説明

牽引治療器の脇装具位置制御装置

【課題】移乗し易く、個体差によく対応でき、リラックスした状態で牽引治療を実施可能な牽引治療器の脇装具位置制御装置を提供すること。
【解決手段】牽引治療器1において、前記脇装具8が取着され上体シート部13の裏面に回動可能に取着される基部4と、基部4を回動させる基部駆動部40と、基部駆動部40を制御する制御部24と、基部4を支持し基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成される脇装具位置制御装置46を有し、患者が移乗する際、脇装具8を移乗待機位置に移動できることを特徴とする牽引治療器の脇装具位置制御装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰椎の牽引治療を行う椅子型の牽引治療器の脇装具位置制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来技術の下記特許文献1には、脇装具を脇支持位置と退避位置との間で自動的に移動させる駆動部(具体的には第二移動台と脇装具駆動部と脇アームとカム機構部)を設けた牽引装置が開示されている。
【0003】
しかし、従来技術の脇装具を脇支持位置と退避位置との間で自動的に移動させる構造は、脇装具を自動的に装着する効果があるが、患者の個体差によらず常に同じ位置にしか脇装具を移動できない構造であるため、脇装具を脇支持位置に移動する際に脇装具が患者の体に接触する場合は、患者若しくは医師等の治療者が接触しない位置に手動で位置を調整する必要があり、実際には使いづらいという不都合があった。更に、脇アームが患者の頭部付近に突出しているため移乗空間が狭く、移乗中に患者の頭部などが脇アームと接触したり、脇アームが邪魔になり移乗動作が妨げられ移乗しづらい、着座した後も患者に対し圧迫感がありリラックスして治療を行うことができないといった不都合があった。更に又、脇アームを回転軸Oと回転軸Pを介して設けるなど、構造が複雑で高額となる等の欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2003−310339公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、移乗し易く、個体差によく対応でき、リラックスした状態で牽引治療を実施可能な牽引治療器の脇装具位置制御装置をコンパクトかつ簡潔な構成で実現し、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、患者の下体部を支持する下体シート部10と、患者の上体を支持する上体シート部13と、患者の脇部に当接する脇装具8と、患者の腰部に取着する腰装具53と、牽引治療に係る牽引力を検出する荷重検出部30と、前記脇装具8と前記腰装具53を離間させる方向に牽引力を患部に作用させて牽引治療を行う牽引手段28とを有する牽引治療器1において、前記脇装具8が取着され前記上体シート部13の裏面に回動可能に取着される基部4と、前記基部4を回動させる基部駆動部40と、前記基部駆動部40を制御する制御部24と、前記基部4を支持し前記基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成される脇装具位置制御装置46を有し、患者が前記牽引治療器1に移乗する際、前記脇装具8を移乗待機位置に移動できることを特徴とする牽引治療器の脇装具位置制御装置である。
又、荷重検出部30が、脇装具8の患者の脇下を押圧する押圧力も検出するものであり、1個の荷重検出部30が複数機能を果たす。

【発明の効果】
【0007】
本発明は、前記脇装具8が取着され上体シート部13の裏面に回動可能に取着される基部4と、前記基部4を回動させる基部駆動部40と、前記基部駆動部40を制御する制御部24と、前記基部4を支持し前記基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成される脇装具位置制御装置46を有し、患者が前記牽引治療器1に移乗する際、前記脇装具8を移乗待機位置に移動させるものであるから、
脇装具8を移乗の邪魔にならない位置まで移動させることができるため、移乗に必要なスペースを確保でき、好都合である。
又、本発明の構成は、従来技術の回転軸Pを中心とした脇アームの回動動作に該当する構造がなく、上記従来技術に比較して基部4をコンパクトな形状にすることで移乗空間を更に広くすることが可能であるため、移乗動作を妨げることがなく、治療中も患者が圧迫感を感じることなく快適に治療ができ、好都合である。
【0008】
本発明に係る荷重検出部30は、脇装具8を上方向へ移動させこの脇装具8で患者の脇下を上方向へ押圧した時、その押圧力を脇装具8のセッティングの完了として検出するものである。
この構成によれば、1個の荷重検出部30で、牽引治療における牽引力の検出と、脇装具8のセッティング完了の検出との複数機能を実行できるから、構成が簡素になり部品点数を削減し製造コストを低減でき、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例1の牽引治療器1の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1の牽引治療器1の背部から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施例1の牽引治療器1のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
移乗し易く、個体差によく対応でき、リラックスした状態で牽引治療が実施可能な牽引治療器の脇装具位置制御装置を提供する目的を、脇装具8が取着され上体シート部13の裏面に回動可能に取着される基部4と、前記基部4を回動させる基部駆動部40と、前記基部駆動部40を制御する制御部24と、前記基部4を支持し前記基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成して牽引治療器の脇装具位置制御装置を実現した。
【実施例1】
【0011】
図1乃至3に実施例1を示す。牽引治療器1は、床面にアジャスター9を介して載置される基台部3と、基台部3により支持され患者が着座する椅子部2等から構成される。
椅子部2は、患者の下体部を支持する下体シート部10と、患者の上体を支持する上体シート部13と、牽引フレーム7とからなる。
下体シート部10は、患者の腰部から下肢に及ぶ下半身を支持する座部5と、下肢受け49と、患者の腰部の裏側から左右側にかけての部位をサポートするよう略U字形状の腰部サポート部材52と、帯状部材53aで形成され患者の腰部に取着する腰装具53を有する。
上体シート部13は、背中部から頭部に及ぶ上半身を受け止める背凭れ部6と、牽引治療時に患者の両脇部に当接し、身体を支持する脇装具8が設けられた基部4とを有する。上体シート部13は、牽引フレーム7に背凭れレール14を介して設けられ、患者の背中部から頭部に及ぶ上半身を受け止める背凭れ部6と、背凭れ部6に固定される取付片37と、背凭れ部6と牽引フレーム7との間に取付けられるダンパー38及び戻しばね51とを備える。
取付片37には、背凭れレール14内を摺動するローラー39が設けられている。
【0012】
図2に示すように牽引フレーム7は背凭れ部6の裏面に、左右に設けられる。
牽引フレーム7は、下体シート部10、上体シート部13及び脇装具8等をスライド可能に支持するものである。牽引フレーム7の内側には、端面が略C字形状に形成される左右一対の背凭れレール14が設けられ、又、牽引フレーム7の内側には、脇装具レール50が設けられ、更に、牽引フレーム7の下部には、左右一対の座部レール15が設けられる。背凭れレール14は背凭れ部6を支持し、脇装具レール50は基部支持フレーム41を支持し、座部レール15は下体シート部10を支持する。
【0013】
図2に示すように、椅子部2は基台部3に支軸17で軸着されており、リクライニング手段18(=具体的にはリクライニングアクチュエータ19)により起立倒伏可能に設けられている。
リクライニングアクチュエータ19のシリンダ部20は底面部が基台部3の底板(図示省略)上に軸着されており、ロッド部21先端は連結金具12にブラケット23を介して牽引フレーム7に軸着されている。図2において伸展状態のロッド部21を収縮作動させると椅子部2全体が倒伏する方向(後方向)へリクライニング動作する。
【0014】
図2に示すように、座部5は患者が着座する部位で、座部5の裏側には、下体シート部10を支持する座部フレーム26が設けられる。座部フレーム26には複数の座部ローラー60が配設され、前記座部ローラー60は座部レール15に滑動可能に嵌合している。
【0015】
図2に示すように牽引手段28(=具体例では牽引アクチュエータ29)は伸縮する部材である。
連結金具12には牽引アクチュエータ29の推力値を検出する荷重検出部30(=具体例ではロードセル31)の一端が固着され、ロードセル31他端には牽引アクチュエータ29のシリンダ部32の底部が軸着される。牽引アクチュエータ29のロッド部33は、座部レール15の延在方向と略平行状に前後方向に延在し、先端部が座部フレーム26に固着される取付具59に軸着されている。
牽引アクチュエータ29のロッド部33を伸縮させると、座部ローラー60が座部レール15内周に沿って転動し、座部5が滑らかに上下方向(=患者の脊椎の延長方向)に往復移動する。
【0016】
制御部24は、ロードセル31にて検出される推力値に係る情報を逐次得て、牽引アクチュエータ29を制御し牽引動作を行なうものである。
制御部24は、設定された設定牽引力値を得て、ロードセル31の検出する牽引アクチュエータ29の推力値と設定された設定牽引力値とを逐次比較し、推力値が設定牽引力値に合致するよう牽引時のロッド部33の伸長作動に係る制御を行うものである。(図3参照)
【0017】
又、制御部24は、基部駆動部40(具体例では基部アクチュエータ43)を伸縮制御するものである。制御部24は、患者が移乗する前と牽引治療終了後に基部アクチュエータ43を伸長制御し、脇装具8を移乗待機位置に移動させる。又、制御部24は、牽引治療の開始直前に、基部アクチュエータ43を収縮制御し、脇装具8を上昇させて患者の脇下へ軽く当て、その際にロードセル31の検出値の変化量が所定の値(例えば2kg程度)に達すると基部アクチュエータの収縮作動を停止させ、脇装具8のセッティングを完了させる。(図3参照)
【0018】
脇装具8と腰装具53を患者に取着し、座部5を下方向へ移動させると、腰装具53を介して患者の腰部に牽引力が作用するが、該牽引治療に係る牽引力を検出する荷重検出部30(具体的にはロードセル31)が牽引フレーム7に設けられている。
ロードセル31は、上記牽引治療に係る牽引力を検出するほか、座部5に着座した患者の体重を検出すると共に、基部アクチュエータ43を収縮制御し、脇装具8を上昇させて患者の脇下へ当接した際に、ロードセル31が検出していた患者の体重値の変化量を脇装具の押圧力として検出する。
【0019】
脇装具位置制御装置46は、基部4と、基部4の回動を駆動する基部駆動部40と、基部駆動部40を制御する制御部24と、脇装具8が移乗待機位置にあるように基部4の回動をガイド及び制限するガイド部47とで構成される。
左右一対の基部4は、その先部に患者の脇に当接し身体を支持する脇装具8が取着され、その基部4は基部支持フレーム41に基部軸34で軸支される。基部4には、ピン25が基部支持フレーム41に向けて設けられる。
【0020】
図2に示すように、基部支持フレーム41は背凭れ部6の裏面の位置にあって、牽引フレーム7に移動可能に設けられる。基部支持フレーム41は複数の転動ローラー42が回転可能に設けられており、転動ローラー42は脇装具レール50の内周に沿って転動する。更に、基部支持フレーム41には長穴36が開設されており、この長穴36にピン25が嵌っており、この長穴36はピン25の移動を所定範囲に規制するものである。
【0021】
基部駆動部40(=具体例では基部アクチュエータ43)のロッド部45先端は基部支持フレーム41に軸着され、シリンダ部44は端面金具11に軸着されている。 基部アクチュエータ43は、そのロッド部45の伸縮作動に連動して基部4を滑らかに上下方向に移動させる。基部4と共に脇装具8が背凭れ部6の面と同面方向に往復移動する。
【0022】
ガイド部47は、患者が牽引治療器1に移乗する際、脇装具8を上体シート部13の外方向に移乗待機位置まで移動させるよう基部4の回動をガイド及び制限するものである。
ガイド部47は、支持具16と、付勢部材48と、基部受け具61で構成され、付勢部材48の折れ曲がり防止のため付勢部材48芯部には伸縮体57が設けられる。
【0023】
付勢部材48は、脇装具8が移乗待機位置にあるように基部4を付勢するもので、脇装具8が患者の脇腹の近傍で適宜範囲(具体的には左右脇装具8の間のスペースが350mm前後の位置)に遊動できるよう基部4を弾力支持するものである。付勢部材48は、移乗直後に、患者が自分の意志や感覚で最適な位置に脇装具8を脇に引き寄せて装着できるよう基部4を弾力支持するものである。
【0024】
牽引治療器1には、図2に示すように背凭れ部6の正面視右側面から右方向へ突出した支持アーム54に対して回転自在に支持される操作パネル部35が設けられている。
操作パネル部35には、前述した牽引力切替設定部の他、図示は省略するが、牽引治療時間を設定する治療時間設定部、牽引の持続時間を設定する持続時間設定部、牽引の休止時間を設定する休止時間設定部、牽引治療開始・一時停止スイッチ等の各種スイッチや不図示の各種表示部が設けられている。
【0025】
図1中、56は座部5に取付けられる座部カバー、58は椅子部2に取付けられる椅子部カバー、図2中、27は牽引フレーム7に固着された肘置き具である。
【0026】
次に、本発明の実施形態に係る牽引治療器1の動作について説明する。
【0027】
医師等の治療者は、患者を椅子部2に移乗させる。この時、基部4はガイド部47を構成する付勢部材48により弾性支持され、脇装具8は移乗待機位置で適宜範囲に遊動可能な状態にあり、更に、基部4はコンパクトな形状であるため、患者の移乗を妨げることはない。
患者は椅子部2に着座した後、脇装具8を脇腹の近くに(=体幹と両腕の間に)位置させ、腕を肘置き具27に置く。患者が、脇装具8を付勢部材48に抗して下降させると、脇装具8は患者の脇腹に接近する。患者が脇装具8から手を離すと、基部4が付勢部材48によって押し上げられ上昇し、脇装具8は患者の脇腹から離れる方向へ移動する。
【0028】
着座した後、腰装具53を装着する。腰部に腰装具53を巻き回し先端部同士を重ね合わせ結合し患者を座部5へ固定保持する。
次に、操作パネル部35にて設定牽引力値、牽引治療時間、牽引の持続時間、牽引の休止時間等を設定した後に牽引治療開始スイッチ(図示省略)を操作して牽引治療を開始する。
【0029】
牽引治療が開始されると、先ず、椅子部2のリクライニング動作を開始する。牽引治療器はリクライニングアクチュエータ19のロッド部21を収縮作動させて椅子部2全体を倒伏すると同時に、牽引アクチュエータ29を収縮作動させて座部5を移乗位置から牽引開始位置に移動させる。椅子部2が所定倒伏位置に至ると、一旦リクライニング動作を停止し、ロードセル31で患者の体重を測定する。その後、再度リクライニング動作を開始し、椅子部2が所定倒伏位置に至るとリクライニング動作を終了する。
【0030】
次に、制御部24は、基部アクチュエータ43のロッド部45を収縮作動させ、基部4に設けられた脇装具8を上方向に移動させ患者の両脇部に当接させる。脇装具8が脇下へ軽く当たるとロードセル31がその押圧力を検出し、制御部24はロードセル31の出力を脇装具8のセッティングの完了として認識し、基部アクチュエータ43の収縮を停止する。
【0031】
更に、牽引フレーム7にスライド可能に設けられた背凭れ部6は、リクライニング動作開始前には自重と戻しばね51の付勢力により座部5に当接しているが、リクライニング作動時に座部5を牽引開始位置まで移動させる際には、患者の頭方向にスライド可能であり患者の身体が窮屈な状態となることを防止している。
【0032】
脇装具8を患者の両脇部に当接させ、リクライニング動作を完了した後、牽引動作に移行する。
先ず、牽引アクチュエータ29のロッド部33が伸長作動し、座部レール15に沿って座部5を下方向へ移動させ、腰装具53を介して患者の腰部に牽引力を作用させる。ロードセル31は、牽引アクチュエータ29の推力値を牽引治療に係る牽引力として検出すると同時に、制御部24は、ロードセル31の検出する牽引アクチュエータ29の推力値と設定された設定牽引力値とを逐次比較し、推力値が設定牽引力値に合致するよう牽引時のロッド部33の伸長作動に係る制御を行う。
【0033】
制御部24は、ロードセル31の検出値が設定牽引力値を示すと、ロッド部33の伸長作動を停止する。
暫時後、制御部24によりロッド部33の収縮作動を開始し、牽引の休止動作(=弛緩動作)を開始する。
牽引治療は、タイマ手段(図示省略)により設定された治療時間が経過するまで牽引動作と弛緩動作を繰り返し行う。
【0034】
治療時間が経過し、タイマ手段(図示省略)により治療時間が完了したことが指示されると、制御部24はロッド部33の収縮動作の制御を行い、座部5を復元移動させて牽引動作を終了する。
その後、基部アクチュエータ43のロッド部45を伸長作動させて基部4を下限位置まで移動させ、脇装具8を初期位置へ戻す。即ち、脇装具8を脇下から離し脇腹近傍へ移動させると、ガイド部47に基部4が接し、付勢部材48で付勢され、脇装具8が移乗待機位置まで、機器の外方向に移動する。
【0035】
次にリクライニングアクチュエータ19を伸長作動させて椅子部2全体を起立すると同時に、牽引アクチュエータ29を伸長作動させて座部5を移乗位置まで移動させる。椅子部2全体が起立し、座部5が移乗位置まで移動すると、リクライニングアクチュエータ19と牽引アクチュエータ29の作動を停止し、座部5が移乗に最適な高さに保持され、患者は容易に移乗することが可能となる。このとき、背凭れ部6は、自重と戻しばね51の付勢力により下降し初期位置へ戻る。この際、背凭れ部6が急激に落下しないようにダンパー38が背凭れ部6の動作速度を規制する。
【0036】
尚、実施例1は、本発明を椅子型の牽引治療器としたが、本発明をベッド型の牽引治療器に実施することもできる。
更に、図示を省略するが、基部軸34に係る他の構成例として、基部軸34に基部回動固定機構を付加設置してもよい。基部4は基部支持フレーム41に基部軸34で軸支されているため、牽引治療中に牽引力が脇装具8に作用すると患者の脇部を締め付ける方向(基部4の回転方向)に牽引力の分力が作用し、脇装具接触部に痛みを感じたり、窮屈に感じたりするため、リラックスした状態で牽引治療を行えない場合がある。基部回動固定機構(具体例では電磁クラッチ等)は、基部軸34に設けられ、牽引治療中(1人の患者に付いて、間欠牽引力を付与し治療している間)に基部4の回動を固定可能にすることで、患者に過剰な締め付け力が作用しないようにしたものである。
上記他の構成例は、移乗後に患者が自分の意志や感覚で最適な位置に脇装具8を位置決めし、牽引治療動作を開始した後、基部4の回動を固定するため、過剰に患者の脇部を締め付ける力が作用しないようにでき、脇部の痛みが軽減されリラックスできるため、筋弛緩状態で牽引治療が行え、より高い治療効果が期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、移乗し易く、個体差によく対応でき、リラックスした状態で牽引治療を実施可能な牽引治療器の脇装具位置制御装置に適用できる。
又、基部4を支持し基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成される脇装具位置制御装置46を有し、患者が牽引治療器1に移乗する際、脇装具8を移乗待機位置まで、機器の外方向に移動させる牽引治療器の脇装具位置制御装置に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 牽引治療器
4 基部
7 牽引フレーム
8 脇装具
10 下体シート部
13 上体シート部
24 制御部
28 牽引手段
30 荷重検出部
31 ロードセル
40 基部駆動部
46 脇装具位置制御装置
47 ガイド部
53 腰装具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の下体部を支持する下体シート部10と、患者の上体を支持する上体シート部13と、患者の脇部に当接する脇装具8と、患者の腰部に取着する腰装具53と、牽引治療に係る牽引力を検出する荷重検出部30と、前記脇装具8と前記腰装具53を離間させる方向に牽引力を患部に作用させて牽引治療を行う牽引手段28とを有する牽引治療器1において、
前記脇装具8が取着され前記上体シート部13の裏面に回動可能に取着される基部4と、前記基部4を回動させる基部駆動部40と、前記基部駆動部40を制御する制御部24と、前記基部4を支持し前記基部4の回動をガイドし制限するガイド部47とで構成される脇装具位置制御装置46を有し、
患者が前記牽引治療器1に移乗する際、前記脇装具8を移乗待機位置に移動できることを特徴とする牽引治療器の脇装具位置制御装置。

【請求項2】
荷重検出部30は、脇装具8の患者の脇下を押圧する押圧力も検出することを特徴とする請求項1記載の牽引治療器の脇装具位置制御装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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