説明

無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置

【課題】 塗工液供給作業の効率を可及的に維持しつつ各タンクの洗浄作業を行うことができる無溶剤型ラミネータ用の塗工液供給装置を提供すること。
【解決手段】 主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンク2、3と、これらタンク2、3にそれぞれ接続された配管7、8を介して導出された主剤と硬化剤とを混合して排出可能なミキシング装置6とを有する無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置1であって、前記各タンク2、3のそれぞれに対して着脱可能に構成され、当該各タンク2、3内の主剤及び硬化剤を所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能なタンク用ジャケットヒータ4と、前記タンク用ジャケットヒータ4を装着した各タンク2、3を着脱可能に保持する保持部5とを備え、前記各配管7、8は、少なくとも各タンク2、3に対して着脱可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無溶剤型ラミネータのコーティング部へ塗工液を供給する塗工液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラミネータには、主に、水性又は油性の溶剤を用いた塗工液を使用する溶剤型ラミネータと、主剤と硬化剤とを混合させた塗工液を使用する無溶剤型ラミネータ(例えば、特許文献1参照)とが知られている。
【0003】
前記無溶剤型ラミネータは、塗工液供給装置と、ラミネート対象となるウェブを搬送するとともに前記塗工液供給装置から供給された塗工液を薄膜にして前記ウェブに転写するコーティング部とを備え、前記薄膜の形成されたウェブ上に別のウェブを圧着するようになっている。
【0004】
そして、前記無溶剤型ラミネータでは、前記主剤及び硬化剤として熱可塑性材料を使用するので、当該無溶剤型ラミネータの塗工液供給装置には、前記主剤及び硬化剤を個別に収容するとともに、これら主剤及び硬化剤をそれぞれ所定温度に加熱可能で、かつ保温可能な一対のヒータ内蔵タンクが装置本体に固定されている。
【特許文献1】特公平1−43585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記無溶剤型ラミネータの塗工液供給装置は、ヒータが各タンクに内蔵されているとともに各タンクが装置本体に固定されているため、塗工液の交換等に際して各タンクを洗浄する場合には、一旦装置の稼動(塗工液の供給)を停止して、当該各タンク内に洗浄液を充填し、この洗浄液を吐出させる、つまり、供給装置を駆動して洗浄液を流通させるという作業が必要となる。
【0006】
したがって、前記各タンクの洗浄に際しては、塗工液供給作業を長時間(約8時間)にわたり停止させなければならず、このことは、塗工液供給作業の効率を悪化させる要因となっていた。
【0007】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、塗工液供給作業の効率を可及的に維持しつつ各タンクの洗浄作業を容易に行うことができる無溶剤型ラミネータ用の塗工液供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明は、主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンクと、これらタンクにそれぞれ接続された配管を介して導出された主剤と硬化剤とを混合して導出するミキシング部とを有する無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置であって、前記各タンクのそれぞれに対して着脱可能に構成され、当該各タンク内の主剤及び硬化剤を所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能なタンク用ヒータと、前記タンク用ヒータが装着された各タンクを着脱可能に保持する保持部とを備え、前記各配管は、少なくとも各タンクに対して着脱可能に構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
前記塗工液供給装置において、予め洗浄された少なくとも1つの予備タンクをさらに備え、この予備タンクは、前記各タンクと交換し得るように構成されていることが好ましい。
【0010】
前記塗工液供給装置において、前記各配管に対して着脱可能な配管用ヒータをさらに備え、この配管用ヒータは、前記各配管内を流通する主剤及び硬化剤を前記所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能に構成されていることが好ましい。
【0011】
前記塗工液供給装置において、前記各配管は、前記ミキシング部に対して着脱可能に構成されていることが好ましい。
【0012】
前記塗工液供給装置において、予め洗浄された少なくとも1つの予備配管をさらに備え、この予備配管は、前記各配管と交換し得るように構成されていることが好ましい。
【0013】
前記塗工液供給装置において、前記タンク用ヒータ又は配管用ヒータをタンク又は配管に巻きつけた状態で剥離可能に止着するメカニカルファスナーを、前記タンク用ヒータ又は配管用ヒータに設けることが好ましい。
【0014】
前記塗工液供給装置において、前記各タンクには、その側面から相反する側方へ突出する一対の突出部が形成され、前記保持部には、前記各突出部が載置される一対のアームと、一方のアームに支持されたシャッタとが設けられ、このシャッタは、前記各アームの先端部に掛け渡されてタンクが各アーム先端部から抜け出るのを抑制する抜け止め位置と各アーム先端部間を開放して前記タンクを着脱可能とする着脱位置との間で前記アームに対して揺動自在に支持されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の塗工液供給装置によれば、タンクを保持部及び配管から取り外すとともにタンクからタンク用ヒータを取り外すことにより、当該タンク用ヒータへの電力供給用の配線の長さ等に制限されることなくタンクを供給装置から分離することができるので、例えば、タンクを洗浄用の場所へ搬送して比較的容易に洗浄することができる。
【0016】
したがって、本発明の塗工液供給装置では、各タンクが供給装置に対して据え付けられているものと比較して、タンクの洗浄時間を短縮することができ、これにより、塗工液の供給作業の停止時間を可及的に短縮することができる。
【0017】
少なくとも1つの予備タンクを備えた構成によれば、洗浄時にタンクを予備タンクと交換するとともに配管及びミキシング部を洗浄することにより塗工液の供給作業を再開することができる。
【0018】
したがって、前記構成では、塗工液の供給作業と使用済みタンクの洗浄作業とを並行して行うことができるので、使用済みタンクを洗浄している間中、塗工液の供給作業を停止しなければならない従来の供給装置と比較して格段に供給作業の停止時間を短縮することができる。
【0019】
配管用ヒータを備えた構成によれば、前記各配管の内側と外側との温度差によって当該各配管内を流通する主剤及び硬化剤が冷めてしまうことを抑制することができる。
【0020】
前記各配管をミキシング部に対して着脱可能にした構成によれば、各配管をミキシング部から取り外すことができるので、これら配管についても供給装置から分離して洗浄することができる。
【0021】
そして、この構成において前記のように配管用ヒータを配設した場合には、配管用ヒータを各配管から取り外すことができるので、当該配管用ヒータへの電力供給用配線の長さ等に制限されることなく各配管を配管用ヒータから分離することができ、各タンクだけでなく各配管も供給装置から取り外して洗浄することができる。
【0022】
少なくとも1つの予備配管を備えた構成によれば、タンクの洗浄時に使用済みの配管と予備配管とを交換することにより、当該使用済みの配管の洗浄作業を塗工液の供給作業を再開した後に行うことができるので、当該供給作業の停止時間をより短縮することができる。
【0023】
前記タンク用ヒータ又は配管用ヒータにメカニカルファスナーを設けた構成によれば、タンク又は配管に巻きつけた所望の姿勢で両ヒータの形態を保持することができるだけでなく、メカニカルファスナーを剥離させることにより容易に各ヒータとタンク又は配管とを分離することができる。
【0024】
なお、「メカニカルファスナー」とは、フック部とループ部とが対をなして、両者を強く圧迫すると、フック部とループ部とが相互に外れにくいように係止されるとともに、フック部とループ部とを手で強く引き剥がすと、フック部とループ部との係止が外れるものをいい、面ファスナーとも呼ばれている。
【0025】
一対のアーム上にタンクの各突出部を載置する構成によれば、各突出部が各アーム上を摺動するようにタンクを各アームの先端部側へ引出すことにより、タンクを容易に取り外すことができる。
【0026】
また、前記構成では、一方のアームに対して揺動可能なシャッタが設けられているので、このシャッタを着脱位置とした状態で前記のように摺動させることによりタンクを着脱することができる一方、前記シャッタを抜け止め位置とすることにより装着されているタンクの抜け出しを規制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態に係る塗工液供給装置1は、主剤(例えば、ポリエステル系主剤)と硬化剤(例えば、脂肪族イソシアネート系硬化剤)とを混合した塗工液をウェブ上に転写可能となるように、図略の無溶剤型ラミネータに対して供給するようになっている。
【0029】
前記塗工液供給装置1は、主剤用タンク2及び硬化剤用タンク3のそれぞれに対して着脱可能に構成され、当該各タンク2、3内の主剤及び硬化剤を所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度(0〜100℃)で保温可能なタンク用ジャケットヒータ4と、このタンク用ジャケットヒータ4が装着された各タンク2、3を着脱可能に保持する保持部5とを備え、前記各タンク2、3とミキシング装置6との間の配管7、8が少なくとも各タンク2、3に対して着脱可能に構成されている。
【0030】
そのため、前記塗工液供給装置1によれば、各タンク2、3を保持部5及び各配管7、8から取り外すとともに各タンク2、3からタンク用ジャケットヒータ4を取り外すことにより、当該タンク用ジャケットヒータ4への電力供給用の配線の長さ等に制限されることなく当該各タンク2、3を供給装置1から分離することができるので、例えば、各タンク2、3を洗浄用の場所へ搬送して比較的容易に洗浄することができる。
【0031】
したがって、前記塗工液供給装置1では、各タンク2、3が供給装置1に対して据え付けられているものと比較して、各タンク2、3の洗浄時間を短縮することができ、これにより、塗工液の供給作業の停止時間を可及的に短縮することができる。
【0032】
具体的に、前記塗工液供給装置1は、主剤と硬化剤とを個別に収容する主剤用タンク2及び硬化剤用タンク3(以下、各タンク2、3と総称する場合がある)を保持するフレーム11と、前記各タンク2、3内の主剤及び硬化剤を圧送する一対の圧送装置12、13と、前記各タンク2、3にそれぞれ接続された配管7、8を介して導出された主剤及び硬化剤を混合して導出するミキシング装置6と、前記ミキシング装置6及び前記各圧送装置12、13の駆動を制御する制御装置14とを備えている。
【0033】
前記各タンク2、3は、図4にも示すように、有底円筒状の容器本体15と、この容器本体15の上端開口部を閉塞する蓋体16と、この蓋体16に取り付けられたレベルメータ17と、前記容器本体16を被覆するタンク用ジャケットヒータ4とを備えている。
【0034】
前記容器本体15には、その上部から水平に突出する上下一対のフランジ18と、これらフランジ18の間で容器本体15の周面から側方へ突出する一対の突出部19とが設けられている。これら突出部19には、上下方向の貫通孔19aを有するボス部が設けられている。
【0035】
前記蓋体16は、前記容器本体15の上端に形成された前記フランジ18上に図略のボルトによって固定され、図に示す稜線Lに沿って折り曲げられることにより各タンク2、3開口の一部を開放し得るようになっている。また、前記蓋体16には、圧送装置12又は13のシャフト20及び前記レベルメータ17がそれぞれ挿通される一対の孔16aが上下に貫通して設けられている。
【0036】
前記レベルメータ17は、各タンク2、3内の主剤又は硬化剤の水位を検出可能に構成され、検出結果を前記制御装置14へ送信可能とされている。また、レベルメータ17は、前記蓋体16の孔16aに対して着脱可能に挿入されている。
【0037】
前記タンク用ジャケットヒータ4は、電熱線を内蔵したシート状の部材である。また、タンク用ジャケットヒータ4は、前記容器本体15の外周を被覆可能な有底円筒状に形成されているとともに、その側面から底面にわたり切り込み4aが形成され、この切り込み4a縁部には、タブ4bが形成されている。
【0038】
そして、前記タブ4b表面には、メカニカルファスナーのフック材21が貼着されており、このフック材21は、タンク用ジャケットヒータ4表面に対して剥離可能に止着し得るようになっている。すなわち、前記フック材21は、メカニカルファスナーのループ材として機能する不織布等からなるタンク用ジャケットヒータ4の表面に対して止着し得るようになっている。
【0039】
そのため、前記フック材21をタンク用ジャケットヒータ4に対して止着することにより、当該タンク用ジャケットヒータ4をタンク2又は3に巻きつけた形態で保持することができるとともに、前記フック材21を剥離してタンク用ジャケットヒータ4を展開することにより、当該タンク用ジャケットヒータ4をタンク2又は3から容易に分離することができる。
【0040】
図1〜4を参照して、前記フレーム11は、矩形フレーム22と、この矩形フレーム22上の後部に立設されたバックフレーム23とを備えている。
【0041】
前記矩形フレーム22の上部には、前記各タンク2、3を保持する一対の保持部5が形成されている。すなわち、各保持部5は、図4に示すように、前後方向に沿って平行配置された一対のアーム24と、これらアーム24の後端部を連結するストッパ25と、一方のアーム24に対して前後方向に沿った軸J1回りに揺動可能に支持されたシャッタ26とをそれぞれ備えている。なお、本実施形態において、シャッタ26は、左右に並ぶ各保持部5の外側のアーム24に対してそれぞれ取り付けられ、平面視で観音開き式に開閉するようになっている。
【0042】
前記各アーム24は、前記タンク用ジャケットヒータ4が装着された容器本体15を前方から受入可能な間隔で配設されているとともに、その上面でタンク2又は3の突出部19の底面を支持するようになっている。さらに、前記各アーム24には、前記突出部19の貫通孔19aに対応して雌ねじ部24aが形成されており、この雌ねじ部24aに対して前記突出部19を挟んで図略のボルトを螺合させることにより、各アーム24上にタンク2又は3が固定されるようになっている。
【0043】
そして、このように各アーム24にタンク2又は3がセットされた状態から、前記ボルトを取り外すとともに各突出部19が各アーム24上を摺動するようにタンク2又は3を前端部側へ引出すことにより、タンク2又は3を各アーム24から容易に取り外すことができる。
【0044】
一方、前記シャッタ26は、前記ストッパ25に当接する装着位置とされたタンク2又は3を抜け止めするようになっている。すなわち、前記ストッパ25は、前記各アーム24の前端部に掛け渡された抜け止め位置と、上方へ揺動して各アーム24の前端部の間を開放する着脱位置との間で揺動自在とされている。
【0045】
そのため、前記シャッタ26を着脱位置とした状態で前記のように各タンク2、3を摺動させることにより着脱することができる一方、前記シャッタ26を抜け止め位置とすることによりタンク2又は3の装着状態を保持することができる。
【0046】
前記各圧送装置12、13は、図2に示すように、前記バックフレーム23の前面に固着されたモータ本体27と、このモータ本体27から垂下されたシャフト20とをそれぞれ備え、前記モータ本体27の駆動に応じてシャフト20先端のスクリュー28を回転させることによって各タンク2、3内の主剤及び硬化剤をそれぞれ各配管7、8へ圧送するようになっている。なお、前記シャフト20は、モータ本体27に対して着脱自在とされている。
【0047】
前記各配管7、8は、それぞれ前記各タンク2、3の底部に形成されたポート2a、3aに対して図略のクランプバンドによって連結されている。
【0048】
そして、各配管7、8は、図5に示すように、前記ポート2a、3aから順にショート管29、ストレート管30、エルボ管31、異物除去用のフィルタ34がそれぞれクランプバンド32、33、35により着脱可能に連結されているとともに、前記フィルタ34のワンタッチ継手34aに可撓性を有するフッ素樹脂等からなるチューブ35が着脱可能に接続された構造物である。
【0049】
したがって、各タンク2、3の洗浄時には、前記各管29〜31及びフィルタ34を分解するとともに、前記フィルタ34からチューブ35を取り外すことにより、これら各管29〜31及びフィルタ34並びにチューブ35を容易に洗浄することができる。
【0050】
そして、前記ストレート管30及びエルボ管31には、これら両管30、31内の主剤又は硬化剤を前記所定温度(0〜100℃)に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能なジャケットヒータ36、37がそれぞれ着脱可能に被覆されている。これらジャケットヒータ36、37は、それぞれ前記タンク用ジャケットヒータ4と同様に電熱線が内蔵されているとともに、その外表面が不織布等により被覆されている。
【0051】
また、前記ジャケットヒータ36、37は、それぞれ帯状に形成されており、その端部には、メカニカルファスナーのフック材38、39がそれぞれ貼着されている。
【0052】
そのため、前記フック材38、39をそれぞれジャケットヒータ36、37に止着することにより、当該ジャケットヒータ36、37をストレート管30及びエルボ管31に巻きつけた形態で保持することができるとともに、前記フック材38、39を剥離してジャケットヒータ36、37を展開することにより、当該ジャケットヒータ36、37をストレート管30及びエルボ管31から容易に分離することができる。
【0053】
一方、前記チューブ35には、ホットホース40が外装されている。このホットホース40は、前記チューブ35を挿抜可能な内径寸法を有するチューブであり、電熱線が内蔵されている。
【0054】
本実施形態では、前記ジャケットヒータ36、37及びホットホース40が配管用ヒータの一例を構成している。このように配管用ヒータを備えていることにより、前記各配管7、8内を流通する主剤及び硬化剤が、当該配管7、8の内外の温度差に応じて冷えて硬化するのを抑制することができる。
【0055】
そして、前記各チューブ35は、ミキシング装置6に形成された一対のワンタッチ継手41(図6参照)にそれぞれ着脱可能に接続されている。
【0056】
したがって、前記各タンク用ジャケットヒータ4及び各ジャケットヒータ36、37並びに各ホットホース40を各タンク2、3、各ストレート管30及び各エルボ管31並びに各チューブ35から取り外すことにより、各タンク2、3及び各配管7、8を塗工液供給装置1から分離することができる。
【0057】
さらに、前記各ポート2a、3aにおいて各配管7、8を分離することができる。
【0058】
したがって、各タンク2、3及び各配管7、8を洗浄位置に搬送した上で、これらを洗浄することができる。
【0059】
図1及び図6を参照して、前記ミキシング装置6は、前記フレーム11上の前方右角に立設された支柱11aに対して旋回可能に取り付けられた旋回アーム42の先端部に取り付けられている。
【0060】
前記ミキシング装置6には、図示は省略するが、前記各ワンタッチ継手41からそれぞれ導入された主剤及び硬化剤を合流させる合流経路と、この合流経路から排出ポート43まで主剤及び硬化剤を混合した塗工液を案内する案内経路とが内部に形成されている。
【0061】
また、ミキシング装置6は、前記合流経路において主剤と硬化剤とを攪拌する攪拌モータ44が設けられ、この攪拌モータ44で駆動される攪拌翼によって攪拌された塗工液が前記排出ポート43から排出されることになる。
【0062】
次に、前記塗工液供給装置1における各タンク2、3の洗浄方法について、図1〜図5を参照して説明する。なお、以下の説明では、主剤用タンク2のみを洗浄する場合を例に挙げて説明する。
【0063】
まず、作業者は、前記圧送装置12のモータ本体27からシャフト20を取り外すとともに、前記蓋体16からレベルメータ17を取り外し、さらに前記各突出部19と各アーム24とを固定しているボルト(図示せず)を取り外す。
【0064】
次いで、前記タンク用ジャケットヒータ4をタンク2から取り外すとともに、前記タンク2とショート管29とを分離し、さらに前記シャッタ26を着脱位置とした上で、前記保持部5からタンク2を取り外す。
【0065】
そして、ジャケットヒータ36、37及び、ホットホース40を、それぞれストレート管30、エルボ管31及び、チューブ35から取り外す。
【0066】
次に、前記配管7をミキシング装置6から取り外し、このミキシング装置6内の合流経路及び案内経路(図示せず)に洗浄液を流して当該両経路を洗浄する。
【0067】
そして、予め用意された予備のタンク2を保持部5に装着するとともに、予め用意された予備の配管7を前記予備のタンク2及びミキシング装置6に接続する。
【0068】
次いで、前記予備のタンク2の突出部19を図略のボルトによって各アーム24に対して固定するとともに、前記シャッタ26を抜け止め位置へ揺動して、塗工液の供給作業を再開する。
【0069】
前記供給作業を開始した後、使用済みのタンク2及び配管7を洗浄する。
【0070】
以上説明したように、前記塗工液供給装置1によれば、洗浄時に各タンク2、3を予備のタンクと交換するとともに各配管7、8及びミキシング装置6を洗浄することにより塗工液の供給作業を再開することができる。
【0071】
したがって、前記塗工液供給装置1では、塗工液の供給作業と使用済みの各タンク2、3の洗浄作業とを並行しておこなうことができるので、使用済みタンクを洗浄している間中、塗工液の供給作業を停止しなければならない従来の供給装置と比較して格段に供給作業の停止時間を短縮することができる。
【0072】
前記ジャケットヒータ36、37及びホットホース40(それぞれ、本実施形態における配管用ヒータの一例を構成している:以下配管用ヒータ36、37、40と称す)を備えた構成によれば、前記各配管7、8の内側と外側との温度差によって当該各配管7、8内を流通する主剤及び硬化剤が冷めてしまうことを抑制することができる。
【0073】
前記各配管7、8をミキシング装置6に対して着脱可能にした構成によれば、各配管7、8をミキシング装置6から取り外すことができるので、これら配管7、8についても供給装置1から分離して洗浄することができる。
【0074】
さらに、上記実施形態では、前記配管用ヒータ36、37、40が配設されているので、当該配管用ヒータ36、37、40への電力供給用配線の長さ等に制限されることなく各配管を配管用ヒータ36、37、40から分離することができ、各タンク2、3だけでなく各配管7、8も供給装置1から取り外して洗浄することができる。
【0075】
なお、前記各配管7、8のチューブ35については、比較的安価な部品なので、このチューブ35を消耗品として、各タンク2、3の洗浄の度に新品のチューブ35に交換することもできる。
【0076】
また、前記実施形態では、各タンク2、3の洗浄時に使用済みの配管7、8と予備の配管とを交換することにより、当該使用済みの配管7、8の洗浄作業を塗工液の供給作業を再開した後に行うことができるので、当該供給作業の停止時間をより短縮することができる。
【0077】
なお、前記実施形態では、予備のタンク及び予備の配管を使用済みのタンク2及び配管7と交換する方法について説明したが、タンク2、3を予備のタンクと交換した上で配管7、8及びミキシング装置6を洗浄してもよい。
【0078】
前記タンク用ジャケットヒータ4及び配管用ヒータ36、37、40にフック材21、38、39を設けた構成によれば、各タンク2、3及び各配管7、8に巻きつけた所望の姿勢でタンク用ジャケットヒータ4及び配管用ヒータ36、37、40の形態を保持することができるだけでなく、フック材21、38、39を剥離させることにより容易にタンク用ジャケットヒータ4及び配管用ヒータ36、37、40と各タンク2、3及び各配管7、8を分離することができる。
【0079】
一対のアーム24上にタンク2又は3の各突出部19を載置する構成によれば、各突出部19が各アーム24上を摺動するようにタンク2又は3を前方へ引出すことにより、タンク2又は3を容易に取り外すことができる。
【0080】
また、一方のアーム24に対して揺動可能なシャッタ26が設けられているので、このシャッタ26を着脱位置とした状態で前記のように摺動させることによりタンク2又は3を着脱することができる一方、前記シャッタ26を抜け止め位置とすることにより装着されているタンク2又は3の抜け出しを規制することができる。
【0081】
なお、前記実施形態では、各タンク2、3と交換可能な予備タンクを備えた構成としているが、この予備タンクを省略することもできる。つまり、前記塗工液供給装置1では、少なくとも各タンク2、3が供給装置1から分離できるように、タンク用ジャケットヒータ4と保持部5とを備え、各タンク2、3が各配管7、8から取り外し可能とされていればよい。
【0082】
また、前記実施形態では、タンク用ジャケットヒータ4又は配管用ヒータ36、37、40の形態を保持するためにメカニカルファスナーのフック材21、38、39を設けた構成としているが、メカニカルファスナーに代えて、例えば、金属製のフックやファスナー等を採用することもできる。
【0083】
さらに、前記実施形態では、各アーム24上にタンク2又は3を支持させるようにしているが、これに限定されることはなく、保持部5は、少なくとも各タンク2、3を供給装置1に対して着脱可能に支持する構成とすればよい。
【0084】
なお、前記塗工液供給装置1は、無溶剤型ラミネータに使用される、つまり、塗工液に溶剤を使用しないため、当該無溶剤型ラミネータは、ウェブ上に転写された塗工液を乾燥するために別途乾燥機等を要するものの、環境保全を図ることができる。
【0085】
すなわち、水性又は油性の溶剤を用いた溶剤を使用する溶剤型ラミネータは、揮発性の高い溶剤を使用するので、乾燥機等を用いることなく前記ウェブ上に転写された塗工液の乾燥を比較的短時間で行うことができる反面、前記溶剤の種類によっては、溶剤の揮発成分が環境に被害を与えるおそれがあった。
【0086】
さらに、前記無溶剤型ラミネータでは、溶剤を使用しないため、熱可塑性の主剤及び硬化剤を個別に収容しつつ所定温度に加熱及び保温する手段が必要となるが、前記塗工液供給装置1を使用すれば、タンク用ジャケットヒータ4と各タンク2、3とを分離することができるので、容易に各タンク2、3を洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態に係る塗工液供給装置の正面図である。
【図2】図1の塗工液供給装置の右側面図である。
【図3】図2の塗工液供給装置のIII−III線断面図である。
【図4】図1の塗工液供給装置におけるタンクと保持部とを示す斜視一部略図である。
【図5】図1の塗工液供給装置における配管を示す斜視一部分解図である。
【図6】図1の塗工液供給装置におけるミキシング装置を示す、(a)は側面図、(b)は背面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 塗工液供給装置
2 主剤用タンク
3 硬化剤用タンク
4 タンク用ジャケットヒータ
5 保持部
6 ミキシング装置
7、8 配管
19 突出部
21、38、39 フック材(メカニカルファスナー)
24 アーム
26 シャッタ
36、37 ジャケットヒータ(配管用ヒータ)
40 ホットホース(配管用ヒータ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンクと、これらタンクにそれぞれ接続された配管を介して導出された主剤と硬化剤とを混合して導出するミキシング部とを有する無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置であって、
前記各タンクのそれぞれに対して着脱可能に構成され、当該各タンク内の主剤及び硬化剤を所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能なタンク用ヒータと、
前記タンク用ヒータが装着された各タンクを着脱可能に保持する保持部とを備え、
前記各配管は、少なくとも各タンクに対して着脱可能に構成されていることを特徴とする無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項2】
予め洗浄された少なくとも1つの予備タンクをさらに備え、この予備タンクは、前記各タンクと交換し得るように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項3】
前記各配管に対して着脱可能な配管用ヒータをさらに備え、この配管用ヒータは、前記各配管内を流通する主剤及び硬化剤を前記所定温度に加熱可能で、かつ前記所定温度で保温可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項4】
前記各配管は、前記ミキシング部に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項5】
予め洗浄された少なくとも1つの予備配管をさらに備え、この予備配管は、前記各配管と交換し得るように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項6】
前記タンク用ヒータ又は配管用ヒータをタンク又は配管に巻きつけた状態で剥離可能に止着するメカニカルファスナーを、前記タンク用ヒータ又は配管用ヒータに設けたことを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項7】
前記各タンクには、その側面から相反する側方へ突出する一対の突出部が形成され、前記保持部には、前記各突出部が載置される一対のアームと、一方のアームに支持されたシャッタとが設けられ、このシャッタは、前記各アームの先端部に掛け渡されてタンクが各アーム先端部から抜け出るのを抑制する抜け止め位置と各アーム先端部間を開放して前記タンクを着脱可能とする着脱位置との間で前記アームに対して揺動自在に支持されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−136852(P2006−136852A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330473(P2004−330473)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000237260)富士機械工業株式会社 (26)
【出願人】(301065364)日栄産業株式会社 (4)
【出願人】(597110803)ミュー精器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】