説明

燃料電池用の高分子電解質膜及びその製造方法並びに燃料電池

【課題】長期的に安定な性能を維持し続けることが可能な燃料電池用の高分子電解質膜およびその製造方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1種以上の塩基性ポリマーと、酸性ドーパントとが含有されてなる高分子電解質膜であり、含水状態から乾燥状態に至る電解質膜の平面方向の寸法変化率が5%以下であることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池用の高分子電解質膜及びその製造方法並びに燃料電池に関するものであり、詳しくは、特別な燃料ガス加湿装置を用意することなく100℃から200℃の温度範囲で運転される燃料電池に好適な、耐久性に優れた高分子電解質膜に関する。
【背景技術】
【0002】
固体高分子型燃料電池に用いる高分子電解質膜には、高いイオン伝導性とともに優れた長期安定性が求められている。下記特許文献1には、ポリベンズイミダゾール膜にオルトリン酸をドープした電解質膜が開示されている。また、下記特許文献2には、高分子膜の機械強度向上を目的として、ポリベンゾイミダゾールをジエポキシ化合物などで架橋させた電解質膜が開示されている。更に、下記特許文献3には、ポリベンゾイミダゾールを含んだポリマーブレンドをジエポキシ化合物などで架橋させた電解質膜が開示されている。
【0003】
特許文献1〜3に記載された技術は何れも、塩基性ポリマーであるポリベンズイミダゾールにオルトリン酸で代表されるドーパントを含浸させて電解質膜としたものであるが、この電解質膜を用いた膜電極接合体の長期安定性は十分でなく、特許文献2または3に記載されているように、架橋剤により膜の機械強度を改善しても不十分であった。
【特許文献1】米国特許第5525436号明細書
【特許文献2】特開2000−281819号公報
【特許文献3】特表2005−535734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架橋剤によって膜強度を向上させた電解質膜の長期安定性が改善されない原因として、この類の電解質膜は吸湿状態と乾燥状態で寸法差が大きいことに依ることを見いだした。
即ち、多量の酸性ドーパントを含んだ電解質膜は、閉回路状態では生成水によって含水状態となるのに対して、開回路状態や低い電流密度においては、吸水した水分の膜外への持ち出しが多くなるため乾燥状態になる。
この含水状態と乾燥状態の間の水分の吸脱着によって電解質膜の寸法変化が起こり、特に平面方向の寸法変化によって、セル内で端部が固定されている電解質膜に引っ張り応力を発生させることになる。従来、この引っ張り応力に対しては、電解質膜の降伏強度あるいは破断強度を強化することのみに囚われてきた。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、長期的に安定な性能を維持し続けることが可能な燃料電池用の高分子電解質膜およびその製造方法並びに燃料電池を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
電解質膜の長期安定性を改善すべく、本発明者らが鋭意研究を進めた結果ところ、含水状態と乾燥状態での寸法変化がある範囲を超えた電解質膜は、これを膜電極接合体に組み込んだ場合に、長期的に安定な性能を維持し続けることが困難になることを見出した。
【0007】
更に詳細に説明すると、多くの高分子膜あるいは電解質膜の実際の応力−歪み試験において、伸度約10%以下の範囲に降伏点が存在する。従って、伸度が5%を超えると既に塑性変形を開始しているということになる。このため、電解質膜の含水状態と乾燥状態で平面方向に寸法変化が5%を超えると多くの電解質膜は塑性変形を起こしてしまい、電解質膜に微少なクラックが入るあるいは破断するなどしてしまう可能性が高い。
また、一度限りの微少な塑性変形であれば、電解質膜の長期耐久性にはさほど影響を及ぼさないと考えられる。しかし、燃料電池用の電解質膜は、燃料電池の運転状況によって微小な塑性変形が繰り返し起こり得ることから、塑性変形の繰り返しによる疲労が蓄積されやすく、長期的には膜の破断あるいはクロスオーバーの極端な増大に導かれる可能性が高い。
つまり、電解質膜の含水状態と乾燥状態の間の寸法変化率が5%を超えると、これを用いた膜電極接合体は長期的に安定な性能を維持し続けることは困難である。
【0008】
このような知見に基づいて、上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
本発明の燃料電池用の高分子電解質膜は、塩基性ポリマーと酸性ドーパントとが含有されてなる高分子電解質膜であり、含水状態から乾燥状態に至る前記高分子電解質膜の平面方向の寸法変化率が5%以下であることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜においては、前記塩基性ポリマーが、ポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことが好ましい。
更に、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜においては、前記塩基性ポリマーが、多官能性架橋剤との反応により架橋されたポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことが好ましい。
更にまた、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜においては、前記塩基性ポリマーが、エポキシ基含有アルコキシシランによって架橋されたポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことが好ましい。
また、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜においては、前記酸性ドーパントが、燐酸または有機ホスホン酸であることが好ましい。
【0009】
次に、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法は、有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、前記塩基性ポリマーに前記多官能性架橋剤を付加させて高分子溶液とする工程と、前記高分子溶液から前記有機溶媒を除去するとともに、前記多官能性架橋剤同士を縮合反応させて前記塩基性ポリマーを架橋させて高分子膜を得る工程と、室温以上200℃以下の環境下で前記高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって高分子電解質膜を得る工程と、を具備してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法は、 有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、前記塩基性ポリマーを前記多官能性架橋剤によって架橋させて高分子溶液とする工程と、前記高分子溶液から前記有機溶媒を除去することにより高分子膜を得る工程と、室温以上200℃以下の環境下で前記高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって高分子電解質膜を得る工程と、を具備してなることを特徴とする。
また、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法においては、前記塩基性ポリマーがポリベンズイミダゾールまたはその誘導体であり、前記多官能性架橋剤がエポキシ基含有アルコキシシランであることが好ましい。
また、本発明の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法においては、前記塩基性ポリマーがポリベンズイミダゾールまたはその誘導体であり、前記多官能性架橋剤が1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルであることが好ましい。
【0010】
次に、本発明の燃料電池は、一対の触媒層と各触媒層の間に配置された電解質膜とを具備してなり、前記電解質膜が、先のいずれかに記載の燃料電池用の高分子電解質膜からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、長期的に安定な性能を維持し続けることが可能な燃料電池用の高分子電解質膜およびその製造方法並びに燃料電池を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は、本実施形態の燃料電池の一例を示す分解斜視図であり、図2は、図1の燃料電池を構成する膜−電極接合体の断面模式図である。
図1に示す燃料電池1は、2つの単セル11が一対のホルダ12、12に狭持されて概略構成されている。単セル11は、膜−電極接合体10と、膜−電極接合体10の厚み方向両側に配置されたバイポーラプレート20、20とから構成されている。バイポーラプレート20、20は、導電性を有する金属またはカーボン等から構成されており、膜−電極接合体10にそれぞれ接合することで、集電体として機能するとともに、膜−電極接合体10の触媒層に対して、酸素および燃料を供給する。
また、図1に示す燃料電池1は、単セル11の数が2つだが、数は2つに限らず、燃料電池に要求される特性に応じて数十〜数百程度まで増やしてもよい。
【0013】
膜−電極接合体10は、図2に示すように、本発明に係る燃料電池用の高分子電解質膜(以下、電解質膜という)100と、電解質膜100の厚み方向両側に配置された触媒層110、110’と、触媒層110、110’にそれぞれ積層された第1の気体拡散層121、121’と、第1の気体拡散層121、121’にそれぞれ積層された第2の気体拡散層120、120’とから構成されている。
【0014】
触媒層110、110’は、燃料極及び酸素極として機能するものであって、活性炭等の触媒物質と、この触媒物質を固化成形するバインダとが含まれてそれぞれ構成されている。バインダは、耐熱性に優れたフッ素樹脂を用いても良く、本発明に係る電解質膜を構成する材料を用いてもよい。バインダとして電解質膜を構成する材料を用いることで、触媒層110、110’内部のプロトン拡散を効率よく行なわれ、触媒層110、110’のインピーダンスが低下して燃料電池の出力が向上する。また、後述するように、本発明に係る電解質膜は寸法変化率が小さいので、この電解質膜の構成材料を含む触媒層110,110’は形状変化が少なく、長期安定性に優れたものとなる。
第1の気体拡散層121、121’及び第2の気体拡散層120、120’はそれぞれ、たとえばカーボンシート等から形成されており、バイポーラプレート20、20を介して供給された酸素および燃料を触媒層110、110’の全面に拡散させる。
【0015】
この膜−電極接合体10を含む燃料電池1は、100℃〜300℃の温度で作動し、一方の触媒層側にバイポーラプレート20を介して燃料として例えば水素が供給され、他方の触媒層側にはバイポーラプレート20を介して酸化剤として例えば酸素が供給される。
そして、一方の触媒層において水素が酸化されてプロトンが生じ、このプロトンが電解質膜4を伝導して他方の触媒層に到達し、他方の触媒層においてプロトンと酸素が電気化学的に反応して水を生成するとともに、電気エネルギーを発生させる。
なお、燃料として供給される水素は、炭化水素若しくはアルコールの改質により発生された水素でもよく、また、酸化剤として供給される酸素は、空気に含まれる状態で供給されても良い。
【0016】
次に、膜−電極接合体1に備えられる電解質膜100について説明する。
本発明に係る電解質膜100は、少なくとも1種以上の塩基性ポリマーと、酸性ドーパントとが含有されてなり、含水状態から乾燥状態に至る膜の平面方向の寸法変化率が5%以下を示すものである。
電解質膜を構成する塩基性ポリマーとしては、ポリベンズイミダゾールまたはその誘導体または多官能性架橋剤によって架橋されたポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を例示することができる。
【0017】
ポリベンズイミダゾールまたはその誘導体(以下、ポリベンズイミダゾール類という)は、本発明に係る電解質膜の基幹となるものであり、このポリベンズイミダゾール類によって電解質膜の形状が一定の形状に保たれる。本発明においては、膜状のポリベンズイミダゾール類に酸性ドーパントを含浸させることによって、電解質膜が得られる。ポリベンズイミダゾール類は、耐熱性に優れるとともに、酸性ドーパントを含浸させたときに、これを多量に保持することができ、燃料電池用の電解質膜の構成成分として好適である。
本発明に係るポリベンズイミダゾール類としては、下記化学式(a)〜(d)で示される構造を備えた高分子あるいはその誘導体を例示できる。
但し、下記式(d)において、Xは、−O−,−SO−,−S−,−CO−,−C(CH−,−C(CF−、よりなる群から選ばれる1種以上の結合様式を表す。
【0018】
【化1】

【0019】
上記化学式(a)〜(d)において、繰り返し構造単位の数を示すnは10〜100000である。nが10以上であればポリベンズイミダゾール類の機械的強度が向上して強度的に優れた電解質膜を構成することができ、nが100000以下であればポリベンズイミダゾール類の有機溶媒に対する溶解性が良好になり、これによりポリベンズイミダゾール類の成形性が向上し、電解質膜の形状の自由度が高められる。また、上記化学式(a)〜(d)にスルホン酸基、ホスホン酸基から選ばれる1種以上の官能基あるいは官能基を含んだ誘導体を結合していても良い。
【0020】
ポリベンズイミダゾール類は、公知の技術により製造する事が出来る。例えば米国特許第3313783号明細書、米国特許第3509108号明細書、米国特許第3555389号明細書などに記載されている製造方法が好ましい。
【0021】
上記のポリベンズイミダゾール類は、多官能性架橋剤によって架橋されていることがより好ましい。多官能性架橋剤としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルまたはエポキシ基含有アルコキシシランが好ましく、特にエポキシ基含有アルコキシシランが好ましい。エポキシ基含有アルコキシシランの中でも特に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。これら多官能基架橋剤は、分子中にエポキシ基(グリシジル基)を備えており、このエポキシ基が塩基性ポリマーに結合する。
分子中に複数のエポキシ基を備えた多官能基架橋剤の場合は、隣接するポリベンズイミダゾール類の主鎖同士を結合して架橋させる。
また、分子中にエポキシ基及びアルコキシル基を備えたエポキシ基含有アルコキシシランの場合は、ポリベンズイミダゾール類の主鎖にエポキシ基を作用させて、ポリベンズイミダゾール類の主鎖にエポキシ基含有アルコキシシランを付加させる。次いで、付加されたエポキシ基含有アルコキシシラン同士を縮合反応により結合させることで、最終的に隣接するポリベンズイミダゾール類の主鎖同士が架橋される。
また、架橋剤としてシラン系の化合物を用いることで、寸法変化率を極めて小さくできるとともに、電解質膜の耐熱性をより高めることが可能になる。
【0022】
ポリベンズイミダゾール類に対する多官能性架橋剤の配合率は、含水状態から乾燥状態に至る電解質膜の平面方向の寸法変化率が5%以下となるように調整すればよい。
【0023】
次に、酸性ドーパントには、燐酸または有機ホスホン酸を用いることが好ましい。燐酸としては、例えば、メタリン酸、オルトリン酸、パラリン酸、三リン酸、四リン酸等が好ましく、オルトリン酸がより好ましい。また、有機ホスホン酸としては、例えば、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸などのアルキルホスホン酸類あるいはビニルホスホン酸、フェニルホスホン酸が好ましく、中でもビニルホスホン酸がより好ましい。
【0024】
これら酸性ドーパントのポリベンズイミダゾール類に対する含浸率(ドープ量)は、ポリベンズイミダゾール類の繰り返し構造単位に対して20モル%以上2000モル%以下の範囲が好ましく、50モル%以上1500モル%以下の範囲が更に好ましい。含浸率が20モル%以上であれば、電解質膜のプロトン伝導度が十分に高くなり、この電解質膜を燃料電池に組み込んだ場合に良好な発電特性を発現させることが出来る。また、含浸率が2000モル%以下であれば、ポリベンズイミダゾール類に対する含浸率が過剰にならず、ポリベンズイミダゾール類が溶解することがなく、プロトン伝導度を長期間に渡って安定に維持できる。
【0025】
次に、本発明に係る電解質膜は、含水状態から乾燥状態に至る電解質膜の平面方向の寸法変化率が5%以下であることが好ましい。寸法変化率が5%以下であれば、膜電極接合体の性能を長期的に安定に維持し続けることが可能になる。すなわち、電解質膜の寸法変化率が5%以下であれば、電解質膜が含水状態から乾燥状態に変化する間で塑性変形が起きることがなく、電解質膜における微少なクラックの発生や破断が防止される。また、燃料電池の運転状況によって電解質膜が微小な塑性変形を繰り返し起こすような状況でも、塑性変形の繰り返しによる疲労が蓄積されることがなく、長期的には膜の破断あるいはクロスオーバーの極端な増大に導かれる可能性を低くすることが可能になる。
【0026】
電解質膜の含水状態と乾燥状態における平面方向の寸法変化率を5%以下にする手段には特に制限はない。電解質膜を構成する塩基性ポリマーの分子構造および酸性ドーパントの組み合わせを考慮し、出来上がる電解質膜のイオン伝導度、取り扱い性、などの諸特性を損なわない範囲でその手段を選択することが出来る。
【0027】
例えば、塩基性ポリマーとして架橋構造を導入した塩基性ポリマーを用いた場合、架橋剤としては従来知られている1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルなどを用いてもよい。この場合、酸性ドーパントの種類と処理温度によって寸法変化率5%以内に調整すれば良く、イオン伝導度、取り扱い性、などの諸特性を損なわない範囲で選択することが出来る。
【0028】
特に本発明においては、架橋構造を導入した塩基性ポリマーを用いる場合に、電解質膜の製造工程を考慮すると、塩基性ポリマーを多官能性架橋剤で一度に架橋するのではなく、塩基性ポリマーへの架橋性の付与と、製膜時に架橋を進行させる2段階の工程で得られる架橋構造を導入した塩基性ポリマーを用いることが出来る。この場合、塩基性ポリマーにエポキシ基含有アルコキシシランを反応させて架橋性を付与し、その後加水分解縮合反応させること架橋構造を導入する方法が好適な例としてあげられる。
【0029】
また、非架橋構造の塩基性ポリマーを用いる場合は、高分子鎖の平面配向性が比較的高い分子構造、例えば主鎖にスルホン基やエーテル基を導入したりベンゼン環にホスホン基を導入したりした分子構造、を選択することは適しているが、この場合にも酸性ドーパントの種類と処理温度によって寸法変化率5%以内に調整すれば良く、イオン伝導度、取り扱い性、などの諸特性を損なわない範囲で選択することが出来る。
【0030】
ここで、含水状態の電解質膜とは、ポリベンズイミダゾール類または多官能性架橋剤によって架橋されたポリベンズイミダゾール類に酸性ドーパントが含浸され、更に水分が含浸された状態の電解質膜をいう。このような状態の電解質膜は、酸性ドーパント及び水によって膨潤されており、平面方向の寸法が大きくなっている。
一方、乾燥状態の電解質膜とは、ポリベンズイミダゾール類または多官能性架橋剤によって架橋されたポリベンズイミダゾール類に酸性ドーパントが含浸され、水分が除去された状態の電解質膜をいう。このような状態の電解質膜は、酸性ドーパントによって膨潤されており、平面方向の寸法が、含水状態の電解質膜よりも小さくなっている。
【0031】
含水状態の電解質膜は、例えば、ポリベンズイミダゾール類または多官能性架橋剤によって架橋されたポリベンズイミダゾール類に、濃度85%のオルトリン酸を含浸させることによって得られる。濃度85%のオルトリン酸には、15%の水分が含まれており、この15%の水分がオルトリン酸とともに電解質膜に含浸されることで含水状態になる。
また、燃料電池に外部負荷が接続されて発電がなされると、発電反応に伴って発生する水が電解質膜に含浸される。この状態の電解質膜は含水状態である。
【0032】
一方、乾燥状態の電解質膜は、例えば、上記の含水状態の電解質膜を、例えば1mmHg以下の減圧下で60℃、24時間の条件で真空乾燥することによって乾燥状態になる。
また、燃料電池に外部負荷が接続されず発電電流がほぼ0Aとなり、水素等の燃料ガスと酸素(空気)等の酸化ガスが流通された状態のままでいると、燃料ガスと酸化ガスによって電解質膜が乾燥され、電解質膜中の水分が除去される。この状態の電解質膜は乾燥状態である。
【0033】
次に、本発明に係る電解質膜の製造方法について説明する。本発明に係る電解質膜は、上述の通り、1段階で架橋反応を行う場合と、2段階で架橋反応を行う場合とに分けられる。
1段階で架橋反応を行う場合は、例えば、多官能性架橋剤として、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを用いることが好ましい。
具体的には、まず、有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、混合溶液とする。塩基性ポリマーとしてはポリベンズイミダゾール類を用いることが好ましく、有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルファミド、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることが好ましい。架橋反応は例えば、有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加えてから、120℃〜180℃の温度範囲で5分〜2時間反応させればよい。
次に、混合溶液から加熱により有機溶媒を除去する時に、同時に架橋反応を進めればよく、加熱は120℃〜180℃の温度範囲で5分〜2時間反応させればよい。この操作によって高分子膜を得る。その後、室温以上200℃以下の環境下で高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって電解質膜が得られる。
【0034】
2段階で架橋反応を行う場合は、例えば、多官能性架橋剤として、エポキシ基含有アルコキシシランを用いることが好ましい。
具体的には、まず、有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、塩基性ポリマーに多官能性架橋剤を付加させて高分子溶液とする。このときの付加反応は、エポキシ基含有アルコキシシランのエポキシ基が開環して塩基性ポリマーに付加反応である。塩基性ポリマーとしてはポリベンズイミダゾール類を用いることが好ましく、有機溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルスルファミド、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることが好ましい。付加反応は例えば、有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加えてから、50℃〜80℃の温度範囲で5分〜2時間反応させればよい。
次に、付加反応後の高分子溶液から有機溶媒などを除去するとともに、多官能性架橋剤同士を縮合反応させて塩基性ポリマーを架橋させて高分子膜を得る。このときの縮合反応は、エポキシ基含有アルコキシシランのアルコキシル基が縮合してシロキサン結合を形成する縮合反応である。有機溶媒を除去する際には、120℃〜180℃の範囲で5分〜2時間加熱すればよい。この加熱によって、塩基性ポリマーに付加した多官能性架橋剤同士が縮合反応を起こし、これにより塩基性ポリマーが架橋される。このようにして高分子膜が得られる。
その後、室温以上200℃以下の環境下で高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって電解質膜が得られる。
【0035】
以上説明したように、上記の電解質膜によれば、寸法変化率が5%以下であるので、電解質膜が含水状態から乾燥状態に変化する間で塑性変形が起きることがなく、電解質膜における微少なクラックの発生や破断を防止できる。また、燃料電池の運転状況によって電解質膜が微小な塑性変形を繰り返し起こすような状況でも、塑性変形の繰り返しによる疲労が蓄積されることがなく、長期的には膜の破断あるいはクロスオーバーの極端な増大に導かれる可能性を低くできる。
【実施例】
【0036】
各種の電解質膜を製造し、電解質膜の寸法変化率を求めると共に、電解質膜の耐久性試験を行った。寸法変化率の測定方法及び耐久試験の実施方法は以下の通りである。
「寸法変化率の測定方法」
塩基性ポリマーを、イオン伝導度、取り扱い性などを考慮して選択された酸性ドーパントに浸漬させ、塩基性ポリマーと酸性ドーパントからなる電解質膜を製造する。この時の処理条件は、イオン伝導度、取り扱い性などを考慮して選択される。例えば、オルトリン酸を含浸させる場合には、室温から60℃程度に液温を保てば良く、浸漬時間は、酸性ドーパントの含浸率が一定になるまでの時間に調整すればよい。得られた電解質膜が含水状態の電解質膜である。この電解質膜から余分な酸を拭き取り、膜の平面2方向の寸法を測定した後、60℃で24時間真空乾燥して水分を除去する。このときの電解質膜は乾燥状態の電解質膜である。そして、含水状態と乾燥状態との間における電解質膜の平面2方向の寸法変化率をそれぞれ求め、その平均値を寸法変化率とする。
【0037】
「電解質膜の耐久性試験方法」
製造された電解質膜に市販のガス拡散電極を接合して有効面積25cmの膜電極接合体を製造する。これを燃料電池評価用のセルに組み込み、水素/空気で発電運転を行う。この際の運転温度は150℃で、ガス利用率は電流密度0.2A/cm以上では水素80%、空気50%の利用率一定運転とし、それ以下では0.2A/cm基準で流量一定運転とする。
電解質膜を乾燥状態に近づけるためには開回路状態で放置運転する。また、含水状態とするためには、電流密度0.6〜1A/cmを上限電流密度として運転を行う。乾燥状態から含水状態に繰り返し変化させる方法としては、開回路放状態で一定時間放置した後に上限電流密度まで電流値を変化させることを繰り返すが、開回路放置時間としては開回路放置による電解質膜の化学的変化による影響を出来るだけ抑えるために約10分間とし、急激な電流値の変化によるガス供給不足などの影響を排除するために上限電流密度まで約40分から60分かけて電流走査を行う。燃料電池の出力電圧及び出力電流と、運転時間との関係を図3(a)に示す。本例の耐久性試験は、図3(a)に示すパターンを繰り返し行うことにより実施する。なお、図3(a)において、実線のプロットが出力電圧を示し、点線のプロットが出力電流を示す。
耐久性評価方法としては、この電流走査によって得られた開回路電圧と運転時間の関係から、開回路電圧が急激に低下し始めた時間をもって耐久時間とする。なお試験時間は1000時間で打ち切りとする。図3(b)に、開回路電圧と試験時間との関係の一例をグラフで示す。図3(b)は、240時間程度で開回路電圧が急激に低下し始めた例を示すグラフである。
【0038】
「実施例1」
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを架橋剤として架橋したポリベンズイミダゾール類に、400質量%のオルトリン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、上記化学式(a)に示すポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールが10質量%溶解したN,N−ジアセトアミド溶液に、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル5質量部を添加し混合溶液とした。得られた混合溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去するとともに架橋反応を進行させた。このようにして高分子膜を製造した。
そして、得られた高分子膜を、室温で純度85%のオルトリン酸に1時間含浸させた。このようにして、実施例1の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率4%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は750時間であった。
【0039】
「実施例2」
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを架橋剤として架橋したポリベンズイミダゾール類に、120質量%のエチルホスホン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、上記化学式(a)に示すポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールが10質量%溶解したN,N−ジアセトアミド溶液に、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル10質量部を添加し混合溶液とした。この混合溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去するとともに架橋反応を進行させた。このようにして高分子膜を製造した。
そして、得られた高分子膜を、温度120℃に加熱した純度85%のエチルホスホン酸に5時間含浸させた。このようにして、実施例2の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率0%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は950時間であった。
【0040】
「実施例3」
ポリベンズイミダゾール類に、210質量%のビニルホスホン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、下記構造式(e)に示すポリベンズイミダゾール類をN,N−ジアセトアミドに溶解して濃度10質量%の高分子溶液とし、得られた高分子溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去した。このようにして高分子膜を製造した。
【0041】
【化2】

【0042】
そして、得られた高分子膜を、温度120℃に加熱した純度85%のビニルホスホン酸に1時間含浸させた。このようにして、実施例3の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率2%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は800時間であった。
【0043】
「実施例4」
ベンズイミダゾール類に、100質量%のエチルホスホン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、上記化学式(c)に示すポリ−2,5−ベンズイミダゾールが10質量%溶解したN,N−ジアセトアミド溶液に、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル10質量部を添加し混合溶液とした。この混合溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去するとともに架橋反応を進行させた。このようにして高分子膜を製造した。
そして、得られた高分子膜を、温度120℃に加熱した純度85%のエチルホスホン酸に5時間含浸させた。このようにして、実施例4の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率0%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は1000時間超であった。
【0044】
「実施例5」
3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランを架橋剤として架橋したポリベンズイミダゾール類に、150質量%のオルトリン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、下記構造式(f)のポリベンズイミダゾール類が10質量%溶解したN,N−ジアセトアミド溶液に、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン5質量部を添加し混合溶液とした。この混合溶液を80℃、2時間の条件で付加反応させて高分子溶液とした。得られた高分子溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより加水分解重縮合反応を起こさせながら有機溶媒を除去した。このようにして高分子膜を製造した。
【0045】
【化3】

【0046】
そして、得られた高分子膜を、室温で純度85%のオルトリン酸に1時間含浸させた。このようにして、実施例5の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率1%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は900時間であった。
【0047】
「実施例6」
ポリベンスイミダゾール類に、210質量%のビニルホスホン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、下記構造式(g)に示すポリベンスイミダゾール類をN,N−ジアセトアミドに溶解して濃度10質量%の高分子溶液とし、得られた高分子溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去した。このようにして高分子膜を製造した。
【0048】
【化4】

【0049】
そして、得られた高分子膜を、温度120℃に加熱した純度85%のビニルホスホン酸に1時間含浸させた。このようにして、実施例6の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率1%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は850時間であった。
【0050】
「比較例1」
ポリベンズイミダゾール類に、350質量%のオルトリン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、上記化学式(a)に示すポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールをN,N−ジアセトアミドに溶解して濃度10質量%の高分子溶液とし、得られた高分子溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去した。このようにして高分子膜を製造した。
そして、得られた高分子膜を、室温で純度85%のオルトリン酸に1時間含浸させた。このようにして、比較例1の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率10%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は300時間であった。
【0051】
「比較例2」
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを架橋剤として架橋したポリベンズイミダゾール類に、320質量%のオルトリン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、上記化学式(a)に示すポリ−2,2’−(m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールが10質量%溶解したN,N−ジアセトアミド溶液に、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル2質量部を添加し混合溶液とした。得られた混合溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、5時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去するとともに架橋反応を進行させた。このようにして高分子膜を製造した。
そして、得られた高分子膜を、室温で純度85%のオルトリン酸に1時間含浸させた。このようにして、比較例2の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率7%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は450時間であった。
【0052】
「比較例3」
ポリベンズイミダゾール類に、150質量%のオルトリン酸が含浸されてなる電解質膜を製造した。
具体的には、下記構造式(h)に示すポリベンズイミダゾール類をN,N−ジアセトアミドに溶解して濃度10質量%の高分子溶液とし、得られた高分子溶液をガラス基板上にキャストし、150℃、2時間の条件で加熱することにより有機溶媒を除去した。このようにして高分子膜を製造した。
【0053】
【化5】

【0054】
そして、得られた高分子膜を、室温で純度85%のオルトリン酸に1時間含浸させた。このようにして、比較例3の電解質膜を製造した。
得られた電解質膜について、寸法変化率を測定したところ、寸法変化率9%であった。また、耐久試験の結果、耐久時間は200時間であった。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明の実施形態である燃料電池の要部を示す斜視分解図である。
【図2】図2は、図1の燃料電池に備えられた膜−電極接合体を示す断面模式図である。
【図3】図3は、耐久性試験の実施方法を説明する図であって、(a)は、燃料電池の出力電圧及び出力電流と、運転時間との関係を示すグラフであり、(b)は、開回路電圧と試験時間との関係の一例を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1…燃料電池、10… 膜−電極接合体、20…バイポーラプレート、100…電解質膜(燃料電池用高分子電解質)、110、110’…触媒層、120、120’、121,121’…気体拡散層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基性ポリマーと酸性ドーパントとが含有されてなる高分子電解質膜であり、含水状態から乾燥状態に至る前記高分子電解質膜の平面方向の寸法変化率が5%以下であることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜。
【請求項2】
前記塩基性ポリマーが、ポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の高分子電解質膜。
【請求項3】
前記塩基性ポリマーが、多官能性架橋剤との反応により架橋されたポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の高分子電解質膜。
【請求項4】
前記塩基性ポリマーが、エポキシ基含有アルコキシシランによって架橋されたポリベンズイミダゾールまたはその誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用の高分子電解質膜。
【請求項5】
前記酸性ドーパントが、燐酸または有機ホスホン酸であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の燃料電池用の高分子電解質膜。
【請求項6】
有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、前記塩基性ポリマーに前記多官能性架橋剤を付加させて高分子溶液とする工程と、
前記高分子溶液から前記有機溶媒を除去するとともに、前記多官能性架橋剤同士を縮合反応させて前記塩基性ポリマーを架橋させて高分子膜を得る工程と、
室温以上200℃以下の環境下で前記高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって高分子電解質膜を得る工程と、
を具備してなることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法。
【請求項7】
有機溶媒中に塩基性ポリマーと多官能性架橋剤とを加え、前記塩基性ポリマーを前記多官能性架橋剤によって架橋させて高分子溶液とする工程と、
前記高分子溶液から前記有機溶媒を除去することにより高分子膜を得る工程と、
室温以上200℃以下の環境下で前記高分子膜に酸性ドーパントを含浸させることによって高分子電解質膜を得る工程と、
を具備してなることを特徴とする燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法。
【請求項8】
前記塩基性ポリマーがポリベンズイミダゾールまたはその誘導体であり、前記多官能性架橋剤がエポキシ基含有アルコキシシランであることを特徴とする請求項6に記載の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法。
【請求項9】
前記塩基性ポリマーがポリベンズイミダゾールまたはその誘導体であり、前記多官能性架橋剤が1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルであることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池用の高分子電解質膜の製造方法。
【請求項10】
一対の触媒層と各触媒層の間に配置された電解質膜とを具備してなり、前記電解質膜が、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の燃料電池用の高分子電解質膜からなることを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−153174(P2008−153174A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342826(P2006−342826)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】