照明装置、照明器具および照明制御システム
【課題】各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供する。
【解決手段】照明装置10は、第1〜第4光源11〜14、制御部30、操作部35を具備する。第1光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い。制御部30は、前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する。操作部35は、前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる。
【解決手段】照明装置10は、第1〜第4光源11〜14、制御部30、操作部35を具備する。第1光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い。制御部30は、前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する。操作部35は、前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種の照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の照明環境を造り出すため、一般的には蛍光灯の白い光や電球の暖かい光など、光色が異なりかつ調光可能な複数の光源を備えることにより、光色と明るさを調整することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184910号公報
【特許文献2】特開2008−300117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の照明環境を演出するためには、例えば、店で選んだ色の服で外を歩いた場合に、思っていた色と違って見えるようなことが生じないように、色の見え方(演色性)も良好にすることが必要である。このため、光色と明るさを制御できるとともに、色の見え方を如何にして制御し、各種多様な照明環境を造り出すかが重要な課題になっている。
【0005】
また、店舗などでは、上記のように、照明器具の相関色温度や平均演色評価数Raは空間の雰囲気や商品の見え方を考慮する上で重要な要素ある。特に平均演色評価数Raは高いほど色の見え方が忠実になる一方で器具効率とトレードオフの関係にあるため、どの程度の平均演色評価数Raを有する器具を選択すべきか、購入の時点でユーザーが判断することは難しい問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における照明装置は、第1〜第4光源、制御部、操作部を具備する。第1光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い。制御部は、前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する。操作部は、前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態である照明装置の発光モジュールを示し、(a)は正面図、(b)は裏面図。
【図2】同じく照明装置の光源を拡大して示す断面図。
【図3】同じく照明装置における各光源の分光分布図。
【図4】同じく照明装置の発光モジュールを、一部を拡大して示す正面図。
【図5】同じく照明装置の電気回路図。
【図6】同じく照明装置における器具光束を一定とし、相関色温度3500Kで平均演色評価数Ra70〜95における各光源の調光率を示すグラフ。
【図7】同じく照明装置における器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度2850K〜5000Kにおける各光源の調光率を示すグラフ。
【図8】同じく照明装置の操作部を示す正面図。
【図9】同じく照明器具を示し、(a)は一部を切り欠いて示す斜視図、(b)はベース体の正面図。
【図10】同じく照明制御システムを示し、照明器具が設置された天井を示す図。
【図11】同じく照明装置の変形例における発光モジュールを、一部を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に従い説明する。本実施形態は、各種多様な照明環境を造り出すことが可能で、かつ各種多様な照明環境を体感することが可能な照明ショールームに設置される照明制御システム。この照明制御システムに用いられる照明装置および照明器具を構成するもので、先ず照明装置の構成につき説明する。
【0011】
本実施形態の照明装置10は、発光ダイオード(以下「LED」と称す)を光源とする照明装置で、図1(a)(b)に示すように、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数Raが高い第1光源11と;相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数Raが低い第2光源12と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数Raが高い第3光源13と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数Raが低い第4光源14と;前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数Raを制御する制御部30と;前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部35で構成する。
【0012】
上記の第1〜第4光源11〜14は、本実施形態では、次のように構成した。
【0013】
第1光源11は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では約92の第1のLEDで構成した。
【0014】
第2光源12は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態では約70の第2のLEDで構成した。
【0015】
第3光源13は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では約92の第3のLEDで構成した。
【0016】
第4光源14は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態では約67の第4のLEDで構成した。
【0017】
そして、上記第1〜第4の各光源11〜14は、SMD(Surface Mount Device)タイプのLEDからなり、図2に示すように、青色LEDチップ15が回路パターンを有する基板16上に実装されている。なお、LEDは、基板に直接実装される複数個のLEDチップおよびこのLEDチップから照射される光により励起される蛍光体を含む樹脂で封止して構成されたCOB(Chip on Board)タイプであってもよい。
【0018】
基板16は、放熱性と剛性を有するアルミニウム等からなる矩形状をなす平板が用いられ、基板16上に電気絶縁層17を介して陰極側と陽極側の回路パターン18がそれぞれ形成されている。回路パターン18は、銅(Cu)等で構成されている。
【0019】
そして、青色LEDチップ15の底面電極が一方の電極側の回路パターン18に電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン18に対して、金線等で構成されたボンディングワイヤ19を介して電気的に接続されている。また、基板16上には樹脂製のフレーム20が設けられ、フレームには凹部20aが形成されている。フレーム20は、例えば白色のPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂で構成され、凹部20a内の中央部に青色LEDチップ15が配置されて収容される。
【0020】
そして、青色LEDチップ15が収容された凹部20a内に蛍光体をシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の透明樹脂に混合して分散させた蛍光体含有樹脂が塗布または充填されて蛍光体含有樹脂層21が形成され、青色LEDチップ15は、この蛍光体含有樹脂層21によって覆われて構成される。そして、青色LEDチップ15から放射される青色光と、青色LEDチップ15によって蛍光体が励起されて放射される光とが混合して白色の光を放射する。
【0021】
上述した第1〜第4光源11〜14は、それぞれ上述した図2と同様な構成をなしているが、蛍光体含有樹脂層21に含有される蛍光体がそれぞれ異なっている。すなわち、目的とする性能を有する蛍光体を選択することによって、必要な相関色温度および平均演色評価数Raを有する光を得るように構成される。
【0022】
すなわち、第1光源11は、図3のグラフ中、曲線11(細点線)で示すように、ピーク波長約440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では、Ra約92の光を発光する。
【0023】
第2光源12は、図3のグラフ中、曲線12(太実線)で示すように、ピーク波長が約440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約70の光を発光する。
【0024】
第3光源13は、図3のグラフ中、曲線13(太点線)で示すように、ピーク波長が約640nm近辺の範囲にある赤色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態ではRa約92の光を発光する。
【0025】
第4光源14は、図3のグラフ中、曲線14(細実線)に示すように、ピーク波長が約580nm近辺の範囲にある黄色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約67の光を発光する。
【0026】
上記に構成された第1〜第4の各光源11〜14は、それぞれを構成する第1〜第4のLEDが、図1(a)(b)に示すように、長方形状をなす基板16に対し、第1〜第4の各LEDが配置される。各光源(第1〜第4のLED各1つ、すなわち、4つが1セット)は、12セットが直列に接続されて用いられている。そして、第1〜第4の各LEDが所定の略等しい間隔を有し、かつ、基板16の長手方向に沿って略平行に列をなすように配置され、長方形状をなす発光モジュール22が構成される。上記に構成された本実施形態の発光モジュール22の長さ寸法L1は約256mm、幅寸法W1は約84mmである。
【0027】
また、本実施形態では、各光源11〜14は、次のように配置されている。すなわち、図4に一部を拡大して示すように、長方形状をなす発光モジュール22を、図の縦方向に8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すように、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップが交互になるように配置した。換言すれば、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップのグループが、図中矢印で示すように対角線上に位置して交差するように配置した。この配置によって、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の平均演色評価数Raを有するグループが一方に片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の平均演色評価数Raによる略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図4中「低Ra」は、平均演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いLEDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色温度が高いLEDチップを示す。
【0028】
次に、制御部30は、上記に構成された各光源11〜14の光束、相関色温度、平均演色評価数Raを制御するもので、図5の電気回路図に示すように、12個のLEDが直列に接続された第1〜第4光源11〜14個々に点灯回路31が設けられ、この各点灯回路31と電源Eとの間に制御部30が設けられる。制御部30は、マイクロコンピュータ等で構成され、光束を制御することによって相関色温度、平均演色評価数Raの各要素をそれぞれ制御し、さらに光出力を制御して、各種多様な照明環境を造り出す。
【0029】
例えば、相関色温度3500K(電球色近傍)における色の見え方を良好にするために、平均演色評価数の高いRa95の照明環境を得るためには、次のように制御する。
【0030】
図6に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、相関色温度3500Kで平均演色評価数Ra70〜95における各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比(%)を表したグラフで、平均演色評価数Ra5刻みにおける各光源11〜14の光束比(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源11(曲線11)の光束比を約43%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源12(曲線12)の光束比を約0%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源13(曲線13)の光束比を約52%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源14(曲線14)の光束比を約5%に、
それぞれを調光制御することによって、相関色温度3500Kにおける平均演色評価数Ra95の照明環境を造りだすことができる。
【0031】
同様にして、平均演色評価数Ra85の照明環境は、第1光源11の光束比を約36%、第2光源12の光束比を約5%、第3光源13の光束比を約22%、第4光源14の光束比を約36%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にして、各光源11〜14の各光束比を調光制御することによって、器具光束を一定とし相関色温度3500K(電球色近辺)における平均演色評価数Raが約70〜約95の範囲の照明環境を造り出すことができる。
【0032】
さらに、上記と同様にして、図6のグラフに示すように、器具光束を一定とし、相関色温度、例えば2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の光束比(%)、すなわち調光率と平均演色評価数Raの関係を抽出することによって、各種の相関色温度における各種の平均演色評価数Raを有する多様な照明環境を造り出すことが可能になる。しかも、これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能になる。
【0033】
また、例えば平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を得るためには、次のように制御する。
【0034】
図7に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、平均演色評価数Ra80で相関色温度2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比(%)を表したグラフで、相関色温度50K刻みにおける各光源11〜14の光束比(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源11(曲線11)の光束比を約40%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源12(曲線12)の光束比を約55%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源13(曲線13)の光束比を約0%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源14(曲線14)の光束比を約0%に
それぞれ調光制御することによって平均演色評価数Ra80における相関色温度5000Kの照明環境を造り出すことができる。
【0035】
同様にして、相関色温度4000Kの照明環境は、第1光源11の光束比を約38%、第2光源12の光束比を約25%、第3光源13の光束比を約0%、第4光源14の光束比を約38%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にして、各光源の光束比を制御することによって、器具光束を一定とした平均演色評価数Ra80における相関色温度が2850K〜5000Kの多様な照明環境を造り出すことができる。
【0036】
さらに、上記と同様にして、図7のグラフに示すように、器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra、例えば70〜95における各光源11〜14の光束比(%)、すなわち調光率と相関色温度(K)の関係を抽出することによって、各種の平均演色評価数Raにおける各種の相関色温度を有する多様な照明環境を造り出することが可能になる。しかも、これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能になる。
【0037】
また、制御部30では、上記のように、各光源11〜14の光束を制御することによって相関色温度(K)、平均演色評価数Raの各要素をそれぞれ制御し、さらに光出力を制御して、各種多様な照明環境を任意に造り出すことができる。さらに、これら全ての要素を制御することなく、光束と相関色温度、光束と平均演色評価数Ra、若しくは相関色温度と平均演色評価数Ra等、これら要素の内、少なくとも2つの要素を制御することによって各種多様な照明環境を造り出すことが可能になる。
【0038】
また、制御部30は、演算部によって都度演算して任意または連続的に各種の照明環境を造り出すように制御してもよいが、予め決められた各種の照明パターン、すなわち、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、予め各光源11〜14の調光率を計算したテーブルを記憶部に保持しておき、記憶された照明パターンを適宜呼び出すことによって各種多様な照明環境、シーンを演出するようにしてもよい。記憶させる照明パターンは、例えば、朝・昼・夕の一日の時間帯や季節等の時間的要素、天候や気温等の自然的要素、部屋の使用状況、住宅・オフィス・作業場・工場等の使用環境等の各要素を勘案して、各種の照明パターンを作成するとよい。
【0039】
次に操作部35は、照明装置10のインターフェース上で所定範囲内の任意の平均演色評価数Raおよび所定範囲内の相関色温度をそれぞれ指定することにより、指定した平均演色評価数Raと相関色温度を有する分光分布の光を実現することができる。
【0040】
そして、図8に示すように、本実施形態の操作部は、部屋の壁面等に設置される操作パネルPによって構成される。操作パネルPは、パネルケース内に、上述したマイクロコンピュータ等からなる制御部30が内蔵され、前面にカラー液晶パネルからなら第1表示部P1と第2表示部P2と、タッチ形の第1操作ボタンP11と第2操作ボタンP12と、メモリーボタンP3と、リセットボタンP4で構成される。なお、操作部35は、リモコンRで構成してもよい。また、制御部30は、操作パネルPやリモコンRに内蔵することなく、後述する照明器具等に設置されてもよい。
【0041】
第1表示部P1は相関色温度を表示し、第2表示部P2は平均演色評価数Raを表示するもので、第1表示部P1が上部に、第2表示部P2が下部に設けられている。
【0042】
第1操作ボタンP11は、相関色温度を表示する第1表示部P1の下部に設けられ、相関色温度を指定する数値ボタンP11−1と指定した相関色温度をさらに細かく指定するための数値調整ボタンP11−2が設けられている。
【0043】
本実施形態において、数値ボタンP11−1は、2800K、3000K、4000K、5000Kの数値が表示され、表示された相関色温度のボタンを押すことによって目的とする相関色温度を指定することができる。
【0044】
また、本実施形態において、数値調整ボタンP11−2は、指定された数値ボタンP11−1の数値、例えば、3000Kから500Kまたは50Kをマイナスして調整する「−500K」、「−50K」の数値調整ボタンと、同様に、例えば、3000Kから500Kまたは50Kをプラスして調整する「+50K」、「+500K」の数値調整ボタンで構成した。
【0045】
第2操作ボタンP12は、平均演色評価数Raを表示する第2表示部P2の下部に設けられ、平均演色評価数Raを指定する数値ボタンP12−1と指定した平均演色評価数Raをさらに細かく指定するための数値調整ボタンP12−2が設けられている。
【0046】
本実施形態において、数値ボタンP12−1は、Ra70、Ra80の数値が表示され、表示された平均演色評価数Raのボタンを押すことによって目的とする平均演色評価数Raを指定することができる。
【0047】
また、本実施形態において、数値調整ボタンP12−2は、指定された数値ボタンP12−1の数値、例えば、Ra80からRa5をマイナスして調整する「Ra−5」の数値調整ボタンと、同様に、例えば、Ra80からRa5をプラスして調整する「Ra+5」の数値調整ボタンで構成した。
【0048】
なお、図8に示す操作部35は、相関色温度を2800Kに指定し、平均演色評価数をRa85にして指定した状態を、表示部P1、P2にそれぞれ表示した状態を示している。
【0049】
そして、例えば、相関色温度3500K(電球色近傍)における色の見え方を良好にするために、平均演色評価数の高いRa95の照明環境を得るためには、次のように操作する。
【0050】
先ず、第1操作ボタンP11を押すことによって3500Kの相関色温度を指定する。次に、第2操作ボタン12を押すことによってRa95の平均演色評価数を指定する。これにより指定された信号が制御部30に伝送され、制御部30の演算部によって各光源11〜14の調光率(光束比%)が演算され、演算された調光率によって各光源11〜14が点灯制御される。これにより、相関色温度3500K(電球色近傍)において、平均演色評価数の高いRa95の照明環境、すなわち、色の見え方を良好にした照明環境を造り出すことができる。
【0051】
同様に第1操作ボタン11、第2操作ボタン12を選択して指定することによって、2300K〜5500Kの相関色温度における平均演色評価数がRa65〜85の範囲の多様な照明環境を造り出すことができる。
【0052】
また、例えば、平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を得るためには、リセットボタンP4によって、先に指定されていた照明環境の設定をリセットし、先ず、第2操作ボタン12を押すことによってRa80の平均演色評価数を指定する。次に、第1操作ボタンP11を押すことによって5000Kの相関色温度を指定する。これにより指定された信号が制御部30に伝送され、制御部30の演算部によって各光源11〜14の調光率(光束比%)が演算され、演算された調光率によって各光源11〜14が点灯制御される。これにより、平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を造りだすことができる。
【0053】
同様に第2操作ボタン12、第1操作ボタン11を選択して指定することによって、平均演色評価数Ra80における相関色温度が2300K〜5500Kの多様な照明環境を造り出すことができる。
【0054】
同様に第2操作ボタン12、第1操作ボタン11を選択して指定することによって、平均演色評価数Ra65〜85における2300K〜5500Kの相関色温度を有する多様な照明環境を造り出すことができる。
【0055】
また、メモリーボタンP3は、制御部30に記憶された照明パターンを呼び出すためのボタンで、本実施形態では、4個のメモリーボタン(M1、M2、M3、M4)を有している。そして、4個のメモリーボタンP3を、それぞれ選択して押すことによって、予め決められた各種の照明パターン、すなわち、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、予め各光源11〜14の調光率を計算し記憶部に保持されたテーブルが呼び出され、各種多様な照明環境、シーンを演出することができる。
【0056】
本実施形態において、メモリーボタン(M1)には、平均演色評価数Raの高い、太陽光に近い照明環境を、メモリーボタン(M2)には、相関色温度3000K近辺で、冬の居間における暖かみをもった電球色を主体とした照明環境を、メモリーボタン(M3)には、相関色温度5000K近辺で、春または秋の居間におけるやわらかい白色を主体とした昼白色の照明環境を、メモリーボタン(M4)には、相関色温度6500K近辺で夏の居間における青みがかった涼しげな昼光色を主体とした照明環境を設定し、それぞれの照明環境を、単にメモリーボタンP3を押す操作によって、簡単かつ確実に指定した照明環境を造り出すことができるように構成した。
【0057】
なお、本実施形態では、前記各光源11〜14の相関色温度、平均演色評価数Raをともに指定するように構成したが、相関色温度、平均演色評価数Raのいずれか一方を指定することにより、各種の照明環境を造り出すようにしてもよく、要は相関色温度、平均演色評価数Raの少なくとも一方を指定するように構成すればよい。また、光出力を落とした省エネモードを造り出すように構成してもよい。
【0058】
さらに、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、テンキーによって、任意の数値に指定できるように構成してもよく、また、指定した照明環境から他の指定した照明環境に対して光束、平均演色評価数Ra、相関色温度が連続的に変化するように構成してもよい。
【0059】
上記により、基板16に実装された第1〜第4の各LEDからなる光源11〜14を有し、各光源を制御する制御部30および操作部35を具備する照明装置10が構成される。上記に構成された照明装置10は、照明装置1個で構成してもよいが、複数個用いることによって照明器具が構成される。本実施形態の照明器具は、図9に示すように、照明装置10を8個使用した天井埋込形の照明器具を構成した。
【0060】
次に、照明器具の構成につき説明する。照明器具40は、図9(a)(b)に示すように、器具本体41と、器具本体41に配設された上記構成の照明装置10で構成される。
【0061】
器具本体41は、略正方形をなす鋼板等からなるベース体41aと、ベース体41aをカバーする乳白色の合成樹脂からなるセード41bで構成される。本実施形態における器具本体41の縦・横寸法は、約600mmに構成した。
【0062】
ベース体41aには、上記に構成した照明装置10が8個設置される。8個の照明装置は、4個ずつに分けられ、正方形のベース体41aの一辺に略平行し、各照明装置10が略等しい間隔を有して配置される。各照明装置10は、並列になるように電気的に接続され、8個の照明装置10における各光源11〜14の各点灯回路31が集められ、制御部と共に点灯ケース31a内に収容されベース体41aの裏面側に設置される。そして各照明装置10は、各点灯回路31および制御部30を介して電源Eに接続される。
【0063】
なお、本実施形態において、照明器具40は、相関色温度が約3000K近辺の電球色で平均演色評価数Raが60と90、また相関色温度が約6500K近辺の昼光色で平均演色評価数Raが60と90の4種類のLEDを搭載した8個の照明装置10によって、可変色・可変演色性器具として構成した。
【0064】
なお、本実施形態において、制御部30は、8個の照明装置10の調光率データを同一として共通に制御することによって各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、8個の照明装置10の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等を組み合わせたり、4個の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。なお、図中、Pは部屋の壁面に設置される操作パネル、Rはリモコンで、目的とする照明環境を造りだすための無線信号を制御部30に対して送信するもので、操作パネルPとリモコンRの両方を設置しても、いずれか一方を設置するようにしてもよい。また、制御部30は、操作パネルPまたはリモコンR内に設けられたものであってもよい。
【0065】
次に、上記に構成された照明器具を用いた照明ショールームに設置される照明制御システムの構成を説明する。本実施形態の照明制御システム50は、図10に示すように、上記構成の照明器具40を9台使用して構成される。
【0066】
各照明器具40は、ショールームに設置された部屋の略正方形をなす天井Xに、3台ずつが3列に略等間隔に位置するように設置される。そして、各照明器具40は、並列になるように電気的に接続され、9台の照明器具40を共通に制御する制御部30が天井等に設けられて構成される。また、操作パネルPが壁面に設置され、リモコンRが設置されて照明制御システム50が構成される。
【0067】
上記に構成された照明制御システム50は、ショールームの来場者に対して、ガイドがリモコンRまたは操作パネルPを操作し色温度と演色性の連続的変化を体感してもらうことができる。特に本実施形態によれば、平均演色評価数Ra、すなわち、演色性を変化させることができ、居住者の顔色が良くなったり悪くなったりすることが顕著に現われ、平均演色評価数Raの変化を実際に体感できる。また、同時に相関色温度も変化させることができ、相関色温度の変化、例えば、電球色から昼白色さらには昼光色に至る空間の雰囲気を体感することもできる。また、予め記憶されたそれぞれの照明環境を、単にリモコンRのボタンを押す操作によって、簡単かつ確実に造り出すことができる。さらに、各種の照明設計仕様を再現することも可能で、仕様決定の場とすることも可能になり、特に照明ショールームに好適な照明制御システムを提供することが可能になる。
【0068】
なお、本実施形態の照明制御システムにおいて、制御部30は、9台の照明器具40の調光率データを同一にして共通に制御することによって各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、9台の照明器具40の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等の器具を組み合わせたり、器具の一部の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。また、本実施形態において、明制御システム50は、照明器具40のみによって照を構成したが、照明器具40と照明装置10を組み合わせて構成してもよい。さらに、照明装置10のみによって構成してもよい。
【0069】
以上、本実施形態において、各光源をLEDで構成したが、LEDに替えて白熱電球や蛍光ランプ等を組み合わせて構成しても、LEDにこれら白熱電球や蛍光ランプ等を組み合わせて構成してもよい。また、相関色温度を5000K以上の光源と3000K以下の光源で構成したが、用途に応じて5000K〜3000K内の相関色温度を有する光源で構成してもよい。また、平均演色評価数Raを90以上の光源と70以下の光源で構成したが、用途に応じて90〜70内の平均演色評価数Raを有する光源で構成してもよい。
【0070】
また、各光源の基板への配置は、図11に一部を拡大して示すように、長方形状をなす発光モジュール22を図の縦方向に8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すように、相関色温度が低いLEDチップ「L」と、相関色温度が高いLEDチップ「W」のLEDチップが交互になるように配置した。換言すれば、「L」と「W」のLEDチップのグループが、図中矢印で示すように対角線上に位置して交差するように配置した。この配置によって、「L」と「W」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の相関色温度を有するグループが一方に片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の相関色温度による略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図10中「低Ra」は、平均演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いLEDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色温度が高いLEDチップを示す。
【0071】
また、本実施形態において、照明器具は、上記に例示した照明ショールームに限らず、店舗、オフィスなど施設・業務用等、さらに住宅用の各種の照明器具、さらには防犯灯・街路灯・道路灯など屋外用の各種照明器具を構成してもよい。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
10 照明装置
11 第1光源
12 第2光源
13 第3光源
14 第4光源
30 制御部
35 操作部
40 照明器具
41 器具本体
50 照明制御システム
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種の照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
各種の照明環境を造り出すため、一般的には蛍光灯の白い光や電球の暖かい光など、光色が異なりかつ調光可能な複数の光源を備えることにより、光色と明るさを調整することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−184910号公報
【特許文献2】特開2008−300117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、各種の照明環境を演出するためには、例えば、店で選んだ色の服で外を歩いた場合に、思っていた色と違って見えるようなことが生じないように、色の見え方(演色性)も良好にすることが必要である。このため、光色と明るさを制御できるとともに、色の見え方を如何にして制御し、各種多様な照明環境を造り出すかが重要な課題になっている。
【0005】
また、店舗などでは、上記のように、照明器具の相関色温度や平均演色評価数Raは空間の雰囲気や商品の見え方を考慮する上で重要な要素ある。特に平均演色評価数Raは高いほど色の見え方が忠実になる一方で器具効率とトレードオフの関係にあるため、どの程度の平均演色評価数Raを有する器具を選択すべきか、購入の時点でユーザーが判断することは難しい問題がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みなされたもので、各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態における照明装置は、第1〜第4光源、制御部、操作部を具備する。第1光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い。第2光源は、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い。第3光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い。第4光源は、相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い。制御部は、前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する。操作部は、前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各種多様な照明環境を造り出すことが可能な照明装置、照明器具および照明制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態である照明装置の発光モジュールを示し、(a)は正面図、(b)は裏面図。
【図2】同じく照明装置の光源を拡大して示す断面図。
【図3】同じく照明装置における各光源の分光分布図。
【図4】同じく照明装置の発光モジュールを、一部を拡大して示す正面図。
【図5】同じく照明装置の電気回路図。
【図6】同じく照明装置における器具光束を一定とし、相関色温度3500Kで平均演色評価数Ra70〜95における各光源の調光率を示すグラフ。
【図7】同じく照明装置における器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra80で相関色温度2850K〜5000Kにおける各光源の調光率を示すグラフ。
【図8】同じく照明装置の操作部を示す正面図。
【図9】同じく照明器具を示し、(a)は一部を切り欠いて示す斜視図、(b)はベース体の正面図。
【図10】同じく照明制御システムを示し、照明器具が設置された天井を示す図。
【図11】同じく照明装置の変形例における発光モジュールを、一部を拡大して示す正面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に従い説明する。本実施形態は、各種多様な照明環境を造り出すことが可能で、かつ各種多様な照明環境を体感することが可能な照明ショールームに設置される照明制御システム。この照明制御システムに用いられる照明装置および照明器具を構成するもので、先ず照明装置の構成につき説明する。
【0011】
本実施形態の照明装置10は、発光ダイオード(以下「LED」と称す)を光源とする照明装置で、図1(a)(b)に示すように、相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数Raが高い第1光源11と;相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数Raが低い第2光源12と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数Raが高い第3光源13と;相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数Raが低い第4光源14と;前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数Raを制御する制御部30と;前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部35で構成する。
【0012】
上記の第1〜第4光源11〜14は、本実施形態では、次のように構成した。
【0013】
第1光源11は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では約92の第1のLEDで構成した。
【0014】
第2光源12は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態では約70の第2のLEDで構成した。
【0015】
第3光源13は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では約92の第3のLEDで構成した。
【0016】
第4光源14は、青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態では約67の第4のLEDで構成した。
【0017】
そして、上記第1〜第4の各光源11〜14は、SMD(Surface Mount Device)タイプのLEDからなり、図2に示すように、青色LEDチップ15が回路パターンを有する基板16上に実装されている。なお、LEDは、基板に直接実装される複数個のLEDチップおよびこのLEDチップから照射される光により励起される蛍光体を含む樹脂で封止して構成されたCOB(Chip on Board)タイプであってもよい。
【0018】
基板16は、放熱性と剛性を有するアルミニウム等からなる矩形状をなす平板が用いられ、基板16上に電気絶縁層17を介して陰極側と陽極側の回路パターン18がそれぞれ形成されている。回路パターン18は、銅(Cu)等で構成されている。
【0019】
そして、青色LEDチップ15の底面電極が一方の電極側の回路パターン18に電気的に接続され、上面電極が他方の電極側の回路パターン18に対して、金線等で構成されたボンディングワイヤ19を介して電気的に接続されている。また、基板16上には樹脂製のフレーム20が設けられ、フレームには凹部20aが形成されている。フレーム20は、例えば白色のPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の合成樹脂で構成され、凹部20a内の中央部に青色LEDチップ15が配置されて収容される。
【0020】
そして、青色LEDチップ15が収容された凹部20a内に蛍光体をシリコーン樹脂やエポキシ樹脂等の透明樹脂に混合して分散させた蛍光体含有樹脂が塗布または充填されて蛍光体含有樹脂層21が形成され、青色LEDチップ15は、この蛍光体含有樹脂層21によって覆われて構成される。そして、青色LEDチップ15から放射される青色光と、青色LEDチップ15によって蛍光体が励起されて放射される光とが混合して白色の光を放射する。
【0021】
上述した第1〜第4光源11〜14は、それぞれ上述した図2と同様な構成をなしているが、蛍光体含有樹脂層21に含有される蛍光体がそれぞれ異なっている。すなわち、目的とする性能を有する蛍光体を選択することによって、必要な相関色温度および平均演色評価数Raを有する光を得るように構成される。
【0022】
すなわち、第1光源11は、図3のグラフ中、曲線11(細点線)で示すように、ピーク波長約440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態では、Ra約92の光を発光する。
【0023】
第2光源12は、図3のグラフ中、曲線12(太実線)で示すように、ピーク波長が約440nm近辺の範囲にある青色系で、相関色温度が5000K以上、本実施形態では約5000K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約70の光を発光する。
【0024】
第3光源13は、図3のグラフ中、曲線13(太点線)で示すように、ピーク波長が約640nm近辺の範囲にある赤色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが90以上、本実施形態ではRa約92の光を発光する。
【0025】
第4光源14は、図3のグラフ中、曲線14(細実線)に示すように、ピーク波長が約580nm近辺の範囲にある黄色系で、相関色温度が3000K以下、本実施形態では約2700K、平均演色評価数Raが70以下、本実施形態ではRa約67の光を発光する。
【0026】
上記に構成された第1〜第4の各光源11〜14は、それぞれを構成する第1〜第4のLEDが、図1(a)(b)に示すように、長方形状をなす基板16に対し、第1〜第4の各LEDが配置される。各光源(第1〜第4のLED各1つ、すなわち、4つが1セット)は、12セットが直列に接続されて用いられている。そして、第1〜第4の各LEDが所定の略等しい間隔を有し、かつ、基板16の長手方向に沿って略平行に列をなすように配置され、長方形状をなす発光モジュール22が構成される。上記に構成された本実施形態の発光モジュール22の長さ寸法L1は約256mm、幅寸法W1は約84mmである。
【0027】
また、本実施形態では、各光源11〜14は、次のように配置されている。すなわち、図4に一部を拡大して示すように、長方形状をなす発光モジュール22を、図の縦方向に8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すように、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップが交互になるように配置した。換言すれば、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップのグループが、図中矢印で示すように対角線上に位置して交差するように配置した。この配置によって、「低Ra」と「高Ra」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の平均演色評価数Raを有するグループが一方に片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の平均演色評価数Raによる略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図4中「低Ra」は、平均演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いLEDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色温度が高いLEDチップを示す。
【0028】
次に、制御部30は、上記に構成された各光源11〜14の光束、相関色温度、平均演色評価数Raを制御するもので、図5の電気回路図に示すように、12個のLEDが直列に接続された第1〜第4光源11〜14個々に点灯回路31が設けられ、この各点灯回路31と電源Eとの間に制御部30が設けられる。制御部30は、マイクロコンピュータ等で構成され、光束を制御することによって相関色温度、平均演色評価数Raの各要素をそれぞれ制御し、さらに光出力を制御して、各種多様な照明環境を造り出す。
【0029】
例えば、相関色温度3500K(電球色近傍)における色の見え方を良好にするために、平均演色評価数の高いRa95の照明環境を得るためには、次のように制御する。
【0030】
図6に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、相関色温度3500Kで平均演色評価数Ra70〜95における各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比(%)を表したグラフで、平均演色評価数Ra5刻みにおける各光源11〜14の光束比(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源11(曲線11)の光束比を約43%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源12(曲線12)の光束比を約0%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源13(曲線13)の光束比を約52%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源14(曲線14)の光束比を約5%に、
それぞれを調光制御することによって、相関色温度3500Kにおける平均演色評価数Ra95の照明環境を造りだすことができる。
【0031】
同様にして、平均演色評価数Ra85の照明環境は、第1光源11の光束比を約36%、第2光源12の光束比を約5%、第3光源13の光束比を約22%、第4光源14の光束比を約36%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にして、各光源11〜14の各光束比を調光制御することによって、器具光束を一定とし相関色温度3500K(電球色近辺)における平均演色評価数Raが約70〜約95の範囲の照明環境を造り出すことができる。
【0032】
さらに、上記と同様にして、図6のグラフに示すように、器具光束を一定とし、相関色温度、例えば2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の光束比(%)、すなわち調光率と平均演色評価数Raの関係を抽出することによって、各種の相関色温度における各種の平均演色評価数Raを有する多様な照明環境を造り出すことが可能になる。しかも、これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能になる。
【0033】
また、例えば平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を得るためには、次のように制御する。
【0034】
図7に示すグラフは、器具光束を4000lm一定とした場合、平均演色評価数Ra80で相関色温度2850K〜5000Kにおける各光源11〜14の調光率、すなわち、光束比(%)を表したグラフで、相関色温度50K刻みにおける各光源11〜14の光束比(%)との関係を示したもので、このグラフから明らかなように、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが92の第1のLEDからなる第1光源11(曲線11)の光束比を約40%、
相関色温度が5000K、平均演色評価数Raが70の第2のLEDからなる第2光源12(曲線12)の光束比を約55%、
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが92の第3のLEDからなる第3光源13(曲線13)の光束比を約0%
相関色温度が2700K、平均演色評価数Raが67の第4のLEDからなる第4光源14(曲線14)の光束比を約0%に
それぞれ調光制御することによって平均演色評価数Ra80における相関色温度5000Kの照明環境を造り出すことができる。
【0035】
同様にして、相関色温度4000Kの照明環境は、第1光源11の光束比を約38%、第2光源12の光束比を約25%、第3光源13の光束比を約0%、第4光源14の光束比を約38%に、それぞれ調光制御することによって造り出すことができる。同様にして、各光源の光束比を制御することによって、器具光束を一定とした平均演色評価数Ra80における相関色温度が2850K〜5000Kの多様な照明環境を造り出すことができる。
【0036】
さらに、上記と同様にして、図7のグラフに示すように、器具光束を一定とし、平均演色評価数Ra、例えば70〜95における各光源11〜14の光束比(%)、すなわち調光率と相関色温度(K)の関係を抽出することによって、各種の平均演色評価数Raにおける各種の相関色温度を有する多様な照明環境を造り出することが可能になる。しかも、これら照明環境は各グラフの曲線に沿って連続的にかつ任意に造り出すことも可能になる。
【0037】
また、制御部30では、上記のように、各光源11〜14の光束を制御することによって相関色温度(K)、平均演色評価数Raの各要素をそれぞれ制御し、さらに光出力を制御して、各種多様な照明環境を任意に造り出すことができる。さらに、これら全ての要素を制御することなく、光束と相関色温度、光束と平均演色評価数Ra、若しくは相関色温度と平均演色評価数Ra等、これら要素の内、少なくとも2つの要素を制御することによって各種多様な照明環境を造り出すことが可能になる。
【0038】
また、制御部30は、演算部によって都度演算して任意または連続的に各種の照明環境を造り出すように制御してもよいが、予め決められた各種の照明パターン、すなわち、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、予め各光源11〜14の調光率を計算したテーブルを記憶部に保持しておき、記憶された照明パターンを適宜呼び出すことによって各種多様な照明環境、シーンを演出するようにしてもよい。記憶させる照明パターンは、例えば、朝・昼・夕の一日の時間帯や季節等の時間的要素、天候や気温等の自然的要素、部屋の使用状況、住宅・オフィス・作業場・工場等の使用環境等の各要素を勘案して、各種の照明パターンを作成するとよい。
【0039】
次に操作部35は、照明装置10のインターフェース上で所定範囲内の任意の平均演色評価数Raおよび所定範囲内の相関色温度をそれぞれ指定することにより、指定した平均演色評価数Raと相関色温度を有する分光分布の光を実現することができる。
【0040】
そして、図8に示すように、本実施形態の操作部は、部屋の壁面等に設置される操作パネルPによって構成される。操作パネルPは、パネルケース内に、上述したマイクロコンピュータ等からなる制御部30が内蔵され、前面にカラー液晶パネルからなら第1表示部P1と第2表示部P2と、タッチ形の第1操作ボタンP11と第2操作ボタンP12と、メモリーボタンP3と、リセットボタンP4で構成される。なお、操作部35は、リモコンRで構成してもよい。また、制御部30は、操作パネルPやリモコンRに内蔵することなく、後述する照明器具等に設置されてもよい。
【0041】
第1表示部P1は相関色温度を表示し、第2表示部P2は平均演色評価数Raを表示するもので、第1表示部P1が上部に、第2表示部P2が下部に設けられている。
【0042】
第1操作ボタンP11は、相関色温度を表示する第1表示部P1の下部に設けられ、相関色温度を指定する数値ボタンP11−1と指定した相関色温度をさらに細かく指定するための数値調整ボタンP11−2が設けられている。
【0043】
本実施形態において、数値ボタンP11−1は、2800K、3000K、4000K、5000Kの数値が表示され、表示された相関色温度のボタンを押すことによって目的とする相関色温度を指定することができる。
【0044】
また、本実施形態において、数値調整ボタンP11−2は、指定された数値ボタンP11−1の数値、例えば、3000Kから500Kまたは50Kをマイナスして調整する「−500K」、「−50K」の数値調整ボタンと、同様に、例えば、3000Kから500Kまたは50Kをプラスして調整する「+50K」、「+500K」の数値調整ボタンで構成した。
【0045】
第2操作ボタンP12は、平均演色評価数Raを表示する第2表示部P2の下部に設けられ、平均演色評価数Raを指定する数値ボタンP12−1と指定した平均演色評価数Raをさらに細かく指定するための数値調整ボタンP12−2が設けられている。
【0046】
本実施形態において、数値ボタンP12−1は、Ra70、Ra80の数値が表示され、表示された平均演色評価数Raのボタンを押すことによって目的とする平均演色評価数Raを指定することができる。
【0047】
また、本実施形態において、数値調整ボタンP12−2は、指定された数値ボタンP12−1の数値、例えば、Ra80からRa5をマイナスして調整する「Ra−5」の数値調整ボタンと、同様に、例えば、Ra80からRa5をプラスして調整する「Ra+5」の数値調整ボタンで構成した。
【0048】
なお、図8に示す操作部35は、相関色温度を2800Kに指定し、平均演色評価数をRa85にして指定した状態を、表示部P1、P2にそれぞれ表示した状態を示している。
【0049】
そして、例えば、相関色温度3500K(電球色近傍)における色の見え方を良好にするために、平均演色評価数の高いRa95の照明環境を得るためには、次のように操作する。
【0050】
先ず、第1操作ボタンP11を押すことによって3500Kの相関色温度を指定する。次に、第2操作ボタン12を押すことによってRa95の平均演色評価数を指定する。これにより指定された信号が制御部30に伝送され、制御部30の演算部によって各光源11〜14の調光率(光束比%)が演算され、演算された調光率によって各光源11〜14が点灯制御される。これにより、相関色温度3500K(電球色近傍)において、平均演色評価数の高いRa95の照明環境、すなわち、色の見え方を良好にした照明環境を造り出すことができる。
【0051】
同様に第1操作ボタン11、第2操作ボタン12を選択して指定することによって、2300K〜5500Kの相関色温度における平均演色評価数がRa65〜85の範囲の多様な照明環境を造り出すことができる。
【0052】
また、例えば、平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を得るためには、リセットボタンP4によって、先に指定されていた照明環境の設定をリセットし、先ず、第2操作ボタン12を押すことによってRa80の平均演色評価数を指定する。次に、第1操作ボタンP11を押すことによって5000Kの相関色温度を指定する。これにより指定された信号が制御部30に伝送され、制御部30の演算部によって各光源11〜14の調光率(光束比%)が演算され、演算された調光率によって各光源11〜14が点灯制御される。これにより、平均演色評価数Raが80で、相関色温度5000K(昼白色近傍)の照明環境を造りだすことができる。
【0053】
同様に第2操作ボタン12、第1操作ボタン11を選択して指定することによって、平均演色評価数Ra80における相関色温度が2300K〜5500Kの多様な照明環境を造り出すことができる。
【0054】
同様に第2操作ボタン12、第1操作ボタン11を選択して指定することによって、平均演色評価数Ra65〜85における2300K〜5500Kの相関色温度を有する多様な照明環境を造り出すことができる。
【0055】
また、メモリーボタンP3は、制御部30に記憶された照明パターンを呼び出すためのボタンで、本実施形態では、4個のメモリーボタン(M1、M2、M3、M4)を有している。そして、4個のメモリーボタンP3を、それぞれ選択して押すことによって、予め決められた各種の照明パターン、すなわち、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、予め各光源11〜14の調光率を計算し記憶部に保持されたテーブルが呼び出され、各種多様な照明環境、シーンを演出することができる。
【0056】
本実施形態において、メモリーボタン(M1)には、平均演色評価数Raの高い、太陽光に近い照明環境を、メモリーボタン(M2)には、相関色温度3000K近辺で、冬の居間における暖かみをもった電球色を主体とした照明環境を、メモリーボタン(M3)には、相関色温度5000K近辺で、春または秋の居間におけるやわらかい白色を主体とした昼白色の照明環境を、メモリーボタン(M4)には、相関色温度6500K近辺で夏の居間における青みがかった涼しげな昼光色を主体とした照明環境を設定し、それぞれの照明環境を、単にメモリーボタンP3を押す操作によって、簡単かつ確実に指定した照明環境を造り出すことができるように構成した。
【0057】
なお、本実施形態では、前記各光源11〜14の相関色温度、平均演色評価数Raをともに指定するように構成したが、相関色温度、平均演色評価数Raのいずれか一方を指定することにより、各種の照明環境を造り出すようにしてもよく、要は相関色温度、平均演色評価数Raの少なくとも一方を指定するように構成すればよい。また、光出力を落とした省エネモードを造り出すように構成してもよい。
【0058】
さらに、実現可能な光束、平均演色評価数Ra、相関色温度の範囲において、テンキーによって、任意の数値に指定できるように構成してもよく、また、指定した照明環境から他の指定した照明環境に対して光束、平均演色評価数Ra、相関色温度が連続的に変化するように構成してもよい。
【0059】
上記により、基板16に実装された第1〜第4の各LEDからなる光源11〜14を有し、各光源を制御する制御部30および操作部35を具備する照明装置10が構成される。上記に構成された照明装置10は、照明装置1個で構成してもよいが、複数個用いることによって照明器具が構成される。本実施形態の照明器具は、図9に示すように、照明装置10を8個使用した天井埋込形の照明器具を構成した。
【0060】
次に、照明器具の構成につき説明する。照明器具40は、図9(a)(b)に示すように、器具本体41と、器具本体41に配設された上記構成の照明装置10で構成される。
【0061】
器具本体41は、略正方形をなす鋼板等からなるベース体41aと、ベース体41aをカバーする乳白色の合成樹脂からなるセード41bで構成される。本実施形態における器具本体41の縦・横寸法は、約600mmに構成した。
【0062】
ベース体41aには、上記に構成した照明装置10が8個設置される。8個の照明装置は、4個ずつに分けられ、正方形のベース体41aの一辺に略平行し、各照明装置10が略等しい間隔を有して配置される。各照明装置10は、並列になるように電気的に接続され、8個の照明装置10における各光源11〜14の各点灯回路31が集められ、制御部と共に点灯ケース31a内に収容されベース体41aの裏面側に設置される。そして各照明装置10は、各点灯回路31および制御部30を介して電源Eに接続される。
【0063】
なお、本実施形態において、照明器具40は、相関色温度が約3000K近辺の電球色で平均演色評価数Raが60と90、また相関色温度が約6500K近辺の昼光色で平均演色評価数Raが60と90の4種類のLEDを搭載した8個の照明装置10によって、可変色・可変演色性器具として構成した。
【0064】
なお、本実施形態において、制御部30は、8個の照明装置10の調光率データを同一として共通に制御することによって各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、8個の照明装置10の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等を組み合わせたり、4個の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。なお、図中、Pは部屋の壁面に設置される操作パネル、Rはリモコンで、目的とする照明環境を造りだすための無線信号を制御部30に対して送信するもので、操作パネルPとリモコンRの両方を設置しても、いずれか一方を設置するようにしてもよい。また、制御部30は、操作パネルPまたはリモコンR内に設けられたものであってもよい。
【0065】
次に、上記に構成された照明器具を用いた照明ショールームに設置される照明制御システムの構成を説明する。本実施形態の照明制御システム50は、図10に示すように、上記構成の照明器具40を9台使用して構成される。
【0066】
各照明器具40は、ショールームに設置された部屋の略正方形をなす天井Xに、3台ずつが3列に略等間隔に位置するように設置される。そして、各照明器具40は、並列になるように電気的に接続され、9台の照明器具40を共通に制御する制御部30が天井等に設けられて構成される。また、操作パネルPが壁面に設置され、リモコンRが設置されて照明制御システム50が構成される。
【0067】
上記に構成された照明制御システム50は、ショールームの来場者に対して、ガイドがリモコンRまたは操作パネルPを操作し色温度と演色性の連続的変化を体感してもらうことができる。特に本実施形態によれば、平均演色評価数Ra、すなわち、演色性を変化させることができ、居住者の顔色が良くなったり悪くなったりすることが顕著に現われ、平均演色評価数Raの変化を実際に体感できる。また、同時に相関色温度も変化させることができ、相関色温度の変化、例えば、電球色から昼白色さらには昼光色に至る空間の雰囲気を体感することもできる。また、予め記憶されたそれぞれの照明環境を、単にリモコンRのボタンを押す操作によって、簡単かつ確実に造り出すことができる。さらに、各種の照明設計仕様を再現することも可能で、仕様決定の場とすることも可能になり、特に照明ショールームに好適な照明制御システムを提供することが可能になる。
【0068】
なお、本実施形態の照明制御システムにおいて、制御部30は、9台の照明器具40の調光率データを同一にして共通に制御することによって各種多様な照明環境を造り出すように構成したが、9台の照明器具40の調光率データを異ならせて個別に制御するようにしてもよい。例えば、電球色、昼白色、昼光色等の器具を組み合わせたり、器具の一部の光出力を落として不点灯となした省エネモードを造り出すようにしてもよい。また、本実施形態において、明制御システム50は、照明器具40のみによって照を構成したが、照明器具40と照明装置10を組み合わせて構成してもよい。さらに、照明装置10のみによって構成してもよい。
【0069】
以上、本実施形態において、各光源をLEDで構成したが、LEDに替えて白熱電球や蛍光ランプ等を組み合わせて構成しても、LEDにこれら白熱電球や蛍光ランプ等を組み合わせて構成してもよい。また、相関色温度を5000K以上の光源と3000K以下の光源で構成したが、用途に応じて5000K〜3000K内の相関色温度を有する光源で構成してもよい。また、平均演色評価数Raを90以上の光源と70以下の光源で構成したが、用途に応じて90〜70内の平均演色評価数Raを有する光源で構成してもよい。
【0070】
また、各光源の基板への配置は、図11に一部を拡大して示すように、長方形状をなす発光モジュール22を図の縦方向に8個単位で見たとき、図中点線枠のグループで示すように、相関色温度が低いLEDチップ「L」と、相関色温度が高いLEDチップ「W」のLEDチップが交互になるように配置した。換言すれば、「L」と「W」のLEDチップのグループが、図中矢印で示すように対角線上に位置して交差するように配置した。この配置によって、「L」と「W」のLEDチップのグループ、すなわち、略同様の相関色温度を有するグループが一方に片寄ることがなく、各光源によって造り出された目的の相関色温度による略均一な照明を行うことが可能になる。なお、図10中「低Ra」は、平均演色評価数Raが低いLEDチップを示し、「高Ra」は、平均演色評価数Raが高いLEDチップを示す。「L」は、相関色温度が低いLEDチップを示し、「W」は、相関色温度が高いLEDチップを示す。
【0071】
また、本実施形態において、照明器具は、上記に例示した照明ショールームに限らず、店舗、オフィスなど施設・業務用等、さらに住宅用の各種の照明器具、さらには防犯灯・街路灯・道路灯など屋外用の各種照明器具を構成してもよい。以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の設計変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0072】
10 照明装置
11 第1光源
12 第2光源
13 第3光源
14 第4光源
30 制御部
35 操作部
40 照明器具
41 器具本体
50 照明制御システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い第1光源と;
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い第2光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い第3光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い第4光源と;
前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する制御部と;
前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、平均演色評価数が90以上の第1の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、平均演色評価数が70以下の第2の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、平均演色評価数が90以上の第3の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、平均演色評価数が70以下の第4の発光ダイオードと;
前記各発光ダイオードの光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する制御部と;
前記各発光ダイオードの相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
器具本体と;
器具本体に配設された請求項1または2に記載の照明装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項1または2に記載の照明装置およびまたは請求項3に記載の照明器具を具備していることを特徴とする照明制御システム。
【請求項1】
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が高い第1光源と;
相対的に相関色温度が高く、相対的に平均演色評価数が低い第2光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が高い第3光源と;
相対的に相関色温度が低く、相対的に平均演色評価数が低い第4光源と;
前記各光源の光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する制御部と;
前記各光源の相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、平均演色評価数が90以上の第1の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が5000K以上、平均演色評価数が70以下の第2の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、平均演色評価数が90以上の第3の発光ダイオードと;
青色発光ダイオードと、青色発光ダイオードによって励起される蛍光体を有し、相関色温度が3000K以下、平均演色評価数が70以下の第4の発光ダイオードと;
前記各発光ダイオードの光束、相関色温度、平均演色評価数の少なくとも2つを制御する制御部と;
前記各発光ダイオードの相関色温度、平均演色評価数の少なくとも1つを指定し、指定した相関色温度、平均演色評価数を有する分光分布を実現させる操作部と;
を具備していることを特徴とする照明装置。
【請求項3】
器具本体と;
器具本体に配設された請求項1または2に記載の照明装置と;
を具備していることを特徴とする照明器具。
【請求項4】
請求項1または2に記載の照明装置およびまたは請求項3に記載の照明器具を具備していることを特徴とする照明制御システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−69631(P2013−69631A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−209067(P2011−209067)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】
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