説明

熱交換器及びそれを用いた床冷暖房装置

【課題】ヘッダ部と熱源部とを一体化させる封着作業を省くことができ生産性に優れ、長尺の連続した温水管等を熱源部として用いることができるので、溶接や継手等で熱源部をいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくでき、またヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合は、熱交換器の全体を交換することなく熱源部だけを交換することができ、交換に係る工数を著しく少なくできメンテナンス性に優れる熱交換器を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ヘッダ部2と、ヘッダ部2に端部で連通するヒートパイプ部5と、を備えた熱交換器1であって、ヘッダ部2の側面に熱源部が保持される熱源部保持部6が配設又は形成された構成を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートパイプを用いて熱を伝達する熱交換器及びそれを用いた床冷暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヒートパイプを用いた熱交換器として、ヒートパイプの端部に熱源部を有するヘッダ部を設けた熱交換器が開発されている。
このような熱交換器を有するものとして、例えば(特許文献1)に「パネル体にヒートパイプを沿設するとともにヒートパイプの両側にそれぞれ熱源部を有するヘッダ部を設けたヒートパネル」が開示されている。
(特許文献2)には、「コンクリート製のパネル本体に複数の並列状に配置された放熱凝集部と、これらに連通接続され内部に熱媒体流通管が貫通された蒸発部ヘッダと、を備えた融雪用コンクリートパネル」が開示されている。
【特許文献1】特公昭59−43712号公報
【特許文献2】特開昭60−233204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示のヒートパネルは、ヒートパイプと連通するヘッダ部に、温水管,電気ヒータ等の熱源部を貫設して一体化して製造されていた。また(特許文献2)に開示のコンクリートパネルは、放熱凝集部に連通接続された蒸発部ヘッダ(ヘッダ部)に、熱媒体流通管(熱源部)を貫通して一体化して製造されていた。ヘッダ部と連通したヒートパイプは内部を減圧し冷媒等の作動液を封入するため完全に密封する必要があるが、(特許文献1)及び(特許文献2)に記載の技術では、ヘッダ部に熱源部が貫設されて一体化されているため、ヘッダ部とヒートパイプとを完全に密封するだけでなく、ヘッダ部と熱源部とを完全に密封する必要がある。このため製造する際には、ヘッダ部とヒートパイプとの封着に加え、ヘッダ部と熱源部との封着も行わねばならず工数を要し生産性を高めることが困難であるという課題を有していた。
(2)熱源部がパネルごとに分断されているので、パネルを床に敷き詰めて床暖房装置として用いる場合、温水管を熱源部として用いると、パネルごとに分断された温水管を溶接や継手等で接続する必要があり施工性に欠けるという課題を有していた。また、温水管が溶接や継手等で接続されるため、温水の流れが温水管の継ぎ目で乱れ抵抗が増大し圧力損失が増大するという課題を有していた。
(3)ヘッダ部及びヒートパイプと熱源部とが一体化されてパネル化されているので、温水管等の熱源部が錆やスケールで詰まったりした場合や電気ヒータ等の熱源部が断線した場合は、熱源部だけを交換することができないため、ヘッダ部とヒートパイプも一緒にパネルごと交換しなければならず、メンテナンス性に欠け多大な交換工数を要するという課題を有していた。
【0004】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化させておく必要がなく、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性に優れ、長尺の連続した温水管等を熱源部として用いることができるので、溶接や継手等で熱源部をいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくでき、またヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、交換に係る工数を著しく少なくできメンテナンス性に優れる熱交換器を提供することを目的とする。
また、本発明は、熱交換器を床に敷き詰めた後、溶接や継手等でいちいち熱源部を接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくできるので温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくでき、また熱源部に異常があった場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、交換に係る工数を著しく少なくできメンテナンス性に優れる床冷暖房装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために本発明の熱交換器及びそれを用いた床冷暖房装置は、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の熱交換器は、ヘッダ部と、前記ヘッダ部に端部で連通するヒートパイプ部と、を備えた熱交換器であって、前記ヘッダ部の側面に熱源部が保持される熱源部保持部が配設又は形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ部の側面に熱源部保持部が配設固定又は接着や一体に形成されているので、熱源部保持部に熱源部を保持することで熱源部の外表面と熱源部保持部とが着接し、熱源部の熱がヘッダ部に伝達される。これにより、封入された作動液をヘッダ部から蒸発させ、ヒートパイプ部に移動させて放熱させることができる。このため、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化する必要がなく、熱交換器の製造の際はヘッダ部とヒートパイプ部との封着だけを行えば良く、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
(2)温水や冷水等の流体が流れる長尺の連続した配管を熱源部として用いることができるので、熱交換器を床に敷き詰めて床冷暖房装置として用いる場合、熱交換器を床に敷き詰めた後、長尺の配管を熱源部保持部に順次保持させていくだけで床冷暖房装置を製造することができ、溶接や継手等でいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(3)施工が簡単なので、熱交換器の設置作業時間が従来の1/3以下に短縮でき作業性に優れる。
(4)ヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、熱交換器を施工した後、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や電気ヒータからなる熱源部が断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工数を著しく少なくできる。
【0006】
ここで、熱交換器は、ヒートパイプ部の片側にヘッダ部を配設したもの、ヘッダ部を中心に左右等に対称状にヒートパイプ部を配設したもの、ヒートパイプ部の両側にヘッダ部を配設したもの等を用途に応じて用いることができる。
【0007】
ヘッダ部やヒートパイプ部の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製や、ポリブテン製,架橋ポリエチレン製等の合成樹脂製等が用いられる。
ヘッダ部及びヒートパイプ部には、フロンHCHC−141bや142bのフロン系溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、ベンゼン、メチルエチルケトン、アンモニア、エーテル、水等の揮発性を有する作動液が封入される。作動液の種類は、熱交換器を動作させる温度に応じて適宜選択することができる。
【0008】
ヘッダ部やヒートパイプ部の内壁の全部又は一部に所定の厚さや深さを有するウィックを設けることができる。ウィックとしては、焼結金属,金網,金属繊維,ガラス繊維,多数の細い溝等が用いられる。ウィックを設けることで、ヘッダ部がヒートパイプ部より高い位置になるように配置された場合でも、凝結した作動液を毛細管現象を利用してヘッダ部まで戻して蒸発させることができるので、バーンアウトが発生するのを防止できる。
【0009】
熱源部保持部に保持される熱源部としては、温水,冷水,油等の液体や蒸気等の流体が内部を流れるパイプやチューブ等の管状部材、電気ヒータ等が用いられる。
熱源部の管状部材の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製,マグネシウム製,チタン製等の金属製や、ポリブテン製,架橋ポリエチレン製等の合成樹脂製等が用いられる。
【0010】
熱源部保持部としては、熱源部が嵌着可能な形状に形成され、ヘッダ部の長手方向の全長に亘って又は一部に配設されたものが用いられる。例えば、断面が略コ字状や略C字状、略U字状等に形成され、内壁間の間隔が熱源部の外径と略同一のものが用いられる。また、熱源部を挿入した後、熱源部を締め付けるように内壁間の間隔を狭めて熱源部を挟持するものも用いられる。
熱源部保持部の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製等の弾性域が広く熱伝導度が高い金属製が好適に用いられる。
熱源部保持部は、溶接,溶着,接着等によってヘッダ部の外表面に密着させて配設される。なお、ヘッダ部と一体に押出成形で製作してもよい。熱源部保持部とヘッダ部は、溶接金属等を介してできるだけ広い接触面で接触するように密着させる。伝熱面積を大きくするためである。
【0011】
本発明の請求項2に記載の熱交換器は、ヘッダ部と、前記ヘッダ部に端部で連通するヒートパイプ部と、を備えた熱交換器であって、熱源部が保持される熱源部保持部材が配設される保持部材配設部が、前記ヘッダ部の側面に形成された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ部の側面に保持部材配設部が形成されているので、熱源部を保持した熱源部保持部材を保持部材配設部に配設することで、熱源部の外表面と着接した熱源部保持部材と保持部材配設部が接触し、熱源部の熱がヘッダ部に伝達される。これにより、封入された作動液をヘッダ部から蒸発させ、ヒートパイプ部に移動させて放熱させることができる。このため、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化する必要がなく、熱交換器の製造の際はヘッダ部とヒートパイプ部との封着だけを行えば良く、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
(2)温水や冷水等の流体が流れる長尺の連続した配管を熱源部として用いることができるので、熱交換器を床に敷き詰めて床冷暖房装置として用いる場合、熱交換器を床に敷き詰めた後、長尺の配管を熱源部保持部材に順次保持させ、保持部材配設部に配設していくだけで床冷暖房装置を製造することができ、継手等でいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(3)ヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、熱交換器を施工した後、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や電気ヒータからなる熱源部が断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工事費を著しく少なくできる。
【0012】
ここで、ヘッダ部やヒートパイプ部の材質、作動液、熱源部としては、請求項1で説明したものと同様なので説明を省略する。
【0013】
熱源部保持部材としては、熱源部が嵌着可能なように断面が略コ字状や略C字状、略U字状等に形成され、内壁間の間隔が熱源部の外径と略同一の嵌着部を備えたものが用いられる。また、クリップ等のように、熱源部を挿入した後、熱源部を締め付けるように内壁間の間隔を狭めて熱源部を挟持する挟持部を備えたものも用いられる。
熱源部保持部材の材質としては、銅製,ステンレス製,アルミニウム製等の弾性域が広く熱伝導度が高い金属製が好適に用いられる。
熱源部保持部材は、溶接,溶着,接着等によってヘッダ部の外表面の保持部材配設部に密着させて配設される。また、保持部材配設部をクリップ等のように挟持したり嵌着したりして配設させることもできる。
【0014】
保持部材配設部としては、ヘッダ部の長手方向の全長に亘って又は一部に形成され、熱源部保持部材が溶接,溶着,接着,嵌着,挟着等によって線乃至は面接触して配設可能なように平滑化等されたものが用いられ、ヘッダ部の任意の箇所に形成することができる。また、平滑化等の処理を施さなくても、熱源部保持部材が嵌着,挟着等できるのであれば、ヘッダ部そのものの任意の箇所を適宜選択して保持部材配設部として用いることができる。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の熱交換器であって、前記ヒートパイプ部の他端部が連通する他のヘッダ部と、前記他のヘッダ部の側面に配設された熱源部保持部、又は、前記他のヘッダ部の側面に形成された保持部材配設部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヒートパイプ部の他端部が連通する他のヘッダ部を備えているので、熱交換器が傾いて設置された場合でも、少なくとも一つのヘッダ部に熱の授受を行うことで、封入された作動液を蒸発若しくは凝縮させることができ、ヒートパイプ部とヘッダ部の間で作動液の蒸発及び凝縮を繰り返し行わせることができる。ヒートパイプ部の片側にしかヘッダ部がない場合は、設置面が傾斜してヘッダ部がヒートパイプ部より高い位置に設置された場合、凝縮した作動液がヘッダ部に戻らずバーンアウトして作動しなくなるからである。
(2)ヒートパイプ部の両端にヘッダ部が配設されているので堅牢で耐久性に優れ、また構成が簡単なので工場で安定生産することができ、生産性に優れるとともに製品得率を高めることができる。
【0016】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の内いずれか1に記載の熱交換器であって、前記熱源部が、内部を液体又は蒸気が流れる合成樹脂製の管状部材である構成を有している。
この構成により、請求項1乃至3の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)内部を液体又は蒸気が流れる合成樹脂製の管状部材が熱源部なので、錆やスケールが生じ難く詰まり難いため耐久性に優れるとともに、内面が滑らかなので抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(2)柔軟なので屈曲させたり蛇行させたりすることが容易にでき、熱交換器を床に敷き詰めて床冷暖房装置として施工する場合の自由度が高く施工性に優れる。
【0017】
ここで、合成樹脂製の管状部材の材質としては、ポリブテン製,架橋ポリエチレン製等が用いられる。
【0018】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の内いずれか1に記載の熱交換器であって、前記ヘッダ部及び前記ヒートパイプ部が、矩形状又は方形状の横断面を有した構成を有している。
この構成により、請求項1乃至4の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ部及びヒートパイプ部が矩形状又は方形状の横断面を有しているので、ヘッダ部とヒートパイプ部の所定面をフラット状にすることができる。このため、所定面にアルミニウム製等の放熱板を接触させて面状放熱体等として用いる場合、ヘッダ部及びヒートパイプ部と放熱板とを面接触させて接触面積を広くすることができ熱交換効率を高めることができる。一方、横断面が円形状のヒートパイプ部やヘッダ部を用いた場合は放熱板とは線接触するだけなので、接触面積を大きくできず熱交換効率が上がらないという問題があった。
(2)所定面を上側に向けて床に配設し床冷暖房装置として用いた場合、熱交換器の上面にフローリング等の床材を敷設するが、床材とヘッダ部及びヒートパイプ部を面接触させることができるため、床材の上にピアノ等の重量物を設置しても床材にひび割れ等が生じ難い。一方、横断面が円形状のヒートパイプ部やヘッダ部を用いた場合は床材と線接触するため、床材とヒートパイプ部やヘッダ部との間に隙間が生じ、ここにピアノ等の重量物の脚が乗ると床材にひび割れ等が生じてしまうという問題があった。
【0019】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の熱交換器であって、前記ヘッダ部の壁部に形成された挿通孔と、前記ヒートパイプ部の端部に延設され前記挿通孔に挿通される延設部と、前記延設部の先端に形成され前記ヘッダ部の前記壁部の対向壁に当接される対向壁当接部と、を備えた構成を有している。
この構成により、請求項5で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ部の壁部に形成された挿通孔にヒートパイプ部の延設部を挿通し、ヒートパイプ部の対向壁当接部をヘッダ部の壁部に当接させることで、ヘッダ部にヒートパイプ部を容易に位置決めでき、次いで挿通孔の周囲とヒートパイプ部とを溶接等することによって気密に連通させることができ作業性に優れる。
【0020】
ここで、延設部としては、ヒートパイプ部の端部の1辺、又は該1辺及びそれと対向する1辺に延設される。延設部の長さは、ヘッダ部の壁部から対向壁の内面までの長さと略同一に形成されたものが用いられる。これにより、挿通孔に延設部を挿通した後、ヒートパイプ部の対向壁当接部をヘッダ部の壁部に当接させることでヘッダ部へのヒートパイプ部の位置決めを容易に行うことができ、挿通孔の周囲とヒートパイプ部の端部とを溶接することによって、ヘッダ部とヒートパイプ部とを気密に接続させることができる。
延設部が延設されていない辺は、挿通孔に延設部を挿通したとき、挿通孔にほぼ隙間なく嵌挿されるが、挿通孔の内側には突出しないか、わずかに突出するような状態に形成される。これにより、挿通孔の周囲とヒートパイプ部とを溶接等することによって気密にでき、さらにヘッダ部とヒートパイプ部に封入された作動液が、挿通孔内に大きく突出したヒートパイプ部の端部で滞留して熱交換効率が低下するのを防止できる。
【0021】
本発明の請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の内いずれか1に記載の熱交換器であって、前記ヘッダ部及び/又は前記ヒートパイプ部の外表面に遠赤外線放射層が形成された構成を有している。
この構成により、請求項1乃至6の内いずれか1で得られる作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)熱源部でヘッダ部を加熱することによってヘッダ部やヒートパイプ部から遠赤外線を放射させることができ、塗装乾燥、食品加工、暖房等に有効である。
【0022】
ここで、遠赤外線放射層としては、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックスを含有した塗膜、溶射膜等が用いられる。
【0023】
本発明の請求項8に記載の床冷暖房装置は、請求項1乃至7の内いずれか1に記載の熱交換器が床面に配設された構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)温水や冷水等の流体が流れる長尺の連続した配管を熱源部として用いることができるので、熱交換器を床に敷き詰めた後、長尺の配管を熱源部保持部に順次保持させていくか、熱源部保持部材に順次保持させ保持部材配設部に配設していくだけで床冷暖房装置を製造することができ、溶接や継手等でいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(2)ヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、熱交換器を施工した後、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工数を著しく少なくできる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明の熱交換器及びそれを用いた床冷暖房装置によれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1に記載の発明によれば、
(1)熱源部保持部に熱源部を保持することで熱源部の外表面と熱源部保持部とが着接し、熱源部の熱がヘッダ部に伝達されるため、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化させておく必要がなく、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性に優れた熱交換器を提供することができる。
(2)温水や冷水等の流体が流れる長尺の連続した配管を熱源部として用いることができるので、溶接や継手等で熱源部をいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる熱交換器を提供することができる。
(3)ヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工数を著しく少なくできる熱交換器を提供することができる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、
(1)熱源部を保持した熱源部保持部材を保持部材配設部に配設することで、熱源部の外表面と着接した熱源部保持部材と保持部材配設部が接触し、熱源部の熱がヘッダ部に伝達されるため、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化させておく必要がなく、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
(2)温水や冷水等の流体が流れる長尺の連続した配管を熱源部として用いることができるので、溶接や継手等で熱源部をいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(3)ヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工事費を著しく少なくできる熱交換器を提供することができる。
【0026】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2の効果に加え、
(1)熱交換器が傾いて設置された場合でも、少なくとも一つのヘッダ部に熱の授受を行うことで、封入された作動液を蒸発若しくは凝縮させることができ、ヒートパイプ部とヘッダ部の間で作動液の蒸発及び凝縮を繰り返し行わせることができ、設置状態によらず安定性に優れた熱交換器を提供することができる。
(2)ヒートパイプ部の両端にヘッダ部が配設されているので堅牢で耐久性に優れ、また構成が簡単なので工場で安定生産することができ、生産性に優れるとともに製品得率の高い熱交換器を提供することができる。
【0027】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の内いずれか1の効果に加え、
(1)合成樹脂製の管状部材には錆やスケールが生じ難く詰まり難いため耐久性に優れるとともに、内面が滑らかなので抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる熱交換器を提供することができる。
(2)柔軟なので屈曲させたり蛇行させたりすることが容易にでき、熱交換器を床に敷き詰めて床冷暖房装置として施工する場合の自由度が高く施工性に優れた熱交換器を提供することができる。
【0028】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の内いずれか1の効果に加え、
(1)ヘッダ部とヒートパイプ部の所定面をフラット状にすることができ、所定面にアルミニウム製等の放熱板を接触させて面状放熱体等として用いる場合、ヘッダ部及びヒートパイプ部と放熱板とを面接触させて接触面積を広くすることができ熱交換効率の高い熱交換器を提供することができる。
(2)所定面を上側に向けて床材の下部に配設し床冷暖房装置として用いた場合、床材とヘッダ部及びヒートパイプ部を面接触させることができるため、床材の上にピアノ等の重量物を設置しても床材にひび割れ等が生じ難く施工性に優れた熱交換器を提供することができる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の効果に加え、
(1)ヘッダ部の壁部に形成された挿通孔にヒートパイプ部の延設部を挿通し、ヒートパイプ部の対向壁当接部をヘッダ部の壁部に当接させることで、ヘッダ部にヒートパイプ部を位置決めして確実に連通させることができ作業性に優れるとともに、生産性に優れた熱交換器を提供することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の内いずれか1の効果に加え、
(1)熱源部でヘッダ部を加熱することによってヘッダ部やヒートパイプ部から遠赤外線を放射させることができ、塗装乾燥、食品加工、暖房等に有効な熱交換器を提供することができる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、
(1)熱交換器を床に敷き詰めた後、長尺の配管を熱源部保持部に順次保持させていくか、熱源部保持部材に順次保持させ保持部材配設部に配設していくだけで床冷暖房装置を製造することができ、溶接や継手等でいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる床冷暖房装置を提供することができる。
(2)経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工数を著しく少なくできる床冷暖房装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における熱交換器の斜視図であり、図2はヘッダ部の要部横断面図であり、図3はヘッダ部とヒートパイプ部とを接続する状態を示す斜視図であり、図4はヒートパイプ部と接続されたヘッダ部の要部断面図である。
図中、1は後述するヘッダ部2とヒートパイプ部5に作動液が封入された本発明の実施の形態1における熱交換器、2,2は銅,アルミニウム製等の金属製等で横断面が略方形状に形成され所定間隔をあけて略平行状に配設された2本の長尺のヘッダ部、3は2本のヘッダ部2,2の内側の壁部、4はヘッダ部2の壁部3と対向する対向壁、5は銅,アルミニウム製等の金属製等で横断面がヘッダ部2と略同じ太さの略方形状に形成され両端がヘッダ部2,2と連通し壁部3,3に溶接等で固着されたヒートパイプ部、6,6は基部がヘッダ部2,2の対向壁4,4の外表面にヘッダ部2,2の長手方向に亘って基部が溶接等で固着された銅,アルミニウム製等の金属製等の板材で略コ字状に形成され後述する熱源部8が嵌着され保持される熱源部保持部、7は熱源部保持部6の先端に突条等に形成され後述する熱源部8に食い込んだ若しくは接触して熱源部8を係止する爪部、8は熱源部保持部6に嵌着され爪部7で係止されて保持されたポリブテン製等の合成樹脂製の管状部材からなる熱源部である。
図3、図4において、10,10は壁部3、対向壁4と直交した他の壁部、11は内周の対向する2辺が壁部10,10に沿って他の2辺がヒートパイプ部5の先端の幅と略同一乃至はやや大きめの略方形状に壁部3に穿設された挿通孔、12,12はヒートパイプ部5の端部の対向する2辺の各々に延設され挿通孔11と略同一の高さに絞られ挿通孔11に挿通される略矩形状等の平面形状を有する延設部、13,13は延設部12,12の先端に形成されヘッダ部2の対向壁4の内面に当接される対向壁当接部である。延設部12,12の長さはヘッダ部2の壁部3から対向壁4の内面までの長さと略同一に形成されている。14はヘッダ部2に形成された挿通孔11の周囲とヒートパイプ部5とが溶接等で気密に固着された固着部である。
なお、挿通孔11に挿通された延設部13,13は、ヘッダ部2の壁部10,10の内面と密接されるようにヒートパイプ部5の端部に延設されるのが望ましい。延設部13とヘッダ部2の壁部10の内面との間に隙間が形成されると、ヘッダ部2に挿入された延設部13の影響で封入された作動液の滞留が発生し易くなり熱伝達効率が低下するからである。
【0033】
実施の形態1における熱交換器は以上のように構成されているので、延設部12,12を挿通孔11に挿通し、ヘッダ部2の対向壁4の内面に対向壁当接部13,13を当接させて位置決めをした後、溶接等の固着部14で気密に接続することで、ヒートパイプ部5とヘッダ部2とを連通され接続することができる。
【0034】
次に、実施の形態1における熱交換器を用いた床冷暖房装置について、図面を参照しながら説明する。
図5は実施の形態1における熱交換器が床面に配設された床冷暖房装置の要部平面図であり、図6は床冷暖房装置を配設した床面の要部断面図である。
図5において、20は複数の熱交換器1の熱源部保持部6に、合成樹脂製の管状部材からなる一連の熱源部8が保持されてループ状に連ねられた床冷暖房装置である。
図6において、21は図示しない大引受に架設・接合された大引、22は大引21に載置・接合された根太、23は根太22に載置された板状体、24は板状体23の上面に敷設され上面にアルミニウム製等の金属箔が面状に固着された熱を上面に反射し下面への熱伝達を遮熱する遮熱シート等の遮熱材、25は木製,合成樹脂製,コンクリート製等で熱交換器1のヘッダ部2、ヒートパイプ部5の厚さに相当する厚さに形成されヒートパイプ部5間、隣接する熱交換器1のヘッダ部2間、熱源部8が配設された隙間に配置されたスペーサ、26は熱交換器1のヘッダ部2、ヒートパイプ部5、スペーサ25の上面に敷設されたフローリング,畳等の床材である。
【0035】
以上のように構成された床冷暖房装置について、以下その施工方法を説明する。
図6に示すように、まず根太22に板状体23を載置する。なお、板状体23は新設するのではなく、既設の床材を用いることもできる。次いで、板状体23の上面に遮熱材24を敷設した後、遮熱材24の上面の所定の複数個所に熱交換器1を配置する。次に、熱交換器1のヒートパイプ部5間、隣接する熱交換器1のヘッダ部2間等にスペーサ25を配置し敷き詰める。
次いで、図5に示すように、複数の熱交換器1の熱源部保持部6に、合成樹脂製の管状部材からなる一連の熱源部8を保持させ、遮熱材24の上に配置された全ての熱交換器1を熱源部8でループ状に連ねた後、熱源部8の端部に図示しないボイラ,温水循環ポンプ,温水分配器等の温水循環手段,冷水循環手段等を接続し配管する。
次いで、配管された熱交換器1及びスペーサ25の上面に床材26を敷設する。なお、熱源部保持部6の上面と床材26との間の隙間に断熱材等を詰めて、隙間を埋めることができる。これにより、熱源部保持部6の上面に詰めた断熱材等とヘッダ部2及びとヒートパイプ部5とを面一にすることができ、床材26が凹んだりするのを防止できる。また、床材26の下部に熱伝導性に優れるアルミ製等の伝熱シートを配設することで、ヘッダ部2やヒートパイプ部5とそれらが配設されていない箇所との温度斑が発生するのを防止し、均一に加熱や冷却をすることができる。
【0036】
以上のように、本発明の実施の形態1における熱交換器は構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)ヘッダ部2の対向壁4の外表面に熱源部保持部6が配設されているので、熱源部保持部6に熱源部8を保持させることで熱源部8の外表面と熱源部保持部6とが着接し、熱源部8の熱がヘッダ部2に高効率で伝達される。これにより、封入された作動液をヘッダ部2から蒸発させ、ヒートパイプ部5に移動させて放熱させることができる。このため、ヘッダ部2に熱源部8を貫通させる等のようにヘッダ部2と熱源部8とを工場で予め一体化させておく必要がなく、熱交換器1の製造の際はヘッダ部2とヒートパイプ部5との封着だけを行えば良く、ヘッダ部2と熱源部8との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
(2)長尺の連続したパイプ等の管状部材を熱源部8として用いることができるので、熱交換器1を床に敷き詰めて床冷暖房装置として用いる場合、熱交換器を床に敷き詰めた後、長尺の熱源部8を熱源部保持部6に側方から順次保持させていくだけで床冷暖房装置20を製造することができ、熱源部を溶接や継手等でいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため熱源部8を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(3)ヘッダ部2と熱源部8とが一体化されていないので、熱交換器1を施工した後、万が一、経年変化や故障等によって熱源部8が使用できなくなった場合は、熱交換器1を交換することなく熱源部8だけを交換することができ、メンテナンスを容易にできるとともに交換に係る工数を著しく少なくできる。
(4)熱源部保持部6が爪部7を有しているので、熱源部8の外周面と熱源部保持部6と爪部7とが多くの点乃至は面で接触し、熱源部8から熱源保持部6へ熱を効率良く伝達させることができる。
(5)ヒートパイプ部5の他端部が連通する他のヘッダ部2を備え、ヒートパイプ部5の両端にヘッダ部2,2が連通しているので、熱交換器1が傾いて設置された場合でも、いずれかのヘッダ部2に熱の授受を行うことで封入された作動液を蒸発若しくは凝縮させることができ、熱交換器1がバーンアウトして作動しなくなるのを防止できる。
(6)ヒートパイプ部5の両端にヘッダ部2,2が配設されているので堅牢で耐久性に優れ、また構成が簡単なので工場で安定生産することができ、生産性に優れるとともに製品得率を高めることができる。
(7)内部を液体又は蒸気が流れる合成樹脂製の管状部材からなる熱源部8を用いているので、錆やスケールが生じ難く詰まり難いため耐久性に優れるとともに、内面が滑らかなので抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくできる。
(8)合成樹脂製の管状部材からなる熱源部8は柔軟なので、屈曲させたり蛇行させたりすることが容易にでき、熱交換器1を床に敷き詰めて床冷暖房装置20を施工する場合の自由度が高く施工性に優れる。
(9)ヘッダ部2及びヒートパイプ部5が方形状の横断面を有しているので、機械的強度を高くできるとともにヘッダ部2とヒートパイプ部5をフラット状にすることができる。このため、熱交換器1を床に配設し床冷暖房装置として用いた場合、フローリング等の床材とヘッダ部2及びヒートパイプ部5を面接触させることができるため、ヘッダ部2やヒートパイプ部5の上にピアノ等の重量物の脚がきても床材26にひび割れ等が生じ難い。一方、横断面が円形状のヒートパイプ部やヘッダ部の場合は、床材とヒートパイプ部やヘッダ部との間に隙間(空間)が生じ、ここにピアノ等の重量物の脚が乗ると床材にひび割れ等が生じてしまうという問題があった。
(10)ヘッダ部2の壁部3に形成された挿通孔11にヒートパイプ部5の延設部12を挿通し、ヒートパイプ部5の対向壁当接部13をヘッダ部2の対向壁4に当接させることで、ヘッダ部2にヒートパイプ部5を位置決めして確実に連通させることができ作業性に優れる。
【0037】
(実施の形態2)
図7(a)は本発明の実施の形態2における熱交換器のヘッダ部の正面図であり、(b)は実施の形態2における変形例の熱交換器のヘッダ部の正面図である。なお、実施の形態1で説明したものと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図7(a)において、1aは実施の形態2における熱交換器、6aは基部がヘッダ部2の対向壁4の外表面にヘッダ部2の長手方向に亘って若しくは一部に溶接等で固着された銅,アルミニウム製等の金属製等の板材で上向きの略コ字状に形成され熱源部8が嵌着され保持される熱源部保持部、7aは熱源部保持部6aの先端に突条に形成され熱源部8に接触する爪部である。
図7(b)において、1bは実施の形態2における変形例の熱交換器、6bは基部がヘッダ部2の対向壁4の外表面にヘッダ部2の長手方向に亘って若しくは一部に溶接等で固着された銅,アルミニウム製等の金属製等の板材で上向きの略U字状に形成され熱源部8が嵌着される熱源部保持部、7bは熱源部保持部6bの先端に突条に形成され熱源部8に接触する爪部である。
ここで、ヘッダ部2及びヒートパイプ部5の外表面には、アルミナ,シリカ,ジルコニア,チタニア,マグネシアやこれらの複合酸化物、窒化ケイ素,炭化珪素等のセラミックスを含有した塗膜、溶射膜等の遠赤外線放射層(図示せず)が形成されている。
【0038】
実施の形態2における熱交換器は以上のように構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)熱源部8でヘッダ部2を加熱することによってヘッダ部2やヒートパイプ部5から遠赤外線を放射させることができ、塗装乾燥、食品加工、暖房等に有効である。
(2)熱交換器1a,1bを床冷暖房装置として用いる場合、熱交換機1a,1bを敷設した後、熱源部8を上部から熱源部保持部6a,6bに嵌着させることで施工ができ、施工性に著しく優れる。
【0039】
(実施の形態3)
図8は本発明の実施の形態3における熱交換器の斜視図である。
図中、30は実施の形態3における熱交換器、31は銅,アルミニウム製等の金属製等で横断面の外形が略矩形状に形成されたヘッダ部、32はヘッダ部31の所定面の長手方向に亘って凹状に形成され図示しない熱源部が保持される熱源部保持部、33は熱源部保持部32の上端に突設され図示しない熱源部を係止して熱源部が熱源部保持部から外れるのを防止する爪部、34はヘッダ部31の両側面に対称状に配設された横断面が略矩形状に形成されたヒートパイプ部である。
【0040】
以上のように構成された実施の形態3における熱交換器は、熱源部が保持される熱源部保持部がヘッダ部31に形成されているので、ヘッダ部31、ヒートパイプ部34が傾かないように平坦に設置することで、熱交換器30がバーンアウトして作動しなくなるのを防止でき、実施の形態1で説明したのと同様の作用が得られる。
【0041】
(実施の形態4)
図9(a)は本発明の実施の形態4における熱交換器の要部斜視図であり、図9(b)は実施の形態4における熱交換器の変形例の要部斜視図である。なお、実施の形態1で説明したのと同様のものは、同じ符号を付して説明を省略する。
図9(a)において、40はヘッダ部2とヒートパイプ部5に作動液が封入された実施の形態4における熱交換器、41は図示しない熱源部が保持される熱源部保持部材、42は熱源部が嵌着されて保持される熱源部保持部材41の略U字状に形成された嵌着部、43は嵌着部42の先端に突設され保持した熱源部を係止する爪部、44はヘッダ部2の後述する保持部材配設部46が内嵌され固着される熱源部保持部材41の固着部、45は固着部44の先端に突設され内嵌したヘッダ部2を係止する爪部、46は熱源部保持部材41の固着部44に外嵌され熱源部保持部材41が配設されるヘッダ部2の外表面に形成された保持部材配設部、47は保持部材配設部46を避けてヘッダ部2の外表面及びヒートパイプ部5の外表面に形成された遠赤外線放射層である。なお、爪部45は熱源部保持部材41が金属製の場合は形成しなくてもよい。固着部44を保持部材配設部46に嵌着固定できるからである。
熱交換器40は、保持部材配設部46がヘッダ部2の外表面に形成されているので、熱源部保持部材41に熱源部を保持させるとともに保持部材配設部46に熱源部保持部材41を配設することにより、熱源部の熱を熱源部保持部材41を介してヘッダ部2に伝達することができる。
【0042】
図9(b)において、40aはヘッダ部2とヒートパイプ部5に作動液が封入された実施の形態4の変形例の熱交換器、41aは熱源部8が保持される熱源部保持部材、42は熱源部8が上側から嵌着されて保持される熱源部保持部材41aの嵌着部、43aは嵌着部42aの先端に突設され保持した熱源部8を係止する爪部、44aはヘッダ部2の後述する保持部材配設部46aが上側から内嵌され固着される熱源部保持部材41aの固着部、45aは固着部44aの先端に突設され内嵌したヘッダ部2を係止する爪部、46aは熱源部保持部材41aの固着部44aに外嵌され熱源部保持部材41aが配設されるヘッダ部2の外表面に形成された保持部材配設部である。
熱交換器40aは、熱源部8が保持される熱源部保持部材41aが配設される保持部材配設部46aがヘッダ部2の外表面に形成されているので、熱源部保持部材41aに熱源部8を保持させるとともに保持部材配設部46aに熱源部保持部材41aを配設することにより、ヘッダ部2の側面に熱源部8を密着させて、熱源部8の熱をヘッダ部2に直接伝達することができる。
なお、爪部45aは熱源部保持部材41aが金属製の場合は形成しなくてもよい。固着部44aを保持部材配設部46aに嵌着固定できるからである。また、図9(a)及び(b)においては、熱源部材配設部46,46aは一箇所しか図示していないが、ヘッダ部2の長手方向の複数個所に形成される。
【0043】
実施の形態4における熱交換器は以上のように構成されているので、実施の形態1に記載した作用に加え、以下のような作用が得られる。
(1)熱交換器40のヘッダ部2の外表面に保持部材配設部46が形成されているので、熱源部8を保持した熱源部保持部材41を保持部材配設部46に配設することで、熱源部8の外表面と着接した熱源部保持部材41の嵌着部42から保持部材配設部46に伝熱され、熱源部8の熱がヘッダ部2に伝達される。これにより、封入された作動液をヘッダ部2から蒸発させ、ヒートパイプ部5に移動させて放熱させることができる。このため、ヘッダ部2と熱源部8とを一体化する必要がなく、熱交換器40の製造の際はヘッダ部2とヒートパイプ部5との封着だけを行えば良く、ヘッダ部2と熱源部8との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
(2)保持部材配設部46を避けて遠赤外線放射層47が形成されているので、熱源部保持部材41に保持された熱源部の熱をヘッダ部2に高効率で伝達できるとともに、遠赤外線を放射させることができ、塗装乾燥、食品加工、暖房等に有効である。
(3)熱交換器40aのヘッダ部2の外表面に保持部材配設部46aが形成されているので、熱源部8を保持した熱源部保持部材41aを保持部材配設部46aに配設することで、熱源部8の外表面と着接したヘッダ部2に伝達される。これにより、封入された作動液をヘッダ部2から蒸発させ、ヒートパイプ部5に移動させて放熱させることができる。このため、ヘッダ部2と熱源部8とを一体化する必要がなく、熱交換器40の製造の際はヘッダ部2とヒートパイプ部5との封着だけを行えば良く、ヘッダ部2と熱源部8との封着作業を省くことができ生産性を高めることができる。
【0044】
ここで、本実施の形態においては熱源部保持部材41が略U字状の嵌着部42を備えている場合について説明したが、熱源部を挟持するクリップ等のような挟持部を備えた熱源部保持部材を用いる場合もある。また、ヘッダ部2を内嵌する固着部44を備えた場合について説明したが、同様にヘッダ部2の熱源部材配設部46を挟持するクリップ等のような挟持部を備えた熱源部保持部材を用いる場合もある。この場合も、同様の作用が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、ヒートパイプを用いて熱を伝達する熱交換器及びそれを用いた床冷暖房装置に関し、ヘッダ部に熱源部を貫通させる等のようにヘッダ部と熱源部とを一体化させておく必要がなく、ヘッダ部と熱源部との封着作業を省くことができ生産性に優れ、長尺の連続した温水管等を熱源部として用いることができるので、溶接や継手等で熱源部をいちいち接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくでき、温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくでき、またヘッダ部と熱源部とが一体化されていないので、経年変化や故障等によって熱源部が錆びたり詰まったりした場合や断線した場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、交換に係る工数を著しく少なくできメンテナンス性に優れる熱交換器を提供することができ、また熱交換器を床に敷き詰めた後、溶接や継手等でいちいち熱源部を接続する必要がなく施工性に優れるとともに、継ぎ目が少ないため配管を流れる流体の抵抗が少なく圧力損失を小さくできるので温水循環装置等の流体の循環装置の負荷を少なくでき、また熱源部に異常があった場合は、熱交換器を交換することなく熱源部だけを交換することができ、交換に係る工数を著しく少なくできメンテナンス性に優れる床冷暖房装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】実施の形態1における熱交換器の斜視図
【図2】ヘッダ部の要部横断面図
【図3】ヘッダ部とヒートパイプ部とを接続する状態を示す斜視図
【図4】ヒートパイプ部と接続されたヘッダ部の要部断面図
【図5】実施の形態1における熱交換器が床面に配設された床冷暖房装置の要部平面図
【図6】床冷暖房装置を配設した床面の要部断面図
【図7】(a)実施の形態2における熱交換器のヘッダ部の正面図 (b)実施の形態2における変形例の熱交換器のヘッダ部の正面図
【図8】実施の形態3における熱交換器の斜視図
【図9】(a)実施の形態4における熱交換器の要部斜視図 (b)実施の形態4の変形例の熱交換器の要部斜視図
【符号の説明】
【0047】
1,1a,1b 熱交換器
2 ヘッダ部
3 壁部
4 対向壁
5 ヒートパイプ部
6,6a,6b 熱源部保持部
7,7a,7b 爪部
8 熱源部
10 壁部
11 挿通孔
12 延設部
13 対向壁当接部
20 床冷暖房装置
21 大引
22 根太
23 板状体
24 遮熱材
25 スペーサ
26 床材
30 熱交換器
31 ヘッダ部
32 熱源部保持部
33 爪部
34 ヒートパイプ部
40,40a 熱交換器
41,41a 熱源部保持部材
42,42a 嵌着部
43,43a 爪部
44,44a 固着部
45,45a 爪部
46,46a 保持部材配設部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッダ部と、前記ヘッダ部に端部で連通するヒートパイプ部と、を備えた熱交換器であって、
前記ヘッダ部の側面に熱源部が保持される熱源部保持部が配設又は形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
ヘッダ部と、前記ヘッダ部に端部で連通するヒートパイプ部と、を備えた熱交換器であって、
熱源部が保持される熱源部保持部材が配設される保持部材配設部が、前記ヘッダ部の側面に形成されていることを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
前記ヒートパイプ部の他端部が連通する他のヘッダ部と、
前記他のヘッダ部の側面に配設された熱源部保持部、又は、前記他のヘッダ部の側面に形成された保持部材配設部と、
を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記熱源部が、内部を液体又は蒸気が流れる合成樹脂製の管状部材であることを特徴とする請求項1乃至3の内いずれか1に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記ヘッダ部及び前記ヒートパイプ部が、矩形状又は方形状の横断面を有していることを特徴とする請求項1乃至4の内いずれか1に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記ヘッダ部の壁部に形成された挿通孔と、前記ヒートパイプ部の端部に延設され前記挿通孔に挿通される延設部と、前記延設部の先端に形成され前記ヘッダ部の前記壁部の対向壁に当接される対向壁当接部と、を備えていることを特徴とする請求項5に記載の熱交換器。
【請求項7】
前記ヘッダ部及び/又は前記ヒートパイプ部の外表面に遠赤外線放射層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至6の内いずれか1に記載の熱交換器。
【請求項8】
請求項1乃至7の内いずれか1に記載の熱交換器が床面に配設されていることを特徴とする床冷暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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