説明

照明器具

【課題】 照射方向を容易に変更することができ、利便性を向上させた照明器具を提供すること。
【解決手段】 器具本体2と電灯4とを備えた照明器具1において、上記器具本体2の下面に凸曲面からなる載置面2aが形成され、上記器具本体2の上面部に上記電灯4の取付部3が設けられ、上記器具本体2には照明器具1全体の重心の位置を変える重心位置変更手段10が設けられていることを特徴とする。これにより、器具本体2の姿勢を変更すると、重心位置変更手段により、器具本体2の重心位置が変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、照明光の照射方向を変えることができる照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の照明器具としては、下記特許文献1に記載のものがある。この特許文献1に記載の照明器具は、器具本体と、この器具本体に取り付けられる反射板とを備えている。器具本体は、平板状をなしており、反射板との対向面には一対のファスナの一方が取り付けられている。反射板は、電灯の光を反射するものであり、器具本体との対向面が凸曲面によって構成されている。この凸曲面には、一対のファスナの他方が取り付けられている。そして、機器本体に取り付けられたファスナと反射板に取り付けられたファスナとを係合させることにより、反射板が器具本体に取り付けられている。しかも、一対のファスナの係合箇所を変えることによって、反射板の向き、つまり照明器具の照射方向を変えることができるようになっている。
【特許文献1】特開平6−150712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の照明器具においては、互いに係合した一対のファスナの係合を解除する際に大きな力が必要であるので、一対のファスナの係合箇所を所望の位置に変えることが難しい。このため、照射方向を所望の方向へ向けることが困難であるという問題があった。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、照射方向を容易に変更することができ、利便性を向上させた照明器具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の問題を解決するために、この発明は、 器具本体と電灯とを備えた照明器具において、上記器具本体の下面に凸曲面からなる載置面が形成され、上記器具本体の上面部に上記電灯の取付部が設けられ、上記器具本体には照明器具全体の重心の位置を変える重心位置変更手段が設けられていることを特徴としている。
この場合、上記重心位置変更手段が、上記器具本体に設けられたガイド部と、このガイド部に移動可能に設けられ、移動することによって照明器具全体の重心の位置を変更する可動錘とを有するものであってもよい。
上記重心位置変更手段は、上記可動錘の移動を規制する移動規制手段を有していることが望ましい。
上記ガイド部が収容空間を有し、上記可動錘が上記収容空間に移動可能に収容された流動体によって構成してもよく、そのようにする場合には、上記流動体の容積が上記収容空間の容積より小さく設定される。上記流動体は、粒状体であることが望ましい。上記収容空間の下面には、上記粒状体の移動を規制する突起部を設けることが望ましい。
上記載置面が、球面によって構成されていることが望ましい。その場合には、上記重心位置変更手段が、上記載置面の中央とこの載置面を構成する球面の中心とを結ぶ中心線と直交する平面に沿い、かつ上記中心線を中心として環状に形成された収容空間と、この収容空間に移動可能に収容された流動体とを有し、上記流動体の容積が上記収容空間の容積より小さく設定される。上記流動体は、粒状体であるこが望ましい。
上記収容空間の下面には、上記粒状体の移動を規制する突起部が設けられていることが望ましく、 上記突起部が、上記収容空間の周方向へ互いに離間して複数設けられていることがさらに望ましい。
上記機器本体には、可動部材が所定の接続位置と切断位置との間を上下方向へ移動可能に設けられるとともに、上記電灯と電源との間を断続する切換スイッチが設けられ、上記機器本体が上下逆になったときには、自重によって上記接続位置から上記切断位置まで移動した上記可動部材により、上記切換スイッチが接続状態から切断状態に切り換えられることが望ましい。
上記可動部材が、上記機器本体に設けられた筒体に移動可能に設けられた球体であることが望ましい。
【発明の効果】
【0006】
この発明の照明器具によれば、器具本体の姿勢を変えることによって電灯による照射方向を変えることができる。しかも、器具本体の姿勢を変えると、それに応じて可動錘が移動し、照明装置全体の重心が移動する。この重心の移動により、器具本体の姿勢が変更後の姿勢に維持され、ひいては照射方向が変更後の照射方向に維持される。したがって、照射方向を所望の方向へ容易に変えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図6は、この発明に係る照明器具の第1実施の形態を示している。図1及び図2に示すように、この実施の形態の照明器具1は、中空の器具本体2を備えている。この器具本体2の下面は、照明器具1を水平な床面F(図3及び図5参照)等に載置する際に当該床面Fに接触する載置面2aになっている。この載置面2aは、球面の一部によって構成されている。載置面2aを構成する球面は、載置面2aの中央を通る鉛直線上に中心点Cを位置させている。したがって、載置面2aの中央と球面の中心点Cとを通る線(以下、中心線という。)Lを鉛直方向に向けたとき(以下、このときの照明器具1及び器具本体2の姿勢を中立姿勢という。)には、載置面2aの中央部が他の部位より下側に位置する。したがって、照明器具1を中立姿勢にして床面Fに載置すると、載置面2aの中央部が床面Fに接触する。
【0008】
載置面2aは、器具本体2の下面全体に形成することなく、下面の中央を含む所定の範囲にだけ形成してもよい。また、載置面2aは、球面によって構成することなく、楕円面、水平線に沿って延びる円筒面、その他の凸曲面によって構成してもよい。さらに、この実施の形態では、器具本体2を中立姿勢にしたとき、載置面2aの外周部が載置面2aを構成する球面の中心点Cより上側に位置しているが、中心点Cより下側に位置させてもよい。
【0009】
器具本体2の上面には、反射面2bが形成されている。この反射面2bは、曲率中心を中心線L上に位置させた凹球面によって構成されている。反射面2bは、焦点を中心線L上に位置させた放物面によって構成してもよく、中心線Lと直交する平面によって構成してもよい。
【0010】
器具本体2の内部には、配線Wを介して電源(図示せず)に接続されるソケット(取付部)3が設けられている。ソケット3は、その上面に開口する装着孔3aを有しており、その装着孔3aの軸線を中心線Lと一致させた状態で器具本体2に配置されている。装着孔3aには、反射面2bの中央部を貫通した電球(電灯)4が着脱可能に取り付けられている。電球4に代えて蛍光灯を用いてもよい。勿論、その場合には、電球4用のソケット3に代えて蛍光灯用のソケットが器具本体2に取り付けられる。
【0011】
器具本体2の内部には、支持筒5が設けられている。この支持筒5は、器具本体2を中立姿勢にしたときに、支持筒5の軸線が上下方向(鉛直方向)を向くように配置されている。支持筒5の上端部には、プッシュ式の切換スイッチ6が設けられている。この切換スイッチ6は、ソケット3(電球4)と電源との間を電気的に断続するためのものであり、支持筒5内に臨んで配置されたプッシュ釦6aを有している。切換スイッチ6は、通常時には電源とソケット3との間を電気的に接続しているが、プッシュ釦6aが上方へ押されると、電源とソケット3との間を電気的に切断する。
【0012】
支持筒5内には、球体(可動部材)7が支持筒5の軸線方向へ移動可能に挿入されている。球体7は、支持筒5の上下が逆にならない限り、器具本体2の下壁部に支持された図2に示す接続位置に位置している。支持筒5の上下が逆になると、球体7は、その自重によって切換スイッチ6に突き当たる切断位置まで支持筒5の上端側へ移動する。切断位置に移動した球体7は、プッシュ釦6aを押し、切換スイッチ6を接続状態から切断状態に切り替える。したがって、電球4の点灯中に照明装置が上下逆になるようにひっくり返った場合には、電球4が自動的に消灯される。
【0013】
器具本体2の内部には、重心位置変更手段10が設けられている。この重心位置変更手段10は、収容空間11と、この収容空間11に収容された多量の粒状体(可動錘)12とを備えている。収容空間11は、器具本体2の内部に、外部に対して密閉された密閉空間として形成されている。収容空間11は、器具本体2の上端部に中心線Lと直交する平面に沿って配置されており、中心線Lを中心として環状に形成されている。収容空間11は、器具本体2が中立姿勢になっているとき、載置面2aを構成する球面の中心点Cより上側に配置されているが、中心点Cより下側に配置してもよい。
【0014】
粒状体12は、例えば直径が0.6mm程度の金属球からなるものであり、収容空間11の内部にその長手方向(中心線Lを中心とする周方向)へ移動可能に収容されている。しかも、粒状体12全体の容積は、収容空間11の容積より小さく設定されている。したがって、粒状体12が収容空間11内をその長手方向に移動して、その一方の側に偏在すると、それに応じて照明器具1全体の重心Gが移動する。
【0015】
すなわち、図2及び図3に示すように、いま器具本体2が中立姿勢になっているものとする。このときには、図3及び図4に示すように、粒状体12全体の上面が中心線Lと直交する平面を構成しており、粒状体12の高さが収容空間11のいずれの部位においても等しくなっている。以下、このときの粒状体12の高さを平均高さという。粒状体12の高さが平均高さになっているときには、照明器具1全体の重心Gが中心線L上に位置し、しかも載置面2aを構成する球面の中心点Cより下側に位置している。したがって、器具本体2は、中立姿勢に維持される。図5に示すように、載置面2aがその中央から外れた部位において床面Fに接触するように、器具本体2を中立姿勢から傾斜させると、図5及び図6に示すように、粒状体12がその自重により器具本体2の傾斜に応じて移動する。この結果、照明器具1全体の重心Gが移動する。しかも、このときの重心Gは、載置面2aの床面Fに接触する部位と中心点Cとを結ぶ線上に位置し、かつ中心点Cより下側に位置する。したがって、器具本体2を傾斜させると、その状態に維持される。
【0016】
収容空間11を区画する下面には、多数の突出部13が形成されている。各突出部13は、収容空間11の長手方向に互いに離れて配置さそれている。突出部13の高さは、粒状体12の平均高さより低く設定されている。したがって、突出部13は、粒状体12の移動を完全に阻止することはないが、少なくとも一部の粒状体12の移動を規制する。すなわち、器具本体2を所定の角度傾斜させると、粒状体12の一部は突出部13を乗り越えて移動するが、他の一部は突出部13の壁部によって留められて、その移動が規制される。
【0017】
上記構成の照明器具1において、光の照射方向を所望の方向に向ける場合には、照射方向が所望の方向になるように例えば器具本体2を床面F上を転動させてその姿勢を変える。すると、粒状体12が収容空間11内を器具本体2の姿勢に応じて移動し、照明器具1全体の重心Gの位置が変わる。このときの重心Gは、載置面2aの床面Fに対する接触部位と中心点Cとを結ぶ線上において中心点Cより下側に位置する。したがって、照明器具1は、変更された姿勢に維持され、照射方向が所望の方向に維持される。
【0018】
ところで、粒状体12が円滑に移動することができれば、照明器具1の照射方向をより容易に変更することができるが、粒状体12を過度に移動し易くすると、器具本体2に僅かな外力が作用しただけでその姿勢が変わり、照射方向が安定しなくなってしまう。その点、この照明器具1においては、収容空間11を区画する下面に突起部13が形成され、それによって粒状体12の移動を規制しているので、姿勢を維持し易くすることができ、照射方向を安定させることができる。
【0019】
また、この照明器具1は、上下が逆になるようにひっくり返ると、自重によって移動する球体7によって切換スイッチ6が切断状態になり、電球4が消灯される。したがって、電球4の熱によって火災が発生するような自体を未然に防止することができる。特に、この実施の形態では球体7が支持筒5内を転動するので、照明器具1の上下逆になるまでひっくり返ることなく、その姿勢が中立姿勢から90°以上変わっただけでも、球体7が支持筒5内を転動して接続位置から切断位置まで移動する。したがって、火災等の発生をより一層確実に防止することができる。
【0020】
図7及び図8は、この発明の第2実施の形態を示す。この実施の形態においては、上記実施の形態の重心位置変更手段10に代えて重心位置変更手段10Aが用いられている。重心位置変更手段10Aは、器具本体2の内部に設けられた第1及び第2収容空間(収容空間)11A,11Bを有している。第1、第2収容空間11A,11Bは、器具本体2の下端部に設けられている。第1収容空間11Aは、中心線Lを含む平面上に配置されており、載置面2aに沿って円弧状に延びている。しかも、第1収容空間11Aは、中心線Lに関して対称に形成されている。第2収容空間11Bは、第1収容空間11Aに対して上側に隣接して配置されている。第2収容空間11Bは、中心線を含み、かつ第1収容空間11Aが配置された平面と直交する平面上に、載置面2aに沿って円弧状に形成されている。勿論、第2収容空間11Bも中心線Lに関して対象に形成されている。その他の構成は、上記実施の形態と同様である。
【0021】
第2の実施の形態の照明器具1によれば、第1、第2収容空間11A,11Bが器具本体2の下端部に載置面2aに沿うように形成されているので、器具本体2の姿勢に拘わらず粒状体12が常に器具本体2の下端部に位置する。したがって、照明器具1の重心Gを上記の実施の形態の場合より下側に位置させることができる。よって、照明器具1の姿勢を安定して維持することができ、ひいては照明方向を安定させることができる。
【0022】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
例えば、重心位置変更手段は、上記後の実施の形態の収容空間11A,11Bと同様に載置面2aに沿って延びる二つのガイド部と、各ガイド部にその長手方向へ移動可能に設けられた金属製の錘部材(可動錘)とによって構成してもよい。その場合には、ガイド部と錘部材との間に作用する摩擦抵抗を移動規制手段とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
この発明に係る照明器具は、陳列ルームの床面に載置される照明器具として、特に陳列ルームの壁面等に陳列された商品を斜め下方から照明するための照明器具として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1はこの発明の第1実施の形態を示す図であって、図2のY−Y線に沿う断面図である。
【図2】図2は図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】図3は、照射方向が上方になっているときの第1実施の形態の概略構成を示す断面図である。
【図4】図4は、照射方向が上方になっているときの収容空間による粒状体の収容状態を示す平面図である。
【図5】図5は、照射方向が斜め上方になっているときの第1の実施の形態の概略構成を示す断面図である。
【図6】図6は、照射方向が斜め上方になっているときの収容空間による粒状対の収容状態を示す平面図である。
【図7】図7はこの発明の第2実施の形態の概略構成を示す断面図である。
【図8】図8は同実施の形態の概略構成を示す平面図である。
【符号の説明】
【0025】
C 球面の中心
G 照明器具の重心
L 中心線(載置面の中央と球面の中心とを結ぶ線)
1 照明器具
2 器具本体
2a 載置面
2b 反射面
3 ソケット(取付部)
4 電球(電灯)
6 切換スイッチ
7 球体(可動部材)
10 重心位置変更手段
10A 重心位置変更手段
11 収容空間
11A 第1収容空間(収容空間)
11B 第2収容空間(収容空間)
12 粒状体(可動錘)
13 突出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具本体と電灯とを備えた照明器具において、
上記器具本体の下面に凸曲面からなる載置面が形成され、上記器具本体の上面部に上記電灯の取付部が設けられ、上記器具本体には照明器具全体の重心の位置を変える重心位置変更手段が設けられていることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
上記重心位置変更手段が、上記器具本体に設けられたガイド部と、このガイド部に移動可能に設けられ、移動することによって照明器具全体の重心の位置を変更する可動錘とを有することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項3】
上記重心位置変更手段が、上記可動錘の移動を規制する移動規制手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項4】
上記ガイド部が収容空間を有し、上記可動錘が上記収容空間に移動可能に収容された流動体からなり、上記流動体の容積が上記収容空間の容積より小さく設定されていることを特徴とする請求項2に記載の照明器具。
【請求項5】
上記流動体が粒状体であることを特徴とする請求項4に記載の照明器具。
【請求項6】
上記収容空間の下面には、上記粒状体の移動を規制する突起部が設けられていることを特徴とする請求項5に記載の照明器具。
【請求項7】
上記載置面が、球面によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の照明器具。
【請求項8】
上記重心位置変更手段が、上記載置面の中央とこの載置面を構成する球面の中心とを結ぶ中心線と直交する平面に沿い、かつ上記中心線を中心として環状に形成された収容空間と、この収容空間に移動可能に収容された流動体とを有し、上記流動体の容積が上記収容空間の容積より小さく設定されていることを特徴とする請求項7に記載の照明器具。
【請求項9】
上記流動体が粒状体であることを特徴とする請求項8に記載の照明器具。
【請求項10】
上記収容空間の下面には、上記粒状体の移動を規制する突起部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の照明器具。
【請求項11】
上記突起部が、上記収容空間の周方向へ互いに離間して複数設けられていることを特徴とする請求項10に記載の照明器具。
【請求項12】
上記機器本体には、可動部材が所定の接続位置と切断位置との間を上下方向へ移動可能に設けられるとともに、上記電灯と電源との間を断続する切換スイッチが設けられ、上記機器本体が上下逆になったときには、自重によって上記接続位置から上記切断位置まで移動した上記可動部材により、上記切換スイッチが接続状態から切断状態に切り換えられることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の照明器具。
【請求項13】
上記可動部材が、上記機器本体に設けられた筒体に移動可能に設けられた球体であることを特徴とする請求項12に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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