説明

熱交換器およびそれを用いた空気調和機

【課題】多孔管の管数を増やして冷媒側の伝熱面積を増加させるとともに、空気側の伝熱面積を増加させて熱交換効率を向上させた熱交換器およびそれを用いた空気調和機を提供する。
【解決手段】所定の間隔で平行に配列され、複数の冷媒路4bを有する扁平状の多孔管4aと、同多孔管4a同士の隙間からなる空気路4eと、前記冷媒路4bに連通したヘッダーとを備えた熱交換器4であって、前記複数の多孔管4aは、少なくともその一部が、配列された方向に折り曲げて配列された構成にしてなる室外熱交換器4を、空気調和機の室外機本体1に用いた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷媒流と空気流とが対向する熱交換器およびそれを備えた空気調和機に係わるものである。
【背景技術】
【0002】
かかる熱交換器およびそれを備えた空気調和機は、図8(A)および図8(B)と、図9(A)および図9(B)とに示すように、熱交換器(室外熱交換器)4を凝縮器として使用する際、冷媒が冷媒路4bの上方から下方に向けて流通するとともに、クロスフローファン5により下部通風口1aから空気路4eに導入された空気流が冷媒路4b内の冷媒流に対向する一方、蒸発器として使用する際、冷媒が冷媒路4bの下方から上方に向けて流通するとともに、クロスフローファン5により上部通風口1bから空気路4eに導入された空気流が冷媒路4b内の冷媒流に対向するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
熱交換器4は、上部通風口1bと下部通風口1aとの間に設けられた上下に延びる矩形筒状のシェル4cと、シェル4c内で上下方向に延び、シェル4cの一側から他側に向けて直線状に配列された複数の多孔管4aと、多孔管4aを上下部で連結する図示しないヘッダー4dとを備えている。
【0004】
これにより、熱交換器4は空気調和機1に用いられることで、例えば、多孔管4a内の冷媒流と空気路4e内の空気流とが直交する構成によるものに較べて、冷媒と空気との熱交換効率を向上させることができるため、空気調和機1のコンパクト化に寄与できるようになっていた。
【0005】
しかしながら、多孔管4aに設けられた複数の冷媒路4bは、シェル4cの一側4c3から他側4c4に向けて直線状に配列された構成であるため、空気側の伝熱面積を増やせなかった。そのため、熱交換器4の伝熱性能を向上させることが困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−127479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑み、多孔管の管数を増やして冷媒側の伝熱面積を増加させるとともに、空気側の伝熱面積を増加させて熱交換効率を向上させた熱交換器およびそれを用いた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した目的を達成できるように構成するため、本発明は以下に示す特徴を備えている。
【0009】
所定の間隔で平行に配列され、複数の冷媒路を有する扁平状の多孔管と、同多孔管同士の隙間からなる空気路と、前記冷媒路に連通したヘッダーとを備えた熱交換器であって、
前記複数の多孔管は、少なくともその一部が、配列された方向に折り曲げて配列されたことを特徴としている。
【0010】
また、前記多孔管の上下部に、同多孔管を連結する連結部および同多孔管を密閉するキャップを備え、前記多孔管および前記キャップが側部に切欠部を形成して前記連結部とともに折り曲げられたことを特徴としている。
【0011】
また、前記多孔管同士の隙間に、伝熱を促進する補助フィンまたはオフセットフィンを備えたことを特徴としている。
【0012】
また、前記熱交換器が空気調和機に用いられたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、多孔管の管数を増やして冷媒側の伝熱面積を増加させるとともに、空気側の伝熱面積を増加させて熱交換効率を向上させた熱交換器およびそれを用いた空気調和機を提供できる。
また、多孔管の管数を増やしたことにより、多孔管1本あたりの冷媒流量が減少することになり、これによって、冷媒側の圧力損失が少ない熱交換器およびそれを用いた空気調和機を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明による熱交換器が用いられた空気調和機の説明図で、(A)は空気調和機の室外機の正面図であり、(B)は空気調和機の室外機を含む冷凍サイクルを示す図である。
【図2】図1(A)に示すA−A断面図で、(A)は冷房運転時に空気調和機の室外機内を流通する空気流を示す図であり、(B)は暖房運転時に空気調和機の室外機内を流通する空気流を示す図である。
【図3】本発明による熱交換器を構成する多孔管の要部説明図である。(A)乃至(D)は折り曲げる前の多孔管の説明図で、(A)は正面から見た断面図であり、(B)は図3(A)に示すB−B断面図であり、(C)は側面図であり、(D)は連結部の底部の要部説明図である。また、(E)乃至(H)は折り曲げない多孔管の説明図で、(E)は正面から見た断面図であり、(F)は図3(E)に示すC−C断面図であり、(G)は側面図であり、(H)は連結部の底部の要部説明図である。
【図4】本発明による熱交換器の多孔管の上下部をキャップで密閉する状態の前後を示す説明図である。(A)乃至(D)は折り曲げる前の多孔管の要部説明図で、(A)はキャップで密閉する前の状態を示す側面図であり、(B)は正面図であり、(C)はキャップで密閉した後の状態を示す側面図であり、(D)は正面図である。また、(E)乃至(H)は折り曲げない多孔管の説明図で、(E)はキャップで密閉する前の状態を示す側面図であり、(F)は正面図であり、(G)はキャップで密閉した後の状態を示す側面図であり、(H)は正面図である。
【図5】本発明による熱交換器を流通する冷媒流と空気流とを示す説明図で、(A)は正面から見た要部断面図であり、(B)は多孔管の一例を示す図5(A)のD−D断面図である。
【図6】本発明による熱交換器に取り付けたヘッダーを示す断面図で、(A)は上面から見た要部断面図であり、(B)は側面図である。
【図7】多孔管の他の例を示す図5(A)のD−D断面図で、(A)は補助フィンの説明図であり、(B)はオフセットフィンの説明図であり、(C)はロウ付けされた切欠部の切欠面同士の近傍に補助フィンまたはオフセットフィンの一部がロウ付けされている状態を示す説明図である。
【図8】従来例による空気調和機の説明図で、(A)は冷房運転時に空気調和機の室外機内を流通する空気流を示す断面図であり、(B)は暖房運転時に空気調和機の室外機内を流通する空気流を示す断面図である。
【図9】従来例による空気調和機の熱交換器を流通する冷媒流と空気流とを示す説明図で、(A)は正面から見た要部断面図であり、(B)は多孔管の配列を示す図9(A)のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。
【0016】
本発明による熱交換器は、マイクロチャンネル形の熱交換器であり、この熱交換器内を流通する冷媒流と空気流とを対向流とすることで熱交換効率(伝熱性能)を向上させ、熱交換効率を向上させた熱交換器が用いられることで空気調和機の性能向上を図れるように構成している。
【0017】
空気調和機のコンパクト化を図るため、他にも、送風方向を切り替える切替手段を有するクロスフローファンを用いることで、熱交換器の全域に向け均一な風速で空気を流通させて熱交換効率を向上させるとともに、圧縮機の上部でなく熱交換器の前部であってファンケーシングの上部に電装部を設けることで、上下寸法を抑えるように構成している。
【0018】
マイクロチャンネル形の熱交換器が用いられる空気調和機としては、空気調和機の室外機、空気調和機の室内機または給湯暖房機の室外機などがあるが、本発明による熱交換器およびそれを用いた空気調和機を実施する最良の形態として、ここでは、熱交換効率がよい熱交換器が用いられることで、空気調和機の室外機の性能向上を図れるようにした実施形態として説明する。
【0019】
なお、空気調和機の室内機または給湯暖房機の室外機などにおいても、同様の構成により同様の作用効果を得ることができる。
【0020】
ここで、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
本発明による熱交換器(以下、室外熱交換器4という)4が用いられる空気調和機1(以下、室外機本体1という)は、図1(A)と、図2(A)および図2(B)とに示すように、室外機本体1の一側に圧縮機2を備え、他側の前面下部に設けられた下部通風口1aと、上面後部に設けられた上部通風口1bとを結ぶ空気通路に室外熱交換器4と、ファンケーシング5aと送風方向を切り替える後述する切替手段とクロスフローファン5からなる送風ファンとが設けられ、室外熱交換器4の前部であってファンケーシング5aの上部には電装部6が設けられている。
【0021】
本発明による室外熱交換器4は、図2(A)および図2(B)と、図5(A)および図5(B)とに示すように、室外機本体1の下部通風口1aと上部通風口1bとを結ぶ空気通路に沿うように所定の間隔で並べられて、複数の冷媒路(伝熱管)4bおよび空気路4eを構成する複数の多孔管4aと、前記冷媒路4bに連通したヘッダー4dとを備えており、多孔管4aはシェル4c内に収納された構成になっている。
【0022】
シェル4cは、ファンケーシング5aを介して連通した下部開口4c1と、上部通風口1bに連通した上部開口4c2とを備えて、下部通風口1aと上部通風口1bとを結ぶ空気通路に沿って延びるように矩形筒状に形成されている。室外熱交換器4の詳細な説明については、それが用いられる室外機本体1の全体構成を説明したのちに記述する。
【0023】
クロスフローファン5からなる送風ファンは、図2(A)および図2(B)に示すように、室外熱交換器4に対向して、可撓性を有する2枚の第一ガイド5bおよび第二ガイド5cのほぼ中心に設けられている。
【0024】
可撓性を有する第一ガイド5bおよび第二ガイド5cは、一端がファンケーシング5aの上下面に固定される一方、他端(先端)は、クロスフローファン5に近接している移動可能な第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eを固定しており、これら第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eを前後に移動させる時に弾性変形をする。
【0025】
第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eは、図2(A)および図2(B)の矢印で示すように、クロスフローファン5の外周部に対し前後に移動可能な連結部材5fで連結されている。
【0026】
上述した第一ガイド5bおよび第二ガイド5cと、第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eと、これら第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eを前後に移動可能に連結する連結部材5fとによって、送風方向を切り替える送風機の切替手段が構成されており、連結部材で連結された第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eが前後に移動することで、可撓性を有する第一ガイド5bおよび第二ガイド5cで構成されている通風路が変形して、クロスフローファン5による送風方向が変えられる。
【0027】
クロスフローファン5は、図示しないファンモータで駆動されて、常に、図2(A)および図2(B)の矢印fに示すように反時計回りに回転する。
【0028】
送風機を構成するファンケーシング5aは、前部が下部通風口1aに連通するとともに、後部が室外熱交換器4を構成するシェル4cの前面下部に備えた下部開口4c1に連通することにより、下部通風口1aと上部通風口1bとを結ぶ空気通路の一部を形成している。
【0029】
電装部6は、図1(A)と、図2(A)および図2(B)とに示すように、室外熱交換器4の前部であって、ファンケーシング5aの上部に設けられている。これにより、例えば、電装部6が圧縮機2の上部に設けられた構成に較べて、室外機本体1としての高さ寸法を抑えてコンパクト化を図れるようになっている。
【0030】
本発明による室外機本体1を含む冷凍サイクルは、冷房運転時には、図1(B)に示す白抜きの矢印のように、室外機本体(室外側)1に設けた圧縮機2から吐出された冷媒が、四方弁3からクロスフローファン5が対向配置された室外熱交換器4を循環したのち、膨張弁7を通って室内機本体(室内側)8に設けた室内熱交換器9に循環し、四方弁3を経て圧縮機2に循環する。
【0031】
この冷房運転時に、室外熱交換器4を流通する冷媒流は、図3(A)に示す矢印aのように、上下方向に延びる平行な多数の冷媒路(伝熱管)4bによって室外熱交換器4の上方から下方に向けて流通するように構成されている。
【0032】
その際、クロスフローファン5が、図2(A)に示す矢印fのように反時計回りに回転するとともに、送風方向を切り替える切替手段を構成する第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eと、これらを連結した連結部材5fとが、図2(A)に示す矢印のように前方に移動することにより、第一スタビライザ5dとクロスフローファン5との隙間s1が、第二スタビライザ5eとクロスフローファン5との隙間s2よりも狭くなる。
【0033】
そして、「隙間s1<隙間s2」となったことで、隙間s1では渦が発生し隙間s2では空気流が流通する構成になって、図2(A)に示す矢印A1のように下部通風口1aから吸い込まれた外気が、空気通路に備えた室外熱交換器4の下方から上方に向けて冷媒流に対向するように流通し冷媒と熱交換されたのち、室外機本体1の上面後部に設けられた上部通風口1bから外部に向けて矢印A2のように吹き出されることになる。
【0034】
また、暖房運転時は、図1(B)に示す黒ベタの矢印のように、室外機本体1に設けた圧縮機2から吐出された冷媒が、四方弁3から室内機本体(室内側)8に設けた室内熱交換器9に循環したのち、膨張弁7を通ってクロスフローファン5を対向配置した室外熱交換器4に循環し、四方弁3を経て圧縮機2に循環する。
【0035】
この暖房運転時に、室外熱交換器4を流通する冷媒流は、上下方向に延びる平行な多数の冷媒路4bによって室外熱交換器4の下方から上方に向けて流通することになる。
【0036】
その際、クロスフローファン5が、図2(B)に示す矢印fのように反時計回りに回転するとともに、送風方向を切り替える切替手段を構成する第一スタビライザ5dおよび第二スタビライザ5eと、これらを連結した連結部材5fとが、図2(B)に示す矢印のように後方に移動することにより、第二スタビライザ5eとクロスフローファン5との隙間s2が、第一スタビライザ5dとクロスフローファン5との隙間s1よりも狭くなる。
【0037】
そして、「隙間s2<隙間s1」となったことで、隙間s2では渦が発生し隙間s1では空気流が流通する構成になって、図2(B)に示す矢印B1のように上部通風口1bから吸い込まれた外気が、空気通路に備えた室外熱交換器4の上方から下方に向けて冷媒流に対向するように流通し冷媒と熱交換されたのち、室外機本体1の前面下部に設けられた下部通風口1aから外部に向けて矢印B2のように吹き出されることになる。
【0038】
これにより、室外熱交換器4内で冷媒流と空気流とが互いに対向流となることを実現できるようになり、また、冷媒が凝縮する時はクオリティ(乾き度)が高い方を上にすることで気泡が上昇していく時の流動抵抗を小さくでき、冷媒が蒸発する時にはクオリティ(乾き度)が低い方を下にすることで、気泡が上昇していく方向と冷媒が流れる方向が同じになって流動抵抗が小さくて済む。
【0039】
また、冷媒の凝縮時には、空気は被加熱媒体として温められるので密度が小さくなり軽くなる。従って、この時に空気を下方から上方に流すことで、クロスフローファン5に対する流動抵抗を減少させることにもなる
【0040】
更に、冷媒の蒸発時には空気は加熱媒体となり、熱交換により冷却していくことから密度が高くなって重くなる。従って、この時に空気を上方から下方に流すことで、クロスフローファン5の流動抵抗(または負荷)を軽減する一助にもなる。
【0041】
ここで、室外熱交換器4の構成と、室外熱交換器4を流通する冷媒流および空気流の動作について、図3乃至図7に基づいて詳細に説明する。
【0042】
室外熱交換器4は、下部通風口1aにファンケーシング5aの後部を連結することによって連通する下部開口4c1と、上部通風口1bに連通する上部開口4c2とを備えたシェル4cと、シェル4cの内部に所定の間隔で並べられた上下方向に延びる複数の多孔管4aによる冷媒路4bと、所定の間隔で並べられた扁平状の多孔管4a同士の間、およびシェル4cと多孔管4aとの間による空気路4eと、冷媒路4bの上下部に設けられた連結部4d1に連結され、冷媒出入口4d2を有するヘッダー4dとで構成されている。
【0043】
複数の冷媒路4bは、それぞれがシェル4cの一側4c3から他側4c4に向けて並べられており、シェル4cの一側4c3では、図6(A)および図6(B)に示す冷媒出入口4d2から流入(または流出)して、ヘッダー4dと連結部4d1を流れた冷媒は、シェル4cの一側4c5と他側4c6の間を流れるようになっている。
【0044】
また、シェル4cの他側4c4では、図6(A)および図6(B)に示す冷媒出入口4d2から流入(または流出)して、ヘッダー4dと連結部4d1を流れた冷媒は、シェル4cの一側4c7と他側4c8の間を流れるようになっている。
【0045】
折り曲げる多孔管4aは、図6(A)と、図7(A)乃至図7(C)とに示すように切欠部4a1によって折り曲げられており、図7(A)に示す補助フィン4a3、図7(B)に示すオフセットフィン4fまたは、図7(C)に示す補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2が、図7(C)に示すロウ付け部Rのようにロウ付けされることで固定されている。
【0046】
上述した補助フィンまたはオフセットフィンの一部(図7(C)の4a2)は、多孔管4aの折り曲げられている部位であって、切欠部4a1により折り曲げることで互いに当接しロウ付けされる切欠面同士の近傍にロウ付けされることで固定される。
なお、図7(C)の多孔管4aと補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2のみ図示し、補助フィン4a3またはオフセットフィン4fについては図から省略している。
【0047】
その際、切欠部4a1の隙間がロウ付けされ、かつ、補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2と多孔管4aの接触箇所がロウ付けされる。
折り曲げられた多孔管4a同士の隙間をロウ付けで埋めることにより、切欠部4a1によって別れている多孔管同士の熱抵抗は小さくなる。
補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2と、多孔管4aをロウ付けすることでお互いに接触面積を増大させることができるため、多孔管と補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2の熱抵抗を小さくできる。
図6(A)および図6(B)に示すヘッダー4dと連結部を流れた冷媒は、シェル4cの一側4c3の上4c6と一側の下4c5の間で流通する。
一側4c3と他側4c4の間で連結部は繋がっていない。よって、冷媒は流通しない。
また、図6(A)および図6(B)に示すヘッダー4dと連結部を流れた冷媒は、シェル4cの他側の上4c8と他側の下4c7の間で流通する。
【0048】
複数の多孔管4aは、折り曲げられたものと折り曲げられていないものとが、シェル4c内に混在している。多孔管4aは、図4(A)および図4(B)と、図4(E)および図4(F)とによって、その上下端にキャップ4gが装着される前の状態を示し、図4(C)および図4(D)と、図4(G)および図4(H)とによってその上下端にキャップ4gが装着された後の状態を示しており、キャップ4gが装着されることによって密閉された構成になる。
【0049】
折り曲げる多孔管4aの側部には、図3(A)および図3(B)と、図4(B)および図4(D)とに示すように、断面V字状の切欠部4a1が設けられており、この切欠部4a1によって、多孔管4aは図3(B)に二点鎖線で示す矢印cのように<形に折り曲げることができる。
なお、折り曲げない多孔管4aの側部には、図3(D)および図3(E)と、図4(F)および図4(H)とに示すように、断面V字状の切欠部4a1はない。
【0050】
同様に、折り曲げるキャップ4gの側部には、図4(B)および図4(D)に示すように、断面V字状の切欠部4g1が設けられており、この切欠部4g1によって、多孔管4aに装着されたキャップ4gは多孔管4aとともに<形に折り曲げることができる。
なお、折り曲げないキャップ4gの側部には、図4(F)および図4(H)に示すように、断面V字状の切欠部4g1はない。
【0051】
これによって、複数の多孔管4aは、例えば図5(B)および図6(A)に示すように、シェル4cの一側から他側に向けて「<形」または「>形」に折曲形成されたものと、折曲形成されていないものとが並べられることになる。
【0052】
そのため、複数の多孔管4aは、図9(B)のように折曲形成されることなくシェル4c内に並べられた場合に較べて、冷媒路4bの管数を増やすことができるようになり、冷媒路4bと空気路4eとの伝熱面積を増やすことができる。
【0053】
シェル4c内の空気路4eは、一部の多孔管4aを折曲形成して並べた構成においても、折曲形成されていない多孔管4aを並べた場合と同様に、多孔管4aの側部に形成されることで、空気流が冷媒路4b内の冷媒流と対向するようになっている。
【0054】
シェル4cは、その内壁が多孔管4aの一部と接触するように構成されており、多孔管4aを収納して空気が流通する多数の空気路4eを形成するとともに、室外熱交換器4としての外郭形状を形成している。
【0055】
隣り合う多孔管4aには、図7(A)に示すように、補助フィンまたはオフセットフィンの一部4a2を備えた補助フィン4a3が固定されたことで、冷媒路4b内の冷媒と、空気路4e内の空気との伝熱面積を増加させて伝熱性能を高めることができるようにしている。
【0056】
以上説明したように、本発明による構成であれば、冷媒路4bが複数の多孔管4aからなり、多孔管4aはシェル4cの一側から他側に向けて、折り曲げたものと折り曲げていないものとを混在させて配列したことにより、室外熱交換器4を構成する多孔管4aの管数を増やして冷媒側の伝熱面積を増加させるとともに、空気側の伝熱面積も増加させて熱交換効率を向上させ、また、多孔管1本あたりの冷媒流量を減少させることで、冷媒側の圧力損失が少ない熱交換器およびそれを用いた空気調和機を提供できる。
【符号の説明】
【0057】
1 空気調和機(室外機本体)
1a 下部通風口
1b 上部通風口
2 圧縮機
3 四方弁
4 熱交換器(室外熱交換器)
4a 多孔管
4a1 切欠部
4a2 補助フィンまたはオフセットフィンの一部
4a3 補助フィン
4b 冷媒路(伝熱管)
4c シェル
4c1 下部開口
4c2 上部開口
4c3 一側
4c4 他側
4c5 一端側
4c6 他端側
4c7 一端側
4c8 他端側
4d ヘッダー
4d1 連結部
4d2 冷媒出入口
4e 空気路
4f オフセットフィン
4g キャップ
4g1 切欠部
R ロウ付け部
5 クロスフローファン
5a ファンケーシング
5b 第一ガイド
5c 第二ガイド
5d 第一スタビライザ
5e 第二スタビライザ
5f 連結部材
s1 隙間
s2 隙間
6 電装部
7 膨張弁
8 空気調和機の室内機
9 熱交換器(室内熱交換器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の間隔で平行に配列され、複数の冷媒路を有する扁平状の多孔管と、同多孔管同士の隙間からなる空気路と、前記冷媒路に連通したヘッダーとを備えた熱交換器であって、
前記複数の多孔管は、少なくともその一部が、配列された方向に折り曲げて配列されたことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記多孔管の上下部に、同多孔管を連結する連結部および同多孔管を密閉するキャップを備え、前記多孔管および前記キャップが側部に切欠部を形成して前記連結部とともに折り曲げられたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記多孔管同士の隙間に、伝熱を促進する補助フィンまたはオフセットフィンを備えたことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れかに記載の熱交換器が用いられたことを特徴とする空気調和機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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