説明

照明制御装置および照明ユニット

【課題】予測しない環境の変化が発生した場合であっても、照明エリアにおいて適切な明るさを維持可能な照明制御技術を提供することを課題とする。
【解決手段】照明ユニット1は、照明装置2と照明制御装置3とを備える。照明制御装置3は、イメージセンサ32から取得した照明エリア内の画像を解析する。照明エリア内には測光エリアが設定されており、照明制御装置3は、測光エリア内の照度の時間方向の変化を考慮して、照明制御情報を生成する。照明制御装置3は、また、複数の測光エリア内の照度の変化を総合判断して、照明制御装置3を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明エリア内の照度に応じて明るさを調整可能な照明ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
照明エリア内の照度を検知し、検知した照度に応じて照明器具の明るさを調整するシステムが存在する。
【0003】
特許文献1においては、撮像手段から入力された画像情報を処理することにより、照明器具の点灯状態を制御している。特許文献2においては、照明エリア内の任意の平面上の照度分布状態を推定し、推定値を利用して照明制御を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−45370号公報
【特許文献2】特開平9−312198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1あるいは特許文献2においては、照明エリア内の照度に応じて照明器具の明るさを自動制御することができる。しかし、センサによって検知する照度は様々な環境の変化の影響を受ける。環境の変化の影響により、予測しない照度の変化が生じた場合、照明器具に対して適切な制御を行うことができない。
【0006】
照明エリア内の照度を検知するために、照明エリア内の特定のエリアを測光エリアとして指定する場合がある。従来、測光エリアを指定するためには、イメージセンサのレンズ部分に手作業でマスキングを行っていた。この手作業は煩雑な作業である上に、測光エリアを正確に指定することが難しかった。
【0007】
本発明の目的は、予測しない環境の変化が発生した場合であっても、複数の測光エリアの明るさを演算することにより、照明エリアにおいて適切な明るさを維持可能な照明制御技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の照明制御装置は、照明装置を制御するための照明制御装置であって、照明エリアを撮像するイメージセンサと、前記イメージセンサによって取得された画像データを格納するメモリと、前記メモリに格納された前記画像データの撮像範囲内に測光エリアを設定する測光エリア設定部と、前記測光エリア内の輝度の時間方向の変化から、前記測光エリア内の照度の状態を取得し、前記測光エリア内の照度の状態を所定のアルゴリズムを用いて評価することで、前記照明装置を制御するための照度制御情報を生成する制御装置と、前記照度制御情報を出力する出力部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の照明制御装置であって、前記測光エリア設定部は、前記画像データの撮像範囲内に、第1〜第N(Nは2以上の整数)測光エリアを設定可能であり、前記制御装置は、前記第1〜第N測光エリア内の輝度の時間方向の変化から、前記第1〜第N測光エリア内の照度の状態を取得し、N箇所の照度の状態を前記アルゴリズムを用いて評価することで、前記照明制御情報を生成する。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の照明制御装置であって、さらに、前記画像データをモニタに出力させるための表示用データを出力する出力インタフェース、を備え、前記測光エリア設定部は、前記モニタに表示された前記画像データに前記測光エリアを視覚的に明示する測光エリア指定オブジェクトを表示させるエリア表示部、を含み、前記照明制御装置は、さらに、前記画像データ上に表示された前記測光エリア指定オブジェクトのエリア範囲を操作する操作情報を入力する入力インタフェース、を備える。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3に記載の照明制御装置であって、前記測光エリア設定部は、前記入力インタフェースから入力する操作情報に応じて、前記画像データの撮像範囲内の任意の位置に任意のサイズで前記測光エリアを設定する。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の照明制御装置であって、さらに、前記イメージセンサと前記制御装置との間に配置されるインタフェース装置、を備え、前記インタフェース装置は、前記イメージセンサから出力された所定の色空間のカラー画像データから輝度情報を抽出し、前記画像データを生成する輝度情報抽出部、を含む。
【0013】
請求項6記載の発明は、請求項5に記載の照明制御装置であって、前記インタフェース装置は、前記イメージセンサから出力された所定の色空間のカラー画像データの解像度を減少させて、前記画像データを生成する解像度変更部、を含む。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の照明制御装置であって、さらに、無線通信ユニット、を備え、無線機能を備えた照明ユニットとの間で前記照明制御情報を交換する。
【0015】
請求項8記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の前記照明制御装置と、前記出力部から出力された前記照明制御情報に基づいて照度が調整される照明装置と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明の照明制御装置によれば、予測しない環境の変化が発生した場合にも、照明エリアの照度を適切に制御することができ、あわせて局所的な照度の変化に影響を受けることなく、照明エリアの照度を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】照明ユニットの全体外観図である。
【図2】照明制御装置の外観図である。
【図3】照明制御装置のブロック図である。
【図4】インタフェース装置の機能を示す図である。
【図5】設定プログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】モニタに表示された測光エリアの指定枠を示す図である。
【図7】モニタに表示された測光エリアの指定枠を示す図である。
【図8】制御プログラムの処理内容を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態に係る照明制御装置のブロック図である。
【図10】第2の実施の形態に係る照明ユニットの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
{第1の実施の形態}
以下、図面を参照しつつ本発明の第1の実施の形態について説明する。図1は、第1の実施の形態に係る照明ユニット1の全体外観図である。照明ユニット1は、照明装置2と照明装置2に接続された照明制御装置3とを備えている。
【0019】
照明装置2は、本実施の形態においては、LED(Light Emitting Diodes)照明装置を利用している。
【0020】
照明制御装置3は、照明装置2を制御するための装置である。照明制御装置3は、たとえば、手の平に乗る程度の小さな装置である。照明装置2は、室内の天井や壁、屋外のポールなどに取り付けられる。照明制御装置3は、ケーブル4を介して照明装置2に接続されている。照明制御装置3は、天井や壁、ポールなどに取り付けられる。
【0021】
図2は、照明制御装置3の外観図である。図2に示すように、照明制御装置3には、ケーブル6を介してモニタ5が接続されている。モニタ5は、環境設定時にのみ照明制御装置3に接続される。実際に照明エリア内で照明ユニット1が動作しているときには、モニタ5は取り外される。モニタ5としては、たとえば、320ドット×240ドットなどの小型の液晶モニタなどが利用される。
【0022】
図2に示すように、照明制御装置3には、ケーブル7を介して操作ユニット350が接続されている。操作ユニット350は、環境設定時にのみ照明制御装置3に接続される。実際に照明エリア内で照明ユニット1が動作しているときには、操作ユニット350は取り外される。操作ユニット350は、第1ボタン351、第2ボタン352および第3ボタン353を備えている。第3ボタン353は、4方向への移動指示を可能とする4つのボタンから構成されている。
【0023】
本実施の形態においては、ケーブル7を利用して操作ユニット350を照明制御装置3に接続しているが、操作ユニット350を無線通信を利用して照明制御装置3に接続してもよい。無線を利用する場合には、小電力無線やZigBeeなどを利用することができる。
【0024】
本実施の形態においては、操作ユニット350を照明制御装置3とは別の外部ユニットで構成しているが、操作部を照明制御装置3に組み込み、装置表面に配置するようにしてもよい。
【0025】
図3は、照明制御装置3のブロック図である。照明制御装置3は、CPU31、イメージセンサ32、インタフェース装置33、メモリ34および補助センサ36を備える。
【0026】
CPU31は、照明制御装置3の全体制御を行う。イメージセンサ32は、照明エリア内を撮像する装置である。本実施の形態では、イメージセンサ32として、CMOSを利用している。しかし、イメージセンサ32の構成は特に限定されるものではない。イメージセンサ32として、CCDを利用してもよい。
【0027】
インタフェース装置33は、CPU31とイメージセンサ32との間に配置される。インタフェース装置33は、イメージセンサ32が取得した画像データに画像処理を行うハードウェアである。
【0028】
図4は、インタフェース装置33の機能を示す図である。インタフェース装置33の1つ目の機能は、図4に示すように、イメージセンサ32が取得した画像データ91を加工して、メモリ34に格納する画像データ92を生成する機能である。インタフェース装置33の1つ目の機能は具体的には、以下のとおりである。
【0029】
イメージセンサ32は、カラー画像センサである。本実施の形態のイメージセンサ32は、RGB色空間の画像データ91を出力する。インタフェース装置33は、画像データ91から輝度信号を抽出し、輝度信号のみからなる画像データ92を生成する。輝度信号としては、たとえばG信号を抽出してもよい。イメージセンサ32がYCbCr色空間の画像データを出力するのであれば、インタフェース装置33は、Y信号を抽出することで、画像データ92を生成してもよい。あるいは、輝度信号のみを出力するCMOSカメラユニットを利用するのであれば、CMOSカメラユニットから出力される輝度信号をそのまま用いることができる。
【0030】
さらに、インタフェース装置33は、画像データ91の解像度を低下させる処理を実行する。本実施の形態のイメージセンサ32は、640ドット×480ドットの解像度を有している。イメージセンサ32が取得した画像データ91の解像度をそのまま維持して画像データ92を生成してもよいが、画像のサイズが大きいとその後の照度判定処理の負荷が大きくなる。そこで、インタフェース装置33は、画像データ91の解像度を低下させ、低解像度の画像データ92を生成する。たとえば、インタフェース装置33は、4ドット×4ドットの16画素を1画素に置き換える。640ドット×480ドットの画像データ91は、160ドット×120ドットの画像データ92に変換される。画像の変換方法は特に限定されないが、たとえば、4ドット×4ドットのマトリクス内に存在するG信号(輝度信号)の平均値を計算することにより、変換後の画像データ92の画素を構成すればよい。もちろん、出力信号の解像度を選択できるカメラユニットをイメージセンサ32として利用するのであれば、イメージセンサ32において解像度を設定すればよい。
【0031】
インタフェース装置33の2つ目の機能は、イメージセンサ32が取得した画像データを加工して、モニタ5に出力するための表示用画像データ93を生成する機能である。インタフェース装置33は、イメージセンサ32が取得した画像データ91を、NTSCのベースバンド信号である表示用画像データ93に変換して出力ポート38に対して出力する。このように、インタフェース装置33は、画像データを、モニタ5の仕様にあわせた映像フォーマットに変換する映像変換装置を内蔵している。映像変換装置としては、RGBデジタル信号への変換であればエンコーダを備えていればよいし、デジタル信号からアナログ信号(例えばビデオコンポジット信号)への変換であればデコーダを備えていればよい。
【0032】
出力ポート38には、図2で示したケーブル6が接続される。出力ポート38およびケーブル6を介して、表示用画像データ93がモニタ5に出力される。オペレータは、モニタ5を照明制御装置3に接続することで、イメージセンサ32の取得した画像を参照することができる。インタフェース装置33は、イメージセンサ32の取得したカラーの画像をモノクロに変換して出力ポート38に出力してもよい。
【0033】
再び図3を参照する。メモリ34は、画像データ92の保存用に用いられる。画像データ92は、フレーム画像である。メモリ34は、たとえば1時間など、所定期間の画像データ92を保存する。メモリ34に保存された所定期間の画像データ92を利用することで、CPU31は、照明エリア内の照度を測定する。
【0034】
メモリ34には、また、CPU31において実行される制御プログラム81および設定プログラム82が保存されている。制御プログラム81は、所定期間の画像データ92を解析することで、照明エリア内の照度を測定するプログラムである。設定プログラム82は、照明エリア内に測光エリアを設定するプログラムである。照明エリアとは、照明装置2によって照明光が与えられるエリアである。測光エリアとは、照明エリアの中に設定されるエリアであり、照度を測定する対象のエリアである。後で詳しく説明するが、照明エリア内には、複数の測光エリアが設定される。制御プログラム81は、測光エリアごとの照度を算出し、所定のアルゴリズムに従って、照明制御信号を生成する。メモリ34には、さらに、測光エリア情報83が保存される。測光エリア情報83については、後で説明する。
【0035】
出力ポート35には、図2で示したケーブル7が接続される。ケーブル7および出力ポート35を介して、操作ユニット350からの操作信号がCPU31に入力される。オペレータは、操作ユニット350を照明制御装置3に接続することで、照明制御装置3に対する各種の設定操作を行うことができる。
【0036】
次に、図5のフローチャートを参照しながら測光エリアの設定方法について説明する。測光エリアの設定は、照明ユニット1の使用を開始するときに、初期設定として行われる操作である。オペレータは、測光エリアを設定するために、まず、照明制御装置3を実際の設置場所に取り付けて固定する。さらに、オペレータは、モニタ5および操作ユニット350を照明制御装置3に接続する。これにより、モニタ5には、実際の設置環境においてイメージセンサ32が取得するアングルで画像が表示される。
【0037】
ここで、オペレータとは、たとえば、照明ユニット1の取り付け設定を行う業者である。オペレータは、照明装置2および照明制御装置3の設置を行うとともに、測光エリアの設定操作を現地で行う。
【0038】
続いて、オペレータは、第1ボタン351を長押しする。これにより、設定プログラム82が起動する。図5は、CPU31において実行される設定プログラム82のフローチャートである。
【0039】
設定プログラム82は、まず、モニタ5に表示されている表示用画像データ93に重ねて、デフォルトの位置に測光エリアのエリア指定枠821を表示させる(ステップS101)。図6は、モニタ5に表示された表示用画像データ93とエリア指定枠821とを示す図である。図では、デフォルト位置として、表示用画像データ93の中央位置にエリア指定枠821が表示されている。
【0040】
オペレータは、第3ボタン353を操作することで、エリア指定枠821の位置を上下、左右方向に移動させることができる。オペレータは、第1ボタン351を押下することで、エリア指定枠821を拡大することができる。オペレータは、第2ボタン352を押下することで、エリア指定枠821を縮小させることができる。設定プログラム82は、操作ユニット350によってエリア指定枠821の変更指示が行われたか否かを判定する(ステップS102)。つまり、操作ユニット350によって、エリア指定枠821の移動指示あるいは拡大・縮小指示が行われたか否かを判定する。設定プログラム82は、操作ユニット350によって行われたエリア指定枠821の変更指示を入力した場合、入力した指示に応じてエリア指定枠821の表示位置あるいは表示サイズを変更する(ステップS103)。
【0041】
オペレータは、エリア指定枠821の位置およびサイズの修正作業が終了すれば、第2ボタン352を長押しすることで、エリア指定枠821の表示位置および表示サイズの決定操作を行う。設定プログラム82は、操作ユニット350によってエリア指定枠821の決定指示が行われたか否かを判定する(ステップS104)。操作ユニット350によって行われた決定指示を入力した場合、設定プログラム82は、エリア指定枠821の位置およびサイズの情報を測光エリア情報83としてメモリ34に保存する(ステップS105)。なお、エリア指定枠821は、ドット単位できめ細かに設定できるようにしてもよいし、照明エリア内をブロックで分割し、ブロック単位で設定できるようにしてもよい。
【0042】
図7は、モニタ5に表示された表示用画像データ93とエリア指定枠821とを示す図である。図6の状態と比べてエリア指定枠821の位置が移動するとともに、サイズが縮小されている。この例は、エリア指定枠821が机の上を測光エリアとして指定している状態を示している。たとえば、ユーザが、机の上の明るさを特に重点を置いて制御したい場合の設定である。
【0043】
オペレータが以上の作業を行うことにより、エリア指定枠821の設定が完了する。オペレータは、照明エリア内に複数のエリア指定枠821を設定することができる。オペレータは、複数のエリア指定枠821を設定する場合には、上記の作業を繰り返し行う。設定プログラム82は、設定された複数のエリア指定枠821の情報を測光エリア情報83に記録し、メモリ34に保存する。これにより、複数の測光エリアの設定が完了する。
【0044】
次に、図8を参照しながら、照明制御の方法について説明する。上述した設定プロセスにより、測光エリアが設定された後、照明装置2および照明制御装置3が実際に制御プログラム81の制御のもとで動作する。制御プログラム81は、照明エリア内の明るさをユーザに要望にあわせて最適に制御するためのプログラムである。図8は、CPU31において実行される制御プログラム81のフローチャートである。制御プログラム81は、図8に示すフローチャートを実行することで、照明エリア内の明るさを最適制御する。
【0045】
図8に示す処理を実行する前提として、イメージセンサ32は、常時、照明エリア内の画像を撮像している。インタフェース装置33から出力された画像データ92は、たとえば1fps(frame per second)などのフレームレートでメモリ34に保存される。
【0046】
制御プログラム81は、まず、タイマをリセットする(ステップS201)。これにより、照明制御を行うタイミングのカウントが開始される。制御プログラム81は、タイマを参照し、制御タイミングが到来しているか否かを判定する(ステップS202)。たとえば、5秒間隔あるいは10秒間隔などのタイミングで照明制御が行われる。
【0047】
制御タイミングが到来すると、制御プログラム81は、メモリ34から過去Nフレーム(Nは整数)の画像データ92を取得する(ステップS203)。たとえば、過去10分間、30分間など複数のフレームの画像データ92を取得する。演算量を少なくするために、間引きをして画像データ92を取得してもよい。たとえば、過去30分間の30秒ごとの画像データ92を取得するようにしてもよい。
【0048】
次に、制御プログラム81は、測光エリア情報83を参照し、照明エリア内に設定された複数の測光エリアの位置およびサイズを取得する(ステップS204)。
【0049】
続いて、制御プログラム81は、各測光エリアの照度を算出する(ステップS205)。照度の算出方法は特に限定されない。たとえば、測光エリア内の輝度値の平均値を照度として用いてもよい。制御プログラム81は、Nフレーム全ての画像データ92について、測光エリアごとの照度を算出する。
【0050】
次に、制御プログラム81は、制御プログラム81内に記述されたアルゴリズムに従い、照明制御情報を算出する(ステップS206)。
【0051】
以上の処理により、制御プログラム81が照明制御情報を算出すると、CPU31は、出力ポート37を介して照明制御情報を出力する。照明制御情報は、出力ポート37およびケーブル4を介して照明装置2に出力される。照明装置2は、入力した照明制御情報にしたがって、照明の光量を調整する。
【0052】
制御プログラム81に記述されたアルゴリズムの1つ目の特徴は、測光エリアの照度の時間方向の変化を考慮して照明制御情報を算出することである。制御プログラム81に記述されたアルゴリズムの2つ目の特徴は、複数の測光エリアで測定された照度を総合判断することで照明制御情報を算出することである。
【0053】
1つ目の特徴を詳しく説明する。制御プログラム81は、照度設定情報が記録された設定データを含んでいる。設定データには、測光エリアごとにユーザが要望する照度の値が記述されている。制御プログラム81は、ある測光エリアの照度をNフレームにわたって解析する。たとえば、室内の照度が過去30分間で少しずつ低下している場合、つまり、少しずつ暗くなっているのであれば、日が翳り、室内が全体的に暗くなってきている判断できる。この場合には、照明装置2の照度が上昇するように照明制御情報を出力する。これに対して、過去30分間、殆んど照度に変化がなかったにも関わらず、突然照度が低下しているのであれば、別の要因が考えられる。たとえば、黒色の物体が測光エリアに置かれた場合などに、局部的に照度が低下する場合がある。このような場合まで室内全体の照度を上昇させると、無駄な電力を消費することになる。そこで、制御プログラム81は、設定された時間、継続して段階的に照度が低下している場合のみ、照明装置2の照度を上昇させるように制御する。
【0054】
2つ目の特徴を詳しく説明する。制御プログラム81は、複数の測光エリアで測定された照度を総合判断する。たとえば、図7で示したように、机の上の狭いエリアに第1の測光エリアが設定されていたとする。これとは別に、部屋全体をカバーする広いエリアに第2の測光エリアが設定されていたとする。このような設定環境において、机の上に、黒いコートが置かれたとする。第1の測光エリアだけで照度を判定している場合、誤って室内が暗くなったと判断する可能性がある。制御プログラム81は、第1の測光エリアについては照度が低下しているが、第2の測光エリアの照度の変化が少ない場合、室内全体には影響ないとして照明装置2の照度を上昇させることはしない。
【0055】
制御プログラム81に含まれる設定データには、各測光エリアに重み付け値を設定することもできる。たとえば、上記の例において、机の上に高い重み付けを行っても良い。机の近くにある窓に、窓からの光を遮るように物体が設置されたとする。この場合、室内全体の照度は変わらないが、机の上の照度が低下する。ユーザは、机の上の照度に高い重み付けをしているので、第1の測光エリアの照度を優先的に判断し、照明装置2の照度を上昇させるよう制御するのである。
【0056】
{第2の実施の形態}
図9は、第2の実施の形態に係る照明ユニット1のブロック図である。第1の実施の形態の照明ユニット1と異なる点は、無線通信ユニット39を備えている点である。第2の実施の形態においては、図10に示すように、照明エリア内に、照明装置2と照明制御装置3のセットで構成される照明ユニット1が複数配置される。照明制御装置3、3・・・は、互いに無線通信を行うことで、照明制御情報を交換する。
【0057】
第2の実施の形態によれば、照明ユニット1、1・・・が、お互いに照明制御の状態を把握することで、誤った制御が行われることを防止できる。複数の照明ユニットが独立して動作した場合、以下のような誤った制御が行われる可能性がある。たとえば、室内が暗くなって、第1の照明ユニットが照度を上昇させたとする。第1の照明ユニットの照度が上がることで室内の照度が上昇した場合、これを検知した第2の照明ユニットが照度を低下させる。第2の照明ユニットが照度を低下させたことにより、室内の照度が低下すると、再び、第1の照明ユニットが照度を上昇させる。このような無駄な制御が行われないように、照明ユニット1、1・・・間で照明制御情報を交換し、全体で統一した制御が行われる。
【0058】
第2の実施の形態においては、さらに、照明ユニット1、1・・・間で、それぞれのユニットが取得した測光エリアごとの照度情報を交換してもよい。各照明制御装置3においては、複数のユニットで取得された照度情報を総合判断することができる。これにより、より最適な照明制御を行うことができる。
【0059】
{その他の実施例}
図3に示すように、照明制御装置3には、補助センサ36が取り付けられている。補助センサ36としては、温度センサや、湿度センサなどを利用することができる。たとえば、室内の照度と温度を総合判断することや、室内の照度と湿度を総合判断することで、照度を調整してもよい。より快適な照明制御を行うことができる。
【0060】
イメージセンサ32に赤外線フィルタを装着するとともに、測光エリアに赤外線を照射する発光装置を照明ユニット1に配置してもよい。物体検知情報と連動して、照明制御を行うことができる。たとえば、人体を検知して照明をONするシステムと、上記の最適化照明制御を合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0061】
1 照明ユニット
2 照明装置
3 照明制御装置
5 モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明装置を制御するための照明制御装置であって、
照明エリアを撮像するイメージセンサと、
前記イメージセンサによって取得された画像データを格納するメモリと、
前記メモリに格納された前記画像データの撮像範囲内に測光エリアを設定する測光エリア設定部と、
前記測光エリア内の輝度の時間方向の変化から、前記測光エリア内の照度の状態を取得し、前記測光エリア内の照度の状態を所定のアルゴリズムを用いて評価することで、前記照明装置を制御するための照度制御情報を生成する制御装置と、
前記照度制御情報を出力する出力部と、
を備える照明制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明制御装置であって、
前記測光エリア設定部は、前記画像データの撮像範囲内に、第1〜第N(Nは2以上の整数)測光エリアを設定可能であり、
前記制御装置は、前記第1〜第N測光エリア内の輝度の時間方向の変化から、前記第1〜第N測光エリア内の照度の状態を取得し、N箇所の照度の状態を前記アルゴリズムを用いて評価することで、前記照明制御情報を生成する照明制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の照明制御装置であって、さらに、
前記画像データをモニタに出力させるための表示用データを出力する出力インタフェース、
を備え、
前記測光エリア設定部は、
前記モニタに表示された前記画像データに前記測光エリアを視覚的に明示する測光エリア指定オブジェクトを表示させるエリア表示部、
を含み、
前記照明制御装置は、さらに、
前記画像データ上に表示された前記測光エリア指定オブジェクトのエリア範囲を操作する操作情報を入力する入力インタフェース、
を備える照明制御装置。
【請求項4】
請求項3に記載の照明制御装置であって、
前記測光エリア設定部は、前記入力インタフェースから入力する操作情報に応じて、前記画像データの撮像範囲内の任意の位置に任意のサイズで前記測光エリアを設定する照明制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の照明制御装置であって、さらに、
前記イメージセンサと前記制御装置との間に配置されるインタフェース装置、
を備え、
前記インタフェース装置は、
前記イメージセンサから出力された所定の色空間のカラー画像データから輝度情報を抽出し、前記画像データを生成する輝度情報抽出部、
を含む照明制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の照明制御装置であって、
前記インタフェース装置は、
前記イメージセンサから出力された所定の色空間のカラー画像データの解像度を減少させて、前記画像データを生成する解像度変更部、
を含む照明制御装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の照明制御装置であって、さらに、
無線通信ユニット、
を備え、
無線機能を備えた照明ユニットとの間で前記照明制御情報を交換する照明制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の前記照明制御装置と、
前記出力部から出力された前記照明制御情報に基づいて照度が調整される照明装置と、
を備える照明ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−187292(P2011−187292A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−50715(P2010−50715)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
【出願人】(000103736)オプテックス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】