説明

無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置

【課題】 簡単な操作で主剤及び硬化剤の吐出量を個別に確認することができる塗工液供給装置を提供すること。
【解決手段】 主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンクと、これらタンクにそれぞれ接続された個別経路5、6と、これら個別経路5、6に対して前記各タンク内の主剤及び硬化剤を各配管内へ圧送する圧送モータと、各個別経路5、6を介して導出された主剤と硬化剤とを混合して導出するミキシング装置とを有する塗工液供給装置であって、前記各個別経路5、6には、主剤又は硬化剤を排出可能な分岐経路7、8が接続され、前記圧送モータにより圧送されている主剤又は硬化剤を前記分岐経路7、8を介して排出可能なサンプリング状態と、前記主剤又は硬化剤を合流経路61、62へ導出可能な閉鎖状態とを切換可能な経路切換部10、11を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無溶剤型ラミネータのコーティング部へ塗工液を供給する塗工液供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ラミネータには、主に、水性又は油性の溶剤を用いた塗工液を使用する溶剤型ラミネータと、主剤と硬化剤とを混合させた塗工液を使用する無溶剤型ラミネータ(例えば、特許文献1参照)とが知られている。
【0003】
前記無溶剤型ラミネータは、塗工液供給装置と、ラミネート対象となるウェブを搬送するとともに前記塗工液供給装置から供給された塗工液を薄膜にして前記ウェブに転写するコーティング部とを備え、前記薄膜の形成されたウェブ上に別のウェブを圧着するようになっている。
【0004】
そして、無溶剤型ラミネータ用の塗工液供給装置は、前記主剤及び硬化剤を個別に収容する一対のタンクと、これらタンクにそれぞれ接続された配管を介して導出された主剤及び硬化剤を混合して導出するミキシング装置とを備えている。
【特許文献1】特公平1−43585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記無溶剤型ラミネータの塗工液供給装置では、前記ミキシング装置から導出される塗工液についてはその吐出量を確認することができるものの、各タンクから導出された主剤及び硬化剤の吐出量を個別に確認することが困難であった。
【0006】
すなわち、前記塗工液供給装置では、各タンクから導出された主剤又は混合剤が、各配管を介してそのままミキシング装置へ導かれるので、例えば、各配管とミキシング装置とを分離させるといった手段を講じないことには、主剤及び硬化剤の吐出量を確認することができなかった。
【0007】
したがって、前記塗工液供給装置では、ミキシング装置から導出される塗工液について、主剤と硬化剤との混合比が適切であるか否かを確認することが困難であった。
【0008】
本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、簡単な操作で主剤及び硬化剤の吐出量を個別に確認することができる無溶剤型ラミネータ用の塗工液供給装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明は、主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンクと、主剤と硬化剤とを混合して導出する混合部と、前記各タンクと混合部との間にそれぞれ介在して当該各タンク内の主剤又は硬化剤を混合部へ個別に導出する一対の連結部と、これら連結部に対して前記各タンク内の主剤及び硬化剤を圧送する圧送部とを有する無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置であって、前記各連結部には、主剤又は硬化剤を排出可能な分岐部がそれぞれ接続され、前記圧送部により圧送されている主剤又は硬化剤を前記各分岐部を介して予め設定されたサンプル位置へ排出するサンプリング状態と、前記主剤又は硬化剤を前記混合部へ導出する閉鎖状態とを切り換える経路切換手段を備えていることを特徴とするものである。
【0010】
前記無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置において、前記連結部には、貫通孔と、この貫通孔と前記混合部とを接続する合流経路と、前記貫通孔と前記分岐部とを接続する分岐経路とが形成され、これら合流経路及び分岐経路は、前記貫通孔の軸線方向に沿って位置ずれして配設されている一方、前記経路切換手段は、前記貫通孔に液密状態を形成しつつ挿入された弁体を備え、この弁体には、一方の端部が前記連結部に接続されているとともに他方の端部がその側面で開口する個別経路が形成され、当該弁体は、前記個別経路が分岐経路に接続する位置と、前記合流経路に接続する位置との間で、前記貫通孔内を軸線方向に摺動自在とされていることが好ましい。
【0011】
前記無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置において、前記圧送部の駆動を制御する制御装置と、この制御装置に主剤又は硬化剤の吐出量設定値を入力可能な入力部とをさらに備え、前記制御装置は、圧送部の駆動力とこの駆動力に対応した主剤又は硬化剤の吐出量との相関情報を予め記憶しているとともに、この相関情報と前記吐出量設定値とに基づいて圧送部の駆動力を特定することが好ましい。
【0012】
前記無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置において、前記入力部は、前記分岐部を介して導出された主剤又は硬化剤の吐出量実測値を入力可能に構成され、前記制御装置は、前記吐出量実測値と設定されている圧送部の駆動力とに基づいて前記相関情報を補正することが好ましい。
【0013】
前記無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置において、前記入力部は、前記吐出量実測値を計測可能な計測部を備え、この計測部は、計測された吐出量実測値を前記制御装置へ入力するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の塗工液供給装置によれば、経路切換手段をサンプリング状態とすることにより、分岐部を介して混合前の主剤又は硬化剤をサンプル位置へ個別に排出させることができ、この主剤又は硬化剤の重量を計測することにより、当該主剤又は硬化剤の吐出量を計測することができる。
【0015】
したがって、前記塗工液供給装置では、経路切換手段を操作するといった比較的簡単な操作で混合前の主剤及び硬化剤の吐出量を個別に確認することができる。
【0016】
ミキシング部内の弁体によりサンプリング状態と閉鎖状態とを切換えるようにした構成によれば、弁体をミキシング部に対して往復動作させるといった簡単な操作でサンプリング状態と閉鎖状態とを切換えることができる。
【0017】
制御装置と入力部とを備えた構成によれば、入力された吐出量設定値に応じた圧送部の駆動力を相関情報に基づいて特定することができるので、作業者は、入力部により吐出量設定値を入力するといった簡単な操作で、所望量の主剤又は硬化剤を吐出させることができる。
【0018】
なお、前記駆動力には、圧送部を連続的に駆動する場合における瞬間的な力だけでなく、圧送部を断続的に駆動する場合における停止時間の長短を調整して得られる一定時間内の平均駆動力も含まれる。
【0019】
ここで、前記入力部により入力された吐出量実測値に基づいて前記相関情報を補正する構成とすれば、前記吐出量設定値と実際の吐出量(吐出量実測値)との間に誤差がある場合に、この誤差をフィードバックして圧送部の駆動力を補正することができる。
【0020】
さらに、前記入力部の計測部により前記吐出量実測値を計測する構成によれば、作業者は、前記分岐部を介して排出された主剤又は硬化剤を前記計測部により計測することにより、計測された吐出量実測値に応じて前記相関情報を補正することができ、当該補正のために特別な操作を要することなく、吐出量の誤差を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。
【0022】
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る塗工液供給装置1は、主剤(例えば、ポリエステル系主剤)と硬化剤(例えば、脂肪族イソシアネート系硬化剤)とを混合した塗工液をウェブ上に転写可能となるように、図略の無溶剤型ラミネータに対して供給するようになっている。
【0023】
前記塗工液供給装置1は、主剤用タンク2及び硬化剤用タンク3から導出された主剤及び硬化剤を混合して導出するミキシング装置4に形成された一対の個別経路5、6に対してそれぞれ分岐経路7、8が接続されているとともに、これら分岐経路7、8を介して各エルボ管(分岐部)40、41から主剤又は硬化剤を計量カップ44、45へ個別に排出するサンプリング状態(図4の(b)の状態)と主剤及び硬化剤を合流経路61、62側へ導出する閉鎖状態(図4の(a)の状態)とを切換可能な一対の経路切換部10、11とを備えている。
【0024】
そのため、前記塗工液供給装置1によれば、経路切換部10、11をそれぞれサンプリング状態とすることにより、各個別経路5、6と各分岐経路7、8を介して各エルボ管40、41から混合前の主剤及び硬化剤を計量カップ44、45へ個別に排出させることができ、これら計量カップ44、45の重量を計測することにより、当該主剤及び硬化剤の吐出量を計測することができる。
【0025】
したがって、前記塗工液供給装置1では、経路切換部10、11を操作するといった比較的簡単な操作で混合前の主剤及び硬化剤の吐出量を個別に確認することができる。
【0026】
具体的に、塗工液供給装置1は、装置本体12と、この装置本体12の上部に取り付けられた制御装置13とを備えている。
【0027】
前記装置本体12は、主剤と硬化剤とを個別に収容可能な主剤用タンク2及び硬化剤用タンク3(以下、タンク2、3と総称する場合がある)を保持するフレーム14と、これらタンクにそれぞれ接続された配管15、16と、これら各配管15、16に対して前記各タンク2、3内の主剤及び硬化剤を圧送する圧送モータ17、18と、吐出量計測用の電子天秤19と、各配管15、16を介して導出された主剤と硬化剤とを混合して導出するミキシング装置4とを備えている。
【0028】
前記フレーム14は、矩形フレーム22と、この矩形フレーム22上の後部に立設されたバックフレーム23とを備えている。
【0029】
前記矩形フレーム22は、前記各タンク2、3を上方へ開放しつつ着脱可能に保持する一方、前記バックフレーム23前面には、一対の圧送モータ17、18が固着され、これら圧送モータ17、18のシャフト17b、18bが前記各タンク2、3内にそれぞれ上方から挿入されている。
【0030】
そして、前記圧送モータ17、18の本体17a、18aによる各シャフト17b、18bの回転駆動に応じて各シャフト17b、18bの先端部に形成されたスクリュー(図示せず)がそれぞれ回転し、これにより前記各タンク2、3内の主剤及び硬化剤がそれぞれ各配管15、16内へ圧送されるようになっている。
【0031】
前記電子天秤19は、前記矩形フレーム22上に載置され、詳しくは後述するが、分岐経路7、8から排出された主剤又は硬化剤の重量を計測するためのものである。
【0032】
前記各配管15、16は、前記各タンク2、3下部に形成されたポート2a、3aに個別に接続されている。具体的に、各配管15、16は、それぞれ前記各ポート2a、3a側から順にショート管24、ストレート管25、エルボ管26及び、チューブ27が接続された構造物である。
【0033】
前記ミキシング装置4は、前記矩形フレーム22上に立設された支柱22aに対して旋回可能に取り付けられた旋回アーム28の先端部に取り付けられている。
【0034】
図2〜図4に詳しく示すように、前記ミキシング装置4は、前記各チューブ27から主剤又は硬化剤が導入される導入部29と、この導入部29の上部に取り付けられた攪拌モータ30と、前記導入部29側へそれぞれロッド31aを向けた状態で設置された一対のシリンダ31とを備えている。
【0035】
前記導入部29は、導入部本体32と、この導入部本体32を貫通する一対の水平孔33、34にそれぞれ挿入された一対の経路切換部10、11とを備えている。
【0036】
前記導入部本体32には、前記各水平孔33、34からそれぞれ下方へ延びる合流経路61、62と、前記各水平孔33、34から互いに離間する側方へ延びる分岐経路7、8とが、当該各水平孔33、34の軸線方向に沿って位置ずれして形成されている。つまり、前記各水平孔33、34の内壁には、合流経路61、62及び各分岐経路7,8の上流側開口部がそれぞれ位置ずれして形成されている。
【0037】
前記各合流経路61、62は、図3に示すように、主剤及び硬化剤を混合する混合部37に接続され、この混合部37は、混合した主剤及び硬化剤を計量カップ44、45へ排出する排出ポート38を備えている。
【0038】
前記分岐経路7、8は、それぞれ前記各水平孔33、34から外側へ延びてエルボ管40、41に接続されている。これらエルボ管40、41の屈曲した下端部(吐出口)は、それぞれ前記導入部本体32に取り付けられたカップホルダ42、43(図2参照)にそれぞれ保持されている計量カップ44、45の上方に配置されている。
【0039】
一方、前記各経路切換部10、11は、前記各配管15、16(各チューブ27)から導出された主剤又は硬化剤を前記合流経路61、62側へ導出する閉鎖状態(図4の(a)の状態)と、前記分岐経路7、8側へ導出するサンプリング状態(図4の(b)の状態)との間で、主剤又は硬化剤の経路を切換えるようになっている。
【0040】
具体的に、各経路切換部10、11は、長手方向の略中央部分に小径部46がそれぞれ形成された略円柱状の弁体35、36をそれぞれ備えている。
【0041】
前記各弁体35、36には、その一方の端部に対して前記チューブ27を着脱自在とするワンタッチジョイント47、48と、これらワンタッチジョイント47、48から前記小径部46の側面まで貫通する個別経路5、6とがそれぞれ形成されている。つまり、前記各小径部46の側面には、前記個別経路5、6の下流側開口部がそれぞれ形成されている。
【0042】
また、前記各弁体35、36は、前記各水平孔33、34の両端部に設けられたオーリング49によって、当該各水平孔33、34内面との間で液密状態を形成するようになっている。
【0043】
さらに、各弁体35、36の小径部46に対応して、前記導入部本体32には、前記合流経路61、62と分岐経路7、8との間で前記各水平孔33、34から内側へ突出するフランジ部50が設けられている。そして、このフランジ部50に対して前記小径部46の両肩部46a、46bが当接する範囲内(つまり、図4の(a)から(b)の範囲内)で、各弁体35、36は、各水平孔33、34内をその軸線方向に摺動自在とされている。
【0044】
前記両肩部46a、46bには、前記フランジ部50との当接時に当該フランジ部50との間で液密状態を形成可能なオーリング51がそれぞれ設けられているので、前記閉鎖状態(図4の(a))においては前記個別経路5、6と合流経路61、62とが連通する一方、サンプリング状態(図4の(b))においては前記個別経路5、6と前記分岐経路7、8とが連通することになる。
【0045】
このように、ミキシング装置4に設けられた弁体35、36によりサンプリング状態と閉鎖状態とを切換えるようにした構成によれば、弁体35、36をミキシング装置4に対して往復動作させるといった簡単な操作でサンプリング状態と閉鎖状態とを切換えることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、前記各タンク2、3から前記混合部37までの主剤又は硬化剤の経路(各配管15、16及びミキシング装置4内の個別経路5、6)が連結部を構成している。
【0047】
そして、各エルボ管40、41から排出された主剤及び硬化剤は、計量カップ44、45内に収容され、作業者は、これら計量カップ44、45を前記電子天秤19上に載置して、その重量、つまり吐出量を計測することができる。
【0048】
前記各シリンダ31は、図2の(a)に示すように、それぞれのロッド31aが前記弁体35、36の端部に固定されており、当該各ロッド31aを伸縮させることにより、前記閉鎖状態とサンプリング状態との間で前記弁体35、36を導入部本体32に対して相対変位させるようになっている。
【0049】
一方、前記攪拌モータ30は、図3に示すように、モータ本体52から垂下されたシャフト53を備えており、このシャフト53の下端部が前記混合部37内に配置されている。
【0050】
そして、攪拌モータ30は、シャフト53の回転駆動に応じてその下端部に形成されたフィン53aを回転させることにより、混合部37内の主剤及び硬化剤を攪拌する。
【0051】
次に、前記装置本体12に搭載された制御装置13について、図1及び図5〜図7を参照して説明する。
【0052】
制御装置13は、図5に示すように、各種演算処理を実行するCPU、初期設定等を記憶するROM、設定情報等を上書き可能に記憶するRAM等からなる周知のものであり、インタフェース部54、算出部55、出力調整部56、表示出力部57、弁駆動部58及び、フィン駆動部59として主に機能するようになっている。
【0053】
インタフェース部54は、前記電子天秤19による重量計測値及び、前記制御装置13前面に設けられたタッチパネル60(図1参照)からの設定値等を入力可能に構成されている。なお、前記電子天秤19及びタッチパネル60が本実施形態における入力部の一例を構成している。
【0054】
前記タッチパネル60は、図6に示すように、主剤(図ではA剤)及び硬化剤(図ではB剤)の目標とする吐出量(以下、吐出量設定値と称す)及び、この吐出量設定値に対応して前記圧送モータ17、18が発揮すべき能力(最大供給電力に対する前記吐出量設定値に対応して供給すべき電力の比を%表示したもの)が一覧表として表示されており、当該パネルのタッチ操作により前記吐出量設定値を変更することが可能とされている。
【0055】
算出部55は、前記インタフェース部54に入力された情報に基づいて、出力調整部56、表示出力部57、弁駆動部58及び、フィン駆動部59に対して各種指令を出力するようになっている。
【0056】
また、算出部55は、前記タッチパネル60により入力された吐出量設定値に応じて前記圧送モータ17、18の能力を特定するようになっている。
【0057】
つまり、前記算出部55は、図7に示すように、各タンク2、3に収容されている主剤又は硬化剤のそれぞれについて、吐出量と能力との相関情報としての検量線ka、kbを予め記憶しており、前記タッチパネル60により入力された吐出量設定値に対応する各圧送モータ17、18の能力を特定するようになっている。
【0058】
前記検量線ka、kbは、塗工液吐出作業の前工程において算出部55により予め作成される。つまり、前工程において、作業者が、各圧送モータ17、18を所定の2の能力(図7では、10%と100%)で駆動し、このときの主剤又は硬化剤の吐出量(図7(a)では30、400g/min:図7(b)では20、200g/min)を前記タッチパネル60を用いて入力すると、これら二点間を結ぶ直線として前記検量線ka、kbが作成される。
【0059】
そして、塗工液の吐出作業に際しては、例えば、主剤の吐出量設定値320g/minを入力することにより図7の(a)の検量線kaに基づいて、圧送モータ17の能力80.46%が特定される一方、硬化剤の吐出量設定値80g/minを入力することにより図7の(b)の検量線kbに基づいて、圧送モータ18の能力40%が特定される。
【0060】
出力調整部56は、前記算出部55により特定された能力に応じて各圧送モータ17、18を駆動するようになっている。
【0061】
表示出力部57は、入力された吐出量設定値及び特定された能力値に応じて前記タッチパネル60の前記一覧表示(図6参照)を適宜更新するようになっている。
【0062】
弁駆動部58は、前記タッチパネル60の操作に応じて前記各シリンダ31を駆動して、前記閉鎖状態とサンプリング状態との間で各弁体35、36の姿勢を同時に切換えるようになっている。
【0063】
フィン駆動部59は、前記タッチパネル60により塗工液の供給動作開始指示が入力された場合に、前記攪拌モータ30の駆動を開始するようになっている。
【0064】
さらに、前記制御部13は、前記吐出量設定値と実際の吐出量(以下、吐出量実測値と称す)との間の誤差を緩和すべく、前記検量線ka、kbを補正する機能を有している。
【0065】
以下、主剤についての検量線kaを補正する場合を例に挙げて図5、図7及び、図8を参照して説明する。なお、主剤は、上述した吐出条件(吐出量設定値が320g/min:能力が80.46%)で吐出されているものとする。
【0066】
まず、作業者は、前記弁体35、36をサンプリング状態とすべくタッチパネル60を操作する。これにより前記弁駆動部58は、例えば1分間、前記各シリンダ31のロッド31aを伸張させ、主剤及び硬化剤が前記計量カップ44、45内に個別に排出される。
【0067】
次に、作業者は、計量カップ44を前記電子天秤19上に載置する。これにより、前記電子天秤19は、その計測値を前記インタフェース部54に送信し、前記算出部55において、前記計測値から予め記憶された計量カップ44自体の重量を差引いた吐出量実測値を算出する。ここで、吐出量実測値は、300g/minであったものとする。
【0068】
そして、前記算出部55は、図8に示すように、前記吐出量実測値300g/min及び現在の能力80.46%で特定される点と、前記吐出量30g/min及び能力10%で特定される点とを通る補正検量線kcを作成する。
【0069】
次に、前記算出部55は、前記補正検量線kc上における吐出量設定値(320g/min)に相当する能力(85.64%)を特定し、この能力に基づいて前記出力調整部により圧送モータ17の能力が補正される。
【0070】
このように制御装置13と、電子天秤19及びタッチパネル60(以下、入力部19、60と総称する)とを備えた構成によれば、入力された吐出量設定値に応じた圧送モータ17、18の能力を検量線ka、kbに基づいて特定することができる。
【0071】
そして、前記実施形態では、前記入力部19、60により入力された吐出量実測値に基づいて前記検量線ka、kbを補正するようにしているので、前記検量線ka、kbに基づいて特定された能力での主剤又は硬化剤の吐出量と、吐出量実測値との間に誤差がある場合に、この誤差をフィードバックして圧送モータ17、18の能力を補正することができる。
【0072】
さらに、前記実施形態では、前記電子天秤(計測部)19により吐出量実測値を計測し、この実測値を制御装置13へ送信するようにしているので、作業者は、前記分岐経路7、8を介して排出された主剤又は硬化剤を前記電子天秤19により計測することにより、計測された吐出量実測値に応じて前記検量線ka、kbを補正することができ、当該補正のために特別な操作を要することなく、吐出量の誤差を抑制することができる。
【0073】
なお、前記実施形態では、電子天秤19により吐出量実測値を制御装置13へ送信するようにしているが、これに限定されることはなく、例えば、電子天秤19により測定された吐出量実測値を作業者がタッチパネル60を利用して制御装置13へ入力するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の実施形態に係る塗工液供給装置の正面図である。
【図2】図1の塗工液供給装置のミキシング装置の(a)は側面図、(b)は背面図をそれぞれ示している。
【図3】図2の(a)のIII−III線断面図である。
【図4】図2の(a)のミキシング装置の一部を拡大して示す側面一部断面図であり、(a)は閉鎖状態、(b)はサンプリング状態をそれぞれ示している。
【図5】図1の塗工液供給装置に搭載されている制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図6】図5の制御装置に接続されたタッチパネルの画面図である。
【図7】図5の制御装置に記憶されている検量線を示すチャートであり、(a)は主剤用タンクについて記憶された検量線、(b)は硬化剤用タンクについて記憶された検量線をそれぞれ示している。
【図8】図5の制御装置により補正された主剤用タンクについての検量線を示すチャートである。
【符号の説明】
【0075】
1 塗工液供給装置
2 主剤用タンク
3 硬化剤用タンク
4 ミキシング装置(ミキシング部)
5、6 個別経路(連結部)
7、8 分岐経路
10、11 経路切換部(経路切換手段)
13 制御装置
15、16 配管(連結部)
17、18 圧送モータ(圧送部)
19 電子天秤(計測部)
33、34 孔(貫通孔)
35、36 弁体
60 タッチパネル(入力部の一例)
61、62 合流経路
ka、kb、kc 検量線(相関情報の一例)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主剤と硬化剤とを個別に収容可能な一対のタンクと、主剤と硬化剤とを混合して導出する混合部と、前記各タンクと混合部との間にそれぞれ介在して当該各タンク内の主剤又は硬化剤を混合部へ個別に導出する一対の連結部と、これら連結部に対して前記各タンク内の主剤及び硬化剤を圧送する圧送部とを有する無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置であって、
前記各連結部には、主剤又は硬化剤を排出可能な分岐部がそれぞれ接続され、
前記圧送部により圧送されている主剤又は硬化剤を前記各分岐部を介して予め設定されたサンプル位置へ排出するサンプリング状態と、前記主剤又は硬化剤を前記混合部へ導出する閉鎖状態とを切り換える経路切換手段を備えていることを特徴とする無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項2】
前記連結部には、貫通孔と、この貫通孔と前記混合部とを接続する合流経路と、前記貫通孔と前記分岐部とを接続する分岐経路とが形成され、これら合流経路及び分岐経路は、前記貫通孔の軸線方向に沿って位置ずれして配設されている一方、前記経路切換手段は、前記貫通孔に液密状態を形成しつつ挿入された弁体を備え、この弁体には、一方の端部が前記連結部に接続されているとともに他方の端部がその側面で開口する個別経路が形成され、当該弁体は、前記個別経路が分岐経路に接続する位置と、前記合流経路に接続する位置との間で、前記貫通孔内を軸線方向に摺動自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項3】
前記圧送部の駆動を制御する制御装置と、この制御装置に主剤又は硬化剤の吐出量設定値を入力可能な入力部とをさらに備え、前記制御装置は、圧送部の駆動力とこの駆動力に対応した主剤又は硬化剤の吐出量との相関情報を予め記憶しているとともに、この相関情報と前記吐出量設定値とに基づいて圧送部の駆動力を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項4】
前記入力部は、前記分岐部を介して導出された主剤又は硬化剤の吐出量実測値を入力可能に構成され、前記制御装置は、前記吐出量実測値と設定されている圧送部の駆動力とに基づいて前記相関情報を補正することを特徴とする請求項3に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。
【請求項5】
前記入力部は、前記吐出量実測値を計測可能な計測部を備え、この計測部は、計測された吐出量実測値を前記制御装置へ入力するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の無溶剤型ラミネート用の塗工液供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−136855(P2006−136855A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−330538(P2004−330538)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000237260)富士機械工業株式会社 (26)
【出願人】(301065364)日栄産業株式会社 (4)
【出願人】(597110803)ミュー精器株式会社 (2)
【Fターム(参考)】