説明

照明装置

【課題】植物育成用又は植物病害防除用の照明装置において、植物の成長度合いに応じて配光を容易に制御でき、また、植物が成長して装置に近づいた場合に植物に葉焼け障害を生じないように光照射する。
【解決手段】照明装置1は、直管形状のランプ3と、ランプ3の長手方向に沿って延びる反射板7とを備え、被照射対象である植物の上方に配置される。反射板7は、ランプ3の下方への直射光を遮光しない位置に退避した非反射位置と、直射光の一部をランプ3長手方向に直交する方向に反射するように鉛直方向と交わる向きに位置する反射位置とを取る。反射板7が反射位置と非反射位置とのいずれかに切替自在で、ランプ3から植物に照射される光の配光を容易に調整できるので、植物の成長度合いに応じて適切な光量で植物に光照射できる。また、反射板7が反射位置にあるとき、ランプ3からの光が直下の植物に直接照射されないので、植物の葉焼け障害を少なくできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物育成用又は植物病害防除用の照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物に対して人為的に光を照射することにより、植物の成長を促進したり、うどんこ病や炭疽病などの植物病害を発症を抑える植物育成用又は植物病害防除用の照明装置が知られている。このような照明装置においては、一般的に、植物育成をする際には可視光ランプが用いられ、病害防除をする際には紫外線ランプが用いられる。
【0003】
上記のような照明装置を用いて植物を栽培するとき、植物の成長に伴って照明装置と植物との相対距離が経時的に変化する。そのため、複数の植物が栽培されているとき、植物の配置位置によって夫々の植物に照射される光量が不均一となることがある。具体的に、図27(a)に示すように、照明装置101が植物上方に設置される場合、植物102Aが苗のように草丈が低いときには、ランプ103から出射される光は植物102Aに概ね均一に到達する。ところが、植物が成長して草丈が伸びると、図27(b)に示すように、照明装置101の直下にある植物102B(中央)には多くの光が到達し、照明装置101から離れた場所にある植物102C(左右)には十分に光が届かないことがある。このような植物の成長に伴う光量の不均一性は、結果として、植物の配置位置によってそれらの成長度合いや病害防除作用にばらつきが生じ、栽培された植物の品質を一定に担保できなくなる要因となる。また、ランプ103の出射光に病害防除のための紫外線が多く含まれる場合、植物の草丈が高くなると、直下の植物102Bなどに過剰の紫外線が照射されて、葉やけ障害が生じ易くなる。
【0004】
そこで、ランプを覆う凹形状の反射板を有し、この反射板の開口側端部を変形させることにより、ランプから出射された光の植物に対する配光(光の広がり方)を制御し得るようにした照明装置がある(例えば、特許文献1参照)。このような照明装置は、植物の成長に応じて配光を自在に調整できるので、植物に対して効率的に光を照射することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−125412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のような反射板を用いた照明装置では、反射板がランプ上方を覆うように配置されているので、ランプから下方に出射された光の多くは、反射板で反射されずに植物に直接照射される。そのため、植物が成長して装置に近づくと、過剰な紫外線照射によって葉やけが生じるという上記の問題がやはり発生する。また、反射板の形状を変えるために、ボルト・ナットなどの調整部材を回動操作する構造となっているで、配光調整に面倒な作業を要する。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、植物育成用又は植物病害防除用の照明装置において、植物の成長度合いに応じて配光を容易に制御でき、また、植物が成長して装置に近づいた場合に、植物に葉焼け障害を生じないように光照射することができる照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の照明装置は、植物育成用又は植物病害防除用の照明装置において、直管形状のランプと、前記ランプの長手方向に沿って延び、前記ランプからの光を反射する反射板とを備え、該装置が被照射対象である植物の上方に配置された状態において、前記反射板は、前記ランプの下方への直射光を遮光しない位置に退避した非反射位置と、前記直射光の一部をランプ長手方向に直交する方向に反射するように鉛直方向と交わる向きに位置する反射位置とを取り、前記非反射位置と反射位置とのいずれかに切替自在とされていることを特徴とする。
【0009】
この照明装置において、前記反射板は、前記ランプの直下に配置され、前記非反射位置において鉛直方向に垂下された状態となり、前記反射位置において前記ランプからの直射光が植物に向けて反射されるように鉛直方向に対し傾いた状態となることが好ましい。
【0010】
この照明装置において、前記ランプの長手方向の両側に、該ランプからの直射光を遮る遮光板を備え、前記遮光板は、前記ランプの長手方向の両側から下方に引き出された遮光位置と、この遮光位置から上方に退避した非遮光位置とに可動自在に設けられていることが好ましい。
【0011】
この照明装置において、前記反射板のランプに対する傾きを植物の成長に合わせて変える反射板駆動機構を備えることが好ましい。
【0012】
この照明装置において、前記遮光板の位置を植物の成長に合わせて上下させる遮光板駆動機構を備えることが好ましい。
【0013】
この照明装置において、前記ランプから前記反射板で反射された光の光路上に、微細水滴から成る光反射幕を形成する霧発生装置を備え、前記霧発生装置による光反射幕により植物に照射される光の進行方向を制御することが好ましい。
【0014】
この照明装置において、前記ランプの点灯タイミングと、前記霧発生装置による霧の発生時間を同じにすることが好ましい。
【0015】
この照明装置において、前記霧発生装置の近傍に位置する植物に放射される光照度を検知する照度センサを備え、前記照度センサにより検知される積算放射照度量が所定レベルを下回ったときに、前記霧発生装置による霧発生動作を行わせることが好ましい。
【0016】
この照明装置において、前記霧発生装置は、その近傍に位置する植物の葉面に向けて集光用の微細水滴を噴霧するように構成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の照明装置によれば、反射板を反射位置と非反射位置とに切替ることにより、ランプから植物に照射される光の配光を自在かつ容易に調整することができるので、植物の成長度合いに応じて適切な光量で植物に光照射することが可能となる。従って、植物の栽培領域において植物育成又は植物病害防除のために必要な光照度を効果的に得ることができ、植物の生育や病害防除作用にばらつきが少なくなる。また、反射板が反射位置にあるとき、ランプからの光が直下の植物に直接照射されないように工夫したので、植物の葉焼け障害を少なくすることができる。また、ランプからの光が反射板により広範囲に配光されるので、本装置を農業用のビニールハウスやガラスハウスなどの栽培施設、又は露地圃場等に用いるとき、装置の設置台数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る照明装置を農業用のビニールハウスに設置したときの構成図。
【図2】(a)は同照明装置の取付け位置を示す平面図(b)はその正面図。
【図3】(a)は同照明装置において反射板が鉛直方向に垂下された非反射位置での斜視図、(b)は同反射板が鉛直方向に対し傾いた反射位置での斜視図。
【図4】同反射板が非反射位置においてランプからの光の植物に対する配光状態を示す側面図。
【図5】同反射板が反射状態においてランプからの光の植物に対する配光状態を示す側面図。
【図6】(a)は同照明装置における反射板の他の取付け態様を示す正面図、(b)はその側面図。
【図7】(a)は同反射板のさらに他の取付け態様を示す正面図、(b)はその側断面図。
【図8】(a)は同反射板のさらに他の取付け態様を示す正面図、(b)はその側断面図。
【図9】(a)は同反射板のさらに他の取付け態様を示す正面図、(b)はその側面図。
【図10】(a)は同反射板のさらに他の取付け態様を示す正面図、(b)はその側断面図。
【図11】(a)は本発明の第2の実施形態に係る照明装置において遮光板が遮光位置にある状態での斜視図、(b)は同遮光板が非遮光位置にある状態での斜視図。
【図12】(a)は同遮光板が非遮光位置においてランプからの光の植物に対する配光状態を示す側面図、(b)はその正面図。
【図13】(a)は同遮光板が遮光位置においてランプからの光の植物に対する配光状態を示す側面図、(b)はその正面図。
【図14】本発明の第3の実施形態に係る照明装置の斜視図。
【図15】(a)は図14のA−A線断面図、(b)は図14のB−B線断面図。
【図16】同照明装置をビニールハウスに設置したときの構成図。
【図17】(a)(b)は同照明装置の動作を時系列に示す側断面図。
【図18】本発明の第4の実施形態に係る照明装置をビニールハウスに設置したときの構成図。
【図19】同照明装置の霧発生装置及び照度センサの取付け位置を示す平面図。
【図20】同照度センサの構成を示す正面図。
【図21】同照明装置の霧発生装置による作用を説明するための比較例として、霧発生装置が設けられていない場合における光の配光状態を示す側面図。
【図22】同照明装置において霧発生装置による霧発生動作を行ったときの光の配光状態を示す側面図。
【図23】第4の実施形態に係る照明装置の変形例を説明する図。
【図24】同変形例において植物に照射される光が集光される様子を示す図。
【図25】(a)本発明の照明装置の他の構成例を示す、反射板がランプ直下に配置された反射位置での正面図、(b)はその側面図。
【図26】上記構成例に係る反射板がランプ上方に配置された非反射位置での正面図、(b)はその側面図。
【図27】(a)(b)は従来の照明装置の設置例における側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る照明装置について図1乃至図5を参照して説明する。図1、図2において、本実施形態の照明装置1は、植物育成用又は植物病害防除用に用いられる照明装置であり、植物2に対して植物育成のための可視光や植物病害防除のための紫外光などを照射する直管形状のランプ3を実装している。ここでは、照明装置1が植物の栽培施設である農業用のビニールハウス4に複数設置されている。ランプ3は、植物育成をする場合、植物の光合成や形態形成、色づきなどを促進する効果の高い波長域400〜700nm(場合によっては300〜800nm)の光成分を照射する光源を用いることが好ましい。ランプ3は、病害防除をする場合、植物体の病害抵抗性(免疫機能)を誘発する効果の高い波長域280〜320nm(UV−B)の光成分を放射する光源を用いることが好ましい。ランプ3は上記に限られず、植物育成効果の高い可視領域の光成分と、植物病害防除効果の高い紫外領域の光成分の両方を照射する光源で構成されてもよい。
【0020】
照明装置1は、被照射対象である植物2の上方に配置されて使用され、例えば、ビニールハウス4天井部の梁41に吊下げられる。ここでは、図2に示されるように、照明装置1の各々が、ランプ3正面方向からの光をハウス4内の植物2全体に効率よく配光できるように、畝50に沿って所定の間隔で設置され、かつランプ3の長手方向が畝50が延在する方向に対して直交するような向きにして配列されている。このとき、各照明装置1は植物の葉やけを防ぐため、ランプ3の真下に植物2が来ないような位置、すなわち、隣接した畝50同士の間にランプ3が位置するように配置されることが好ましい。照明装置1の台数及び設置箇所は任意である。
【0021】
また、照明装置1は、ランプ3の照射動作を制御する制御部5を備える。制御部5は、照明装置1とは独立した位置に設けられたボックス内に格納され、照明装置1の各々と電力線6により接続される。制御部5は、照明装置1と一体構成されてもよい。制御部5は、ランプ3を点灯させる時間帯を任意に設定するためのタイマ機能を有する。このタイマに設定される時間帯(ランプ3の点灯時間帯)は、太陽光が少なくなる夜間帯(例えば、日没後から日の出までの時間)が好ましい。このようにランプ3を点灯させると、昼間の太陽光に含まれる可視光や紫外線を補完するように植物2に光照射することができ、省エネルギ化を図れる。
【0022】
本照明装置1を用いて栽培される植物2は、一般的に農家が生産する農作物全てが対象である。具体的には、トマト、ナス、キュウリ、シシトウ、ピーマン、メロン、スイカ、イチゴなどの果菜類、レタス、キャベツ、ハクサイ、チンゲンサイ、ホウレンソウ、コマツナ、シソなどの葉栽類、ゴボウ、ダイコン、ニンジンなどの根菜類、大豆、エダマメ、ソラマメ、エンドウなどの豆類、キク、バラ、トルコギキョウ、カーネーション、ケイトウなどの花き類、その他として稲や茶などが挙げられる。
【0023】
上記各種の植物2は、露地栽培、ビニールハウス栽培、ガラス温室栽培のいずれでもよい。畝50は、植物2を栽培するための培地であり、例えば、露地畑によく見られるような略山形状であればよい。なお、畝50は、金属や木材で作られた栽培ベンチ上に盛られる土で形成されたものや、栽培ベンチ上に置かれた鉢やプランタなどであってもよい。以下、照明装置1の構成を詳細説明する。
【0024】
図3において、照明装置1は、ランプ3と、ランプ3の直下にあってランプ3からの光を反射し得る2つの反射板7(請求項でいう反射板)と、反射板7を支持するための支持体8と、ランプ3を挟んで前後に配置された反射板9と、これらが取り付けられる筐体10とを備える。また、照明装置1は、装置をビニールハウスなどの天井部に吊下げるための吊下げ具11を備える。
【0025】
ランプ3は、直管形状であれば、その種類は特に問わず、例えば、蛍光灯、高輝度放電灯(メタルハライドランプ、高圧ナトリウム灯など)、発光ダイオード(LED)、有機ELなどを用いることができる。ランプ3は、筐体10の長手方向の両端に設けられた一対のソケット12に保持される。
【0026】
反射板7は、装置1が被照射対象である植物の上方に配置された状態において、図3(a)に示すようなランプ3の下方への直射光を遮光しない位置に退避した非反射位置と、図3(b)に示すような、直射光の一部をランプ3長手方向に直交する方向に反射するように鉛直方向と交わる向きに位置する反射位置とを取る。すなわち、反射板7の各々は、ランプ3の長手方向に沿って延びる長方形状であり、これら高さ方向の上側が蝶番構造のヒンジ13により連結され、ヒンジ軸13aを中心として回動可能に支持体8に支持されることにより、鉛直方向に対する向きを可変としている。ヒンジ13は、蝶番構造部分の摩擦により、2つの反射板7を所定の傾き角度で保持できるものとしている。また、反射板7同士は、互いの反射面が外向きになるように連結される。よって、反射板7は、ランプ3からの直射光を遮光しないように鉛直方向に垂下された状態で上記非反射位置(図3(a))となり、ランプ3からの直射光が植物に向けて反射されるように鉛直方向に対し傾いた状態で上記反射位置(図3(b))となり、反射位置と非反射位置とのいずれかに切替え得る構成となっている。ここに、支持体8は、ヒンジ軸13aの両側にそれぞれ設けられた一対のアーム部材から成り、その先端には内側に突出した鉤状の爪8aを有する。この爪8aを押し開きながらソケット12外郭側面に沿って押し込むと、ソケット12の溝12aに爪8aが引っ掛かってソケット12に支持体8が固定される。また、反射板7は、上記のように複数設けられる構成に限られず、例えば、1つの反射板が支持体8に対して回動自在に軸支される構成であってもよい。
【0027】
反射板7は、ランプ3からの光を高効率に反射できるように、反射面に鏡面処理を施して光が拡散反射しないようにすることが好ましい。反射板7を構成する材料には、屋外使用などの観点から、耐食性の優れた金属、例えば、アルミニウムやステンレスなどを用いるとよい。特に、ランプ3に紫外線を照射する光源が用いられる場合には、反射板7は、UV−B領域の光成分に対する反射効率の高いアルミ材を用いて形成されることが望ましい。この場合、例えば、総アルミ製のもの、所定の形状に形成した樹脂基材に蒸着やメッキ、塗装によりアルミニウム膜を施したもの、アルミ基材の表面に屈折率の異なる複数の透明材料を用いて高反射多層膜を形成したもののいずれであってもよい。反射板7の表面には、耐食性向上のためアルマイト処理が施されていてもよい。
【0028】
反射板9は、ランプ3から放射状に出射される光を効率よく下向きに配光するためのものであり、場合によっては省略しても構わない。筐体10は、略箱型状の外郭を成し、その内部には、ランプ3を安定的に光らせるための点灯スタータ、電子安定器(銅鉄安定器)、電源回路などのデバイスが実装される。
【0029】
次に、上記のように構成された照明装置1の使用態様を図4、図5を用いて説明する。照明装置1は、植物2が苗のように草丈が低い状態から収穫可能な程度まで草丈が高くなる段階まで、植物2の各成長段階に適応して使用される。
【0030】
手順1:図4に示すように、植物2の草丈が低く(数〜数10cm程度)、照明装置1から植物2までの距離が十分にある場合(例えば、距離が1m以上)、照明装置1から照射される光は、植物2の植えられた範囲を全体的に照らすものであれば十分である。従って、反射板7を鉛直方向に垂下された非反射位置(反射板7同士を閉じた状態)とし、ランプ3からの光が反射板7で遮光されないようにする。このとき、照明装置1からの照射光は、下向きに比較的低範囲に放出されるので、植物2に対して効率的に光を配光することが可能となる。照明装置1の直下にある植物2(中央)は、照明装置1との距離が十分にあるので、葉焼けすることのない適切な光強度で光照射される。
【0031】
手順2:図5に示すように、植物2が成長して草丈が伸び(1mを超える程度)、照明装置1から植物2までの距離が近くなる場合(例えば、距離が概ね50cm)、照明装置1から照射される光は、成長した植物2の全体に届かなければならない。このとき、反射板7を鉛直方向に対し斜め上方に傾いた反射位置(反射板7同士を開いた状態)にすると、ランプ3からの光の一部は、反射板7で反射されてその反射光が水平方向に略平行な角度で出射されることにより、照明装置1から離れた場所にある植物2(左右)の方向に振り分けられる。これにより、照明装置1からの照射光は、下向きに比較的広範囲に照射されることになり、成長した植物2の全体をカバーする配光が可能となる。照明装置1の直下にある植物2(中央)は、反射板7によってランプ3からの直射光の一部が遮光されるため、過剰な光照射がなされず、葉焼けが生じることがない。
【0032】
このように本実施形態に係る照明装置1によれば、反射板7を反射位置と非反射位置とに切替ることにより、ランプ3から植物2に照射される光の配光を自在かつ容易に調整することができるので、植物2の成長度合いに応じて適切な光量で植物2に光照射することが可能となる。従って、植物の栽培領域において植物育成又は植物病害防除のために必要な光照度を効果的に得ることができ、植物の生育や病害防除作用にばらつきが少なくなる。また、反射板7が反射位置にあるとき、ランプ3からの光が直下の植物2に直接照射されないように工夫したので、植物の葉焼け障害を少なくすることができる。また、ランプ3からの光が反射板7により広範囲に配光されるので、本装置1を農業用のビニールハウスやガラスハウスなどの栽培施設、又は露地圃場等に用いるとき、装置の設置台数を抑えることができる。
【0033】
ここに、反射板7が反射位置にあるとき、ランプ3からの光が反射板7により遮光されるので、直下の植物2に照射される光量がかなり少なくなるが、この光量をあまり減らしたくない場合には、反射板7に小孔を設けてこの小孔から直下の植物に向けて光を通すようにしてもよい。このとき、反射板7がパンチングメタル又はエキスパンドメタルのような構造に形成されると、直下の植物2への照射光量を制御し易い。
【0034】
次に、上記の照明装置1において反射板7をランプ3の直下に支持するための他の構成例を図6乃至図10を用いて説明する。図6に示す照明装置1では、2つの反射板7を連結するヒンジ13のヒンジ軸13aの両側に支持体8が設けられ、支持体8を両ソケット12の底面部にネジ部材14により係止するものとしている。この支持体8は、金属や樹脂などの平板をL字状に折り曲げて形成された2つの折曲面を有し、2つの折曲面のうち、一方の折曲面にヒンジ軸13aが連結され、他方の折曲面にネジ部材14用の貫通孔が形成されたものとなっている。
【0035】
図7に示す照明装置1では、ヒンジ13により連結された2つ反射板7を、ワイヤーなどの線材から成る支持体8を用いてランプ3に支持するものとしている。この支持体8は、その一端にランプ3周縁を両側から保持する略逆Ω字状の保持部を有し、他端にヒンジ軸13aを引っ掛ける鉤状のフックを有したものとなっている。ここでは、支持体8がランプ3の長手方向に沿って複数配置されている。図8に示す照明装置1は、上記と同様に、反射板7をランプ3にワイヤー状の支持体8を用いて支持させるものであり、この支持体8のランプ3側の一端は鉤状に形成され、ランプ3を引っ掛けて保持するものとされている。
【0036】
図9に示す照明装置1では、反射板7をアーム状の支持体8を用いて筐体10に支持する構成とし、この支持体8はヒンジ軸13aの両側を保持した状態で、その先端の爪8aが筐体10の側面部の溝10aに係入されるものとなっている。図10に示す照明装置1では、反射板7をワイヤー状の支持体8により筐体10に支持する構成とし、この支持体8は、筐体10の側面視断面の外周を取り囲むように巻回されて、その下端部分にヒンジ軸13aを保持するフックが形成されたものとなっている。以上、図6〜図10に示すいずれの反射板取付け形態であっても、反射板7をランプ3の直下に反射位置と非反射位置とに切替自在に配することができ、ランプ3からの光の配光を自在に調整することが可能である。
【0037】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る照明装置について図11乃至図13を参照して説明する。図11において、本実施形態の照明装置1は、ランプ3の長手方向の両側にあってランプ3からの直射光を遮る2つの遮光板15と、遮光板15を上下動自在に支持する支持部材16をさらに備える。支持部材16は、例えば、筐体10の側面に上下方向に延設された一対のガイドレールであり、遮光板15周縁を上下に可動自在に支持する。遮光板15は、図11(a)に示すような、ランプ3の長手方向の両側から下方に引き出された遮光位置と、図11(b)に示すような、遮光位置から上方に退避した非遮光位置とに可動され得る。具体的に、遮光板15は、照明装置1から植物までの距離が遠い場合に(このとき反射板7は非反射位置にある)、非遮光位置に収納され、距離が近くなる場合に(このとき反射板7は反射位置にある)、遮光位置に引き出される。遮光板15が遮光位置に引き出されると、ランプ3の側面方向から出射される光がカットされるので、ランプ3周辺まで成長した植物に過剰な光が照射されることを防止できる。
【0038】
遮光板15は、例えば、金属や樹脂などの基材の表面に、光遮断性に優れた黒色の樹脂材料をコーティングしたものを用いることができる。遮光板15に金属材料を用いる場合には、屋外使用などの観点から、耐食性の高いアルミニウムやステンレスなどを用いることが好ましい。また、遮光板15の表面に腐食防止処理が施されていてもよい。遮光板15は上記構成に限られず、例えば、光拡散性の高い表面構造を有する部材により構成されてもよいし、光反射率の低い材料を用いて形成されてもよい。
【0039】
次に、上記のように構成された照明装置1の使用態様を図12、図13を用いて説明する。
【0040】
手順1:図12(a)に示すように、植物2の草丈が低く照明装置1から植物2までの距離が十分にある場合、植物2の植えられた範囲に効率的に光を配光するため、反射板7を上記同様に非反射位置とするが、これに併せて遮光板15を非遮光位置に退避させる。このとき、図12(b)に示すように、ランプ3からの光が遮光板15で遮光されないので、ランプ3側面方向に向けて配光が適度に広がった光が下方に照射されるようになる。そのため、ランプ3長手方向の下方において植物2が配置されていると、この植物2にもランプ3による光照射を行うことが可能となる。
【0041】
手順2:図13(a)に示すように、植物2が成長して照明装置1から植物2までの距離が近くなる場合、反射板7を反射位置にするのに併せて、遮光板15を下方に引き出して遮光位置にする。このとき、図13(b)に示すように、ランプ3の側面方向からの出射光が遮光板で遮光されるので、ランプ3長手方向の下方に植物2が配置されていたとしても、この植物に過剰な光照射がなされず、葉焼けが生じることがなくなる。
【0042】
このように本実施形態に係る照明装置1によれば、ランプ3の長手方向に広がる光を遮光板15によって遮光し、ランプ3からの光が成長した植物2に過剰に照射されないようにしたので、植物の葉やけを抑制することができる。
【0043】
なお、上記照明装置1において、ランプ3から成長した植物2までの距離が十分に確保されるような場合、遮光板15に小孔を設けて、ランプ3からの光をこの小孔を通すことにより、強度が適度に抑えられた光を植物2に照射するようにしてもよい。
【0044】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る照明装置について図14乃至図17を参照して説明する。図14、図15において、本実施形態の照明装置1は、反射板7のランプ3に対する傾きを被照射対象である植物の成長に合わせて変える反射板駆動機構17と、遮光板15の位置を植物の成長に合わせて上下させる遮光板駆動機構18とを備える。反射板駆動機構17は、例えば、ワイヤー巻取り機構であり、各反射板7に固定具19を介して繋がれたワイヤー20を巻取り又は巻戻すことにより反射板7を開閉し、反射板7の傾き角度を調整する。ワイヤー20を巻取るためのモータ類は、筐体10内部に設けられたボックス21に収容される。遮光板駆動機構18は、例えば、ラックピニオン機構であり、遮光板15に上下方向に取り付けられたラック22と、ラック22に噛み合うピニオン23を回動させるモータ24とを有し、モータ24の正転/逆転によりピニオン23及びラック22を介して遮光板15を上下動させる。ここでは、遮光板駆動機構18が2つの遮光板15のそれぞれに対応して設けられている。反射板駆動機構17及び遮光板駆動機構18はそれぞれ、後述の制御部25により動作制御がなされる。
【0045】
照明装置1は、図16に示すように、上記反射板駆動機構17及び遮光板駆動機構18の動作を制御するための制御部25と、植物2の頂上部分から照明装置1までの距離を測定する距離センサ26とを備える。制御部25は、距離センサ26による測定値が設定値を下回ったときに(植物2が成長して装置1に近づくような場合)、反射板駆動機構17を反射板7が反射位置になるように動作させ、また遮光板駆動機構18を遮光板15が遮光位置になるように動作させる。制御部25は、ランプ3の照射動作を制御するための制御部5(図1参照)と一体構成されていてもよいし、制御部5とは独立して設けられていてもよい。距離センサ26は、例えば、超音波センサや赤外線センサ、画像センサなどを用いることができる。距離センサ26は、栽培される植物2のうち、代表的な1つの植物についての測定値を取得できればよく、ビニールハウス4内に少なくとも1箇所設置されればよい。
【0046】
上記のように構成された照明装置1が、制御部25による反射板駆動機構17及び遮光板駆動機構18の動作制御によって反射板7及び遮光板15が駆動される動作を図17を用いて説明する。図17(a)に示すように、照明装置1から植物2までの距離が十分にある場合(距離センサ26による測定値が設定値を超える場合)、反射板7は反射板駆動機構17により非反射位置とされるので、ランプ3からの光が植物2の植えられた範囲に効率的に配光される。このとき、遮光板15は遮光板駆動機構18により非遮光位置とされるので、ランプ3側面方向に向けて配光が適度に広がった光が植物2に照射される(上述の図12参照)。
【0047】
そして、図17(b)に示すように、照明装置1から植物2までの距離が近くなると(距離センサ26による測定値が設定値を下回る場合)、反射板7は反射板駆動機構17により所定の傾き角度の反射位置まで回動される。このとき、ランプ3からの光が反射板7で反射されることで広範囲に照射され、成長した植物2の全体をカバーする配光が可能となる。また、遮光板15は遮光板駆動機構18により遮光位置に移動されるので、ランプ3の側面方向から出射される光がカットされ、装置1周辺に配置された植物に過剰な光が照射されることが防止される(上述の図13参照)。
【0048】
このように本実施形態に係る照明装置1によれば、植物の成長度合いに合わせてランプ3から植物に照射される光の配光を自動で調整することができるので、作業者などが配光調整ために反射板7、遮光板15を操作する必要が無く、利便性が高い。
【0049】
ここに、上記照明装置1において、制御部25は、距離センサ26による測定値が小さくなる(植物の草丈が大きくなる)に連れて、反射板7の鉛直方向に対する傾き角度が大きくなるように反射板駆動機構17を制御するようにしてもよい。また、上記では距離センサ26による測定値を基に反射板駆動機構17及び遮光板駆動機構18を制御する構成を示したが、これに限られず、制御部25が栽培される植物2の成長スピードを予めデータとして記憶しておき、このデータを基に反射板駆動機構17及び遮光板駆動機構18を動作させるものであってもよい。また、光照射対象となる植物2が成長点又はその近傍の葉面で受ける光照度を光センサ(例えば、照度計、紫外線強度計、熱線強度計など)により測定し、光センサにより検知された積算照度値が所定値を超えるときに、植物が成長したとして反射板7を反射位置に動作させるよう構成されてもよい。
【0050】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る照明装置について図18乃至図22を参照して説明する。図18、図19において、本実施形態の照明装置1は、装置1から照射される光の進行方向を変える光反射膜を形成するための微細水滴を発生させる霧発生装置27と、霧発生装置27の近傍に位置する植物2に放射される光照度を検知する照度センサ28とを備える。また、照明装置1は、照度センサ28による検知結果を基に霧発生装置27の動作を制御する制御部29を備える。ここでは、霧発生装置27及び照度センサ28がビニールハウス4内に複数設置されている。霧発生装置27は、例えば、照明装置1から離れた場所にある植物の上方に設置され、噴霧口を下向きにしてビニールハウス4の梁41に吊下げられる。ここでは、霧発生装置27の各々が、畝50の延在方向に沿って装置1と霧発生装置27とが交互に配列された形となっている。各霧発生装置27は、制御部29と電力線30により接続される。霧発生装置27の台数及び設置箇所は任意である。霧発生装置27には、例えば、汎用のスプリンクラーや潅水装置、細霧装置などを用いることができ、その構造は特に限定されず、周知の霧吹き構造や、超音波振動子の振動により噴霧作用を得る構造などいずれであってもよい。なお、霧発生装置27から噴霧された水滴を回収するための容器を地面に配置し、この容器に溜まった水をポンプにより霧発生装置27に送水するような循環機構が設けられてもよい。
【0051】
照度センサ28は、例えば一般的に人が感じる波長に合わせた分光感度を有する光量を測定する光センサにより構成され、検知した光照度を一定時間間隔でロギングして積算放射照度量を算出する機能を有する。照度センサ28は、植物2の頂上付近に位置するように、ハウス4の梁41に吊下げられることが好ましい。このとき照度センサ28は、図20に示すように、梁41に伸縮自在なロッド部材31を介して吊下げられることにより、植物の成長に応じて照度センサ28の高さ位置を上下できる構成であることが望ましい。照度センサ28は上記に限れらず、作業の手間などを考慮して、植物の苗が畝50に定植されて、最終的に出荷されるまでの草冠面の平均的な高さに固定してもよいし、植物の頂上部の葉面などに直接設置してもよい。また照度センサ28は、ランプ3に植物病害防除のための紫外線光源が用いられ場合には、UV−B領域(280〜340nm)に分光感度を有する紫外線センサを用いるとよい。
【0052】
制御部29は、照度センサ28により得られる積算放射照度量が所定レベルを下回ったときに、霧発生装置27による霧発生動作を行わせる。このとき、制御部29は、ランプ3の点灯タイミングと霧発生装置27による霧の発生時間を同じなるように霧発生装置27の動作を行い、照度センサ28の積算放射照度量が所定レベルを下回る場合であっても、ランプ3が点灯していないときには霧発生装置27による動作を行わない。これにより、ランプ3が点灯しているときにだけ霧発生装置27が動作するので、無駄な電力消費が抑えられ、ランニングコストの低減を図れる。
【0053】
ここで、霧発生装置27による作用を説明するための比較例として、照明装置1に霧発生装置27が設けられていない場合における光の配光状態を図21を用いて述べる。照明装置1は、ランプ3からの光を成長した植物2に広範囲に照射するため、反射板7が所定の反射位置に操作されるが、反射板7で反射された光は略水平方向な角度で出射されるので、植物2の夫々の成長度合いが異なると、植物2全体をカバーする配光を行えないことがある。例えば、照明装置1直下の植物2A左右に配置された植物2Bが、より遠方の植物2Cにより草丈が高いと、反射板7からの光が植物2Bで遮光されて、植物2Cまで光が届かないことがある。
【0054】
次に、本実施形態の照明装置1が、制御部29による霧発生装置27の噴霧動作によって植物2に照射される光の進行方向が制御される動作を図22を用いて説明する。ここでは、ランプ3からの光が反射板7により配光され得る植物2のうち、装置1から最も離れた位置にある植物2Cの上方に霧発生装置27が設置されている。霧発生装置27は、成長した植物2Cに照射される光照度が低い場合(照度センサ28による積算放射照度量が所定レベルを下回る場合)、霧状の微細水滴を連続的に噴霧する。霧発生装置27から噴霧される微細水滴は、平均粒径が数μm〜1mm以下(いわゆる超微霧から中霧の範囲)になるように設定される。このような微細水滴が空気中に放出されると、空気抵抗を受けてゆっくりと落下して植物2C上方に滞留するので、ランプ3から反射板7で反射された光の光路上に、微細水滴から成る光反射幕32が形成される。ランプ3から反射板7により反射された光が光反射幕32に照射されると、光反射幕32で拡散反射して光の進行方向が変わり、植物2Cに頂上部から根元に向かって光が照射される。すなわち、植物2A、2Bが植物2Cより草丈が高いような場合でも、植物2Cにランプ3からの光を照射することが可能となり、植物2全体にカバーする配光を行うことができる。ここに、本動作において、反射板3はその反射光が植物2Bを超えて光反射幕32に到達するような反射位置に操作される。
【0055】
また、照度センサ28に紫外線センサを用いる場合には、植物へのUV−B積算放射照度量が1日当り1.0kJ/m2以上となるように、霧発生装置27の噴霧動作を制御するのが望ましい。これは、このUV−Bの積算放射照度量が1.0kJ/m2以下になると、安定して病害抵抗性を誘導することが難しくなるためである。
【0056】
このように本実施形態に係る照明装置1によれば、霧発生装置27による光反射幕32により植物2に照射される光の進行方向を変えて、植物2全体に効率的に光照射することができるので、植物の成長度合いや病害防除作用のばらつきを少なくすることができる。また、霧発生装置27は汎用の散水装置(スプリンクラーなど)などで流用できるので、装置として新たな開発コスト必要とせず、実用性が高い。
【0057】
ところで、上記では、照度センサ28を用いて植物2への照射光量が少なくなったときに、霧発生装置27を動作させる構成を示したが、これに限られず、植物2に照射される光の程度を目視にて確認し、光が植物に僅かしか届いていないと観察される場合には、霧発生装置27を作動させるようにしてもよい。また、霧発生装置27は、省エネルギーの観点から、毎日稼動させる必要はなく、例えば、隔日やそれ以下の稼動するようにしてもよい。
【0058】
次に、第4の実施形態の照明装置1の変形例を図23及び図24を参照して説明する。図23において、この変形例に係る照明装置1では、霧発生装置27は、その近傍に位置する植物2の葉面に向けて集光用の微細水滴を噴霧するように構成されている。霧発生装置27による霧発生動作は、上記とは異なり、植物2の葉面上に水滴が点在するようにするように、少量の微細水滴が間欠的に放出されるように行う。このとき、植物の葉全体が濡れてしまないように注意し、また、装置1が設置されるビニールハウス内の温度や湿度などを考慮して、葉の表面の水滴が蒸発する頃のタイミングを見計らって霧発生装置27による噴霧を行う。また、過去の平均的な温度、湿度データから霧発生装置27による間欠運転の間隔を決定するようにしてもよい。
【0059】
上記のように霧発生装置27から植物2に微細水滴が噴霧されると、図24に示すように、植物2の葉面上に微細水滴による凸レンズ33が網点状に形成される。この凸レンズ33に照明装置からの光が照射されると光の集光現象により、植物2に対して局所的に強い光エネルギーを与えることができる。従って、植物育成のための可視光や、病害防除のための紫外線を植物に効果的に照射することができるので、植物育成効果や害虫防除効果を一層高めることができる。
【0060】
なお、本発明は、上記各種実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、また、反射板7は、反射/非反射位置の切り替え頻度が少ないような場合などには、構造の簡素化のためヒンジ13を用いずに、一枚の反射部材が半分に重なり合うように折り曲げることで反射位置になり、この折り曲げられた反射部材が所定の開度に展開されることで非反射位置になるように構成されてもよい。また、上記では反射板7が鉛直方向に垂下された状態で非反射位置となる構成を示したが、これに限れらず、反射板7がランプ3の上方に配置されることで非反射位置となるように構成されていてもよい。すなわち、図25、図26に示すように、照明装置1は、ランプ3の直下に配置され得る反射板7と、反射板7が外周面に取り付けらた環状の内歯歯車34と、内歯歯車34に噛み合う外歯歯車35を軸着したモータ36とを備える。この反射板7は、一枚の反射部材により構成され、所定の開度に折り曲げられた状態で内歯歯車34に支持されたものとなっている。この照明装置1では、反射板7がランプ3の直下に配された状態で反射位置(図25)となり、モータ36が外歯歯車35を回転させることで、内歯歯車34と共に反射板が回動し、ランプ3上方に位置したときに非反射位置(図26)になる。
【符号の説明】
【0061】
1 照明装置
2 植物
3 ランプ
7 反射板
15 遮光板
17 反射板駆動機構
18 遮光板駆動機構
27 霧発生装置
28 照度センサ
32 光反射幕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物育成用又は植物病害防除用の照明装置において、
直管形状のランプと、前記ランプの長手方向に沿って延び、前記ランプからの光を反射する反射板とを備え、
該装置が被照射対象である植物の上方に配置された状態において、前記反射板は、前記ランプの下方への直射光を遮光しない位置に退避した非反射位置と、前記直射光の一部をランプ長手方向に直交する方向に反射するように鉛直方向と交わる向きに位置する反射位置とを取り、前記非反射位置と反射位置とのいずれかに切替自在とされていることを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記反射板は、前記ランプの直下に配置され、前記非反射位置において鉛直方向に垂下された状態となり、前記反射位置において前記ランプからの直射光が植物に向けて反射されるように鉛直方向に対し傾いた状態となることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記ランプの長手方向の両側に、該ランプからの直射光を遮る遮光板を備え、前記遮光板は、前記ランプの長手方向の両側から下方に引き出された遮光位置と、この遮光位置から上方に退避した非遮光位置とに可動自在に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記反射板のランプに対する傾きを植物の成長に合わせて変える反射板駆動機構を備えたことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記遮光板の位置を植物の成長に合わせて上下させる遮光板駆動機構を備えたことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記ランプから前記反射板で反射された光の光路上に、微細水滴から成る光反射幕を形成する霧発生装置を備え、前記霧発生装置による光反射幕により植物に照射される光の進行方向を制御することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項7】
前記ランプの点灯タイミングと、前記霧発生装置による霧の発生時間を同じにしたことを特徴とする請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記霧発生装置の近傍に位置する植物に放射される光照度を検知する照度センサを備え、前記照度センサにより検知される積算放射照度量が所定レベルを下回ったときに、前記霧発生装置による霧発生動作を行わせることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の照明装置。
【請求項9】
前記霧発生装置は、その近傍に位置する植物の葉面に向けて集光用の微細水滴を噴霧するように構成されていることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか一項に記載の照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−170361(P2012−170361A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33557(P2011−33557)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】