説明

無線通信網接続方法と装置

【課題】IP回線を利用して管理者自身が無線LAN基地局を低コストで設置し、無線LAN接続サービスの通信可能地域を広げること。
【解決手段】IP網1に接続された、無線端末Uの認証をし使用量に応じて課金する認証・課金サーバー3と、無線端末UをIP網1に接続してパケット交信するための無線基地局BSとがあり、無線基地局BSが、無線端末Uとの間で交信する場合、サーバー3に対して無線端末Uの認証を受けるための認証処理をし、無線端末UをIP網1に接続してパケット交信を可能とし、パケット交信中のパケット量を計測し、計測量をサーバー3に通知して、無線端末Uに対して課金するようにした。各無線基地局BSには、課金者用と管理者用のルーターを設け、セキュリティを確保している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信網接続方法と装置に関する。具体的には、インターネット・プロトコル(IP)による通信網(以下、IP網という)に接続された管理者(無線基地局の所有者)のIP回線を利用して管理者自身が、無線LANに関するIEEE802.11の規定に準拠して動作する無線LAN基地局を設置し、無線LAN接続サービスの通信可能地域を広げることを可能とする新規な無線通信網接続方法と装置を提供せんとするものである。ここでIEEEは、Institute of Electrical and Electronics Engineers の略である。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来例を示した要素構成図である。IP網1Pには、それぞれIP回線6P,7P,9Pを介して無線基地局BSPA,BSPBおよびネットワーク・サービス認証サーバー3PがIP回線6P,7P,9Pを介して接続されている。無線基地局BSPA,BSPBは、公衆無線LAN(構内情報通信網)基地局としての機能を有している。
【0003】
このようなネットワーク・サービス認証サーバー3Pおよび公衆無線LAN基地局の機能を有する無線基地局BSPA,BSPBを設置するには、公衆無線LANのネットワーク接続サービス提供者(以下、ネットワーク提供者という)がネットワーク・サービス認証サーバー3Pおよび無線基地局BSPA,BSPBの設置費用を負担していた。
【0004】
また、ネットワーク・サービス認証サーバー3Pおよび無線基地局BSPA,BSPBは、ネットワーク提供者が保有する施設あるいは提携関係にある企業の店舗などの施設に設置場所を確保し、IP回線6P,7P,9Pを配線して、IP網1Pに接続する必要があった。すなわち、楕円の点線で囲んだ設備のうち、IP網1Pを除いた部分をネットワーク提供者の負担で提供する必要があった。
【0005】
特許文献1には、一時的あるいは恒久的な基地局資源の不足(段落0008)あるいは過剰配置(段落0009)および呼量の変動への対処(段落0010)という解決課題が示され、移動通信事業者以外の者(以下、管理者という)によって提供される無線基地局のサービスに対して、その対価を提供する装置が開示されている(段落0011〜0015)。この開示された装置では、移動通信事業者あるいは管理者所有の無線基地局と移動通信事業者インフラ装置との間には、専用の通信回線が必要であった(図2〜9)。
【特許文献1】特開2004−242176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
無線LANの無線基地局を設置するには、図6あるいは特許文献1により説明したごとく、設置場所の借用代、IP回線の設置費、管理費、専用線設置費やその維持費など多くのコストが発生し、これらは全てネットワーク提供者(移動通信事業者)あるいは管理者の負担となるために、ネットワーク提供者あるいは管理者には、資金力が要求された。このため、より多くの無線基地局を設置して通信可能な地域を広げようとしても、多額の設備費用を必要とするから容易に設置することができないという問題があり、これの解決が強く望まれている。
【0007】
この問題を解決するためには、ネットワークのユーザーでもある管理者のIP回線を利用してユーザー自身が無線LAN基地局を低コストで設置して管理者となり、安全な無線LAN接続サービスの通信可能地域を広げることを可能とすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網に接続された、無線端末の認証をし使用量に応じて課金する移動通信事業者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバーと、無線端末をIP網に接続してパケット交信するための管理者所有の無線基地局とがあり、
無線基地局が、無線端末との間で交信する場合に、それに先立ちネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対して無線端末の認証を受けるための認証処理をし、
その後に無線端末をIP網に接続してパケット交信を可能とするための基地局機能と、一般家庭向けの機密保持のためのルーティングや部外侵入者防止のためのファイヤーウォールを有する無線LANルーターとしての機能をする接続処理をし、
パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測処理をし、
計測したパケット量をネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対して通知することにより、無線端末の使用者に対して課金するための課金処理をし、
ネットワーク・サービス認証・課金サーバー側へのネットワーク・ルートと管理者側へのネットワーク・ルートを分離してネットワーク・ルート上のセキュリティを確保するための課金者用ルーター処理と管理者ローカルIP用ルーター処理とをすることができるようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線通信網接続方法と装置によるならば、無線基地局に識別認証処理、接続処理および課金処理をネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対してすることができる機能を持たせたから、管理者は、低コストで無線基地局を必要とする箇所に設置することができるようになった。IP網の共通利用により専用回線を不要とし維持費を安価にすることができる。
【0010】
IP網を共通利用して専用回線を不要としたにもかかわらず、移動通信事業者である課金者用および無線基地局の所有者である管理者用の2つのルーター処理により、高いセキュリティを確保できた。これにより、互いに面識の無い移動通信事業者、複数の管理者および不特定多数の無線端末が、互いに他人のアドレスに不正アクセスすることを防止している。たとえば、移動通信事業者が管理者側に侵入したり、管理者が他の管理者側に不正アクセスし、個人情報が流出するのを防止している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網に接続された、無線端末の認証をし使用量に応じて課金する移動通信事業者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバーと、無線端末をIP網に接続してパケット交信するための管理者所有の無線基地局とがあり、無線基地局が、無線端末との間で交信する場合に、それに先立ちネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対して無線端末の識別認証を受けるための識別認証処理をし、その後に無線端末をIP網に接続してパケット交信を可能とするための接続処理をし、パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測処理をし、計測したパケット量をネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対して通知することにより、無線端末の使用者に対して課金するための課金処理をし、ネットワーク・サービス認証・課金サーバーに対するネットワーク・ルートと管理者に対するネットワーク・ルートとを分離する課金者用ルーティング処理と管理者ローカルIP用ルーティング処理とをすることができるようにした。
【0012】
これにより、ユーザーのIP回線に無線基地局を接続するだけで、無線端末のユーザーの必要とする場所を低コストで無線LANサービス・エリアとすることができ、しかも、移動通信事業者である課金者側と無線基地局の管理者側とを分離して高いセキュリティを保証することができるようにした。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の一実施例の構成図である。IP網1には、それぞれIP回線6,7,9を介して管理者AおよびB所有の無線基地局BSA,BSBおよび移動通信事業者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバー3が既存の電話線を使ったデジタル伝送方式の1つであるADSLなどのIP回線6,7,9を介して接続されている。無線基地局BSA,BSBは、公衆無線LAN(構内情報通信網)基地局としての機能を有している。
【0014】
このようなネットワーク・サービス認証・課金サーバー3およびIP回線9は、ネットワーク提供者である移動通信事業者の設備NIである。公衆無線LAN基地局としての機能を有する無線基地局BSAおよびIP回線6は、管理者Aの設備AIである。公衆無線LAN基地局としての機能を有する無線基地局BSBおよびIP回線7は、管理者Bの設備BIである。ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3は、無線基地局BSからの通知により、サービス加入ユーザーである無線端末Uを認証し、パケット量従量制用の課金をする。
【0015】
無線基地局BSは、図6に示した従来の基地局BSPの有する従来基地機能の他に、ルーティングおよびファイヤー・ウォールなどの一般家庭向けの無線LANルーター機能および課金のためのユーザー毎の情報量を計測するパケット量計測機能を併せもつ。
【0016】
図2は、図1の重要な構成要素である無線基地局BSの内部機能構成図である。そこには、無線LANインタフェース(I/F)11、ユーザー識別部14および課金者用ルーター15を含む課金部13、LANインタフェース(I/F)21、管理者ローカルIP用ルーター22、パケット量計測部31およびゲート・ウェイ32が含まれている。ゲート・ウェイ32には、IP回線6が接続されている。LANインタフェース(I/F)21には、ローカル回線26により直接にあるいはIP網1を介して管理者のパソコンなどが接続されて管理者情報が伝えられ、管理者は無線基地局BSの利用状況を知ることができ、必要に応じて無線基地局BS側を制御することができる。
【0017】
課金者用ルーター15と管理者ローカルIP用ルーター22には、あらかじめIP網1のネットワーク・アドレスが与えられており、各ルーター15および22を通して無線端末U、ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3やローカル回線26に接続された管理者用のローカルLAN端末LLにルーティング(接続)される。このIP網1のネットワークを課金者用と管理者の2つのネットワークに分けて接続使用する意味について説明する。
【0018】
一般に、課金者と管理者は互いに面識が無く、課金者用ネットワークは不特定多数のユーザーが使用するため、課金者と管理者の互いのセキュリティを保証するために、IP網1のネットワークを課金者用と管理者用の2つのネットワークに分けて使用している。例えば、課金者が管理者のローカル・ネットワークに接続して、管理者側のローカルLAN端末LLへの不正アクセスをすることや、逆に、管理者Aが他の管理者Bの端末に侵入したり、課金者側のネットワーク・サービス認証・課金サーバー3を不正に操作して個人情報の流出を招いたり、不正な監視をすることを防止している。
【0019】
使用したパケット量に対する従量制課金のサービスにおいては、たとえば、無線基地局BSA傘下のユーザーである無線端末UA1〜UAn,およびローカルLAN端末LLの間で交信する場合には課金は発生しないが、他のユーザーの基地局であるたとえば無線基地局BSB傘下のユーザーである無線端末UB1〜UBmとの間で交信する場合には、課金が発生する。
【0020】
たとえば、無線端末UAと無線端末UBとの間で交信する場合には、無線端末UAから送信するパケット量に対する課金Aは、無線基地局BSAの管理者Aから無線基地局BSBの管理者Bに対して支払われる額となる。同様に、無線端末UBから送信するパケット量に対する課金Bは、無線基地局BSBの管理者Bから無線基地局BSAの管理者Aに対して支払われる額となる。課金AとBの差額が実際には支払われる。課金AとBが同額である場合には、支払いは発生しない。
【0021】
IP網1から課金者識別情報28により管理者ローカルIP用ルーター22のアドレス宛に送信されてきた情報は、宛先情報を元にルーティングされ、無線LANインタフェース(I/F)11を介して無線端末U(被課金者)または、ローカルLANインタフェース(I/F)21を介してローカル回線26側へと伝送される。ただし、管理者発の、あるいは、管理者宛の送受信パケットはパケット量計測の対象から外され、課金は行われない。
【0022】
IP網1から無線端末UB(被課金者)発のパケットが無線基地局BSAの課金者識別情報28により課金者用ルーター15のアドレス宛に送信されてきたときには、宛先情報を元にルーティングされ、無線LANインタフェース11を介して無線端末UA(被課金者)側へと伝送される。それと同時に、パケット量がパケット量計測部31において計測され、ゲート・ウェイ32を介してネットワーク・サービス認証・課金サーバー3(課金者)へと報告される。
【0023】
無線基地局BSA傘下(サービスエリア)の無線端末UA1とUA2の間の交信は、パケット量計測はされず、課金は発生しない。この場合は、無線LANネットワーク内の使用に限定されており、IP網1を使用せず、移動通信事業者(課金者)側へのIP網1の使用料の支払いは発生しないからである。管理者Aが無線基地局BSAを用いて傘下(サービスエリア)の無線端末UAと交信する場合も、同様に、課金は発生しない。
【0024】
無線基地局BSAおよびBSBに接続を認められた加入ユーザー(無線端末の使用者)は、RADIUS認証プロトコル(Remote Authentication Dial-in User Service:ユーザーが接続したアクセス・サーバーと、ユーザー認証を処理するサーバーの間でやりとりする通信プロトコルで、RFC2138, RFC2139として規定されている)に従って所定のID、パスワードでのユーザー認証と識別がなされる。
【0025】
その識別の後、管理者自身がユーザーとなる場合には課金の必要が無いからユーザー識別部14は、無課金識別情報25として管理者ローカルIP用ルーター22に渡し、管理者以外のユーザーの場合には課金の必要が有るから課金識別情報24として課金者用ルーター15に渡す。この識別の後にIP網1へのアクセスが可能となる。このときのパケット量は、パケット量計測部31で無線基地局BSのユーザー毎にカウントされ、パケット量は定期的にネットワーク・サービス認証・課金サーバー3 にゲート・ウェイ32を介してIP回線6およびIP網1により送られて、ユーザー毎の課金が可能となる。
【0026】
無線基地局BSは、管理者の無線LANルーターも兼ねている。ここで、無線基地局BSAを管理する管理者とは、無線基地局BSAの所有者であり、無線基地局BSBを管理する管理者とは、無線基地局BSBの所有者である。
【0027】
管理者ローカルIP用ルーター22は、管理者の無線基地局BS傘下(サービスエリア)の無線端末U(ユーザー)のセキュリティーを保護するために、IPフィルタ、ファイア・ウォールなどの機能を有しており、無線LANアクセス・ポイント・ルーターとして動作し、ローカル・アドレスのパケット交換の機能を有している。
【0028】
ゲート・ウェイ32はIP網1に対するGW(Gate Way:関門)機能を有する。これらの機能は、従来の無線基地局BSPと同じである。無線LANインタフェース(I/F)11は、無線LANネットワークの基地機能を実現するためのものであり、従来の無線基地局BSPと同じである。
【0029】
無線基地局BSは、無線LANインタフェース(I/F)11に電波を受けると、ユーザー識別部14において、その電波の発射源が誰であるのかを示す無線端末Uの識別情報を読み取り、課金者用ルーター15および管理者ローカルIP用ルーター22に渡す。課金者用ルーター15では被課金者を特定して、課金者情報をパケット量計測部31に課金者識別情報28として渡す。パケット量計測部31では、その被課金者からのパケット量を計測し、定期的にゲート・ウェイ32を介してIP回線6を経由してネットワーク・サービス認証・課金サーバー3に対して報告する。ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3は、この被課金者に対して課金する。
【0030】
管理者ローカルIP用ルーター22は、あらかじめIP網1のネットワーク・アドレスが与えられており、課金者情報をパケット量計測部31に課金者識別情報28として渡す。ローカルLANインタフェース21を介してローカル回線26側と交信する相手が、同じ無線基地局BS傘下の無線端末Uである場合は、管理者ローカルIP用ルーター22は無線LANインタフェース11にローカル識別情報27として伝える。ローカル回線26には、管理者用のローカルLAN端末LLが直接に、あるいは、IP網1を介して接続される。
【0031】
無線基地局BSが従来の無線基地局BSPと異なる点は、課金すべきユーザーか否かを識別する課金部13と課金データを得るパケット量計測部31が付加されていること、およびIP網1を使用した場合のセキュリティを確保するために、課金者用ルーター15および管理者ローカルIP用ルーター22が付加されてルーティングしていることである。
【0032】
図3は、図2の無線基地局BSにおけるユーザー認証動作の流れを示したフローチャートである。たとえば、ユーザーA1は、無線端末UA1から発呼すると、WEP(Wired Equivalent Privacy: 無線LANのIEEE802.11bなどで利用する暗号化方式。ここに、IEEE802.11bは、最大伝送速度が11Mbit/sの規格)とESS-ID(Extended Service Set Identifier: 拡張サービス・セットの識別情報)により、無線基地局BSAに接続する。ここでは、SSID(Spread Spectrum ID: 拡散符号を用いた識別情報)を使用する場合もある。
【0033】
無線LANのアクセスポイントとして動作する無線基地局BSAは、アクセスポイントとして交信しても良いか否かの認証をする(S1)。この認証処理においては、無線端末UA1からの無線LANネットワークの認証ID、パスワードを入力すると、無線基地局BSAは、入力された認証ID、パスワードによりネットワーク・サービス認証・課金サーバー3にRADIUS認証プロトコルにより確認し、認証されたならば、接続すべきユーザーであるか否かの確認に移る(S2)。
【0034】
接続すべきユーザーであり交信しても良いと判断したときには(S2Y)、それが無線基地局BSAの管理者である場合には(S3Y)、ローカル回線26を介してローカルIP網側のローカルLAN端末LLに接続し(S4)、管理者ローカルIP用ルーター22を介してパケット量計測部31において接続した交信のパケット量を計測し(S7)、定期的にパケット量をネットワーク・サービス認証・課金サーバー3に報告して動作は終了する。
【0035】
無線基地局BSAの管理者でない場合には(S3N)、WAN回線(Wide Area Network:広域ネットワーク)であるIP網1に接続し(S5)、パケット量計測部31において接続した交信のパケット量を計測し(S7)、定期的にパケット量をネットワーク・サービス認証・課金サーバー3に報告して動作は終了する。ステップS2において、接続すべきユーザーではなく、交信できないと認証したときには(S2N)、無線LANの接続を拒否し認証動作は終了する(S6)。
【0036】
図4および図5は、図1の構成における動作の流れを示したフローチャートである。たとえば無線端末UA1と、無線基地局BSAと、ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3の間の関係を表している。無線端末UA1と無線基地局BSAとの間の無線区間は、たとえば、無線LANのIEEE802.11(暗号化方式)に準拠している。無線基地局BSAとネットワーク・サービス認証・課金サーバー3との間は、IP網1によって接続されている。
【0037】
無線端末UA1は無線LANネットワーク・サービスに加入している加入ユーザーの所有物であり、無線基地局BSAは、管理者の所有物であり、その管理下にある。ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3は、移動通信事業者(課金者)である無線LANネットワーク・サービス提供者の所有物である。
【0038】
無線端末UA1がIP網1を介して、たとえば、無線端末UBmに接続を希望し、無線LAN暗号化による認証を無線基地局BSAに対して要求する(S21、図4)。無線基地局BSAは、暗号認証要求を受けて、認証すべきか否かを検討する(S22)。認証すべきと判断した場合には、無線端末UA1に対して認証許可を通知する(S23)。無線端末UA1が認証許可を受信すると(S24)、無線LANネットワークへの認証(RADIUS認証)を受けるためにIDおよびパスワードを入力する(S25)。
【0039】
無線端末UA1からのIDおよびパスワードを受けた無線基地局BSAは、認証確認(ユーザー確認)要求をネットワーク・サービス認証・課金サーバー3に対して送信する(S26)。これを受けたネットワーク・サービス認証・課金サーバー3では、データベースを検索してすでに無線端末UA1がユーザーとして登録されていることを確認し(S27)、認証を許可し、IP網1への接続を許可するサーバー認証を無線基地局BSAに対して通知する(S28)。
【0040】
ネットワーク・サービス認証・課金サーバー3からのサーバー認証を受けた無線基地局BSAは、IP網1への接続許可を無線端末UA1に対して送信する(S29)。無線端末UA1は、IP網1への接続許可を受信し(S30)、IP網1へ接続したことを確認し(S31、図5)、IPパケットの送受信を開始する(S32)。この送受信の開始により無線基地局BSAは、送受信するパケット量の計測を開始する(S33)。
【0041】
無線端末UA1でのIPパケットの送受信による交信が継続している間(S34)、無線基地局BSAでは送受信パケット量を計測する(S35)。通信が終了すると、無線端末UA1はログアウトされ(S36)、無線基地局BSAは、送受信パケット量をネットワーク・サービス認証・課金サーバー3に通知する(S37)。その報告を受けたネットワーク・サービス認証・課金サーバー3は送受信パケット量に応じて無線端末UA1のユーザーに課金して動作を終了する(S38)。
【0042】
図4および図5においては、端末として無線端末UA1を用いて説明したが、他の無線端末UA2〜UAn、UB1〜UBmあるいは、ローカルLAN端末LLに置き換えても同様に動作する。ただし、ローカルLAN端末LLの場合には、無線基地局BSAとの間の接続は、有線となる。また、以上において、無線基地局BSAを無線基地局BSBに置き換えても同様に動作する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本願発明の無線通信網接続装置の実施例を示した要素構成図である。(実施例1)
【図2】図1の重要な構成要素である無線基地局の内部機能構成図である。
【図3】図2の無線基地局におけるユーザー認証動作の流れを示したフローチャートである。
【図4】図1の構成における動作の流れを示したフローチャートである。
【図5】図4とともに図1の構成における動作の流れを示したフローチャートである。
【図6】従来例を示した要素構成図である。
【符号の説明】
【0044】
1,1P IP網
3 ネットワーク・サービス認証・課金サーバー
3P ネットワーク・サービス認証サーバー
6,6P,7,7P,9,9P IP回線
11 無線LANインタフェース
13 課金部
14 ユーザー識別部
15 課金者用ルーター
21 ローカルLANインタフェース
22 管理者ローカルIP用ルーター
24 課金識別情報
25 無課金識別情報
26 ローカル回線
27 ローカル識別情報
28 課金者識別情報
31 パケット量計測部
32 ゲート・ウェイ
AI 管理者Aの設備
BI 管理者Bの設備
BSA,BSB,BSPA,BSPB 無線基地局
LL ローカルLAN端末
NI,NIP ネットワーク提供者の設備
UA BSA傘下の無線端末
UB BSB傘下の無線端末
UPA BSPA傘下の無線端末
UPB BSPB傘下の無線端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網(1)に接続された、無線端末(U)の認証をし使用量に応じて課金する課金者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)と、前記無線端末(U)を前記IP網(1)に接続してパケット交信するための管理者所有の無線基地局(BS)とがあり、
前記無線基地局(BS)が、前記無線端末(U)との間で交信する場合に、それに先立ち前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して前記無線端末(U)の使用者を識別して認証を受けるための認証処理(14)をし、
その後に前記無線端末(U)を前記IP網(1)に接続して前記パケット交信を可能とするための接続処理(11、32)をし、
前記パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測処理(31)をし、
前記計測したパケット量を前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して通知することにより、前記無線端末(U)の使用者に対して課金することを可能とするための課金処理(13)をする
無線通信網接続方法。
【請求項2】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網(1)に接続された、無線端末(U)および管理者用のローカルLAN端末(LL)の認証をし、前記管理者以外の使用者の使用量に応じて課金する課金者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)と、前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を前記IP網(1)に接続してパケット交信するための前記ローカルLAN端末(LL)との間を有線接続された前記管理者所有の無線基地局(BS)とがあり、
前記無線基地局(BS)が、前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)との間で交信する場合に、それに先立ち前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を識別して認証を受けるための認証処理(14)をし、
その後に前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を前記IP網(1)に接続して前記パケット交信を可能とするための接続処理(11、32)をし、
前記パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測処理(31)をし、
前記計測したパケット量を前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して通知することにより、前記無線端末(U)の使用者を被課金者として課金することを可能とするための課金処理(14,15)をし、
前記課金者と前記管理者の通信ルートを分離してセキュリティを保持するための前記課金者用のルーティングと前記管理者用のルーティングとを分離するためのルーティング処理(15,22)をする
無線通信網接続方法。
【請求項3】
前記課金処理(14,15)が、
使用者が被課金者であるか否かを識別するためのユーザー識別処理(14)と、
前記課金者に対して課金するための課金者用ルーター処理(15)とを含んでいる
請求項2の無線通信網接続方法。
【請求項4】
前記パケット量計測処理(31)において、
前記管理者のパケット交信においては、パケット量の計測はしない、
請求項1または2の無線通信網接続方法。
【請求項5】
前記ルーティング処理(15,22)において、
前記課金者用のルーティングが、外部からの侵入者を防止するためのファイヤーウォールを含んでいる、
請求項2の無線通信網接続方法。
【請求項6】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網(1)に接続された、無線端末(U)の認証をし使用量に応じて課金する課金者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)と、前記無線端末(U)を前記IP網(1)に接続してパケット交信するための管理者所有の無線基地局(BS)とがあり、
前記無線基地局(BS)が、
前記無線端末(U)との間で交信する場合に、それに先立ち前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して前記無線端末(U)の使用者を識別して認証を受けるための認証手段(14)と、
前記認証後に前記無線端末(U)を前記IP網(1)に接続して前記パケット交信を可能とするための接続手段(11、32)と、
前記パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測手段(31)と、
前記計測したパケット量を前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して通知することにより、前記無線端末(U)の使用者に対して課金することを可能とするための課金手段(13)とを含んでいる
無線通信網接続装置。
【請求項7】
インターネット・プロトコルによる通信網であるIP網(1)に接続された、無線端末(U)および管理者用のローカルLAN端末(LL)の認証をし、前記管理者以外の使用者の使用量に応じて課金する課金者所有のネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)と、前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を前記IP網(1)に接続してパケット交信するための前記ローカルLAN端末(LL)との間を有線接続された前記管理者所有の無線基地局(BS)とがあり、
前記無線基地局(BS)が、
前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)との間で交信する場合に、それに先立ち前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を識別して認証を受けるための認証手段(14)と、
前記認証後に前記無線端末(U)または前記ローカルLAN端末(LL)を前記IP網(1)に接続して前記パケット交信を可能とするための接続手段(11、32)と、
前記パケット交信中のパケット量を計測するためのパケット量計測手段(31)と、
前記計測したパケット量を前記ネットワーク・サービス認証・課金サーバー(3)に対して通知することにより、前記無線端末(U)の使用者を被課金者として課金することを可能とするための課金手段(14,15)と、
前記課金者と前記管理者の通信ルートを分離してセキュリティを保持するための前記課金者用のルーティングと前記管理者用のルーティングとを分離するためのルーティング手段(15,22)とを含んでいる
無線通信網接続装置。
【請求項8】
前記課金手段(14,15)が、
使用者が課金者であるか否かを識別するためのユーザー識別手段(14)と、
前記課金者に対して課金するための課金者用ルーター手段(15)とを含んでいる
請求項7の無線通信網接続装置。
【請求項9】
前記パケット量計測手段(31)において、
前記管理者のパケット交信においては、パケット量の計測はしない、
請求項6または7の無線通信網接続装置。
【請求項10】
前記ルーティング手段(15,22)において、
前記課金者用のルーティングが、外部からの侵入者を防止するためのファイヤーウォールを含んでいる、
請求項7の無線通信網接続装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−98714(P2008−98714A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−274546(P2006−274546)
【出願日】平成18年10月6日(2006.10.6)
【出願人】(000000181)岩崎通信機株式会社 (133)
【Fターム(参考)】