熱転写受像シート
【課題】熱転写受像シートに要求される種々の性能、具体的には「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」および「耐ブロッキング性」を同時に満たす熱転写受像シートを提供する。
【解決手段】基材シート１１に受容層１２を形成してなる熱転写受像シートにおいて、受容層を、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成し、かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とを含有し、さらに、前記受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下である。
【解決手段】基材シート１１に受容層１２を形成してなる熱転写受像シートにおいて、受容層を、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成し、かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とを含有し、さらに、前記受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱転写受像シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料（昇華型染料）をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に該染料の受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式（昇華型熱転写方式）が知られている。この方法は熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
【０００３】
熱転写受像シートの受容層を構成する樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる場合が多いが、これらの樹脂を用いた場合、受容層に光暴露があった場合に褪色してしまうことがあり、印画後の保存性、つまり耐光性が市場で求められるレベルになく、改善の余地があった。
【０００４】
熱転写受像シートの受容層に耐光性を付与すべく、アクリル系樹脂を用いることについても検討されているが（例えば特許文献１参照）、単純にアクリル系樹脂を用いた場合、印画時における熱転写シート（いわゆるリボン）との離型性が不十分となったり、印画後の受容層の上に保護層を形成する場合に、当該保護層の転写性が不十分となる場合があった。
【０００５】
さらに、熱転写受像シートにおいては、上記「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」の他にも、「耐ブロッキング性」も要求されており、このような種々の要求を同時に満たす熱転写受像シートが望まれている。
【０００６】
上記要求のうち、受容層の樹脂バインダのＴｇを下げることで「耐光性」に対する要求を満たすことができる。しかしながら、受容層の樹脂バインダのＴｇを下げた場合には、「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」が悪化してしまうこととなる。一方で、シリコーンオイルを添加することで「熱転写シートとの離型性」に対する要求を満たすことはできるものの、シリコーンオイルを添加した場合には「保護層の転写性」が悪化してしまうこととなる。このように、「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」等の性能を維持したまま、「耐光性」を向上することは困難であるのが現状である。
【０００７】
また、「耐光性」については、イエロー、マゼンタ、シアンなど、色によって耐光性が異なるが、（色味（色相）が）異なる色同士で耐光性のばらつきが大きい場合には、退色が目立ちやすいという問題がある。このために市場からは、単に各色の耐光性が良いだけでなく、各色の耐光性のバランスが良い熱転写受像シートが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特許第３４２１９３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明はこのような状況においてなされたものであり、熱転写受像シートに要求される種々の性能、具体的には「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」および「耐ブロッキング性」を同時に満たす熱転写受像シートを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するための本発明は、基材シートに受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、受容層が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されており、さらに前記受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の熱転写受像シートによれば、受容層を構成する樹脂として、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いているため、アクリル樹脂を用いた場合と同様の耐光性を発揮することができる。
【００１２】
また、離型剤として機能するビニル変性シリコーンと、当該ビニル変性シリコーンを適当に重合するための反応触媒とが含有されているため、アクリル樹脂を用いた場合に生じた熱転写シートとの離型性の悪化を防止することができる。さらに、本発明は離型剤として、ビニル変性シリコーンを用いているため、離型性の向上に伴い保護層の転写性が悪化することがなく、適当な離型性を維持しつつ、保護層の転写性をも良好に維持することができる。
【００１３】
さらに、本発明の熱転写受像シートはガラス転移点（Ｔｇ）を６０℃以上９０℃以下とであるため、上記の性能に加えて、耐ブロッキング性を向上することができる。
【００１４】
本発明の熱転写受像シートは、特に染料層バインダーにＣＡＰ（セルロース・アセテート・プロピオネート）が用いられている熱転写シートとの相性が良い。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の熱転写受像シート一例を示す概略断面図である。
【図２】本発明の熱転写受像シートの実施例を説明するための概略断面図である
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下に、本発明の熱転写受像シートについて詳細に説明する。
【００１７】
図１は、本発明の熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
【００１８】
図１に示すように、本発明の熱転写受像シート１０は、基材シート１１に受容層１２を形成してなる。そして、受容層１２が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、かつ、当該受容層１２には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されていることを特徴とする。
【００１９】
ここで、受容層１２をブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成することにより、熱転写受像シートに要求される「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」のすべて（特に「耐光性」）を良好に満たすことができる。また、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を上げる方向に作用するスチレンモノマーと、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を下げる方向に作用するブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートとを共重合させることにより、これらのバランスによって受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を適当な値、具体的には６０℃以上９０℃以下とすることが可能となり、これにより、特に「耐ブロッキング性」を向上することができる。
【００２０】
また、受容層１２中に離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とを含有させることにより、離型性の向上に伴い保護層の転写性が悪化することがなく、適当な離型性を維持しつつ、保護層の転写性をも良好に維持することができる。
【００２１】
離型剤としてのビニル変性シリコーンの配合量については特に限定することはないが、例えば、受容層に含まれるバインダ樹脂１００質量部とした場合に０．１〜３．０質量部となるように配合することが好ましく、１．０〜１．５質量部となるように配合することが特に好ましい。
【００２２】
ここで、本発明の熱転写受像シートにおいて用いられる反応触媒については特に限定されることはなく、ビニル変性シリコーンを適当な大きさに重合することを促進するような反応触媒であれば適宜選択可能である。具体的には、例えば白金触媒などを用いることが好ましい。
【００２３】
反応触媒の配合量についても特に限定することはないが、例えば、受容層中のシリコーンオイル添加量１００質量部とした場合に２０〜４０質量部となるように配合することが好ましく、２５〜３５質量部となるように配合することが特に好ましい。
【００２４】
受容層１２は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等、公知の添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
【００２５】
上記酸化防止剤としては、クロマン系化合物、クマロン系化合物、フェノール系化合物、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物等、画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【００２６】
上記紫外線吸収剤及び上記光安定剤としては、例えば、特開平１−２０４７８８号公報等に記載の公知の化合物が挙げられる。
【００２７】
上記フィラーとしては、無機化合物微粒子、有機化合物微粒子等を挙げることができる。上記無機化合物微粒子としては、シリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、上記有機化合物微粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子等を挙げることができる。
【００２８】
上記顔料としては、チタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土等、公知の化合物がを挙げることができる。
【００２９】
上記帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等、公知の化合物が挙げられる。
【００３０】
上記可塑剤及び上記熱溶融性物質は、通常、得られる熱転写受像シートの転写を促進するために添加するものである。上記可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等、公知の化合物を挙げることができる。上記熱溶融性物質としては、例えば、アルコール類、ケトン類、高級脂肪酸エステル等、転写を促進する作用を有する公知の化合物が挙げられる。
【００３１】
図１にも示したように、本発明の熱転写受像シートは、基材シートに受容層を形成してなるものである。本発明の熱転写受像シートにおける基材シートとしては、特に限定されず、「紙類」「合成樹脂等から形成されたフィルム又はシート」「上記紙類、フィルム、シート等を積層して得られる積層体」等を挙げることができる。（図１においては、基材シートが単層構造を呈しているが、これには限定されない。）また、多孔質構造を有する基材シートも、本発明では好適に用いることができる。多孔質構造を有する基材シートは、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。
【００３２】
上記基材シートとしての紙類としては、特に限定されず、セルロース繊維紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、片艶紙、含浸紙、板紙、合成紙等、公知のものが挙げられる。上記合成紙としては、例えば、合成樹脂含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、コンデンサーペーパー、硫酸紙等が挙げられる。本発明において、このような紙類には、必要に応じて、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、帯電防止剤、染料、顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤、減摩剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの紙類は、例えば、特開平１−２６３０８１号公報等に記載されている方法で製造することができる。
【００３３】
上記基材シートとしての合成樹脂としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂」「ポリカーボネート系樹脂」「ポリウレタン系樹脂」「ポリイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂」「セルロース誘導体」「ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂」「エチレン−酢酸ビニル共重合体」「ポリスチレン等のスチレン系樹脂」「ポリアクリル、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂」「各種ナイロン等のポリアミド系樹脂」「ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂」「ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂」「ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂」「テトラフルオロエチレン−パーフルオロ（アルキルビニルエーテル）共重合体等のフッ素系樹脂」等が挙げられる。このような合成樹脂からなる基材シートは、上記合成樹脂を１種若しくは２種以上混合して得られるフィルム又はシートであってもよいし、上記合成樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルム又はシートであってもよい。
【００３４】
本発明における基材シートとしての上記積層体としては、例えば、セルロース繊維紙と上記合成樹脂とからなるフィルム又はシートとを積層した積層体、上記合成樹脂からなる層を１層若しくは２層以上積層してなるフィルム又はシート等が挙げられる。
【００３５】
このような積層体は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等、公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、積層する前に、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
【００３６】
本発明の熱転写受像シートにおける基材シートの厚みは、通常１０〜１０００μｍ、好ましくは５０〜３００μｍであり、該範囲の中から適宜選択することができる。なお、本明細書において、基材シートの厚みは、基材シートが積層体である場合、積層体全体の厚みを意味する。
【００３７】
ここで、本発明の熱転写受像シートは、基材シートに直接受容層が形成されていていてもよく（図１参照）、一方で、基材シートと受容層との間に中間層を設けたものであってもよい。本発明において、「中間層」とは、基材シートと受容層との間にある全ての層を意味する。本発明の熱転写受像シートは、上記中間層を設けることにより、例えば、断熱性、クッション性、バリア性、層間接着性、白色性、隠蔽性、帯電防止性等に優れたものとすることができる。
【００３８】
上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ（メタ）アクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【００３９】
上記中間層は、例えば、水溶性高分子を添加したものであってもよい。上記水溶性高分子としては、「セルロース系樹脂、デンプン、寒天等の多糖類」「カゼイン、ゼラチン等のタンパク質」「ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−（メタ）アクリル共重合体、酢酸ビニル−ベオバ共重合体、（メタ）アクリル樹脂、スチレン−（メタ）アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂」「メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂」「ポリエステル」「ポリウレタン」等が挙げられる。本発明において、水溶性高分子とは、水性溶媒に完全溶解（粒径０．０１μｍ以下）、コロイダルディスパージョン（粒径０．０１〜０．１μｍ）、エマルジョン（粒径０．１〜１μｍ）又はスラリー（粒径１μｍ以上）の状態になる高分子を意味する。
【００４０】
上記中間層に、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を添加した場合、層間接着性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。また、上記中間層として、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物等の硬化剤とを併用した場合、更に層間接着性に優れた熱転写受像シートとすることができる。
【００４１】
上記中間層に、例えば、蛍光増白剤を添加した場合、熱転写受像シートに白色を付与することができる。上記蛍光増白剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、スチルベン系蛍光増白剤、ジスチルベン系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤、スチリル−オキサゾール系蛍光増白剤、ピレン−オキサゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤、アミノクマリン系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、ベンゾイミダゾール系蛍光増白剤、ピラゾリン系蛍光増白剤、ジスチリル−ビフェニル系蛍光増白剤等が挙げられる。本発明の熱転写受像シートは、上記蛍光増白剤の種類、添加量等を適宜選択することにより、白色度を調整することができる。
【００４２】
上記中間層に、酸化チタンを添加すると、基材シートのギラ付き感やムラを隠蔽した熱転写受像シートを得ることができる。上記酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンが挙げられるが、白色度の点で、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。上記酸化チタンは、中間層が上述の水溶性樹脂からなる場合、表面に親水性処理を施して添加してもよいし、界面活性剤等の分散剤を適宜添加して分散させてもよい。
【００４３】
上記中間層に、例えば導電性無機フィラー、有機性導電剤等を添加すると、帯電防止性を有する熱転写受像シートを得ることができる。
【００４４】
本発明の熱転写受像シートは、シートの機械搬送性向上、カール防止、筆記性、帯電防止等を目的として、基材シートの受容層形成側と反対側の面上に、裏面層を有するものであってもよい（図１には裏面層はない。）。本発明の熱転写受像シートにおいて、上記裏面層は、１層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる２層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
【００４５】
上記裏面層は、上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子として例示したものと同様の樹脂等から形成することができる。上記裏面層を形成する際に、例えば、（１）上記例示の樹脂等に加え、有機フィラー又は無機フィラーを適量添加する、又は、（２）ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂等、滑性が高い樹脂を使用すると、搬送性が向上した熱転写受像シートを得ることができる。
【００４６】
上記裏面層を形成する際に、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等、保水性を有する樹脂等を主成分として用いた場合、得られる熱転写受像シートのカールを防止することができる。上記裏面層を形成する際に、上述の受容層における添加剤として例示したフィラー、顔料等を配合した場合、得られる熱転写受像シートに筆記性を付与することができる。
【００４７】
上記裏面層は、帯電防止機能を得るために、アクリル樹脂等の導電性樹脂、及び／又は、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、エチレンオキサイド付加物等の各種帯電防止剤を添加したものであってもよい。上記帯電防止剤の使用量は、該帯電防止剤を添加する層、使用する帯電防止剤等の種類によって異なるが、給紙トラブルを防止する点で、熱転写受像シートの表面電気抵抗値が１０13Ω／ｃｍ2以下となるよう、通常、乾燥後０．０１〜３ｇ／ｍ2となる量で使用することが好ましい。
【００４８】
上記裏面層は、全体で乾燥後３ｇ／ｍ2以下となる量であれば、通常、目的とする各種効果を奏することができる。
【００４９】
本発明の熱転写受像シートにおける受容層は、前述のブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体からなり、かつ、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されているものである。当該共重合体、および含有される離型剤と反応触媒を用いて受容層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、塗工液を調製し、該塗工液を基材シート上又は中間層上に塗布し乾燥する塗工法等、公知の方法にて作製することができる。
【００５０】
上記受容層の塗工は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート等の一般的な方法にて行うことができる。上記受容層の塗工において、塗工液は、前記共重合体、離型剤としてのビニル変性シリコーンおよび反応触媒のみからなるものであってもよいし、上述したその他の樹脂や添加剤を適宜配合して調製したものであってもよい。
【００５１】
上記受容層の塗工において使用する塗工液は、固形分濃度が、通常５質量％以上である。該固形分濃度の上限は、高濃度になりすぎると保存安定性が低下し、粘度が上昇する場合があるため、通常５０質量％以下である。上記受容層の塗工において、乾燥は、使用する塗工液の組成に応じて異なるが、一般に、５０〜１５０℃の範囲で行うことが好ましい。上記塗工液は、受容層が乾燥後０．５〜１０ｇ／ｍ2の量となるよう塗布することが好ましい。
【００５２】
本発明の熱転写受像シートにおける中間層及び裏面層を形成する方法としては特に限定されないが、例えば、上述の構成成分からなる塗工液を調製して塗工する方法等が挙げられる。上述の中間層及び裏面層の塗工において、塗工液を調製するための溶媒としては、「水」「エタノール、プロパノール等のアルコール類」「メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類」「トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類」「アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類」「酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤」「テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類」「クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系溶剤」「ジメチルホルムアミド、Ｎ−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤」「ジメチルスルホキシド」等が挙げられる。
【００５３】
本発明における各層を形成するための各塗工において、層表面を平滑にするために、塗工後、プライマー処理等、公知の樹脂表面改質を行ってもよい。
【００５４】
本発明の熱転写受像シートにおける受像面に画像形成を行う方法としては、特に限定されず、公知の熱拡散型転写方式（昇華型熱転写方式）にて行うことができる。
【００５５】
また、上記画像形成の際に使用する熱転写シートとしては、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルム等の基材シート上に、熱拡散型染料（昇華型染料）を含む染料層を設けた従来の熱転写シートを使用することができる。上記熱転写シートとしては、特に、ＣＰＡからなる染料層を有するものが好ましい。
【００５６】
本発明の熱転写受像シートは、該熱転写受像シートの受像面に画像形成後、画像形成面に保護層を転写してなるものであってもよい。上記保護層を転写することにより、得られるシートの耐光性を更に向上させることができ、また耐皮脂性等の耐久性をも向上させることができる。また、本発明の熱転写受像シートは、保護層の離型性にも優れた効果を有するため、特に有用である。
【００５７】
上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂及び電離放射線架橋樹脂を１種又は２種以上配合してなるものであってもよい。上記保護層は、上記樹脂に加え、必要に応じ、紫外線遮断樹脂、紫外線吸収剤、導電性樹脂、フィラー等、上述の受容層に関して説明した添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
【００５８】
上記保護層は、１層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる２層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。上記保護層は、熱転写受像シート（印画物）への転写性、接着性等を良好にするために、接着剤層を有するものであってもよい。上記接着剤層は、従来公知のものから形成することができるが、ガラス転移点（Ｔｇ）が５０〜８０℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等から上記範囲内のガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。また、接着性の点で、上記熱可塑性樹脂は、平均分子量の小さい方が好ましい。上記保護層は、層全体で、通常０．１〜３０μｍ、好ましくは０．５〜５μｍの厚みとすることができる。
【実施例】
【００５９】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。
【００６０】
（実施例１）
図２は、本発明の熱転写受像シートの実施例を説明するための概略断面図である。
【００６１】
＜基材シート＞
基材シート２１として、三菱製紙（株）製ＲＣ原紙（１５５ｇ／ｍ2、厚さ１５１μｍ）を用いた。
【００６２】
＜表面樹脂層＞
基材シート２１の一方の面に、下記組成の表面樹脂層用塗工液を押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆することにより、表面樹脂層２２（厚さ１５μｍ）を形成した。
＜＜表面樹脂層用塗工液＞＞
・低密度ポリエチレン樹脂（密度０．９１８ｇ／ｃｍ3）・・・９１部
・アナターゼ型チタン・・・９部
【００６３】
＜裏面樹脂層＞
基材シート２１の、表面樹脂層２２が形成されていない方の面に、下記組成の裏面樹脂層用塗工液を押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆することにより、裏面樹脂層２３（厚さ３０μｍ）を形成した。
＜＜裏面樹脂層用塗工液＞＞
・高密度ポリエチレン樹脂（密度０．９６２ｇ／ｃｍ3）・・・７０部
・低密度ポリエチレン樹脂（密度０．９１８ｇ／ｃｍ3）・・・３０部
【００６４】
＜裏面層＞
裏面樹脂層２３に、下記組成の裏面層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ２μｍとなるように塗工して、裏面層２４を形成した。
＜＜裏面層用塗工液＞＞
・ポリビニルブチラール樹脂（♯３０００−１ 電気化学工業（株）製）・・・１０部
・キレート剤（テンカレート ＴＰ１１０）・・・４．３部
・ナイロン１２フィラー（ＮＷ３３０ 神東塗料（株）製）・・・２部
・トルエン／イソプロピルアルコール・・・８３．７部
【００６５】
＜接着層＞
表面樹脂層２２に、下記組成の接着層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ５μｍとなるように塗工して、接着層２５を形成した。
＜＜接着層用塗工液＞＞
・ウレタン樹脂（タケラックＡ−９６９Ｖ 三井武田ケミカル（株）製）・・・３０部
・イソシアネート（タケネートＡ−５ 三井武田ケミカル（株）製）・・・１０部
・酢酸エチル・・・６０部
【００６６】
＜多孔質フィルム層＞
接着層２５を介して、多孔質ポリエチレンフィルム（トヨパール−ＳＳ Ｐ４２５５ 東洋紡績（株）製 厚さ３５μｍ）からなる多孔質フィルム層２６を設けた。
【００６７】
＜プライマー層＞
多孔質フィルム層２６に、下記組成のプライマー層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ２μｍとなるように塗工して、プライマー層２７を形成した。
＜＜プライマー層用塗工液＞＞
・ポリエステル樹脂（ポリエスターＷＲ−９０５ 日本合成化学工業（株）製）
・・・５０部
・酸化チタン（ＴＣＡ８８８ （株）トーケムプロダクツ製）・・・２０部
・蛍光増白剤（ユビテックスＢＡＣ チバ・スペシャリティーケミカルズ（株）製）
・・・１．２部
・水／イソプロピルアルコール＝１／１・・・２８．８部
【００６８】
＜受容層＞
プライマー層２７に、下記組成の受容層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ５μｍとなるように塗工し、本発明の特徴である受容層２８を形成し、本発明の実施例１の熱転写受像シート２０を得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００６９】
（実施例２）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例２の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ８０℃）
・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７０】
（実施例３）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例３の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ベンジルメタアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ８２℃）
・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７１】
（実施例４）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例４の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ６０℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７２】
（比較例１）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例１（Ｔｇが範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ５５℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７３】
（比較例２）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例２（離型剤なし）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・１００部
【００７４】
（比較例３）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例３（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル（ＫＦ６１５ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７５】
（比較例４）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例４（共重合体と離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体（固形分１４％、Ｔｇ６７℃）・・・７１．４部
・エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−３０００Ｔ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７６】
（比較例５）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例５（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ポリエーテル・アミノ変性シリコーンオイル（Ｘ−６２−３９３９Ａ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７７】
（比較例６）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例６（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・高級脂肪酸変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−７１５ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７８】
（比較例７）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例７（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ５５℃）・・・７１．４部
・エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−３０００Ｔ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７９】
上記本発明の実施例１〜４の熱転写受像シートおよび比較例１〜７の熱転写受像シートについて、耐ブロッキング性、離型性、保護層転写性、および耐光性についてそれぞれ評価をした。その結果を以下の表１に示す。
【００８０】
【表１】
【００８１】
なお、耐ブロッキング性の評価は、熱転写記録する前の状態で、枚葉状態の各熱転写受像シートに２ｋｇｆ／ｃｍ2の荷重を加えながら６０℃で２４時間保存し、その後にブロッキングの有無を確認した。表中の符号は、「○・・・ブロッキングしていない」「△・・・少しブロッキングしている」「×・・・強くブロッキングしている」ことを表す。
【００８２】
また、離型性の評価は、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、黒ベタを印画している最中の剥離音を確認した。表中の符号は、「◎・・・剥離音がしない」「○・・・剥離音が小さい」「△・・・剥離音が中くらい」「×・・・剥離音が大きい」ことを表す。
【００８３】
また、保護層転写性の評価は、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、白ベタを印画し、その上から保護層の転写した場合の具合を評価した。表中の符号は、「○・・・正常に転写している」「△・・・一部転写欠けしている」「×・・・半分以上転写欠けしている」ことを表す。
【００８４】
また、耐光性の評価は、以下の方法で確認した。
【００８５】
＜印画物の作成＞
上記で得られた熱転写受像シートを被転写体として用い、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、レッドの各色の画像を、各色の反射濃度（以下ＯＤ値）が１．０±０．２の範囲内となる様に画像データを調整して、印画物を作成した。
（測色条件）
・測色器：分光測定器ＳｐｅｃｔｒｏＬｉｎｏ（Ｇｒｅｔａｇ Ｍａｃｂｅｔｈ社製）
・光源：Ｄ６５
・視野角：２°
・濃度測定用フィルター：ＡＮＳＩ Ｓｔａｔｕｓ Ａ
【００８６】
＜光照射条件＞
得られた画像をキセノンウェザオメター（アトラス社製、Ｃｉ４０００：ブラックパネル温度４５℃、フィルター：ＣＩＲＡ、ソーダライム、試験機内３０℃３０％、照射制御４２０ｎｍの紫外線を１．２ｗ／ｍ2に固定）にて９６時間照射を行い、照射前後の色相変化（照射前ＯＤ＝１付近のΔＥ＊ａｂ＝（（照射後Ｌ＊−照射前Ｌ＊）2＋（照射後ａ＊−照射前ａ＊）2＋（照射後ｂ＊−照射前ｂ＊）2）1/2；（式中、Ｌ＊、ａ＊及びｂ＊は、ＣＩＥ１９７６Ｌ＊ａ＊ｂ＊表色系に基づくものであり、Ｌ＊は明度を、ａ＊及びｂ＊は、知覚色度指数を表す。）を確認した。
【００８７】
＜耐光性評価１＞
上記の方法にて、ブラックのΔＥ＊ａｂを確認した。表中の符号は、「○：ΔＥ＊ａｂが１８未満」、「×：ΔＥ＊ａｂが１８以上」であることを表す。
＜耐光性評価２＞
上記の方法にて、各色のΔＥ＊ａｂを確認した。表中の符号は、「○：（ΔＥ＊ａｂの最大値―ΔＥ＊ａｂの最小値）の差が１８未満」、「×：（ΔＥ＊ａｂの最大値―ΔＥ＊ａｂの最小値）の差が１８以上」であることを表す。
ここでΔＥ＊ａｂの最大値とは、各色の中でΔＥ＊ａｂが最大であった色のΔＥ＊ａｂ値、ΔＥ＊ａｂの最小値とは、各色の中でΔＥ＊ａｂが最小であった色のΔＥ＊ａｂ値である。
【００８８】
以上の評価結果からも、本発明の熱転写受像シートは、耐ブロッキング性、離型性、保護層転写性、および耐光性において優れていることが分かる。
【符号の説明】
【００８９】
１０、２０…熱転写受像シート
１１、２１…基材シート
１２、２８…受容層
２２…表面樹脂層
２３…裏面樹脂層
２４…裏面層
２５…接着層
２６…多孔質フィルム層
２７…プライマー層
【技術分野】
【０００１】
本発明は、熱転写受像シートに関する。
【背景技術】
【０００２】
熱転写を利用した画像の形成方法として、記録材としての熱拡散型染料（昇華型染料）をプラスチックフィルム等の基材シート上に担持させた熱転写シートと、紙やプラスチックフィルム等の別の基材シート上に該染料の受容層を設けた熱転写受像シートとを互いに重ね合わせてフルカラー画像を形成する熱拡散型転写方式（昇華型熱転写方式）が知られている。この方法は熱拡散型染料を色材としているためドット単位で濃度、階調を自由に調節でき、原稿通りのフルカラー画像を受像シート上に鮮明に表現することができるので、デジタルカメラ、ビデオ、コンピューター等のカラー画像形成に応用されている。その画像は、銀塩写真に匹敵する高品質なものである。
【０００３】
熱転写受像シートの受容層を構成する樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂などの熱可塑性樹脂が用いられる場合が多いが、これらの樹脂を用いた場合、受容層に光暴露があった場合に褪色してしまうことがあり、印画後の保存性、つまり耐光性が市場で求められるレベルになく、改善の余地があった。
【０００４】
熱転写受像シートの受容層に耐光性を付与すべく、アクリル系樹脂を用いることについても検討されているが（例えば特許文献１参照）、単純にアクリル系樹脂を用いた場合、印画時における熱転写シート（いわゆるリボン）との離型性が不十分となったり、印画後の受容層の上に保護層を形成する場合に、当該保護層の転写性が不十分となる場合があった。
【０００５】
さらに、熱転写受像シートにおいては、上記「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」の他にも、「耐ブロッキング性」も要求されており、このような種々の要求を同時に満たす熱転写受像シートが望まれている。
【０００６】
上記要求のうち、受容層の樹脂バインダのＴｇを下げることで「耐光性」に対する要求を満たすことができる。しかしながら、受容層の樹脂バインダのＴｇを下げた場合には、「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」が悪化してしまうこととなる。一方で、シリコーンオイルを添加することで「熱転写シートとの離型性」に対する要求を満たすことはできるものの、シリコーンオイルを添加した場合には「保護層の転写性」が悪化してしまうこととなる。このように、「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」等の性能を維持したまま、「耐光性」を向上することは困難であるのが現状である。
【０００７】
また、「耐光性」については、イエロー、マゼンタ、シアンなど、色によって耐光性が異なるが、（色味（色相）が）異なる色同士で耐光性のばらつきが大きい場合には、退色が目立ちやすいという問題がある。このために市場からは、単に各色の耐光性が良いだけでなく、各色の耐光性のバランスが良い熱転写受像シートが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００８】
【特許文献１】特許第３４２１９３２号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００９】
本発明はこのような状況においてなされたものであり、熱転写受像シートに要求される種々の性能、具体的には「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」および「耐ブロッキング性」を同時に満たす熱転写受像シートを提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するための本発明は、基材シートに受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、受容層が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されており、さらに前記受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【００１１】
本発明の熱転写受像シートによれば、受容層を構成する樹脂として、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いているため、アクリル樹脂を用いた場合と同様の耐光性を発揮することができる。
【００１２】
また、離型剤として機能するビニル変性シリコーンと、当該ビニル変性シリコーンを適当に重合するための反応触媒とが含有されているため、アクリル樹脂を用いた場合に生じた熱転写シートとの離型性の悪化を防止することができる。さらに、本発明は離型剤として、ビニル変性シリコーンを用いているため、離型性の向上に伴い保護層の転写性が悪化することがなく、適当な離型性を維持しつつ、保護層の転写性をも良好に維持することができる。
【００１３】
さらに、本発明の熱転写受像シートはガラス転移点（Ｔｇ）を６０℃以上９０℃以下とであるため、上記の性能に加えて、耐ブロッキング性を向上することができる。
【００１４】
本発明の熱転写受像シートは、特に染料層バインダーにＣＡＰ（セルロース・アセテート・プロピオネート）が用いられている熱転写シートとの相性が良い。
【図面の簡単な説明】
【００１５】
【図１】本発明の熱転写受像シート一例を示す概略断面図である。
【図２】本発明の熱転写受像シートの実施例を説明するための概略断面図である
【発明を実施するための形態】
【００１６】
以下に、本発明の熱転写受像シートについて詳細に説明する。
【００１７】
図１は、本発明の熱転写受像シートの一例を示す概略断面図である。
【００１８】
図１に示すように、本発明の熱転写受像シート１０は、基材シート１１に受容層１２を形成してなる。そして、受容層１２が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、かつ、当該受容層１２には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されていることを特徴とする。
【００１９】
ここで、受容層１２をブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成することにより、熱転写受像シートに要求される「耐光性」「熱転写シートとの離型性」「保護層の転写性」「耐ブロッキング性」のすべて（特に「耐光性」）を良好に満たすことができる。また、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を上げる方向に作用するスチレンモノマーと、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を下げる方向に作用するブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートとを共重合させることにより、これらのバランスによって受容層のガラス転移点（Ｔｇ）を適当な値、具体的には６０℃以上９０℃以下とすることが可能となり、これにより、特に「耐ブロッキング性」を向上することができる。
【００２０】
また、受容層１２中に離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とを含有させることにより、離型性の向上に伴い保護層の転写性が悪化することがなく、適当な離型性を維持しつつ、保護層の転写性をも良好に維持することができる。
【００２１】
離型剤としてのビニル変性シリコーンの配合量については特に限定することはないが、例えば、受容層に含まれるバインダ樹脂１００質量部とした場合に０．１〜３．０質量部となるように配合することが好ましく、１．０〜１．５質量部となるように配合することが特に好ましい。
【００２２】
ここで、本発明の熱転写受像シートにおいて用いられる反応触媒については特に限定されることはなく、ビニル変性シリコーンを適当な大きさに重合することを促進するような反応触媒であれば適宜選択可能である。具体的には、例えば白金触媒などを用いることが好ましい。
【００２３】
反応触媒の配合量についても特に限定することはないが、例えば、受容層中のシリコーンオイル添加量１００質量部とした場合に２０〜４０質量部となるように配合することが好ましく、２５〜３５質量部となるように配合することが特に好ましい。
【００２４】
受容層１２は、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、フィラー、顔料、帯電防止剤、可塑剤、熱溶融性物質等、公知の添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
【００２５】
上記酸化防止剤としては、クロマン系化合物、クマロン系化合物、フェノール系化合物、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン系化合物、硫黄系化合物、リン系化合物等、画像耐久性を改善するものとして公知の化合物を挙げることができる。
【００２６】
上記紫外線吸収剤及び上記光安定剤としては、例えば、特開平１−２０４７８８号公報等に記載の公知の化合物が挙げられる。
【００２７】
上記フィラーとしては、無機化合物微粒子、有機化合物微粒子等を挙げることができる。上記無機化合物微粒子としては、シリカゲル、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸性白土、活性白土、アルミナ等を挙げることができ、上記有機化合物微粒子としては、フッ素樹脂粒子、グアナミン樹脂粒子、アクリル樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子等を挙げることができる。
【００２８】
上記顔料としては、チタンホワイト、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、活性白土、酸性白土等、公知の化合物がを挙げることができる。
【００２９】
上記帯電防止剤としては、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、高分子帯電防止剤、導電性微粒子等、公知の化合物が挙げられる。
【００３０】
上記可塑剤及び上記熱溶融性物質は、通常、得られる熱転写受像シートの転写を促進するために添加するものである。上記可塑剤としては、例えば、フタル酸系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤等、公知の化合物を挙げることができる。上記熱溶融性物質としては、例えば、アルコール類、ケトン類、高級脂肪酸エステル等、転写を促進する作用を有する公知の化合物が挙げられる。
【００３１】
図１にも示したように、本発明の熱転写受像シートは、基材シートに受容層を形成してなるものである。本発明の熱転写受像シートにおける基材シートとしては、特に限定されず、「紙類」「合成樹脂等から形成されたフィルム又はシート」「上記紙類、フィルム、シート等を積層して得られる積層体」等を挙げることができる。（図１においては、基材シートが単層構造を呈しているが、これには限定されない。）また、多孔質構造を有する基材シートも、本発明では好適に用いることができる。多孔質構造を有する基材シートは、受容層を保持するという役割を有するとともに、熱転写時には熱が加えられるため、加熱された状態でも取り扱い上、支障がない程度の機械的強度を有することが好ましい。
【００３２】
上記基材シートとしての紙類としては、特に限定されず、セルロース繊維紙、上質紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、片艶紙、含浸紙、板紙、合成紙等、公知のものが挙げられる。上記合成紙としては、例えば、合成樹脂含浸紙、合成ゴムラテックス含浸紙、コンデンサーペーパー、硫酸紙等が挙げられる。本発明において、このような紙類には、必要に応じて、サイズ剤、定着剤、紙力増強剤、帯電防止剤、染料、顔料、蛍光増白剤、酸化防止剤、減摩剤等の添加剤が含まれていてもよい。これらの紙類は、例えば、特開平１−２６３０８１号公報等に記載されている方法で製造することができる。
【００３３】
上記基材シートとしての合成樹脂としては、例えば、「ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂」「ポリカーボネート系樹脂」「ポリウレタン系樹脂」「ポリイミド、ポリエーテルイミド等のイミド系樹脂」「セルロース誘導体」「ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂」「エチレン−酢酸ビニル共重合体」「ポリスチレン等のスチレン系樹脂」「ポリアクリル、ポリアクリレート等のアクリル系樹脂」「各種ナイロン等のポリアミド系樹脂」「ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニル系樹脂」「ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等のケトン系樹脂」「ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等のスルホン系樹脂」「テトラフルオロエチレン−パーフルオロ（アルキルビニルエーテル）共重合体等のフッ素系樹脂」等が挙げられる。このような合成樹脂からなる基材シートは、上記合成樹脂を１種若しくは２種以上混合して得られるフィルム又はシートであってもよいし、上記合成樹脂に加え、顔料、充填剤等を加えて成膜したフィルム又はシートであってもよい。
【００３４】
本発明における基材シートとしての上記積層体としては、例えば、セルロース繊維紙と上記合成樹脂とからなるフィルム又はシートとを積層した積層体、上記合成樹脂からなる層を１層若しくは２層以上積層してなるフィルム又はシート等が挙げられる。
【００３５】
このような積層体は、ドライラミネーション、ウェットラミネーション、エクストリュージョン等、公知の積層方法により作製することができる。上記各層は、層間密着力を向上させることを目的として、積層する前に、その表面に適宜プライマー処理やコロナ放電処理を施すことができる。
【００３６】
本発明の熱転写受像シートにおける基材シートの厚みは、通常１０〜１０００μｍ、好ましくは５０〜３００μｍであり、該範囲の中から適宜選択することができる。なお、本明細書において、基材シートの厚みは、基材シートが積層体である場合、積層体全体の厚みを意味する。
【００３７】
ここで、本発明の熱転写受像シートは、基材シートに直接受容層が形成されていていてもよく（図１参照）、一方で、基材シートと受容層との間に中間層を設けたものであってもよい。本発明において、「中間層」とは、基材シートと受容層との間にある全ての層を意味する。本発明の熱転写受像シートは、上記中間層を設けることにより、例えば、断熱性、クッション性、バリア性、層間接着性、白色性、隠蔽性、帯電防止性等に優れたものとすることができる。
【００３８】
上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子としては、例えば、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリ（メタ）アクリル酸エステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ゼラチン、カゼイン等が挙げられる。
【００３９】
上記中間層は、例えば、水溶性高分子を添加したものであってもよい。上記水溶性高分子としては、「セルロース系樹脂、デンプン、寒天等の多糖類」「カゼイン、ゼラチン等のタンパク質」「ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−（メタ）アクリル共重合体、酢酸ビニル−ベオバ共重合体、（メタ）アクリル樹脂、スチレン−（メタ）アクリル共重合体、スチレン樹脂等のビニル系樹脂」「メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等のポリアミド系樹脂」「ポリエステル」「ポリウレタン」等が挙げられる。本発明において、水溶性高分子とは、水性溶媒に完全溶解（粒径０．０１μｍ以下）、コロイダルディスパージョン（粒径０．０１〜０．１μｍ）、エマルジョン（粒径０．１〜１μｍ）又はスラリー（粒径１μｍ以上）の状態になる高分子を意味する。
【００４０】
上記中間層に、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂等を添加した場合、層間接着性に優れた熱転写受像シートを得ることができる。また、上記中間層として、活性水素を有する熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物等の硬化剤とを併用した場合、更に層間接着性に優れた熱転写受像シートとすることができる。
【００４１】
上記中間層に、例えば、蛍光増白剤を添加した場合、熱転写受像シートに白色を付与することができる。上記蛍光増白剤としては、特に限定されず、従来公知のものを使用することができ、例えば、スチルベン系蛍光増白剤、ジスチルベン系蛍光増白剤、ベンゾオキサゾール系蛍光増白剤、スチリル−オキサゾール系蛍光増白剤、ピレン−オキサゾール系蛍光増白剤、クマリン系蛍光増白剤、アミノクマリン系蛍光増白剤、イミダゾール系蛍光増白剤、ベンゾイミダゾール系蛍光増白剤、ピラゾリン系蛍光増白剤、ジスチリル−ビフェニル系蛍光増白剤等が挙げられる。本発明の熱転写受像シートは、上記蛍光増白剤の種類、添加量等を適宜選択することにより、白色度を調整することができる。
【００４２】
上記中間層に、酸化チタンを添加すると、基材シートのギラ付き感やムラを隠蔽した熱転写受像シートを得ることができる。上記酸化チタンとしては、ルチル型酸化チタン及びアナターゼ型酸化チタンが挙げられるが、白色度の点で、アナターゼ型酸化チタンが好ましい。上記酸化チタンは、中間層が上述の水溶性樹脂からなる場合、表面に親水性処理を施して添加してもよいし、界面活性剤等の分散剤を適宜添加して分散させてもよい。
【００４３】
上記中間層に、例えば導電性無機フィラー、有機性導電剤等を添加すると、帯電防止性を有する熱転写受像シートを得ることができる。
【００４４】
本発明の熱転写受像シートは、シートの機械搬送性向上、カール防止、筆記性、帯電防止等を目的として、基材シートの受容層形成側と反対側の面上に、裏面層を有するものであってもよい（図１には裏面層はない。）。本発明の熱転写受像シートにおいて、上記裏面層は、１層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる２層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。
【００４５】
上記裏面層は、上記中間層を形成する樹脂、その他の高分子として例示したものと同様の樹脂等から形成することができる。上記裏面層を形成する際に、例えば、（１）上記例示の樹脂等に加え、有機フィラー又は無機フィラーを適量添加する、又は、（２）ポリオレフィン樹脂、セルロース樹脂等、滑性が高い樹脂を使用すると、搬送性が向上した熱転写受像シートを得ることができる。
【００４６】
上記裏面層を形成する際に、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等、保水性を有する樹脂等を主成分として用いた場合、得られる熱転写受像シートのカールを防止することができる。上記裏面層を形成する際に、上述の受容層における添加剤として例示したフィラー、顔料等を配合した場合、得られる熱転写受像シートに筆記性を付与することができる。
【００４７】
上記裏面層は、帯電防止機能を得るために、アクリル樹脂等の導電性樹脂、及び／又は、脂肪酸エステル、硫酸エステル、リン酸エステル、エチレンオキサイド付加物等の各種帯電防止剤を添加したものであってもよい。上記帯電防止剤の使用量は、該帯電防止剤を添加する層、使用する帯電防止剤等の種類によって異なるが、給紙トラブルを防止する点で、熱転写受像シートの表面電気抵抗値が１０13Ω／ｃｍ2以下となるよう、通常、乾燥後０．０１〜３ｇ／ｍ2となる量で使用することが好ましい。
【００４８】
上記裏面層は、全体で乾燥後３ｇ／ｍ2以下となる量であれば、通常、目的とする各種効果を奏することができる。
【００４９】
本発明の熱転写受像シートにおける受容層は、前述のブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体からなり、かつ、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されているものである。当該共重合体、および含有される離型剤と反応触媒を用いて受容層を形成する方法としては特に限定されず、例えば、塗工液を調製し、該塗工液を基材シート上又は中間層上に塗布し乾燥する塗工法等、公知の方法にて作製することができる。
【００５０】
上記受容層の塗工は、ロールコート、バーコート、グラビアコート、グラビアリバースコート、コンマコート、ダイコート、リップコート等の一般的な方法にて行うことができる。上記受容層の塗工において、塗工液は、前記共重合体、離型剤としてのビニル変性シリコーンおよび反応触媒のみからなるものであってもよいし、上述したその他の樹脂や添加剤を適宜配合して調製したものであってもよい。
【００５１】
上記受容層の塗工において使用する塗工液は、固形分濃度が、通常５質量％以上である。該固形分濃度の上限は、高濃度になりすぎると保存安定性が低下し、粘度が上昇する場合があるため、通常５０質量％以下である。上記受容層の塗工において、乾燥は、使用する塗工液の組成に応じて異なるが、一般に、５０〜１５０℃の範囲で行うことが好ましい。上記塗工液は、受容層が乾燥後０．５〜１０ｇ／ｍ2の量となるよう塗布することが好ましい。
【００５２】
本発明の熱転写受像シートにおける中間層及び裏面層を形成する方法としては特に限定されないが、例えば、上述の構成成分からなる塗工液を調製して塗工する方法等が挙げられる。上述の中間層及び裏面層の塗工において、塗工液を調製するための溶媒としては、「水」「エタノール、プロパノール等のアルコール類」「メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類」「トルエン、キシレン、クロルベンゼン等の芳香族類」「アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類」「酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤」「テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類」「クロロホルム、トリクロルエチレン等の塩素系溶剤」「ジメチルホルムアミド、Ｎ−メチルピロリドン等の含窒素系溶剤」「ジメチルスルホキシド」等が挙げられる。
【００５３】
本発明における各層を形成するための各塗工において、層表面を平滑にするために、塗工後、プライマー処理等、公知の樹脂表面改質を行ってもよい。
【００５４】
本発明の熱転写受像シートにおける受像面に画像形成を行う方法としては、特に限定されず、公知の熱拡散型転写方式（昇華型熱転写方式）にて行うことができる。
【００５５】
また、上記画像形成の際に使用する熱転写シートとしては、特に限定されず、例えば、ポリエステルフィルム等の基材シート上に、熱拡散型染料（昇華型染料）を含む染料層を設けた従来の熱転写シートを使用することができる。上記熱転写シートとしては、特に、ＣＰＡからなる染料層を有するものが好ましい。
【００５６】
本発明の熱転写受像シートは、該熱転写受像シートの受像面に画像形成後、画像形成面に保護層を転写してなるものであってもよい。上記保護層を転写することにより、得られるシートの耐光性を更に向上させることができ、また耐皮脂性等の耐久性をも向上させることができる。また、本発明の熱転写受像シートは、保護層の離型性にも優れた効果を有するため、特に有用である。
【００５７】
上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂、電離放射線架橋樹脂等、公知の保護層形成用樹脂から形成することができる。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノキシ樹脂、これらの各樹脂をシリコーン変性させた樹脂等が挙げられる。上記保護層は、熱可塑性樹脂、熱架橋性樹脂及び電離放射線架橋樹脂を１種又は２種以上配合してなるものであってもよい。上記保護層は、上記樹脂に加え、必要に応じ、紫外線遮断樹脂、紫外線吸収剤、導電性樹脂、フィラー等、上述の受容層に関して説明した添加剤を適宜配合してなるものであってもよい。
【００５８】
上記保護層は、１層のみから構成されるものであってもよいし、組成等が異なる２層以上の層を積層して構成されるものであってもよい。上記保護層は、熱転写受像シート（印画物）への転写性、接着性等を良好にするために、接着剤層を有するものであってもよい。上記接着剤層は、従来公知のものから形成することができるが、ガラス転移点（Ｔｇ）が５０〜８０℃の熱可塑性樹脂から形成することがより好ましい。上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂等から上記範囲内のガラス転移温度を有するものを選択することが好ましい。また、接着性の点で、上記熱可塑性樹脂は、平均分子量の小さい方が好ましい。上記保護層は、層全体で、通常０．１〜３０μｍ、好ましくは０．５〜５μｍの厚みとすることができる。
【実施例】
【００５９】
以下に実施例と比較例を挙げて本発明を説明する。なお、文中の「部」は特に断りの内限り質量基準である。
【００６０】
（実施例１）
図２は、本発明の熱転写受像シートの実施例を説明するための概略断面図である。
【００６１】
＜基材シート＞
基材シート２１として、三菱製紙（株）製ＲＣ原紙（１５５ｇ／ｍ2、厚さ１５１μｍ）を用いた。
【００６２】
＜表面樹脂層＞
基材シート２１の一方の面に、下記組成の表面樹脂層用塗工液を押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆することにより、表面樹脂層２２（厚さ１５μｍ）を形成した。
＜＜表面樹脂層用塗工液＞＞
・低密度ポリエチレン樹脂（密度０．９１８ｇ／ｃｍ3）・・・９１部
・アナターゼ型チタン・・・９部
【００６３】
＜裏面樹脂層＞
基材シート２１の、表面樹脂層２２が形成されていない方の面に、下記組成の裏面樹脂層用塗工液を押出コーティングし、微粗面加工されたクーリングロールを用いて押出被覆することにより、裏面樹脂層２３（厚さ３０μｍ）を形成した。
＜＜裏面樹脂層用塗工液＞＞
・高密度ポリエチレン樹脂（密度０．９６２ｇ／ｃｍ3）・・・７０部
・低密度ポリエチレン樹脂（密度０．９１８ｇ／ｃｍ3）・・・３０部
【００６４】
＜裏面層＞
裏面樹脂層２３に、下記組成の裏面層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ２μｍとなるように塗工して、裏面層２４を形成した。
＜＜裏面層用塗工液＞＞
・ポリビニルブチラール樹脂（♯３０００−１ 電気化学工業（株）製）・・・１０部
・キレート剤（テンカレート ＴＰ１１０）・・・４．３部
・ナイロン１２フィラー（ＮＷ３３０ 神東塗料（株）製）・・・２部
・トルエン／イソプロピルアルコール・・・８３．７部
【００６５】
＜接着層＞
表面樹脂層２２に、下記組成の接着層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ５μｍとなるように塗工して、接着層２５を形成した。
＜＜接着層用塗工液＞＞
・ウレタン樹脂（タケラックＡ−９６９Ｖ 三井武田ケミカル（株）製）・・・３０部
・イソシアネート（タケネートＡ−５ 三井武田ケミカル（株）製）・・・１０部
・酢酸エチル・・・６０部
【００６６】
＜多孔質フィルム層＞
接着層２５を介して、多孔質ポリエチレンフィルム（トヨパール−ＳＳ Ｐ４２５５ 東洋紡績（株）製 厚さ３５μｍ）からなる多孔質フィルム層２６を設けた。
【００６７】
＜プライマー層＞
多孔質フィルム層２６に、下記組成のプライマー層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ２μｍとなるように塗工して、プライマー層２７を形成した。
＜＜プライマー層用塗工液＞＞
・ポリエステル樹脂（ポリエスターＷＲ−９０５ 日本合成化学工業（株）製）
・・・５０部
・酸化チタン（ＴＣＡ８８８ （株）トーケムプロダクツ製）・・・２０部
・蛍光増白剤（ユビテックスＢＡＣ チバ・スペシャリティーケミカルズ（株）製）
・・・１．２部
・水／イソプロピルアルコール＝１／１・・・２８．８部
【００６８】
＜受容層＞
プライマー層２７に、下記組成の受容層用塗工液をワイヤーコーターバーを用い厚さ５μｍとなるように塗工し、本発明の特徴である受容層２８を形成し、本発明の実施例１の熱転写受像シート２０を得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００６９】
（実施例２）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例２の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ８０℃）
・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７０】
（実施例３）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例３の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ベンジルメタアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ８２℃）
・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７１】
（実施例４）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として本発明の実施例４の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ６０℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７２】
（比較例１）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例１（Ｔｇが範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ５５℃）・・・７１．４部
・ビニル変性シリコーン（Ｘ−６２−１２１２ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７３】
（比較例２）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例２（離型剤なし）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・１００部
【００７４】
（比較例３）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例３（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ポリエーテル変性シリコーンオイル（ＫＦ６１５ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７５】
（比較例４）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例４（共重合体と離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体（固形分１４％、Ｔｇ６７℃）・・・７１．４部
・エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−３０００Ｔ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７６】
（比較例５）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例５（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・ポリエーテル・アミノ変性シリコーンオイル（Ｘ−６２−３９３９Ａ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７７】
（比較例６）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例６（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ７０℃）・・・７１．４部
・高級脂肪酸変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−７１５ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７８】
（比較例７）
受容層用塗工液として下記組成のものを使用した以外、すべて前記実施例１と同様として比較例７（離型剤が範囲外）の熱転写シートを得た。
＜＜受容層用塗工液＞＞
・ブチルアクリレート／ベンジルアクリレート／スチレンの共重合体（固形分１４％、Ｔｇ５５℃）・・・７１．４部
・エポキシ・アラルキル変性シリコーンオイル（Ｘ−２２−３０００Ｔ 信越化学工業（株）製）
・・・０．１２５部
・反応触媒（白金触媒 ＰＬ−５０Ｔ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
・遅延剤（ＣＡＴ−ＰＬＲ−０５ 信越化学工業（株）製）・・・０．０３７５部
【００７９】
上記本発明の実施例１〜４の熱転写受像シートおよび比較例１〜７の熱転写受像シートについて、耐ブロッキング性、離型性、保護層転写性、および耐光性についてそれぞれ評価をした。その結果を以下の表１に示す。
【００８０】
【表１】
【００８１】
なお、耐ブロッキング性の評価は、熱転写記録する前の状態で、枚葉状態の各熱転写受像シートに２ｋｇｆ／ｃｍ2の荷重を加えながら６０℃で２４時間保存し、その後にブロッキングの有無を確認した。表中の符号は、「○・・・ブロッキングしていない」「△・・・少しブロッキングしている」「×・・・強くブロッキングしている」ことを表す。
【００８２】
また、離型性の評価は、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、黒ベタを印画している最中の剥離音を確認した。表中の符号は、「◎・・・剥離音がしない」「○・・・剥離音が小さい」「△・・・剥離音が中くらい」「×・・・剥離音が大きい」ことを表す。
【００８３】
また、保護層転写性の評価は、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、白ベタを印画し、その上から保護層の転写した場合の具合を評価した。表中の符号は、「○・・・正常に転写している」「△・・・一部転写欠けしている」「×・・・半分以上転写欠けしている」ことを表す。
【００８４】
また、耐光性の評価は、以下の方法で確認した。
【００８５】
＜印画物の作成＞
上記で得られた熱転写受像シートを被転写体として用い、昇華型プリンター（ＳＥＬＰＨＹ ＣＰ７４０ キヤノン（株）製）を使用し、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、レッドの各色の画像を、各色の反射濃度（以下ＯＤ値）が１．０±０．２の範囲内となる様に画像データを調整して、印画物を作成した。
（測色条件）
・測色器：分光測定器ＳｐｅｃｔｒｏＬｉｎｏ（Ｇｒｅｔａｇ Ｍａｃｂｅｔｈ社製）
・光源：Ｄ６５
・視野角：２°
・濃度測定用フィルター：ＡＮＳＩ Ｓｔａｔｕｓ Ａ
【００８６】
＜光照射条件＞
得られた画像をキセノンウェザオメター（アトラス社製、Ｃｉ４０００：ブラックパネル温度４５℃、フィルター：ＣＩＲＡ、ソーダライム、試験機内３０℃３０％、照射制御４２０ｎｍの紫外線を１．２ｗ／ｍ2に固定）にて９６時間照射を行い、照射前後の色相変化（照射前ＯＤ＝１付近のΔＥ＊ａｂ＝（（照射後Ｌ＊−照射前Ｌ＊）2＋（照射後ａ＊−照射前ａ＊）2＋（照射後ｂ＊−照射前ｂ＊）2）1/2；（式中、Ｌ＊、ａ＊及びｂ＊は、ＣＩＥ１９７６Ｌ＊ａ＊ｂ＊表色系に基づくものであり、Ｌ＊は明度を、ａ＊及びｂ＊は、知覚色度指数を表す。）を確認した。
【００８７】
＜耐光性評価１＞
上記の方法にて、ブラックのΔＥ＊ａｂを確認した。表中の符号は、「○：ΔＥ＊ａｂが１８未満」、「×：ΔＥ＊ａｂが１８以上」であることを表す。
＜耐光性評価２＞
上記の方法にて、各色のΔＥ＊ａｂを確認した。表中の符号は、「○：（ΔＥ＊ａｂの最大値―ΔＥ＊ａｂの最小値）の差が１８未満」、「×：（ΔＥ＊ａｂの最大値―ΔＥ＊ａｂの最小値）の差が１８以上」であることを表す。
ここでΔＥ＊ａｂの最大値とは、各色の中でΔＥ＊ａｂが最大であった色のΔＥ＊ａｂ値、ΔＥ＊ａｂの最小値とは、各色の中でΔＥ＊ａｂが最小であった色のΔＥ＊ａｂ値である。
【００８８】
以上の評価結果からも、本発明の熱転写受像シートは、耐ブロッキング性、離型性、保護層転写性、および耐光性において優れていることが分かる。
【符号の説明】
【００８９】
１０、２０…熱転写受像シート
１１、２１…基材シート
１２、２８…受容層
２２…表面樹脂層
２３…裏面樹脂層
２４…裏面層
２５…接着層
２６…多孔質フィルム層
２７…プライマー層
【特許請求の範囲】
【請求項１】
基材シートに受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、
受容層が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、
かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されており、
さらに、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下であることを特徴とする熱転写受像シート。
【請求項１】
基材シートに受容層を形成してなる熱転写受像シートにおいて、
受容層が、ブチルアクリレート、ベンジルアクリレート、およびベンジルメタアクリレートからなる群から選択される一または二以上のモノマーと、スチレンモノマーとの共重合体を用いて形成したものであり、
かつ、当該受容層には、離型剤としてのビニル変性シリコーンと、反応触媒とが含有されており、
さらに、受容層のガラス転移点（Ｔｇ）が６０℃以上９０℃以下であることを特徴とする熱転写受像シート。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２０１１−７３２９１（Ｐ２０１１−７３２９１Ａ）
【公開日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００９−２２７３１５（Ｐ２００９−２２７３１５）
【出願日】平成２１年９月３０日（２００９．９．３０）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２３年４月１４日（２０１１．４．１４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２１年９月３０日（２００９．９．３０）
【出願人】（０００００２８９７）大日本印刷株式会社 (14,506)
【Ｆターム（参考）】
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