説明

照明付き浴槽

【課題】 本発明は、発光部に開口を塞ぐための透光窓を設けずに、且つ浴槽を移動させることなく浴槽内側から照明器具のメンテナンスができるといった美観性とメンテナンス性を両立させた照明付き浴槽を提供することを目的とする。
【解決手段】 光透過性を有する浴槽と、前記浴槽裏側の所定位置に配設された光源とを備えた照明付き浴槽であって、前記浴槽の前記所定位置から離れた部位には、前記光源を浴槽裏側に対して出し入れ可能な貫通孔が形成されており、前記光源が前記貫通孔と前記所定位置との間を移動可能にするガイド手段が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内を光らせることができる照明付き浴槽に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽の水没箇所に貫通形成した開口を設け、その開口に対してパッキンを介在させて透光窓を水密状に嵌め付け、透光窓の内側にLEDを配設した浴槽演出照明装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、透明材または半透明材で成る浴槽容器の裏側に照明装置を配設した照明装置内蔵型浴槽が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−309865号公報
【特許文献2】特開2003−38375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の浴槽演出照明装置は、浴槽の発光部に開口を塞ぐ透光窓が付いているため、浴槽を移動させることなく浴槽内側からメンテナンスができるという利点があるが、発光部と非発光部とで外観が変わるため、消灯時の美観が損なわれるという欠点があった。
【0006】
特許文献2では、浴槽容器が透明材または半透明材で形成されているため、発光部に開口を塞ぐ透光窓のようなものが存在せず美観に優れるという利点があるが、照明器具をメンテナンスする際には、浴槽を持ちあげて取り外す必要があり、大変な作業を強いられるという欠点があった。
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、発光部に開口を塞ぐための透光窓を設けずに、且つ浴槽を移動させることなく浴槽内側から照明器具のメンテナンスができるといった美観性とメンテナンス性を両立させた照明付き浴槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明に係る照明付き浴槽は、光透過性を有する浴槽と、前記浴槽裏側の所定位置に配設された光源とを備えた照明付き浴槽であって、前記浴槽の前記所定位置から離れた部位には、前記光源を浴槽裏側に対して出し入れ可能な貫通孔が形成されており、前記光源が前記貫通孔と前記所定位置との間を移動可能にするガイド手段が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、浴槽が光透過性を有する材料から形成されているため、光源が配設された発光部に開口および透光窓を設けることなく浴槽内を光らせることができる。また、浴槽の光源が配設される所定位置(発光部)から離れた部位には、光源を浴槽内側および裏側間で出し入れ可能な貫通孔が形成されており、且つ貫通孔と光源が配設される所定位置との間を行き来して移動できるガイド手段を備えている。このことから、発光部とは離れた例えば浴槽のフランジ面のように浴槽内面の美観を損ねない部位に貫通孔を設け、所定位置にある光源を離れた位置にある貫通孔まで引き出したり、光源を貫通孔から離れた位置にある所定位置まで押し入れたりすることが可能となる。
【0010】
更に本発明では、前記ガイド手段は、一端が前記貫通孔に連通され、他端が前記浴槽裏側の所定位置に連通された管状部材と、前記管状部材内に収容され、前記光源と連結され、且つ前記光源を遠隔操作で移動可能にする遠隔操作部材とから構成されていることが好ましい。
【0011】
この好ましい態様では、管状部材の内部を通って、離れた位置にある光源を所定位置と貫通孔とをスライド移動させることができる。また、遠距離にある光源を近距離から移動させたり、近距離にある光源を遠距離に移動させるための遠隔操作部材を備えているため、光源のメンテナンスが容易になる。
【0012】
更に本発明では、前記遠隔操作部材は、前記光源に電気を送る電気ケーブルであることが好ましい。
【0013】
この好ましい態様では、電気ケーブルを光源の移動を遠隔操作するための手段として兼用させているため、部品点数を削減でき、ガイド手段を簡素化できる。また、電気ケーブルは可撓性を有するため、管状部材が屈曲しているような場合であっても、円滑に光源を移動させることができる。
【0014】
更に本発明では、前記管状部材の前記一端近傍、又は前記貫通孔を塞ぐキャップには前記遠隔操作部材を引っ掛けることが可能な保持部材が取り付けられていることが好ましい。
【0015】
この好ましい態様では、遠隔操作部材の少なくとも一部が保持部材によって常に貫通孔近傍に配置されるため、貫通孔から容易に可撓性部材を掴むことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、発光部に開口を塞ぐための透光窓を設けずに、且つ浴槽を移動させることなく浴槽内側から照明器具のメンテナンスができるといった美観性とメンテナンス性を両立させた照明付き浴槽を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明付き浴槽の外観斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る照明付き浴槽の断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図2のA部詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0019】
図1に示すように、光透過性を有する材料から形成された浴槽10は、浴槽水を溜めることが可能な内槽部11と、内槽部11の上端縁から外方側に延出形成されたリム部12とが形成されている。内槽部11の底面には、浴槽水を排水するための排水口15が設けられており、排水口15には、排水口15を開閉する排水栓20が取り付けられている。また、浴槽水の溜まる内槽部11の裏面側の複数個所には、光源(LED)30が配設されており、光源30が発光することにより、浴槽10の内槽部11を光らせることが可能になっている。光源30は、電気ケーブル31を介して電源部40と接続されている。また、リム部12の上面には、光源3および電気ケーブル31を出し入れ可能な貫通孔13が形成されている。当該貫通孔13は、着脱可能な防水カバー50によって水密的に塞がれている。
【0020】
また、図2に示すように、浴槽10の裏側には、貫通孔13と光源30とを繋ぐように管状部材60が配置されている。当該管状部材60の内部に、光源30と電気ケーブル31が収容されている。
【0021】
図3は、図2のB−B断面図であり、浴槽10の発光部分を示している。このように、管状部材60の端部は、浴槽10の発光部分裏面に対して固定されている。また、光源30が浴槽10の発光部裏面側に配置されており、光源30が発光することで浴槽10の内面を光らせることができる。
【0022】
図4は、図2のA部詳細図であり、浴槽10の貫通孔13部分を示している。このように管状部材60の端部は、貫通孔13に対して連通されている。また、光源30と連結された電気ケーブル31は、防水カバー50の裏面に設けられたフック状の保持部材51に引っ掛けられて保持されている。
【0023】
また、リム部12における貫通孔13の近くには、排水栓20を遠隔操作するための操作ボタン21が取り付けられる取付孔14が形成されている。使用者が操作ボタン21を押動させることで、ワイヤー22を介して排水栓20が上下に昇降する。また、防水カバー50には操作ボタン21が取付られる開口が形成されている。
【0024】
以上のように構成された照明付き浴槽によれば、以下の効果がある。
【0025】
まず、浴槽10が光透過性を有する材料から形成されているため、浴槽10の裏側に光源30を配置するだけで、浴槽10の内面を光らせることができる。つまり、発光部に開口および透光窓を設けることなく、浴槽10の内面を光らせることができる。
【0026】
また、メンテナンスのために光源30を取り外す際には、防水カバー50を取り外すことで浴槽10表面側に露出する貫通孔13から電気ケーブル31を引っ張る。すると、光源30が管状部材60内を通って貫通孔13側に向かって移動し、やがて貫通孔13から光源30を浴槽10内側に引き出すことが可能となる。つまり、浴槽10を持ち上げる必要がなく、浴槽10内側から楽な姿勢で光源30を引き出すことが可能となる。
【0027】
また、光源30を浴槽10裏側の所定位置に戻す際には、防水カバー50が外れた状態で貫通孔13から光源30を管状部材60内に入れて、電気ケーブル31を押し込む。すると、管状部材60内を通って、光源30が浴槽10裏側の所定位置に向かって移動していき、やがて発光部分となる所定位置に到達する。つまり、浴槽10を持ち上げる必要がなく、浴槽10内側から楽な姿勢で光源30を取り付けることが可能となる。
【0028】
また、浴槽のリム部に光源を出し入れする貫通孔を形成しているため、浴槽エプロンを取り外すことなくメンテナンスすることができる。また、デッキ内に浴槽が設置される場合であっても、デッキに点検口、および点検口蓋を設ける必要が無いため、デッキの意匠性を向上させることができる。
【0029】
このように、管状部材60内を通って光源30が移動するため、浴槽10裏側の器具や配管などの障害物にぶつかることなく、光源30の出し入れができる。
【0030】
また、防水カバー50にフック状の保持部材51を設けているため、常に電気ケーブル31を貫通孔13の近くに配置させておくことができ、さらに防水カバー50を取り外すと電気ケーブル31も追従して一部が貫通孔13の外部に引き出されることになる。つまり、貫通孔13の中に手を入れて電気ケーブル31を探したりする必要が無く、作業性を向上させることができる。
【0031】
また、排水栓20を遠隔操作するための操作ボタン21を防水カバー50の開口に配置させるようにしたため、防水カバー50と操作ボタン21とが一体化され、リム部12をスッキリさせることができる。
【0032】
また、上記実施例では、電気ケーブル31を介して、光源30の移動を遠隔操作していたが、別実施形態として、電気ケーブルとは別に、例えば紐状などの専用の遠隔操作部材を光源30に連結して、遠隔操作部材を操作することで光源30を用いて遠隔操作できるようにしても良い。
【0033】
また、上記実施例では、管状部材60内を通って光源30を移動可能としていたが、光源30が発光位置と貫通孔13との間を行き来できれば、必ずしも管状である必要は無く、例えば、レール状部材を用いて、レール状部材に対して光源30がスライドできるようにしても良い。
【0034】
また、上記実施例では、防水カバー50にフック状の保持部材51を設けていたが、例えば、管状部材60の貫通孔13側の端部近傍に保持部材を設けるようにしても良い。
【0035】
また、上記実施例では、貫通孔13を塞ぐ防水カバー50自体に特別な機能を持たせていないが、別実施形態として、光源30のオン・オフ、光量、光色を調整できる光源操作ボタンとしての機能を持たせても良い。
【符号の説明】
【0036】
10…浴槽、11…内槽部、12…リム部、13…貫通孔、14…取付孔、15…排水口、20…排水栓、21…操作ボタン、22…ワイヤー、30…光源、31…電気ケーブル、40…電源部、50…防水カバー、51…保持部材、60…管状部材、70…浴槽エプロン、80…バスデッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する浴槽と、
前記浴槽裏側の所定位置に配設された光源とを備えた照明付き浴槽であって、
前記浴槽の前記所定位置から離れた部位には、前記光源を浴槽裏側に対して出し入れ可能な貫通孔が形成されており、
前記光源を前記貫通孔と前記所定位置との間で移動可能にするガイド手段が設けられていることを特徴とする照明付き浴槽。
【請求項2】
前記ガイド手段は、
一端が前記貫通孔に連通され、他端が前記浴槽裏側の所定位置に連通された管状部材と、
前記管状部材内に収容され、前記光源と連結され、且つ前記光源を遠隔操作で移動可能にする遠隔操作部材とから構成されていることを特徴とする請求項1記載の照明付き浴槽。
【請求項3】
前記遠隔操作部材は、前記光源に電気を送る電気ケーブルであることを特徴とする請求項2記載の照明付き浴槽。
【請求項4】
前記管状部材の前記一端近傍、又は前記貫通孔を塞ぐキャップには前記遠隔操作部材を引っ掛けることが可能な保持部材が取り付けられていることを特徴とする請求項2記載の照明付き浴槽。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−183120(P2011−183120A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54716(P2010−54716)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】