説明

熱安定性の強化方法

【課題】熱安定性の強化方法の提供。
【解決手段】本発明は、
(A)全組成に基づき5ないし95質量%の、式(1a)又は(1b)
1−X−Y2 (1a)
12N−OH (1b)
[式中、
Xは、2価の脂肪族、芳香族、芳香脂肪族又は脂環式の基を表わし、
1及びY2は、各々互いに独立して、−OH、−CO−OR1、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わし、該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、未置換であるか、又は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基又はカルボキシル基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。)を表わし、
1及びA2は、各々互いに独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わす。]で表わされる少なくとも1種の化合物、
(B)全組成に基づき0ないし95質量%の、1種以上のアニオン性又は非イオン性界面活性剤もしくは分散剤;及び、
(C)全組成に基づき0ないし85質量%の、固体の無機酸又は有機酸
を含み、
各場合において、成分A+B+Cの合計量が100質量%となる補助組成物、及びまた、染色されていない、蛍光増白された又は染色された、天然又は合成織物繊維材料の熱安定性を改善する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補助組成物、及びまた、染色されていない、蛍光増白された又は染色された、天然又は合成織物繊維材料の熱安定性の改善方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々の織物加工処理(前処理、蛍光増白剤の適用、染色、仕上げ)において、織物繊維材料は熱処理に曝される。特に、染色されていない製品及び蛍光増白されていてもよい製品の場合において、これは頻繁に望ましくない黄変を引き起こす。
【0003】
熱の作用はまた、染色の前及び後に望ましくない作用をしばしば引き起こす。例えば、加熱前処理はポリアミドに酸化的損傷を導き得るが、それ自体が、例えば、黄変の増加又は引裂強度の喪失として表れるか、又は、可染性において悪影響を有し得る。
染色工程後の熱処理も同様に、許容できない色調の変化を引き起こし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今や、上述の不都合な影響が特定の織物補助剤の使用により実質的に減少し得ることが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、
(A)全組成に基づき5ないし95質量%の、式(1a)又は(1b)
1−X−Y2 (1a)
12N−OH (1b)
[式中、
Xは、2価の脂肪族、芳香族、芳香脂肪族又は脂環式の基を表わし、
1及びY2は、各々互いに独立して、−OH、−CO−OR1、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わし、該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、未置換であるか、又は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基又はカルボキシル基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。)を表わし、
1及びA2は、各々互いに独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わす。]で表わされる少なくとも1種の化合物、
(B)全組成に基づき0ないし95質量%の、1種以上のアニオン性又は非イオン性界面活性剤もしくは分散剤;及び、
(C)全組成に基づき0ないし85質量%の、固体の無機酸又は有機酸
を含み、
各場合において、成分A+B+Cの合計量が100質量%となる組成物に関する。
【0006】
式(1a)中の脂肪族基Xは、例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、プロパン−1,1−ジイル基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基及びデカメチレン基、又は、1つ以上の酸素原子又は−NH−、−N−アルキル−若しくは−N−アルキレン−NH2−基で中断された直鎖の又は枝分かれしたアルキレン基を表わす。
【0007】
好適な脂環式基Xは、例えば、シクロヘキサン−1,2−ジイル基、シクロヘキサン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、及びまた、
【化1】

を表わす。
【0008】
芳香族基Xの例は、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、ビフェニレン基、1,2−ナフタレンジイル基、1,3−ナフタレンジイル基、1,4−ナフタレンジイル基、1,5−ナフタレンジイル基、1,6−ナフタレンジイル基、1,8−ナフタレンジイル基、2,3−ナフタレンジイル基、2,6−ナフタレンジイル基、2,7−ナフタレンジイル基、及びまた、
【化2】

を表わす。
【0009】
2価の芳香脂肪族基は、例えば、
【化3】

である。
【0010】
基R1、R2、A1又はA2としての炭素原子数1ないし20のアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、第二ブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基又はn−ドデシル基であり得る。
【0011】
1又はR2としての炭素原子数1ないし20のアルコキシ基の例は、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、第二ブトキシ基、第三ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−オクチルオキシ基又はn−ドデシルオキシ基であり得る。
【0012】
好適な炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基及びデカリニル基である。
【0013】
基R1又はR2としての炭素原子数5ないし30のアリール基は、例えば、フェニル基、トリル基、メシチル基、イシチル基、ナフチル基又はアントリル基である。
【0014】
好適な炭素原子数6ないし36のアラルキル基は、例えば、ベンジル基及び2−フェニルエチル基である。
【0015】
好ましいのは、Xが、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、フェニレン基又はメチレン
−p−ジフェニレン基を表わすところの式(1a)で表わされる化合物の使用である。
【0016】
好ましいのは、更に、Y1及びY2が、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数5ないし24のアリール基を表わす。)を表わすところの式(1a)で表わされる化合物である。
【0017】
特に好ましいのは、Y1及びY2が、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、水素原子、メチル基又はフェニル基を表わす。)を表わすところの式(1a)で表わされる化合物である。
【0018】
一般式(1a)で表わされる化合物の好適な例は、式(101)ないし(105)
【化4】

で表わされる化合物である。
【0019】
式(1a)で表わされる化合物は、既知であり、既知の方法によって合成され得る。
【0020】
好適な、式(1b)で表わされる化合物は、N,N−ジメチルヒドロキシルアミン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン、N,N−ジ−n−ブチルヒドロキシルアミン、N,N−ジベンジルヒドロキシルアミン及びN−ベンジル−N−メチルヒドロキシルアミンである。
【0021】
基本的には、あらゆるアニオン性又は非イオン性界面活性剤もしくは分散剤が、本発明に従った組成物において、成分(B)として使用され得る。
【0022】
好適なアニオン性界面活性剤の例は、アルキルスルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルナフタレンスルホネート、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、エトキシ化又はプロポキシ化アリールスルフェート、エトキシ化又はプロポキシ化アリールホスフェート、エトキシ化又はプロポキシ化アラルキルスルフェート及びエトキシ化又はプロポキシ化アラルキルホスフェートである。
【0023】
好適な非イオン性界面活性剤は、例えば、脂肪アルコールポリグリコールエーテル、アルキルフェノールポリグリコールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ポリグリコールエステル、エチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー及びポリグリセロール脂肪酸エステルである。
【0024】
本発明に従った組成物において、好ましいのは、成分(B)としての、式(2)
R−Z−SO3M (2)
[式中、
Zは、2価の芳香族基を表わし、
Rは、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基、炭素原子数6ないし36のアラルキル基、−NHR3、−NR45、−NHCOR6又は−NR7COR8(式中、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、各々互いに独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わし、該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、未置換であるか、又は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基又はカルボキシル基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。)を表わし、及び、
Mは、水素原子、アルカリ金属カチオン又は未置換のアンモニウムイオン又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたアンモニウムイオンを表わす。]で表わされる化合物の使用である。
【0025】
式(2)において、Zは、好ましくは、フェニレン基又はナフチレン基を表わし、Rは、好ましくは炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わす。
【0026】
特に好ましい成分(B)は、式(2a)、(2b)、(2c)及び(2d)
【化5】

(式中、R9は、炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、各々互いに独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、nは、1ないし10の数を表わし、及び、Mは、上記で定義した通りである。)で表わされる化合物である。
【0027】
好適な、式(2)で表わされる化合物は、例えば、オクチルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
【0028】
本発明に従った組成物において、好ましいのは、成分(B)としての、アルキルベンゼンスルホネート又はアルキルスルフェートの使用である。
【0029】
本発明において、本発明に従った組成物の成分(C)として好適な固体の無機酸又は有機酸は、融点F>40℃の化合物であると理解される。
多価性無機酸及びそれらの酸塩、例えば、H3PO4、NaH2PO4、H427、Na2227及びNa24310、及び、未置換の又は置換された有機モノ−、ジ−又はトリ−カルボン酸又は−スルホン酸が、目的のために好適である。
【0030】
好適な固体の有機酸の例は、モノカルボン酸、例えば安息香酸、サリチル酸、アスコルビン酸及びトルイル酸、ジカルボン酸、例えば蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸及びラセミ酸、及びトリカルボン酸、例えばトリメリット酸である。
【0031】
本発明における成分(C)として好適な更なる有機酸は、Mw>200の分子量(質量平均)を有する、カルボキシル基含有オリゴマー又はポリマー、例えば不飽和カルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はクロトン酸のホモ−又はコ−ポリマーである。
【0032】
α−ヒドロキシカルボン酸が、成分(C)として好ましく使用される。
【0033】
特に好ましいのは、酒石酸、蓚酸、アジピン酸及びクエン酸である。
【0034】
本発明に従った組成物における成分(A)、(B)及び(C)の量は、広い範囲で変化し得る。
【0035】
好ましいのは、全組成に基づき、10ないし50質量%、特に20ないし40質量%の成分(A)、44ないし85質量%、特に55ないし75質量%の成分(B)及び0ないし75質量%、特に10ないし60質量%の成分(C)を含む組成物である。
【0036】
本発明はまた、染色されていない、蛍光増白された又は反応染料、酸性染料、金属錯体染料又は分散染料で染色された、天然又は合成織物繊維材料の熱安定性を改善する方法であって、該繊維材料が、上記で言及した成分(A)、(B)及び(C)を含む組成物を含む液で処理されるところの方法に関する。
【0037】
本発明に従った方法を使用して処理され得る織物繊維材料は、天然又は合成繊維、及びまた、それらの混合物であり得る。天然繊維の例は、植物繊維、例えば綿、ビスコース、亜麻、レーヨン又はリンネル、及び、動物繊維、例えば羊毛、モヘア、カシミヤ、アンゴラ及び絹である。合成繊維は、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びポリアクリロニトリル繊維である。
【0038】
本発明に従った方法は、特にポリアミド繊維材料の処理のために好適である。
ポリアミド繊維材料としては、天然ポリアミド繊維材料、例えば、羊毛又は絹、又は合成ポリアミド繊維材料、例えば、ポリアミド6又はポリアミド6.6、又はブレンド、例えば、羊毛/セルロース、ポリアミド/セルロース、ポリアミド/羊毛、ポリアミド/ポリエステル又は、特に、ポリアミド/エラスタン ブレンドが考慮される。繊維材料は、好
ましくは、合成ポリアミド繊維材料である。
【0039】
繊維材料は、あらゆる形態、例えば、繊維、糸、織布、布地又は編物の形態において使用され得る。
【0040】
上記で言及した成分(A)、(B)及び(C)を含む、本発明に従った方法において使用される補助組成物は、0.1g/Lないし100g/L、好ましくは0.5g/Lないし50g/L、特に1.0g/Lないし40g/Lの量で有利に溶液中に存在する。
【0041】
本発明に従った組成物は、慣用の染色法又は印刷法によって、例えば、噴霧適用又は発泡適用によって、又は浸染法(exhaust process)によって、又は、好ましくはパッド染色法によって、織物繊維材料に適用され得る。
【0042】
特別な装置は必要ではない。例えば、慣用の染色装置、例えば、開放浴(open baths)、ウィンチベックス(winch becks)、ジッガー又はパドル、ジェット装置又は循環装置を使用することもできる。
【0043】
水及び本発明に従った織物補助剤に加えて、液は、更なる添加剤、例えば、湿潤剤、消泡剤、均染剤、蛍光増白剤、又は織物材料の性質に影響する薬剤、例えば、柔軟剤、防炎剤又は汚れ防止剤、撥水剤及び撥油剤、及びまた、硬水軟化剤及び天然又は合成増粘剤、例えば、アルギネート及びセルロースエーテルを含み得る。
【0044】
上記で言及したように、本発明に従った方法は、蛍光増白剤で処理されていてもよい染色されていない織物繊維材料(白色の製品)及び染色された織物繊維材料の熱安定化のために有利に使用され得る。
【0045】
染色されていない又は蛍光増白された織物繊維材料の場合において、ヒートセット(熱風)の間又は成形加工(接触熱)の間の熱処理によりもたらされる黄変は防止又は減少される。
【0046】
本発明に従った方法は、特に、蛍光増白された織物繊維材料の処理において効果的である。
【0047】
染色された織物繊維材料の熱安定化において、本発明に従った組成物は染色前、染色中又は染色後に適用され得る。
【0048】
組成物が染色前に使用される場合、いわゆるプレセット間の染色されていない製品の黄変は、防止又は減少され得る。
【0049】
本発明に従った組成物は、好ましくは反応染料、酸性染料、金属錯体染料又は分散染料を用いた織物繊維材料の染色後に適用される。
【0050】
本発明に従った織物補助剤での染色された織物繊材料の後処理は、特に、ポストセット(ヒートセット)間の一定の繊維保護をもたらし、ポストセット工程中に頻繁に起こる色調の変化を効果的に減少する、即ち、色調を一定に維持し、色落ちがなく、色の濃さの損失がない。
【0051】
染色されていないか又は蛍光増白された織物繊材料の場合において、本発明に従った組成物で処理した後、白色度においてあまり減少が観察されない。
【0052】
驚くべきことに、本発明に従った組成物を用いた織物繊維材料の処理はまた、オゾン堅牢度、NOX堅牢度及び塩素堅牢度において改善をもたらすことも見出された。
【0053】
従って、本発明はまた、染色されていない、蛍光増白された又は反応染料、酸性染料、金属錯体染料又は分散染料で染色された、天然又は合成織物繊維材料のオゾン堅牢度、NOx堅牢度又は塩素堅牢度を改善する方法であって、該繊維材料が、上記で言及された成分(A)、(B)及び(C)を含む組成物を含む液で処理されるところの方法に関する。
【0054】
いわゆる貯蔵黄変、即ち、織物材料の貯蔵の間に引き起こされる黄変もまた、驚くべきことに、本発明に従った組成物で処理することにより効果的に減少させることができる。貯蔵黄変に対する耐性は、一般に、コートールド(Courtauld)黄変試験を用いて測定される。
コートールド社によって開発され、マークス&スペンサー社によって更に改良されたコートールド試験は、フェノール系抗酸化剤によってもたらされる黄変に対する感度を評価するために織物工業において確立された試験である。
本発明に従った組成物で処理された織物繊維材料は、高いコートールド堅牢度を有する。
【0055】
本発明に従った組成物は、更なる添加剤として、例えば、湿潤剤、分散剤又はpH調節剤を含み得る。
【0056】
以下の実施例が本発明を説明するために供される。特に記載がない限り、温度は摂氏温度で示され、部は質量部を表わし、パーセント(%)は質量%に関する。質量部は、リットル(L)に対するキログラム(kg)の比で体積部に関連する。
【実施例】
【0057】
実施例1−13:蛍光増白されたポリアミドの処理
(a)増白工程
PA6.6(ポリアミド6.6)のテクスチャード加工されたトリコットを、2.0%ユビテックス(登録商標:Uvitex)NFW液(蛍光増白剤、チバスペシャルティケミカルズ社製)及びウルトラボン(登録商標:Ultravon)EL(分散剤、チバスペシャルティケミカルズ社製)1.0g/Lを含む水溶液で浸染法(exhaust process)により処理した。pHは酢酸で4.5に調整した。
溶液比 1:20、30分/95℃
(b)助剤の適用
増白された繊維を、表1に示した補助組成物を含む水溶液でパッド染色法により処理した。
溶液含浸量 100%;70℃で乾燥
ガンツ(Ganz)に従う白色度:230
該繊維をその後、ヒートセット試験(60秒/210℃)成形試験(60秒/210℃)に付した;未処理の材料と比較した結果を表2に示す。
表1:補助組成物
【表1】

表2:白色堅牢度及びコートールド堅牢度
【表2】

1)ヒートセット 60秒/180℃;成形 45秒/200℃。
【0058】
実施例14−16:染色されたポリアミド/エラスタンの処理
PA6.6/エラスタン繊維(82:18)を、pH 4.5において、1.7% ラナセット ブルー 2R(登録商標:Lanaset)(チバスペシャルティケミカルズ社製)及び1.0% ラナセット バイオレット B(登録商標:Lanaset)(チバスペシャルティケミカルズ社製)を含む水溶液を用いて、浸染法により染色した。
該方法において予め染色した繊維を、70℃において2分間、30% アジピン酸ジヒドラジド及び70% イルガソル DAM(登録商標:Irgasol)(分散剤、チバスペシャルティケミカルズ社製)(実施例14)、又は、30% アジピン酸ジヒドラジド及び70% タモル NN904(登録商標:Tamol)(分散剤)(実施例15)、又は、30% アジピン酸ジヒドラジド及び70% ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(実施例16)(液含浸率 70%)からなる補助組成物 30g/Lを含む各場合の水溶液を用いてパッド染色法により処理し、その後、ヒートセットした(60秒/180℃)。その後、染色繊維を、塩素浴水試験(chlorine bath water test)(100ppm Cl2)に付した。
表3は、対照(未処理の染色繊維)との比較における色調(DEF値)の差を示す。
表3
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)全組成に基づき5ないし95質量%の、式(1a)又は(1b)
1−X−Y2 (1a)
12N−OH (1b)
[式中、
Xは、2価の脂肪族、芳香族、芳香脂肪族又は脂環式の基を表わし、
1及びY2は、各々互いに独立して、−OH、−CO−OR1、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、各々互いに独立して、水素原子、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わし、該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、未置換であるか、又は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基又はカルボキシル基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。)を表わし、
1及びA2は、各々互いに独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わす。]で表わされる少なくとも1種の化合物、
(B)全組成に基づき0ないし95質量%の、1種以上のアニオン性又は非イオン性界面活性剤もしくは分散剤;及び、
(C)全組成に基づき0ないし85質量%の、固体の無機酸又は有機酸
を含み、
各場合において、成分A+B+Cの合計量が100質量%となる組成物。
【請求項2】
成分(A)として、Xが、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、フェニレン基又はメチレン−p−ジフェニレン基を表わすところの式(1a)で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
成分(A)として、Y1及びY2が、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、水素原子、炭素原子数1ないし12のアルキル基又は炭素原子数5ないし24のアリール基を表わす。)を表わすところの式(1a)で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
成分(A)として、Y1及びY2が、−NR12、−CO−NH−NR12又は−NH−CO−NH−NR12(式中、R1及びR2は、水素原子、メチル基又はフェニル基を表わす。)を表わすところの式(1a)で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
成分(A)として、式(101)ないし(105)
【化1】

で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
成分(A)として、A1及びA2がエチル基を表わすところの式(1b)で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
成分(B)として、式(2)
R−Z−SO3M (2)
[式中、
Zは、2価の芳香族基を表わし、
Rは、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基、炭素原子数6ないし36のアラルキル基、−NHR3、−NR45、−NHCOR6又は−NR7COR8(式中、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は、各々互いに独立して、炭素原子数1ないし20のアルキル基、炭素原子数1ないし20のアルコキシ基、炭素原子数5ないし24のシクロアルキル基、炭素原子数5ないし30のアリール基又は炭素原子数6ないし36のアラルキル基を表わし、該アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基は、未置換であるか、又は、ヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基又はカルボキシル基又はハロゲン原子の1つ以上によって置換され得る。)を表わし、及び、
Mは、水素原子、アルカリ金属カチオン又は未置換のアンモニウムイオン又は1つ以上の炭素原子数1ないし20のアルキル基によって置換されたアンモニウムイオンを表わす。]で表わされる化合物を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
成分(B)として、Zが、フェニレン基又はナフチレン基を表わし、かつRが炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わすところの式(2)で表わされる化合物を含む請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
成分(B)として、式(2a)、(2b)、(2c)又は(2d)
【化2】

(式中、R9は、炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、各々互いに独立して、水素原子又は炭素原子数1ないし20のアルキル基を表わし、nは、1ないし10の数を表わし、及び、Mは、請求項8で定義した通りである。)で表わされる化合物を含む請求項7に記載の組成物。
【請求項10】
成分(B)として、アルキルベンゼンスルホネート又はアルキルスルフェートを含む請求項7に記載の組成物。
【請求項11】
成分(C)として、α−ヒドロキシカルボン酸を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
成分(C)として、酒石酸、蓚酸、アジピン酸又はクエン酸を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
染色されていない、蛍光増白された又は反応染料、酸性染料、金属錯体染料又は分散染料で染色された、天然又は合成織物繊維材料の熱安定性を改善する方法であって、該繊維材料が請求項1に記載の組成物を含む液で処理されるところの方法。
【請求項14】
染色されていない、蛍光増白された又は反応染料、酸性染料、金属錯体染料又は分散染料で染色された、天然又は合成織物繊維材料のオゾン堅牢度、NOx堅牢度又は塩素堅牢度を改善する方法であって、該繊維材料が請求項1に記載の組成物を含む液で処理されるところの方法。



【公表番号】特表2009−534551(P2009−534551A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507031(P2009−507031)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053731
【国際公開番号】WO2007/122142
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(300052420)ハンツマン アドバンスト マテリアルズ (スイッツァランド) ゲーエムベーハー (26)
【氏名又は名称原語表記】HUNTSMAN ADVANCED MATERIALS (SWITZERLAND) GMBH
【Fターム(参考)】