説明

物品搬送設備

【課題】 物品搬送車に対する衝撃を抑えながら物品の搬送効率を向上させることができる物品搬送設備を提供する。
【解決手段】 物品搬送車の上下方向での加速度を検出する加速度検出手段を設け、加速度検出手段の検出情報に基づいて、走行経路中における物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい走行経路部分についての目標走行速度を設定量減速側に補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行自在で且つ走行駆動手段を備えた物品搬送車と、前記物品搬送車の走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品搬送車を前記走行経路に沿って目標走行位置に向けて走行させ且つ目標走行速度にて走行させるべく、前記走行駆動手段の作動を制御する運転制御手段とが設けられた物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品搬送設備は、物品搬送車を走行経路に沿って走行させて、複数の物品移載箇所の間で物品を搬送するものである。
そして、このような物品搬送設備において、従来では、走行経路に沿って走行する物品搬送車を予め設定された目標走行速度で走行させるように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−110551号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の物品搬送設備では、走行経路に沿って走行する物品搬送車を予め設定された目標走行速度で走行するように構成されており、走行経路の走行面が平坦な場合とその走行面に段差が存在する場合とで物品搬送車は同じ目標走行速度で走行するので、物品搬送車に備えた機器の破損を抑えながら物品の搬送効率を向上させることができないものであった。
つまり、例えば、走行経路を2つの建設物に亘って設定した場合において建設物同士の繋ぎ目等に段差が形成される等、走行面に段差が存在する場合があるが、上記した従来の物品搬送設備では、走行経路が平坦な走行面か段差が存在する走行面かに拘わらず物品搬送車を予め設定された目標走行速度で走行させるため、物品の搬送効率を向上させるべく目標走行速度を比較的速い速度に設定していると、上記のように走行経路に段差が存在する場合では物品搬送車が比較的速い目標走行速度で段差箇所を走行することとなり、物品搬送車が段差箇所を走行した際の衝撃が大きく、度重なる衝撃により物品搬送車に備えている機器が破損してしまう可能性があった。
ちなみに、走行面に段差が存在しても物品搬送車が段差箇所を走行する際の衝撃を抑えるべく予め比較的遅い目標走行速度を設定すると、走行面が平坦な場合でも物品搬送車の目標走行速度が比較的遅いものとなるので、物品の搬送効率を向上することができないものとなる。
尚、作業者にて走行経路を検査し、その検査により走行経路に段差が確認された場合には、段差が形成されている走行経路部分についての目標走行速度を比較的遅い目標走行速度に人為的に設定変更することも考えられるが、走行面の検査や目標走行速度の設定変更が煩わしいものである。
【0005】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、煩わしい作業を行わなくても物品搬送車に備えられた機器の破損を抑えながら物品の搬送効率を向上することができる物品搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品搬送設備の第1特徴構成は、複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行自在で且つ走行駆動手段を備えた物品搬送車と、前記物品搬送車の走行位置を検出する走行位置検出手段と、前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品搬送車を前記走行経路に沿って目標走行位置に向けて走行させ且つ目標走行速度にて走行させるべく、前記走行駆動手段の作動を制御する運転制御手段とが設けられた物品搬送設備において、
前記物品搬送車の上下方向での加速度を検出する加速度検出手段が設けられ、前記運転制御手段が、前記加速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行経路中における前記物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい走行経路部分についての目標走行速度を設定量減速側に補正するように構成されている点にある。
【0007】
すなわち、物品搬送車を走行経路に沿って目標走行速度で走行するときに、物品搬送車の上下方向での加速度を加速度検出手段にて検出し、走行面に存在する段差を走行することにより減速用設定加速度より大きな加速度が加速度検出手段にて検出された場合は、物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きくなる走行経路部分、つまりは、走行面に段差が存在している走行経路部分についての目標走行速度を設定量減速側に補正するため、走行面に段差が存在する走行経路部分を減速した目標走行速度にて走行することとなり、物品搬送車が段差箇所を走行する際の衝撃を抑えることができるので、度重なる大きな衝撃を回避することができて物品搬送車に備えている機器の破損を抑えることができる。
従って、走行面が平坦な走行経路部分においては減速していない比較的速い目標走行速度で走行し、段差が存在する走行経路部分においては減速した比較的遅い目標走行速度で走行することとなるので、物品搬送車が段差箇所を走行する際の衝撃を抑えながら物品の搬送効率を向上することができ、また、加速度検出手段の検出情報に基づいて自動的に目標走行速度を補正するように構成されているので、走行面の検査や目標走行速度の設定変更などの煩わしい作業が必要なくなり、もって、煩わしい作業を行わなくても物品搬送車に備えた機器の破損を抑えながら物品の搬送効率を向上することができる物品搬送設備を提供することができるに至った。
【0008】
本発明にかかる物品搬送設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記運転制御手段が、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正するように構成されている点にある。
【0009】
すなわち、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を物品搬送車が減速した目標走行速度で走行するときに、物品搬送車の上下方向での加速度を加速度検出手段にて検出し、走行面の補修等により段差が改善されることにより増速用設定加速度より小さな加速度が加速度検出手段にて検出された場合は、物品搬送車の上下方向での加速度が増速用設定加速度より小さくなる走行経路部分、つまりは、走行面に段差が存在していたが走行面の補修等により段差が改善された走行経路部分についての目標走行速度を設定量増速側に補正するため、走行面の段差が改善された走行経路部分を比較的速い目標走行速度にて走行することとなり、設定量減速側に補正された目標走行速度を走行面の状況に応じて設定量増速側に補正され、もって、物品の搬送効率を向上することができる物品搬送設備を提供することができるに至った。
【0010】
本発明にかかる物品搬送設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記運転制御手段が、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい場合には、目標走行速度を設定量減速側に補正することを繰り返すように構成され、且つ、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正することを減速前の速度になるまで繰り返すように構成されている点にある。
【0011】
すなわち、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行したときの物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より小さくなるまで、目標走行速度の設定量減速側への補正を繰り返し行う。また、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行したときの物品搬送車の上下方向での加速度が増速用設定加速度より大きくなる或いは減速前の速度まで、目標走行速度の設定量増速側への補正を繰り返し行うように構成されている。
よって、例えば、目標走行速度を減速側や増速側に補正する設定量を小さいものとしておいて減速側や増速側への補正を繰り返し行う等、目標走行速度を走行面に存在する段差に適した速度に補正することができ、もって、目標走行速度の減速側への補正を小さくしながら物品搬送車が段差箇所を走行した際の衝撃を抑えることができる物品搬送設備を提供できるに至った。
【0012】
本発明にかかる物品搬送設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記運転制御手段が、複数の物品搬送車の運転を管理するように構成され、前記走行経路中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車の目標走行速度を補正するように構成されている点にある。
【0013】
すなわち、走行経路中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車の目標走行速度を補正するように構成されており、先に走行する物品搬送車が走行経路部分を走行することにより、走行経路部分についての目標走行速度が補正された場合は、その目標走行速度が補正された走行経路部分を後に走行する別の物品搬送車が走行する場合も、先の物品搬送車が走行することにより補正された目標走行速度で走行することとなる。
よって、段差が存在する走行経路部分を後に走行する別の物品搬送車は、先に走行する物品搬送車が走行することによって減速側に補正された目標走行速度で走行するため、後に走行する別の物品搬送車が段差箇所を走行する際の衝撃を抑えることができる。また、段差が改善された走行経路部分を後に走行する別の物品搬送車は、先に走行する物品搬送車が走行することによって増速側に補正された目標走行速度で走行させることができる。
従って、複数の物品搬送車について、それに備えた機器の破損を抑えながら物品の搬送効率を向上することができる物品搬送設備を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明にかかる物品搬送設備の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品搬送設備は、走行経路1の側脇に設けられた物品移載箇所としての複数のステーションS、及び、複数のステーションSに亘る走行経路1に沿って床面上を走行自在な複数の物品搬送車2を設け、物品搬送車2が走行経路1に沿って自律走行して複数のステーションSの間で物品を搬送するように構成されている。
また、物品搬送設備は、既設建造物Oと後に増設された新設建造物Nとに亘って設けられており、ステーションSが既設建造物Oと新設建造物Nとの夫々に設けられ、走行経路1は既設建造物Oと新設建造物Nとに亘って設定されている。
【0015】
図3に示すように、前記物品搬送車2には、駆動用走行車輪(図示せず)を回転駆動させる電動モータ8や、従動用走行車輪(図示せず)を縦軸心周りに旋回操作する操向装置9が設けられており、電動モータ8による駆動用走行車輪の回転駆動により物品搬送車2を走行させ、操向装置9による従動用走行車輪の旋回により物品搬送車2を操向させるように構成されている。また、物品搬送車2には、物品搬送車2の上下方向での加速度を検出する加速度検出手段としての加速度センサ6が設けられている。この加速度センサ6としては、弾性付勢具にて上下方向の中立位置に保持した重鎮の上下変動を検出する重力式のもの等、種々の形式のものが使用できる。
【0016】
図2に示すように、物品搬送車2の上部には、測定光(例えば、レーザ光)を水平またはほぼ水平面内で走査して、反射体10にて反射される光を受光する投受光部11が設けられている。前記複数の反射体10については、走行経路1の側方に位置する壁部などを利用して、走行経路1に対応して配設されている。
また、図3に示すように、物品搬送車2には、駆動用走行車輪の回転量に基づいて物品搬送車2の走行距離を検出する距離検出部12や、従動用走行車輪の旋回量に基づいて物品搬送車2の方位を検出する方位検出部13などが備えられている。
【0017】
物品搬送設備には、物品搬送車2の走行位置を検出する走行位置検出手段14の検出情報に基づいて、前記物品搬送車2を前記走行経路1に沿って目標走行位置に向けて走行させ且つ目標走行速度にて走行させるべく、走行駆動手段15の作動を制御する運転制御手段5が設けられている。尚、走行位置検出手段14は、反射体10と投受光部11と距離検出部12と方位検出部13とで構成されており、走行駆動手段15は、電動モータ8と操向装置9とで構成されている。
つまり、運転制御手段5は、搬送車2の投受光部11から投射されて反射体10にて反射される光を投受光部11にて受光する際の走査角情報及び複数の反射体10についての配設位置情報に基づいて物品搬送車2の現在位置を確認しながら、その現在位置情報、距離検出部12の検出情報、並びに、方位検出部13の検出情報に基づいて、物品搬送車2を走行経路1に沿って目標走行位置に向けて走行させ且つ目標走行速度にて走行させるべく、電動モータ8と操向装置9の作動を制御するように構成されている。
【0018】
そして、運転制御手段5は、物品搬送車2に設けられて物品搬送車2の走行を制御する制御部3と、地上側に設けられて制御部3との間で各種の情報を通信する管理部4とで構成されており、管理部4は、物品搬送車2からの各種情報を受信しながら、制御部3に対して複数のステーションSから目的のステーションSを指令し、制御部3は、管理部4からの指令に基づいて、各物品搬送車2を目的のステーションSに向けて走行経路1に沿って走行させ且つ目標走行速度にて走行させるように電動モータ8と操向装置9との作動を制御するように構成されており、運転制御手段5が、複数の物品搬送車2の運転を管理するように構成されている。
前記走行経路1については、物品搬送車2が走行すべき仮想の経路であり、走行経路1の経路情報がレイアウトマップとして制御部3に記憶されている。ちなみに、経路情報は、平面視でのX−Y座標上での走行経路1の位置情報である。
【0019】
運転制御手段5による物品搬送車2の走行速度の制御について説明する。
走行経路1は、図1に示すように複数の経路部分に区分けされており、曲線の経路部分の目標走行速度を直線の経路部分の目標走行速度より遅い速度に設定する等、各経路部分の夫々における目標走行速度がマップデータと関連付けて予め設定されている。
そして、図5に示すように、物品搬送車2を発進する際は、加速用目標走行速度に沿って定常走行用の目標走行速度まで加速し、その後、定常走行用の目標走行速度による走行に移行する。停止の際は、定常走行用の目標走行速度から減速用目標走行速度に沿って徐行速度に移行し、図外の電磁ブレーキにて制動をかけて停止する。
物品搬送車2の走行速度及び加減速度は、距離検出部12にて検出される単位時間当りの走行距離から算出される。
【0020】
次に、物品搬送車2の段差学習制御について説明する。
前記運転制御手段5は、前記加速度センサ6の検出情報に基づいて、前記走行経路1中における前記物品搬送車2の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい走行経路部分についての目標走行速度を設定量減速側に補正するように構成されている。
また、前記運転制御手段5は、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車2の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正するように構成されている。
【0021】
そして、前記運転制御手段5は、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車2の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい場合には、目標走行速度を設定量減速側に補正することを下限走行速度以下になるまで繰り返すように構成され、且つ、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車2の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正することを減速前の速度になるまで繰り返すように構成されている。
【0022】
減速用設定加速度は予め設定された加速度であり、増速用設定加速度は、走行経路部分における過去複数回の最大検出値の平均値から設定加速度低い加速度で、減速用設定加速度より小さな加速度である。
【0023】
次に、図4のフローチャートに基づいて、物品搬送車2の段差学習制御を説明する。
まず、各経路部分における定常走行用の目標走行速度、減速側への補正の限界となる下限走行速度、前記減速用設定加速度及び目標走行速度補正用の設定量等を設定し、これらのパラメータの設定が終了した後に物品搬送車2による搬送作業が開始され、加速度センサ6の検出情報に基づいて物品搬送車2の上下方向での加速度が測定される。
前記下限走行速度より速い目標走行速度で走行している状態で、減速用設定加速度より大きい加速度が加速度センサ6にて検出された場合は、その加速度が検出された箇所を中心とした設定範囲の走行経路部分が設定され、その走行経路部分における目標走行速度を設定量減速側に補正する。そして、下限走行速度より遅い目標走行速度で走行している状態で、減速用設定加速度より大きい加速度が加速度センサ6にて検出された場合では、その加速度が検出された走行経路部分における目標走行速度を補正せずに、ブザーやランプ等の警報装置(図示せず)を作動させて、走行経路1に大きな段差があることを報知する。この場合、全ての物品搬送車2を停止させてもよい。
そして、予め設定された目標走行速度から減速側に補正した目標走行速度で走行している状態で、増速用設定加速度より小さい加速度が加速度センサ6にて検出された場合は、その加速度が検出された箇所を中心とした設定範囲の走行経路部分が設定され、その走行経路部分における目標走行速度を設定量増速側に補正する。そして、予め設定された目標走行速度で走行している状態で、増速用設定加速度より小さな加速度が加速度センサ6にて検出された場合は、その加速度が検出された走行経路部分における目標走行速度を補正しない。
目標走行速度を設定量増速側に補正されたことや設定量増速側に補正されたことの補正情報が記録され、後に記憶された補正情報を確認することにより目標走行速度がどのように補正されたかを確認できるように構成されている。
【0024】
物品搬送車2の段差学習制御について、新設建造物N側の床面と既設建造物O側の床面とに高さのずれが生じ、物品搬送車2が新設建造物Nから既設建造物Oに乗り移る箇所を中心とした設定範囲の走行経路部分(以下、接続経路部分Dと称する)に段差が存在する場合について、図5を参照しながら具体的に説明する。
物品搬送車2が走行経路1に沿って予め設定された定常走行用の目標走行速度a(以下、基準走行速度aと称する)で走行し、物品搬送車2が基準走行速度aで接続経路部分Dを走行した際に加速度センサ6にて検出された加速度が減速用設定加速度より大きい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、基準走行速度aから設定量減速側に補正した定常走行用の目標走行速度b(以下、一段階減速走行速度bと称する)に補正される。
また、物品搬送車2が一段階減速走行速度bで接続経路部分Dを走行した際に加速度センサ6にて検出された加速度が増速用設定加速度より小さい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、一段階減速走行速度bから基準走行速度aに補正される。
【0025】
物品搬送車2が一段階減速走行速度bで接続経路部分Dを走行した際に加速度センサ6にて検出される加速度が減速用設定加速度より大きい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、一段階減速走行速度bから設定量減速側に補正した定常走行用の目標走行速度c(以下、二段階減速走行速度cと称する)に補正される。また、物品搬送車2が二段階減速走行速度cで接続経路部分Dを走行した際に加速度センサ6にて検出される加速度が減速用設定加速度より大きい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、二段階減速走行速度cから設定量減速側に補正した定常走行用の目標走行速度d(以下、三段階減速走行速度dと称する)に補正される。
【0026】
物品搬送車2が接続経路部分Dを三段階減速走行速度dで走行した際に加速度センサ6にて検出される加速度が増速用設定加速度より小さい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、三段階減速走行速度dから二段階減速走行速度cに補正される。また、物品搬送車2が接続経路部分Dを二段階減速走行速度cで走行した際に、加速度センサ6にて検出される加速度が増速用設定加速度より小さい場合は、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が、二段階減速走行速度cから一段階減速走行速度bに補正される。
【0027】
そして、物品搬送車2が接続経路部分Dを基準走行速度aで走行した際に加速度センサ6にて検出される加速度が増速用設定加速度より小さい場合では、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度は基準走行速度aから補正されず、また、物品搬送車2が接続経路部分Dを三段階減速走行速度dで走行した際に、加速度センサ6にて検出される加速度が減速用設定加速度より大きい場合では、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度は三段階減速走行速度dから補正されない。
【0028】
前記運転制御手段5が、前記走行経路1中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車2の目標走行速度を補正するように構成されている。
つまり、例えば、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が一段階減速走行速度bに補正されている状態おいては、図1に示すように、接続経路部分Dを先に走行する物品搬送車2Aが一段階減速走行速度bで走行した際に、加速度センサ6にて減速用設定加速度より大きな加速度が検出され、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が二段階減速走行速度cに補正された場合は、接続経路部分Dを後に走行する別の物品搬送車2Bが接続経路部分Dを走行する際は、補正された二段階減速走行速度cで走行させる等、先に走行する物品搬送車2Aが走行経路部分を走行することにより、走行経路部分についての目標走行速度が補正された場合は、その目標走行速度が補正された走行経路部分を後に走行する別の物品搬送車2Bが走行する場合も、先に走行する物品搬送車2Aが走行することにより補正された目標走行速度で走行させるように構成されている。
【0029】
上記した物品搬送車2の段差学習制御についての具体的な説明では、定常走行用の目標走行速度を補正することについて説明したが、図6に示すように、物品搬送車2の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい走行経路部分については加速用目標走行速度や減速用目標走行速度も設定量減速側に補正し、また、物品搬送車2の上下方向での加速度が増速用設定加速度より小さい走行経路部分については加速用目標走行速度や減速用目標走行速度も設定量増速側に補正して、上述の如く定常走行用の目標走行速度と同様に加速用目標走行速度や減速用目標速度が設定されるように構成されている。
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、運転制御手段5を、走行経路1中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車2の目標走行速度を補正するように構成したが、走行経路1中における目標走行速度を補正する走行経路部分について、物品搬送車2の目標走行速度を個別に補正するように構成してもよい。
つまり、各走行経路部分についての目標走行速度を全ての物品搬送車2に対応して個別に設定し、例えば、接続経路部分Dを先に走行する物品搬送車2Aの接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が一段階減速走行速度bに補正されており、接続経路部分Dを後に走行する物品搬送車2Bの接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度も同様に一段階減速走行速度bに補正されている状態において、先に走行する物品搬送車2Aが接続経路部分Dを一段階減速走行速度bで走行した際に、加速度センサ6にて減速用設定加速度より大きな加速度が検出され、接続経路部分Dについての定常走行用の目標走行速度が二段階減速走行速度cに補正された場合でも、後に走行する別の物品搬送車2Bが接続経路部分Dを走行する際は、後に走行する別の物品搬送車2Bに対応する目標走行速度である一段階減速走行速度bで走行させる等、先に走行する物品搬送車2Aが走行経路部分を走行することにより、走行経路部分についての目標走行速度が補正された場合でも、走行経路部分を後に走行する別の物品搬送車2Bが走行する場合は、後に走行する別の物品搬送車2Bに対応する目標走行速度で走行させるように構成してもよい。
【0030】
(2) 上記実施形態では、運転制御手段5を、走行経路1中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車2の目標走行速度を補正するように構成したが、走行経路1中における目標走行速度を補正する走行経路部分について、物品搬送車2の目標走行速度を、物品搬送車2を車輪の大きさや搬送する物品の重量等に応じて分けたグループ単位で補正するように構成してもよい。
【0031】
(3) 上記実施形態では、運転制御手段5が、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに物品搬送車2の上下方向での加速度が減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正するように構成したが、このように目標走行速度を設定量増速側に補正しないように構成してもよい。
この場合、人為的に目標走行速度を補正する入力手段を設けて、床面の補修作業により段差が改善された場合等、目標走行速度を設定量増速側に補正したい場合は、入力手段の操作により目標走行速度を増速側に補正するように構成してもよい。
【0032】
(4) 上記実施形態では、目標走行速度を補正する設定量を予め設定された一定の量としたが、加速度センサ6の検出情報に対応する設定量を設定しておき、目標走行速度を補正する際に加速度センサ6の検出情報に応じた量を減速側や増速側に補正するように構成してもよい。
つまり、例えば、加速度センサ6にて減速用設定加速度より十分大きな加速度が検出された場合は、この十分大きな加速度に対応する大きな設定量減速側に補正し、加速度センサ6にて減速用設定加速度より少しだけ大きな加速度が検出された場合は、この少しだけ大きな加速度に対応する小さな設定量減速側に補正するように構成してもよい。
【0033】
(5) 上記実施形態では、目標走行速度の設定量減速側への補正や目標走行速度の設定量増速側への補正を繰り返すように構成したが、目標走行速度の設定量減速側への補正や目標走行速度の設定量増速側への補正を繰り返さないように構成してもよい。
【0034】
(6) 上記実施形態では、走行位置検出手段14をレーザスキャナ式に構成したが、その他各種の物品搬送車2を適応することが可能である。
例えば、走行位置検出手段14を、反射体10と投受光部11とに代えて、間隔を隔てて床面に配設された補正用マークと、この補正用マークを検出するマーク検出手段とを備えて構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】物品搬送設備の平面図
【図2】物品搬送車の斜視図
【図3】制御ブロック図
【図4】フローチャート
【図5】物品搬送車の速度制御を示す図
【図6】物品搬送車の速度制御を示す図
【符号の説明】
【0036】
1 走行経路
2 物品搬送車
5 運転制御手段
6 加速度検出手段
14 走行位置検出手段
15 走行駆動手段
S 物品移載箇所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品移載箇所に亘る走行経路に沿って走行自在で且つ走行駆動手段を備えた物品搬送車と、
前記物品搬送車の走行位置を検出する走行位置検出手段と、
前記走行位置検出手段の検出情報に基づいて、前記物品搬送車を前記走行経路に沿って目標走行位置に向けて走行させ且つ目標走行速度にて走行させるべく、前記走行駆動手段の作動を制御する運転制御手段とが設けられた物品搬送設備であって、
前記物品搬送車の上下方向での加速度を検出する加速度検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記加速度検出手段の検出情報に基づいて、前記走行経路中における前記物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい走行経路部分についての目標走行速度を設定量減速側に補正するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記運転制御手段が、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正するように構成されている請求項1記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記運転制御手段が、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が減速用設定加速度より大きい場合には、目標走行速度を設定量減速側に補正することを繰り返すように構成され、且つ、目標走行速度を減速側に補正した走行経路部分を減速した目標走行速度で走行するときに前記物品搬送車の上下方向での加速度が前記減速用設定加速度よりも小さな増速用設定加速度よりも小さい場合には、目標走行速度を設定量増速側に補正することを減速前の速度になるまで繰り返すように構成されている請求項2記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記運転制御手段が、複数の物品搬送車の運転を管理するように構成され、
前記走行経路中における目標走行速度を補正する走行経路部分については、全ての物品搬送車の目標走行速度を補正するように構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−72572(P2007−72572A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256401(P2005−256401)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】