物品反転装置
【課題】 物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転すること。
【解決手段】 物品1を搬送しつつ反転させる物品反転装置10であって、上下移動床30と出口側固定床40を物品搬送方向に沿って配置し、上下移動床30は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面33と、持ち上げ床面33に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面32とを有し、出口側固定床40は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床30の垂直壁面32に相対する垂直壁面41を有し、上下移動床30の持ち上げ床面33を出口側固定床40の床面42に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなるもの。
【解決手段】 物品1を搬送しつつ反転させる物品反転装置10であって、上下移動床30と出口側固定床40を物品搬送方向に沿って配置し、上下移動床30は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面33と、持ち上げ床面33に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面32とを有し、出口側固定床40は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床30の垂直壁面32に相対する垂直壁面41を有し、上下移動床30の持ち上げ床面33を出口側固定床40の床面42に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなるもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ等の物品を物品処理装置に供給するとき、物品を反転して供給する物品反転装置を用いることがある。例えば、整列機で整列したキャップをキャップ締め機に供給しようとするとき、整列機で整列されたキャップは重心のある側、即ちキャップの天面側が下向きに整列される。ところが、キャップ締め機では、天面を上向きにしてキャップを把持しないと、キャップを容器に締め込みできない。そこで、整列機とキャップ締め機の間に、キャップを180度上下反転する物品反転装置が必要になる。
【0003】
従来、物品反転装置として、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1に記載の物品反転装置は、物品が重力で滑り落ちる搬送過程で該物品を反転させるものである。整列機で整列された物品を搬送する第1ベルトコンベヤに、半円状上下反転シュートの上側入口部を接続し、半円状上下反転シュートの下側出口部に第2ベルトコンベヤを接続するものである。第1ベルトコンベヤで搬入されてくる物品を半円状上下反転シュートで上下反転し、反転された物品を第2ベルトコンベヤで搬出するものである。
【0004】
尚、他の物品反転装置として、物品を斜め下向きシュートで滑り落としながら、物品進行方向に対してスクリュー状に捻った上下反転シュートに通してその上下反転を図るものもある。
【0005】
特許文献2に記載の物品反転装置は、一定個数の物品を反転装置内に貯めてからそれらの物品を反転させるものである。整列機で整列された一定個数の物品を物品受け部に受け入れ、旋回アクチュエータで物品受け部を180度旋回させることにより、それらの物品を上下反転して排出するものである。
【0006】
特許文献3に記載の物品反転装置は、物品を整列機の中で反転するものである。複数の固定床と移動床を交互に配置した物品搬送装置において、最下流側に配置される床高固定床の床面を他の固定床の床面よりも高くし、該床高固定床の下流に配置される急傾斜移動床の床面を他の移動床の床面よりも急傾斜にしてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-149428
【特許文献2】特開2008-230774
【特許文献3】特開2010-76922
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術において、物品を上下反転シュートによって反転するものは、反転に必要な落差と距離が必要であり、搬送方向にも制約が出ることもある。また、物品形状やサイズに対する兼用性も低い。特許文献1では、半円状上下反転シュートの設置スペースが必要である。搬送方向も入口と出口で逆になるため、装置設置の面からも制約となる。また物品形状やサイズが変更となった場合、半円状上下反転シュートの型替え部品が必要になるが、一般にこの半円状上下反転シュートは削り出し加工が必要であり高価になりがちである。進行方向に対してスクリュー状に捻る上下反転シュートにて上下反転するものも同様の課題がある。特に、スクリュー状に捻る上下反転シュートの型替え部品は形状が複雑であるため、物品がつまらないようにするための微調整に時間と労力が必要である。
【0009】
また、一定個数の物品を物品受入れ部に貯めてからアクチュエータで反転するものも、反転に必要な落差と距離が必要であり、搬送方向に制約が出ることもある。また物品形状やサイズに対する兼用性も低い。特許文献2では複数の物品を受入れる物品受入れ部が必要なため、大きな設置スペースが必要になる。反転のためのアクチュエータの設置スペースも必要である。物品受入れ部への物品の投入方向と排出方向は逆となるため、装置設置の面からも制約となる。また、物品形状やサイズが変更となった場合、物品受入れ部は型替え部品が必要になるが、物品受入れ部は構造が複雑であるため高価になりがちである。
【0010】
また、物品を整列機の中で反転するものは、整列機の構造や制御が複雑になりがちで、また物品形状やサイズに対する兼用性にも一定の制約がある。特許文献3は、床高固定床で物品の天面側をまずは上流向きにし、急傾斜移動床で天面側を上向きにする2工程を必要とするため、装置設計や調整に時間を要する。また、ジャーキャップのようにキャップ直径がキャップ高さより相当大きい物品に関しては、床高固定床上流の移動床でキャップ重心を押し上げることが困難であり、キャップの天面側を上流向きとすることができず、結果、上下反転で向きを揃えることが困難である。
【0011】
本発明の課題は、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、物品を搬送しつつ反転させる物品反転装置であって、上下移動床と出口側固定床を物品搬送方向に沿って配置し、上下移動床は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面と、持ち上げ床面に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面とを有し、出口側固定床は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床の垂直壁面に相対する垂直壁面を有し、上下移動床の持ち上げ床面を出口側固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は物品反転装置を示す斜視図である。
【図2】図2は物品反転装置の投入シュートと上下移動床と出口側固定床を示す模式図である。
【図3】図3は上下移動床の変形例を示す模式図である。
【図4】図4は反転対象物品を示す模式図である。
【図5】図5は反転工程を示す模式図である。
【図6】図6は反転工程の続きを示す模式図である。
【図7】図7は反転工程の別の態様を示す模式図である。
【図8】図8は小物品の反転工程を示す模式図である。
【図9】図9は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【図10】図10は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【図11】図11は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示した物品反転装置10は、反転対象物品1を例えばキャップとし、物品1を搬送しつつ反転し、次工程へ払い出し可能にする。
【0016】
物品反転装置10は、上下移動床30と出口側固定床40を物品搬送方向に沿って配置している。本実施例では、物品1の上下姿勢を一定に整列する整列機(不図示)の下流側に投入シュート20を接続し、この投入シュート20を上下移動床30の上流側に配置している。投入シュート20と上下移動床30と出口側固定床40の両側にはサイドガイド11が立設されている。投入シュート20と出口側固定床40は両側のサイドガイド11により隙間なく固定的に挟まれる。上下移動床30は両側のサイドガイド11により隙間なく挟まれながら、上下昇降装置35により上下移動される。サイドガイド11は、投入シュート20、上下移動床30、出口側固定床40の上の物品1の横方向への落下を防止する。上下昇降装置35は、回転運動を往復直進運動に変換するスライダ・リンク機構、空圧式シリンダや電動アクチュエータを採用できる。上下昇降装置35は、停止位置の設定や速度制御の容易な点で、電動アクチュエータが好ましい。
【0017】
投入シュート20は、板状シュート等からなり、図2に示す如く、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。投入シュート20の下り勾配の角度δについては後述する。
【0018】
上下移動床30は、図2に示す如く、物品搬送方向の上流側から下流側に向けて順に、誘い込み床面31、垂直壁面32、持ち上げ床面33を有する。持ち上げ床面33は物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。垂直壁面32は持ち上げ床面33に対する物品搬送方向の上流側にて該持ち上げ床面33の最上流部から鉛直上方に起立する。誘い込み床面31は垂直壁面32の最高位部に対する物品搬送方向の上流側に配置され、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。誘い込み床面31は、図3に示す如く、上流側を緩斜面31A、下流側を急斜面31Bとする2段勾配面としたり、最上流部を丸味のある凸曲面とすることにより、投入シュート20から投入される物品1を上下移動床30と出口側固定床40の間に滑らかに誘い込み、該誘い込み床面31上での物品1のつまりを回避できる。誘い込み床面31の下り勾配の角度α、持ち上げ床面33の下り勾配の角度βについては後述する。
【0019】
出口側固定床40は、図2に示す如く、物品搬送方向の上流側から下流側に向けて順に、垂直壁面41、床面42を有する。垂直壁面41は床面42に対する物品搬送方向の上流側にて、該床面42の最上流部から鉛直方向に垂れ下がり、上下移動床30の垂直壁面32に一定の距離xを介して相対する。床面42は物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。但し、床面42は水平面をなすものでも良い(図9)。垂直壁面41と床面42との交差角γについては後述する。
【0020】
ここで、物品反転装置10の反転対象物品1は、図4(A)〜(C)に示したように底面が穿たれた円柱形、楕円柱形、角柱形等のキャップの他、図4(D)に示した中実体等であっても良い。各物品1は天面Aと底面Bを有する。そして、物品反転装置10は、天面上向きで搬入された物品1を天面下向きに反転して払い出しても良いし、天面下向きで搬入された物品1を天面上向きに反転して払い出しても良い。物品1の天面A又は底面Bの直径をd、物品1の高さをhとする。
【0021】
物品反転装置10は、上下昇降装置35により、上下移動床30の持ち上げ床面33を出口側固定床40の床面42に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことにより、物品1(天面A、底面B)を以下の如くに反転する(図5〜図8)。ここでは、整列機が天面下向きに整列した物品1が投入シュート20を介して上下移動床30に搬入され(図1(A))、上下移動床30により天面上向きに反転された物品1が出口側固定床40から次工程へ払い出されるものとする(図1(B))。
【0022】
(1)上下移動床30が原位置にあるとき、上下移動床30の誘い込み床面31の最上流部は、投入シュート20の最下流部より下にある。この状態で、上下移動床30の上流の投入シュート20に置かれた天面下向きの物品(キャップ)1が、上下移動床30の側に向かって滑り落ちる(図5(A))。
【0023】
(2)物品1は、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、上下移動床30の持ち上げ床面33及び垂直壁面32、出口側固定床40の垂直壁面41の3点に接触して止まる(図5(B))。
【0024】
(3)上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する(図5(C))。このとき、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に前方へ起き上がるように回転する。
【0025】
(4)更に上下移動床30が上昇すると、物品1の底面の側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、物品1は天面や底面が垂直になった状態で上昇する(図5(D))。
【0026】
(5)上下移動床30が上昇し、物品1の底面の1/2程度が出口側固定床40の垂直壁面41を通過する(図6(A))。上下移動床30はこのまま上昇を続けても良いが、ここで一時停止してから再度上昇するほうが、次工程の物品1の倒れ込みがより確実に行なわれる。上下移動床30を停止させることで、出口側固定床40の垂直壁面41と物品1とが動摩擦ではなく摩擦係数の大きな静止摩擦で当接するものになるためである。
【0027】
(6)上下移動床30が上昇し、物品1の底面の大部分が出口側固定床40の垂直壁面41を通過すると、上下移動床30の持ち上げ床面33が物品1に及ぼす下流側に向く上向き力によって、物品1は出口側固定床40の床面42の上流側の頂点を回転中心として、前方に倒れ込む(図6(B))。
【0028】
(7)物品1は出口側固定床40(出口シュート)の床面42の上で、天面を上向きにするように反転される(図6(C))。物品1は不図示の払い出しシュートを滑り落ちたり、出口側固定床40が移動したり、外部からの押し出し装置等によって次工程へ移載される。上下移動床30はその持ち上げ床面33の最下流部が、出口側固定床40の最上流部より高位にまで上昇する。
【0029】
上述(1)〜(7)の如くに上下移動床30の昇降を繰り返すことで、物品1を次々と上下反転することができる。上下移動床30の昇降サイクル時間は、0.5〜4.0secが好ましく、特に1.0〜2.5secが好ましい。昇降サイクル時間を短くするには、高価な上下昇降装置35が必要となり、経済的でない。昇降サイクル時間が長すぎると生産性が低下してしまう。上下移動床30の上昇速度は、50〜300mm/secが好ましく、特に好ましくは150〜250mm/secである。
【0030】
図7は、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、(1)〜(4)に対応し、特に(2)、(3)の動作(図5(B)、(C))が異なるものになる状態(図7(B)、(C))を示す。尚、図9(A)、(D)は、図5(A)、(D)と全く同じである。
【0031】
即ち、物品反転装置10による前述の図5(B)で示した反転動作(2)に対し、図7(B)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、その勢いで、上下移動床30の持ち上げ床面33及び出口側固定床40の垂直壁面41の2点に接触して止まる。物品1の天面は垂直又は極僅かに下向き側に傾いた状態となっている。
【0032】
そして、物品反転装置10による前述の図5(C)に示した反転動作(3)に対し、図7(C)では、上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1の天面が下向きになる側に倒れることなく、そのままの状態、もしくは、物品1の底面側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、上昇する。上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力は小さいので、この動きが阻害されることはない。
【0033】
図8は、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、物品1の最短幅d(出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視における最短幅)より大きいとき(x>d)、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、(2)の動作(図5(B))が異なるものになる状態(図8(B)、(C))を示す。尚、図8(A)、(D)は、図5(A)、(C)に比し、物品1が小さくなっている点で相違しているだけである。
【0034】
即ち、物品反転装置10による前述の図5(B)に示した反転動作(2)は、物品1が小さい(x>d)ことにより、図8(A)から図8(B)、(C)を経て図8(D)に移行し、又は図8(A)から直ちに図8(C)を経て図8(D)に移行する。
【0035】
まず、図8(B)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、上下移動床30の持ち上げ床面33及び出口側固定床40の垂直壁面41の2点に接触して止まる。上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は前方に起き上がるように回転し、図8(C)の状態に移行する。まれに、上下移動床30が上昇を開始する際、すでに図8(C)の状態となっていることもある。
【0036】
そして、図8(D)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、物品1の天面の全面が上下移動床30の持ち上げ床面33に面接触し、出口側固定床40の垂直壁面41と接触して止まる。まれに、上下移動床30が上昇を開始する際、すでに図8(D)の状態となっていることもある。
【0037】
尚、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、物品1の最短幅d(出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視における最短幅)より小さく設定されること(x<d)が、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、特に(3)において当該物品1を上下移動床30内でより容易に前方に傾け、その反転が容易に行なわれて好ましい。
【0038】
以下、物品反転装置10の具体的構成について詳述する。
(A)投入シュート20、上下移動床30、出口側固定床40の各床面の角度(図2)
投入シュート20の下り勾配の角度δは、物品1が自重で滑り落ちる角度に調整される。δは15度〜60度程度が好ましく、更に好ましくは20度〜40度である。投入シュート20の表面の滑りやすさを調整することで、上下移動床30に投入される物品1の数量を適切に調整することができる。投入数量を適切にすることで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込んだ物品1の後方に更に後続の物品1が送り込まれることによる、上下反転の失敗を防止できる。また、投入シュート20に代わるベルトコンベヤ式等の物品投入装置は水平配置、又は上り配置されても良い。ベルトコンベヤ式の物品投入装置は、上下移動床30に投入される物品1の数量をベルトコンベヤの速度によって容易に制御できるので好ましい。
【0039】
上下移動床30の誘い込み床面31の下り勾配の角度αは、上下移動床30と出口側固定床40の間に物品1が入り込むときにつまりが生じないように、αはある程度大きくすると良い。但し、上下移動床30の高さが大きくなり、昇降時間が長くなって生産性が低下しないように、αは大きくなり過ぎないほうが良い。αは20度〜70度程度が好ましく、更に好ましくは40度〜60度である。
【0040】
上下移動床30の持ち上げ床面33の下り勾配の角度βは、上下移動床30が上昇中に物品1がその斜面を滑り上がれるように、好ましくは70度以下とされる。また、上下移動床30が上昇し、物品1を前方の出口側固定床40に倒れ込ませるように、好ましくは30度以上とされる。βは30度以上70度以下が好ましく、更に好ましくは40度以上60度以下とされる。
【0041】
出口側固定床40の床面42が垂直壁面41に対する交差角γは、90度以下にすると良い。γを図9に示した如くに90度、即ち水平とし、出口側固定床40に物品1を受けた後は、外部からの押し出し装置で物品1を移送したり、出口側固定床40が水平移動等して所望の位置に物品1を移送したり(図9(B))、出口側固定床40が傾動して物品1を払い出ししても良い。γを90度未満とすれば、物品1が出口側固定床40の床面42を自重で滑り落ちて次工程へ移送できる。従って、γは30度〜90度が好ましく、更に好ましくは45度〜90度とされる。
【0042】
(B)物品1のサイズとの関係(図2)
物品反転装置10による反転対象物品1は、天面又は底面の直径dがその高さhより大きいこと(d>h)が好ましい。物品1の高さhが大きい場合、物品1の形状によっては、物品1の高さ方向が、本装置内の進行方向と垂直になり、上下反転が不可能になってしまうことがある。
【0043】
上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間の距離xは、物品1の最短幅d、円形物品の場合は直径dより小さくすること(x<d)で、物品1の底面側を前方に向けることができる。好ましくは、xはdの30〜70%、更に好ましくは40〜60%である。
【0044】
上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間の距離xは、物品1の高さhより大きくすること(x>h)で、物品1が上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込む。また、xの上限を規定することで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間における物品1の傾斜角θが小さくなり、上下移動床30の上昇時に物品1の天面や底面が垂直になった状態になりにくくなってしまうことを防止できる。xはhの110〜250%が好ましく、更に好ましくは130〜200%である。
【0045】
上下移動床30の持ち上げ床面33の下り勾配の角度βと距離xを調整し、物品1の傾斜角θを60度〜85度、更に好ましくは70度〜85度とすることで、物品1は上下移動床30が上昇中にその持ち上げ床面33を容易に滑り上がり、物品1の天面や底面が垂直になった状態で上昇する。そして、上下移動床30が更に上昇し、物品1を前方の出口側固定床40に倒れ込ませることができる。尚、実際の運用においては、物品1が上下移動床30と出口側固定床40の間に入る勢いで、最初から物品1の天面や底面が垂直になった状態、即ちθが90度となっていることもある。
【0046】
物品1のサイズが変更になったときには、別途用意した距離xが異なる上下移動床30に交換することで対応できる。
【0047】
(C)上下移動床30の持ち上げ床面33と出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数(図2)
上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。特に、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に、前方に起き上がるように回転する。
【0048】
このため、出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2を高くすると良い。一例として、材質をステンレス等の金属とする、表面の荒らし加工を行なう、表面に物品1の進行方向と垂直な微小深さの溝加工を行なう等の方法を用いる。出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2は、0.3以上が好ましく、更に好ましくは0.5以上である。
【0049】
上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1は小さくすると良い。一例として、PTFE等のフッ素樹脂テフロン(登録商標)やPOM等の滑りの良い樹脂とする、テフロン(登録商標)コーティングされた金属とする、表面を滑らかに研磨する、表面に物品1の進行方向と平行な微小深さの溝加工を行なう等の方法を用いる。上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1は、0.3以下が好ましく、更に好ましくは0.15以下である。
【0050】
出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2を上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1より大きくすること(μ2>μ1)で、更に確実に物品1を前方に起き上がるように回転することができる。
【0051】
(D)上下移動床30の床幅L(図1)
上下移動床30の床幅L(物品搬送方向に直交する長さ)は、物品1の最大幅の1.5倍以上とすれば良い。この床幅Lを調整することで必要な反転能力を得ることができる。一例として、物品1の最大幅の5倍の床幅Lを持つ上下移動床30を昇降サイクル時間2.0secで運転すると、上下移動床30は、1サイクル毎に平均的には3個程度の物品1の上下反転を行ない、約90個/minの反転能力になる。
【0052】
従って、物品反転装置10によれば以下の作用効果を奏する。
(a)上下移動床30の上流の投入シュート20から天面が下向きとなった物品1が、上下移動床30の側に滑り落ちて投入されると、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33及び垂直壁面32、出口側固定床40の垂直壁面41の3点に接触して止まる。上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。更に上下移動床30が上昇すると、物品1の底面側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、物品1は天面や底面が垂直になった状態で上昇する。上下移動床30が上昇し、物品1の底面の大部分が出口側固定床40の垂直壁面41を通過すると、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1に対する下流側に向く上向き力によって、物品1は出口側固定床40の床面42の上流側の頂点を回転中心として、前方に倒れ込む。これにより、物品1は出口側固定床40の床面42の上で、天面を上向きとし、反転される。
【0053】
(b)出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2が、上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1より大きく設定されることにより、上述(a)の物品1を上下移動床30の持ち上げ床面33上で確実に前方に起き上がるように回転できる。即ち、上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。特に上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に、前方に起き上がるように回転する。
【0054】
(c)上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視による最短幅dより小さく設定されてなるものとすることにより、上述(a)の物品1を上下移動床30の持ち上げ床面33上で確実に前方に向け、ひいては確実に前方に起き上がるように回転できる。
【0055】
(d)上下移動床30が、その垂直壁面32に対する物品搬送方向の上流側に、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす誘い込み床面31を有してなるものとすることにより、上述(a)の上下移動床30の上流の投入シュート20から投入される物品1を上下移動床30と出口側固定床40の間に滑らかに供給し、物品1のつまりを抑制できる。
【0056】
(e)出口側固定床40が、その床面42と垂直壁面41との交差角γを90度以下に設定されてなるものとすることにより、上述(a)の出口側固定床40の床面42の上に反転された物品1を滑らかに払い出しできる。
【0057】
図10は、図1の投入シュート20をベルトコンベヤ式の投入コンベヤ100に代えた例を示す。サイドガイド11は出口側固定床40と連接され、投入コンベヤ100は不図示の支持手段により支持されている。投入コンベヤ100は、前工程の整列機で例えば天面下向きに整列された物品1を上下移動床30に投入する。投入コンベヤ100は、物品搬送方向に向けて下り勾配をなす他、水平、又は上り勾配をなすように配置することができ、投入シュートを用いる場合に比べ、前工程の配置の自由度が増す。投入コンベヤ100は連続運転でも間欠運転でもよいが、物品1を上下移動床30に投入された量をセンサ等にてカウントして制御した運転が特に好ましい。
【0058】
図11は、図1の投入シュート20をリフトフィーダ200に代えた例を示す。リフトフィーダ200は、複数の上流側固定床201と上流側移動床202を物品搬送方向に沿って交互に配置するとともに、各上流側固定床201と各上流側移動床202が物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した下り勾配床面201A、202Aを備え、各上流側移動床202を同時にそれらの床面202Aが隣接する上流側固定床201の床面201Aに対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返す。サイドガイド11は出口側固定床40と上流側固定床201に連接され、上流側移動床202は不図示の上下昇降装置により上下移動される。尚、上流側移動床202の上下昇降装置は、上下移動床30の上下昇降装置35と独立又は兼用のいずれも可能である。独立させることで、確実な上下反転と適切な移動速度の選択を独立して行うことができ、装置の調整が容易となる。
【0059】
リフトフィーダ200の上流側移動床202が上述の昇降動作の繰り返しにより、物品1を下流側の固定床201に向けて搬送すると、物品1は重心のある側、換言すればキャップの天面側が下向きになって整列され、上下移動床30の側に投入される。
【0060】
リフトフィーダ200にあっては、上流側移動床202の昇降タイミングを、上下移動床30の昇降タイミングと同様にする、いわゆる同期させることで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込んだ物品1の後方に更に後続の物品1が送り込まれることによる、上下反転の失敗を防止できる。この場合、上流側移動床202の上下昇降装置を、上下移動床30の上下昇降装置35と兼用とすることにより、上流側移動床202と上下移動床30を確実に同期させることができ、好ましい。
【0061】
尚、リフトフィーダ200は、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置している。但し、リフトフィーダ200にあっては、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配をなすように配置しても良いし、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置しても良い。リフトフィーダ200の物品投入装置は、上流側固定床201の各個の床面201Aと上流側移動床202の各個の床面202Aに物品1が一定量並ぶため、上下移動床30に投入される物品1の数量を容易に一定量に制御できるので最も好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 物品
10 物品反転装置
20 投入シュート
30 上下移動床
31 誘い込み床面
32 垂直壁面
33 持ち上げ床面
35 上下昇降装置
40 出口側固定床
41 垂直壁面
42 床面
【技術分野】
【0001】
本発明は物品反転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャップ等の物品を物品処理装置に供給するとき、物品を反転して供給する物品反転装置を用いることがある。例えば、整列機で整列したキャップをキャップ締め機に供給しようとするとき、整列機で整列されたキャップは重心のある側、即ちキャップの天面側が下向きに整列される。ところが、キャップ締め機では、天面を上向きにしてキャップを把持しないと、キャップを容器に締め込みできない。そこで、整列機とキャップ締め機の間に、キャップを180度上下反転する物品反転装置が必要になる。
【0003】
従来、物品反転装置として、特許文献1〜3に記載のものがある。
特許文献1に記載の物品反転装置は、物品が重力で滑り落ちる搬送過程で該物品を反転させるものである。整列機で整列された物品を搬送する第1ベルトコンベヤに、半円状上下反転シュートの上側入口部を接続し、半円状上下反転シュートの下側出口部に第2ベルトコンベヤを接続するものである。第1ベルトコンベヤで搬入されてくる物品を半円状上下反転シュートで上下反転し、反転された物品を第2ベルトコンベヤで搬出するものである。
【0004】
尚、他の物品反転装置として、物品を斜め下向きシュートで滑り落としながら、物品進行方向に対してスクリュー状に捻った上下反転シュートに通してその上下反転を図るものもある。
【0005】
特許文献2に記載の物品反転装置は、一定個数の物品を反転装置内に貯めてからそれらの物品を反転させるものである。整列機で整列された一定個数の物品を物品受け部に受け入れ、旋回アクチュエータで物品受け部を180度旋回させることにより、それらの物品を上下反転して排出するものである。
【0006】
特許文献3に記載の物品反転装置は、物品を整列機の中で反転するものである。複数の固定床と移動床を交互に配置した物品搬送装置において、最下流側に配置される床高固定床の床面を他の固定床の床面よりも高くし、該床高固定床の下流に配置される急傾斜移動床の床面を他の移動床の床面よりも急傾斜にしてなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009-149428
【特許文献2】特開2008-230774
【特許文献3】特開2010-76922
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来技術において、物品を上下反転シュートによって反転するものは、反転に必要な落差と距離が必要であり、搬送方向にも制約が出ることもある。また、物品形状やサイズに対する兼用性も低い。特許文献1では、半円状上下反転シュートの設置スペースが必要である。搬送方向も入口と出口で逆になるため、装置設置の面からも制約となる。また物品形状やサイズが変更となった場合、半円状上下反転シュートの型替え部品が必要になるが、一般にこの半円状上下反転シュートは削り出し加工が必要であり高価になりがちである。進行方向に対してスクリュー状に捻る上下反転シュートにて上下反転するものも同様の課題がある。特に、スクリュー状に捻る上下反転シュートの型替え部品は形状が複雑であるため、物品がつまらないようにするための微調整に時間と労力が必要である。
【0009】
また、一定個数の物品を物品受入れ部に貯めてからアクチュエータで反転するものも、反転に必要な落差と距離が必要であり、搬送方向に制約が出ることもある。また物品形状やサイズに対する兼用性も低い。特許文献2では複数の物品を受入れる物品受入れ部が必要なため、大きな設置スペースが必要になる。反転のためのアクチュエータの設置スペースも必要である。物品受入れ部への物品の投入方向と排出方向は逆となるため、装置設置の面からも制約となる。また、物品形状やサイズが変更となった場合、物品受入れ部は型替え部品が必要になるが、物品受入れ部は構造が複雑であるため高価になりがちである。
【0010】
また、物品を整列機の中で反転するものは、整列機の構造や制御が複雑になりがちで、また物品形状やサイズに対する兼用性にも一定の制約がある。特許文献3は、床高固定床で物品の天面側をまずは上流向きにし、急傾斜移動床で天面側を上向きにする2工程を必要とするため、装置設計や調整に時間を要する。また、ジャーキャップのようにキャップ直径がキャップ高さより相当大きい物品に関しては、床高固定床上流の移動床でキャップ重心を押し上げることが困難であり、キャップの天面側を上流向きとすることができず、結果、上下反転で向きを揃えることが困難である。
【0011】
本発明の課題は、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に係る発明は、物品を搬送しつつ反転させる物品反転装置であって、上下移動床と出口側固定床を物品搬送方向に沿って配置し、上下移動床は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面と、持ち上げ床面に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面とを有し、出口側固定床は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床の垂直壁面に相対する垂直壁面を有し、上下移動床の持ち上げ床面を出口側固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は物品反転装置を示す斜視図である。
【図2】図2は物品反転装置の投入シュートと上下移動床と出口側固定床を示す模式図である。
【図3】図3は上下移動床の変形例を示す模式図である。
【図4】図4は反転対象物品を示す模式図である。
【図5】図5は反転工程を示す模式図である。
【図6】図6は反転工程の続きを示す模式図である。
【図7】図7は反転工程の別の態様を示す模式図である。
【図8】図8は小物品の反転工程を示す模式図である。
【図9】図9は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【図10】図10は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【図11】図11は物品反転装置の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に示した物品反転装置10は、反転対象物品1を例えばキャップとし、物品1を搬送しつつ反転し、次工程へ払い出し可能にする。
【0016】
物品反転装置10は、上下移動床30と出口側固定床40を物品搬送方向に沿って配置している。本実施例では、物品1の上下姿勢を一定に整列する整列機(不図示)の下流側に投入シュート20を接続し、この投入シュート20を上下移動床30の上流側に配置している。投入シュート20と上下移動床30と出口側固定床40の両側にはサイドガイド11が立設されている。投入シュート20と出口側固定床40は両側のサイドガイド11により隙間なく固定的に挟まれる。上下移動床30は両側のサイドガイド11により隙間なく挟まれながら、上下昇降装置35により上下移動される。サイドガイド11は、投入シュート20、上下移動床30、出口側固定床40の上の物品1の横方向への落下を防止する。上下昇降装置35は、回転運動を往復直進運動に変換するスライダ・リンク機構、空圧式シリンダや電動アクチュエータを採用できる。上下昇降装置35は、停止位置の設定や速度制御の容易な点で、電動アクチュエータが好ましい。
【0017】
投入シュート20は、板状シュート等からなり、図2に示す如く、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。投入シュート20の下り勾配の角度δについては後述する。
【0018】
上下移動床30は、図2に示す如く、物品搬送方向の上流側から下流側に向けて順に、誘い込み床面31、垂直壁面32、持ち上げ床面33を有する。持ち上げ床面33は物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。垂直壁面32は持ち上げ床面33に対する物品搬送方向の上流側にて該持ち上げ床面33の最上流部から鉛直上方に起立する。誘い込み床面31は垂直壁面32の最高位部に対する物品搬送方向の上流側に配置され、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。誘い込み床面31は、図3に示す如く、上流側を緩斜面31A、下流側を急斜面31Bとする2段勾配面としたり、最上流部を丸味のある凸曲面とすることにより、投入シュート20から投入される物品1を上下移動床30と出口側固定床40の間に滑らかに誘い込み、該誘い込み床面31上での物品1のつまりを回避できる。誘い込み床面31の下り勾配の角度α、持ち上げ床面33の下り勾配の角度βについては後述する。
【0019】
出口側固定床40は、図2に示す如く、物品搬送方向の上流側から下流側に向けて順に、垂直壁面41、床面42を有する。垂直壁面41は床面42に対する物品搬送方向の上流側にて、該床面42の最上流部から鉛直方向に垂れ下がり、上下移動床30の垂直壁面32に一定の距離xを介して相対する。床面42は物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす。但し、床面42は水平面をなすものでも良い(図9)。垂直壁面41と床面42との交差角γについては後述する。
【0020】
ここで、物品反転装置10の反転対象物品1は、図4(A)〜(C)に示したように底面が穿たれた円柱形、楕円柱形、角柱形等のキャップの他、図4(D)に示した中実体等であっても良い。各物品1は天面Aと底面Bを有する。そして、物品反転装置10は、天面上向きで搬入された物品1を天面下向きに反転して払い出しても良いし、天面下向きで搬入された物品1を天面上向きに反転して払い出しても良い。物品1の天面A又は底面Bの直径をd、物品1の高さをhとする。
【0021】
物品反転装置10は、上下昇降装置35により、上下移動床30の持ち上げ床面33を出口側固定床40の床面42に対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返すことにより、物品1(天面A、底面B)を以下の如くに反転する(図5〜図8)。ここでは、整列機が天面下向きに整列した物品1が投入シュート20を介して上下移動床30に搬入され(図1(A))、上下移動床30により天面上向きに反転された物品1が出口側固定床40から次工程へ払い出されるものとする(図1(B))。
【0022】
(1)上下移動床30が原位置にあるとき、上下移動床30の誘い込み床面31の最上流部は、投入シュート20の最下流部より下にある。この状態で、上下移動床30の上流の投入シュート20に置かれた天面下向きの物品(キャップ)1が、上下移動床30の側に向かって滑り落ちる(図5(A))。
【0023】
(2)物品1は、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、上下移動床30の持ち上げ床面33及び垂直壁面32、出口側固定床40の垂直壁面41の3点に接触して止まる(図5(B))。
【0024】
(3)上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する(図5(C))。このとき、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に前方へ起き上がるように回転する。
【0025】
(4)更に上下移動床30が上昇すると、物品1の底面の側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、物品1は天面や底面が垂直になった状態で上昇する(図5(D))。
【0026】
(5)上下移動床30が上昇し、物品1の底面の1/2程度が出口側固定床40の垂直壁面41を通過する(図6(A))。上下移動床30はこのまま上昇を続けても良いが、ここで一時停止してから再度上昇するほうが、次工程の物品1の倒れ込みがより確実に行なわれる。上下移動床30を停止させることで、出口側固定床40の垂直壁面41と物品1とが動摩擦ではなく摩擦係数の大きな静止摩擦で当接するものになるためである。
【0027】
(6)上下移動床30が上昇し、物品1の底面の大部分が出口側固定床40の垂直壁面41を通過すると、上下移動床30の持ち上げ床面33が物品1に及ぼす下流側に向く上向き力によって、物品1は出口側固定床40の床面42の上流側の頂点を回転中心として、前方に倒れ込む(図6(B))。
【0028】
(7)物品1は出口側固定床40(出口シュート)の床面42の上で、天面を上向きにするように反転される(図6(C))。物品1は不図示の払い出しシュートを滑り落ちたり、出口側固定床40が移動したり、外部からの押し出し装置等によって次工程へ移載される。上下移動床30はその持ち上げ床面33の最下流部が、出口側固定床40の最上流部より高位にまで上昇する。
【0029】
上述(1)〜(7)の如くに上下移動床30の昇降を繰り返すことで、物品1を次々と上下反転することができる。上下移動床30の昇降サイクル時間は、0.5〜4.0secが好ましく、特に1.0〜2.5secが好ましい。昇降サイクル時間を短くするには、高価な上下昇降装置35が必要となり、経済的でない。昇降サイクル時間が長すぎると生産性が低下してしまう。上下移動床30の上昇速度は、50〜300mm/secが好ましく、特に好ましくは150〜250mm/secである。
【0030】
図7は、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、(1)〜(4)に対応し、特に(2)、(3)の動作(図5(B)、(C))が異なるものになる状態(図7(B)、(C))を示す。尚、図9(A)、(D)は、図5(A)、(D)と全く同じである。
【0031】
即ち、物品反転装置10による前述の図5(B)で示した反転動作(2)に対し、図7(B)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、その勢いで、上下移動床30の持ち上げ床面33及び出口側固定床40の垂直壁面41の2点に接触して止まる。物品1の天面は垂直又は極僅かに下向き側に傾いた状態となっている。
【0032】
そして、物品反転装置10による前述の図5(C)に示した反転動作(3)に対し、図7(C)では、上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1の天面が下向きになる側に倒れることなく、そのままの状態、もしくは、物品1の底面側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、上昇する。上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力は小さいので、この動きが阻害されることはない。
【0033】
図8は、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、物品1の最短幅d(出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視における最短幅)より大きいとき(x>d)、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、(2)の動作(図5(B))が異なるものになる状態(図8(B)、(C))を示す。尚、図8(A)、(D)は、図5(A)、(C)に比し、物品1が小さくなっている点で相違しているだけである。
【0034】
即ち、物品反転装置10による前述の図5(B)に示した反転動作(2)は、物品1が小さい(x>d)ことにより、図8(A)から図8(B)、(C)を経て図8(D)に移行し、又は図8(A)から直ちに図8(C)を経て図8(D)に移行する。
【0035】
まず、図8(B)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、上下移動床30の持ち上げ床面33及び出口側固定床40の垂直壁面41の2点に接触して止まる。上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は前方に起き上がるように回転し、図8(C)の状態に移行する。まれに、上下移動床30が上昇を開始する際、すでに図8(C)の状態となっていることもある。
【0036】
そして、図8(D)では、物品1が、上下移動床30の誘い込み床面31を通過し、物品1の天面の全面が上下移動床30の持ち上げ床面33に面接触し、出口側固定床40の垂直壁面41と接触して止まる。まれに、上下移動床30が上昇を開始する際、すでに図8(D)の状態となっていることもある。
【0037】
尚、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、物品1の最短幅d(出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視における最短幅)より小さく設定されること(x<d)が、物品反転装置10による前述の図5、図6に示した反転動作(1)〜(7)のうち、特に(3)において当該物品1を上下移動床30内でより容易に前方に傾け、その反転が容易に行なわれて好ましい。
【0038】
以下、物品反転装置10の具体的構成について詳述する。
(A)投入シュート20、上下移動床30、出口側固定床40の各床面の角度(図2)
投入シュート20の下り勾配の角度δは、物品1が自重で滑り落ちる角度に調整される。δは15度〜60度程度が好ましく、更に好ましくは20度〜40度である。投入シュート20の表面の滑りやすさを調整することで、上下移動床30に投入される物品1の数量を適切に調整することができる。投入数量を適切にすることで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込んだ物品1の後方に更に後続の物品1が送り込まれることによる、上下反転の失敗を防止できる。また、投入シュート20に代わるベルトコンベヤ式等の物品投入装置は水平配置、又は上り配置されても良い。ベルトコンベヤ式の物品投入装置は、上下移動床30に投入される物品1の数量をベルトコンベヤの速度によって容易に制御できるので好ましい。
【0039】
上下移動床30の誘い込み床面31の下り勾配の角度αは、上下移動床30と出口側固定床40の間に物品1が入り込むときにつまりが生じないように、αはある程度大きくすると良い。但し、上下移動床30の高さが大きくなり、昇降時間が長くなって生産性が低下しないように、αは大きくなり過ぎないほうが良い。αは20度〜70度程度が好ましく、更に好ましくは40度〜60度である。
【0040】
上下移動床30の持ち上げ床面33の下り勾配の角度βは、上下移動床30が上昇中に物品1がその斜面を滑り上がれるように、好ましくは70度以下とされる。また、上下移動床30が上昇し、物品1を前方の出口側固定床40に倒れ込ませるように、好ましくは30度以上とされる。βは30度以上70度以下が好ましく、更に好ましくは40度以上60度以下とされる。
【0041】
出口側固定床40の床面42が垂直壁面41に対する交差角γは、90度以下にすると良い。γを図9に示した如くに90度、即ち水平とし、出口側固定床40に物品1を受けた後は、外部からの押し出し装置で物品1を移送したり、出口側固定床40が水平移動等して所望の位置に物品1を移送したり(図9(B))、出口側固定床40が傾動して物品1を払い出ししても良い。γを90度未満とすれば、物品1が出口側固定床40の床面42を自重で滑り落ちて次工程へ移送できる。従って、γは30度〜90度が好ましく、更に好ましくは45度〜90度とされる。
【0042】
(B)物品1のサイズとの関係(図2)
物品反転装置10による反転対象物品1は、天面又は底面の直径dがその高さhより大きいこと(d>h)が好ましい。物品1の高さhが大きい場合、物品1の形状によっては、物品1の高さ方向が、本装置内の進行方向と垂直になり、上下反転が不可能になってしまうことがある。
【0043】
上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間の距離xは、物品1の最短幅d、円形物品の場合は直径dより小さくすること(x<d)で、物品1の底面側を前方に向けることができる。好ましくは、xはdの30〜70%、更に好ましくは40〜60%である。
【0044】
上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間の距離xは、物品1の高さhより大きくすること(x>h)で、物品1が上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込む。また、xの上限を規定することで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間における物品1の傾斜角θが小さくなり、上下移動床30の上昇時に物品1の天面や底面が垂直になった状態になりにくくなってしまうことを防止できる。xはhの110〜250%が好ましく、更に好ましくは130〜200%である。
【0045】
上下移動床30の持ち上げ床面33の下り勾配の角度βと距離xを調整し、物品1の傾斜角θを60度〜85度、更に好ましくは70度〜85度とすることで、物品1は上下移動床30が上昇中にその持ち上げ床面33を容易に滑り上がり、物品1の天面や底面が垂直になった状態で上昇する。そして、上下移動床30が更に上昇し、物品1を前方の出口側固定床40に倒れ込ませることができる。尚、実際の運用においては、物品1が上下移動床30と出口側固定床40の間に入る勢いで、最初から物品1の天面や底面が垂直になった状態、即ちθが90度となっていることもある。
【0046】
物品1のサイズが変更になったときには、別途用意した距離xが異なる上下移動床30に交換することで対応できる。
【0047】
(C)上下移動床30の持ち上げ床面33と出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数(図2)
上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。特に、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に、前方に起き上がるように回転する。
【0048】
このため、出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2を高くすると良い。一例として、材質をステンレス等の金属とする、表面の荒らし加工を行なう、表面に物品1の進行方向と垂直な微小深さの溝加工を行なう等の方法を用いる。出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2は、0.3以上が好ましく、更に好ましくは0.5以上である。
【0049】
上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1は小さくすると良い。一例として、PTFE等のフッ素樹脂テフロン(登録商標)やPOM等の滑りの良い樹脂とする、テフロン(登録商標)コーティングされた金属とする、表面を滑らかに研磨する、表面に物品1の進行方向と平行な微小深さの溝加工を行なう等の方法を用いる。上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1は、0.3以下が好ましく、更に好ましくは0.15以下である。
【0050】
出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2を上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1より大きくすること(μ2>μ1)で、更に確実に物品1を前方に起き上がるように回転することができる。
【0051】
(D)上下移動床30の床幅L(図1)
上下移動床30の床幅L(物品搬送方向に直交する長さ)は、物品1の最大幅の1.5倍以上とすれば良い。この床幅Lを調整することで必要な反転能力を得ることができる。一例として、物品1の最大幅の5倍の床幅Lを持つ上下移動床30を昇降サイクル時間2.0secで運転すると、上下移動床30は、1サイクル毎に平均的には3個程度の物品1の上下反転を行ない、約90個/minの反転能力になる。
【0052】
従って、物品反転装置10によれば以下の作用効果を奏する。
(a)上下移動床30の上流の投入シュート20から天面が下向きとなった物品1が、上下移動床30の側に滑り落ちて投入されると、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33及び垂直壁面32、出口側固定床40の垂直壁面41の3点に接触して止まる。上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。更に上下移動床30が上昇すると、物品1の底面側が、出口側固定床40の垂直壁面41に接するところまで起き上がり、物品1は天面や底面が垂直になった状態で上昇する。上下移動床30が上昇し、物品1の底面の大部分が出口側固定床40の垂直壁面41を通過すると、上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1に対する下流側に向く上向き力によって、物品1は出口側固定床40の床面42の上流側の頂点を回転中心として、前方に倒れ込む。これにより、物品1は出口側固定床40の床面42の上で、天面を上向きとし、反転される。
【0053】
(b)出口側固定床40の垂直壁面41の摩擦係数μ2が、上下移動床30の持ち上げ床面33の摩擦係数μ1より大きく設定されることにより、上述(a)の物品1を上下移動床30の持ち上げ床面33上で確実に前方に起き上がるように回転できる。即ち、上下移動床30が上昇を開始すると、出口側固定床40の垂直壁面41から物品1が受ける摩擦力によって、物品1は上下移動床30の持ち上げ床面33を滑り上がりながら、前方に起き上がるように回転する。特に上下移動床30の持ち上げ床面33から物品1が受ける摩擦力が小さいと、物品1はより容易に、前方に起き上がるように回転する。
【0054】
(c)上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41との相対する距離xが、出口側固定床40の床面42上に搬送された物品1の上面視による最短幅dより小さく設定されてなるものとすることにより、上述(a)の物品1を上下移動床30の持ち上げ床面33上で確実に前方に向け、ひいては確実に前方に起き上がるように回転できる。
【0055】
(d)上下移動床30が、その垂直壁面32に対する物品搬送方向の上流側に、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす誘い込み床面31を有してなるものとすることにより、上述(a)の上下移動床30の上流の投入シュート20から投入される物品1を上下移動床30と出口側固定床40の間に滑らかに供給し、物品1のつまりを抑制できる。
【0056】
(e)出口側固定床40が、その床面42と垂直壁面41との交差角γを90度以下に設定されてなるものとすることにより、上述(a)の出口側固定床40の床面42の上に反転された物品1を滑らかに払い出しできる。
【0057】
図10は、図1の投入シュート20をベルトコンベヤ式の投入コンベヤ100に代えた例を示す。サイドガイド11は出口側固定床40と連接され、投入コンベヤ100は不図示の支持手段により支持されている。投入コンベヤ100は、前工程の整列機で例えば天面下向きに整列された物品1を上下移動床30に投入する。投入コンベヤ100は、物品搬送方向に向けて下り勾配をなす他、水平、又は上り勾配をなすように配置することができ、投入シュートを用いる場合に比べ、前工程の配置の自由度が増す。投入コンベヤ100は連続運転でも間欠運転でもよいが、物品1を上下移動床30に投入された量をセンサ等にてカウントして制御した運転が特に好ましい。
【0058】
図11は、図1の投入シュート20をリフトフィーダ200に代えた例を示す。リフトフィーダ200は、複数の上流側固定床201と上流側移動床202を物品搬送方向に沿って交互に配置するとともに、各上流側固定床201と各上流側移動床202が物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように傾斜した下り勾配床面201A、202Aを備え、各上流側移動床202を同時にそれらの床面202Aが隣接する上流側固定床201の床面201Aに対する上位と下位に位置付ける昇降動作を繰り返す。サイドガイド11は出口側固定床40と上流側固定床201に連接され、上流側移動床202は不図示の上下昇降装置により上下移動される。尚、上流側移動床202の上下昇降装置は、上下移動床30の上下昇降装置35と独立又は兼用のいずれも可能である。独立させることで、確実な上下反転と適切な移動速度の選択を独立して行うことができ、装置の調整が容易となる。
【0059】
リフトフィーダ200の上流側移動床202が上述の昇降動作の繰り返しにより、物品1を下流側の固定床201に向けて搬送すると、物品1は重心のある側、換言すればキャップの天面側が下向きになって整列され、上下移動床30の側に投入される。
【0060】
リフトフィーダ200にあっては、上流側移動床202の昇降タイミングを、上下移動床30の昇降タイミングと同様にする、いわゆる同期させることで、上下移動床30の垂直壁面32と出口側固定床40の垂直壁面41の間に入り込んだ物品1の後方に更に後続の物品1が送り込まれることによる、上下反転の失敗を防止できる。この場合、上流側移動床202の上下昇降装置を、上下移動床30の上下昇降装置35と兼用とすることにより、上流側移動床202と上下移動床30を確実に同期させることができ、好ましい。
【0061】
尚、リフトフィーダ200は、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて水平をなすように配置している。但し、リフトフィーダ200にあっては、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて上り勾配をなすように配置しても良いし、複数の上流側固定床201の各個の床面201Aを互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置するとともに、複数の上流側移動床202の各個の床面202Aを互いに搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなすように配置しても良い。リフトフィーダ200の物品投入装置は、上流側固定床201の各個の床面201Aと上流側移動床202の各個の床面202Aに物品1が一定量並ぶため、上下移動床30に投入される物品1の数量を容易に一定量に制御できるので最も好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明によれば、物品の上下反転に必要な設備の設置スペースが極小で、物品の反転前後の搬送方向を逆方向にせず、各種の物品を簡易な構成で上下反転することができる。
【符号の説明】
【0063】
1 物品
10 物品反転装置
20 投入シュート
30 上下移動床
31 誘い込み床面
32 垂直壁面
33 持ち上げ床面
35 上下昇降装置
40 出口側固定床
41 垂直壁面
42 床面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送しつつ反転させる物品反転装置であって、
上下移動床と出口側固定床を物品搬送方向に沿って配置し、
上下移動床は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面と、持ち上げ床面に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面とを有し、
出口側固定床は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床の垂直壁面に相対する垂直壁面を有し、
上下移動床の持ち上げ床面を出口側固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなる物品反転装置。
【請求項2】
前記出口側固定床の垂直壁面の摩擦係数が、上下移動床の持ち上げ床面の摩擦係数より大きく設定されなる請求項1に記載の物品反転装置。
【請求項3】
前記上下移動床の垂直壁面と出口側固定床の垂直壁面との相対する距離が、出口側固定床の床面上に搬送された物品の上面視による最短幅より小さく設定されてなる請求項1又は2に記載の物品反転装置。
【請求項4】
前記上下移動床が、その垂直壁面に対する物品搬送方向の上流側に、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす誘い込み床面を有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の物品反転装置。
【請求項5】
前記出口側固定床が、その床面と垂直壁面との交差角を90度以下に設定されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の物品反転装置。
【請求項1】
物品を搬送しつつ反転させる物品反転装置であって、
上下移動床と出口側固定床を物品搬送方向に沿って配置し、
上下移動床は、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす持ち上げ床面と、持ち上げ床面に対する物品搬送方向の上流側にて起立する垂直壁面とを有し、
出口側固定床は、その床面に対する物品搬送方向の上流側にて垂れ下がり、上下移動床の垂直壁面に相対する垂直壁面を有し、
上下移動床の持ち上げ床面を出口側固定床の床面に対する上位と下位に位置付ける昇降動作が繰り返し可能にされてなる物品反転装置。
【請求項2】
前記出口側固定床の垂直壁面の摩擦係数が、上下移動床の持ち上げ床面の摩擦係数より大きく設定されなる請求項1に記載の物品反転装置。
【請求項3】
前記上下移動床の垂直壁面と出口側固定床の垂直壁面との相対する距離が、出口側固定床の床面上に搬送された物品の上面視による最短幅より小さく設定されてなる請求項1又は2に記載の物品反転装置。
【請求項4】
前記上下移動床が、その垂直壁面に対する物品搬送方向の上流側に、物品搬送方向の下流側に向けて下り勾配をなす誘い込み床面を有してなる請求項1〜3のいずれかに記載の物品反転装置。
【請求項5】
前記出口側固定床が、その床面と垂直壁面との交差角を90度以下に設定されてなる請求項1〜4のいずれかに記載の物品反転装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−86884(P2013−86884A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−226192(P2011−226192)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]