燃料電池および膜電極接合体
【課題】カソードへのアルカリ溶液の浸透性を向上させて、発電性能を向上することができる燃料電池を提供する。
【解決手段】燃料液を収容する容器11と、容器11内に配置されたアノード13と、容器11内に配置され、一部が容器11の外部に連通されたカソード14と、容器11内をアノード13が配置されたアノード領域Aとカソード14が配置されたカソード領域Bとに区画する陰イオン交換膜15とを備え、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池2を採用する。
【解決手段】燃料液を収容する容器11と、容器11内に配置されたアノード13と、容器11内に配置され、一部が容器11の外部に連通されたカソード14と、容器11内をアノード13が配置されたアノード領域Aとカソード14が配置されたカソード領域Bとに区画する陰イオン交換膜15とを備え、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池2を採用する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばグルコース等を燃料として発電を行う燃料電池および膜電極接合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カソードとアノードとの間にアニオン交換膜を接合し、糖とアルカリ溶液の混合溶液を燃料とした糖空気燃料電池が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の糖空気燃料電池は、例えば段落番号[0018]、[0033]に記述されているように、アニオン交換膜の両側に電極を接合した構成であり、より具体的には段落番号[0045]に記述のように、ホットプレスによって膜−電極接合体を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−93948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている燃料電池では、アニオン交換膜のアノード側には糖溶液を供給し、アニオン交換膜のカソード側には空気を供給している。段落番号[0020]には、カソードをアルカリ性雰囲気にすることで酸素還元反応の過電圧を低減できると記述されているが、このアルカリ性はアノード側のアルカリ性に依存している。
【0005】
アノード側の糖溶液にアルカリ性物質を混合しない構成においては、カソード側にアルカリ溶液を供給する必要が生じ、カソード側を液相雰囲気にすることが必要になる。
ところが、そのような液相雰囲気のカソードをアニオン交換膜に接合すると、接合領域の周縁においては反応に必要な三相界面を得られるものの、接合領域の中央部においてはアニオン交換膜とカソードとの間にアルカリ溶液が到達し難いため、三相界面を得難いという不都合がある。
【0006】
特にカソードとして、酸化マンガン粉末と炭素粉末をPTFE結着剤によって練り固めた構成を用いる場合などでは、カソードを多孔質材料で形成してもアルカリ溶液の浸透性が悪く、上記の不都合が顕著に現れる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、カソードへのアルカリ溶液の浸透性を向上させて、発電性能を向上することができる燃料電池および膜電極接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、燃料液を収容する容器と、前記容器内に配置されたアノードと、前記容器内に配置され、一部が前記容器の外部に連通されたカソードと、前記容器内を前記カソードが配置されたカソード領域と前記アノードが配置されたアノード領域とに区画する陰イオン交換膜とを備え、前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、容器内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノードにおいて電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノードに放出された電子は、アノードとカソードとを電気的に接続する導線を通って、カソードに送られる。一方、カソードでは、カソードの一部が容器の外部に連通されているため、容器の外部から酸素が供給される。そして、カソード表面において、容器の外部から供給された酸素と、アノードから導線を通って送られてきた電子と、容器内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0010】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜を透過してアノード領域へ移動する。そして、アノード領域では、カソード領域から移動してきた水酸化物イオンと、アノードにおいて燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノードにおいて酸化が行われるともに、カソードにおいて還元が行われることで発電が行われる。
【0011】
ここで、カソード領域にアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域における還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域から電解質膜を透過してアノード領域に移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0012】
この場合において、本発明の第1の態様に係る燃料電池は、カソードと陰イオン交換膜との間に、カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成されている。このような構成を有することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路を介してカソードの表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソードの中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0013】
上記態様において、前記カソードと前記陰イオン交換膜の間に配置され、前記カソードとの当接面に前記流路が形成された流路部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、カソードと陰イオン交換膜の間に、アルカリ性の電解質溶液が流通する流路を容易に形成することができる。
【0014】
上記態様において、前記流路部材が、多孔質材料で形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路だけでなく、流路部材に形成された多数の孔により流通させることができる。これにより、アルカリ性の電解質溶液の浸透性を向上することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0015】
上記態様において、前記カソードが、前記陰イオン交換膜との当接面に前記流路が形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、カソードと陰イオン交換膜の間に、アルカリ性の電解質溶液が流通する流路を容易に形成することができる。また、前述の流路部材を不要とすることができ、燃料電池を構成するための部品点数を少なくしてコストの低減を図ることができる。
【0016】
上記態様において、前記流路と連通し、電解質溶液を貯留する貯留槽を備えることとしてもよい。
このように構成することで、貯留槽にアルカリ性の電解質溶液を収容することができ、カソードと陰イオン交換膜との間に形成された流路に、安定的にアルカリ性の電解質溶液を流入させることができる。これにより、カソードを安定したアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、糖溶液を燃料とするアノードと、空気中の酸素を燃料とするカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された陰イオン交換膜とを備え、前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された膜電極接合体である。
このような膜電極接合体を燃料電池に適用することで、前述の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カソードへのアルカリ溶液の浸透性を向上させて、発電性能を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の流路部材の正面方向からの斜視図である。
【図5】図4の流路部材の背面方向からの斜視図である。
【図6】図4の流路部材の正面図である。
【図7】図4の流路部材の背面図である。
【図8】図7の流路部材のA−A断面図である。
【図9】図7の流路部材のB−B断面図である。
【図10】本発明の変形例に係る燃料電池の流路部材の正面方向からの斜視図である。
【図11】図10の流路部材の背面方向からの斜視図である。
【図12】図10の流路部材の正面図である。
【図13】図10の流路部材の背面図である。
【図14】図13の流路部材のC−C断面図である。
【図15】図13の流路部材のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体1について図1を参照して説明する。
まず、前提条件として、本実施形態に係る膜電極接合体が用いられる糖−空気燃料電池は、アノードでの糖酸化反応とカソードでの酸素還元反応に伴って、両電極間において外部回路を通って電子が移動するとともに、カソードからアノードへ水酸化物イオン(OH−)である陰イオン(アニオン)が移動するアニオン移動型の構成となっている。
【0021】
アノードでは、燃料である糖類が酸化されて電子を放出する。放出された電子は、外部回路を通って仕事(発電)を行い、カソードに運ばれる。一方、カソードでは、大気中の酸素(と水)が運ばれてきた電子とともに還元され、水酸化物イオン(OH−)が発生する。このように発生した水酸化物イオン(OH−)は、陰イオン交換膜を透過してアノード(燃料)側へ移動する。アノード側では、移動してきた水酸化物イオン(OH−)と、糖類の酸化で発生した水素イオン(H+)とが反応して水(H2O)となる。
【0022】
上述のように、糖−空気燃料電池は、燃料電池として外部回路に電子を流すために、カソード側からアノード側にアニオンである水酸化物イオン(OH−)が移動することで発電回路が形成されている。以下、このような糖−空気燃料電池に適用される本実施形態に係る膜電極接合体の構成について説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体1の概略構成図である。
本実施形態に係る膜電極接合体1は、図1に示すように、糖溶液を燃料とするアノード13と、空気中の酸素を燃料とするカソード14と、アノード13とカソード14との間に配置された陰イオン交換膜15と、カソード14と陰イオン交換膜15との間に配置された流路部材20と、カソード14の流路部材20とは反対側の面に設けられた通気防水シート16とを備えている。
【0024】
アノード13は、例えば炭素繊維板等の多孔質材料に金微粒子を触媒として担持した電極であり、裏面から表面に至る良好な浸透性を有している。アノード13では、後述するように、グルコースの酸化反応が行われる。なお、アノード13は、白金や銅等の粒子を固定化して構成することとしてもよい。
【0025】
カソード14は、例えば炭素粉末や酸化マンガン粉末を、PTFE粉末を結着材として混練した触媒をステンレス金網に固着して形成された電極である。このような構成を有するカソード14は、裏面から表面に溶液が浸透することは可能ではあるが良好ではなく、カソード周縁とカソード中央を連絡する流路21は得られない。
【0026】
通気防水シート16は、通気性および防水性を有しており、例えばポリテトラフルオロエチレン(4フッ化エチレン)等のフッ化炭素樹脂で形成されている。通気防水シート16は、カソード14の陰イオン交換膜15との接合面とは反対側の面に貼られており、カソード14に空気を供給する一方、カソード領域内の溶液が外部に漏出することを防止するようになっている。
【0027】
カソード14は、上記構成を有することで、カソード14では、通気防水シート16を介して容器11の外部から酸素を取り込み、アノード13とカソード14とを接続する導線(図示略)を通って送られてきた電子と容器11内の水とを反応させて、水酸化物イオンを生成するようになっている。
【0028】
陰イオン交換膜15は、アノード13とカソード14との間に配置されており、第2の実施形態において後述するように、本実施形態に係る膜電極接合体1を燃料電池に組み込んだ場合に、燃料液を貯留する容器11内を、カソード14が配置されたカソード領域と、アノード13が配置されたアノード領域とに区画するように配置される(図2参照)。
【0029】
ここで、陰イオン交換膜とは、膜内に陰イオン交換基を有し、陰イオンを移動・伝達させることができる高分子の膜である。陰イオン交換基を有する素材としては、アンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基があり、これらのいずれかを基材として構成する高分子化合物で構成されている。このような構成を有することで、陰イオン交換膜15は、カソード領域内で生成された水酸化物イオン、あるいはカソード領域に蓄えたアルカリ溶液内の水酸化物イオンを、アノード領域へ透過させるようになっている。
【0030】
陰イオン交換膜15には、流路部材20の一方の面がホットプレスによって接合されている。また、流路部材20の他方の面にはカソード14が接合されている。
流路部材20は、電気化学的に不活性でアルカリに侵され難い、例えばPTFE、PEEK、ABS、PP、PEなどの樹脂で形成されている。
【0031】
流路部材20は、カソード14と陰イオン交換膜15の間に配置され、カソード14との当接面に流路21が形成されている。
流路21は、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在するように形成されている。流路21は、流路部材20の周縁と中央を連通する溝であり、後述するように、カソード領域に貯留されたアルカリ性の電解質溶液を流通させるようになっている。
【0032】
また、流路21は、陰イオン交換膜15に向かう方向(カソード14の表面に交差する方向)にも形成されており、後述するように、カソード領域に貯留されたアルカリ性の電解質溶液を陰イオン交換膜15に供給するようになっている。
【0033】
上記構成を有する本実施形態に係る膜電極接合体1を燃料電池に組み込んだ場合の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る膜電極接合体1によれば、アノード領域内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノード13において電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノード13に放出された電子は、アノード13とカソード14とを電気的に接続する導線(図示略)を通って、カソード14に送られる。一方、カソード14では、通気防水シート16を介して外部から酸素が供給される。そして、カソード14表面において、外部から供給された酸素と、アノード13から導線を通って送られてきた電子と、カソード領域内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0034】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜15を透過してアノード領域へ移動する。そして、アノード領域では、カソード領域から移動してきた水酸化物イオンと、アノード13において燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノード13において酸化が行われるともに、カソード14において還元が行われることで発電が行われる。
【0035】
ここで、カソード領域にアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域における還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域から電解質膜を透過してアノード領域に移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0036】
この場合において、本実施形態に係る膜電極接合体1は、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路21が形成されている。このような構成を有することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
また、本実施形態に係る膜電極接合体1は、ユニットとして取り扱えることから、燃料電池の組立性が向上し、コスト減に寄与することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、具体的な流路部材20として、表面に溝を彫られた樹脂を適用したが、多孔質材料を適用しても良い。具体的な多孔質材料しては、スポンジや、和紙などの紙などが好適である。
【0038】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池2について図2を参照して説明する。以降では、前述の実施形態と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0039】
本実施形態に係る燃料電池2は、図2に示すように、前述の第1の実施形態に係る膜電極接合体1を組み込んだ燃料電池である。
本実施形態に係る燃料電池2は、図2に示すように、燃料液を収容する容器11と、容器11内に配置された第1の実施形態に係る膜電極接合体1とを主な構成要素として備えている。
【0040】
容器11は、例えば樹脂等の電気絶縁性を有する材料で構成された密閉容器である。容器11は、アノード側筐体11aとカソード側筐体11bの2部品で構成されており、これら筐体は、締結部材34によって、アノード13とカソード14とを挟持する方向の力で締結されている。
【0041】
アノード側筐体11aとカソード側筐体11bとの間には、陰イオン交換膜15が配置されており、容器11内をアノード13が配置されたアノード領域Aとカソード14が配置されたカソード領域Bとに区画するようになっている。
【0042】
アノード側筐体11aと陰イオン交換膜15との間には、例えばOリング等のパッキン37が設けられ、アノード領域Aとカソード領域Bとが水密状態で区画されている。
また、カソード側筐体11bと通気防水シート16(カソード14)との間には、例えばOリング等のパッキン38が設けられ、カソード領域Bを密閉するようになっている。
【0043】
アノード側筐体11aと陰イオン交換膜15とにより密閉されて形成されたアノード領域Aには、例えばグルコース等の糖を食塩水に溶解させた燃料液が収容されるようになっている。
【0044】
カソード側筐体11bと陰イオン交換膜15とにより密閉されて形成されたカソード領域B(リング状水槽25)には、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の電解質溶液が収容されるようになっている。
【0045】
リング状水槽(貯留槽)25は、カソード側筐体11bにおいて、カソード14周縁を取り囲むように設けられた円環状の空間であり、リング状水槽25内の溶液が流路部材20の流路21端部に流入するように構成されている。なお、図2において、符号Fは、リング状水槽25に貯留されたアルカリ性の電解質溶液の流れを示している。
【0046】
カソード液注入口36、カソード液排出口37は各々、リング状水槽25の上部と下部に設けられた開口であり、各々ゴム栓35で開閉可能となっている。
アノード液注入口32、アノード液排出口33は各々、アノード領域Aの上部と下部に設けられた開口であり、各々、ゴム栓31で開閉可能となっている。
【0047】
また、アノード13には、容器11の外部まで延びる導線18が電気的に接続されており、導線18の他端には、例えば電球等の外部機器Cがスイッチを介して接続されている。
カソード14には、導線19が電気的に接続されており、導線19の他端には、外部機器Cが接続されている。
【0048】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池2の作用について以下に説明する。
ます、アノード領域Aに供給する燃料液として、グルコースと食塩の水溶液を、アノード液注入口32から注入する。注入された燃料液は多孔質であるアノード13に浸透する。
【0049】
次に、カソード領域Bに供給するアルカリ性の電解質溶液として、水酸化ナトリウム水溶液を、カソード液注入口36から注入する。注入された水酸化ナトリウム水溶液は、リング状水槽25に貯留され、同時に流路部材20の流路21に流入し、カソード14表面と陰イオン交換膜15の両者にアルカリ性環境を提供する。
【0050】
上記のようにすることで、カソード14、カソード液、陰イオン交換膜15、アノード液、アノード13の順序の積層が得られる。
このように構成された燃料電池2の筐体の外部において、アノード13とカソード14の間に、例えば電球等の外部機器Cを接続することで、発電の反応が開始され、外部機器Cが運転される(電球が点灯)。
【0051】
具体的には、本実施形態に係る燃料電池2において、容器11内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノード13において電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノード13に放出された電子は、アノード13とカソード14とを電気的に接続する導線18,19を通って、カソード14に送られる。一方、カソード14では、通気防水シート16を介して容器11の外部から酸素が供給される。そして、カソード14表面において、容器11の外部から供給された酸素と、アノード13から導線18,19を通って送られてきた電子と、容器11内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0052】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜15を透過してアノード領域Aへ移動する。そして、アノード領域Aでは、カソード領域Bから移動してきた水酸化物イオンと、アノード13において燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノード13において酸化が行われるともに、カソード14において還元が行われることで発電が行われる。
【0053】
ここで、カソード領域Bにアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域Bにおける還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域Bから電解質膜を透過してアノード領域Aに移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0054】
この場合において、本実施形態に係る燃料電池2は、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路21が形成された流路部材20を備えている。このような構成を有することで、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る燃料電池2によれば、流路部材20によって、陰イオン交換膜15とカソード14との間における、カソード周縁部から遠いカソード中央部にもアルカリ性の電解質溶液が供給され、カソード14、陰イオン交換膜15の両者に好適なアルカリ性液相環境を提供できる。
また、リング状水槽25に貯留されたアルカリ性の電解質溶液は、カソード周縁の全方向から流入できるので、電池の姿勢差に影響されずに、上記効果が得られる。
また、流路部材20をカソード14及び陰イオン交換膜15の間にそれぞれ当接させておくことでカソード14と陰イオン交換膜15の間に流路を確保しつつ接近させることができる。これにより、構成を容易にすることができる。
【0056】
なお、本実施形態において、リング状水槽25に代えて、例えば、流路部材20の上方および下方に2箇所の水槽を設けることにより、限定的ではあるものの本実施形態と類似の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態において、第1の実施形態に係る膜電極接合体1のようなユニットを用いずに、流路部材20がカソード側筐体11bと一体化されていても良い。このような一体化構造では、カソード14筐体上の流路部材20をベースとして、右側から陰イオン交換膜15を落とし込み、左側からカソード14を落とし込む方法で組み立てればよい。
【0058】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池3について図3を参照して説明する。
本実施形態に係る燃料電池3は、図3に示すように、第2の実施形態に係る燃料電池2において、流路部材20に代えて、カソード14の陰イオン交換膜15との当接面に流路21を形成されている。それ以外の構成は、第2の実施形態に係る燃料電池2と同様である。
【0059】
流路21は、カソード14表面の複数箇所に形成された溝であり、積層構造において陰イオン交換膜15と溝底との間に、アルカリ性の電解質溶液を流通させる流路が形成されるようになっている。
【0060】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池3によれば、第2の実施形態に係る燃料電池2と同様の構成に加えて、第2の実施形態に係る燃料電池2と比べて、流路部材20を削減することができ、コストの低減および装置の小型化を図ることができる。
【0061】
なお、第3の実施形態において、カソード14の表面に溝を形成した構成を記述したが、類似の考え方で、下記の構成も適用できる。
(1)陰イオン交換膜15とカソード14を接合(ラミネート)する構成で、接合部位が多点配置である構造
(2)陰イオン交換膜15の表面に多点配置のピラー構造が設けられている構造
【0062】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池について図4から図9を参照して説明する。
本実施形態に係る燃料電池は、図4に示すように、流路部材20の形状について、複数のバリエーションを例示している。
【0063】
図4から図9は本実施形態における流路部材20を示しており、図4は正面方向(カソード側)からの斜視図、図5は背面方向(アノード側)からの斜視図、図6は正面図(カソード側)、図7は背面図(アノード側)、図8は図7のA−A断面図、図9は図7のB−B断面図である。
【0064】
図4から図9に示すように、本実施形態の流路部材20における流路21は、中心から周縁に向けて放射方向に形成された複数の流路21と、それらと交差する同心円状の流路21とが各面に形成されていて、これら流路の交差点において流路部材20の板厚方向に貫通する貫通孔22が設けられている。
【0065】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池によれば、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで効率的に浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0066】
[変形例]
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の変形例について図10から図15を参照して説明する
図10から図15は本変形例における流路部材20を示しており、図10は正面方向(カソード側)からの斜視図、図11は背面方向(アノード側)からの斜視図、図12は正面図(カソード側)、図13は背面図(アノード側)、図14は図13のC−C断面図、図15は図13のD−D断面図である。
【0067】
図10から図15に示すように、本変形例の流路部材20における流路21は、縦方向に形成された複数の流路21と、これら流路と直交する横方向に形成された複数の流路21とが各面に形成されていて、これら流路の交差点において流路部材20の板厚方向に貫通する貫通孔22が設けられている。
【0068】
上記構成を有する本変形例に係る燃料電池によれば、カソード14と陰イオン交換膜15との間に綿密な流路を形成することができ、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液をカソード14の表面の中心付近まで効率的に浸透させるとともに、カソード14の表面に均一的にアルカリ性の電解質溶液を浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0069】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0070】
また、燃料としてグルコースを一例に挙げて説明したが、これ以外にも、単糖類、二糖類、多糖類などの糖類を使用することができる。これらの内で、単糖類としては、構成炭素数4のエリトロース、トレオース、エリトルロース、構成炭素数5のリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロース、キシルロース、構成炭素数6のグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、プシコース、タガトース、イノシトールなどが例示できる。また、二糖類としては、マルトース、ラクトース、セロビオース、サッカロースなどを使用することができる。多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、セルロース、ペクチンなどを例示できる。上記例示の燃料は、単独あるいは二種類以上組み合わせて使用することができる。
【0071】
また、各実施形態において、カソード14を通気防水シート16を介して容器11の外部に連通されているとして説明したが、例えば、容器11の壁体の少なくとも一部を通気性および防水性を有する材料で構成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
A アノード領域
B カソード領域
C 外部機器
1 膜電極接合体
2,3 燃料電池
11 容器
13 アノード
14 カソード
15 陰イオン交換膜
16 通気防水シート
20 流路部材
21 流路
22 貫通孔
25 リング状水槽(貯留槽)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばグルコース等を燃料として発電を行う燃料電池および膜電極接合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カソードとアノードとの間にアニオン交換膜を接合し、糖とアルカリ溶液の混合溶液を燃料とした糖空気燃料電池が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
上記の糖空気燃料電池は、例えば段落番号[0018]、[0033]に記述されているように、アニオン交換膜の両側に電極を接合した構成であり、より具体的には段落番号[0045]に記述のように、ホットプレスによって膜−電極接合体を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−93948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている燃料電池では、アニオン交換膜のアノード側には糖溶液を供給し、アニオン交換膜のカソード側には空気を供給している。段落番号[0020]には、カソードをアルカリ性雰囲気にすることで酸素還元反応の過電圧を低減できると記述されているが、このアルカリ性はアノード側のアルカリ性に依存している。
【0005】
アノード側の糖溶液にアルカリ性物質を混合しない構成においては、カソード側にアルカリ溶液を供給する必要が生じ、カソード側を液相雰囲気にすることが必要になる。
ところが、そのような液相雰囲気のカソードをアニオン交換膜に接合すると、接合領域の周縁においては反応に必要な三相界面を得られるものの、接合領域の中央部においてはアニオン交換膜とカソードとの間にアルカリ溶液が到達し難いため、三相界面を得難いという不都合がある。
【0006】
特にカソードとして、酸化マンガン粉末と炭素粉末をPTFE結着剤によって練り固めた構成を用いる場合などでは、カソードを多孔質材料で形成してもアルカリ溶液の浸透性が悪く、上記の不都合が顕著に現れる。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、カソードへのアルカリ溶液の浸透性を向上させて、発電性能を向上することができる燃料電池および膜電極接合体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、燃料液を収容する容器と、前記容器内に配置されたアノードと、前記容器内に配置され、一部が前記容器の外部に連通されたカソードと、前記容器内を前記カソードが配置されたカソード領域と前記アノードが配置されたアノード領域とに区画する陰イオン交換膜とを備え、前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池である。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、容器内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノードにおいて電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノードに放出された電子は、アノードとカソードとを電気的に接続する導線を通って、カソードに送られる。一方、カソードでは、カソードの一部が容器の外部に連通されているため、容器の外部から酸素が供給される。そして、カソード表面において、容器の外部から供給された酸素と、アノードから導線を通って送られてきた電子と、容器内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0010】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜を透過してアノード領域へ移動する。そして、アノード領域では、カソード領域から移動してきた水酸化物イオンと、アノードにおいて燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノードにおいて酸化が行われるともに、カソードにおいて還元が行われることで発電が行われる。
【0011】
ここで、カソード領域にアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域における還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域から電解質膜を透過してアノード領域に移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0012】
この場合において、本発明の第1の態様に係る燃料電池は、カソードと陰イオン交換膜との間に、カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成されている。このような構成を有することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路を介してカソードの表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソードの中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0013】
上記態様において、前記カソードと前記陰イオン交換膜の間に配置され、前記カソードとの当接面に前記流路が形成された流路部材を備えることとしてもよい。
このように構成することで、カソードと陰イオン交換膜の間に、アルカリ性の電解質溶液が流通する流路を容易に形成することができる。
【0014】
上記態様において、前記流路部材が、多孔質材料で形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路だけでなく、流路部材に形成された多数の孔により流通させることができる。これにより、アルカリ性の電解質溶液の浸透性を向上することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0015】
上記態様において、前記カソードが、前記陰イオン交換膜との当接面に前記流路が形成されていることとしてもよい。
このように構成することで、カソードと陰イオン交換膜の間に、アルカリ性の電解質溶液が流通する流路を容易に形成することができる。また、前述の流路部材を不要とすることができ、燃料電池を構成するための部品点数を少なくしてコストの低減を図ることができる。
【0016】
上記態様において、前記流路と連通し、電解質溶液を貯留する貯留槽を備えることとしてもよい。
このように構成することで、貯留槽にアルカリ性の電解質溶液を収容することができ、カソードと陰イオン交換膜との間に形成された流路に、安定的にアルカリ性の電解質溶液を流入させることができる。これにより、カソードを安定したアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0017】
本発明の第2の態様は、糖溶液を燃料とするアノードと、空気中の酸素を燃料とするカソードと、前記アノードと前記カソードとの間に配置された陰イオン交換膜とを備え、前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された膜電極接合体である。
このような膜電極接合体を燃料電池に適用することで、前述の第1の態様と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、カソードへのアルカリ溶液の浸透性を向上させて、発電性能を向上することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体の概略構成図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る燃料電池の概略構成図である。
【図3】本発明の第3の実施形態に係る燃料電池の概略構成図である。
【図4】本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の流路部材の正面方向からの斜視図である。
【図5】図4の流路部材の背面方向からの斜視図である。
【図6】図4の流路部材の正面図である。
【図7】図4の流路部材の背面図である。
【図8】図7の流路部材のA−A断面図である。
【図9】図7の流路部材のB−B断面図である。
【図10】本発明の変形例に係る燃料電池の流路部材の正面方向からの斜視図である。
【図11】図10の流路部材の背面方向からの斜視図である。
【図12】図10の流路部材の正面図である。
【図13】図10の流路部材の背面図である。
【図14】図13の流路部材のC−C断面図である。
【図15】図13の流路部材のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体1について図1を参照して説明する。
まず、前提条件として、本実施形態に係る膜電極接合体が用いられる糖−空気燃料電池は、アノードでの糖酸化反応とカソードでの酸素還元反応に伴って、両電極間において外部回路を通って電子が移動するとともに、カソードからアノードへ水酸化物イオン(OH−)である陰イオン(アニオン)が移動するアニオン移動型の構成となっている。
【0021】
アノードでは、燃料である糖類が酸化されて電子を放出する。放出された電子は、外部回路を通って仕事(発電)を行い、カソードに運ばれる。一方、カソードでは、大気中の酸素(と水)が運ばれてきた電子とともに還元され、水酸化物イオン(OH−)が発生する。このように発生した水酸化物イオン(OH−)は、陰イオン交換膜を透過してアノード(燃料)側へ移動する。アノード側では、移動してきた水酸化物イオン(OH−)と、糖類の酸化で発生した水素イオン(H+)とが反応して水(H2O)となる。
【0022】
上述のように、糖−空気燃料電池は、燃料電池として外部回路に電子を流すために、カソード側からアノード側にアニオンである水酸化物イオン(OH−)が移動することで発電回路が形成されている。以下、このような糖−空気燃料電池に適用される本実施形態に係る膜電極接合体の構成について説明する。
【0023】
図1は本発明の第1の実施形態に係る膜電極接合体1の概略構成図である。
本実施形態に係る膜電極接合体1は、図1に示すように、糖溶液を燃料とするアノード13と、空気中の酸素を燃料とするカソード14と、アノード13とカソード14との間に配置された陰イオン交換膜15と、カソード14と陰イオン交換膜15との間に配置された流路部材20と、カソード14の流路部材20とは反対側の面に設けられた通気防水シート16とを備えている。
【0024】
アノード13は、例えば炭素繊維板等の多孔質材料に金微粒子を触媒として担持した電極であり、裏面から表面に至る良好な浸透性を有している。アノード13では、後述するように、グルコースの酸化反応が行われる。なお、アノード13は、白金や銅等の粒子を固定化して構成することとしてもよい。
【0025】
カソード14は、例えば炭素粉末や酸化マンガン粉末を、PTFE粉末を結着材として混練した触媒をステンレス金網に固着して形成された電極である。このような構成を有するカソード14は、裏面から表面に溶液が浸透することは可能ではあるが良好ではなく、カソード周縁とカソード中央を連絡する流路21は得られない。
【0026】
通気防水シート16は、通気性および防水性を有しており、例えばポリテトラフルオロエチレン(4フッ化エチレン)等のフッ化炭素樹脂で形成されている。通気防水シート16は、カソード14の陰イオン交換膜15との接合面とは反対側の面に貼られており、カソード14に空気を供給する一方、カソード領域内の溶液が外部に漏出することを防止するようになっている。
【0027】
カソード14は、上記構成を有することで、カソード14では、通気防水シート16を介して容器11の外部から酸素を取り込み、アノード13とカソード14とを接続する導線(図示略)を通って送られてきた電子と容器11内の水とを反応させて、水酸化物イオンを生成するようになっている。
【0028】
陰イオン交換膜15は、アノード13とカソード14との間に配置されており、第2の実施形態において後述するように、本実施形態に係る膜電極接合体1を燃料電池に組み込んだ場合に、燃料液を貯留する容器11内を、カソード14が配置されたカソード領域と、アノード13が配置されたアノード領域とに区画するように配置される(図2参照)。
【0029】
ここで、陰イオン交換膜とは、膜内に陰イオン交換基を有し、陰イオンを移動・伝達させることができる高分子の膜である。陰イオン交換基を有する素材としては、アンモニウム基、ピリジニウム基、イミダゾリウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基があり、これらのいずれかを基材として構成する高分子化合物で構成されている。このような構成を有することで、陰イオン交換膜15は、カソード領域内で生成された水酸化物イオン、あるいはカソード領域に蓄えたアルカリ溶液内の水酸化物イオンを、アノード領域へ透過させるようになっている。
【0030】
陰イオン交換膜15には、流路部材20の一方の面がホットプレスによって接合されている。また、流路部材20の他方の面にはカソード14が接合されている。
流路部材20は、電気化学的に不活性でアルカリに侵され難い、例えばPTFE、PEEK、ABS、PP、PEなどの樹脂で形成されている。
【0031】
流路部材20は、カソード14と陰イオン交換膜15の間に配置され、カソード14との当接面に流路21が形成されている。
流路21は、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在するように形成されている。流路21は、流路部材20の周縁と中央を連通する溝であり、後述するように、カソード領域に貯留されたアルカリ性の電解質溶液を流通させるようになっている。
【0032】
また、流路21は、陰イオン交換膜15に向かう方向(カソード14の表面に交差する方向)にも形成されており、後述するように、カソード領域に貯留されたアルカリ性の電解質溶液を陰イオン交換膜15に供給するようになっている。
【0033】
上記構成を有する本実施形態に係る膜電極接合体1を燃料電池に組み込んだ場合の作用について以下に説明する。
本実施形態に係る膜電極接合体1によれば、アノード領域内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノード13において電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノード13に放出された電子は、アノード13とカソード14とを電気的に接続する導線(図示略)を通って、カソード14に送られる。一方、カソード14では、通気防水シート16を介して外部から酸素が供給される。そして、カソード14表面において、外部から供給された酸素と、アノード13から導線を通って送られてきた電子と、カソード領域内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0034】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜15を透過してアノード領域へ移動する。そして、アノード領域では、カソード領域から移動してきた水酸化物イオンと、アノード13において燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノード13において酸化が行われるともに、カソード14において還元が行われることで発電が行われる。
【0035】
ここで、カソード領域にアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域における還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域から電解質膜を透過してアノード領域に移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0036】
この場合において、本実施形態に係る膜電極接合体1は、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路21が形成されている。このような構成を有することで、カソード領域に収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
また、本実施形態に係る膜電極接合体1は、ユニットとして取り扱えることから、燃料電池の組立性が向上し、コスト減に寄与することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、具体的な流路部材20として、表面に溝を彫られた樹脂を適用したが、多孔質材料を適用しても良い。具体的な多孔質材料しては、スポンジや、和紙などの紙などが好適である。
【0038】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料電池2について図2を参照して説明する。以降では、前述の実施形態と共通する点については同一の符号を付して説明を省略し、異なる点について主に説明する。
【0039】
本実施形態に係る燃料電池2は、図2に示すように、前述の第1の実施形態に係る膜電極接合体1を組み込んだ燃料電池である。
本実施形態に係る燃料電池2は、図2に示すように、燃料液を収容する容器11と、容器11内に配置された第1の実施形態に係る膜電極接合体1とを主な構成要素として備えている。
【0040】
容器11は、例えば樹脂等の電気絶縁性を有する材料で構成された密閉容器である。容器11は、アノード側筐体11aとカソード側筐体11bの2部品で構成されており、これら筐体は、締結部材34によって、アノード13とカソード14とを挟持する方向の力で締結されている。
【0041】
アノード側筐体11aとカソード側筐体11bとの間には、陰イオン交換膜15が配置されており、容器11内をアノード13が配置されたアノード領域Aとカソード14が配置されたカソード領域Bとに区画するようになっている。
【0042】
アノード側筐体11aと陰イオン交換膜15との間には、例えばOリング等のパッキン37が設けられ、アノード領域Aとカソード領域Bとが水密状態で区画されている。
また、カソード側筐体11bと通気防水シート16(カソード14)との間には、例えばOリング等のパッキン38が設けられ、カソード領域Bを密閉するようになっている。
【0043】
アノード側筐体11aと陰イオン交換膜15とにより密閉されて形成されたアノード領域Aには、例えばグルコース等の糖を食塩水に溶解させた燃料液が収容されるようになっている。
【0044】
カソード側筐体11bと陰イオン交換膜15とにより密閉されて形成されたカソード領域B(リング状水槽25)には、例えば水酸化ナトリウム水溶液等のアルカリ性の電解質溶液が収容されるようになっている。
【0045】
リング状水槽(貯留槽)25は、カソード側筐体11bにおいて、カソード14周縁を取り囲むように設けられた円環状の空間であり、リング状水槽25内の溶液が流路部材20の流路21端部に流入するように構成されている。なお、図2において、符号Fは、リング状水槽25に貯留されたアルカリ性の電解質溶液の流れを示している。
【0046】
カソード液注入口36、カソード液排出口37は各々、リング状水槽25の上部と下部に設けられた開口であり、各々ゴム栓35で開閉可能となっている。
アノード液注入口32、アノード液排出口33は各々、アノード領域Aの上部と下部に設けられた開口であり、各々、ゴム栓31で開閉可能となっている。
【0047】
また、アノード13には、容器11の外部まで延びる導線18が電気的に接続されており、導線18の他端には、例えば電球等の外部機器Cがスイッチを介して接続されている。
カソード14には、導線19が電気的に接続されており、導線19の他端には、外部機器Cが接続されている。
【0048】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池2の作用について以下に説明する。
ます、アノード領域Aに供給する燃料液として、グルコースと食塩の水溶液を、アノード液注入口32から注入する。注入された燃料液は多孔質であるアノード13に浸透する。
【0049】
次に、カソード領域Bに供給するアルカリ性の電解質溶液として、水酸化ナトリウム水溶液を、カソード液注入口36から注入する。注入された水酸化ナトリウム水溶液は、リング状水槽25に貯留され、同時に流路部材20の流路21に流入し、カソード14表面と陰イオン交換膜15の両者にアルカリ性環境を提供する。
【0050】
上記のようにすることで、カソード14、カソード液、陰イオン交換膜15、アノード液、アノード13の順序の積層が得られる。
このように構成された燃料電池2の筐体の外部において、アノード13とカソード14の間に、例えば電球等の外部機器Cを接続することで、発電の反応が開始され、外部機器Cが運転される(電球が点灯)。
【0051】
具体的には、本実施形態に係る燃料電池2において、容器11内の燃料液(例えばグルコース溶液)は、アノード13において電子を放出するともに、水素イオンを生成する(酸化)。アノード13に放出された電子は、アノード13とカソード14とを電気的に接続する導線18,19を通って、カソード14に送られる。一方、カソード14では、通気防水シート16を介して容器11の外部から酸素が供給される。そして、カソード14表面において、容器11の外部から供給された酸素と、アノード13から導線18,19を通って送られてきた電子と、容器11内の水とが反応して、水酸化物イオンが生成される(還元)。
【0052】
このように生成された水酸化物イオンは、陰イオン交換膜15を透過してアノード領域Aへ移動する。そして、アノード領域Aでは、カソード領域Bから移動してきた水酸化物イオンと、アノード13において燃料液の酸化で発生した水素イオンとが反応して水が生成される。上記のように、アノード13において酸化が行われるともに、カソード14において還元が行われることで発電が行われる。
【0053】
ここで、カソード領域Bにアルカリ性の電解質溶液を収容することで、カソード領域Bにおける還元反応を促進するとともに、発電開始時における、カソード領域Bから電解質膜を透過してアノード領域Aに移動する水酸化物イオンの量を増加させることができ、燃料電池の起動速度を速めることができる。
【0054】
この場合において、本実施形態に係る燃料電池2は、カソード14と陰イオン交換膜15との間に、カソード14の表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路21が形成された流路部材20を備えている。このような構成を有することで、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0055】
以上のように、本実施形態に係る燃料電池2によれば、流路部材20によって、陰イオン交換膜15とカソード14との間における、カソード周縁部から遠いカソード中央部にもアルカリ性の電解質溶液が供給され、カソード14、陰イオン交換膜15の両者に好適なアルカリ性液相環境を提供できる。
また、リング状水槽25に貯留されたアルカリ性の電解質溶液は、カソード周縁の全方向から流入できるので、電池の姿勢差に影響されずに、上記効果が得られる。
また、流路部材20をカソード14及び陰イオン交換膜15の間にそれぞれ当接させておくことでカソード14と陰イオン交換膜15の間に流路を確保しつつ接近させることができる。これにより、構成を容易にすることができる。
【0056】
なお、本実施形態において、リング状水槽25に代えて、例えば、流路部材20の上方および下方に2箇所の水槽を設けることにより、限定的ではあるものの本実施形態と類似の効果を得ることができる。
【0057】
また、本実施形態において、第1の実施形態に係る膜電極接合体1のようなユニットを用いずに、流路部材20がカソード側筐体11bと一体化されていても良い。このような一体化構造では、カソード14筐体上の流路部材20をベースとして、右側から陰イオン交換膜15を落とし込み、左側からカソード14を落とし込む方法で組み立てればよい。
【0058】
[第3の実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る燃料電池3について図3を参照して説明する。
本実施形態に係る燃料電池3は、図3に示すように、第2の実施形態に係る燃料電池2において、流路部材20に代えて、カソード14の陰イオン交換膜15との当接面に流路21を形成されている。それ以外の構成は、第2の実施形態に係る燃料電池2と同様である。
【0059】
流路21は、カソード14表面の複数箇所に形成された溝であり、積層構造において陰イオン交換膜15と溝底との間に、アルカリ性の電解質溶液を流通させる流路が形成されるようになっている。
【0060】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池3によれば、第2の実施形態に係る燃料電池2と同様の構成に加えて、第2の実施形態に係る燃料電池2と比べて、流路部材20を削減することができ、コストの低減および装置の小型化を図ることができる。
【0061】
なお、第3の実施形態において、カソード14の表面に溝を形成した構成を記述したが、類似の考え方で、下記の構成も適用できる。
(1)陰イオン交換膜15とカソード14を接合(ラミネート)する構成で、接合部位が多点配置である構造
(2)陰イオン交換膜15の表面に多点配置のピラー構造が設けられている構造
【0062】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池について図4から図9を参照して説明する。
本実施形態に係る燃料電池は、図4に示すように、流路部材20の形状について、複数のバリエーションを例示している。
【0063】
図4から図9は本実施形態における流路部材20を示しており、図4は正面方向(カソード側)からの斜視図、図5は背面方向(アノード側)からの斜視図、図6は正面図(カソード側)、図7は背面図(アノード側)、図8は図7のA−A断面図、図9は図7のB−B断面図である。
【0064】
図4から図9に示すように、本実施形態の流路部材20における流路21は、中心から周縁に向けて放射方向に形成された複数の流路21と、それらと交差する同心円状の流路21とが各面に形成されていて、これら流路の交差点において流路部材20の板厚方向に貫通する貫通孔22が設けられている。
【0065】
上記構成を有する本実施形態に係る燃料電池によれば、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液を、流路21を介してカソード14の表面の中心付近まで効率的に浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0066】
[変形例]
次に、本発明の第4の実施形態に係る燃料電池の変形例について図10から図15を参照して説明する
図10から図15は本変形例における流路部材20を示しており、図10は正面方向(カソード側)からの斜視図、図11は背面方向(アノード側)からの斜視図、図12は正面図(カソード側)、図13は背面図(アノード側)、図14は図13のC−C断面図、図15は図13のD−D断面図である。
【0067】
図10から図15に示すように、本変形例の流路部材20における流路21は、縦方向に形成された複数の流路21と、これら流路と直交する横方向に形成された複数の流路21とが各面に形成されていて、これら流路の交差点において流路部材20の板厚方向に貫通する貫通孔22が設けられている。
【0068】
上記構成を有する本変形例に係る燃料電池によれば、カソード14と陰イオン交換膜15との間に綿密な流路を形成することができ、カソード領域Bに収容されたアルカリ性の電解質溶液をカソード14の表面の中心付近まで効率的に浸透させるとともに、カソード14の表面に均一的にアルカリ性の電解質溶液を浸透させることができる。これにより、カソード14の中心付近までアルカリ性環境として発電を促進することができ、燃料電池の発電性能を向上することができる。
【0069】
以上、本発明の各実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記の各実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。
【0070】
また、燃料としてグルコースを一例に挙げて説明したが、これ以外にも、単糖類、二糖類、多糖類などの糖類を使用することができる。これらの内で、単糖類としては、構成炭素数4のエリトロース、トレオース、エリトルロース、構成炭素数5のリボース、アラビノース、キシロース、リキソース、リブロース、キシルロース、構成炭素数6のグルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、アロース、アルトロース、グロース、イドース、タロース、プシコース、タガトース、イノシトールなどが例示できる。また、二糖類としては、マルトース、ラクトース、セロビオース、サッカロースなどを使用することができる。多糖類としては、デンプン、グリコーゲン、イヌリン、セルロース、ペクチンなどを例示できる。上記例示の燃料は、単独あるいは二種類以上組み合わせて使用することができる。
【0071】
また、各実施形態において、カソード14を通気防水シート16を介して容器11の外部に連通されているとして説明したが、例えば、容器11の壁体の少なくとも一部を通気性および防水性を有する材料で構成することとしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
A アノード領域
B カソード領域
C 外部機器
1 膜電極接合体
2,3 燃料電池
11 容器
13 アノード
14 カソード
15 陰イオン交換膜
16 通気防水シート
20 流路部材
21 流路
22 貫通孔
25 リング状水槽(貯留槽)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料液を収容する容器と、
前記容器内に配置されたアノードと、
前記容器内に配置され、一部が前記容器の外部に連通されたカソードと、
前記容器内を前記カソードが配置されたカソード領域と前記アノードが配置されたアノード領域とに区画する陰イオン交換膜とを備え、
前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池。
【請求項2】
前記カソードと前記陰イオン交換膜の間に配置され、前記カソードとの当接面に前記流路が形成された流路部材を備える請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記流路部材が、多孔質材料で形成されている請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記カソードが、前記陰イオン交換膜との当接面に前記流路が形成されている請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記流路と連通し、電解質溶液を貯留する貯留槽を備える請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項6】
糖溶液を燃料とするアノードと、
空気中の酸素を燃料とするカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された陰イオン交換膜とを備え、
前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された膜電極接合体。
【請求項1】
燃料液を収容する容器と、
前記容器内に配置されたアノードと、
前記容器内に配置され、一部が前記容器の外部に連通されたカソードと、
前記容器内を前記カソードが配置されたカソード領域と前記アノードが配置されたアノード領域とに区画する陰イオン交換膜とを備え、
前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された燃料電池。
【請求項2】
前記カソードと前記陰イオン交換膜の間に配置され、前記カソードとの当接面に前記流路が形成された流路部材を備える請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記流路部材が、多孔質材料で形成されている請求項2に記載の燃料電池。
【請求項4】
前記カソードが、前記陰イオン交換膜との当接面に前記流路が形成されている請求項1に記載の燃料電池。
【請求項5】
前記流路と連通し、電解質溶液を貯留する貯留槽を備える請求項1から4のいずれかに記載の燃料電池。
【請求項6】
糖溶液を燃料とするアノードと、
空気中の酸素を燃料とするカソードと、
前記アノードと前記カソードとの間に配置された陰イオン交換膜とを備え、
前記カソードと前記陰イオン交換膜との間に、前記カソードの表面に沿う方向において中心に向かって延在する流路が形成された膜電極接合体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−105577(P2013−105577A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−247525(P2011−247525)
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月11日(2011.11.11)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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