説明

熱電気音響冷凍機及びその使用方法

【課題】効率的な熱電気音響冷凍機を提供する。
【解決手段】第1及び第2の開放端を有し、作動ガスを含有する概ね中空の本体と、本体内に配置された再生器と、第1の熱交換器と、第2の熱交換器と、本体の第1の端部に結合された音響源と、音響源に通信可能に接続された駆動装置と、本体内の音響エネルギーの少なくとも一部が音響エネルギー変換器により電気エネルギーに変換されるように本体の第2の端部に結合された音響エネルギー変換器とを含み、変換器は、変換器により生成された電気エネルギーの少なくとも一部が音響源に与えられ、第2の駆動信号として音響源を駆動するように、音響源に電気的に結合されており、これにより、音響エネルギーが再生器の領域におけるガスで動作して熱勾配を生成し、熱勾配は、第1の熱交換器に熱を付与し、第2の熱交換器から熱を抽出する熱電気音響冷凍機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱音響装置に関し、より具体的には、音響インピーダンス・ネットワークの選択された部分の代わりに、音響エネルギー変換器及び電気インピーダンス・ネットワークを用いる熱音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スターリングサイクルは、仕事を生成するため、或いは逆に加熱又は冷却を行なうため、一般的にはガスで動作する、周知の4部分の熱力学プロセスである。この4部分は、等温膨張、定容冷却、等温圧縮、定容加熱である。このプロセスは、サイクル中、ガスが常にシステム内に残っているという点で、閉鎖式である。
【0003】
スターリングサイクルを用いる1つの装置は、スターリング冷凍機である。典型的なスターリング冷凍機は、スターリングサイクルの一部として含有ガスの加熱/膨張及び冷却/圧縮を制御する、1つ又はそれ以上の機械ピストンを有する。ガスの膨張は、スターリングサイクルの一部として、負荷を冷却する役割を果たす。一般的に蓄熱式熱交換器又は再生器と呼ばれる要素が、冷凍機の熱効率を高める。このタイプの装置は、多くの場合、複雑であり、シール及びピストン等を含み、定期的な保守を必要とする。
【0004】
関連したタイプの冷凍装置は、熱音響冷凍機である。これらの装置は、スターリング冷凍機と、幾つかの基本的な物理的特性、すなわちスターリングサイクルに近似する含有ガスを共有する。しかしながら、熱音響冷凍機は、音響エネルギーが温度差を駆動して負荷から熱を抽出するという点で、スターリング冷凍機とは異なる。従来のスターリング冷凍機とは異なり、熱音響冷凍機内のガスは、本体構造内で大きく移動しない。寧ろ、圧力波が、ガスを通って伝播し、スターリングサイクルは、再生器の内部で局所的に行なわれる。
【0005】
熱音響冷凍機は、再生器における実質的な定在波又は進行波の音響位相で動作することができる。定在波型装置は、進行波型装置よりも効率が良くないことが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
当技術分野においては、スターリング及び熱音響冷凍機の他の例が多数ある。しかしながら、各々はそれぞれの欠点の組を呈する。ある従来技術の装置の1つの欠点は、理論上の最大効率を制限する、音響インピーダンス・ネットワークにおける電力損失である。電力損失の相対量は、低温であるほど大きくなるため、これが、室温付近の用途に対する熱音響冷凍機の有用性を妨げている。幾つかの従来技術の装置の別の欠点は、音響インピーダンス・ネットワークのサイズが相対的に大きいことである。このサイズは、コンパクトな装置を必要とする多数の用途にとって不都合である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
従って、本開示は、効率的な進行波型熱音響冷凍機に向けられる。本明細書に開示される冷凍機の1つの特徴は、装置が、低温熱交換器において音響出力を回復することである。別の特徴は、この回復を行うために電気機械要素及び電気回路を用いること、及び、回復したエネルギーを再利用して、装置の効率を改善することである。
【0008】
冷凍機は、再生器を収容する本体と、再生器のそれぞれの側に1つある2つ熱交換器と、再生器に対して互いに反対側に本体のそれぞれの端部に1つある2つの電気音響トランスデューサと、2つのトランスデューサの動きを制御する役割を果たす外部電気ネットワークとで構成される。従って、負荷との間で有用な熱エネルギーを結合することができる。冷凍機はまた、本体のある長さだけ低温熱交換器から分離された第3の熱交換器を含むこともできる。
【0009】
本開示の1つの態様によると、音響エネルギーは、ここでは「音響源」と呼ばれる電気音響トランスデューサにより、装置に導入される。以下に説明されるように、このエネルギーの一部は、負荷を熱音響的に冷却するために用いられる。残りの音響エネルギーは、第2の電気音響トランスデューサ、すなわち「音響エネルギー変換器」を駆動し、かつ、電気エネルギーに変換される。このエネルギーは、電気インピーダンス・ネットワークを通してフィードバックされ、音響源の駆動を助ける。
【0010】
この態様によると、電気インピーダンス・ネットワークが、音響インピーダンス・ネットワークに取って代わり、さらに出力の回復を行なう。このため、ここに開示された装置は、熱電気音響冷凍機(thermo−electro−acoustic refrigerator)と呼ばれる。電気インピーダンス・ネットワークは、種々の形態をとることができ、種々の受動素子及び/又は能動素子を含むことができる。
【0011】
音響源は、ガスを含有する閉鎖された本体構造内で圧力波を駆動させる。閉鎖された本体構造体は、再生器と、これを通って圧力波が進むことができる第1及び第2の熱交換器とをさらに含む。残りの圧力波を電気信号に変換する音響エネルギー変換器が、再生器に対して音響源の反対側に配置される。第3の熱交換器が、存在する場合には、低温熱交換器からある距離をおいて、ガスの温度を制御するように働く。
【0012】
音響エネルギー変換器により与えられた電気エネルギーは、冷凍機から出力され、音響源にフィードバックされ、音響源への電力伝達が最大化されるように適切な位相遅延及びインピーダンスを受ける。さらに、電気ネットワークは、電気音響トランスデューサ及び音響要素と組み合わせて、再生器の領域における音波のインピーダンス及び位相を設定する。
【0013】
従って、本体内の音響エネルギーの一部は電気エネルギーに変換され、音響源にフィードバックされて、付加的な音響エネルギーを生成する。この捕捉された音響エネルギーの少なくとも一部は、従来技術の音響インピーダンス・ネットワークにおいては他の方法で失われるエネルギーである。
【0014】
再生器の領域におけるガスには、近似のスターリングサイクルが施され、再生器において熱勾配を生成する。この熱勾配は、第1の側上の生成器に隣接する「高温」熱交換器への熱の付加、及び第1の側とは反対側の第2の側上の再生器に隣接する「低温」熱交換器からの熱の除去をもたらす。
【0015】
上記は、本開示の多数の独特な態様、特徴、及び利点の要約である。しかしながら、この要約は網羅的なものではない。従って、本開示のこれら及び他の態様、特徴、及び利点は、本明細書に与えられる特許請求の範囲に照らして考えるとき、以下の詳細な説明及び添付図面からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示による熱電気音響冷凍機の第1の実施形態の概略図である。
【図2】図1の熱電気音響冷凍機で用いるインピーダンス回路の概略図である。
【図3】図1の熱電気音響冷凍機におけるガスにより近似されるスターリングサイクルを示す圧力対容積のグラフである。
【図4】図1の熱電気音響冷凍機で用いる電力結合器の概略図である。
【図5】本明細書に開示される1つの実施形態による、熱電気音響エンジン及び冷凍機の直列配置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1を参照すると、本開示による、熱電気音響冷凍機の第1の実施形態10が示される。冷凍機10は、ほぼ管状の本体12を含む。本体12を構築する材料は、本発明の用途に応じて異なり得る。しかしながら、本体12は、一般に、熱的及び音響的に絶縁性であり、かつ、少なくとも幾つかの雰囲気への加圧に耐えることができるものであるべきである。本体12のための例示的な材料は、ステンレス鋼又は鉄ニッケルクロミウム合金を含む。
【0018】
本体12内に、再生器14が配置される。再生器14は、比較的高い熱質量及びガスとの比較的大きい相互作用表面積を提供するが、音響減衰は低い、様々な材料のいずれか及び構造的配置で構築することができる。ワイヤメッシュ又はスクリーン、連続気泡材料、ランダム繊維メッシュ又はスクリーン、又は当業者により理解される他の材料及び構成を採用することができる。再生器14を構成する材料の密度は、一定であってもよいし、又は、最適な効率のために、再生器14の長手方向寸法にわたるガスと壁との間の相互作用領域、及び音響インピーダンスを調整できるように、その縦軸に沿って変化してもよい。再生器の設計の他の詳細は、当技術分野において周知であり、従って本明細書ではこれ以上説明しない。
【0019】
再生器14の各々の外側端部には、第1の熱交換器16及び第2の熱交換器18が隣接している。熱交換器16、18は、本体12内から伝達媒体への熱伝達の効率が比較的高い、様々な材料のいずれか及び構造的配置で構築することができる。1つの実施形態においては、熱交換器16、18は、加熱される又は冷却される流体を内部で運ぶための1つ又はそれ以上の管とすることができる。管は、冷凍機の動作中、内部の流体と本体12内のガスとの間で熱エネルギー(加熱又は冷却)を効率的に伝達するような材料で形成され、そのような大きさにされ、配置される。熱伝達を向上させるために、フィン又は当技術分野において周知の他の構造体を有するように、管の表面積を増大させることができる。管52、54は、それぞれ第1及び第2の熱交換器との間で、冷凍機10の外にある熱リザーバからの流体又は負荷を伝達することを可能にする。熱交換器の設計の他の詳細は、当技術分野において知られており、従って本明細書ではこれ以上説明しない。
【0020】
随意的に、例えば、熱交換器18が第3の熱交換器19と再生器14との間に位置するように、第3の熱交換器19を本体12の一端内に配置することができる。第3の熱交換器19は、冷凍機の動作中、内部の流体と本体12内のガスとの間で熱エネルギー(加熱又は冷却)を効率的に伝達する材料で形成され、そのような大きさにされ配置された、1つ又はそれ以上の管のような第1の熱交換器16及び第2の熱交換器18と類似した構成とすることができる。管56は、第3の熱交換器との間で、冷凍機10の外にある熱リザーバからの流体又は負荷を伝達することを可能にする。
【0021】
音響源20が本体12の第1の長手方向端部に配置され、音響変換器22が、前述の再生器14に対して前述の音響源20とは反対側にある本体12の第2の長手方向端部に配置される。多くの異なるタイプの装置が、音響源20の機能を果たすことができる。周知の可動コイル、圧電式、静電式リボン、又は他の形態の拡声器が、音響源20を形成することができる。冷凍機の冷却効率を最大化できるように、非常に効率的で、コンパクトで、移動質量が小さく、周波数が調整可能であり、周波数が安定したスピーカーの設計が好ましい。
【0022】
同様に、多くの異なるタイプの装置が、音響変換器22の機能を果たすことができる。周知の静電式、電磁式、圧電式、又は他の形態のマイクロフォン又は圧力トランスデューサが、音響変換器を形成することができる。さらに、ガス・スプリング、コンプライアンス要素、イナータンス要素、又は他の音響要素を用いて、変換器22の機能を高めることもできる。冷凍機の冷却効率を最大化できるように、効率は、音響変換器22の好ましい属性である。
【0023】
駆動装置26が、(例えば図4に示されるタイプの)結合器28の入力k、lに接続される。本明細書でさらに説明されるように、駆動装置26は、所望の周波数及び振幅で音響源20を駆動できる音声駆動装置である。結合器28の出力は、図2に示す回路24のようなインピーダンス回路Z1への入力を形成する。インピーダンス回路Z1の出力a、bは、音響源20への入力を形成する。図2に示す回路24のような第2のインピーダンス回路Z2の出力e、fは、入力g、hとして結合器28に接続される。音響変換器22からの出力c、dは、インピーダンス回路Z2への入力として与えられる。インピーダンス回路Z1、Z2の役割は、所望の周波数及び位相で音響源20を効率的に駆動するように、システム・インピーダンスを整合させることである。位相遅延回路φ(ω)を用いて、当技術分野でよく理解されているような所望の位相を実現することもできる。
【0024】
上述の基本的な物理的要素及びそれらの相互接続部と共に、ここで冷凍機10の動作に目を向ける。最初に、ヘリウム等のガスが本体12内に封止される。音響源20により、ガス内に音波が確立される。この音波により、ガスは、スターリングサイクルに近似する音響振動を受ける。図3に示すこのサイクルは、段階1における、ガスが高温熱交換器から低温熱交換器への方向に移動するときのガスの定容冷却と、段階2におけるガスの等温膨張と、段階3における、ガスが低温熱交換器から高温熱交換機への方向に移動するときのガスの定容加熱と、段階4における結果として生じるガスの等温圧縮とを含み、この段階4の時点でガスは再び冷却され、プロセスが繰り返される。音波の残りのエネルギーは、変換器22により電気エネルギーに変換され、付加的な入力として音響源20にフィードバックされる。
【0025】
従って、再生器14において温度勾配が確立される。第1の熱交換器16は、冷凍機10内のガスから熱エネルギーを抽出し、熱エネルギーは高温熱交換器により内部の流体に受け入れられないという点で、「高温」熱交換器になる。同様に、第2の熱交換器18は、内部のガスから熱エネルギーを抽出し、熱エネルギーは冷凍機10内に含有されるガスに伝達され、流体は、入ってきたときよりも低温で冷凍機10を出るという点で、「低温」熱交換器になる。その結果、その熱交換器の出力において低温流体が使用可能になり、熱交換器を冷凍機10の外にある熱の抽出のために用いることができる。再生器14は、熱エネルギーを蓄える機能を果たし、この熱エネルギー変換プロセスの効率を大きく改善する。
【0026】
冷却プロセスの後、音響エネルギーの一部は残り、かつ、そのエネルギーの一部を電気エネルギーに変換する変換器22に入る。この電気エネルギーは、インピーダンス回路Z1及びZ2を介して、音響源20にフィードバックされ、かつ、該音響源20の駆動を助ける。再び図2を参照すると、電気部品(例えば、R1-4、L1-3、及びC1-3)の値は、機械部品及び音響部品と併せて、正のフィードバックを確立し、振動を所望の位相、振幅、及び周波数に維持し、変換器22から源20への電力伝達を最大化するように選択される。
【0027】
本開示の1つの利点は、電力の復旧により冷凍機の効率が大きく改善されることである。さらに別の利点は、電気部品は音響要素より容易に調整することができ、装置の最適化の単純性及び柔軟性が向上することである。
【0028】
ここで図5を参照すると、直列で動作する、組み合わせられた熱電気音響エンジン部分102及び熱電気音響冷凍機部分104で構成されるシステム100が示される。結合器106は、第1のインピーダンス回路Z1に入力を与え、次いで、エンジン部分102の音響源に電気入力を与える。第2のインピーダンス回路Z2は、エンジン部分102の変換器の電気出力を受け取り、これを分割器108に与える。エンジン部分102、結合器106、インピーダンス回路Z1及びZ2、並びに分割器108は、実質的に、例えば、前述の係属中の米国特許出願番号第12/533,839号に説明されるようなものとすることができる。結合器110は、電気入力をインピーダンス回路Z5に与え、次いで、電気入力を冷凍機部分104の音響源に与える。インピーダンス回路Z6は、冷凍機部分104の変換器の電気出力を受け取る。随意的な分割器112は、インピーダンス回路Z6の出力を受け取ることができる。冷凍機部分104、結合器110、インピーダンス回路Z5及びZ6、並びに分割器112は、例えば、実質的に、本明細書で上述されたようなものにすることができる。インピーダンス回路Z3及びZ4、並びに位相遅延φ(ω)1は、分割器108の電気出力が、所望の周波数、振幅及び位相で結合器110に入力されるように、これを調整する。同様に、インピーダンス回路Z7及びZ8、並びに位相遅延φ(ω)2は、分割器112の電気出力(又は、随意的に、冷凍機部分104の変換器から直接の出力)が、所望の周波数、振幅及び位相で結合器106に入力されるように、これを調整する。インピーダンス回路Z3、Z4、Z7及びZ8は、図2に示す回路24のようなものとすることができる。
【0029】
動作において、システム100は、エンジン部分102の再生器内に確立された熱勾配を用いて、エンジン部分102内に音波を生成する。前述の米国特許出願番号第12/533,839号により詳細に説明されるように、その波の一部は、エンジン部分102の変換器によって電気エネルギーに変換される。電気エネルギーの少なくとも一部が、分割器108により、インピーダンス回路Z3及びZ4、並びに位相遅延φ(ω)1に与えられ、最終的に、冷凍機部分104の音響源のための入力駆動エネルギーを形成する。冷凍機部分104は、「低温」熱交換器内の流体から熱が抽出されるように、上述のように動作される。従って、低温流体が、その熱交換器の出力において使用可能であり、この熱交換器を冷凍機部分104の外にある熱を抽出するために用いることができる。前述の米国特許出願番号第12/533,839号に説明されるように、冷凍機104の変換器により、余剰の電気エネルギーが、変換されて、インピーダンス回路Z6、分割器112、インピーダンス回路Z7及びZ8、並びに位相遅延φ(ω)2を介して、結合器106の入力に与えられ、最終的には、入力エネルギーをエンジン部分102の音響源に与え、内部の音波を増幅させる。さらに、本明細書及び前述の米国特許出願番号第12/533,839号に説明されるように、それぞれ結合器106、100において電気エネルギーを適用することにより、例えば、システム100の外にある源から、エンジン部分102及び/又は冷凍機部分104を駆動させるための電気エネルギーをシステム100に与えることができる。さらに、本明細書及び前述の米国特許出願番号第12/533,839号に説明されるように、それぞれ分割器108、112において電気エネルギーを利用することにより、例えば、システム100の外部の仕事を行なうために、電気エネルギーをシステム100から抽出することができる。
【0030】
システム100に代わるものとして、上述した例えばシステム10のような熱電気音響冷凍機の出力が、前述の米国特許出願番号第12/533,839号に説明され開示されたタイプの熱電気音響エンジンの変換器の後の分割器からの出力を入力k、lとして受け取ることができる。この代替的手法の1つの実施形態においては、熱電気音響冷凍機は、他の電気入力を受け取らない。
【0031】
本開示の説明又はその特許請求の範囲における制限を絶対的なものとして読むことはできない又は読むべきではない。特許請求の範囲の制限は、これらの制限を含めて本開示の範囲を定めることを意図している。これをさらに強調するために、「概ね(generally)」という用語は、時として本明細書においては、特許請求の範囲の制限と関連して用いられことがある(しかしながら、変形態様及び不完全な点についての考慮事項は、その用語と併せて用いられる制限だけに限られるものではない)。本開示自体の制限として正確に定義するのは困難であるが、この用語は、「大体において(to a large extent)」、「ほぼ(nearly)」、「技術的制限の範囲内で」等として解釈されることが意図される。
【0032】
さらに、上記の詳細な説明において複数の好ましい実施形態が提示されたが、膨大な数の変形態様が存在すること、及び、これらの好ましい例示的な実施形態は代表的な例にすぎず、多少なりとも、本開示の範囲、適用可能性、又は構成を制限することを意図するものではないことを理解すべきである。例えば、上記の説明は、同軸配置された要素を有する管状構造体に関するものである。しかしながら、一方又は両方の源及び変換器が非同軸配置された(例えば、本体の端部にではなく側部に)湾曲した又は折り畳まれた本体等の他の物理的配置も、用途によっては有利とすることができ、本発明の説明及び特許請求の範囲により検討される。従って、上記に開示された種々の他の特徴及び機能、又はその代替物を、多数の他の異なるシステム又は用途に望ましく組み合わせることができる。当業者であれば、現在予見されていない又は予期されていない代替物、修正、変形態様、又はその中或いはそれに対する改良を後に行うことができ、これもまた特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0033】
10:冷凍機
12:本体
14:再生器
16:第1の熱交換器
18:第2の熱交換器
19:第3の熱交換器
20:音響源
22:音響変換器
24:回路
26:駆動装置
28、106、110:結合器
52、54、56:管
100:システム
102:エンジン部分
104:冷凍機部分
108、112:分割器
1、Z2、Z3、Z4、Z5、Z6、Z7、Z8:インピーダンス回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電気音響冷凍機であって、
第1及び第2の開放端を有し、作動ガスを含有する概ね中空の本体と、
前記本体内に配置された再生器と、
前記本体内に配置され、かつ、その第1の長手方向端部において前記再生器に近接する第1の熱交換器と、
前記本体内に配置され、かつ、その第2の長手方向端部において前記再生器に近接する第2の熱交換器と、
音響源からの音響エネルギーが前記本体内に向けられるように、該本体の前記第1の端部に結合された音響源と、
第1の駆動信号を前記音響源に与えるように前記音響源に通信可能に接続された駆動装置と、
前記本体内の音響エネルギーの少なくとも一部が音響エネルギー変換器により電気エネルギーに変換されるように、前記再生器に対して前記第1の端部の反対側にある該本体の前記第2の端部に結合された音響エネルギー変換器と、
を含み、
前記変換器は、該変換器により生成された電気エネルギーの少なくとも一部が前記音響源に与えられ、第2の駆動信号として該音響源を駆動するように、該音響源に電気的に結合されており、
これにより、前記音響エネルギーが前記再生器の領域におけるガスで動作して熱勾配を生成し、前記熱勾配は、前記第1の熱交換器に熱を付与し、前記第2の熱交換器から熱を抽出することを特徴とする熱電気音響冷凍機。
【請求項2】
前記変換器により与えられた電気エネルギーが前記音響源に結合され、該変換器から該源へのエネルギーの伝達を最大化できるように、該変換器と該音響源との間に、これらと電気通信状態で配置されたインピーダンス整合回路をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の熱電気音響冷凍機。
【請求項3】
前記電気エネルギーの位相を制御して、前記第1の駆動信号と前記第2の駆動信号との間に制御された位相関係をもたらすことができるように、前記変換器と前記インピーダンス整合回路との間、又は、該インピーダンス整合回路と前記音響源との間に、これらと電気通信状態で配置された位相遅延装置をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の熱電気音響冷凍機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−33330(P2011−33330A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166821(P2010−166821)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(504407000)パロ アルト リサーチ センター インコーポレイテッド (65)