマルエージング鋼帯4と環状スチールワイヤ層8との間に樹脂は充填されていない。樹脂を極力用いないようにすることによって,リング部材3Bを所定の厚さに作成する必要があるときに,より直径の大きなスチールワイヤ5を用いること,または環状スチールワイヤ層の層数を増やすことができる。リング部材3Bの断面積あたりの強度効率を高くすることができる。
【0042】
図10および図11はさらに他の実施例によるリング部材3C,3Dの横断面図である。図3,図7,図9に示すリング部材3,3A,3Bとは,スチールワイヤ5Aが丸線であり横断面の形状が円形である点が異なる。図10に示すリング部材3Cと図11に示すリング部材3Dは樹脂(ゴム)6の有無が異なる。
【0043】
丸線のスチールワイヤ5Aによって環状スチールワイヤ層7A,7Bが形成されている。スチールワイヤ5Aが丸線であるので,隣接するスチールワイヤ5A同士は線状に接触し,かつスチールワイヤ5Aとマルエージング鋼帯4も線状に接触する。従って,フレッティングによる劣化等は生じにくい。
【0044】
樹脂6を用いる場合(図11)には,樹脂6によって環状スチールワイヤ層7A,8Aとマルエージング鋼帯4とが接着される(環状スチールワイヤ層7A,8A同士については,金属製コマ2のスロット2a,2bにリング部材3Dが嵌込まれるので(図1参照),特に接着は必要とされない)。樹脂を用いない場合(図10)には,溶接等によってスチールワイヤ5A同士,および環状スチールワイヤ層7A,7Bとマルエージング鋼帯4とが固定される。
【符号の説明】
【0045】
1 CVTベルト
2 金属製コマ
3,3A,3B,3C,3D リング部材
4 マルエージング鋼帯
5,5A スチールワイヤ
6 樹脂(ゴム)
7,7A,8,8B 環状スチールワイヤ層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層,ならびに
上記環状スチールワイヤ層を,その外周側および内周側からそれぞれ挟む2つのマルエージング鋼帯を備える,
無段変速機ベルトに用いられるリング部材。
【請求項2】
上記2つのマルエージング鋼帯の間に,複数の環状スチールワイヤ層が積層されている,
請求項1に記載のリング部材。
【請求項3】
1本のスチールワイヤによって複数の環状スチールワイヤ層が形成されている,
請求項2に記載のリング部材。
【請求項4】
複数の環状スチールワイヤ層の間に樹脂が充填されている,
請求項2または3に記載のリング部材。
【請求項5】
上記マルエージング鋼帯に隣合う環状スチールワイヤ層と上記マルエージング鋼帯との間に樹脂が充填されている,
請求項1から4のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項6】
上記環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤ同士の間に樹脂が充填されている,
請求項1から5のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項7】
樹脂被覆されたスチールワイヤによって上記環状スチールワイヤ層が形成されている,
請求項1から6のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項8】
上記スチールワイヤが丸線である,請求項1から7のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項9】
上記スチールワイヤが扁平線である,請求項1から7のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項1】
環状に複数回整列させつつ巻回されたスチールワイヤによって形成される環状スチールワイヤ層,ならびに
上記環状スチールワイヤ層を,その外周側および内周側からそれぞれ挟む2つのマルエージング鋼帯を備える,
無段変速機ベルトに用いられるリング部材。
【請求項2】
上記2つのマルエージング鋼帯の間に,複数の環状スチールワイヤ層が積層されている,
請求項1に記載のリング部材。
【請求項3】
1本のスチールワイヤによって複数の環状スチールワイヤ層が形成されている,
請求項2に記載のリング部材。
【請求項4】
複数の環状スチールワイヤ層の間に樹脂が充填されている,
請求項2または3に記載のリング部材。
【請求項5】
上記マルエージング鋼帯に隣合う環状スチールワイヤ層と上記マルエージング鋼帯との間に樹脂が充填されている,
請求項1から4のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項6】
上記環状スチールワイヤ層中のスチールワイヤ同士の間に樹脂が充填されている,
請求項1から5のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項7】
樹脂被覆されたスチールワイヤによって上記環状スチールワイヤ層が形成されている,
請求項1から6のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項8】
上記スチールワイヤが丸線である,請求項1から7のいずれか一項に記載のリング部材。
【請求項9】
上記スチールワイヤが扁平線である,請求項1から7のいずれか一項に記載のリング部材。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−21585(P2012−21585A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159656(P2010−159656)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000003528)東京製綱株式会社 (139)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
[ Back to top ]