説明

熱源機制御装置および熱源機制御方法

【課題】難しい施工を伴うことなく、低負荷時の省エネルギーを促進する。
【解決手段】現在の負荷熱量Wを求め(ステップS101)、負荷熱量WがW=0(無負荷)であれば(ステップS102のYES)、減段方向の最終段の冷凍機の運転を停止し、冷凍機の運転台数を零とする(ステップS104)。この時、その冷凍機の補機である1次ポンプは通常運転(連続運転)ではなく、間欠運転する(ステップS105)。なお、間欠運転に代えて、インバータ周波数を低下させるようにしてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて熱源機の運転台数を制御する熱源機制御装置および熱源機制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、テナントビルに設けられた空調機や地域冷暖房の需要家などに熱源水を供給する熱源装置は、複数の熱源機と、これら熱源機のそれぞれに補機として設けられた1次ポンプとを備え、熱源機からの熱源水を1次ポンプによって往ヘッダへ送り、往水管路を介して外部負荷(空調機・ファンコイル等の熱負荷、地域冷暖房の需要家など)に供給するようにしている。
【0003】
この熱源装置において、外部負荷で熱交換された熱源水は、還水管路を介して還ヘッダに戻され、再び熱源機に入り、以上の経路を循環する。例えば、熱源機を冷凍機とした場合、熱源水は冷水とされ、上述した経路を循環する。熱源機を加熱機とした場合、熱源水は温水とされ、上述した経路を循環する。なお、往ヘッダと還水管路とはバイパス管路によって連通されており、バイパス管路にはバイパス弁が設けられている。
【0004】
この熱源装置には、熱源機の運転を制御する熱源機制御装置が設けられる。熱源機制御装置は、往ヘッダと還ヘッダとの間の差圧を監視し、この差圧を一定とするようにバイパス弁の開度、すなわちバイパス管路を流れる熱源水の流量(バイパス流量)を制御する一方、往ヘッダから送られる熱源水の温度(送水温度)TSと、還ヘッダに戻される熱源水の温度(還水温度)TRと、還ヘッダに戻される熱源水の流量(負荷流量)Fとから、F×(TR−TS)として現在の負荷熱量Wを求め(W=F×(TR−TS))、この求めた現在の負荷熱量Wに応じて熱源機の運転台数を制御する。あるいは負荷流量Fに応じて熱源機の運転台数を制御する。
【0005】
この場合、熱源機制御装置には、運転順序テーブルが設定されており、負荷熱量Wに応じて熱源機の運転台数を制御する例では、図15に示されるように、負荷熱量Wが所定値W1に達するまでは指定順位1番の熱源機を運転し、負荷熱量W1が所定値W1を超えれば、指定順位1番の熱源機に加えて指定順位2番の熱源機の運転を開始する。また、負荷熱量Wが所定値W1を超えた後、所定値W1’(W1’<W1)以下となれば、指定順位2番の熱源機の運転を停止する。なお、熱源機の運転が開始されれば、その熱源機の補機である1次ポンプも連動してオンとされ、その運転が開始される。また、熱源機の運転が停止されれば、その熱源機の補機である1次ポンプも連動してオフとされ、その運転が停止される(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
〔還り温度による台数補正機能(強制停止機能)〕
非特許文献1には、還り温度による台数補正機能(強制停止機能)について記載されている。この還り温度による台数補正機能では、還り温度がある一定値を下回った状態(冷房時)、もしくはある一定値を上回った状態(暖房時)が、ある一定時間以上継続された場合、熱源機を1台強制的に停止する。これは熱源機本体サーモスタットによる停止を避けるための機能である。
【0007】
〔全熱源機の停止〕
この還り温度による台数補正機能を上述した熱源機制御装置に持たせた場合、熱源機の運転台数が1台で、還水温度TRがある一定値を下回った状態が一定時間継続すると(冷房時)、もしくは還水温度TRがある一定値を上回った状態が一定時間継続すると(暖房時)、全ての熱源機の運転が停止される。これにより、低負荷時、全ての熱源機の運転が停止され、省エネルギーが図られる。
【0008】
この場合、1次ポンプも全て停止させると、還水温度TRの検知を続けることができなくなる。そこで、全ての熱源機の運転を停止した後も、最後の熱源機の1次ポンプはオフとせずに、オン状態(通常の運転(連続運転))を継続させる。これにより、全熱源機の停止中、還水温度TRが一定値を上回ると(冷房時)、もしくは還水温度TRが一定値を下回ると(暖房時)、熱源機の運転を再開させて、通常の運転台数制御に戻すことが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−18674号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】環境共生世代の建築設備の自動制御入門、技術書院、176頁、2007/04)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上述した還り温度による台数補正機能を持たせた熱源機制御装置によると、全ての熱源機の運転を停止させた後も、最後の熱源機の1次ポンプをオン状態とし、通常の運転(連続運転)を継続させているので、この1次ポンプでの電力消費が低負荷時の省エネルギーを妨げる一因となっていた。
【0012】
なお、特許文献2には、空調機への熱源水の流入量を調節するバルブ(空調機のバルブ)の開度を監視し、この空調機のバルブの開度に基づいて熱源機の運転台数を制御するようにした熱源機制御装置が示されている。この特許文献2に示された熱源機制御装置によれば、空調機のバルブが全て全閉ならば、全ての熱源機の運転を停止させるようにする。この場合、還水温度の検知を続ける必要がないので、全ての1次ポンプの運転を停止させることができる。
【0013】
しかしながら、この特許文献2に示された熱源機制御装置では、空調機のバルブの開度を熱源機制御装置に入力しなければならず、空調機のバルブと熱源機制御装置との間の配線やエンジニアリングが必要であり、施工が難しいという問題がある。
【0014】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、難しい施工を伴うことなく、低負荷時の省エネルギーを促進することが可能な熱源機制御装置および熱源機制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
このような目的を達成するために本発明は、熱源水を生成する第1〜第N(N≧1)の熱源機と、この第1〜第Nの熱源機が生成する熱源水を搬送する第1〜第Nの1次ポンプと、第1〜第Nの熱源機からの熱源水を受ける往ヘッダと、この往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける外部負荷と、この外部負荷において熱交換された熱源水を第1〜第Nの熱源機に戻す還ヘッダと、往ヘッダと還ヘッダとを連通するバイパス管路とを備えた熱源装置に用いられる熱源機制御装置であって、外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて熱源機の運転台数を決定する熱源機運転台数決定手段と、外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる全熱源機停止手段とを備えることを特徴とする。
【0016】
本発明において、全熱源機停止手段は、外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる。
【0017】
本発明では、例えば、低消費電力の状態として、例えば、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を、予め定められたデューティ比(例えば、負荷側で能力不足を許容できる時間)で間欠運転したり、予め定められたインバータ周波数(例えば、熱源機の運転時に必要とされる最低流量値よりも小さい最小流量値とするようなインバータ周波数)で運転したりする。
【0018】
また、本発明では、例えば、低負荷の状態として、外部負荷への熱源水の熱量が所定値を下回っていた場合や、往ヘッダから送水される熱源水の送水温度が所定の能力値よりも高い場合(冷水であればその送水温度が所定値よりも低い場合)や、還ヘッダに戻される熱源水の還水温度が所定の能力値よりも高い場合(冷水であればその還水温度が所定値よりも低い場合)などに、第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させるようにする。
【0019】
なお、本発明は、2次ポンプを用いたシステムでも同様にして構成することが可能である。2次ポンプを用いたシステムでは、外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、第1〜第Nの熱源機および第1〜第Nの1次ポンプの全てを停止させるとともに、第1〜第Mの2次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させるようにする。
【0020】
また、本発明は、熱源装置に用いられる熱源機制御方法として実現することも可能である。請求項10〜18に係る発明は、請求項1〜9の熱源機制御装置に係る発明を方法としたものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させるようにしたので、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたデューティ比で間欠運転するようにしたり、第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたインバータ周波数で運転するようにしたりするなどして、難しい施工を伴うことなく、低負荷時の省エネルギーを促進することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る熱源機制御装置を用いた熱源装置の一実施の形態の要部(1次ポンプシステムへの適用例)を示す計装図である。
【図2】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第1例(実施の形態1)を説明するためのフローチャートである。
【図3】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第2例(実施の形態2)を説明するためのフローチャートである。
【図4】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第3例(実施の形態3)を説明するためのフローチャートである。
【図5】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第4例(実施の形態4)を説明するためのフローチャートである。
【図6】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第5例(実施の形態5)を説明するためのフローチャートである。
【図7】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第6例(実施の形態6)を説明するためのフローチャートである。
【図8】実施の形態1,2の熱源機制御装置の要部の機能ブロック図である。
【図9】実施の形態3,4の熱源機制御装置の要部の機能ブロック図である。
【図10】実施の形態5,6の熱源機制御装置の要部の機能ブロック図である。
【図11】本発明に係る熱源機制御装置を用いた熱源装置の他の実施の形態の要部(2次ポンプシステムへの適用例)を示す計装図である。
【図12】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第1例(実施の形態7)を説明するためのフローチャートである。
【図13】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第2例(実施の形態8)を説明するためのフローチャートである。
【図14】この熱源装置に用いられた熱源機制御装置が有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第3例(実施の形態9)を説明するためのフローチャートである。
【図15】負荷熱量に応じて熱源機の運転台数が制御される様子を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1はこの発明に係る熱源機制御装置を用いた熱源装置の一実施の形態の要部を示す計装図である。
【0024】
同図において、1−1〜1−nは冷水を生成する冷凍機、2−1〜2−nは冷凍機1−1〜1−nが生成する冷水を搬送する1次ポンプ、3は冷凍機1−1〜1−nからの冷水を受ける往ヘッダ、4は往水管路、5は往ヘッダ3から往水管路4を介して送られてくる冷水の供給を受ける外部負荷(空調機・ファンコイル等の熱負荷、地域冷暖房の需要家など)、6は還水管路である。外部負荷5には供給される冷水の流量を調整するためのバルブ5−1が設けられている。
【0025】
7は外部負荷5において熱交換され還水管路6を介して送られてくる冷水が戻される還ヘッダ、8は往ヘッダ3と還ヘッダ7とを連通するバイパス管路、9はバイパス管路8に設けられたバイパス弁、10は往ヘッダ3と還ヘッダ7との間の冷水の差圧ΔPを計測する差圧計、11は往ヘッダ3から外部負荷5への冷水の温度を送水温度TSとして計測する送水温度センサ、12は還ヘッダ7に戻される冷水の温度を還水温度TRとして計測する還水温度センサ、13は還ヘッダ7に戻される冷水の流量(外部負荷5に供給される冷水の流量)を負荷流量Fとして計測する流量計、14(14A)は本発明に係る熱源機制御装置である。
【0026】
この熱源装置において、1次ポンプ2−1〜2−nにより圧送された還水は、冷凍機1−1〜1−nにより冷却され、往ヘッダ3へ至り、往水管路4を介して外部負荷5へ供給される。そして、外部負荷5において熱交換され、還水管路6を介して還ヘッダ7に戻され、再び1次ポンプ2−1〜2−nによって圧送され、以上の経路を循環する。
【0027】
熱源機制御装置14Aは、差圧計10によって計測される往ヘッダ3と還ヘッダ7との間の差圧ΔPを監視し、この差圧ΔPを一定とするようにバイパス弁9の開度θ、すなわちバイパス管路8を流れる冷水の流量(バイパス流量)を制御する。また、熱源機制御装置14Aは、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、F×(TR−TS)として現在の負荷熱量Wを求め(W=F×(TR−TS))、この求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する。また、冷凍機1−1〜1−nのそれぞれに対して補機として設けられている1次ポンプ2−1〜2−nの運転を制御する。
【0028】
熱源機制御装置14Aは、プロセッサや記憶装置からなるハードウェアと、これらのハードウェアと協働して制御装置としての各種機能を実現させるプログラムとによって実現され、本実施の形態特有の機能として冷凍機1−1〜1−nの運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能を有している。以下、図2〜図7に示すフローチャートに従って、熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能について説明する。
【0029】
〔実施の形態1〕
図2は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第1例(実施の形態1)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態1において、1次ポンプ2−1〜2−nは、熱源機制御装置14Aによってそのオン/オフが制御されるものとする。
【0030】
〔冷凍機の運転台数の制御〕
熱源機制御装置14Aは、定周期で、現在の負荷を計測する(ステップS101)。この例では、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、現在の負荷熱量Wを求める。
【0031】
ここで、負荷熱量WがW=0(無負荷)でなければ(ステップS102のNO)、その求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する(ステップS103、図15参照)。
【0032】
この冷凍機の運転台数制御において、冷凍機1の運転を開始する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2もオンとし、その1次ポンプ2の運転を開始させる。また、冷凍機1の運転を停止する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2もオフとし、その1次ポンプ2の運転を停止させる。
【0033】
したがって、例えば冷凍機1−1を減段方向の最終段の冷凍機とした場合、負荷熱量WがW1を上回るまでの間、冷凍機1−1と1次ポンプ2−1とが運転される。この場合、1次ポンプ2−1は連続運転される。
【0034】
〔全冷凍機の停止制御〕
これに対し、負荷熱量WがW=0(無負荷)となれば(ステップS102のYES)、熱源機制御装置14Aは、減段方向の最終段の冷凍機1−1の運転を停止する(ステップS104)。これにより、全ての冷凍機1の運転が停止され、冷凍機1の運転台数が零となる。
【0035】
また、熱源機制御装置14Aは、冷凍機1−1の運転の停止と同時に、その冷凍機1−1の補機である1次ポンプ2−1を所定のデューティ比で間欠運転する(ステップS105)。この例では、10分周期程度で、1次ポンプ2−1の運転/停止を繰り返す。この1次ポンプ2−1の間欠運転により、還ヘッダ7からの還水は、冷凍機1−1を通して、往ヘッダ3,バイパス管路8,還ヘッダ7の経路で流れ続ける。
【0036】
これにより、往ヘッダ3からの外部負荷5への冷水の供給を可能な状態として、熱源機制御装置14Aでの送水温度TSの計測、還水温度TRの計測、負荷流量Fの計測が続けられ、全冷凍機の停止中、負荷熱量WがW>0とると(ステップS102のNO)、直ちに冷凍機の運転台数制御に戻されるようになる(ステップS103)。
【0037】
この実施の形態1では、無負荷時、冷凍機1−1〜1−nの全てを停止させるとともに、最後に停止した冷凍機1−1の1次ポンプ2−1の運転を間欠運転で継続させているので、1次ポンプ2−1の運転を通常の運転(連続運転)で継続させる方法と比べ、1次ポンプ2−1での電力消費が低減され、省エネルギーが促進されるものとなる。
【0038】
〔負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比としての間欠運転〕
この実施の形態1では、全冷凍機の停止中、1次ポンプ2−1を間欠運転する。この場合、1次ポンプ2−1の停止中は負荷を計測できなくなるが、図2にステップS105’として示すように、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として設定するこで、能力不足を許容できる時間内に通常の台数制御に戻すことが可能となる。
【0039】
〔実施の形態2〕
図3は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第2例(実施の形態2)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態2において、1次ポンプ2−1〜2−nには、その回転数を調整するためのインバータが付設されているものとする。この場合、熱源機制御装置14Aは、1次ポンプ2−1〜2−nにインバータ周波数を送ることによって、その回転数を制御する。
【0040】
〔冷凍機の運転台数の制御〕
熱源機制御装置14Aは、定周期で、現在の負荷を計測する(ステップS201)。この例では、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、現在の負荷熱量Wを求める。
【0041】
ここで、負荷熱量WがW=0(無負荷)でなければ(ステップS202のNO)、その求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する(ステップS203、図15参照)。
【0042】
この冷凍機の運転台数制御において、冷凍機1の運転を開始する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2へのインバータ周波数を100%とし、その1次ポンプ2を定格回転数で運転させる。また、冷凍機1の運転を停止する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2へのインバータ周波数を0%とし、その1次ポンプ2の運転を停止させる。
【0043】
したがって、例えば、冷凍機1−1を減段方向の最終段の冷凍機とした場合、負荷熱量WがW1を上回るまでの間、冷凍機1−1と1次ポンプ2−1とが運転される。この場合、1次ポンプ2−1は定格回転数で運転される。
【0044】
〔全冷凍機の停止制御〕
これに対し、負荷熱量WがW=0(無負荷)となれば(ステップS202のYES)、熱源機制御装置14Aは、減段方向の最終段の冷凍機1−1の運転を停止する(ステップS204)。これにより、全ての冷凍機1の運転が停止され、冷凍機1の運転台数が零となる。
【0045】
また、熱源機制御装置14Aは、冷凍機1−1の運転の停止と同時に、その冷凍機1−1の補機である1次ポンプ2−1へのインバータ周波数を低下させる(ステップS205)。この1次ポンプ2−1のインバータ周波数を低下させての運転により、還ヘッダ7からの還水は、冷凍機1−1を通して、往ヘッダ3,バイパス管路8,還ヘッダ7の経路で流れ続ける。
【0046】
これにより、往ヘッダ3からの外部負荷5への冷水の供給を可能な状態として、熱源機制御装置14Aでの送水温度TSの計測、還水温度TRの計測、負荷流量Fの計測が続けられ、全冷凍機の停止中、負荷熱量WがW>0となると(ステップS202のNO)、直ちに冷凍機の運転台数制御に戻されるようになる(ステップS203)。
【0047】
この実施の形態2では、無負荷時、冷凍機1−1〜1−nの全てを停止させるとともに、最後に停止した冷凍機1−1の1次ポンプ2−1の運転をインバータ周波数を低下させて継続させているので、1次ポンプ2−1の運転を通常の運転(インバータ周波数100%)で継続させる方法と比べ、1次ポンプ2−1での電力消費が低減され、省エネルギーが促進されるものとなる。
【0048】
〔最小流量値での運転〕
この実施の形態2では、全冷凍機の停止中、1次ポンプ2−1をインバータ周波数を低下させた状態で運転する。この場合、冷凍機1−1は停止しているので、冷凍機1−1に流す還水の流量値は、冷凍機1−1の運転時に必要とされる最低流量値QLOWよりも小さくすることが可能である。
【0049】
したがって、図3にステップS205’として示すように、1次ポンプ2−1をインバータ周波数を低下させて運転する場合、冷凍機1−1への還水の流量を冷凍機1−1の運転時に必要とされる最低流量値QLOWよりも小さい最小流量値QMINとするようなインバータ周波数fMINを定めるようにすると、1次ポンプ2−1での電力消費を可能な限り削減するようにして、省エネルギーをさらに推進することが可能となる。
【0050】
〔実施の形態3〕
図4は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第3例(実施の形態3)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態3において、1次ポンプ2−1〜2−nは、熱源機制御装置14Aによってそのオン/オフが制御されるものとする。
【0051】
〔冷凍機の運転台数制御〕
熱源機制御装置14Aは、定周期で、現在の送水温度TSを計測する(ステップS301)。ここで、送水温度TSが7.5℃以上であれば(ステップS302のNO)、熱源機制御装置14Aは、現在の負荷を計測する(ステップS305)。
【0052】
この例では、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、現在の負荷熱量Wを求める。
【0053】
そして、この求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する(ステップS306、図15参照)。
【0054】
〔全冷凍機の停止制御〕
熱源機制御装置14Aは、送水温度TSが7.5℃を下回っていれば(ステップS302のYES)、過剰能力の状態(低負荷の状態)と判断し、全ての冷凍機1の運転を停止する(ステップS303)。これにより、冷凍機1の運転台数が零となる。
【0055】
また、熱源機制御装置14Aは、全ての冷凍機1の運転の停止と同時に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1を所定のデューティ比で間欠運転する(ステップS304)。他の1次ポンプ2は全て停止する。この例では、10分周期程度で、1次ポンプ2−1の運転/停止を繰り返す。この1次ポンプ2−1の間欠運転により、還ヘッダ7からの還水は、冷凍機1−1を通して、往ヘッダ3,バイパス管路8,還ヘッダ7の経路で流れ続ける。
【0056】
これにより、往ヘッダ3からの外部負荷5への冷水の供給を可能な状態として、熱源機制御装置14Aでの送水温度TSの計測、還水温度TRの計測、負荷流量Fの計測が続けられる。
【0057】
この全冷凍機の停止中、送水温度TSが7.5℃以上となると(ステップS302のNO)、熱源機制御装置14Aは、現在の負荷計測を行い(ステップS305)、冷凍機の運転台数制御を再開する(ステップS306)。
【0058】
この実施の形態3では、送水温度TSが7.5℃を下回っている場合、過剰能力の状態(低負荷の状態)と判断し、冷凍機1−1〜1−nの全てを停止させるとともに、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1の運転を間欠運転で継続させているので、1次ポンプ2−1の運転を通常の運転(連続運転)で継続させる方法と比べ、1次ポンプ2−1での電力消費が低減され、省エネルギーが促進されるものとなる。
【0059】
〔負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比としての間欠運転〕
この実施の形態3では、全冷凍機の停止中、1次ポンプ2−1を間欠運転する。この場合、1次ポンプ2−1の停止中は負荷を計測できなくなるが、図4にステップS304’として示すように、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として設定するこで、能力不足を許容できる時間内に通常の台数制御に戻すことが可能となる。
【0060】
〔実施の形態4〕
図5は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第4例(実施の形態4)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態4において、1次ポンプ2−1〜2−nには、その回転数を調整するためのインバータが付設されているものとする。この場合、熱源機制御装置14Aは、1次ポンプ2−1〜2−nにインバータ周波数を送ることによって、その回転数を制御する。
【0061】
〔冷凍機の運転台数の制御〕
熱源機制御装置14Aは、定周期で、現在の送水温度TSを計測する(ステップS401)。ここで、送水温度TSが7.5℃以上であれば(ステップS402のNO)、熱源機制御装置14Aは、現在の負荷を計測する(ステップS405)。
【0062】
この例では、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、現在の負荷熱量Wを求める。
【0063】
そして、この求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する(ステップS406、図15参照)。
【0064】
〔全冷凍機の停止制御〕
熱源機制御装置14Aは、送水温度TSが7.5℃を下回っていれば(ステップS402のYES)、過剰能力の状態(低負荷の状態)と判断し、全ての冷凍機1の運転を停止する(ステップS403)。これにより、冷凍機1の運転台数が零となる。
【0065】
また、熱源機制御装置14Aは、全ての冷凍機1の運転の停止と同時に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1へのインバータ周波数を低下させる(ステップS404)。他の1次ポンプ2は全て停止する。この1次ポンプ2−1のインバータ周波数を低下させての運転により、還ヘッダ7からの還水は、冷凍機1−1を通して、往ヘッダ3,バイパス管路8,還ヘッダ7の経路で流れ続ける。
【0066】
これにより、往ヘッダ3からの外部負荷5への冷水の供給を可能な状態として、熱源機制御装置14Aでの送水温度TSの計測、還水温度TRの計測、負荷流量Fの計測が続けられる。
【0067】
この全冷凍機の停止中、送水温度TSが7.5℃以上となると(ステップS402のNO)、熱源機制御装置14Aは、現在の負荷計測を行い(ステップS405)、冷凍機の運転台数制御を再開する(ステップS406)。
【0068】
この実施の形態4では、低負荷時、送水温度TSが7.5℃を下回っている場合、過剰能力の状態(低負荷の状態)と判断し、冷凍機1−1〜1−nの全てを停止させるとともに、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1の運転をインバータ周波数を低下させて継続させているので、1次ポンプ2−1の運転を通常の運転(インバータ周波数100%)で継続させる方法と比べ、1次ポンプ2−1での電力消費が低減され、省エネルギーが促進されるものとなる。
【0069】
〔最小流量値での運転〕
この実施の形態4では、全冷凍機の停止中、1次ポンプ2−1をインバータ周波数を低下させた状態で運転する。この場合、冷凍機1−1は停止しているので、冷凍機1−1に流す還水の流量値は、冷凍機1−1の運転時に必要とされる最低流量値QLOWよりも小さくすることが可能である。
【0070】
したがって、図5にステップS404’として示すように、1次ポンプ2−1をインバータ周波数を低下させて運転する場合、冷凍機1−1への還水の流量を冷凍機1−1の運転時に必要とされる最低流量値QLOWよりも小さい最小流量値QMINとするようなインバータ周波数fMINを定めるようにすると、1次ポンプ2−1での電力消費を可能な限り削減するようにして、省エネルギーをさらに推進することが可能となる。
【0071】
〔実施の形態5〕
図6は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第5例(実施の形態5)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態5において、1次ポンプ2−1〜2−nは、熱源機制御装置14Aによってそのオン/オフが制御されるものとする。
【0072】
この実施の形態5は、実施の形態3とほゞ同じであり、実施の形態3では全冷凍機を停止するか否かの判断に送水温度TSを用いていたが、実施の形態5では還水温度TRを用いる。この場合、還水温度TRが10℃を下回れば(ステップS502のYES)、全ての冷凍機1の運転を停止し(ステップS503)、還水温度TRが10℃以上となれば(ステップS502のNO)、現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機の運転台数制御を再開する(ステップS506)。他は実施の形態3と同じであるのでその説明は省略する。
【0073】
〔実施の形態6〕
図7は熱源機制御装置14Aが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第6例(実施の形態6)を説明するためのフローチャートである。この実施の形態6において、1次ポンプ2−1〜2−nには、その回転数を調整するためのインバータが付設されているものとする。この場合、熱源機制御装置14Aは、1次ポンプ2−1〜2−nにインバータ周波数を送ることによって、その回転数を制御する。
【0074】
この実施の形態6は、実施の形態4とほゞ同じであり、実施の形態4では全冷凍機を停止するか否かの判断に送水温度TSを用いていたが、実施の形態6では還水温度TRを用いる。この場合、還水温度TRが10℃を下回れば(ステップS602のYES)、全ての冷凍機1の運転を停止し(ステップS603)、還水温度TRが10℃以上となれば(ステップS602のNO)、現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機の運転台数制御を再開する(ステップS606)。他は実施の形態4と同じであるのでその説明は省略する。
【0075】
図8に実施の形態1,2の熱源機制御装置14Aの要部の機能ブロック図を示す。実施の形態1,2において、熱源機制御装置14Aは、送水温度TSと還水温度TRと負荷流量Fとから現在の負荷熱量Wを求める負荷熱量算出部141と、負荷熱量算出部141によって求められた現在の負荷熱量WがW=0(無負荷)であるか否か判定する負荷状況判定部142と、負荷状況判定部142によって無負荷ではないと判定され場合に冷凍機の運転台数制御を行う冷凍機運転台数制御部143と、負荷状況判定部142によって無負荷と判定され場合に全冷凍機の停止制御を行う全冷凍機停止制御部144とを備えている。
【0076】
実施の形態1において、全冷凍機停止制御部144は、減段方向の最終段の冷凍機1−1の運転を停止させると共に、その冷凍機1−1の1次ポンプ2−1を所定のデューティ比で間欠運転する。例えば、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として間欠駆動する。実施の形態2において、全冷凍機停止制御部144は、減段方向の最終段の冷凍機1−1の運転を停止させると共に、その冷凍機1−1の1次ポンプ2−1へのインバータ周波数を低下させる。例えば、最低流量値QLOWよりも小さい最小流量値QMINとなるようなインバータ周波数fMINとする。
【0077】
図9に実施の形態3,4の熱源機制御装置14Aの要部の機能ブロック図を示す。実施の形態3,4において、熱源機制御装置14Aは、送水温度TSと還水温度TRと負荷流量Fとから現在の負荷熱量Wを求める負荷熱量算出部141と、冷凍機の運転台数制御を行う冷凍機運転台数制御部143と、全冷凍機の停止制御を行う全冷凍機停止制御部144’と、送水温度TSに基づいて能力過剰の状態(低負荷の状態)か否かを判断する能力過剰状態判定部145とを備えている。
【0078】
実施の形態3において、全冷凍機停止制御部144’は、能力過剰状態判定部145によって能力過剰の状態(低負荷の状態)と判定された場合(送水温度TSが7.5℃を下回っていた場合)に、全ての冷凍機1の運転を停止させると共に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1を所定のデューティ比で間欠運転する。例えば、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティとして間欠駆動する。
【0079】
実施の形態4において、全冷凍機停止制御部144’は、能力過剰状態判定部145によって能力過剰の状態(低負荷の状態)と判定された場合(送水温度TSが7.5℃を下回っていた場合)に、全ての冷凍機1の運転を停止させると共に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1へのインバータ周波数を低下させる。例えば、最低流量値QLOWよりも小さい最小流量値QMINとなるようなインバータ周波数fMINとする。
【0080】
図10に実施の形態5,6の熱源機制御装置14Aの要部の機能ブロック図を示す。実施の形態5,6において、熱源機制御装置14Aは、送水温度TSと還水温度TRと負荷流量Fとから現在の負荷熱量Wを求める負荷熱量算出部141と、冷凍機の運転台数制御を行う冷凍機運転台数制御部143と、全冷凍機の停止制御を行う全冷凍機停止制御部144’と、還水温度TRに基づいて能力過剰の状態(低負荷の状態)か否かを判断する能力過剰状態判定部145’とを備えている。
【0081】
実施の形態5において、全冷凍機停止制御部144’は、能力過剰状態判定部145’によって能力過剰の状態(低負荷の状態)と判定された場合(還水温度TRが10℃を下回っていた場合)に、全ての冷凍機1の運転を停止させると共に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1を所定のデューティ比で間欠運転する。例えば、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として間欠駆動する。
【0082】
実施の形態6において、全冷凍機停止制御部144’は、能力過剰状態判定部145’によって能力過剰の状態(低負荷の状態)と判定された場合(還水温度TRが10℃を下回っていた場合)に、全ての冷凍機1の運転を停止させると共に、減段方向の最終段の冷凍機1−1の1次ポンプ2−1へのインバータ周波数を低下させる。例えば、最低流量値QLOWよりも小さい最小流量値QMINとなるようなインバータ周波数fMINとする。
【0083】
なお、上述した実施の形態1〜6では、現在の負荷を負荷熱量Wとして計測するようにしたが、負荷流量Fとして計測するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態1,2では、無負荷である場合に全ての冷凍機1の運転を停止させるようにしたが、W1’を下回る値として定められた低負荷時に全ての冷凍機1の運転を停止させるようにしてもよい。
【0084】
また、上述した実施の形態1〜6では、減段方向の最終段の冷凍機1−1(最後に停止した冷凍機1−1)の1次ポンプ2−1の運転を低消費電力の状態(間欠運転、インバータ周波数を低下させての運転)で継続させるようにしたが、1次ポンプ2−1〜2−n中の他の1次ポンプの1台の運転を1次ポンプ2−1と同様に低消費電力の状態で継続させるようにしてもよい。
【0085】
また、上述した実施の形態1〜6では、熱源機を冷凍機とした場合について説明したが、熱源機を加熱機とした場合も同様の動作を行わせることができる。この場合、論理が逆となるのみで、冷凍機とした場合とその基本動作を同じである。
【0086】
また、上述した実施の形態1〜6は、1次ポンプのみを用いたシステム(1次ポンプシステム)への適用例として説明したが、2次ポンプを用いたシステム(2次ポンプシステム)でも同様にして適用することが可能である。図11に2次ポンプシステムへの適用例を示す。
【0087】
この2次ポンプシステムにおいて、3−1および3−2は冷凍機1−1〜1−nからの外部負荷5への冷水の供給路に設けられた第1および第2の往ヘッダであり、第1の往ヘッダ3−1と第2の往ヘッダ3−2との間には2次ポンプ15−1〜15−mが並列に接続されてている。また、第1の往ヘッダ3−1と第2の往ヘッダ3−2との間には、この往ヘッダ3−1と3−2との間を連通させるバイパス管路18にバイパス弁16が設けられている。また、第1の往ヘッダ3−1と第2の往ヘッダ3−2との間に、この往ヘッダ3−1と3−2との間の冷水の差圧ΔPを計測する差圧計17が設けられている。
【0088】
この2次ポンプシステムにおいて、熱源機制御装置14(14B)は、差圧計17によって計測される往ヘッダ3−1と往ヘッダ3−2との間の差圧ΔPを監視し、この差圧ΔPを一定とするようにバイパス弁16の開度θ、すなわちバイパス管路18を流れる冷水の流量(バイパス流量)を制御する。また、熱源機制御装置14Bは、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、F×(TR−TS)として現在の負荷熱量Wを求め(W=F×(TR−TS))、この求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する。また、冷凍機1−1〜1−nのそれぞれに対して補機として設けられている1次ポンプ2−1〜2−nおよび2次ポンプ15−1〜15−mの運転を制御する。
【0089】
〔実施の形態7〕
図12は熱源機制御装置14Bが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第1例(実施の形態7)を説明するためのフローチャートであり、1次ポンプシステムにおける図2に示したフローチャートに対応する。この実施の形態7において、2次ポンプ15−1〜15−mは、熱源機制御装置14Bによってそのオン/オフが制御されるものとする。
【0090】
〔冷凍機の運転台数の制御〕
熱源機制御装置14Bは、定周期で、現在の負荷を計測する(ステップS701)。この例では、送水温度センサ11からの送水温度TSと、還水温度センサ12からの還水温度TRと、流量計13からの負荷流量Fとから、現在の負荷熱量Wを求める。
【0091】
ここで、負荷熱量WがW=0(無負荷)でなければ(ステップS702のNO)、その求めた現在の負荷熱量Wに応じて冷凍機1−1〜1−nの運転台数を制御する(ステップS703、図15参照)。
【0092】
この冷凍機の運転台数制御において、冷凍機1の運転を開始する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2もオンとし、その1次ポンプ2の運転を開始させる。また、冷凍機1の運転を停止する場合、その冷凍機1の補機である1次ポンプ2もオフとし、その1次ポンプ2の運転を停止させる。
【0093】
したがって、例えば冷凍機1−1を減段方向の最終段の冷凍機とした場合、負荷熱量WがW1を上回るまでの間、冷凍機1−1と1次ポンプ2−1とが運転される。
【0094】
なお、この冷凍機の運転台数制御中、2次ポンプ15−1〜15−mはその全台がオンとされ、通常の運転(連続運転)が続けられるものとする。
【0095】
〔全冷凍機の停止制御〕
これに対し、負荷熱量WがW=0(無負荷)となれば(ステップS702のYES)、熱源機制御装置14Bは、減段方向の最終段の冷凍機1−1の運転を停止し、これに連動させてその冷凍機1−1の補機である1次ポンプ2−1の運転も停止させる(ステップS704)。これにより、全ての冷凍機1の運転が停止され、また全ての1次ポンプ2の運転が停止され、冷凍機1の運転台数が零となる。
【0096】
また、熱源機制御装置14Bは、冷凍機1−1の運転の停止と同時に、2次ポンプ15−1〜15−m中の1台を所定のデューティ比で間欠運転する(ステップS705)。この場合、他の2次ポンプ15の運転は停止する。この例では、10分周期程度で、2次ポンプ15−1の運転/停止を繰り返すものとする。この2次ポンプ15−1の間欠運転により、還ヘッダ7からの還水は、1次ポンプ2−1〜2−n、冷凍機1−1〜1−n、第1の往ヘッダ3−1,2次ポンプ15−1,第2の往ヘッダ3−2,バイパス管路18,バイパス管路8,還ヘッダ7の経路で流れ続ける。
【0097】
これにより、往ヘッダ3−1,3−2からの外部負荷5への冷水の供給を可能な状態として、熱源機制御装置14Bでの送水温度TSの計測、還水温度TRの計測、負荷流量Fの計測が続けられ、この全冷凍機の停止中、負荷熱量WがW>0となると(ステップS702のNO)、直ちに冷凍機の運転台数制御に戻されるようになる(ステップS703)。
【0098】
この実施の形態7では、無負荷時、冷凍機1−1〜1−nおよび1次ポンプ2−1〜2−nの全てを停止させるとともに、2次ポンプ15−1の運転を間欠運転で継続させているので、2次ポンプ15−1での電力消費が低減され、省エネルギーが促進されるものとなる。
【0099】
〔負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比としての間欠運転〕
この実施の形態7では、全冷凍機の停止中、2次ポンプ15−1を間欠運転する。この場合、2次ポンプ15−1の停止中は負荷を計測できなくなるが、図12にステップS705’として示すように、負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として設定するこで、能力不足を許容できる時間内に通常の台数制御に戻すことが可能となる。
【0100】
〔実施の形態8,9〕
参考として、図13および図14に、熱源機制御装置14Bが有する運転台数制御機能および全冷凍機の停止制御機能の第2例(実施の形態8)および第3例(実施の形態9)のフローチャートを示す。この図13および図14に示したフローチャートは1次ポンプシステムにおける図4および図6に示したフローチャートに対応する。実施の形態8,9は、実施の形態3,5に対し、低消費電力の状態で運転させるポンプが2次ポンプである点が異なるのみであるので、その説明は省略する。
【0101】
〔実施の形態の拡張〕
以上、実施の形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。また、各実施の形態については、矛盾しない範囲で任意に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0102】
1(1−1〜1−n)…冷凍機、2(2−1〜2−n)…1次ポンプ、3…往ヘッダ、4…往水管路、5…外部負荷、5−1…バルブ、6…還水管路、7…還ヘッダ、8…バイパス管路、9…バイパス弁、10…差圧計、11…送水温度センサ、12…還水温度センサ、13…流量計、14(14A,14B)…熱源機制御装置、141…負荷熱量算出部、142…負荷状況判定部、143…冷凍機運転台数制御部、144,144’…全冷凍機停止制御部、145,145’…能力過剰状態判定部、3−1…第1の往ヘッダ、3−2…第2の往ヘッダ、15(15−1〜15−m)…2次ポンプ、16…バイパス弁、17…差圧計、18…バイパス管路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源水を生成する第1〜第N(N≧1)の熱源機と、この第1〜第Nの熱源機が生成する熱源水を搬送する第1〜第Nの1次ポンプと、前記第1〜第Nの熱源機からの熱源水を受ける往ヘッダと、この往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける外部負荷と、この外部負荷において熱交換された熱源水を前記第1〜第Nの熱源機に戻す還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通するバイパス管路とを備えた熱源装置に用いられる熱源機制御装置であって、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて前記熱源機の運転台数を決定する熱源機運転台数決定手段と、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる全熱源機停止手段と
を備えることを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたデューティ比で間欠運転する
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたインバータ周波数で運転する
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項4】
請求項2に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として間欠運転する
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項5】
請求項3に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記熱源機の運転時に必要とされる最低流量値よりも小さい最小流量値とするインバータ周波数で運転する
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか1項に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記低負荷の状態として前記外部負荷への熱源水の熱量が所定値を下回っていた場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項7】
請求項1〜5の何れか1項に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記低負荷の状態として前記往ヘッダから送水される熱源水の送水温度が所定の能力値よりも高い場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項8】
請求項1〜5の何れか1項に記載された熱源機制御装置において、
前記全熱源機停止手段は、
前記低負荷の状態として前記還ヘッダに戻される熱源水の還水温度が所定の能力値よりも高い場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項9】
熱源水を生成する第1〜第N(N≧1)の熱源機と、この第1〜第Nの熱源機が生成する熱源水を搬送する第1〜第Nの1次ポンプと、前記第1〜第Nの熱源機からの熱源水を受ける第1の往ヘッダと、この第1の第1の往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける第2の往ヘッダと、この第2の往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける外部負荷と、この外部負荷において熱交換された熱源水を前記第1〜第Nの熱源機に戻す還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する第1のバイパス管路と、前記第1の往ヘッダと前記第2の往ヘッダとの間に並列に接続された第1〜第M(M≧2)の2次ポンプと、前記第1の往ヘッダと前記第2の往ヘッダとを連通する第2のバイパス管路とを備えた熱源装置に用いられる熱源機制御装置であって、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて前記熱源機の運転台数を決定する熱源機運転台数決定手段と、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、前記第1〜第Nの熱源機および前記第1〜第Nの1次ポンプの全てを停止させるとともに、前記第1〜第Mの2次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる全熱源機停止手段と
を備えることを特徴とする熱源機制御装置。
【請求項10】
熱源水を生成する第1〜第N(N≧1)の熱源機と、この第1〜第Nの熱源機が生成する熱源水を搬送する第1〜第Nの1次ポンプと、前記第1〜第Nの熱源機からの熱源水を受ける往ヘッダと、この往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける外部負荷と、この外部負荷において熱交換された熱源水を前記第1〜第Nの熱源機に戻す還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通するバイパス管路とを備えた熱源装置に適用される熱源機制御方法であって、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて前記熱源機の運転台数を決定する熱源機運転台数決定ステップと、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる全熱源機停止ステップと
を備えることを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項11】
請求項10に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたデューティ比で間欠運転する
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項12】
請求項10に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められたインバータ周波数で運転する
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項13】
請求項11に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を負荷側で能力不足を許容できる時間をデューティ比として間欠運転する
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項14】
請求項12に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記熱源機の運転時に必要とされる最低流量値よりも小さい最小流量値とするインバータ周波数で運転する
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項15】
請求項10〜14の何れか1項に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記低負荷の状態として前記外部負荷への熱源水の熱量が所定値を下回っていた場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項16】
請求項10〜14の何れか1項に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記低負荷の状態として前記往ヘッダから送水される熱源水の送水温度が所定の能力値よりも高い場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項17】
請求項10〜14の何れか1項に記載された熱源機制御方法において、
前記全熱源機停止ステップは、
前記低負荷の状態として前記還ヘッダに戻される熱源水の還水温度が所定の能力値よりも高い場合、前記第1〜第Nの熱源機の全てを停止させるとともに、前記第1〜第Nの1次ポンプの何れか1台を前記低消費電力の状態で運転させる
ことを特徴とする熱源機制御方法。
【請求項18】
熱源水を生成する第1〜第N(N≧1)の熱源機と、この第1〜第Nの熱源機が生成する熱源水を搬送する第1〜第Nの1次ポンプと、前記第1〜第Nの熱源機からの熱源水を受ける第1の往ヘッダと、この第1の第1の往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける第2の往ヘッダと、この第2の往ヘッダから送水される熱源水の供給を受ける外部負荷と、この外部負荷において熱交換された熱源水を前記第1〜第Nの熱源機に戻す還ヘッダと、前記往ヘッダと前記還ヘッダとを連通する第1のバイパス管路と、前記第1の往ヘッダと前記第2の往ヘッダとの間に並列に接続された第1〜第M(M≧2)の2次ポンプと、前記第1の往ヘッダと前記第2の往ヘッダとを連通する第2のバイパス管路とを備えた熱源装置に適用される熱源機制御方法であって、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況に基づいて前記熱源機の運転台数を決定する熱源機運転台数決定ステップと、
前記外部負荷への熱源水の負荷状況が所定値を下回る低負荷の状態であった場合、前記第1〜第Nの熱源機および前記第1〜第Nの1次ポンプの全てを停止させるとともに、前記第1〜第Mの2次ポンプの何れか1台を予め定められた低消費電力の状態で運転させる全熱源機停止ステップと
を備えることを特徴とする熱源機制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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