物品取付装置
【課題】壁面取付装置を用いて物品を壁面に固定操作する場合、特に取付操作性、取付状態での外観特性、支持強度などにより優れたものを得る。
【解決手段】室内壁等の壁面9に対して物品8を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、前記壁面に固定される壁面取付部材1、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、前記物品8の裏面に固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、前記固定部構造体4と前記物品構造体7との間に設けられて、前記固定部構造体のプレート2に対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(空間S1と凸部分29など)とからなることを特徴としている。
【解決手段】室内壁等の壁面9に対して物品8を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、前記壁面に固定される壁面取付部材1、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、前記物品8の裏面に固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、前記固定部構造体4と前記物品構造体7との間に設けられて、前記固定部構造体のプレート2に対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(空間S1と凸部分29など)とからなることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に物品(壁面に取り付けられる物品であり、これには時計、各種の額、装飾物や装飾壁などを含む)を室内壁等の壁面に対して取り付ける場合に用いられる物品取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、室内壁等の壁面に対して物品を着脱可能に取り付けるために用いられる従来の壁面取付装置が開示されている。このうち、特許文献1のものは、対象の壁面に固定される壁面止着部材と、物品に固定された状態で壁面止着部材に連結される物品止着部材とからなる。壁面止着部材は、本体部の前面側に係合部が突設され、この係合部の対向する一対の側面に溝又は突起を形成している。物品止着部材は、物品に固定される本体部の端部に、前記壁面止着部材の係合部の溝又は突起に摺動操作により嵌合される突起又は溝を形成している。
【0003】
特許文献2のものは、壁面に固定されるプレート本体と、プレート本体の前面に係止手段を介して連結される覆いプレートとからなる。プレート本体は、多数の取付孔を設けて、この取付孔に挿入される取付ねじにより室内壁等の壁面に固定される。覆いプレートは、係止手段によりプレート本体の前面に着脱可能に連結されて、前記各取付孔を覆う大きさとなっている。そして、この構造では、プレート本体の前面に覆いプレートを連結した状態で、プレート本体と覆いプレートとの間の少なくとも上部に紐を巻掛け可能な溝部を形成するものである。
【0004】
特許文献3のものは、多数の窓孔を一定のピッチで透設して室内壁等の壁面に固定される基板と、窓孔に対する位置決め部材を有した壁パネルと、壁パネルを基板に着脱可能に連結する止め部材とからなる。壁パネルは、裏面に設けられた位置決め部材を対応する窓孔に係合した状態で基板に配置され、その状態で基板に対して雄・雌側のファスナーなどからなる止め部材により連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−50150号公報
【特許文献2】特開2006−271991号公報
【特許文献3】実公平3−14498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものでは、例えば物品が物品止着部材を介して外されると、それまで物品で見えなかった壁面止着部材が壁面に露出されて室内環境などが悪くなる。これは、壁面止着部材が壁面に対する係合部と共に、物品止着部材との間に設けられる係合手段である溝や突起などを有し、それらが目視され易い箇所に表出しているからである。このような不具合は特許文献2や3の構造でも同様である。また、特許文献2のものでは、物品を紐により吊り下げることから、適用物品に制約され、装飾壁などのごとく吊り下げに不適な物品には採用できない。また、特許文献3のものでは、室内壁のほぼ全体を装飾壁に変更する場合を除いて、例えば時計などの小型物品には適用できず、しかも装飾壁やパネルの配列に対する自由度が低い。
【0007】
本願発明は以上のような背景から開発されたものである。その目的とするところは、特に、物品を取付けている状態では装置は物品の背面に隠蔽され、物品を取外した場合には装置そのものが壁面の意匠の一部を構成できるようにした、物品の取付自由度が高く、かつ簡単に脱着でき取付強度も強化し易い壁面取付装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、形態を参考にして特定すると、室内壁等の壁面9に対して物品8を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、前記壁面に固定される壁面取付部材1、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、前記物品8の裏面に固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、前記固定部構造体4と前記物品構造体7との間に設けられて、前記固定部構造体のプレート2に対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(例えば、空間S1と凸部分29)とからなることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明において、物品構造体は、物品及び物品取付部材とともに物品取付部材を物品に固定する手段(例えばねじ、釘、接着剤、両面接着テープなど)を含む意味で使用している。
【0010】
以上の本発明は、請求項2〜7で特定したように具体化されることがより好ましい。
(ア)、前記係合手段は、図3に示されるごとく前記物品8と前記物品取付部材5との間に形成された空間S1を有し、前記空間を前記プレート2に形成された凸部分29に係合する構成である(請求項2)。
(イ)、前記係合手段は、図11に示されるごとく前記物品取付部材5と前記プレート2との対向部、又は、前記物品取付部材5と前記壁面取付部材1との対向部に設けられて、互いに係合可能な一方側の凸部分55aや55b及び他方側の凹部分29aや18の構成である(請求項3)。これには図11の凹部分及び凸部分を逆に設ける態様を含む。
(ウ)、前記係合手段は、図12に示されるごとく前記壁面9と前記壁面取付部材1との間に形成された空間S2、又は、前記壁面9と前記プレート2との間に形成された空間S3を有し、前記物品取付部材5に形成された凸部分55cや55dを前記空間S2やS3に係合する構成である(請求項4)。
【0011】
(エ)、前記物品取付部材5は、正面視略U字状であり、その端部が前記固定部構造体4のプレート2に対する前記物品構造体7の摺動方向に対して外側に広がったガイド部52に形成されている構成である(請求項5)。
(オ)、前記物品取付部材5のU字状内面に設けられて、前記固定部構造体4に対する前記物品構造体7の前記係合手段による連結と同時に、前記固定部構造体4の一部と係合して前記物品構造体の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部57を有している構成である(請求項6)。
(カ)、前記物品取付部材5は、その裏側に平坦状の当接面を形成しているとともに、前記物品の裏面の任意の位置に固定される構成である(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、壁面取付部材、装飾・連結兼用のプレート、物品取付部材を必須とし次のような利点を有している。固定部構造体としては、壁面に固定した壁面取付部材に装飾・連結兼用プレートを固定しておくと、物品構造体を連結しなくても、プレートが壁面取付部材の前面を覆っているため外観見栄えを維持し易いとともに、物品構造体を何時でも係合手段を介して着脱可能に連結支持できる。装飾・連結用プレートは、壁面と関係なく設計できるため装飾機能を採用し易くなる。物品構造体としては、例えば、目的の物品に物品取付部材を予め固定して、その物品を固定部構造体と組にして取り扱うことも可能となるため汎用性を付与でき、壁面に固定される固定部構造体に対し係合手段を介して摺動操作により簡単に連結できる。
【0013】
請求項2の発明では、物品構造体に設けられてプレートの凸部分と係合する係合部として、物品と物品取付部材との間に形成される空間にて構成することで、係合溝や断面凹部などの複雑な加工を避けて単純化に伴う作製費を低減し易くなる。
【0014】
請求項3の発明では、物品取付部材とプレートとの対向部、又は、物品取付部材と壁面取付部材との対向部に設けられて、互いに係合可能な凸部分及び凹部分にて構成するため、係合手段に関して用途などに応じた設計自由度を拡大できる。
【0015】
請求項4の発明では、物品構造体に設けられて物品取付部材の凸部分と係合する係合部として、壁面と壁面取付部材又はプレートとの間に形成された空間にて構成するため係合溝や断面凹部などの複雑な加工を避けて単純化に伴う作製費を低減し易くなり、また壁面取付部材又はプレートに凹凸などの形状をなくし、見栄えを良くする。
【0016】
請求項5の発明では、物品取付部材が略U形となっており、U形内にプレートを配置するため、物品構造体を固定構造体に対し摺動操作により確実かつ安定して連結でき、かつ係合手段の連結強度を強化し易くなる。
【0017】
請求項6の発明では、請求項5において、物品構造体が固定部構造体に対して係合手段により連結された状態を弾性規制部によって確実に維持するため信頼性を向上できる
【0018】
請求項7の発明では、物品取付部材として、その裏側の平坦状となった当接面を物品の裏面に面接触するため位置決め配置し易いものとなる。なお、物品取付部材は、形態や変形例に挙げたごとく物品の裏面に対しねじ、釘、両面接着テープ、接着剤などの汎用の固定手段のうちから、物品の大きさや重量に応じた最適なものを選んで固定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明形態の壁面取付装置の使用方法として、(a)は物品構造体の摺動操作要領を示し、(b)は固定部構造体に対する物品構造体の連結状態を示している。
【図2】(a)と(b)は図1(a)及び(b)と同じ状態を示す模式側面図である。
【図3】(a)は図2(b)のA−A線断面に相当した状態で示す装置背面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】(a)は壁面取付部材を壁面に取り付けた状態を示す正面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】(a)は更にプレートを壁面取付部材に固定した状態を示す正面図、(b)は(a)のE−E線断面図である。
【図6】上記壁面取付装置の構成部材同士の関係を示す斜視図である。
【図7】上記壁面取付装置を構成している壁面取付部材単品を示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図8】上記壁面取付部材を壁面に固定するクリップを示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図9】上記壁面取付装置を構成しているプレート単品を示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図10】上記壁面取付装置を構成している物品取付部材単品を示し、(a)は上面図、(b)は裏面図、(c)は下面図である。
【図11】(a)と(b)は本発明の係合手段の変形例1と2を図3(c)に対応して示す模式断面図である。
【図12】(a)と(b)は本発明の係合手段の変形例3と4を図3(c)に対応して示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態について添付図面を参照しながら説明する。この説明では、図1〜10に示される壁取付装置の構造、使用例、変形例1〜4の順に詳述する。
【0021】
(構造)形態の物品取付装置は、図1〜図6に示されるごとく室内壁等の壁面9にクリップ3等で固定される壁面取付部材1、及び壁面取付部材1に係合し一体化されて壁面取付部材1の前面を覆う大きさの装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、物品8の裏面8bにねじ6等により固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、固定部構造体4と物品構造体7との間に設けられて、固定部構造体4のプレート2に対する物品構造体7の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(例えば、空間S1とフランジ部29である凸部分)とからなる。なお、主部材の材質は、壁面取付部材1、プレート2、物品取付部材5は共に樹脂成形体からなるが、樹脂以外でも差し支えない。
【0022】
ここで、壁面取付部材1は、図6及び図7に示されるごとく、固定部構造体4として、特に壁面9に対し位置決め配置した状態で固定する手段と、プレート22を固定する手段とが重要となる。すなわち、壁面取付部材1は、所定厚さ寸法、かつ上下面(又は前後面)10,11及び両側面12で区画された略矩形の板状となっている。この壁面取付部材1には、表面側四隅に設けられた窪み13と、上面(又は前面)10及び下面(又は後面)11の略中間に設けられた大小の凹部14,15と、両側面12の略中間に設けられた係止爪16とを有している。窪み13は小型のクリップ3に対応した凹所となっている。窪み13内には、裏面1bに貫通した貫通孔13aと、貫通孔13aの両側に設けられて同じく裏面1bに貫通した一対の係止穴13bとが設けられている。
【0023】
クリップ3は、図4及び図6並びに図8に示されるごとく、本体30及び本体30の一端に添って一体化されて両側へ延びている対の腕31とからなる。本体10及び腕31の下面には、凸部33が係止穴13bに嵌るよう設けられるとともに、係止用のピン35が凸部33の下方へ突設されている。両腕31の端面には爪32が設けられている。そして、以上のクリップ3は、壁面取付部材1に対し、窪み13に押入れられると、凸部33が貫通孔13aに係合し、ピン35が貫通孔13aから外へ突出れるとともに、各爪32が対応する係止孔13bに係合固定される。そして、壁面取付部材1は、四隅に組み込んだ各クリップ3のピン35を壁面9に突き刺すことにより固定される。但し、本発明の固定部構造体4としては、以上のクリップ3を省略して、壁面9に対して壁面取付部材1を複数のピン、釘、ねじなどを使用して直接固定するようにしてもよい。
【0024】
装飾・連結兼用プレート2は、図5及び図6並びに図9に示されるごとく、固定部構造体4として、特に壁面取付部材1に係合し一体化する構成と、物品構造体7ないしは物品取付部材5との間に設けられる係合手段と、装飾性の観点からの構成とが重要となる。すなわち、このプレート2は、上下面(又は前後面)20,21及び両側面22で区画され、かつ壁面取付部材1の前面を覆う大きさの矩形板状となっており、裏面2bに突設された矩形状の筒部25を有している。プレート2の表面2a(装飾面となる面で、裏面2bと反対側の面のことである)は、装飾性を維持するため平坦面に形成されている。このように表面2aとしては、外観を維持したり、装飾シートなどを添着し易くするため少なくとも係合又は取付用の溝や突起などがないことが好ましい。符号23は裏面2bに設けられた補強リブ、符号24は裏面2bのうち筒部25の底面に設けられた補強リブである。
【0025】
筒部25は、壁面取付部材1を内側に包み込む形状であり、対向している両側内面に設けられて上記係止爪16と係合する凹部26と、対向している上下の内側面に設けられて上記凹部14,15と係合する凸部27,28とを有している。そして、以上のプレート2は、図5のごとく壁面9に固定された壁面取付部材1に対して正面からの押し操作により凸部27,28が凹部14,15と摺動可能に係合し、かつ、押し操作の最終段階で凹部26が係止爪16と係合し抜け止めされて所定の固定強度で結合一体化される。この結合状態が本発明の固定部構造体4である。なお、物品構造体7ないしは物品取付部材5との間に設けられる係合手段としては、図3から推察されるごとくプレート2の両側部分、つまり筒部25から見ると凸部分となるフランジ部29が利用される。この点は後述する。
【0026】
物品取付部材5は、図3及び図6並びに図10に示されるごとく、物品構造体7として、特に物品8に対し位置決め配置した状態で固定する手段と、物品構造体7の摺動操作により固定部構造体4に着脱可能に連結する係合手段とが重要となる。すなわち、物品取付部材5は、正面視で下部両側が開いた略U字形をなすとともに、U字状の両端部を下外側ないしは内側の寸法を広くするよう屈曲形成した傾斜状のガイド部52を有した偏平状の成形体からなる。
【0027】
換言すると、物品取付部材5は、略U字形を形成している中間片部50及び両側片部51と、両側片部51の端末に延長形成されて固定部構造体4のプレート2に対する物品構造体7の摺動方向に対して外側に広がったガイド部52とでおおよその輪郭を形成している。そして、この物品取付部材5は、中間片部50及び両側片部51に設けられて表裏面5a,5bを貫通している取付孔53と、中間片部50及び両側片部51の内面に設けられて本発明の係合手段を構成している挟持片部54,55と、両側片部51とガイド部52との境界付近の内面に設けられて固定部構造体4に対する物品構造体7の係合連結と同時に、固定部構造体4の一部と係合して物品構造体7の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部57とを有している。
【0028】
なお、この例では、表面5aが壁面9側に配置される面で、物品8に固定される裏面5bと反対側の面を指している。表裏面の内、少なくとも裏面5bは平坦状の当接面として形成されており、物品8の裏面8bの任意の位置に安定配置されるようになっている。
【0029】
取付孔53は、表面5aが径大孔部53aに形成されており、物品取付部材5を物品8の裏面8bに位置決め配置した状態でねじ6をねじ込むことにより物品8に固定可能にする。但し、物品取付部材5の物品8への固定手段としては、以上のねじ6に代えて、物品取付部材5を1以上のピン、釘、接着剤、更には図11(a),(b)及び図12(a)の各変形例に示したごとく両面接着テープ60などを使用して固定するようにしてもよい。物品構造体7は、以上のようにして物品取付部材5を物品8に汎用の固定手段により固定したものを意味している。
【0030】
また、各挟持片部54,55は、図1のごとく各片部50,51の内面にあって表面5aに変位して設けられている。これは、挟持片部54,55の内側の面と裏面5bに添う仮想平面(これは物品取付部材5が物品8に固定された状態で、物品8の裏面8bに相当する平面である)との間にプレート2のうちフランジ部29の対応部を挿入ないしは係入可能な空間S1を形成するためである。各弾性規制部57は、側片部51とガイド部52との境界付近の内面側を切り欠いた段差部56により内側に弾性変位可能となっている。
【0031】
(使用例)以上の物品構造体7は、上記した固定部構造体4に対して摺動操作、この例では図2のごとく上から下向きに摺動操作することにより、本発明の係合手段として、上記した物品8と物品取付部材5との間に形成された空間S1に上記プレート2のフランジ部29の対応部(両側部分である凸部分)を係合して着脱可能に連結される。この操作において、初期段階では、プレート2が物品取付部材5のガイド部52の案内作用により略U字形の内側に位置だしされてスムースに挿入されるとともに、弾性規制部57を段差部56内へ弾性変位させる。最終段階ではプレート2が弾性規制部57を通過する。すると、弾性規制部57は、元の状態に復元されてプレート2の下面21に当たってプレートの抜け方向への移動を確実に阻止する。これにより、この構造では、固定部構造体4に対する物品構造体7の前記係合手段を介した連結と同時に、物品構造体7の外れ方向への摺動が不能となる。このため、物品構造体7を固定部構造体4から外す場合は、弾性規制部57を段差部56内に押圧変位させた状態で、物品構造体7を係合時とは反対の上向きに摺動操作することになる。なお、以上の形態では、物品構造体7が弾性規制部57に固定部構造体4のプレート2を当接して外れないようにしたが、プレート2の代わりに壁面取付部材1の一部を当接させるようにしてもよい。
【0032】
(変形例1と2)図11(a)と(b)は本発明の係合手段として上記構成に代えた2例を図3(c)に対応して示している。すなわち、本発明の係合手段として、図11(a)の構成では、物品取付部材5と固定部構造体4のプレート2との対向部に互いに係合する凸部分と凹部とを設けるようにしたものである。この例では、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55aを設けるとともに、プレート2の対向部(例えば両側面)に凹部29aを設けている。但し、これに代えて、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凹部を設けるとともに、プレート2の対向部(例えば両側面)に前記凹部に係合する凸部分を設けるようにしてもよい。
【0033】
図11(b)の構成では、物品取付部材5と固定部構造体4の壁面取付部材1との対向部に互いに係合する凸部分と凹部とを設けるようにしたものである。この例では、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55aを設けるとともに、壁面取付部材1の対向部(例えば両側面)に凹部18を設けている。但し、これに代えて、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凹部を設けるとともに、壁面取付部材1の対向部(例えば両側面)に前記凹部に係合する凸部分を設けるようにしてもよい。
【0034】
(変形例3と4)図12(a)と(b)は本発明の係合手段として上記各構成以外の2例を図3(c)に対応して示している。すなわち、本発明の係合手段として、図12(a)の構成では、壁面9と壁面取付部材1との間に形成された空間S2を有しており、物品取付部材5に形成された凸部分55cをその空間S2に係合するようにしたものである。この例では、空間S2に対応して、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55cを設けている。
【0035】
図12(b)の構成では、壁面9と固定部構造体4のプレート2との間に形成された空間S3を有しており、物品取付部材5に形成された凸部分55cを空間S3に係合するようにしたものである。この例では、空間S3に対応して、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55dを設けている。
【0036】
なお、本発明は、請求項1で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部はこの形態及び各変形例を参考にして変更したり展開可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…壁面取付部材(1aと1bは表裏面、11と12は上下面、12は側面)
2…プレート(2aと2bは表裏面、20と21は上下面、22は側面、25は胴)
3…クリップ(30は本体、31は固定部、32は爪、33は凸部、35はピン)
4…固定部構造体
5…物品取付部材(5aと5bは表裏面、50は中間片部、51は側片部)
7…物品構造体(6と60は汎用止め材であるねじと両面接着テープ)
8…物品(8aは表面、8bは裏面)
9…壁面
14,15…凹部
16…係止爪
29…フランジ部(係合手段を構成している凸部分)
26…凹部
27,28…凸部
52…ガイド部
54,55…挟持片部(係合手段を構成)
57…弾性規制部
S1〜S3…空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に物品(壁面に取り付けられる物品であり、これには時計、各種の額、装飾物や装飾壁などを含む)を室内壁等の壁面に対して取り付ける場合に用いられる物品取付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から3には、室内壁等の壁面に対して物品を着脱可能に取り付けるために用いられる従来の壁面取付装置が開示されている。このうち、特許文献1のものは、対象の壁面に固定される壁面止着部材と、物品に固定された状態で壁面止着部材に連結される物品止着部材とからなる。壁面止着部材は、本体部の前面側に係合部が突設され、この係合部の対向する一対の側面に溝又は突起を形成している。物品止着部材は、物品に固定される本体部の端部に、前記壁面止着部材の係合部の溝又は突起に摺動操作により嵌合される突起又は溝を形成している。
【0003】
特許文献2のものは、壁面に固定されるプレート本体と、プレート本体の前面に係止手段を介して連結される覆いプレートとからなる。プレート本体は、多数の取付孔を設けて、この取付孔に挿入される取付ねじにより室内壁等の壁面に固定される。覆いプレートは、係止手段によりプレート本体の前面に着脱可能に連結されて、前記各取付孔を覆う大きさとなっている。そして、この構造では、プレート本体の前面に覆いプレートを連結した状態で、プレート本体と覆いプレートとの間の少なくとも上部に紐を巻掛け可能な溝部を形成するものである。
【0004】
特許文献3のものは、多数の窓孔を一定のピッチで透設して室内壁等の壁面に固定される基板と、窓孔に対する位置決め部材を有した壁パネルと、壁パネルを基板に着脱可能に連結する止め部材とからなる。壁パネルは、裏面に設けられた位置決め部材を対応する窓孔に係合した状態で基板に配置され、その状態で基板に対して雄・雌側のファスナーなどからなる止め部材により連結される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−50150号公報
【特許文献2】特開2006−271991号公報
【特許文献3】実公平3−14498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のものでは、例えば物品が物品止着部材を介して外されると、それまで物品で見えなかった壁面止着部材が壁面に露出されて室内環境などが悪くなる。これは、壁面止着部材が壁面に対する係合部と共に、物品止着部材との間に設けられる係合手段である溝や突起などを有し、それらが目視され易い箇所に表出しているからである。このような不具合は特許文献2や3の構造でも同様である。また、特許文献2のものでは、物品を紐により吊り下げることから、適用物品に制約され、装飾壁などのごとく吊り下げに不適な物品には採用できない。また、特許文献3のものでは、室内壁のほぼ全体を装飾壁に変更する場合を除いて、例えば時計などの小型物品には適用できず、しかも装飾壁やパネルの配列に対する自由度が低い。
【0007】
本願発明は以上のような背景から開発されたものである。その目的とするところは、特に、物品を取付けている状態では装置は物品の背面に隠蔽され、物品を取外した場合には装置そのものが壁面の意匠の一部を構成できるようにした、物品の取付自由度が高く、かつ簡単に脱着でき取付強度も強化し易い壁面取付装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明は、形態を参考にして特定すると、室内壁等の壁面9に対して物品8を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、前記壁面に固定される壁面取付部材1、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、前記物品8の裏面に固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、前記固定部構造体4と前記物品構造体7との間に設けられて、前記固定部構造体のプレート2に対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(例えば、空間S1と凸部分29)とからなることを特徴としている。
【0009】
以上の本発明において、物品構造体は、物品及び物品取付部材とともに物品取付部材を物品に固定する手段(例えばねじ、釘、接着剤、両面接着テープなど)を含む意味で使用している。
【0010】
以上の本発明は、請求項2〜7で特定したように具体化されることがより好ましい。
(ア)、前記係合手段は、図3に示されるごとく前記物品8と前記物品取付部材5との間に形成された空間S1を有し、前記空間を前記プレート2に形成された凸部分29に係合する構成である(請求項2)。
(イ)、前記係合手段は、図11に示されるごとく前記物品取付部材5と前記プレート2との対向部、又は、前記物品取付部材5と前記壁面取付部材1との対向部に設けられて、互いに係合可能な一方側の凸部分55aや55b及び他方側の凹部分29aや18の構成である(請求項3)。これには図11の凹部分及び凸部分を逆に設ける態様を含む。
(ウ)、前記係合手段は、図12に示されるごとく前記壁面9と前記壁面取付部材1との間に形成された空間S2、又は、前記壁面9と前記プレート2との間に形成された空間S3を有し、前記物品取付部材5に形成された凸部分55cや55dを前記空間S2やS3に係合する構成である(請求項4)。
【0011】
(エ)、前記物品取付部材5は、正面視略U字状であり、その端部が前記固定部構造体4のプレート2に対する前記物品構造体7の摺動方向に対して外側に広がったガイド部52に形成されている構成である(請求項5)。
(オ)、前記物品取付部材5のU字状内面に設けられて、前記固定部構造体4に対する前記物品構造体7の前記係合手段による連結と同時に、前記固定部構造体4の一部と係合して前記物品構造体の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部57を有している構成である(請求項6)。
(カ)、前記物品取付部材5は、その裏側に平坦状の当接面を形成しているとともに、前記物品の裏面の任意の位置に固定される構成である(請求項7)。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明は、壁面取付部材、装飾・連結兼用のプレート、物品取付部材を必須とし次のような利点を有している。固定部構造体としては、壁面に固定した壁面取付部材に装飾・連結兼用プレートを固定しておくと、物品構造体を連結しなくても、プレートが壁面取付部材の前面を覆っているため外観見栄えを維持し易いとともに、物品構造体を何時でも係合手段を介して着脱可能に連結支持できる。装飾・連結用プレートは、壁面と関係なく設計できるため装飾機能を採用し易くなる。物品構造体としては、例えば、目的の物品に物品取付部材を予め固定して、その物品を固定部構造体と組にして取り扱うことも可能となるため汎用性を付与でき、壁面に固定される固定部構造体に対し係合手段を介して摺動操作により簡単に連結できる。
【0013】
請求項2の発明では、物品構造体に設けられてプレートの凸部分と係合する係合部として、物品と物品取付部材との間に形成される空間にて構成することで、係合溝や断面凹部などの複雑な加工を避けて単純化に伴う作製費を低減し易くなる。
【0014】
請求項3の発明では、物品取付部材とプレートとの対向部、又は、物品取付部材と壁面取付部材との対向部に設けられて、互いに係合可能な凸部分及び凹部分にて構成するため、係合手段に関して用途などに応じた設計自由度を拡大できる。
【0015】
請求項4の発明では、物品構造体に設けられて物品取付部材の凸部分と係合する係合部として、壁面と壁面取付部材又はプレートとの間に形成された空間にて構成するため係合溝や断面凹部などの複雑な加工を避けて単純化に伴う作製費を低減し易くなり、また壁面取付部材又はプレートに凹凸などの形状をなくし、見栄えを良くする。
【0016】
請求項5の発明では、物品取付部材が略U形となっており、U形内にプレートを配置するため、物品構造体を固定構造体に対し摺動操作により確実かつ安定して連結でき、かつ係合手段の連結強度を強化し易くなる。
【0017】
請求項6の発明では、請求項5において、物品構造体が固定部構造体に対して係合手段により連結された状態を弾性規制部によって確実に維持するため信頼性を向上できる
【0018】
請求項7の発明では、物品取付部材として、その裏側の平坦状となった当接面を物品の裏面に面接触するため位置決め配置し易いものとなる。なお、物品取付部材は、形態や変形例に挙げたごとく物品の裏面に対しねじ、釘、両面接着テープ、接着剤などの汎用の固定手段のうちから、物品の大きさや重量に応じた最適なものを選んで固定することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明形態の壁面取付装置の使用方法として、(a)は物品構造体の摺動操作要領を示し、(b)は固定部構造体に対する物品構造体の連結状態を示している。
【図2】(a)と(b)は図1(a)及び(b)と同じ状態を示す模式側面図である。
【図3】(a)は図2(b)のA−A線断面に相当した状態で示す装置背面図、(b)は(a)のB−B線断面図、(c)は(a)のC−C線断面図である。
【図4】(a)は壁面取付部材を壁面に取り付けた状態を示す正面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。
【図5】(a)は更にプレートを壁面取付部材に固定した状態を示す正面図、(b)は(a)のE−E線断面図である。
【図6】上記壁面取付装置の構成部材同士の関係を示す斜視図である。
【図7】上記壁面取付装置を構成している壁面取付部材単品を示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図8】上記壁面取付部材を壁面に固定するクリップを示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図9】上記壁面取付装置を構成しているプレート単品を示し、(a)は上面図、(b)は一方側面図、(c)は裏面図、(d)は他方側面図、(e)下面図である。
【図10】上記壁面取付装置を構成している物品取付部材単品を示し、(a)は上面図、(b)は裏面図、(c)は下面図である。
【図11】(a)と(b)は本発明の係合手段の変形例1と2を図3(c)に対応して示す模式断面図である。
【図12】(a)と(b)は本発明の係合手段の変形例3と4を図3(c)に対応して示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の形態について添付図面を参照しながら説明する。この説明では、図1〜10に示される壁取付装置の構造、使用例、変形例1〜4の順に詳述する。
【0021】
(構造)形態の物品取付装置は、図1〜図6に示されるごとく室内壁等の壁面9にクリップ3等で固定される壁面取付部材1、及び壁面取付部材1に係合し一体化されて壁面取付部材1の前面を覆う大きさの装飾・連結兼用プレート2を有した固定部構造体4と、物品8の裏面8bにねじ6等により固定される物品取付部材5を有した物品構造体7と、固定部構造体4と物品構造体7との間に設けられて、固定部構造体4のプレート2に対する物品構造体7の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段(例えば、空間S1とフランジ部29である凸部分)とからなる。なお、主部材の材質は、壁面取付部材1、プレート2、物品取付部材5は共に樹脂成形体からなるが、樹脂以外でも差し支えない。
【0022】
ここで、壁面取付部材1は、図6及び図7に示されるごとく、固定部構造体4として、特に壁面9に対し位置決め配置した状態で固定する手段と、プレート22を固定する手段とが重要となる。すなわち、壁面取付部材1は、所定厚さ寸法、かつ上下面(又は前後面)10,11及び両側面12で区画された略矩形の板状となっている。この壁面取付部材1には、表面側四隅に設けられた窪み13と、上面(又は前面)10及び下面(又は後面)11の略中間に設けられた大小の凹部14,15と、両側面12の略中間に設けられた係止爪16とを有している。窪み13は小型のクリップ3に対応した凹所となっている。窪み13内には、裏面1bに貫通した貫通孔13aと、貫通孔13aの両側に設けられて同じく裏面1bに貫通した一対の係止穴13bとが設けられている。
【0023】
クリップ3は、図4及び図6並びに図8に示されるごとく、本体30及び本体30の一端に添って一体化されて両側へ延びている対の腕31とからなる。本体10及び腕31の下面には、凸部33が係止穴13bに嵌るよう設けられるとともに、係止用のピン35が凸部33の下方へ突設されている。両腕31の端面には爪32が設けられている。そして、以上のクリップ3は、壁面取付部材1に対し、窪み13に押入れられると、凸部33が貫通孔13aに係合し、ピン35が貫通孔13aから外へ突出れるとともに、各爪32が対応する係止孔13bに係合固定される。そして、壁面取付部材1は、四隅に組み込んだ各クリップ3のピン35を壁面9に突き刺すことにより固定される。但し、本発明の固定部構造体4としては、以上のクリップ3を省略して、壁面9に対して壁面取付部材1を複数のピン、釘、ねじなどを使用して直接固定するようにしてもよい。
【0024】
装飾・連結兼用プレート2は、図5及び図6並びに図9に示されるごとく、固定部構造体4として、特に壁面取付部材1に係合し一体化する構成と、物品構造体7ないしは物品取付部材5との間に設けられる係合手段と、装飾性の観点からの構成とが重要となる。すなわち、このプレート2は、上下面(又は前後面)20,21及び両側面22で区画され、かつ壁面取付部材1の前面を覆う大きさの矩形板状となっており、裏面2bに突設された矩形状の筒部25を有している。プレート2の表面2a(装飾面となる面で、裏面2bと反対側の面のことである)は、装飾性を維持するため平坦面に形成されている。このように表面2aとしては、外観を維持したり、装飾シートなどを添着し易くするため少なくとも係合又は取付用の溝や突起などがないことが好ましい。符号23は裏面2bに設けられた補強リブ、符号24は裏面2bのうち筒部25の底面に設けられた補強リブである。
【0025】
筒部25は、壁面取付部材1を内側に包み込む形状であり、対向している両側内面に設けられて上記係止爪16と係合する凹部26と、対向している上下の内側面に設けられて上記凹部14,15と係合する凸部27,28とを有している。そして、以上のプレート2は、図5のごとく壁面9に固定された壁面取付部材1に対して正面からの押し操作により凸部27,28が凹部14,15と摺動可能に係合し、かつ、押し操作の最終段階で凹部26が係止爪16と係合し抜け止めされて所定の固定強度で結合一体化される。この結合状態が本発明の固定部構造体4である。なお、物品構造体7ないしは物品取付部材5との間に設けられる係合手段としては、図3から推察されるごとくプレート2の両側部分、つまり筒部25から見ると凸部分となるフランジ部29が利用される。この点は後述する。
【0026】
物品取付部材5は、図3及び図6並びに図10に示されるごとく、物品構造体7として、特に物品8に対し位置決め配置した状態で固定する手段と、物品構造体7の摺動操作により固定部構造体4に着脱可能に連結する係合手段とが重要となる。すなわち、物品取付部材5は、正面視で下部両側が開いた略U字形をなすとともに、U字状の両端部を下外側ないしは内側の寸法を広くするよう屈曲形成した傾斜状のガイド部52を有した偏平状の成形体からなる。
【0027】
換言すると、物品取付部材5は、略U字形を形成している中間片部50及び両側片部51と、両側片部51の端末に延長形成されて固定部構造体4のプレート2に対する物品構造体7の摺動方向に対して外側に広がったガイド部52とでおおよその輪郭を形成している。そして、この物品取付部材5は、中間片部50及び両側片部51に設けられて表裏面5a,5bを貫通している取付孔53と、中間片部50及び両側片部51の内面に設けられて本発明の係合手段を構成している挟持片部54,55と、両側片部51とガイド部52との境界付近の内面に設けられて固定部構造体4に対する物品構造体7の係合連結と同時に、固定部構造体4の一部と係合して物品構造体7の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部57とを有している。
【0028】
なお、この例では、表面5aが壁面9側に配置される面で、物品8に固定される裏面5bと反対側の面を指している。表裏面の内、少なくとも裏面5bは平坦状の当接面として形成されており、物品8の裏面8bの任意の位置に安定配置されるようになっている。
【0029】
取付孔53は、表面5aが径大孔部53aに形成されており、物品取付部材5を物品8の裏面8bに位置決め配置した状態でねじ6をねじ込むことにより物品8に固定可能にする。但し、物品取付部材5の物品8への固定手段としては、以上のねじ6に代えて、物品取付部材5を1以上のピン、釘、接着剤、更には図11(a),(b)及び図12(a)の各変形例に示したごとく両面接着テープ60などを使用して固定するようにしてもよい。物品構造体7は、以上のようにして物品取付部材5を物品8に汎用の固定手段により固定したものを意味している。
【0030】
また、各挟持片部54,55は、図1のごとく各片部50,51の内面にあって表面5aに変位して設けられている。これは、挟持片部54,55の内側の面と裏面5bに添う仮想平面(これは物品取付部材5が物品8に固定された状態で、物品8の裏面8bに相当する平面である)との間にプレート2のうちフランジ部29の対応部を挿入ないしは係入可能な空間S1を形成するためである。各弾性規制部57は、側片部51とガイド部52との境界付近の内面側を切り欠いた段差部56により内側に弾性変位可能となっている。
【0031】
(使用例)以上の物品構造体7は、上記した固定部構造体4に対して摺動操作、この例では図2のごとく上から下向きに摺動操作することにより、本発明の係合手段として、上記した物品8と物品取付部材5との間に形成された空間S1に上記プレート2のフランジ部29の対応部(両側部分である凸部分)を係合して着脱可能に連結される。この操作において、初期段階では、プレート2が物品取付部材5のガイド部52の案内作用により略U字形の内側に位置だしされてスムースに挿入されるとともに、弾性規制部57を段差部56内へ弾性変位させる。最終段階ではプレート2が弾性規制部57を通過する。すると、弾性規制部57は、元の状態に復元されてプレート2の下面21に当たってプレートの抜け方向への移動を確実に阻止する。これにより、この構造では、固定部構造体4に対する物品構造体7の前記係合手段を介した連結と同時に、物品構造体7の外れ方向への摺動が不能となる。このため、物品構造体7を固定部構造体4から外す場合は、弾性規制部57を段差部56内に押圧変位させた状態で、物品構造体7を係合時とは反対の上向きに摺動操作することになる。なお、以上の形態では、物品構造体7が弾性規制部57に固定部構造体4のプレート2を当接して外れないようにしたが、プレート2の代わりに壁面取付部材1の一部を当接させるようにしてもよい。
【0032】
(変形例1と2)図11(a)と(b)は本発明の係合手段として上記構成に代えた2例を図3(c)に対応して示している。すなわち、本発明の係合手段として、図11(a)の構成では、物品取付部材5と固定部構造体4のプレート2との対向部に互いに係合する凸部分と凹部とを設けるようにしたものである。この例では、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55aを設けるとともに、プレート2の対向部(例えば両側面)に凹部29aを設けている。但し、これに代えて、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凹部を設けるとともに、プレート2の対向部(例えば両側面)に前記凹部に係合する凸部分を設けるようにしてもよい。
【0033】
図11(b)の構成では、物品取付部材5と固定部構造体4の壁面取付部材1との対向部に互いに係合する凸部分と凹部とを設けるようにしたものである。この例では、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55aを設けるとともに、壁面取付部材1の対向部(例えば両側面)に凹部18を設けている。但し、これに代えて、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凹部を設けるとともに、壁面取付部材1の対向部(例えば両側面)に前記凹部に係合する凸部分を設けるようにしてもよい。
【0034】
(変形例3と4)図12(a)と(b)は本発明の係合手段として上記各構成以外の2例を図3(c)に対応して示している。すなわち、本発明の係合手段として、図12(a)の構成では、壁面9と壁面取付部材1との間に形成された空間S2を有しており、物品取付部材5に形成された凸部分55cをその空間S2に係合するようにしたものである。この例では、空間S2に対応して、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55cを設けている。
【0035】
図12(b)の構成では、壁面9と固定部構造体4のプレート2との間に形成された空間S3を有しており、物品取付部材5に形成された凸部分55cを空間S3に係合するようにしたものである。この例では、空間S3に対応して、物品取付部材5の対向部(例えば両側部内面)に凸部分55dを設けている。
【0036】
なお、本発明は、請求項1で特定される構成を実質的に備えておればよく、細部はこの形態及び各変形例を参考にして変更したり展開可能である。
【符号の説明】
【0037】
1…壁面取付部材(1aと1bは表裏面、11と12は上下面、12は側面)
2…プレート(2aと2bは表裏面、20と21は上下面、22は側面、25は胴)
3…クリップ(30は本体、31は固定部、32は爪、33は凸部、35はピン)
4…固定部構造体
5…物品取付部材(5aと5bは表裏面、50は中間片部、51は側片部)
7…物品構造体(6と60は汎用止め材であるねじと両面接着テープ)
8…物品(8aは表面、8bは裏面)
9…壁面
14,15…凹部
16…係止爪
29…フランジ部(係合手段を構成している凸部分)
26…凹部
27,28…凸部
52…ガイド部
54,55…挟持片部(係合手段を構成)
57…弾性規制部
S1〜S3…空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内壁等の壁面に対して物品を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、
前記壁面に固定される壁面取付部材、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレートを有した固定部構造体と、
前記物品の裏面に固定される物品取付部材を有した物品構造体と、
前記固定部構造体と前記物品構造体との間に設けられて、前記固定部構造体のプレートに対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段と
からなることを特徴とする壁面取付装置。
【請求項2】
前記係合手段は、前記物品と前記物品取付部材との間に形成された空間を有し、前記空間を前記プレートに形成された凸部分に係合することを特徴とする請求項1に記載の壁面取付装置。
【請求項3】
前記係合手段は、前記物品取付部材と前記プレートとの対向部、又は、前記物品取付部材と前記壁面取付部材との対向部に設けられて、互いに係合可能な一方側の凸部分及び他方側の凹部分であることを特徴とする請求項1に記載の壁部取付装置。
【請求項4】
前記係合手段は、前記壁面と前記壁面取付部材との間に形成された空間、又は、前記壁面と前記プレートとの間に形成された空間を有し、前記物品取付部材に形成された凸部分を前記空間に係合することを特徴とする請求項1に記載の壁面取付装置。
【請求項5】
前記物品取付部材は、正面視略U字状であり、その端部が前記固定部構造体のプレートに対する前記物品構造体の摺動方向に対して外側に広がったガイド部に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の壁面取付装置。
【請求項6】
前記物品取付部材のU字状内面に設けられて、前記固定部構造体に対する前記物品構造体の前記係合手段による連結と同時に、前記固定部構造体の一部と係合して前記物品構造体の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部を有していることを特徴とする請求項5に記載の壁面取付装置。
【請求項7】
前記物品取付部材は、その裏側に平坦状の当接面を形成しているとともに、前記物品の裏面の任意の位置に固定されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の壁面取付装置。
【請求項1】
室内壁等の壁面に対して物品を着脱可能に取り付ける壁面取付装置において、
前記壁面に固定される壁面取付部材、及び前記壁面取付部材に係合し一体化されて前記壁面取付部材の前面を覆う装飾・連結兼用プレートを有した固定部構造体と、
前記物品の裏面に固定される物品取付部材を有した物品構造体と、
前記固定部構造体と前記物品構造体との間に設けられて、前記固定部構造体のプレートに対する前記物品構造体の摺動操作により両者を着脱可能に連結する係合手段と
からなることを特徴とする壁面取付装置。
【請求項2】
前記係合手段は、前記物品と前記物品取付部材との間に形成された空間を有し、前記空間を前記プレートに形成された凸部分に係合することを特徴とする請求項1に記載の壁面取付装置。
【請求項3】
前記係合手段は、前記物品取付部材と前記プレートとの対向部、又は、前記物品取付部材と前記壁面取付部材との対向部に設けられて、互いに係合可能な一方側の凸部分及び他方側の凹部分であることを特徴とする請求項1に記載の壁部取付装置。
【請求項4】
前記係合手段は、前記壁面と前記壁面取付部材との間に形成された空間、又は、前記壁面と前記プレートとの間に形成された空間を有し、前記物品取付部材に形成された凸部分を前記空間に係合することを特徴とする請求項1に記載の壁面取付装置。
【請求項5】
前記物品取付部材は、正面視略U字状であり、その端部が前記固定部構造体のプレートに対する前記物品構造体の摺動方向に対して外側に広がったガイド部に形成されていることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の壁面取付装置。
【請求項6】
前記物品取付部材のU字状内面に設けられて、前記固定部構造体に対する前記物品構造体の前記係合手段による連結と同時に、前記固定部構造体の一部と係合して前記物品構造体の外れ方向への摺動を阻止可能にする弾性規制部を有していることを特徴とする請求項5に記載の壁面取付装置。
【請求項7】
前記物品取付部材は、その裏側に平坦状の当接面を形成しているとともに、前記物品の裏面の任意の位置に固定されることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載の壁面取付装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−40065(P2012−40065A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−181574(P2010−181574)
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月16日(2010.8.16)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】
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