説明

熱交換器の冷却装置および熱交換器の冷却方法

【課題】簡易な構成で生成させた純水を噴霧して、スケールの発生を抑制し、熱交換器の消費電力を低減することができる熱交換器の冷却装置を提供する。
【解決手段】純水を生成する純水生成手段としての、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換樹脂カートリッジ10と、純水を熱交換器30の放熱部に噴霧する噴霧手段としてのスプレノズル12とを備える熱交換器冷却装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調機の室外機等の熱交換器の冷却装置および熱交換器の冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
夏場の電力消費量のうち、空調機(エアコン)によるものは40%以上と言われている。空調機の電力消費量を抑えることは、電力コストの低減もさることながら、ヒートアイランド現象の低減、地球温暖化ガスである二酸化炭素(CO)の削減にもつながり、非常にメリットが大きい。
【0003】
空調機は冷媒を圧縮し、圧縮時に発生した熱を空冷室外機で放熱することにより効力を発揮するが、外気温が高い場合や、室外機に直射日光が当たっている場合などは放熱効果が低下し、ひいては無駄な電力を消費することにつながっている。空冷室外機はその構造上、設置場所の気温や日射等の影響を大きく受けてしまう。放熱効果をより安定させるためには、気象状態の影響をできるだけ受けず、また、室外機の冷却方法をより安定したものにすることが重要である。室外機の冷却効率を安定化し、効率を上げる方法として、これまでも室外機に水を噴霧する方法が提案されている。
【0004】
水は自身の蒸発潜熱(気化熱)で周囲の熱を奪うため、室外機が冷却のために吸引する大気の温度を相対的に下げる効果があり、結果として室外機の冷却効率が上がる。一方、水には様々な不純物が溶け込んでおり、透明度の高い水道水や井戸水であっても、蒸発残渣として析出してしまうイオン成分を多く含んでいる。水中のイオン成分の含有量を表す指標の一つとして導電率があるが、一般的な水道水や井戸水の場合、導電率は100μS/cm〜300μS/cm程度である。このような蒸発残渣を多く溶解している水を室外機に噴霧すると、冷却フィン等に白いスケールを発生させてしまうことがある。特にCa、Mg、シリカ等を含む水はスケールを発生し易く、発生したスケールは冷却フィン等に固着し、室外機の放熱効率を著しく低下させてしまう。
【0005】
噴霧水によるスケールの発生を防止するためには、噴霧する水の中から蒸発残渣を発生させるイオン成分を取り除くことが有効である。例えば特許文献1では水中から逆浸透膜を使用して脱塩し、それを室外機に噴霧する方法が提案されている。逆浸透膜による純水の製造方法は一般的であり有効な方法であるが、一方で、下記の通り、(1)装置の大型化、複雑化、(2)水の有効利用率の低下、(3)逆浸透膜の閉塞を防止するために前処理が必要等のデメリットがある。
【0006】
逆浸透膜は一般的に運転圧力が0.5〜1.5MPa程度である。この水圧を得るためには水道供給圧力だけでは達成できず、高圧のブースタポンプ等を設置する必要がある。また、高圧に耐え得る配管部材などで装置を構成する必要がある。これらは装置の大型化、複雑化を招き、ひいては価格が高くなるというデメリットを生む。
【0007】
また、逆浸透膜の水の有効利用率(回収率)は30%〜70%程度である。継続的に運転される室外機の冷却等においては、水の有効利用率が低いことはコスト増、水資源の浪費という点で好ましくない。
【0008】
また、逆浸透膜は微細な空隙に水を通して脱塩を行うため、原水中に微粒子が存在すると閉塞を起こして処理水が得られなくなってしまう。そのため逆浸透膜に供給する原水の前段処理を確実に行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−243144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、簡易な構成で生成させた純水を噴霧して、スケールの発生を抑制し、熱交換器の消費電力を低減することができる熱交換器の冷却装置および熱交換器の冷却方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、イオン交換樹脂により純水を生成する純水生成手段と、前記純水を熱交換器の放熱部に噴霧する噴霧手段とを備える熱交換器の冷却装置である。
【0012】
また、前記熱交換器の冷却装置において、前記イオン交換樹脂が、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記熱交換器の冷却装置において、前記純水の導電率を測定する導電率測定手段を備え、前記導電率測定手段によって測定される純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂の交換時期が検知されることが好ましい。
【0014】
また、前記熱交換器の冷却装置において、前記純水生成手段を複数備え、前記導電率測定手段によって測定される前記複数の純水生成手段のうちの少なくとも1つにより生成される純水の導電率に基づいて、前記純水生成手段から前記噴霧手段への流路が自動的に切替えられて前記純水が噴霧されることが好ましい。
【0015】
また、前記熱交換器の冷却装置における前記噴霧手段において、前記純水生成手段に供給する原水の供給圧により噴霧されることが好ましい。
【0016】
また、前記熱交換器の冷却装置において、外気温度を測定する外気温度測定手段を備え、前記外気温度測定手段によって測定される外気温度に基づいて、前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることが好ましい。
【0017】
また、前記熱交換器の冷却装置において、タイマを備え、予め設定した設定時間に前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることが好ましい。
【0018】
また、前記熱交換器の冷却装置において、前記熱交換器の稼動に連動して前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることが好ましい。
【0019】
また、前記熱交換器の冷却装置において、前記純水に殺藻剤を添加する殺藻剤添加手段を備えることが好ましい。
【0020】
また、本発明は、イオン交換樹脂により純水を生成し、前記純水を熱交換器の放熱部に噴霧する熱交換器の冷却方法である。
【0021】
また、前記熱交換器の冷却方法において、前記イオン交換樹脂が、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂を含むことが好ましい。
【0022】
また、前記熱交換器の冷却方法において、前記純水の導電率を測定し、測定した純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂の交換時期を検知することが好ましい。
【0023】
また、前記熱交換器の冷却方法において、複数のイオン交換樹脂を用い、前記複数のイオン交換樹脂のうちの少なくとも1つにより生成される純水の導電率を測定し、測定した純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂からの噴霧の流路を切替えて前記純水を噴霧することが好ましい。
【0024】
また、前記熱交換器の冷却方法において、前記純水の生成に供給する原水の供給圧により噴霧することが好ましい。
【0025】
また、前記熱交換器の冷却方法において、外気温度を測定し、測定した外気温度に基づいて、前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することが好ましい。
【0026】
また、前記熱交換器の冷却方法において、予め設定した設定時間に前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することが好ましい。
【0027】
また、前記熱交換器の冷却方法において、前記熱交換器の稼動に連動して前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することが好ましい。
【0028】
また、前記熱交換器の冷却方法において、前記純水に殺藻剤を添加することが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、イオン交換樹脂により純水を生成し、その純水を熱交換器の放熱部に噴霧することにより、簡易な構成で生成させた純水を噴霧して、スケールの発生を抑制し、熱交換器の消費電力を低減することができる熱交換器の冷却装置および熱交換器の冷却方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る熱交換器の冷却装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施の形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0032】
本発明の実施形態に係る熱交換器の冷却装置の一例の概略構成を図1に示し、その構成について説明する。熱交換器冷却装置1は、純水生成手段としての、イオン交換樹脂が充填されたイオン交換樹脂カートリッジ10と、噴霧手段としてのスプレノズル12とを備える。図1の例では、イオン交換樹脂カートリッジ10として、イオン交換樹脂カートリッジ10aおよびイオン交換樹脂カートリッジ10bの2つのイオン交換樹脂カートリッジを備える。
【0033】
図1の熱交換器冷却装置1において、原水供給源からの配管26が分岐してイオン交換樹脂カートリッジ10aおよびイオン交換樹脂カートリッジ10bのそれぞれの入口に接続され、イオン交換樹脂カートリッジ10aの出口にバルブ16aを介して、イオン交換樹脂カートリッジ10bの出口にバルブ16bを介して配管28がそれぞれ接続され、それらの配管が合流してスプレノズル12に接続されている。配管28には導電率測定手段として導電率計14と、殺藻剤添加手段として殺藻剤添加装置24とが設置されてもよい。また、熱交換器冷却装置1は、タイマ20と、外気温度測定手段として温度計22とを備えてもよい。熱交換器冷却装置1は、制御部18を備えてもよく、制御部18は、導電率計14、バルブ16a,16b、タイマ20、温度計22と電気的接続手段等によりそれぞれ接続されている。また、制御部18は、冷却対象である熱交換器30と電気的接続手段等により接続されてもよい。
【0034】
本実施形態に係る熱交換器の冷却方法および熱交換器冷却装置1の動作について説明する。
【0035】
バルブ16aが開状態、バルブ16bが閉状態とされ、原水供給源からの原水が、配管26を通ってイオン交換樹脂カートリッジ10aに供給される。原水は、イオン交換樹脂カートリッジ10aのイオン交換樹脂によりイオン交換処理されて純水とされ(純水生成工程)、生成した純水が、配管28を通ってスプレノズル12から、冷却対象である熱交換器30の放熱部に噴霧され(噴霧工程)、熱交換器30が冷却される。
【0036】
純水の噴霧方法としては、(1)純水を極微細な粒径で噴霧し、大気中で蒸発させた後に熱交換器の放熱部に吸引させる方法(間接噴霧)、(2)純水を熱交換器の放熱部に直接噴霧し、放熱部上で蒸発させる方法(直接噴霧)等があるが、後者の方が多量の純水の噴霧が可能であり、気化熱の効果を得易く、結果として熱交換器の冷却効率を上げることができる。
【0037】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法では、イオン交換樹脂を用いて純水を生成し、それを熱交換器の放熱部に噴霧する。イオン交換樹脂による純水の生成は、逆浸透膜法と比べて例えば以下の点で優れている。
(1)イオン交換樹脂を収納する容器(カートリッジ)は、一般的に通水時の圧力損失が逆浸透膜の運転圧力よりも低く、水の増圧のためのポンプを使用しなくてもよい。原水の供給圧で純水を噴霧することができるため、装置が簡便に構築できるだけでなく、新たな電源工事を行わなくてもよい。
(2)水の有効利用率がほぼ100%であり、無駄な水をほとんど発生させない。
(3)流路の閉塞が起きにくい。
(4)設備費用が逆浸透膜に比べて低減することができる(例えば1/5以下)。
【0038】
したがって、本実施形態に係る熱交換器の冷却装置により、簡易な構成で生成させた純水を噴霧して、スケールの発生を抑制し、熱交換器の消費電力を低減することができる。
【0039】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法において用いられるイオン交換樹脂としては、水中のCa、Mg、シリカ等のイオン成分の量を低減することができるものであればよく、特に制限はない。イオン交換樹脂としては、H型カチオン交換樹脂、OH型アニオン交換樹脂、Na型カチオン交換樹脂等が挙げられ、イオン交換によってNaイオン等ができるだけ生じないようにするために、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂を含むもの、例えばH型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂の混床、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂の複層であることが好ましく、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂の混床であることがより好ましい。また、非再生型のイオン交換樹脂カートリッジを用い、イオン成分の除去能力が低下した場合に、イオン交換樹脂を例えばカートリッジごと交換してもよい。
【0040】
イオン交換樹脂カートリッジに充填するイオン交換樹脂の充填量は、圧力損失、水質、運搬の容易性等の点から5〜200Lの範囲であることが好ましい。イオン交換樹脂の充填量が5L未満の場合は圧力損失が高くなり、水質も悪化し易く、200Lを超えるとカートリッジの運搬が困難となる場合がある。
【0041】
本実施形態において、イオン交換樹脂により生成される純水の導電率は、0.055μS/cm〜100μS/cmの範囲であり、0.055μS/cm〜10μS/cmの範囲であることが好ましい。純水の導電率が100μS/cmを超えると、冷却対象の熱交換器においてスケールが発生しやすくなる。
【0042】
本実施形態において用いる原水は、例えば、水道水、工業用水、井水等である。水道水を用いることにより、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂に通水するだけで純水を生成できるため、前処理等の設備費用を軽減することができる。
【0043】
本実施形態における冷却対象は、熱交換器であるが、熱交換器としては、空調機(エアコン)の室外機、空冷チラー室外機、ヒートポンプ室外機等が挙げられる。冷却対象が空調機(エアコン)の室外機である場合には、純水の噴霧は、噴霧手段を室外機の冷却フィン等に向けて純水を直接噴霧し、冷却フィン等において蒸発させる方法を取ることができる。また、噴霧手段を室外機の冷却フィン等には向けず、例えば、室外機の外気取入口上方から下方に向けて純水を噴霧し、室外機の外気取入口からの外気吸引とともに純水を冷却フィン等に取り込んで、冷却フィン等において蒸発させる方法をとることもできる。
【0044】
噴霧手段としては、純水を噴霧することができるものであればよく、特に制限はないが、スプレノズルが好ましい。
【0045】
導電率計14によって測定される純水の導電率に基づいて、イオン交換樹脂の交換時期が検知されてもよい。例えば、導電率計14によって測定される導電率が予め設定された基準値を超えた場合に、イオン交換樹脂の交換時期となったことを判断すればよい。イオン交換樹脂の交換時期となった場合には、イオン交換樹脂の再生処理を行ってもよいし、イオン交換樹脂を例えばカートリッジごと交換してもよい。
【0046】
図1の例では、純水生成手段として、イオン交換樹脂カートリッジ10aおよびイオン交換樹脂カートリッジ10bの2つのイオン交換樹脂カートリッジを備えるが、イオン交換樹脂カートリッジを1つ以上備えればよく、その数に特に制限はない。純水生成手段としてイオン交換樹脂カートリッジを複数備え、導電率計14によって測定される複数のイオン交換樹脂カートリッジのうちの少なくとも1つにより生成される純水の導電率に基づいて、制御部18により、イオン交換樹脂カートリッジ10からスプレノズル12への流路が自動的に切替えられて純水が噴霧されてもよい。例えば、バルブ16aが開状態、バルブ16bが閉状態とされ、イオン交換樹脂カートリッジ10aから純水がスプレノズル12へ供給されて噴霧され、導電率計14によって測定された導電率が予め設定された基準値を超えた場合に、制御部18により、自動的にバルブ16aが閉状態、バルブ16bが開状態とされ、イオン交換樹脂カートリッジ10bから純水がスプレノズル12へ供給されるようにすればよい。これにより、継続的に純水をスプレノズル12へ供給し続けることができる。
【0047】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法において、外温度計22により測定された外気温度に基づいて、純水を熱交換器30の放熱部に噴霧してもよい。例えば、外温度計22により測定された外気温度が予め設定された設定温度以上の場合に、制御部18により、自動的にバルブ16a,16bの開閉状態が制御されればよい。これにより、外気温が比較的低い場合、すなわち、熱交換器30の冷却が不要の場合には純水の噴霧を停止し、効率的に熱交換器冷却装置1を運転することができ、水の使用量を低減することができる。また、藻の発生等を抑制することができる。
【0048】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法において、タイマ20により予め設定した時間に純水を熱交換器30の放熱部に噴霧してもよい。例えば、タイマ20により発せられる制御信号等に基づき、制御部18により、自動的にバルブ16a,16bの開閉状態が制御されればよい。これにより、夜間等の熱交換器30の冷却が不要の場合には純水の噴霧を停止し、効率的に熱交換器冷却装置1を運転することができ、水の使用量を低減することができる。また、藻の発生等を抑制することができる。
【0049】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法において、熱交換器30の稼動に連動して純水を熱交換器30の放熱部に噴霧してもよい。例えば、熱交換器30により発せられる稼働信号等に基づき、制御部18により、自動的にバルブ16a,16bの開閉状態が制御されればよい。これにより、熱交換器30が稼働していない場合には純水の噴霧を停止し、効率的に熱交換器冷却装置1を運転することができ、水の使用量を低減することができる。また、藻の発生等を抑制することができる。
【0050】
本実施形態に係る熱交換器の冷却装置および冷却方法において、純水に殺藻剤が添加されてもよい。殺藻剤の添加位置、添加方法には特に制限はない。例えば、殺藻剤貯槽、ポンプ等の殺藻剤添加装置24により、配管28において純水に殺藻剤が添加されればよい。藻類の発生は熱交換器の熱交換効率を著しく低下させるため、所定の時期(例えば、定期的)に純水に殺藻剤を添加することにより、熱交換器30の放熱部等に藻類が発生することが抑制され、熱交換器の熱交換効率の低下を抑制することができる。
【実施例】
【0051】
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
【0052】
<実施例1>
家庭用空調機を使用して、純水の噴霧実験を行った。
(実験条件)
機器冷房能力 2.8kW
外気温 30〜31.5℃
室内設定温度 26℃
使用原水 水道水
使用イオン交換樹脂 H型カチオン交換樹脂(オルガノ製)およびOH型アニオン交換樹脂(オルガノ製)の混床
イオン交換樹脂の充填量 10L
噴霧手段 スプレノズル
純水噴霧量 150cc/min
室内が一定温度に保たれ、空調機の運転が安定した後、空調機の室外機への純水の噴霧ありの条件で2時間運転した場合の空調機の消費電力を測定した。噴霧は、純水が室外機の放熱フィン全体にできるだけ均一にかかるように行った。結果を表1に示す。
【0053】
<比較例1>
空調機の室外機への純水の噴霧なしの条件とした以外は実施例1と同様にして、空調機の消費電力を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
【表1】

【0055】
室外機にイオン交換樹脂により生成した純水を噴霧することにより、約3割の消費電力の削減効果が確認できた。また、実施例1では、200時間運転したが、室外機の放熱フィンへのスケールの発生は確認されなかった。
【符号の説明】
【0056】
1 熱交換器冷却装置、10,10a,10b イオン交換樹脂カートリッジ、12 スプレノズル、14 導電率計、16a,16b バルブ、18 制御部、20 タイマ、22 温度計、24 殺藻剤添加装置、26,28 配管、30 熱交換器。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン交換樹脂により純水を生成する純水生成手段と、前記純水を熱交換器の放熱部に噴霧する噴霧手段とを備えることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項2】
請求項1に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記イオン交換樹脂が、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記純水の導電率を測定する導電率測定手段を備え、前記導電率測定手段によって測定される純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂の交換時期が検知されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項4】
請求項3に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記純水生成手段を複数備え、前記導電率測定手段によって測定される前記複数の純水生成手段のうちの少なくとも1つにより生成される純水の導電率に基づいて、前記純水生成手段から前記噴霧手段への流路が自動的に切替えられて前記純水が噴霧されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記噴霧手段において、前記純水生成手段に供給する原水の供給圧により噴霧されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却装置であって、
外気温度を測定する外気温度測定手段を備え、前記外気温度測定手段によって測定される外気温度に基づいて、前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却装置であって、
タイマを備え、予め設定した設定時間に前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記熱交換器の稼動に連動して前記純水が前記熱交換器の放熱部に噴霧されることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却装置であって、
前記純水に殺藻剤を添加する殺藻剤添加手段を備えることを特徴とする熱交換器の冷却装置。
【請求項10】
イオン交換樹脂により純水を生成し、前記純水を熱交換器の放熱部に噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項11】
請求項10に記載の熱交換器の冷却方法であって、
前記イオン交換樹脂が、H型カチオン交換樹脂およびOH型アニオン交換樹脂を含むことを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項12】
請求項10または11に記載の熱交換器の冷却方法であって、
前記純水の導電率を測定し、測定した純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂の交換時期を検知することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項13】
請求項10〜12のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
複数のイオン交換樹脂を用い、前記複数のイオン交換樹脂のうちの少なくとも1つにより生成される純水の導電率を測定し、測定した純水の導電率に基づいて、前記イオン交換樹脂からの噴霧の流路を切替えて前記純水を噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
前記純水の生成に供給する原水の供給圧により噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項15】
請求項10〜14のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
外気温度を測定し、測定した外気温度に基づいて、前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
予め設定した設定時間に前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
前記熱交換器の稼動に連動して前記純水を前記熱交換器の放熱部に噴霧することを特徴とする熱交換器の冷却方法。
【請求項18】
請求項10〜17のいずれか1項に記載の熱交換器の冷却方法であって、
前記純水に殺藻剤を添加することを特徴とする熱交換器の冷却方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−29289(P2013−29289A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167249(P2011−167249)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000004400)オルガノ株式会社 (606)
【Fターム(参考)】