説明

照明器具

【課題】高効率で高演色性を得られるとともに、経済的にも有利な照明器具を提供する。
【解決手段】制御部27の定電流制御部272によりLDE照明灯26に流れる定電流を決定する基準値IF1と、この基準値IF1により決定される定電流よりも大きな定電流を得られる基準値IF2を選択的に設定可能とし、基準値IF1を設定することにより高効率タイプのLED素子を用いたLDE照明灯26に高効率の光出力を得られ、基準値IF2を設定することにより高演色性タイプのLED素子を用いたLDE照明灯26に高演色性で高い光出力を得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として発光ダイオード(LED素子)などの半導体発光素子を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、照明器具には、複数のLED素子を直並列に接続したものを光源として用いたものがある(特許文献1)。ところで、このようなLED素子を光源とする照明器具には、高効率タイプのLED素子を用いたものと、高演色性タイプのLED素子を用いたものが知られている。ここで、高効率タイプのLED素子は、一般的に基板上に青色チップを設け、この青色チップからの光を黄色の蛍光体を通すことで白色の光を発生させており、これ対して、高演色性タイプのLED素子は、黄色の蛍光体にさらに赤や緑の蛍光体を混合した蛍光体に青色チップからの光を通すことで演色性の高い白色光を発生させるようにしている。このため、高効率タイプのLED素子では、大きな光出力が得ら易いのに対し、高演色性タイプのLED素子は、高効率タイプのものに比べ演色性に優れるものの、例えば赤の蛍光体を使用すると励起スペクトルの波長域が広く、青色チップの発光色だけでなく黄色の発光体の発光域の光も吸収して励起に使用するための光出力が小さくなる傾向にある。そして、これら高効率タイプ又は高演色性タイプのLED素子を用いた照明器具は、それぞれ用途に合わせて使い分けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−055695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に高効率タイプと高演色性タイプとは、器具外郭や電源回路の電気的特性が同一である照明装置を用いた複数のバリエーション製品のうちの一つとして流通しているものである。
【0005】
しかしながら、光源としてLED素子を用いたものを照明器具として使用すると、特に光出力が高いタイプの照明器具においては高効率タイプと高演色性タイプの光出力の差が大きくなる場合があり、高演色性タイプの用途の自由度が広がり難くなる虞がある。そこで、高演色性のタイプであっても高効率タイプの照明器具との光出力の差異が生じ難い事が望まれている。
【0006】
そして、仮に高演色性タイプのLED素子では、光出力が高められるように専用の青色チップを用いることも考えられるが、これでは製品のバリエーションによって複数の青色チップを有する必要が出てくるため、ばらつきや品質管理が煩雑になる虞があった。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、複数のバリエーションを同種の半導体発光素子の発光原理で実施する照明装置において、高演色性を有するタイプであっても比較的高い光出力を実現することができるとともに、汎用性を広げることができる照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、
請求項1記載の発明は、直流出力を生成する直流出力生成手段と、前記直流出力生成手段より生成される直流出力により点灯される高効率タイプ又は高演色性タイプの半導体発光素子と、前記半導体発光素子のうち、高演色性タイプの半導体発光素子の場合は、高効率タイプの半導体発光素子と比べて供給する電流量が増加するように制御する光出力制御手段と、を具備したことを特徴としている。
【0009】
この発明で、半導体素子には、チップ状の素子、例えば青色発光をするチップ状の青色チップを好適に用いることができるが、チップ状以外の形態の素子を用いることも可能である。更に、白色発光をするために、黄色蛍光体と青色チップとを組み合わせることが好ましいが、これに代えて、紫外線を発するチップに対し、紫外線で励起されて青色、赤色、緑色の光を放射する青色蛍光体粉末、赤色蛍光体粉末、緑色蛍光体粉末が混ぜられた蛍光体を用いることも可能である。
【0010】
また、本発明において高効率タイプと高演色性タイプの半導体発光素子とは、発光源は共通するが、高効率タイプの半導体発光素子に比べて高演色性タイプの半導体発光素子には演色性を向上させるための手段が別に加えられているものである。例えば青色チップである場合、高効率タイプの半導体発光素子であれば白色発光をするために、青色の光で励起されて黄色の光を放射する黄色の蛍光体粉末が混ぜられた蛍光体を組み合わせることに対し、高演色性タイプの半導体発光素子では、高効率タイプと同一の青色チップと黄色の蛍光体粉末が混ぜられた蛍光体とを用いることに加えて、演色性等を向上するための赤色蛍光体粉末や緑色蛍光体粉末を更に蛍光体に混ぜるようなものである。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記光出力制御手段は、前記半導体発光素子に対し一定電流を流すように制御する定電流制御手段を有し、前記定電流制御手段は、前記半導体発光素子に流す定電流値を決定する第1の基準値と第2の基準値を有し、前記第1の基準値により決定される電流値に対し前記第2の基準値により決定される電流値を、前記第1の基準値により決定される電流値以上で、且つ前記半導体発光素子の許容電流以下の範囲で設定することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高効率タイプの半導体発光素子に比べて高演色性タイプの半導体発光素子に対して光出力制御手段により電流量を増加するように制御することにより光出力が高い高演色性の照明器具を容易に得られる。また、これにより、高演色性の照明器具であっても用途の自由度を大きくすることができる。
【0013】
本発明によれば、光出力制御手段として定電流制御手段が用いられ、この定電流制御手段により半導体発光素子に流す電流値を決定する第1の基準値と第2の基準値のうち、第2の基準値を、第1の基準値により決定される電流値以上で、且つ半導体発光素子の許容電流以下の範囲で設定することにより、高演色性と高効率とを同種の半導体発光素子を用いて実施しても各半導体発光素子による不具合を生じることがなくなり、複数のバリエーションを実現しやすくなる。また、光出力の高い高演色性の照明器具を得るのに高効率タイプの半導体発光素子を用いた照明器具と電源装置の基本的な構成要素を共通にでき、経済的にも有利にできる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施の形態にかかる照明器具の斜視図。
【図2】第1の実施の形態にかかる照明器具の断面図。
【図3】第1の実施の形態の照明器具に適用される電源装置の概略構成を示す図。
【図4】第1の実施の形態に適用される出力制御部の具体的な回路例を示す図。
【図5】第1の実施の形態に適用される高効率タイプのと高演色性タイプのLED素子の電流と光束の関係を示す図。
【図6】第1の実施の形態に適用されるLED素子の概略構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面に従い説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の電源装置が適用される照明器具について簡単に説明する。図1及び図2において、1は器具本体で、この器具本体1は、アルミニウムのダイカスト製のもので、両端を開口した円筒状をしている。この器具本体1は、内部を仕切り部材1a、1bにより上下方向に3分割され、下方開口と仕切り部材1aの間の空間は、光源部2に形成されている。この光源部2には、半導体発光素子としての複数のLED2aと反射体2bが設けられている。複数のLED2aは、仕切り部材1a下面に設けられた円盤状の配線基板2cの円周方向に沿って等間隔に配置され実装されている。
【0017】
器具本体1の仕切り部材1aと1bの間の空間は電源室3に形成されている。この電源室3は、仕切り部材1a上部に配線基板3aが配置されている。この配線基板3aには、前記複数のLED2aを駆動するための電源装置を構成する各電子部品が設けられている。この直流電源装置と複数のLED2aは、リード線4により接続されている。
【0018】
器具本体1の仕切り板1bと上方開口の間の空間は、電源端子室5に形成されている。この電源端子室5は、仕切り板1bに電源端子台6が設けられている。この電源端子台6は、電源室3の電源装置に商用電源の交流電力を供給するための端子台で、電絶縁性の合成樹脂で構成されたボックス6aの両面に電源ケーブル用端子部となる差込口6b、送りケーブル用端子部となる差込口6c及び電源線及び送り線を切り離すリリースボタン6dなどを有している。
【0019】
図3は、このように構成された照明器具の電源室3に組み込まれる電源装置の概略構成を示している。
【0020】
図3において、11は交流電源で、この交流電源11は、不図示の商用電源からなっている。この交流電源11には、全波整流回路12の入力端子が接続されている。全波整流回路12は、交流電源11からの交流電力を全波整流した出力を発生する。
【0021】
全波整流回路12には、電源手段として昇圧チョッパ回路13が接続されている。この昇圧チョッパ回路13は、全波整流回路12の正負極の出力端子間に昇圧用トランスを構成する第1のインダクタ14及びスイッチング素子としての電界効果トランジスタ15の直列回路が接続され、電界効果トランジスタ15に並列に図示極性のフライホイールダイオード16を介して平滑用コンデンサである電解コンデンサ17が接続されている。また、電解コンデンサ17の両端には、電圧検出手段として抵抗18,19の直列回路が接続されている。抵抗18,19は、電解コンデンサ17の出力より分圧電圧を発生し、このうち抵抗19の端子電圧を制御部27に出力する。電界効果トランジスタ15は、制御部27での抵抗19の端子電圧と予め用意される参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作される。第1のインダクタ14は、電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力を発生させる。制御部27については、後述する。
【0022】
昇圧チョッパ回路13には、出力発生手段としての降圧チョッパ回路20が接続されている。この降圧チョッパ回路20は、電解コンデンサ17の両端にスイッチング素子としての電界効果トランジスタ21、フライホイールダイオード22及び負荷電流検出手段として抵抗23の直列回路が接続されている。また、フライホイールダイオード22の両端には、第2のインダクタ24と平滑コンデンサ25の直列回路が接続されている。抵抗23は、後述するLDE照明灯26に流れる負荷電流を検出し、この検出出力を制御部27に出力する。電界効果トランジスタ21は、制御部27での抵抗23より検出される負荷電流と予め用意される基準値との比較結果に基づいてオンオフ動作されLDE照明灯26に流れる電流を一定に制御(定電流制御)する。第2のインダクタ24は、電界効果トランジスタ21のオンオフ動作に伴う電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ25両端に降圧された直流出力を発生させる。
【0023】
降圧チョッパ回路20には、LDE照明灯26(図1のLED2aに該当する)が接続されている。このLDE照明灯26は、半導体発光素子として複数のLED素子を直列に接続したものである。この場合、LDE照明灯26は、複数のLED素子を直列に接続した直列回路を、さらに複数個並列に接続したものであってもよい。
【0024】
ここで、LED素子について簡単に説明する。図6に示すLED素子262は、光源基板261の中心部の周りに一定間隔毎すなわち60度間隔で配置されている。これらのLED素子262は、複数のLEDチップ262aと、リフレクタ262bと、透光性の封止部材262cを有して形成されている。LEDチップ262aには例えば青色発光をするLEDチップが用いられ、これらは光源基板261の図示しない導体パターンが形成された一面に例えばフリップチップ実装により実装されている。なお、各LEDチップ262aの実装はワイヤボンディングによる実装でも良い。この後者の実装では、光源基板261にその導体パターンを避けて各LEDチップ262aをダイボンドし、これらLEDチップ262aの端子と導体パターンとを、これらにわたってワイヤボンディングにより設けられたボンディングワイヤで接続することによってなされる。実装された各LEDチップ262aは互いに直列接続されていて不図示の電源装置により一斉に点灯されるようになっている。
【0025】
リフレクタ262bは例えば白色の合成樹脂により枠状に形成されて各LEDチップ262aを囲んで光源基板261に接着剤により取付けられている。このリフレクタ262bの内周面は、光源基板261から離れるに従って次第に大径となるテーパ面で形成されている。
【0026】
封止部材262cは例えば透光性樹脂具体的には透明シリコーン樹脂製であり、この封止部材262cには蛍光体が混ぜられている。封止部材262cはリフレクタ262b内に充填されてLEDチップ262aを埋めた状態に封止している。この封止部材262cに混入された蛍光体には、LEDチップ262aが発した青色の光によって励起されて、所定波長の光を放射する蛍光体、例えば、青色の光に対して補色の関係にある黄色の光を主として放射する蛍光体が用いられている。したがって、LEDチップ262aを点状の一次光源とした各LED素子262は、面状の二次光源となる封止部材262cから白色の光を投射する。
【0027】
なお、図6は、高効率タイプのLED素子について述べたが、この高効率タイプのLED素子に対し、高演色性タイプのLED素子は、基本的な構成は共通であるが、高効率タイプの蛍光体に加えて赤色の蛍光体粉末を混ぜた蛍光体を用いている。また、LED素子262はリフレクタ262bを省略したものであっても良い。この場合、封止部材262cは、光源基板261上にポッテングすることによって設けられ、それによって、LEDチップ262aを埋めて封止できる。
【0028】
制御部27は、電源装置全体を制御するもので、電源出力制御部271と光出力制御手段を構成する定電流制御部272を有している。電源出力制御部271は、不図示の参照電圧が記憶されていて、参照電圧と抵抗19の端子電圧との比較結果に基づいて電界効果トランジスタ15のオンオフ動作を制御し、この電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う第1のインダクタ14での電磁的エネルギーの蓄積及び放出により電解コンデンサ17両端に昇圧された出力電圧を発生させる。定電流制御部272は、第1の基準値として基準値IF1と第2の基準値として基準値IF2を選択的に設定可能としていて、選択された基準値IF1(又はIF2)と、抵抗23より検出される負荷電流との比較結果に基づいて電界効果トランジスタ21をオンオフ動作させ、LDE照明灯26に流す定電流を決定する。
【0029】
図4は、定電流制御部272の具体的な回路例を示すものである。この場合、定電流制御部272は、基準値設定部272aを有している。基準値設定部272aは、直流電源28の両端に、抵抗29,30の直列回路からなる分圧回路と、抵抗31と32の直列回路からなる分圧回路が並列接続されている。抵抗29,30の接続点には、抵抗33を介してNPN型トランジスタ34のコレクタが接続され、抵抗31と32の接続点には、NPN型トランジスタ34のベースが接続され、さらにPNP型トランジスタ34のエミッタが抵抗30と直流電源28の接続点に接続されている。そして、抵抗32両端に端子t1、t2が接続されている。これら端子t1、t2は、短絡可能になっていて、端子t1、t2間を開放した状態では、PNP型トランジスタ34がオンし、分圧回路の抵抗29,30のうちの抵抗30に抵抗33が並列接続され、これら抵抗30と33の並列回路の端子電圧が基準値IF1として出力され、また、端子t1、t2間を短絡した状態では、PNP型トランジスタ34がオフし、抵抗29,30の分圧回路の抵抗30の端子電圧が基準値IF2として出力される。
【0030】
これら基準値IF1及びIF2の関係は、図5に示すようになっている。図5(a)は、高効率タイプのLED素子に流れる電流(IF)に対する光束(lm)の関係、同図(b)は、高演色性タイプのLED素子に流れる電流(IF)に対する光束(lm)の関係をそれぞれ示すものである。そして、高効率タイプのLED素子の場合、基準値IF1の設定による定電流制御により、A点に対応する光束l1の光出力が得られるとすると、高演色性タイプのLED素子の場合、基準値IF2の設定による定電流制御によりB点の、高効率タイプのLED素子のA点での光束lm1と等しい光束lm2が発生し、高出力で高演色性の光出力を得られるようにしている。この場合、高効率タイプのLED素子に対して基準値IF2を設定すると、C点に対応するさらに高光束lm3の光出力を得られるようにもしている。
【0031】
また、基準値IF2の設定範囲は、基準値IF1により決定される定電流に対し基準値IF2により決定される定電流が基準値IF1により決定される定電流以上でLED素子の許容電流である上限値IFmax以下の範囲に入るように設定する。ここで、上限値IFmaxは、図6に示すLED素子262が発光する際にLED素子262における最も温度特性に弱い個所を基準に決められている。なお、この実施の形態では、基準値IF1により決定される定電流を1とした場合、基準値IF2では、30%増しの1.3倍程度の定電流が得られるように設定されている。
【0032】
図4に戻って、基準値設定部272aには、比較器36が接続されている。比較器36は、一方端子に基準値設定部272aで設定された基準値IF1又はIF2が入力され、他方端子に抵抗23より検出される負荷電流が入力され、これらの比較結果を出力する。スイッチング制御回路37は、比較器36の比較結果により電界効果トランジスタ21のスイッチング駆動を制御する。
【0033】
制御部27には、調光信号発生部41が接続されている。調光信号発生部41は、外部からの調光操作信号に基づいてデューティ比の異なるPWM信号を調光深度の異なる調光信号を発生し、この調光操作信号に基づいて制御部27の基準値設定部272aでの基準値IF1(又はIF2)を可変してLDE照明灯26の光出力の調光を行う。
【0034】
次に、このように構成した実施の形態の作用を説明する。
【0035】
まず、LDE照明灯26に高効率タイプのLED素子を使用する場合、図3に示す基準値設定部272aにおいて、端子t1、t2間を開放したままとする。この場合、抵抗31と32の接続点の電圧がNPN型トランジスタ34のベースに印加され、NPN型トランジスタ34がオンする。これにより、分圧回路の抵抗29,30のうちの抵抗30に抵抗33が並列接続され、これら抵抗30と33の並列回路の端子電圧が基準値IF1として出力される。
【0036】
この状態で、交流電源11の交流電力が全波整流回路12で全波整流され、昇圧チョッパ回路13に供給される。昇圧チョッパ回路13では、電界効果トランジスタ15が抵抗19の端子電圧と、電源出力制御部271に予め用意された参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作し、この電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う第1のインダクタ14の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力電圧を発生する。
【0037】
昇圧チョッパ回路13の出力電圧は、降圧チョッパ回路20に供給される。この場合、制御部27の定電流制御部272では、比較器36の一方端子に、基準値設定部272aで設定された基準値IF1が入力され、他方入力端子に抵抗23より検出される負荷電流が入力される。比較器36は、基準値IF1と負荷電流の比較結果を出力し、スイッチング制御回路37は、比較器36の比較結果に応じた駆動信号により電界効果トランジスタ21をスイッチング駆動する。
【0038】
これにより、電界効果トランジスタ21は、スイッチング制御回路37により駆動されてオンオフ動作され、LDE照明灯26に流れる電流が、基準値IF1で決定される定電流に制御される。また、この電界効果トランジスタ21のオンオフ動作に伴う第2のインダクタ24の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ25両端に降圧された出力電圧(直流出力)を発生し、この出力電圧によりLDE照明灯26が点灯される。この場合、LDE照明灯26を構成する高効率タイプのLED素子は、図5に示すA点に対応する光束lm1により高効率で点灯される。
【0039】
次に、LDE照明灯26に高演色性タイプのLED素子を使用する場合、図4に示す基準値設定部272aにおいて、端子t1、t2間を短絡する。この場合、PNP型トランジスタ34のベースは接地されオフのままである。これにより、分圧回路の抵抗29,30のうちの抵抗30の端子電圧が基準値IF2として出力される。
【0040】
この場合も昇圧チョッパ回路13では、電界効果トランジスタ15が抵抗19の端子電圧と予め用意される参照電圧との比較結果に基づいてオンオフ動作し、この電界効果トランジスタ15のオンオフ動作に伴う第1のインダクタ14の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりフライホイールダイオード16を介して電解コンデンサ17に昇圧された出力電圧を発生する。
【0041】
昇圧チョッパ回路13の出力電圧が降圧チョッパ回路20に供給されると、制御部27の定電流制御部272では、比較器36の一方端子に、基準値設定部272aで設定された基準値IF2が入力され、他方入力端子に抵抗23より検出される負荷電流が入力される。比較器36は、基準値IF2と負荷電流の比較結果を出力し、スイッチング制御回路37は、比較器36の比較結果に応じた駆動信号により電界効果トランジスタ21をスイッチング駆動する。
【0042】
これにより、電界効果トランジスタ21は、スイッチング制御回路37により駆動されてオンオフ動作され、LDE照明灯26に流れる電流が、基準値IF2で決定される定電流に制御される。また、この電界効果トランジスタ21のオンオフ動作に伴う第2のインダクタ24の電磁的エネルギーの蓄積及び放出によりコンデンサ25両端に降圧された出力電圧(直流出力)を発生し、この出力電圧によりLDE照明灯26が点灯される。この場合、LDE照明灯26を構成する高演色性タイプのLED素子は、図5に示すB点に対応する光束lm2(=lm1)により高効率で高演色性により点灯される。
【0043】
なお、LDE照明灯26に高効率タイプのLED素子を使用し、図3に示す基準値設定部272aにおいて、端子t1、t2間を短絡して基準値IF2を出力させた場合は、このときの比較器36の基準値IF2と負荷電流の比較結果に応じた電界効果トランジスタ21のオンオフ動作により、LDE照明灯26を構成する高効率タイプのLED素子は、図5に示すC点に対応する、さらなる高光束lm3により高効率で点灯される。
【0044】
したがって、このようにすれば、制御部27の定電流制御部272によりLDE照明灯26に流れる定電流を決定する基準値IF1と、この基準値IF1により決定される定電流より大きな定電流を得られる基準値IF2を選択的に設定可能とし、基準値IF1を設定することにより高効率タイプのLED素子を用いたLDE照明灯26に高効率の光出力を得られ、基準値IF2を設定することにより高演色性タイプのLED素子を用いたLDE照明灯26に高効率タイプのLED素子より得られる光束と同等な光束を得られる高効率で高演色性の光出力を得られるようにした。これにより、高演色性タイプのLED素子を用いたLDE照明灯26の場合にも基準値IF2を選択することで、光出力の高い高演色性の照明器具を簡単に得ることができ、高効率の照明器具及び高演色の照明器具とともに、照明器具のラインナップを拡大することができる。
【0045】
また、定電流制御部272は、LDE照明灯26に流す電流値を決定する基準値IF1と基準値IF2のうち、基準値IF2を、基準値IF1により決定される電流値以上で、且つLDE照明灯26のLED素子の許容電流以下の範囲で設定しているので、高演色性と高効率とを同種のチップ及び蛍光体の構成が若干異なるタイプのLED素子を用いて実施しても各LED素子が熱による不具合を生じることがなく、複数のバリエーションを実現しやすくなる。
【0046】
さらに、高演色性の照明器具を得るのに、高効率タイプのLED素子を用いた照明器具と電源装置の基本的構成を共通にできるので、光出力の高い高演色性の照明器具を実現するための特別な電源装置を用意する必要がなくなり経済的に有利にできる。
【0047】
さらに、高効率タイプのLED素子を用いた照明器具に対して、定電流制御部272により基準値IF2を選択することにより、さらに高光束の照明器具を得ることができるので、照明器具のラインナップを、さらに広げることもできる。
【0048】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、実施段階では、その要旨を変更しない範囲で種々変形することが可能である。例えば、上述した実施の形態では、制御部27は、アナログ回路の例を述べたが、マイコンやデジタル処理を用いた制御方式を採用したものを用いることができる。また、高演色タイプのLED素子を用いた照明器具の光出力を増加させるには、LDE照明灯26を構成する複数の高演色タイプのLED素子の個数を増加させてもよい。このようにしても、高効率で高演色性の照明器具を実現できる。さらに、上述した実施の形態では、光出力制御手段に、定電流制御手段を用いる例を述べたが、光出力制御手段としては、機械式スイッチによる切換や、電気部品の乗数設定の変更などにより半導体発光素子に供給する電流量を増加させるようにしたものを用いることもできる。 さらに、上記実施の形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示されている複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出できる。例えば、実施の形態に示されている全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題を解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出できる。
【符号の説明】
【0049】
1…器具本体、2…光源部、3…電源室
11…交流電源、12…全波整流回路
13…昇圧チョッパ回路、14…第1のインダクタ
15…電界効果トランジスタ、20…降圧チョッパ回路
21…電界効果トランジスタ、24…第2のインダクタ
26…LDE照明灯、27…制御部、271…電源出力制御部
272…定電流制御部、272a…基準値設定部、36…比較器
37…スイッチング制御回路、41…調光信号発生部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流出力を生成する直流出力生成手段と、
前記直流出力生成手段より生成される直流出力により点灯される高効率タイプ又は高演色性タイプの半導体発光素子と、
前記半導体発光素子のうち、高演色性タイプの半導体発光素子の場合は、高効率タイプの半導体発光素子と比べて供給する電流量が増加するように制御する光出力制御手段と、
を具備したことを特徴とする照明器具。
【請求項2】
前記光出力制御手段は、前記半導体発光素子に対し一定電流を流すように制御する定電流制御手段を有し、前記定電流制御手段は、前記半導体発光素子に流す定電流値を決定する第1の基準値と第2の基準値を有し、
前記第1の基準値により決定される電流値に対し前記第2の基準値により決定される電流値を、前記第1の基準値により決定される電流値以上で、且つ前記半導体発光素子の許容電流以下の範囲で設定することを特徴とする請求項1に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198791(P2010−198791A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39748(P2009−39748)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】