説明

熱伝導式棚箱

【目的】 本考案は、簡単な構成により冷却効率を向上することができる熱伝導性の優れた熱伝導式棚箱を提供する。
【構成】 棚箱の上面及び下面には上部熱伝導ブロック6a及び下部熱伝導ブロック6bが形成され、金属コアを露出させた接触面11cを端部に設けた複数の金属コアプリント基板11が、棚箱の前面部から挿入可能に構成されている。棚箱の前面部は熱伝導ブロック6a,6bに接触する前面カバー12により覆われ、この前面カバー12の内側に設けられた高熱吸収シート13が、金属コアプリント基板11の接触面11cに接触する。金属コアプリント基板11に発生した熱は、高熱吸収シート13、前面カバー12を介して熱伝導ブロック6a,6bに伝導され、更にヒートパイプ8a,8b、冷却ブロック10a,10bを介して、冷却水を流通するパイプ9a,9bへと伝導される。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、発熱する電子部品を搭載した金属コアプリント基板を収納する棚箱に関するもので、特にヒートパイプにより各基板の熱を冷却ブロックに伝達して冷却を行う構造の熱伝導式棚箱に関するものである。
【0002】
【従来技術】
図4は、従来のこの種の熱伝導式棚箱を示す要部斜視図、図5は、その棚箱に使用される金属コアプリント基板を示す図である。
図4、5において、1は金属コアプリント基板であり、複数の電子部品2が搭載され、またその先端部にはコネクタ3aが取り付けられている。
4はコネクタ取り付け板で、コネクタ3aと嵌合する相手方のコネクタ3bが必要数だけネジ等によって固定されており、各コネクタ3bの端子は、コネクタ取り付け板4の裏面でマザーボード5の挿入孔に挿入されて半田付けにより接続されている。
6aと6bは金属コアプリント基板1を実装する棚箱の上面及び下面を成す上部熱伝導ブロックと下部熱伝導ブロックである。上部熱伝導ブロック6aの後端面には、前記コネクタ3b及びマザーボード5を取り付けたコネクタ取り付け板4の上端部が固定され、また下部熱伝導ブロック6bの後端面には、前記コネクタ取り付け板4の下端部が固定されている。
尚、上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの両側端には、棚箱の側面を成す図示しない側板が固定される。
【0003】
前記金属コアプリント基板1には、棚箱への挿入方向に沿った両端部に金属コアを露出させた上部接触面1a、下部接触面1bが設けられ、また上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの対向面には、複数対のガイド溝が平行に設けられており、前記上部接触面1a、下部接触面1bをガイド溝に沿って挿入することにより、コネクタ3aとコネクタ3bが嵌合される。
7aと7bはくさび状金具で、それぞれが前記ガイド溝に挿入された各金属コアプリント基板1間に圧入され、これにより金属コアプリント基板1の上部接触面1a及び下部接触面1bは、ガイド溝の側面に押し当てられて固定される。
8aと8bは前記上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bにそれぞれ複数本平行に埋設されたヒートパイプで、各ヒートパイプ8a,8bの一端は上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの後端面から突出し、その突出端に矢印A,B方向からそれぞれ冷却水を通すパイプ9a,9bを内包した冷却ブロック10a,10bが取り付けられている。
【0004】
金属コアプリント基板1に搭載された電子部品2が発熱すると、その熱は電子部品2自身のリードを通して金属コアプリント基板1の金属コアに伝わり、更に上部接触面1a及び下部接触面1bから上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bにそれぞれ伝わる。
上部熱伝導ブロック6aに伝わった熱はヒートパイプ8aを介して冷却ブロック10aに伝えられ、この冷却ブロック10a内に設けられたパイプ9aを通る冷却水により冷却される。また下部熱伝導ブロック6bに伝わった熱はヒートパイプ8bを介して冷却ブロック10bに伝えられ、パイプ9bを通る冷却水により冷却される。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の熱伝導式棚箱では、金属コアプリント基板に搭載された電子部品から発生した熱を、金属コアプリント基板の上部接触面及び下部接触面の2辺から熱伝導ブロックへと伝えるのみであるため、電子部品の発熱量が大きくなった場合には、充分な冷却が行えないという問題があった。
【0006】
本考案は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成により冷却効率を向上することができる熱伝導性の優れた熱伝導式棚箱を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本考案は、棚箱の上面及び下面を成す上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックを有し、棚箱の前面部から挿入される複数の金属コアプリント基板にて発生した熱を、前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックを通じて伝導し、冷却する熱伝導式棚箱において、前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックに接触して、前記棚箱の前面部を覆う前面カバーと、前記前面カバーの内側に設けられ、前記挿入された金属コアプリント基板の端部と接触する高熱吸収シートと、前記金属コアプリント基板の端部の金属コアを露出させた接触面とを備え、前記金属コアプリント基板にて発生した熱を、前記接触面から前記高熱吸収シート及び前記前面カバーを介して前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックへと伝導する構成としたものである。
【0008】
【作用】
本考案によれば、金属コアプリント基板の金属コアを露出した接触面と、前面カバーの内側に設けられた高熱吸収シートとが接触し、前面カバーは上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックに接触することにより、金属コアプリント基板に搭載された電子部品に発生した熱は、その基板の金属コアを伝わり、高熱吸収シート、前面カバーを介して上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックへと伝導することとなる。
【0009】
【実施例】
以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は本考案の一実施例を示す熱伝導式棚箱を示す要部斜視図、図2はその棚箱の一部分断面図、図3はその棚箱に使用される金属コアプリント基板を示す図である。
【0010】
図において、11は金属コアプリント基板であり、複数の電子部品2が搭載され、またその先端部にはコネクタ3aが取り付けられている。
4はコネクタ取り付け板で、コネクタ3aと嵌合する相手方のコネクタ3bが必要数だけネジ等によって固定されており、各コネクタ3bの端子は、コネクタ取り付け板4の裏面でマザーボード5の挿入孔に挿入されて半田付けにより接続されている。
6aと6bは金属コアプリント基板11を実装する棚箱の上面及び下面を成す上部熱伝導ブロックと下部熱伝導ブロックであり、熱伝導性の良い部材で形成されている。上部熱伝導ブロック6aの後端面には、前記コネクタ3b及びマザーボード5を取り付けたコネクタ取り付け板4の上端部が固定され、また下部熱伝導ブロック6bの後端面には、前記コネクタ取り付け板4の下端部が固定されている。
尚、上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの両側端には、棚箱の側面を成す図示しない側板が固定される。
【0011】
前記金属コアプリント基板11には、棚箱への挿入方向に沿った両端部に金属コアを露出させた上部接触面11a、下部接触面11bが設けられ、またコネクタ3aの取り付け部と対向する端部にも金属コアを露出させた前面接触部11cが設けられている。
上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの対向面には、複数対のガイド溝が平行に設けられており、前記上部接触面11a、下部接触面11bをガイド溝に沿って挿入することにより、コネクタ3aとコネクタ3bが嵌合される。
7aと7bはくさび状金具で、それぞれが前記ガイド溝に挿入された各金属コアプリント基板11間に圧入され、これにより金属コアプリント基板11の上部接触面11a及び下部接触面11bは、ガイド溝の側面に押し当てられて固定される。
8aと8bは前記上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bにそれぞれ複数本平行に埋設されたヒートパイプで、各ヒートパイプ8a,8bの一端は上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bの後端面から突出し、その突出端に矢印A,B方向からそれぞれ冷却水を通すパイプ9a,9bを内包した冷却ブロック10a,10bが取り付けられている。
【0012】
12は熱伝導性の良い部材で形成された前面カバーであり、その上端部及び下端部がそれぞれ上部熱伝導ブロック6aと下部熱伝導ブロック6bに接触した状態でネジ等により固定される構成となっている。
また前面カバー12の内側には、フレキシブルな高熱吸収シート13が取り付けられており、棚箱内に金属コアプリント基板11を装着後、棚箱の前面を覆うように取り付けることにより、この高熱吸収シート13が金属コアプリント基板11の前面接触部11cに接触する構成となっている。
【0013】
金属コアプリント基板11に搭載された電子部品2が発熱すると、その熱は電子部品2自身のリードを通して金属コアプリント基板11の金属コアに伝わる。
更にその熱は、金属コアの上部接触面11a及び下部接触面11bから上部熱伝導ブロック6a及び下部熱伝導ブロック6bへ、また金属コアの前面接触部11cから高熱吸収シート13及び前面カバー12を介して上部熱伝導ブロック6a、下部熱伝導ブロック6bへとそれぞれ伝わる。
上部熱伝導ブロック6aに伝わった熱はヒートパイプ8aを介して冷却ブロック10aに伝えられ、この冷却ブロック10a内に設けられたパイプ9aを通る冷却水により冷却される。また下部熱伝導ブロック6bに伝わった熱はヒートパイプ8bを介して冷却ブロック10bに伝えられ、パイプ9bを通る冷却水により冷却される。
【0014】
【考案の効果】
以上詳細に説明したように本考案によれば、金属コアプリント基板の電子部品に発生した熱は、その金属コアプリント基板の上端部、下端部及び前面部の3辺から熱伝導ブロックへと伝わることで熱の伝導効率が向上し、例え電子部品の発熱量が大きくなった場合でも、充分な熱の伝導、冷却を行うことができる。
また本考案による熱伝導式棚箱は、従来の構成を特別に変更することなく、熱伝導性の良い前面カバーに高熱吸収シートを取り付けた構成とすることにより、非常に安価実現できるものである。
【0015】
また本考案による高熱吸収シートは、金属コアプリント基板に接触させた状態で棚箱の前面に取り付けることによりその金属コアプリント基板を押え付けることとなる。
従って、棚箱全体が揺れ、振動するようなことがあっても、基板の開放端が高熱吸収シートにより押さえられており、コネクタ部分が外れてしまう等の問題が生じないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示す熱伝導式棚箱の要部斜視図である。
【図2】本考案の熱伝導式棚箱の一部断面図である。
【図3】本考案の熱伝導式棚箱に使用される金属コアプリント基板を示す図である。
【図4】従来の熱伝導式棚箱の要部斜視図である。
【図5】従来の熱伝導式棚箱に使用される金属コアプリント基板を示す図である。
【符号の説明】
2 電子部品
3 コネクタ
6a 上部熱伝導ブロック
6b 下部熱伝導ブロック
8 ヒートパイプ
9 パイプ
10 冷却ブロック
11 金属コアプリント基板
11a 上部接触部
11b 下部接触部
11c 前面接触部
12 前面カバー
13 高熱吸収シート

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 棚箱の上面及び下面を成す上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックを有し、前記棚箱の前面部から挿入される複数の金属コアプリント基板にて発生した熱を、前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックを通じて伝導し、冷却する熱伝導式棚箱において、前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックに接触して、前記棚箱の前面部を覆う前面カバーと、前記前面カバーの内側に設けられ、前記挿入された金属コアプリント基板の端部と接触する高熱吸収シートと、前記金属コアプリント基板の端部の金属コアを露出させた接触面とを備え、前記金属コアプリント基板にて発生した熱を、前記接触面から前記高熱吸収シート及び前記前面カバーを介して前記上部熱伝導ブロック及び下部熱伝導ブロックへと伝導することを特徴とする熱伝導式棚箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】実開平5−82091
【公開日】平成5年(1993)11月5日
【考案の名称】熱伝導式棚箱
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−22076
【出願日】平成4年(1992)4月9日
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)