説明

照明器具

【課題】空冷の効率を高めることができる照明器具を提供する。
【解決手段】光を下方に出射させる向きで発光ダイオード11を保持して天井材2に埋込配設される本体部13及び本体部13の外面に突設された複数個の放熱フィン14を有する灯体1と、上下両端にそれぞれ開口を有する隙間を灯体1の外面との間に形成するカバー3と、上記の隙間内に配置されて上向きの気流を発生させるファン4とを備える。ファン4の下側から流入した気流がファン4の上側から流出する構造であるので、気流の流入と流出とがともにファン4の下側で行われる場合に比べ、通気抵抗が抑えられることで空冷の効率を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井面に埋込配設されて下方に光を照射する照明器具であって、空冷のためのファンを備えたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。特に、光源として発光ダイオードが用いられる場合、発光ダイオードは他の電気的な光源に比べて熱による光束の低下や劣化の進行が発生しやすいことから、上記のようなファンが設けられることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−153198号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来は、光を下方に出射させるように発光ダイオードを保持した灯体と、灯体の下面以外を間に隙間を空けて覆うカバーとを備え、灯体の中央部には上下に貫通する通気穴が設けられていた。そして、ファンは、上記の通気穴の上側に配置され、灯体の外周とカバーの内周との隙間から流入して通気穴から下方に流出する気流を発生させていた。
【0005】
上記構成では、気流の流入と流出とがともにファンの下側で行われることで、通気抵抗が比較的に大きくなり、空冷の効率が低くなっていた。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、空冷の効率を高めることができる照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明器具は、光を下方に出射させる向きで電気的な光源を保持して天井材に埋込配設される本体部及び前記本体部の外面に突設された複数個の放熱フィンを有する灯体と、上下両端にそれぞれ開口を有する隙間を前記灯体の外面との間に形成するカバーと、前記隙間内に配置されて上向きの気流を発生させるファンとを備えることを特徴とする。
【0008】
上記の照明器具において、水平方向向きの気流を上向きに誘導する気流誘導部が、前記ファンの下側に設けられていることが望ましい。
【0009】
また、上記の照明器具において、前記ファンは前記灯体の上側に配置され、前記放熱フィンは前記ファンに対して水平方向に並ぶ上下位置まで延長されていることが望ましい。
【0010】
さらに、上記の照明器具において、前記本体部は有底円筒形状であって、前記放熱フィンは前記本体部の外周面において周方向に等間隔に突設されていることが望ましい。
【0011】
また、上記の照明器具において、前記ファンは前記光源の上側に配置されていることが望ましい。
【0012】
さらに、上記の照明器具において、前記隙間内へ突出した凸部が、前記灯体と前記カバーとの少なくとも一方に設けられていることが望ましい。
【0013】
また、上記の照明器具において、前記カバーは前記ファンの上側に位置して前記ファンを埃から保護する保護部を有することが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ファンの下側から流入した気流がファンの上側から流出する構造であるので、気流の流入と流出とがともにファンの下側で行われる場合に比べ、通気抵抗が抑えられることで空冷の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態を示す断面図である。
【図2】(a)(b)はそれぞれ同上を示し、(a)は正面図、(b)は平面図である。
【図3】同上の変更例を示す断面図である。
【図4】(a)(b)はそれぞれ同上の別の変更例を示し、(a)は断面図、(b)は平面図である。
【図5】同上の更に別の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態は、図1に示すように、電気的な光源としての発光ダイオード11を保持して天井材2に設けられた埋込穴20に埋込配設される灯体1を有する。以下、上下左右は図1を基準として説明する。
【0018】
灯体1は、下面が開口した有底円筒形状であって発光ダイオード11が実装されたプリント配線板12が内底面に固定された本体部13を有する。発光ダイオード11の光は、本体部13の下面の開口を通じて下方へ出射される。
【0019】
また、図2に示すように、灯体1の外周面には、それぞれ厚さ方向を本体部13の周方向に向けた複数個(図2では16個)の放熱フィン14が、灯体1の周方向に並べて突設されている。灯体1において、発光ダイオード11と放熱フィン14との間に介在する部材、並びに、放熱フィン14自身は、なるべく熱伝導率が高い材料で構成されていることが望ましい。また、放熱が均一に達成されるためには、放熱フィン14は、灯体1の周方向において等間隔に配置されることが望ましい。
【0020】
さらに、本実施形態は、上下両端部にそれぞれ開口を有する隙間を灯体1の外面との間に形成するカバー3と、上記の隙間に上向きの気流を発生させるファン4とを備える。
【0021】
カバー3は、灯体1の全周を囲む円筒形状の筒部31と、ファン4を上方に露出させて灯体1の上側を覆う覆い部32とを有する。カバー3の下端(すなわち筒部31の下端)は灯体1の下端よりも上側に位置しており、カバー3の内面と灯体1の外面との間にはカバー3の下側からファン4にかけて隙間が形成されている。上記のようなカバー3の材料としては例えば合成樹脂や金属を用いることができる。
【0022】
ファン4は、灯体1の上側において、回転軸を灯体1の中心軸に揃えて、灯体1に対して固定されている。上方から見てファン4はカバー3の上側の開口(すなわち上記の隙間の上側の開口)内に位置する。発光ダイオード11やファン4の電力を生成する電源回路(図示せず)は、灯体1に収納されていてもよいし、カバー3の外側に配置されていてもよい。
【0023】
また、ファン4は、上向きの気流を発生させる向きで駆動される。
【0024】
さらに、灯体1において、ファン4の下側には、本体部13と同軸の円錐形状の気流誘導部15が突設されている。
【0025】
上記構成によれば、図1に矢印で示すようにファン4の下側から流入した気流がファンの上側から流出する構造であるので、気流の流入と流出とがともに下側で行われる場合に比べて通気抵抗が抑えられることで空冷の効率が向上する。
【0026】
また、ファン4の下側において本体部13の外周から本体部13の中心軸上に向かう水平方向の気流は、気流誘導部15に当たることで上向きに曲がり、ファン4へ誘導される。これにより、気流誘導部15が設けられない場合に比べ、通気抵抗が抑えられて空冷の効率が改善される。
【0027】
さらに、本実施形態では、各放熱フィン14がそれぞれファン4に対して水平方向に並ぶ上下位置まで上方に延長されている。これにより、各放熱フィン14がファン4よりも下側にのみ位置する場合に比べ、放熱性が改善される。
【0028】
また、本実施形態では、ファン4は光源であり熱源でもある発光ダイオード11の上側に配置されている。これにより、ファン4が水平方向において発光ダイオード11から離される場合に比べ、空冷の効率が改善される。
【0029】
ここで、上記の気流に乗って吸入された埃がファン4に纏わり付いた場合、ファン4が発生させる騒音が大きくなる可能性や、ファン4の動作が阻害される可能性がある。本実施形態では気流が下方から流入するので、気流が上方から流入する場合に比べて埃が吸入されにくくなっている。さらに上記の埃がファン4に到達しにくいように、図3に示すように、上記の気流の流路内に突出する凸部16を各放熱フィン14にそれぞれ設けてもよい。この構成を採用すれば、凸部16の周辺に渦が発生し、これによって上記の埃がファン4に到達する前に落下しやすくなると考えられる。なお、図3の例では凸部16は厚さ方向を上下方向に向けた扁平な形状となっているが、凸部16の形状は適宜変更可能である。また、上記のような凸部16を灯体1の本体部13やカバー3に設けてもよい。
【0030】
また、ファン4の停止中に上方から落下する埃によっても、上記のような問題は発生しうる。そこで、落下する埃からファン4を保護する保護部を設けてもよい。このような保護部としては、図4に示すような網33や、図5に示すような屋根部34をカバー3に設けることが考えられる。
【0031】
図4の例では、網33は筒部31の上方に突設された円筒形状の支持部35によりファン4の上側に支持されており、網33に堆積した埃はファン4の動作時にある程度吹き飛ばされる。
【0032】
図5の例では、屋根部34は筒部31の上方に突設された支持部36によりファン4の上側に支持されている。図5の例では支持部36は例えば多数の貫通穴等を有して気流を通過させるものであり、ファン4の気流は矢印で示されるように支持部36の貫通穴等を通じて水平方向に流出する。この場合において、通気抵抗を抑えるために、屋根部34は、ファン4の上側に位置する中央部が、気流の流出口に近い端部よりも下方に突出したV字形状ないし円錐形状とされることが望ましい。
【符号の説明】
【0033】
1 灯体
2 天井材
3 カバー
4 ファン
11 発光ダイオード(光源)
13 本体部
14 放熱フィン
16 凸部
33 網(保護部)
34 屋根部(保護部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を下方に出射させる向きで電気的な光源を保持して天井材に埋込配設される本体部及び前記本体部の外面に突設された複数個の放熱フィンを有する灯体と、
上下両端にそれぞれ開口を有する隙間を前記灯体の外面との間に形成するカバーと、
前記隙間内に配置されて上向きの気流を発生させるファンとを備えることを特徴とする照明器具。
【請求項2】
水平方向向きの気流を上向きに誘導する気流誘導部が、前記ファンの下側に設けられていることを特徴とする請求項1記載の照明器具。
【請求項3】
前記ファンは前記灯体の上側に配置され、前記放熱フィンは前記ファンに対して水平方向に並ぶ上下位置まで延長されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の照明器具。
【請求項4】
前記本体部は有底円筒形状であって、前記放熱フィンは前記本体部の外周面において周方向に等間隔に突設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項5】
前記ファンは前記光源の上側に配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項6】
前記隙間内へ突出した凸部が、前記灯体と前記カバーとの少なくとも一方に設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の照明器具。
【請求項7】
前記カバーは前記ファンの上側に位置して前記ファンを埃から保護する保護部を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−114807(P2013−114807A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257784(P2011−257784)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】