説明

照明器具

【課題】配光制御用の光学部品の落下防止が図られるととともに、その光学部品の回転が容易に行える照明器具を提供する。
【解決手段】照明器具は、一端側に投光開口が設けられ、投光開口から放射光が出射されるように光源が収納された器具本体と、外周縁部3bに取手12を有し、投光開口の周回方向に回動可能となるように投光開口に対向して器具本体に配設され、回動によって光源の放射光の配光を可変するように形成された光学部品3と、光学部品3の外周縁部3bを係止する突出部18を有し、突出部18は、複数の係止片20を備えており、一部の係止片20bが光学部品3の外周縁部3bを係止している状態で光学部品3の取手12が回動により当接したときに光学部品3の回動に伴って他の係止片20aが一部の係止片20bに代わって光学部品3の外周縁部3bを係止するように移動するように設けられた支持体4を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、光学部品により配光制御される照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
舞台やスタジオ等の演出照明には、例えばレンズにより配光制御されるスポットライトが使用されている。このスポットライトは、例えば光源ユニットを回動可能に光源ユニットの両側面に取り付けられた例えばコ字状のアームに対して、光源ユニットを回動させることにより投光方向が可変されている。そして、例えば一対の投影レンズを配設した投影ユニットが光源ユニットの投光側に設けられており、一対の投影レンズの位置を調整することにより、投光の拡大、縮小やフオーカシングが行われているものがある(例えば特許文献1参照。)。
【0003】
また、光源ユニットの投光側の外側にレンズを着脱可能にしているスポットライトが提供されている(例えば非特許文献1参照。)。当該スポットライトは、レンズを交換することにより、スポットからフラッドまでの配光制御が可能となっている。ここで、方向性のあるレンズに対しては、装着したレンズを回転して位置調整を行うことにより、配光の調整を行っている。そして、レンズの交換および回転を容易にするために、レンズは、例えば光源ユニットの投光側に設けた係止片などにより支持されている。
【0004】
そして、レンズは、相応の大きさや重量を有するので、上記回転を容易にするために、通常、指で掴むための取手が外周縁部に設けられている。この取手を有するレンズは、係止片などにより係止された状態で上記回転が行われる。すなわち、スポットライトは、その投光側が下方を向いており、レンズが下方に落下しないように係止された状態でレンズの上記回転が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−192371号公報(第4−5頁、第1,5図)
【非特許文献1】東芝ライテック株式会社カタログ、「Art Lighting Product」Vol.8、2009年10月、P17
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
レンズは、その外周縁部が例えば係止片により支持されているので、レンズが回転されたときにレンズの取手が係止片に当接することがある。この場合、係止片による係止を解除し、レンズの取手が係止片に干渉しないようにしてレンズの回転が行われることになり、その解除の期間に亘ってレンズを光源ユニット側に押し付けるようにして回転させる必要があった。このとき、スポットライトの投光側が下方を向いている場合には、レンズは相応の重量を有するレンズを落下させないようにするための作業者の負担が大きいものであった。
【0007】
本実施形態は、配光制御用の光学部品の落下防止が図られるととともに、その光学部品の回転が容易に行える照明器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の照明器具は、器具本体、光学部品および支持体を有して構成される。
【0009】
器具本体は、一端側に投光開口が設けられているとともに、光源を収納している。光源は、投光開口から放射光が出射されるように器具本体内に設けられている。
【0010】
光学部品は、外周縁部に取手を有してなり、器具本体の投光開口の周回方向に回動可能となるように投光開口に対向して器具本体に配設されている。そして、光学部品は、器具本体の投光開口の周回方向に回動することにより、光源の放射光の配光を可変するように形成されている。
【0011】
支持体は、光学部品の外周縁部を係止する突出部を有して形成されている。突出部は、複数の係止片を備えている。そして、突出部は、一部の係止片が光学部品の外周縁部を係止している状態で光学部品の取手が回動により当接したときに光学部品の回動に伴って他の係止片が一部の係止片に代わって光学部品の外周縁部を係止するように、移動するように設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態によれば、複数の係止片を備えていて、一部の係止片が光学部品の外周縁部を係止している状態で光学部品の取手が回動により当接したときに光学部品の回動に伴って他の係止片が一部の係止片に代わって光学部品の外周縁部を係止するように移動する突出部を有する支持体を備えているので、光学部品を回動させるときに、光学部品が常に支持体の突出部に支持されるので、光学部品が常に器具本体から落下することを防止できるとともに、光源の配光制御を迅速に行なうことが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す照明器具の概略側面図である。
【図2】同じく、照明器具の概略正面図である。
【図3】同じく、光学部品の概略斜視図である。
【図4】同じく、光学部品の支持を示す器具本体の一部概略側面図である。
【図5】同じく、支持体の概略正面図である。
【図6】同じく、光学部品の回動時における支持体の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0015】
本実施形態の照明器具1は、図1ないし図6に示すように構成されている。
【0016】
図1において、照明器具1は、スポットライトに構成され、器具本体2、光学部品としてのレンズ3および支持体4を備えている。
【0017】
器具本体2は、アルミニウム合金板からなり、一端側2aが径大の略四角筒状に形成され、他端側2bの内部にハロゲンランプ等の光源5を収納し、一端側2aに円形状の投光開口6が設けられ、中央側2cの外面にコ字状に折曲された支持アーム7が取り付けられている。また、図2に示すように、投光開口6に設けられたステンレス製メッシュ付きガラスフィルタ8と、このガラスフィルタ8の周囲に配設されたバンドア9を備えている。器具本体2は、投光開口6から放射光が出射されるように光源5を収納している。
【0018】
ガラスフィルタ8は、ガラス破損時の破片の飛散防止のため、ステンレス製のセーフティメッシュが付加されている。
【0019】
バンドア9は、ガラスフィルタ8の縁に回動可能に取り付けられた上下の矩形状の羽9aと、左右の先細り状の羽9bとからなっている。これら矩形状の羽9aと、先細り状の羽9bとを展開して、バンドア9の先端側の開口面積を調整し、光源5の放射光の照射範囲を可変できるようになっている。そして、バンドア9は、図1に示すように、器具本体2の一端側2aに回転可能に設けられた4個の継ぎ手10に取り付けられている。
【0020】
支持アーム7は、器具本体2を回動可能に支持しており、また、所望の位置で固定でき、放射光の照射方向を変更できるようになっている。支持アーム7の略中央部には、接続用固定具11がねじ等の固定手段により取り付けられている。接続用固定具11は、照明器具1をスタンドやハンガー等の照明用機材に接続し固定するために用いる。
【0021】
レンズ3は、ガラスからなり、図3に示すように、外面3aが膨出した円形状に形成されている。そして、外周縁部3bには、取手12を有する円形状の包囲体13が取り付けられている。取手12は、指で掴むことのできるように半リング状に形成され、レンズ3の外面3a側に突出している。すなわち、レンズ3は、外周縁部3bに取手12を有している。
【0022】
取手12は、レンズ3の回動を容易に行うために、少なくとも指で掴むことのできるように形成されている。また、取手12は、レンズ3の内側が光源5の放射光の配光制御の部位であるので、外周縁部3bに設けられている。ここで、取手12は、レンズ3に直接設けてもよいが、レンズ3を包囲して嵌め込む包囲体13に設けることにより、容易に設けられる。
【0023】
そして、レンズ3は、図2に示すように、器具本体2の一端側2aに取り付けられた2個の支持部材14と、1個の支持体4とにより、投光開口6の周回方向に回動可能となるように投光開口6に対向して配設されている。すなわち、器具本体2の投光開口6の周縁と、支持部材14および支持体4との間が包囲体13のレンズ3の突出方向の高さよりも幾分大きくなっている。
【0024】
支持部材14は、長方形の固定部14a部およびこの固定部14aの長手方向一端から立設して固定部14aと反対側に延出している長方形の押え部14bを有する板状に形成されている。そして、固定部14aが器具本体2にねじ止めされている。押え部14bの固定部14aに対する立設寸法が包囲体13の高さ寸方よりも幾分大きくなっている。2個の支持部材14は、レンズ3の中心3cよりも下方側において、レンズ3が器具本体2から脱落しないように包囲体13を左右対称に支持している。
【0025】
図3において、レンズ3の外面3aには、中心3cに対して対称に図示しない例えば格子状の模様が形成されている。すなわち、レンズ3は、方向性を有し、器具本体2の投光開口6の周回方向に回動されることにより、光源5の放射光の配光を調整する。図中、左右方向に180°の範囲で回動して、レンズ3の位置が調整されることにより、所定の配光が得られる。
【0026】
支持体4は、図4に示すように、器具本体2の一端側2aに回転可能に設けられた継ぎ手10に取り付けられている。そして、継ぎ手10が器具本体2の投光開口6側に回転されたときに、レンズ3を係止するように設けられている。継ぎ手10の内側には、取付け板15が突出して設けられており、この取付け板15にねじ16およびナット17a,17b等により支持体4が取り付けられている。ねじ16およびナット17aは、支持体4を取付け板15に完全に締め付けていなく、支持体4が取付け板15において回転可能に締め付けている。ナット17bは、ナット17aが緩まないようにねじ16に強く締め付けられている。これにより、支持体4がねじ16を中心軸として回転可能となっている。
【0027】
支持体4は、図5に示すように、レンズ3の包囲体部13を係止することによりレンズ3の外周縁部3bを係止する突出部18を有して形成されている。ここで、ねじ16、ナット17a,17bおよびワッシャ19なども支持体4を構成している。突出部18は、複数の係止片20を備えている。ここでは、突出部18は、3個の係止片20a〜20cを備えている。図5中、係止片20bが包囲体13の取手12の内側において、包囲体13を係止している。
【0028】
突出部18は、3個の係止片20a〜20cのうちの2個が同時に包囲体13を係止できるように、係止片20,20間の角度、係止片20の幅や突出長などが設定されている。すなわち、突出部18は、一部の係止片20(例えば係止片20b)が包囲体13を介してレンズ3の外周縁部3bを係止している状態で、包囲体13の取手12が回動によって当接したときにレンズ3の回動に伴って他の係止片20(例えば係止片20aまたは係止片20c)が、図6に示すように、一部の係止片20(係止片20b)に代わって包囲体13を介してレンズ3の外周縁部3bを係止するように回転して移動するように継ぎ手10の取付け板15に設けられている。
【0029】
また、突出部18は、係止片20aおよび係止片20cが継ぎ手10の一部に当接し、さらに当接方向に回転しないように設けられている。すなわち、突出部18が係止片20a側から係止片20c側(図5中、右回り)に回転したときに係止片20cが継ぎ手10に当接してさらに回転することが阻止され、係止片20c側から係止片20a側(図5中、左回り)に回転したときに係止片20aが継ぎ手10に当接してさらに回転することが阻止される。レンズ3は、その中心3cに対して略180°の範囲で回動可能となっている。
【0030】
次に、本実施形態の作用について述べる。
【0031】
光学部品としてのレンズ3は、その中心3cよりも下方側が器具本体2に固定された2個の支持部材14により係止され、上方側が1個の支持体4により係止される。支持部材14および支持体4は、それぞれ包囲体13を介してレンズ3の外周縁部3bを係止している。
【0032】
照明器具1は、光源5の放射光に対して、スポットからフラッドまでの配光を可変するときに、レンズ3の交換を行う。このとき、レンズ3が方向性を有すると、レンズ3が支持部材14および支持体4に係止された状態で、レンズ3を回動させることにより、配光の調整が行われる。
【0033】
また、照明器具1は、例えば光源5の放射光を斜め方向から被照射対象に照射するように固定物に取り付けられる。このとき、被照射対象での例えば楕円配光を円形状側に配光制御するために、レンズ3を回動させるものがある。
【0034】
レンズ3は、その外周縁部3bに取手12を有しているので、回動されると、外周縁部3bを係止している支持体4に当接する。しかし、上述したように、突出部18が回転して移動し、一部の係止片20に代えて他の係止片20がレンズ3を係止する。すなわち、レンズ3は、支持部材14および支持体4に係止された状態で、シームレスに回動される。
【0035】
本実施形態によれば、複数の係止片20のうちの一部の係止片20bがレンズ3の外周縁部3bを係止している状態で、レンズ3の取手12が回動により当接したときにレンズ3の回動に伴って他の係止片20a,20cが一部の係止片20bに代わってレンズ3の外周縁部3bを係止するように回転する突出部18を有する支持体4を備えているので、レンズ3を回動させるときに、レンズ3が常に支持体4の突出部18に支持されるとともにシームレスに回動され、これにより、レンズ3が常に器具本体2から落下することを防止できるとともに、光源5の配光制御を迅速に行なうことができるという効果を有する。
【0036】
なお、2個の支持部材14に代えて、支持体4を回転可能に設けてもよい。この場合、レンズ3は、投光開口6の右回りまたは左回りに自由に回転することができる。
【0037】
また、光学部品は、レンズ3に限らず、フィルタなどであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1…照明器具、 2…器具本体、 3…光学部品としてのレンズ、 4…支持体、 5…光源、 6…投光開口、 12…取手、 18…突出部、 20…係止片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に投光開口が設けられ、この投光開口から放射光が出射されるように光源が収納された器具本体と;
外周縁部に取手を有し、前記投光開口の周回方向に回動可能となるように前記投光開口に対向して前記器具本体に配設され、前記回動によって前記光源の放射光の配光を可変するように形成された光学部品と;
この光学部品の外周縁部を係止する突出部を有し、この突出部は、複数の係止片を備えており、一部の係止片が光学部品の外周縁部を係止している状態で光学部品の取手が回動により当接したときに光学部品の回動に伴って他の係止片が一部の係止片に代わって光学部品の外周縁部を係止するように移動するように設けられた支持体と;
を具備していることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−199166(P2012−199166A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−63590(P2011−63590)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】