説明

熱収縮性包装体の加熱収縮装置

【課題】 被包装体の形状に関わらず、熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を安定した状態で搬送し、その結果、被包装体を適正に熱収縮包装できる熱収縮性包装体の加熱収縮装置を提供する。
【解決手段】 熱収縮性を有する包装体Yで包装される被包装体Xを搬送する搬送部2を備え、搬送部2で被包装体Xを搬送しつつ包装体Yを熱収縮させる熱収縮性包装体の加熱収縮装置において、搬送部2は、被包装体Xの搬送方向と直交又は略直交する方向に所定間隔を有して離間した状態で並列し且つ被包装体Xの搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転する一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6が設けられ、第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨って被包装体Xが搬送されるように構成されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱収縮性を有する包装体(例えばシュリンクフィルム)で包装される被包装体を搬送し、搬送過程で包装体を熱収縮させる熱収縮性包装体の加熱収縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱収縮性包装体の加熱収縮装置として、図7に示すように、シュリンクトンネル装置と呼ばれる加熱収縮装置100が知られている。加熱収縮装置100は、熱収縮性を有する包装体Yで包装される被包装体Xの搬入口及び搬出口が設けられる本体101と、本体101内における前記搬入口から前記搬出口まで被包装体Xを搬送する搬送部102と、本体101内で包装体Yを熱収縮させるための熱を発生するヒータ103と、ヒータ103からの熱を熱風にして本体101内で包装体Yに当てるためのファン104とを備える。
【0003】
そして、加熱収縮装置100は、搬送部102が被包装体Xを搬送する過程で、ヒータ103及びファン104により発生した熱風が、本体101内部に形成される経路(図示しない)を介して包装体Yの全体に当たる。すると、包装体Yが熱風により加熱されて熱収縮するため、包装体Yが被包装体Xに密着し、被包装体Xが熱収縮包装(シュリンク包装)される。このとき、例えば、図8に示すように、包装体Yが所謂ピロー包装と呼ばれる方式で被包装体Xを包装する場合、包装体Yには、両端のエンドシール部位S1,S2と該両エンドシール部位S1,S2に亘るセンターシール部位S3が線状となって残る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、かかる加熱収縮装置100は、一般的に、搬送部102の搬送路が平面状であるため、例えば円柱状の被包装体Xにあっては、被包装体Xが適正に熱収縮包装されないことがある。具体的には、搬送部102の搬送路が平面状であるのに対して、被包装体Xが円柱状であるため、被包装体Xが搬送部102の搬送路上で揺動しやすく、さらには、被包装体Xが転動して搬送路から外れてしまい、被包装体Xが熱収縮包装されないことがある。
【0005】
そこで、図9に示すように、被包装体Xを側面側から挟むように搬送方向に沿った一対の突条部102a,102aが設けられる搬送部102も知られている。しかし、かかる搬送部102によっても、例えば円柱状の被包装体Xにあっては、被包装体Xが適正に熱収縮包装されないことがある。
【0006】
具体的には、突条部102a,102aで被包装体Xが搬送路から外れるのは防止できるが、揺動を規制するまでには至らないため、包装体Yが熱収縮する間に包装体Y内で被包装体Xが揺動することで、包装体Yが被包装体Xに密着して包装されなかったり、被包装体Xが揺動した結果、包装体Y内で被包装体Xの位置・姿勢が変化することで、収縮して線状に残るエンドシール部位S1,S2やセンターシール部位S3が被方向体Xに対する所望の位置から外れたりして、見栄えが悪くなったりする。しかも、被包装体Xの搬送速度が速くなるに従って、それが顕著となって表れる。
【0007】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、被包装体の形状に関わらず、熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を安定した状態で搬送し、その結果、被包装体を適正に熱収縮包装できる熱収縮性包装体の加熱収縮装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を搬送する搬送部を備え、搬送部で被包装体を搬送しつつ包装体を熱収縮させる熱収縮性包装体の加熱収縮装置において、搬送部は、被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に所定間隔を有して離間した状態で並列し且つ被包装体の搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転する一対の第1搬送部材及び第2搬送部材が設けられ、第1搬送部材及び第2搬送部材に跨って被包装体が搬送されるように構成されることを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を搬送方向と直交又は略直交する方向に離間した状態で並設される第1搬送部材及び第2搬送部材に跨らせて搬送する。そして、第1搬送部材及び第2搬送部材が被包装体の搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転するため、被包装体の形状に関わらず、被包装体を適正に保持できる。詳しくは、安定性に欠ける円柱状の被包装体であっても、第1搬送部材及び第2搬送部材間に被包装体の一部が嵌り込むことで、適正に保持できる。したがって、被包装体が搬送方向と直交又は略直交方向に転動や揺動するのを防止できるため、被包装体の形状に関わらず、被包装体を安定した状態で搬送できる。
【0010】
また、本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置においては、搬送部は、第1搬送部材及び第2搬送部材が被包装体の搬送方向に沿って無端回転すべく、第1搬送部材の内周面側を支持する第1支持部と、第2搬送部材の内周面側を支持する第2支持部とを備え、第1搬送部材及び第1支持部の少なくとも何れか一方は、第1搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部を備えると共に、第2搬送部材及び第2支持部の少なくとも何れか一方は、第2搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部を備えてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、第1搬送部材及び第1支持部の少なくとも何れか一方に備える規制部が、第1搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制し、同様に、第2搬送部材及び第2支持部の少なくとも何れか一方に備える規制部が、第2搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する。したがって、第1搬送部材及び第2搬送部材間の離間距離が一定又は略一定に維持されるため、被包装体をより安定的に搬送できる。
【0012】
また、本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置においては、第1搬送部材及び第2搬送部材間の離間距離が調整可能な構成を採用してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、第1搬送部材及び第2搬送部材間の離間距離が調整可能であるため、被包装体の形状に対応して、前記離間距離をフレキシブルに変更できる。したがって、搬送する被包装体の形状に対して最適な離間距離に設定して被包装体を搬送することもできるため、被包装体をさらに安定的に搬送できる。
【発明の効果】
【0014】
したがって、本発明によれば、被包装体の形状に関わらず、被包装体が搬送方向と直交方向に揺動するのを防止できるため、熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を安定した状態で搬送し、その結果、被包装体を適正に熱収縮包装できるという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置における一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0016】
本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置(以下、単に「加熱収縮装置」という)は、図1及び図2に示すように、熱収縮性を有する包装体Yで包装される被包装体Xの搬入口及び搬出口が設けられる本体1と、本体1内における前記搬入口から前記搬出口まで被包装体Xを搬送する搬送部2と、搬送部2で搬送される被包装体Xを包装している包装体Yを熱収縮させる加熱手段3(ここでは、ヒータ3a及びファン3bとする)と、搬送部2の駆動源となる駆動手段4とを備える。
【0017】
本体1は、加熱手段3から発生する熱を内部に滞留させるべく、被包装体Xの搬送空間がトンネル状に設けられる。
【0018】
搬送部2は、被包装体Xの搬送方向と直交又は略直交する方向に所定間隔を有して離間した状態で並列し且つ被包装体Xの搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転する一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6が設けられ、第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨って被包装体Xが搬送されるように構成される。具体的には、搬送部2は、離間して並設される第1搬送部材5及び第2搬送部材6で被包装体Xの長尺な搬送路を形成する。また、搬送部2は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が被包装体Xの搬送方向に沿って無端回転すべく、第1搬送部材5の内周面側を支持する第1支持部7と、第2搬送部材6の内周面側を支持する第2支持部8とを備える。
【0019】
第1支持部7は、被包装体Xの搬送路に沿って配置されて第1搬送部材5を搬送路に沿って案内する案内部9と、被包装体Xの搬送路における上流端部に配置されて駆動手段4からの駆動力を受ける第1方向転換部材10(ここでは、駆動プーリとする)と、被包装体Xの搬送路における下流端部に配置される第2方向転換部材11(ここでは、従動プーリとする)とを備える。また、第1支持部7の第1方向転換部材10及び第2方向転換部材11は、被包装体Xの搬送路に平行で、且つ搬送方向と直交する軸を中心に回転可能に構成される。
【0020】
第1搬送部材5及び第1支持部7は、第1搬送部材5が被包装体Xの搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部12を備える。具体的には、規制部12は、第1搬送部材5の内周面側に設けられる二つの突条部13,13と、第1支持部7の案内部9に設けられて第1搬送部材5の突条部13,13に挿入される二つの溝部14,14と、第1支持部7の第1方向転換部材10に設けられて第1搬送部材5の突条部13,13に挿入される二つの凹部15,15と、第1支持部7の第2方向転換部材11に設けられて第1搬送部材5の突条部13,13に挿入される二つの凹部16,16(図示しない)とで構成される。
【0021】
また、第1搬送部材5は、幅方向の中央部5aが加熱手段3からの熱風を通過させ得るように複数の開口が形成される。具体的には、第1搬送部材5は、搬送方向に延伸する長尺な第1支持部7の案内部9における幅方向の中央部から吹き出される加熱手段3からの熱風を通過させ得るように、幅方向の中央部5aが網目状に形成される。より具体的には、第1搬送部材5は、網目状のベルトが幅方向の両端側を補強するように加工されて形成される。
【0022】
そして、第1搬送部材5は、第1支持部7の第1方向転換部材10から駆動手段4の駆動力を伝達されて回転する。具体的には、第1搬送部材5は、第1支持部7の第1方向転換部材10に設けられる伝達部材17に押圧されて伝達される。また、伝達部材17は、第1搬送部材5との接触部位が変位しないような摩擦力のある材質(ここでは、ゴムとしている)で形成される。
【0023】
第2搬送部材6は、基本的構成態様が第1搬送部材5と同様であり、さらに、第2支持部8は、基本的構成態様が第1支持部7と同様である。
【0024】
第2支持部8は、被包装体Xの搬送路に沿って配置されて第2搬送部材6を搬送路に沿って案内する案内部18と、被包装体Xの搬送路における上流端部に配置されて駆動手段4からの駆動力を受ける第1方向転換部材19(ここでは、駆動プーリとする)と、被包装体Xの搬送路における下流端部に配置される第2方向転換部材20(ここでは、従動プーリとする)とを備える。また、第2支持部8の第1方向転換部材19及び第2方向転換部材20は、被包装体Xの搬送路に平行で、且つ搬送方向と直交する軸を中心に回転可能に構成される。
【0025】
第2搬送部材6及び第2支持部8は、第2搬送部材6が被包装体Xの搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部21を備える。具体的には、規制部21は、第2搬送部材6の内周面側に設けられる二つの突条部22,22と、第2支持部8の案内部18に設けられて第2搬送部材6の突条部22,22に挿入される二つの溝部23,23と、第2支持部8の第1方向転換部材19に設けられて第2搬送部材6の突条部22,22に挿入される二つの凹部24,24と、第2支持部8の第2方向転換部材20に設けられて第2搬送部材6の突条部22,22に挿入される二つの凹部25,25(図示しない)とで構成される。
【0026】
また、第2搬送部材6は、幅方向の中央部6aが加熱手段3からの熱風を通過させ得るように複数の開口が形成される。そして、第2搬送部材6は、第2支持部8の第1方向転換部材19から駆動手段4の駆動力を伝達されて回転する。具体的には、第2搬送部材6は、第2支持部8の第1方向転換部材19に設けられる伝達部材26に押圧されて伝達される。
【0027】
また、第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,19は、共通の回転軸(図示しない)に取り付けられ、互いに同期して回転可能に構成される。さらに、第1支持部7及び第2支持部8の各第2方向転換部材11,20は、共通の回転軸(図示しない)に取り付けられ、互いに同期して回転可能に構成される。
【0028】
駆動手段4は、図1に示すように、第1搬送部材5を回転させると共に、第2搬送部材6を回転させるように構成される。具体的には、駆動手段4は、駆動源4a(ここではモータとする)からの駆動力が、第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,13が取り付けられる共通の回転軸に伝達部材4bを介して伝達されるように構成される。
【0029】
また、駆動手段4は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の回転速度を調整可能に構成される。具体的には、駆動手段4は、駆動源4aであるモータの駆動軸の回転速度を変化させる速度調整手段4c(ここでは、インバータとする)と、速度調整手段4cを制御する駆動制御部4dとを備える。
【0030】
本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置の構成に関する説明は、以上の通りであり、次に、本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置の作用について説明する。
【0031】
まず、図1〜図4に示すように、被包装体Xが徐々に縮径する円柱形状乃至円錐柱形状(例えば、即席麺用のカップ容器)である場合について説明する。
【0032】
加熱収縮装置は、上流に配置される前工程設備(図示しない)から搬送された被包装体Xを搬送方向と直交する方向に離間した状態で並設する第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨らせる。具体的には、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、互いに対向する側の端部で断面が円形状である被包装体Xを保持(掛止)する。したがって、第1搬送部材5及び第2搬送部材6間に被包装体Xの一部が嵌り込んだ格好となり、被包装体Xが搬送方向と直交方向に揺動しようとしても、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、被包装体Xを保持する部位で被包装体Xの揺動を防止する。
【0033】
また、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、駆動手段4が回転させる一つの回転軸に取り付けられる第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,19からそれぞれ駆動力を伝達されて回転する。そして、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、各第1方向転換部材10,19に設けられ、摩擦力のある材質から形成される伝達部材17,26に押圧されることにより駆動力を伝達されるため、被包装体Xの搬送方向に沿って同速度で無端回転することになる。
【0034】
さらに、第1搬送部材5及び第1支持部7に備える規制部12は、第1搬送部材5が被包装体Xの搬送方向と直交する方向に変位するのを規制する。具体的には、第1搬送部材5は、幅方向(被包装体Xの搬送方向と直交方向)に変位すると、内周面側に設けられる突条部13,13が、挿入している案内部9の溝部14,14、第1支持部7の第1方向転換部材10の凹部15,15、及び第1支持部7の第2方向転換部材11の凹部16,16におけるそれぞれの表面に当接して掛止される。
【0035】
同様に、第2搬送部材6及び第2支持部8に備える規制部21は、第2搬送部材6が被包装体Xの搬送方向と直交する方向に変位するのを規制する。具体的には、第2搬送部材6は、幅方向(被包装体Xの搬送方向と直交方向)に変位すると、内周面側に設けられる突条部22,22が、挿入している案内部18の溝部23,23、第2支持部8の第1方向転換部材19の凹部24,24、及び第2支持部8の第2方向転換部材20の凹部24,24におけるそれぞれの表面に当接して掛止される。したがって、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、互いの離間距離が一定又は略一定に維持される。
【0036】
したがって、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、被包装体Xの搬送方向に沿って同速度で回転し、且つ互いの離間距離を一定に維持しつつ、互いに対向する側の端部で被包装体Xを保持(掛止)して搬送することになるため、安定した状態で被包装体Xを搬送する。しかも、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、包装体Yを介して被包装体Xを保持するため、保持する部位における被包装体Xと包装体Yとの相対変位を規制する。これにより、被包装体Xが適正に熱収縮包装され、さらに、収縮して線状に残るエンドシール部位やセンターシール部位が被包装体Xに対する所望の位置に表れるようになる。
【0037】
次に、図5に示すように、被包装体Xの底面が平面状である場合(例えば、直方体状)について説明する。
【0038】
加熱収縮装置は、上流に配置される前工程設備(図示しない)から搬送された被包装体Xを搬送方向と直交する方向に離間した状態で並設する第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨らせる。具体的には、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、被包装体Xの底面を上面で保持(支持)する。したがって、被包装体Xが搬送方向と直交方向に揺動しようとしても、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、被包装体Xを保持する部位で被包装体Xの揺動を防止する。
【0039】
そして、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、被包装体Xの搬送方向に沿って同速度で回転し、且つ互いの離間距離を一定に維持しつつ、被包装体Xを上面で保持(支持)して搬送することになるため、安定した状態で被包装体Xを搬送する。しかも、第1搬送部材5及び第2搬送部材6は、包装体Yを介して被包装体Xを上面で保持(支持)するため、保持する部位における被包装体Xと包装体Yとの相対変位を規制する。これにより、被包装体Xが適正に熱収縮包装され、さらに、収縮して線状に残るエンドシール部位やセンターシール部位が被包装体Xに対する所望の位置に表れるようになる。
【0040】
以上より、本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、被包装体Xの搬送路に沿って同速度で無端回転する一対の第1搬送部材5及び第2搬送部材6が所定間隔を有して離間して並設される構成であるため、第1搬送部材5及び第2搬送部材6に跨って被包装体Xを搬送させ、その結果、被包装体Xの形状に関わらず、被包装体Xを保持した状態で搬送できる。したがって、被包装体Xが搬送方向と直交方向に揺動するのを防止できるため、安定した状態で被包装体Xを搬送し、その結果、被包装体を適正に熱収縮包装できる。
【0041】
また、図9に示すような一対の突条部102a,102aを搬送部102に備える従来の加熱収縮装置においては、被包装体Xの底面が平面状である場合、突条部102a,102aの上面に跨って載置した状態で被包装体Xを搬送する必要があるため、被包装体Xが円柱状である場合と比較して、搬送路の高さ位置(レベル)が変わる。したがって、かかる従来の加熱収縮装置は、対象となる被包装体Xの形状に応じて、上流及び下流に配置される前工程設備及び後工程設備と搬送路の高さ位置(レベル)調整が必要であったが、本実施形態にかかる加熱収縮装置においては、対象となる被包装体Xの形状に応じて搬送路の高さ位置(レベル)が変わらず一定であるため、搬送路の高さ位置(レベル)調整が必要ない。
【0042】
また、本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6の内周面側に設けられる突条部13,22が、各案内部9,18の溝部14,23、各第1方向転換部材10,19の凹部15,24、及び各第2方向転換部材11,20の凹部16,25におけるそれぞれの表面に掛止される構成であるため、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が被包装体の搬送方向と直交方向に変位するのを規制する。したがって、第1搬送部材5及び第2搬送部材6間の離間距離が一定に維持され、その結果、第1搬送部材5及び第2搬送部材6による被包装体Xの保持状態を維持できる。
【0043】
また、本実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が、共通の回転軸に取り付けられる第1支持部7及び第2支持部8の各第1方向転換部材10,19からそれぞれ駆動力を伝達されて回転する構成であるため、同期して回転し、その結果、被包装体Xの搬送方向に沿って同速度で確実に無端回転できる。
【0044】
加えて、各第1方向転換部材10,19に設けられる伝達部材17,26が、それぞれ接触する搬送部材5,6との接触部位が変位するのを規制する摩擦力のある材質で形成されるため、第1搬送部材5及び第2搬送部材6が、被包装体Xの搬送方向に沿って同速度で無端回転するのをさらに確実にする。
【0045】
なお、本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0046】
例えば、本発明にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置は、第1搬送部材5及び第2搬送部材6間の離間距離を調整可能に構成されてもよい。かかる構成によれば、被包装体Xの形状に対応して、離間距離をフレキシブルに変更できる。
【0047】
具体的には、例えば、共通の回転軸に取り付けられる第1支持部7の第1方向転換部材10及び第2支持部8の第1方向転換部材19の少なくとも何れか一方が回転軸の軸方向(互いに離間する方向)に変位可能であり、両第1方向転換部材10,19が回転軸の軸方向に相対変位可能に構成され、同様に、共通の回転軸に取り付けられる第1支持部7の第2方向転換部材11及び第2支持部8の第2方向転換部材20の少なくとも何れか一方が回転軸の軸方向(互いに離間する方向)に変位可能であり、両第2方向転換部材11,20が回転軸の軸方向に相対変位可能に構成され、さらに、第1支持部7の案内部9及び第2支持部8の案内部18の少なくとも何れか一方が搬送面に沿って搬送方向と直交方向(互いに離間する方向)に変位可能であり、両案内部9,18が搬送面に沿って搬送方向と直交方向に相対変位可能に構成されてもよい。
【0048】
また、上記実施形態においては、被包装体Xの搬送空間がトンネル状に設けられる本体1を備える場合を説明したが、かかる本体1は必須の構成ではない。しかし、かかる本体1を備えると、加熱手段3から発生する熱が本体1内部に滞留して、熱を有効利用できるため、かかる本体1を備える方が好ましい。
【0049】
また、上記実施形態においては、各規制部12,21が、各搬送部材5,6の二つの突条部13,22と、各支持部6,7の溝部14,22及び凹部15,16,23,24(各案内部9,18の溝部14,22、各第1方向転換部材10,19の凹部15,23、及び各第2方向転換部材11,20の凹部16,24)とから構成される場合を説明したが、図6(a)に示すように、規制部27は、搬送部材28の一つの突条部29と、突条部29に挿入される支持部30の一つの溝部31(凹部31)とで構成されてもよい。
【0050】
そして、図6(b)に示すように、規制部32は、搬送部材33の溝部34と、溝部34に挿入する支持部35の突条部36とで構成されてもよい。さらに、図6(c)に示すように、規制部37は、支持部38を幅方向で挟む(介在する)ように設けられる搬送部材39の一対の突条部40,40で構成されてもよい。即ち、規制部37は、搬送部材39にのみ備えられてもよい。しかも、搬送部材や支持部に設けられる突条部が、連続的に設けられてもよく、断続的に設けられてもよい。
【0051】
また、上記実施形態においては、第1支持部7及び第2支持部8において、各第1方向転換部材10,19及び各第2方向転換部材11,20がそれぞれ共通の回転軸に取り付けられる場合を説明したが、異なる回転軸にそれぞれ取り付けられてもよい。
【0052】
また、上記実施形態においては、共通する一つの駆動手段4で第1搬送部材5及び第2搬送部材6を回転させる場合を説明したが、第1搬送部材5を回転させる駆動手段と、第2搬送部材6を回転させる駆動手段とをそれぞれ備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態にかかる熱収縮性包装体の加熱収縮装置の全体概略図であって、(a)は、正面図、(b)は、平面図を示す。
【図2】同熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、図1のA囲み線における平面図を示す。
【図3】同熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、断面が円形状の被包装体における、図1のB−B線における断面図を示す。
【図4】同熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、断面が円形状の被包装体における、(a)は、図1のC−C線における断面図、(b)は、図4(a)のD囲み線における拡大図を示す。
【図5】同熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、底面が平面状の被包装体における、図1のB−B線における断面図を示す。
【図6】本発明の他の実施形態にかかる搬送部材であって、(a)、(b)、及び(c)はそれぞれ断面図を示す。
【図7】従来の熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、斜視図を示す。
【図8】従来の熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体の全体概略図であって、(a)は、熱収縮する前の斜視図を示し、(b)は、熱収縮した後の斜視図を示す。
【図9】従来の熱収縮性包装体の加熱収縮装置の要部概略図であって、側面図を示す。
【符号の説明】
【0054】
2…搬送部、5…第1搬送部材、6…第2搬送部材、7…第1支持部、8…第2支持部、12,21…規制部、X…被包装体、Y…包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱収縮性を有する包装体で包装される被包装体を搬送する搬送部を備え、搬送部で被包装体を搬送しつつ包装体を熱収縮させる熱収縮性包装体の加熱収縮装置において、搬送部は、被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に所定間隔を有して離間した状態で並列し且つ被包装体の搬送方向に沿って同速度又は略同速度で無端回転する一対の第1搬送部材及び第2搬送部材が設けられ、第1搬送部材及び第2搬送部材に跨って被包装体が搬送されるように構成されることを特徴とする熱収縮性包装体の加熱収縮装置。
【請求項2】
搬送部は、第1搬送部材及び第2搬送部材が被包装体の搬送方向に沿って無端回転すべく、第1搬送部材の内周面側を支持する第1支持部と、第2搬送部材の内周面側を支持する第2支持部とを備え、第1搬送部材及び第1支持部の少なくとも何れか一方は、第1搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部を備えると共に、第2搬送部材及び第2支持部の少なくとも何れか一方は、第2搬送部材が被包装体の搬送方向と直交又は略直交する方向に変位するのを規制する規制部を備える請求項1に記載の熱収縮性包装体の加熱収縮装置。
【請求項3】
第1搬送部材及び第2搬送部材間の離間距離が調整可能に構成される請求項1又は2に記載の熱収縮性包装体の加熱収縮装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−265850(P2008−265850A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−114286(P2007−114286)
【出願日】平成19年4月24日(2007.4.24)
【出願人】(000110125)トキワ工業株式会社 (16)
【出願人】(000135025)株式会社ニッサンキコー (8)