説明

照明用ライト付き工具

【課題】ペンチやニッパのような開閉動作を伴う工具であって、目的物を確実に照らすことができる照明用ライトが装填された工具を提供する。
【解決手段】工具の先端付近に貫通孔210を形成し、貫通孔210の内部に照明用ライト211を埋め込む。スイッチ220を操作することにより、照明用ライト211をオン・オフすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的物を照らすための照明用ライトが設けられた工具に関する。
【背景技術】
【0002】
目的物を照らすための照明用ライトが設けられた工具の一例として、特開平9−216175号公報に記載されたドライバーがある。
【0003】
このドライバーの柄の内部には電池及び豆電球が装填されており、ドライバーの先端を照らすようになっている。
【特許文献1】特開平9−216175号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ペンチやニッパのような工具は、一般に、第一の部材と第二の部材とからなり、第一の部材と第二の部材とが回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結され、第一の部材及び第二の部材の一端側においてその工具の機能(例えば、目的物を挟む、あるいは、切断する)を実行する機能部を構成し、第一の部材及び第二の部材の他端側において使用者が工具を保持するための把手を構成している。
【0005】
このように、回動中心点を中心として二つの構成部材を開閉させることにより、目的物を挟む、あるいは、切断するなどの機能を有する工具においては、上記のドライバーのように把手の部分に豆電球その他の照明用ライトを装填しても、光は二つの構成部材の各々に遮断され、工具の先端までは到達しない。
【0006】
このため、ペンチやニッパのような第一の部材と第二の部材とからなる工具においては、照明用ライトの取り付け方を新たに考え出すことが必要である。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、ペンチやニッパのような開閉動作を伴う工具であって、目的物を確実に照らすことができる照明用ライトが装填された工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に、「発明の実施の形態」において使用される参照符号を用いて、上述の課題を解決するための手段を説明する。これらの参照符号は、「特許請求の範囲」の記載と「発明の実施の形態」の記載との間の対応関係を明らかにするためにのみ付加されたものであり、「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いるべきものではない。
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明は、第一の態様として、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(200)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具(200)の機能を実行する機能部(207、208)を構成し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具を保持するための把手(201c、202c)を構成する工具(200)において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の少なくともいずれか一方には、前記機能部(207、208)に前記工具の先端に向かう方向に延びる凹部または貫通孔(210)が形成されており、前記凹部または貫通孔(210)には照明用ライト(211)が内蔵されていることを特徴とする工具(200)を提供する。
【0010】
前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の少なくともいずれか一方の外側表面には前記照明用ライト(211)のオン・オフ用スイッチ(220)を配置することができる。
【0011】
例えば、前記オン・オフ用スイッチ(220)は付勢されている場合のみ、前記照明用ライト(211)をオンにするものとして構成することができる。
【0012】
前記オン・オフ用スイッチ(320)は第一の位置と第二の位置との間をスライド可能であり、前記オン・オフ用スイッチ(320)が前記第一の位置にあるときには前記照明用ライトがオンとなり、前記オン・オフ用スイッチ(320)が前記第二の位置にあるときには前記照明用ライト(211)がオフとなることが好ましい。
【0013】
本発明は、さらに、第二の態様として、第一の部材(201)と、第二の部材(202)と、からなる工具(400)であって、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の一端側においてその工具(400)の機能を実行する機能部(207、208)を構成し、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の他端側において使用者が前記工具(400)を保持するための把手(201c、202c)を構成する工具(400)において、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)の少なくともいずれか一方には、前記機能部(207、208)に前記工具(400)の先端に向かう方向に延びる凹部または貫通孔(210)が形成されており、前記凹部または貫通孔(210)には照明用ライト(211)が内蔵されており、前記第一の部材(201)及び前記第二の部材(202)が相互に開く動作と相互に閉じる動作に連動して前記照明用ライト(211)がオン・オフされることを特徴とする工具(400)を提供する。
【0014】
前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とが相互に開いたときには前記照明用ライト(211)はオンとなり、前記第一の部材(201)と前記第二の部材(202)とが相互に閉じたときには前記照明用ライト(211)がオフとなることが好ましい。
【0015】
前記機能部(207、208)に隣接して平坦な領域(207a、208a)が形成されており、前記凹部または貫通孔(210)は前記平坦な領域(207a、208a)に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
第一の態様の本発明に係る工具によれば、照明用ライトで本工具の先端付近を照らすことができ、周囲が暗いときであっても、目的物を容易に識別することが可能になり、目的物を確実に挟み込むことができる。
【0017】
オン・オフ用スイッチを設けることにより、照明用ライトは使用者が任意の時期に点灯及び消灯させることができるため、必要な時期に確実に照明用ライトを点灯させておくことができる。
【0018】
オン・オフ用スイッチとして、スライド式のスイッチを用いることにより、一旦オン・オフ用スイッチを第一の位置にスライドさせておけば、オン・オフ用スイッチは常に第一の位置にあるため、照明用ライトは点灯し続ける。このため、プッシュ式のオン・オフ用スイッチを用いた場合とは異なり、使用者は目的物を挟み込む作業中にオン・オフ用スイッチを付勢し続けておく必要がなくなり、その分、目的物を挟み込む作業を行いやすくなる。
【0019】
第二の態様の本発明に係る工具によれば、使用者は、オン・オフ用スイッチを操作することなく、第一の部材及び第二の部材の開閉動作に伴い、自動的に照明用ライトをオン・オフさせることができる。すなわち、使用者は、オン・オフ用スイッチを操作することなく、目的物を挟み込む前に第一の部材及び第二の部材を相互に開くだけで照明用ライトを点灯させることができ、さらに、目的物を挟み込んだときに照明用ライトを消灯させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係るラジオペンチ200の斜視図であり、図2はラジオペンチ200の分解斜視図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係るラジオペンチ200は、第一の部材201と、第二の部材202と、止めピン204と、から構成されている。
【0022】
止めピン204は、図2に示すように、ピン軸204aと、ピン軸204aの一端においてピン軸204aと同心に形成され、ピン軸204aよりも大きな直径を有するヘッド204bと、から構成されている。
【0023】
ヘッド204bにはマイナスのドライバーを挿入するためのスリット204cが形成されており、ピン軸204aの他端には先端から所定の距離にわたって雄ネジ溝204dが切られている。
【0024】
第一の部材201及び第二の部材202は、例えば、鋼鉄製であり、以下に述べるように、協働してラジオペンチ200を構成する。
【0025】
第一の部材201は、第二の部材202と協働して対象物(図示せず)を挟み込む機能を実行する挟み込み領域を形成する先端部分201aと、第二の部材202と回動自在に連結するためのほぼ円筒形状の連結部分201bと、把手を構成する把手部分201cと、から構成されている。
【0026】
同様に、第二の部材202は、第一の部材201と協働して対象物(図示せず)を挟み込む機能を実行する挟み込み領域を形成する先端部分202aと、第一の部材201と回動自在に連結するための連結部分202bと、把手を構成する把手部分202cと、からなる。
【0027】
第一の部材201の先端部分201aのうち、第二の部材202に対向する面には、挟み込む対象物(図示せず)との間の摩擦力を増すための断面がギザギザ状の鋸歯状面207と、平坦な面207aとが先端からこの順番に形成されている。
【0028】
同様に、第二の部材202の先端部分202aのうち、第一の部材201に対向する面には、挟み込む対象物(図示せず)との間の摩擦力を増すための断面がギザギザ状の鋸歯状面208と、平坦な面208aとが先端からこの順番に形成されている。
【0029】
第一の部材201と第二の部材202とを相互に閉じ合わせた場合には、鋸歯状面207、208が相互に接し合い、平坦な面207a、208aとが相互に接し合う。
【0030】
第一の部材201の連結部分201b及び第二の部材202の連結部分202bはともにほぼ円筒状に形成されている。第二の部材202の連結部分202bには、先端部分202a及び把手部分202cと比較して、高さが低くなっている凹部領域205が形成されている。この凹部領域205に第一の部材201の連結部分201bが嵌合し、第一の部材201の連結部分201bと第二の部材202の連結部分202bとが連結される。
【0031】
第一の部材201の連結部分201bには第一の部材201の回動中心点が存在し、同様に、第二の部材202の連結部分202bには第二の部材202の回動中心点が存在している。双方の回動中心点は同一の垂線X上に位置している。
【0032】
第一の部材201には、回動中心点を中心とし、連結部分201bの厚さ方向に貫通する孔206が形成されている。孔206はピン軸204aの直径と同一の内径を有している。このため、止めピン204は孔206に嵌合することができるようになっている。
【0033】
第二の部材202には、連結部分202bにおいて、第二の部材202の回動中心点を中心として、すなわち、垂線Xを中心として貫通孔209が形成されている。
【0034】
貫通孔209はピン軸204aの直径と同一の内径を有している。このため、止めピン204は貫通孔209に嵌合することができるようになっている。
【0035】
第一の部材201と第二の部材202とは、以下のようにして、連結される。
【0036】
まず、第一の部材201の連結部分201bを第二の部材202の凹部領域205に嵌め合わせる。
【0037】
次いで、止めピン204を孔206及び貫通孔209に通し、貫通孔209の裏側において、止めピン204の雄ネジ溝204dをナット(図示せず)に螺合させる。
【0038】
これにより、第一の部材201と第二の部材202とが相互に回転可能な状態で固定される。
【0039】
第一の部材201及び第二の部材202の各先端部分201a、202aが対象物(図示せず)を挟み込むための挟み込み領域を形成し、第一の部材201及び第二の部材202の把手部分201c、202cは使用者がラジオペンチ200を保持するための把手を構成する。
【0040】
図1及び図2に示すように、第二の部材202の先端部分202aを構成する平坦面208aには貫通孔210が形成されている。
【0041】
図3は、貫通孔210を通る水平面で第二の部材202の先端部分202aを切断した場合の断面図である。
【0042】
貫通孔210は、ラジオペンチ200の先端に向かって、具体的には、第二の部材202に対向する第一の部材201の先端に向かって、斜めに形成されている。
【0043】
貫通孔210の内部には、図3に示すように、照明用ライト211が、その発光面211aがラジオペンチ200の先端を向くようにして、装填されている。
【0044】
さらに、第二の部材202の把手部分202cの外側を向く表面には、連結部分202bに近い位置において、プッシュ式のオン・オフ用スイッチ220が設けられている。
【0045】
また、第二の部材202の把手部分202cには、第一の部材201の把手部分201cに対向する面において、電池ボックス230が形成されており、電池ボックス230の内部には電池(図示せず)が装填されている。
【0046】
照明用ライト211にはリード線212が接続されており、照明用ライト211はリード線212によってオン・オフ用スイッチ220を介して電池ボックス230の内部の電池と電気的に接続されている。
【0047】
図3に示すように、第二の部材202の内部にはリード線212を通す孔213が形成されており、リード線212は孔213の中に収納されている。
【0048】
オン・オフ用スイッチ220は、その内部に装填されているバネ部材(図示せず)により、常に外側に向かって突出している。
【0049】
オン・オフ用スイッチ220は付勢されると、すなわち、押下されると、オンとなり、電池ボックス230の内部の電池の電流を照明用ライト211に通電する。これにより、照明用ライト211は発光面211aから発光を行う。
【0050】
オン・オフ用スイッチ220の付勢を停止すると、すなわち、押下を停止すると、内部に装填されているバネ部材(図示せず)の作用により、外側に向かって移動し、オフとなる。これにより、電池ボックス230の内部の電池の電流は照明用ライト211には通電せず、照明用ライト211は発光を停止する。
【0051】
以上のような構造を有する本実施形態に係るラジオペンチ200は以下のように使用される。
【0052】
使用者は、ラジオペンチ200の使用前に、あるいは、ラジオペンチ200の使用後の適当な時期に、オン・オフ用スイッチ220を指で押下してオン・オフ用スイッチ220を付勢すると、電池ボックス230に内蔵されている電池からリード線212を介して照明用ライト211に通電が行われ、照明用ライト211が点灯する。
【0053】
貫通孔210は、ラジオペンチ200の先端に向かって、すなわち、第二の部材202に対向する第一の部材201の先端に向かって、斜めに形成されているため、貫通孔210の内部に装填されている照明用ライト211の発光面211aもラジオペンチ200の先端に向いている。
【0054】
このため、照明用ライト211から発せられる光はラジオペンチ200の先端を照らすため、周囲が暗い場合であっても、使用者はラジオペンチ200で挟み込もうとしている目的物を容易に識別することができる。従って、使用者は容易に目的物をラジオペンチ200の第一の部材201の先端部分201a及び第二の部材202の先端部分202aの間に挟み込むことができる。
【0055】
このようにして、目的物をラジオペンチ200で挟み込んだ後は、オン・オフ用スイッチ220から指を離してオン・オフ用スイッチ220の付勢を停止すると、電池ボックス230に内蔵されている電池から照明用ライト211への通電が停止され、照明用ライト211は消灯する。
【0056】
以上のように、本実施形態に係るラジオペンチ200によれば、照明用ライト211でラジオペンチ200の先端付近を照らすことができ、周囲が暗いときであっても、目的物を容易に識別することが可能になり、目的物を確実に挟み込むことができる。加えて、照明用ライト211は使用者が任意の時期に点灯及び消灯させることができるため、必要な時期に確実に照明用ライト211を点灯させておくことができる。
【0057】
本実施形態に係るラジオペンチ200は上記の構造に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
【0058】
例えば、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、第一の部材201と第二の部材202とを回動可能に連結するために止めピン204を用いたが、第一の部材201と第二の部材202とを回動可能に連結するための手段は止めピン204には限定されない。第一の部材201と第二の部材202とを回動可能に連結することができるものである限り、任意の手段を選択することが可能である。
【0059】
また、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、照明用ライト211は第二の部材202の内部に設けられているが、第二の部材202の代わりに第一の部材201の内部に設けてもよく、あるいは、第一の部材201及び第二の部材202の双方に設けることもできる。
【0060】
さらに、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、1個の照明用ライト211が設けられているが、複数個の照明用ライト211を並列に、あるいは、マトリクス状に配置することも可能である。また、照明用ライト211を第一の部材201及び第二の部材202の双方に設ける場合には、第一の部材201及び第二の部材202の各々に設ける照明用ライト211の数及び配列を同じにすることは必ずしも必要ではなく、必要に応じて、異なる数または配列にすることもできる。
【0061】
また、照明用ライト211が発する光の色は特に限定されない。複数の照明用ライト211を設ける場合において、必要があるときには、各照明用ライト211が発する光の色をそれぞれ異なる色にすることも可能である。
【0062】
また、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、リード線212は、第二の部材202の内部に形成された孔213の中に収納されているが、第二の部材202の外側表面に溝を形成し、その溝の中にリード線212を埋め込むことも可能である。
【0063】
本実施形態に係るラジオペンチ200においては、第二の部材202の先端部分202aにおける鋸歯状面208に隣接して平坦面208aを形成し、照明用ライト211を埋め込むための貫通孔210を平坦面208aに形成しているが、平坦面208aを形成することは必ずしも必要ではない。第二の部材202の先端部分202aの全面にわたって鋸歯状面208を形成し、その鋸歯状面208内に貫通孔210を形成することも可能である。
【0064】
さらに、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、照明用ライト211を埋め込むための貫通孔210を形成しているが、貫通孔210に代えて、照明用ライト211を埋め込むことができる程度の凹部を形成することも可能である。
【0065】
また、本実施形態に係るラジオペンチ200においては、オン・オフ用スイッチ220は第二の部材202の把手部分202cに設けられているが、オン・オフ用スイッチ220を設ける位置は必ずしもこの位置には限定されない。使用者が所望する位置にオン・オフ用スイッチ220を設けることが可能である。
【0066】
(第二の実施形態)
図4(A)及び(B)は、本発明の第二の実施形態に係るラジオペンチに設けられているオン・オフ用スイッチ320の正面図である。
【0067】
上記の第一の実施形態に係るラジオペンチ200に設けられているオン・オフ用スイッチ220をオンにし続けるためには、オン・オフ用スイッチ220を付勢し続けなければならない。このため、使用者がラジオペンチ200で細かな目的物を挟み込もうとしているときに、オン・オフ用スイッチ220を付勢し続けることは必ずしも容易ではない場合もある。
【0068】
このため、本発明の第二の実施形態に係るラジオペンチに設けられているオン・オフ用スイッチ320はスライドスイッチとして構成されており、オン・オフ用スイッチをオンにし続けるためにオン・オフ用スイッチを付勢し続ける必要をなくしている。
【0069】
図4に示すように、本実施形態におけるオン・オフ用スイッチ320は、図4(A)に示す第一の位置と図4(B)に示す第二の位置との間において第二の部材202の表面上をスライド可能であるように形成されている。
【0070】
オン・オフ用スイッチ320は、第一の位置にあるときには照明用ライト211がオンとなり、第二の位置にあるときには照明用ライト211がオフとなるように構成されている。
【0071】
このように、本実施形態に係るラジオペンチにおいては、一旦オン・オフ用スイッチ320を図4(A)に示す第一の位置にスライドさせておけば、オン・オフ用スイッチ320は常に第一の位置にあるため、照明用ライト211は点灯し続ける。このため、第一の実施形態に係るラジオペンチ200の場合とは異なり、使用者は目的物を挟み込む作業中にオン・オフ用スイッチを付勢し続けておく必要がなくなり、その分、目的物を挟み込む作業を行いやすくなる。
【0072】
また、オン・オフ用スイッチ320として、スライド式スイッチに代えて、ダイアル式スイッチを用いることもできる。
【0073】
このダイアル式スイッチは少なくともオンの位置とオフの位置との間を回動可能に構成される。
【0074】
あるいは、ダイアル式スイッチはオフの位置と複数のオンの位置との間で回動可能に構成することもできる。複数のオンの位置を設けることにより、照明用ライト211から発せられる光の強度を変更することができる。
【0075】
(第三の実施形態)
図5は、本発明の第三の実施形態に係るラジオペンチ400を閉じた状態を示す部分的な平面図であり、図6は、本発明の第三の実施形態に係るラジオペンチ400を開いた状態を示す部分的な平面図である。
【0076】
本実施形態に係るラジオペンチ400は、第一の実施形態に係るラジオペンチ200と比較して、プッシュ式のオン・オフ用スイッチ220に代えて、回転式スイッチ410を用いている。プッシュ式のオン・オフ用スイッチ220に代えて回転式スイッチ410を用いている点を除いて、本実施形態に係るラジオペンチ400は第一の実施形態に係るラジオペンチ200と同一の構造を有している。
【0077】
本実施形態における回転式スイッチ410は、第二の部材202の連結部分202bの上側表面(第一の部材201と対向する側の表面)202ba(図2参照)にコーティングされた導電絶縁膜(図示せず)と、第一の部材201の連結部分201bの下側表面(第二の部材202と対向する側の表面)201ba(図2参照)にコーティングされた導電絶縁膜(図示せず)と、第二の部材202の連結部分202bの上側表面にコーティングされた導電絶縁膜上に形成された第一接点411(実線で示す。図5及び図6参照)と、第二の部材202の連結部分202bの上側表面にコーティングされた導電絶縁膜上に形成された第二接点412(実線で示す。図5及び図6参照)と、第一の部材201の連結部分201bの下側表面にコーティングされた導電絶縁膜上に形成された円弧状接点413(破線で示す。図5及び図6参照)と、から形成されている。
【0078】
なお、第一の部材201の連結部分201bと第二の部材202の連結部分202bとが相互に電気的に絶縁されている場合には、二つの導電絶縁膜は不要である。
【0079】
図5及び図6に示すように、第一接点411及び第二接点412は何れも点状の導電性フィルムからなる。第一接点411及び第二接点412は何れも第二の部材202の回動中心点(垂線X)を中心とする円弧上に位置しており、その円弧上において所定の距離(あるいは、所定の円周角)だけ相互に離れている。
【0080】
図5及び図6に示すように、第一接点411はリード線212を介して電池414(電池ボックス230に内蔵されている電池)の正極に接続されており、第二接点412はリード線212を介して照明用ライト211に接続され、さらに、照明用ライト211は電池414の負極に接続されている。
【0081】
図5及び図6に示すように、円弧状接点413(破線で示す)は、第一接点411及び第二接点412と同様に、導電性フィルムからなり、第一の部材201の回動中心点(垂線X)を中心とする円弧形状をなしている。
【0082】
図5に示すように、本実施形態に係るラジオペンチ400を構成する第一の部材201と第二の部材202とが相互に閉じている場合には、円弧状接点413は第一接点411にのみ接触している。このため、第一接点411と第二接点412とは相互に電気的には接続されておらず、電池414からの電流は照明用ライト211には通電せず、照明用ライト211は点灯しない。
【0083】
本実施形態に係るラジオペンチ400を構成する第一の部材201と第二の部材202とを徐々に開いていくと、第一接点411及び第二接点412に対して円弧状接点413が反時計方向に回転し、第一の部材201と第二の部材202とが所定の角度だけ相互に開いたときに、円弧状接点413は第一接点411及び第二接点412の双方に接触する。
【0084】
これにより、第一接点411と第二接点412とが円弧状接点413を介して相互に電気的に接続し、電池414からの電流が照明用ライト211に通電し、照明用ライト211が点灯する。
【0085】
以後、図6に示すように第一の部材201と第二の部材202とを最大角度に開くまでの間、第一接点411と第二接点412とは円弧状接点413を介して相互に電気的に接続している状態を維持する。すなわち、電池414からの電流は照明用ライト211に通電し、照明用ライト211は点灯し続ける。
【0086】
逆に、図6に示すように第一の部材201と第二の部材202とを最大角度に開いた状態から第一の部材201と第二の部材202とを閉じていくと、円弧状接点413は第一接点411及び第二接点412に対して時計方向に回転し、第一の部材201と第二の部材202との間の角度が前述の所定の角度に達するまでの間、電池414からの電流は照明用ライト211に通電し、照明用ライト211は点灯し続ける。
【0087】
第一の部材201と第二の部材202とがさらに相互に閉じられ、第一の部材201と第二の部材202との間の角度が前述の所定の角度より小さくなると、円弧状接点413は第二接点412から離れ、第一接点411にのみ接触する位置(図5に示す位置)に移行する。円弧状接点413がこの位置に到達すると、第一接点411と第二接点412とは相互に電気的には接続されない状態になり、電池414からの電流は照明用ライト211には通電せず、照明用ライト211は消灯する。
【0088】
以上のように、本実施形態に係るラジオペンチ400は回転式スイッチ410を備えているため、第一の部材201及び第二の部材202が相互に開く動作と相互に閉じる動作に連動して照明用ライト211がオン・オフされる。具体的には、第一の部材201と第二の部材202とが相互に開いたときには照明用ライト211はオンとなり、第一の部材201と第二の部材202とが相互に閉じたときには照明用ライト211がオフとなる。
【0089】
このため、本実施形態に係るラジオペンチ400においては、上述の第一及び第二の実施形態に係るラジオペンチとは異なり、オン・オフ用スイッチ220、320を操作することなく、第一の部材201及び第二の部材202の開閉動作に伴い、自動的に照明用ライト211がオン・オフされる。
【0090】
すなわち、使用者は、オン・オフ用スイッチを操作することなく、目的物を挟み込む前に第一の部材201及び第二の部材202を相互に開くだけで照明用ライト211を点灯させることができ、さらに、目的物を挟み込んだときに(第一の部材201及び第二の部材202がそれらの間に目的物を挟み込んだ状態では、第一の部材201及び第二の部材202との間の角度は前述の所定の角度になっている)、照明用ライト211を消灯させることができる。
【0091】
なお、照明用ライト211が点灯を開始する角度(第一の部材201及び第二の部材202との間の角度)及び照明用ライト211が消灯する角度は円弧状接点413の長さ(第一の部材201の回動中心点を中心とする円弧に沿った長さ)あるいは第一接点411と第二接点412との間の距離(第二の部材202の回動中心点を中心とする円弧に沿った長さ)を変えることにより、所望の角度に設定することが可能である。
【0092】
なお、本実施形態に係るラジオペンチ400は上記のような構造の回転式スイッチ410を用いたが、第一の部材201及び第二の部材202が相互に開く動作と相互に閉じる動作に連動して照明用ライト211をオン・オフすることができるスイッチであれば、いかなる構造のスイッチであっても使用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
上記の第一乃至第三の実施形態においては、本発明を適用する対象として、ラジオペンチを選択したが、本発明の適用対象はラジオペンチには限定されない。
【0094】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、第一の部材と第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、第一の部材及び第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行する機能部(上述の第一の実施形態における先端部分201a、202aに相当する部分)を構成し、第一の部材及び第二の部材の他端側において使用者が工具を保持するための把手(上述の第一の実施形態における把手部分201c、202cに相当する部分)を構成する工具であれば、いかなる工具に対しても本発明を適用することが可能である。
【0095】
例えば、ラジオペンチの他に、通常のペンチ、ニッパ、ケーブルカッター、エンビ管カッター、ダクトカッターなどに本発明を適用することが可能である。
【0096】
なお、ラジオペンチとは先端が先細になっている形状を有するものを指し、通常のペンチとはラジオペンチ以外のものを指す。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るラジオペンチの斜視図である。
【図2】本発明の第一の実施形態に係るラジオペンチの分解斜視図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係るラジオペンチにおいて、貫通孔を通る水平面で第二の部材の先端部分を切断した場合の断面図である。
【図4】図4(A)及び(B)は、本発明の第二の実施形態に係るラジオペンチに設けられているオン・オフ用スイッチの正面図である。
【図5】本発明の第三の実施形態に係るラジオペンチを閉じた状態を示す部分的な平面図である。
【図6】本発明の第三の実施形態に係るラジオペンチを開いた状態を示す部分的な平面図である。
【符号の説明】
【0098】
200 本発明の第一の実施形態に係るラジオペンチ
201 第一の部材
201a 先端部分
201b 連結部分
201c 把手部分
202 第二の部材
202a 先端部分
202b 連結部分
202c 把手部分
204 止めピン204
204a ピン軸
204b ヘッド
204c スリット
204d 雄ネジ溝
205 凹部領域
206 孔
207、208 鋸歯状面
209 貫通孔
210 貫通孔
211 照明用ライト
212 リード線
213 孔
320 第二の実施形態におけるオン・オフ用スイッチ
400 本発明の第三の実施形態に係るラジオペンチ
411 第一接点
412 第二接点
413 円弧状接点
414 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行する機能部を構成し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくともいずれか一方には、前記機能部に前記工具の先端に向かう方向に延びる凹部または貫通孔が形成されており、前記凹部または貫通孔には照明用ライトが内蔵されていることを特徴とする工具。
【請求項2】
前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくともいずれか一方の外側表面には前記照明用ライトのオン・オフ用スイッチが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の工具。
【請求項3】
前記オン・オフ用スイッチは付勢されている場合のみ、前記照明用ライトをオンにするものであることを特徴とする請求項2に記載の工具。
【請求項4】
前記オン・オフ用スイッチは第一の位置と第二の位置との間をスライド可能であり、前記オン・オフ用スイッチが前記第一の位置にあるときには前記照明用ライトがオンとなり、前記オン・オフ用スイッチが前記第二の位置にあるときには前記照明用ライトがオフとなることを特徴とする請求項2に記載のスイッチ。
【請求項5】
第一の部材と、第二の部材と、からなる工具であって、
前記第一の部材と前記第二の部材とを回動中心点を中心として相互に回動可能であるように連結し、前記第一の部材及び前記第二の部材の一端側においてその工具の機能を実行する機能部を構成し、前記第一の部材及び前記第二の部材の他端側において使用者が前記工具を保持するための把手を構成する工具において、
前記第一の部材及び前記第二の部材の少なくともいずれか一方には、前記機能部に前記工具の先端に向かう方向に延びる凹部または貫通孔が形成されており、前記凹部または貫通孔には照明用ライトが内蔵されており、
前記第一の部材及び前記第二の部材が相互に開く動作と相互に閉じる動作に連動して前記照明用ライトがオン・オフされることを特徴とする工具。
【請求項6】
前記第一の部材と前記第二の部材とが相互に開いたときには前記照明用ライトはオンとなり、前記第一の部材と前記第二の部材とが相互に閉じたときには前記照明用ライトがオフとなることを特徴とする請求項5に記載の工具。
【請求項7】
前記機能部に隣接して平坦な領域が形成されており、前記凹部または貫通孔は前記平坦な領域に形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−183687(P2008−183687A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−21295(P2007−21295)
【出願日】平成19年1月31日(2007.1.31)
【出願人】(000137546)株式会社マルト長谷川工作所 (7)
【Fターム(参考)】