説明

物品搬送設備

【課題】フォーク機構により物品の移載を行う際、フォーク機構の出退方向視において、たとえ物品の重量が左右いずれか一方に偏っていても、フォーク機構からの物品の落下を確実に防止することのできる物品搬送設備。
【解決手段】移動体に物品Cを載置支持して移載するフォーク機構12が出退及び昇降操作自在に設けられ、移動体とフォーク機構12を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備で、フォーク機構12により物品移載対象箇所8に位置する物品Cを持ち上げ支持した状態で、フォーク機構12の出退方向視において持ち上げ対象の物品Cの左右横方向における傾斜を検出するための傾斜状態検出手段32が設けられ、運転制御手段が、傾斜状態検出手段32の検出情報に基づいて、持ち上げ対象の物品Cが傾斜していない場合に当該物品Cの移載を実行するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を載置支持して移載するフォーク機構が出退及び昇降操作自在に設けられ、前記移動経路に沿って位置する物品移載対象箇所に前記移動体を移動させて停止させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載対象箇所に停止した状態で、その物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持して移載するように前記フォーク機構の出退及び昇降作動を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
このような物品搬送設備は、例えば、スタッカークレーンを有する自動倉庫などに適用されるもので、スタッカークレーンの昇降台に設けられたフォーク機構により物品移載対象箇所に位置する物品を掬い取って持ち上げ、その物品を昇降台へ移載するように構成されている。
かかる物品搬送設備において、従来、フォーク機構を突出させて物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持した状態で、フォーク機構の撓みを検出することによって物品の重量が設定重量以下であるか否かを判定するように構成したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−274610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の従来技術では、フォーク機構により持ち上げる物品が過重量であるか否かを判定することはできるものの、持ち上げる物品の重量が一方に偏った偏荷重であるか否かを判定することはできない。
すなわち、フォーク機構の出退方向視において、持ち上げ対象となる物品の重量が左右いずれか一方に偏っている場合、その物品をフォーク機構により移載しようとすると、物品の偏荷重に起因して、物品がフォーク機構から落下するおそれがある。
当然のことながら、上記特許文献1に記載の従来技術では、このような物品の偏荷重に起因する物品を落下を未然に防止することはできず、また、従来、この種の物品の偏荷重に対して特別な対策を講じたものもなく、作業者の注意事項にゆだねられていたのが実状である。
【0005】
本発明は、このような実状に着目したもので、その目的は、フォーク機構により物品の移載を行う際、フォーク機構の出退方向視において、たとえ物品の重量が左右いずれか一方に偏っていても、フォーク機構からの物品の落下を確実に防止することのできる物品搬送設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる物品搬送設備は、水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を載置支持して移載するフォーク機構が出退及び昇降操作自在に設けられ、前記移動経路に沿って位置する物品移載対象箇所に前記移動体を移動させて停止させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載対象箇所に停止した状態で、その物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持して移載するように前記フォーク機構の出退及び昇降作動を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備であって、
その第1の特徴構成は、前記フォーク機構を突出させて前記物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持した状態で、そのフォーク機構の出退方向視において持ち上げ対象の物品の左右横方向における傾斜を検出するための傾斜状態検出手段が設けられ、前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、当該持ち上げ対象の物品が傾斜していない場合に当該物品の移載を実行するように構成されている点にある。
【0007】
本発明の第1の特徴構成によれば、傾斜状態検出手段が、フォーク機構の出退方向視において持ち上げ対象の物品の左右横方向における傾斜についての検出情報を出力し、その検出情報に基づいて、運転制御手段が、持ち上げ対象の物品が傾斜していない場合に物品の移載を実行するので、言い換えると、フォーク機構の出退方向視において物品の重量が左右いずれか一方に偏り、そのために持ち上げ対象の物品が傾斜して落下の可能性がある場合には、物品の移載を実行しないので、物品移載時に物品の偏荷重に起因するフォーク機構からの落下は皆無となる。
【0008】
本発明の第2の特徴構成は、本発明の第1の特徴構成において、前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、前記持ち上げ対象の物品が傾斜していても、その傾斜量が許容範囲内であれば当該物品の移載を実行するように構成されている点にある。
【0009】
本発明の第2の特徴構成によれば、運転制御手段が、傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、持ち上げ対象の物品が傾斜していても、その傾斜量が許容範囲内であれば、すなわち、物品移載時に物品がフォーク機構から落下するおそれのない範囲内であれば、たとえ物品が傾斜していても物品の移載を実行するので、物品が傾斜していない場合にのみ移載を実行するのに比べて、物品の移載を効率よく行うことができ、しかも、物品移載時におけるフォーク機構からの物品の落下を確実に防止することができる
【0010】
本発明の第3の特徴構成は、本発明の第2の特徴構成において、前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、前記持ち上げ対象の物品の傾斜量が許容範囲外である場合に、前記フォーク機構の作動を制御して当該物品を前記物品移載対象箇所に戻すように構成されている点にある。
【0011】
本発明の第3の特徴構成によれば、傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、持ち上げ対象の物品の傾斜量が許容範囲外である場合、運転制御手段が、フォーク機構の作動を制御して当該物品を物品移載対象箇所に戻すので、例えば、フォーク機構により物品を持ち上げ支持した状態のままでフォーク機構の作動を停止する場合に比べて、物品を安定よく支持することができる。
つまり、物品の傾斜量が許容範囲外であれば、警報などにより報知して、物品の偏荷重を修正するなどの処置を講ずることになるが、それまでの間、物品を安定よく支持して不測に物品が落下するのを回避することができる。
【0012】
本発明の第4の特徴構成は、本発明の第1〜第3の特徴構成のいずれかにおいて、前記傾斜状態検出手段が、前記フォーク機構の出退方向視において、そのフォーク機構により持ち上げ支持した物品の底面までの高さを測定する左右一対の測距センサで構成されている点にある。
【0013】
本発明の第4の特徴構成によれば、左右一対の測距センサによって物品底面までの左右における高さを測定することにより、物品の傾斜状態を検出するので、物品の傾斜状態を確実に検出することができ、その結果、フォーク機構からの物品の落下を確実に防止することができる。
【0014】
本発明の第5の特徴構成は、本発明の第1〜第4の特徴構成のいずれかにおいて、前記フォーク機構が、そのフォーク機構の出退方向視において前記物品の左右横方向における略中央部分を支持する単一のフォーク機構により構成されている点にある。
【0015】
本発明の第5の特徴構成によれば、構造的に簡素化が可能な単一のフォーク機構であるにもかかわらず、フォーク機構からの物品の落下を確実に防止することができる。
すなわち、フォーク機構としては、例えば、物品の左右横方向に2つ並んだ一対のフォーク機構で構成することもできる。その場合、一対のフォーク機構が、物品の左右横方向において比較的中央部分寄りにあれば、やはり、物品が落下する可能性はあるが、このような一対のフォーク機構に比べて、構造の簡素化を図りながら物品の落下を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】自動倉庫の一部切欠き斜視図
【図2】スタッカークレーンの側面図
【図3】フォーク機構の側面図
【図4】運転制御手段のブロック図
【図5】載置台の斜視図
【図6】フォーク機構による載置台上の物品の持ち上げ状態を示す作用図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明による物品搬送設備の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明の物品搬送設備は、自動倉庫などにおいて適用されるもので、自動倉庫は、例えば、図1に示すように、物品としてのコンテナCを出し入れする出し入れ方向が互いに対向するように間隔を隔てて配置された一対の物品収納棚1を備え、その一対の物品収納棚1の間に設定された水平方向に沿う移動経路2、換言すると、各物品収納棚1の前面側に設定された水平方向に沿う移動経路2に沿って、スタッカークレーン3が自動走行するように構成されている。
各物品収納棚1は、前後一対の支柱1aが水平方向に間隔を隔てて鉛直方向に向けて複数立設され、前後一対の支柱1aには、水平方向に延びる載置支持部1bが上下方向に間隔を隔てて複数配置されている。そして、各物品収納棚1における収納部4は、載置支持部1bにてコンテナCを載置支持する形態で収納するように構成され、その収納部4が縦横に多数並んで設けられ、各コンテナCには、例えば、図5及び図6に示すように、ロール状の商品Rが横方向に並べて多数収納されている。
【0018】
前記移動経路2には、その床側に走行レール5が、天井側にガイドレール6が、それぞれ移動経路2に沿って設置され、走行レール5の一端側には、スタッカークレーン3を含む自動倉庫全体の作動を制御する運転制御手段Hを構成する地上側コントローラ7が設けられ、さらに、物品であるコンテナCを移載する物品移載対象箇所としての載置台8が走行レール5を挟んで一対設けられている。
スタッカークレーン3は、図2に示すように、移動経路2に沿って走行レール5上を移動される移動体としての移動台車9と、その移動台車9上に立設された一対の昇降用マスト10に沿って昇降される昇降台11を備え、コンテナCを支持して移載するフォーク機構12が、その昇降台11に出退操作自在に設けられている。すなわち、フォーク機構12は、昇降台11に対する出退操作とその昇降台11の昇降操作により、移動台車9に対して出退及び昇降操作自在に設けられている。
【0019】
一対の昇降用マスト10の上端部は、図2に示すように、上部フレーム13により互いに連結され、その上部フレーム13に設けられたガイドローラ14によりガイドレール6に沿って案内されるように構成され、昇降台11が、その一対の昇降用マスト10に沿って上下方向に昇降自在に構成されて、昇降用チェーン15により吊下げ支持されている。
その昇降用チェーン15は、上部フレーム13に設けられた案内スプロケット16と一方の昇降用マスト10に設けられた案内スプロケット17とに巻き掛けられて、移動台車9に装着の巻き取りドラム18に連結されている。その巻き取りドラム18をインバータ式の昇降用電動モータ19にて正逆方向に回転駆動させて、昇降用チェーン15の繰り出し及び巻き取り操作により昇降台11を昇降させるように構成されている。
昇降台11には、昇降用ロータリエンコーダ20が設けられ、図示はしないが、昇降用ロータリエンコーダ20の回転軸には、昇降用マスト10に沿って設けられたチェーンに噛合するスプロケットが設けられている。そして、昇降用ロータリエンコーダ20は、昇降経路の下端部に設定された昇降基準位置を基準として、昇降台11の昇降によりスプロケットが回転してパルスを出力し、その昇降基準位置からの昇降台11の昇降距離から上下方向での昇降台11の昇降位置を検出する。
【0020】
移動台車9には、走行レール5上を転動する前後2つの車輪21a、21bが設けられ、一方の車輪21aが、インバータ式の走行用電動モータ22により回転駆動される駆動輪として、他方の車輪21bが、遊転自在な従動輪として構成され、走行用電動モータ22の作動による駆動輪21aの回転駆動によって、移動台車9が移動経路2に沿って移動されるように構成されている。
その移動台車9には、走行用ロータリエンコーダ23が設けられ、図示はしないが、走行用ロータリエンコーダ23の回転軸には、走行レール5に沿って設けられたチェーンに噛合するスプロケットが設けられている。そして、走行用ロータリエンコーダ23は、移動経路2の一端部に設定された水平基準位置を基準として、移動台車9の走行によりスプロケットが回転してパルスを出力し、その水平基準位置からの移動台車9の移動距離から水平方向での移動台車9の移動位置を検出する。
【0021】
前記フォーク機構12は、図3に示すように、昇降台11に固定された固定フォーク12aと、その固定フォーク12aに対して出退自在なセカンダリーフォーク12bと、そのセカンダリーフォーク12bに対して出退自在なプライマリーフォーク12cからなる三段式のフォークで構成され、図中仮想線で示すように、プライマリーフォーク12c上にコンテナCを載置支持して移載するように構成されている。
その三段式のフォーク機構12は、セカンダリーフォーク12bに設けられたラックギヤ24と、ラックギヤ24に噛合する一対のピニオンギヤ25と、その一対のピニオンギヤ25をギヤ26にて回転駆動するインバータ式の出退用電動モータ27と、固定フォーク12aの一端部とプライマリーフォーク12cの一端部とを連結する2本のワイヤ28とにより構成される出退駆動機構によって、昇降台11に対して出退駆動操作される。
【0022】
そして、一対のピニオンギヤ25と出退用電動モータ27は、固定フォーク12aに設けられ、2本のワイヤ28は、セカンダリーフォーク12bの端部に設けられた遊転プーリ29に巻き掛けられ、出退用電動モータ27によりピニオンギヤ25を正逆方向に回転駆動させることにより、ピニオンギヤ25とラックギヤ24との噛合で、セカンダリーフォーク12bが固定フォーク12aに対して出退移動し、その出退移動に伴う遊転プーリ29の移動により、ワイヤ28がプライマリーフォーク12cをセカンダリーフォーク12bに対して出退移動させる。
この三段式のフォーク機構12は、図6に示すように、その出退方向視においてコンテナCの左右横方向における略中央部分を支持する単一のフォーク機構により構成され、出退用電動モータ27を正逆方向に回転駆動することにより、移動台車9の移動方向に直交する方向を物品移載方向として、図3の(a)に示す引退位置と、図3の(b)に示す突出位置との間で出退作動するように構成されている。
【0023】
前記物品移載対象箇所としての載置台8は、図5及び図6に示すように、4本の載置支柱8aと、各載置支柱8aの上部に設けられた載置部8bとを備え、各載置部8bに落下防止部材8cが連設されて、コンテナCが、その四隅を載置部8bにより支持された状態で載置されるように構成されている。
各載置支柱8aは、補強部材8dにより連結され、フォーク機構12の出退方向視において左右に位置する補強部材8dには、それぞれ支持部材30が連設され、各支持部材30には、レーザ式の測距センサ31が同じ高さに位置する状態で取り付けられている。この左右一対の測距センサ31は、図6に示すように、フォーク機構12を突出させて載置台8上のコンテナCを持ち上げ支持した状態で、フォーク機構12の出退方向視において、持ち上げ対象であるコンテナCの左右の底面までの高さを測定し、その測定した高さ情報をクレーン制御装置33(図4参照)に出力する。そして、後述するように、クレーン制御装置33が、測距センサ31からの測距情報に基づいて、コンテナCの左右横方向における傾斜を検出する。このように、測距センサ31は、コンテナCの左右横方向における傾斜情報を検出するためのもので、傾斜状態検出手段32として機能する。
【0024】
前記スタッカークレーン3には、図4に示すように、地上側コントローラ7と共に運転制御手段Hを構成するクレーン制御装置33が設けられ、地上側コントローラ7からの指令に基づいて、走行用電動モータ22、昇降用電動モータ19、及び、出退用電動モータ27などの作動を制御するように構成されている。
そのため、クレーン制御装置33は、走行用電動モータ22の作動を制御する走行制御部33a、昇降用電動モータ19の作動を制御する昇降制御部33b、及び、出退用電動モータ27の作動を制御する出退制御部33cなどを備え、走行用ロータリエンコーダ23、昇降用ロータリエンコーダ20、及び、一対の測距センサ31で構成される傾斜状態検出手段32などからの検出情報が入力される。
そして、クレーン制御装置33は、走行用ロータリエンコーダ23及び昇降用ロータリエンコーダ20の検出情報に基づいて走行用電動モータ22及び昇降用電動モータ19の作動を制御し、昇降台11を物品移載用の目標位置に位置させた状態で、出退用電動モータ27の作動を制御して、フォーク機構12を突出及び引退作動させるように構成されている。
【0025】
前記地上側コントローラ7は、例えば、クレーン制御装置33に対して、複数の収納部4のいずれかに収納されているコンテナCを載置台8に出庫する出庫指令を指令し、その後、載置台8上のコンテナCを収納部4のいずれかに入庫する入庫指令を指令する。
具体的には、ロール状の商品Rを必要とする場合であれば、地上側コントローラ7を操作して、クレーン制御装置33に対し、ロール状の商品Rを収納するコンテナCの出庫を指令する。
すると、クレーン制御装置33の走行制御部33aが、スタッカークレーン3を移動経路2に沿って移動させて物品収納棚1の所定位置に停止させ、昇降制御部33bが、スタッカークレーン3の昇降台11を昇降させるとともに、出退制御部33cが、フォーク機構12を出退させて、出庫対象であるコンテナCをフォーク機構12により収納部4から掬い取って昇降台11へ移載する。その後、走行制御部33aが、スタッカークレーン3を移動経路2に沿って移動させて、載置台8に対応する所定位置に停止させ、昇降制御部33bによる昇降台11の昇降操作と出退制御部33cによるフォーク機構12の出退操作によって、図6の(a)に示すように、コンテナCを載置台8上に載置する。
【0026】
その状態で、コンテナCから必要なロール状の商品Rを取り出した後、地上側コントローラ7を操作して、クレーン制御装置33に対し、コンテナCの入庫を指令する。
すると、出退制御部33cが、フォーク機構12をコンテナCの下方へ突出させるとともに、図6の(b)、(c)に示すように、昇降制御部33bが、昇降台11を上昇させてフォーク機構12によりコンテナCを掬い取り、所定の高さにまでコンテナCを持ち上げ支持した状態で昇降台11の上昇を停止する。その停止状態で、傾斜状態検出手段32を構成する一対の測距センサ31が、持ち上げ対象であるコンテナCの左右の底面までの高さを測定し、その高さに関する検出情報を運転制御手段Hのクレーン制御装置33へ出力する。
そして、クレーン制御装置33が、その測距センサ31からの検出情報に基づいて、持ち上げ対象であるコンテナCが左右方向に傾斜しているか否か、傾斜している場合には、その傾斜量を判定する。
【0027】
その結果、図6の(b)に示すように、コンテナCが傾斜していない場合には、フォーク機構12によりコンテナCを掬い取って昇降台11への移載を実行する。また、図示はしないが、たとえコンテナCが傾斜していても、その傾斜量が許容範囲内であれば、換言すると、フォーク機構12によりコンテナCを掬い取って移載を実行しても、フォーク機構12からコンテナCが落下するおそれのない範囲内であれば、そのまま昇降台11への移載を実行する。
そして、図6の(c)に示すように、コンテナCの傾斜量が許容範囲外であれば、換言すると、そのまま移載を実行すると、フォーク機構12からコンテナCが落下するおそれがある場合には、昇降台11への移載を実行することなく、そのままフォーク機構12を下降させてコンテナCを載置台8上に戻し、コンテナCが偏荷重により傾斜している旨を適宜手段による報知する。
なお、測距センサ31による高さ測定は、フォーク機構12によるコンテナCの掬い取り開始と同時に実行され、コンテナCを所定の停止高さにまで持ち上げる前にコンテナCの傾斜量が許容範囲外になれば、その時点でフォーク機構12の上昇を停止し、フォーク機構12を下降させてコンテナCを載置台8上に戻すのであり、それによって、コンテナCの偏荷重によるフォーク機構12からの落下が確実に防止される。
【0028】
〔別実施形態〕
(1)先の実施形態では、一対の測距センサ31により傾斜状態検出手段32を構成し、その一対の測距センサ31により測定した高さに関する検出情報を運転制御手段Hに入力し、運転制御手段Hが、その検出情報に基づいてコンテナCの傾斜状態を検出するように構成した例を示したが、傾斜状態検出手段32が、一対の測距センサ31による検出情報に基づいてコンテナCの傾斜状態、すなわち、コンテナCが傾斜しているか否か、さらに、傾斜している場合には、その傾斜量を判定し、その結果を運転制御手段Hに入力するように構成することもできる。
また、測距センサ31の一例として、レーザ光を使用したレーザ式の測距センサを示したが、それ以外にも、例えば、赤外線や超音波などを使用した各種形態の測距センサを使用することができる。
さらに、図6を参照して、左右に位置する載置部8bにそれぞれロードセルなどの各種の荷重測定手段を設置し、フォーク機構12によりコンテナCを持ち上げ支持した状態で、左右いずれの荷重測定手段も無荷重であれば(図6の(b)参照)、コンテナCが傾斜していないと判定し、いずれか一方の荷重測定手段のみが荷重を測定していれば(図6の(c)参照)、コンテナCが傾斜していると判定するように構成することもでき、この場合には、ロードセルなどの荷重測定手段が傾斜状態検出手段32を構成することになる。
【0029】
(2)先の実施形態では、コンテナCが傾斜していない場合、または、コンテナCが傾斜していても、その傾斜量が許容範囲内である場合に、フォーク機構12によるコンテナCの移載を実行するように構成した例を示したが、コンテナCが傾斜していない場合にのみ移載を実行するように構成することもできる。
また、移載を実行しない場合、コンテナCを載置台8上に戻すように構成した例を示したが、コンテナCを載置台8上に戻すことなく、そのままの状態でコンテナCが傾斜している旨を報知するように構成することもできる。
さらに、フォーク機構12として、単一のフォーク機構を示したが、例えば、コンテナCの左右横方向に2つ並んだ一対のフォーク機構であっても、その一対のフォーク機構がコンテナCの左右横方向の中央部分寄りにあれば、コンテナCが落下する可能性があるので、フォーク機構12は特に単一のフォーク機構に限るものではない。
その他、物品の一例として、ロール状の商品Rを収納したコンテナCを示したが、偏荷重を生じるおそれのある物品であれば、いかなる物品においても適用可能であり、また、本発明の物品搬送設備は、特にスタッカークレーン3を有する自動倉庫に限らず、自動倉庫以外の各種の物品搬送設備において適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
2 移動経路
8 物品移載対象箇所
9 移動体
12 フォーク機構
31 測距センサ
32 傾斜状態検出手段
C 物品
H 運転制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に沿う移動経路に沿って移動される移動体に、物品を載置支持して移載するフォーク機構が出退及び昇降操作自在に設けられ、
前記移動経路に沿って位置する物品移載対象箇所に前記移動体を移動させて停止させるように前記移動体の移動作動を制御し、且つ、前記移動体が前記物品移載対象箇所に停止した状態で、その物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持して移載するように前記フォーク機構の出退及び昇降作動を制御する運転制御手段が設けられている物品搬送設備であって、
前記フォーク機構を突出させて前記物品移載対象箇所に位置する物品を持ち上げ支持した状態で、そのフォーク機構の出退方向視において持ち上げ対象の物品の左右横方向における傾斜を検出するための傾斜状態検出手段が設けられ、
前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、当該持ち上げ対象の物品が傾斜していない場合に当該物品の移載を実行するように構成されている物品搬送設備。
【請求項2】
前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、前記持ち上げ対象の物品が傾斜していても、その傾斜量が許容範囲内であれば当該物品の移載を実行するように構成されている請求項1に記載の物品搬送設備。
【請求項3】
前記運転制御手段が、前記傾斜状態検出手段の検出情報に基づいて、前記持ち上げ対象の物品の傾斜量が許容範囲外である場合に、前記フォーク機構の作動を制御して当該物品を前記物品移載対象箇所に戻すように構成されている請求項2に記載の物品搬送設備。
【請求項4】
前記傾斜状態検出手段が、前記フォーク機構の出退方向視において、そのフォーク機構により持ち上げ支持した物品の底面までの高さを測定する左右一対の測距センサで構成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の物品搬送設備。
【請求項5】
前記フォーク機構が、そのフォーク機構の出退方向視において前記物品の左右横方向における略中央部分を支持する単一のフォーク機構により構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の物品搬送設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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