説明

現像剤および画像形成方法

【課題】 ゴースト現象の発生やキャリア飛び現象の発生、さらには電流リーク現象の発生を抑制しながら、高画質な鮮明画像を提供するハイブリッド現像装置に適した現像剤、及びかかる現像剤を用いた画像形成方法を提供する。
【解決手段】 キャリア及びトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させるための現像剤搬送体と、該搬送体よりトナーを移送してその表面にトナーの薄層を形成するための現像ロールと、該現像ロールと潜像担持体の最近接位置において現像バイアスを印加して潜像担持体の潜像現像を行うための現像装置と、を備えたハイブリッド現像装置に使用される現像剤及びそれを用いた画像形成方法であって、キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とするとともに、飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とし、かつ、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に適した現像剤およびそれを用いた画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真システムは、絶縁性トナーや導電性トナーのみを用いる1成分現像方式と、トナー及びキャリアを用いる2成分現像方式の二つに大別される。
このうち、1成分現像方式は、現像装置がコンパクトとなり、ドット再現性に優れているという利点が得られやすいものの、現像スリーブやブレードが劣化しやすく、耐久性に乏しいという問題点が見られた。
また、2成分現像方式は、キャリアを介してトナーを帯電させるため、帯電性に優れ、ベタ画像の均一性も比較的良好であって、長寿命であるものの、現像装置が大きくなったり、複雑化したり、さらには、キャリア飛びを起こしやすいという問題点が見られた。また、2成分現像方式の場合、一旦像担持体に付着したトナーが、キャリアによって引っかかれてしまい、画像欠陥が生じるという特有の問題点も見られた。
そこで、このような1成分現像方式と、2成分現像方式とを組み合わせたハイブリッド現像方式が提案されている。かかるハイブリッド現像方式とは、磁性キャリアを用いて非磁性のトナーを帯電させる構成の現像剤を使用するとともに、現像スリーブ上に、帯電させたトナーのみを担持させて、静電潜像に対して飛翔させる現像方式のことである。このハイブリッド現像方式によれば、ドット再現性に優れるとともに、長寿命化が可能であり、かつ高速画像の形成が容易である。
【0003】
このようなハイブリッド現像方式を採用した電子写真システムとして、例えば、キャリアの平均粒径を20〜45μmに制限するとともに、キャリアの比抵抗を1×108〜1×1012Ω・cmの範囲内の値に制限し、かつ、その飽和磁化を60〜100emu/gの範囲内の値に制限した方法が提案されていた(例えば、特許文献1参照)。
また、同様に、ハイブリッド現像方式を採用した電子写真システムとして、例えば、キャリアの比抵抗を1×1012〜1×1015Ω・cmの範囲内の値にするとともに、飽和磁化を20〜35emu/gの範囲内の値に制限した方法が提案されていた(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
一方、例えば、キャリア飛び対策として、キャリアの平均粒径を52〜148μmに制限するとともに、キャリアの比抵抗を7.5×107〜8.4×1013Ω・cmの範囲内の値に制限し、かつ、その飽和磁化を54〜75emu/gの範囲内の値に制限した方法が提案されていた(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特開2002−108104号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開平11−184223号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平5−66614号公報(特許請求の範囲、実施例)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、トナーの比抵抗を考慮せずに、飽和磁化の値を高くすると、キャリアが現像スリーブを強く掃くことになり、環境条件によっては、画像に掃き目模様が現れやすいという新たな問題が見られた。
また、特許文献2のように、飽和磁化の値を過度に低くすると、キャリアの穂の強度が弱くなるために、現像スリーブ上に残ったトナーを掻きとる効果が著しく低下するという問題が見られた。また、キャリアの比抵抗が高いために、高速駆動させると、ゴースト現象が発生しやすいという問題が見られた。
さらに、特許文献3のように、キャリアの平均粒径が大きい一方、キャリアの飽和磁化の値も比較的大きいことから、磁気スリーブ上においてキャリアと、トナー間における静電付着力が大きくなりやすいという問題が見られた。したがって、現像スリーブに対して十分な量のトナーが飛翔しないために、ゴースト現象の発生を効果的に制御できないという問題が見られた。
【0006】
そこで、本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、キャリアの比抵抗及び飽和磁化、並びにキャリアの平均粒径をそれぞれ所定範囲内の値に制限することにより、ハイブリッド現像装置に用いた場合であっても、ゴースト現象、キャリア飛び現象及び電流リークの発生等を抑制しながら、鮮明画像が得られることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、高画質を提供するのに適したハイブリッド現像装置で使用される現像剤およびそれを用いた画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、キャリア及びトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させるための現像剤搬送体と、該搬送体よりトナーを移送してその表面にトナーの薄層を形成するための現像ロールと、該現像ロールと潜像担持体の最近接位置において現像バイアスを印加して潜像担持体の潜像現像を行うための現像装置と、を備えたハイブリッド現像装置に使用される現像剤であって、キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とするとともに、飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とし、かつ、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とした現像剤が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、キャリアの比抵抗及び飽和磁化、並びにキャリアの平均粒径を所定範囲内の値とすることにより、ゴースト現象、キャリア飛び現象及び電流リークの発生等を抑制しながら、高画質の鮮明画像を得ることができる。
【0008】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、キャリアの平均粒径を20〜45μmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0009】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、現像剤の全体量を100重量%としたときに、トナーの含有量を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0010】
また、本発明の現像剤を構成するにあたり、トナーが、バインダー樹脂と、カーボンブラックと、を含むとともに、バインダー樹脂100重量部に対して、カーボンブラックの添加量を0.01〜30重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0011】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、キャリア及びトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させるための現像剤搬送体と、該搬送体よりトナーを移送してその表面にトナーの薄層を形成するための現像ロールと、該現像ロールと潜像担持体の最近接位置において現像バイアスを印加して潜像担持体の潜像現像を行うための現像装置と、を備えたハイブリッド現像装置に使用される現像剤であって、キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とするとともに、飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とし、かつ、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とした現像剤である。
以下、第1の実施形態の現像剤について、構成要件に分けて説明する。
【0013】
1.トナー
(1)構成
第1の実施形態に用いられるトナーは、バインダー樹脂、ワックス類、着色剤、及び電荷制御剤を含むトナー粒子と、外添剤とから基本的に構成してあることが好ましい。
【0014】
(1)−1 バインダー樹脂
第1の実施形態に用いられるトナーに使用するバインダー樹脂の種類は、特に制限されるものではないが、例えば、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレンーアクリル系共重合体、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、Nービニル系樹脂、スチレンーブタジエン樹脂等の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0015】
(1)−2 ワックス類
また、第1の実施形態に用いられるトナーに使用するワックス類は、特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、フッ素樹脂系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、パラフィンワックス、エステルワックス、モンタンワックス、ライスワックス等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0016】
また、ワックス類の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー全体量を100重量%としたときに、ワックス類の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とするのが好ましい。ワックス類の添加量が1重量%未満となると、読取ヘッドへのオフセットや像スミアリング等を効率的に防止することができない傾向があり、一方、ワックス類の添加量が5重量%を超えると、トナー同士が融着してしまい、保存安定性が低下する傾向がある。したがって、ワックス類の添加量を1〜10重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0017】
(1)−3 着色剤
また、第1の実施形態に用いられるトナーに使用する着色剤は、特に制限されるものではないが、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック、アゾ系顔料、黄色酸化鉄、黄土、ニトロ系染料、油溶性染料、ベンジジン系顔料、キナクリドン系顔料、銅フタロシアニン系顔料等を使用することが好ましい。
また、着色剤の添加量についても特に制限されるものではないが、例えば、トナー全体量を100重量%としたときに、着色剤の添加量を0.01〜30重量%の範囲内の値とするのが好ましい。
この理由は、かかる着色剤の添加量が0.01重量%未満となると、画像濃度が薄くなり鮮明な画像を得るのが困難になる傾向があるためである。一方、かかる着色剤の添加量が30重量%を超えると、定着性が低下する傾向があるためである。したがって、着色剤の添加量を0.1〜20重量%の範囲内の値とするのがより好ましい。
【0018】
(1)−4 電荷制御剤
また、第1の実施形態に用いられるトナーに、電荷制御剤を添加することも好ましい。この理由は、帯電レベルや帯電立ち上がり特性(短時間で、一定の電荷レベルに帯電するかの指標)が著しく向上し、耐久性や安定性に優れた特性等が得られるためである。
このような電荷制御剤の種類としては、特に制限されるものではないが、例えば、ニグロシン、第四級アンモニウム塩化合物、樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の正帯電性を示す電荷制御剤を使用することが好ましい。
【0019】
また、トナーの全体量を100重量%としたときに、電荷制御剤の添加量は、1.0〜10重量%の範囲内の値とするのが好ましい。この理由は、電荷制御剤の添加量が1.0重量%未満となると、トナーに対して、安定した帯電を付与することが困難となり、画像濃度が低くなったり、いわゆるカブリの原因となったり、耐久性が低下したりする場合があるためである。一方、電荷制御剤の添加量が10重量%を超えると、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる場合があるためである。
【0020】
(1)−5 外添剤
また、トナーに対して、外添剤として、例えば、凝集シリカ粒子を外部添加することが好ましい。
また、このような凝集シリカ粒子において、粒径5μm以下の割合が、全体量に対して、15%以下の値であるとともに、粒径50μm以上の割合が、3%以下の値である粒度分布を有することが好ましい。
この理由は、粒径5μm以下の凝集シリカ粒子の割合が15%を超えると、当該凝集シリカ粒子が、感光体粒子に付着しやすくなって、再凝集するとともに、比較的粒径が大きい凝集シリカ粒子の周囲に集まって、層むらの発生原因になりやすいためである。一方、粒径50μm以上の凝集シリカ粒子の割合が3%を超えると、比較的粒径が小さい凝集シリカ粒子を周囲に集めて、大凝集シリカ粒子を形成して、やはり層むらの発生原因になりやすいためである。
【0021】
したがって、このような凝集シリカ粒子のより好ましい粒度分布としては、粒径5μm以下の割合を、全体量に対して、10%以下の値とするとともに、粒径50μm以上の割合を2%以下の値とすることである。
なお、かかる凝集シリカ粒子の粒度分布は、堀場製作所(株)製のレーザ回折式粒度測定器LAー500を用いて測定することができる。
【0022】
また、このような凝集シリカ粒子の比抵抗を1×1010〜1×1016Ω・cm範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる凝集シリカの比抵抗をこのような所定値に制限することによって、トナーの搬送性を良好なものとすることができるためである。
なお、かかる凝集シリカ粒子の比抵抗は、四端子法を用いて測定することができる。すなわち、電極間に凝集シリカ粒子を挟んだ状態において、約200Kgf/cm2の荷重をかけて、凝集シリカ粒子の厚さを約1〜3mmに圧縮した後、電圧1000Vを印加した際に流れる電流を測定し、凝集シリカ粒子の比抵抗を算出することができる。
【0023】
また、トナーに、外添剤として、酸化チタンを添加することも好ましい。
また、このような酸化チタンの平均粒径を0.01〜0.50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる酸化チタンの平均粒径が0.01μm未満になると、均一に研磨効果を発揮することが困難となって、チャージアップが生じたり、高温高湿時において像流れが発生したりして、画像欠陥となる場合があるためである。一方、かかる酸化チタンの平均粒径が0.50μmを超えると、トナーにおける帯電量のばらつきが大きくなり、画像濃度低下、耐久性の低下を引き起こす場合があるためである。
したがって、酸化チタンの平均粒径を0.02〜0.4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜0.3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、酸化チタンの平均粒径は、以下のように測定した。すなわち、30,000倍〜100,000倍の倍率を適宜用い、電子顕微鏡JSMー880(日本電子データム社製)を用いて、50個の粒子の長径および短径をそれぞれ測定して、それらの平均を求めて算出した。
【0024】
また、酸化チタンの表面をチタネート系化合物(チタン系カップリング剤を含む。)により表面処理することが好ましい。
この理由は、このような表面処理を施すことにより、酸化チタンの表面に疎水性基を容易に導入することができるためである。したがって、このように表面処理された酸化チタンを使用することにより、特に高温高湿条件下におけるトナーの帯電特性が低下することを防止することができる。
ここで、好ましいチタネート系化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタン、ビニルトリメトキシチタン、ナフチルトリメトキシチタン、フェニルトリメトキシチタン、メチルトリメトキシチタン、エチルトリメトキシチタン、プロピルトリメトキシチタン、イソブチルトリメトキシチタン、オクタデシルトリメトキシチタン等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
【0025】
また、このような酸化チタンの体積固有抵抗を1×104Ω・cm以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる体積固有抵抗が1×104Ω・cm未満の値となると、高温高湿条件下での帯電特性が著しく低下する場合があるためである。ただし、酸化チタンの体積固有抵抗が過度に大きくなると、チャージアップが生じ易くなったり、低温低湿条件下での帯電特性が著しく低下したりする場合があるためである。
したがって、酸化チタンの体積固有抵抗を1×104Ω・cm〜1×107Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、5×105Ω・cm〜5×106Ω・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、酸化チタンの体積固有抵抗値は、ULTRA HIGH RESISTANCE METER(アドバンテスト社製、R8340A)を用い、電極間に酸化チタンを挟んだ状態で1kgの荷重をかけ、次いで、印加電圧DC10Vの測定条件にて算出することができる。
【0026】
また、酸化チタンの添加量を、トナー粒子100重量部に対して、0.5〜2.5重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
この理由は、かかる添加量が0.5重量部未満の値となると、研磨効果を有効に発揮することが困難になって、高温高湿条件下での帯電特性が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる添加量が7重量部を超えると、チャージアップが生じ易くなったり、低温低湿条件下での帯電特性が局部的に著しく上昇したりする場合があるためである。
したがって、酸化チタンの添加量を、トナー粒子100重量部に対して、1〜2重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、1.2〜1.6重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0027】
(2)比抵抗
また、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるトナーの比抵抗が1×1013未満の値になると、現像スリーブ及び像担持体間での電流のリークが生じる傾向があるためである。一方、トナーの比抵抗が1×1016より大きくなると、磁気スリーブ上のキャリアとトナーと静電付着力が強くなり、トナーが十分に飛翔しないため、ゴースト現象が生じる傾向があるためである。
なお、トナーの比抵抗は、後述する実施例1に記載した方法で測定することができる。
【0028】
(3)体積平均粒径
また、トナーの体積平均粒径は、特に制限されるものではないが、通常、当該体積平均粒径を3〜20μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、トナーの体積平均粒径が3μm未満となると、安定して製造が困難になる傾向があり、一方、トナーの体積平均粒径が20μmより大きくなると、高画質の画像を得るのが困難になる傾向があるためである。したがって、トナー粒径を4〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
なお、かかるトナーの粒径は外添剤が被覆されていない状態のものを測定した値であり、堀場製作所(株)製のレーザ回折式粒度測定器LAー500を用いて測定することができる。
【0029】
(4)添加量
また、現像剤の全体量を100重量%としたとき、トナーの含有量を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるトナーの含有量が0.1重量%未満の値になると、画像濃度が薄くなり、鮮明な画像を得るのが困難になる傾向があるためである。一方、トナーの含有量が20重量%より大きくなると、キャリア含有量が相対的に低くなり、トナーの帯電性が低くなる傾向があるためである。
【0030】
(5)製造方法
また、トナーの製造方法に関して、まず、上述したバインダー樹脂と、ワックス類と、着色剤と、必要に応じてその他添加剤とを、公知の方法を用いて、予備混合をした後、溶融混練を行って、トナー用樹脂組成物を調製する。次いで、得られたトナー用樹脂組成物を公知の方法を用いて微粉砕し、その後、粉級処理をしてトナー粒子を得ることが好ましい。
ここで、予備混合処理としては、例えば、ヘンシェルミキサー、ボールミル、スーパーミキサー、乾式ブレンダー等を用いて行うことが好ましい。
また、溶融混練処理としては、例えば、二軸押出機や一軸押出機等を用いて行うことが好ましい。また、微粉砕処理としては、例えば、気流式粉砕機等を用いて行うことが好ましい。さらに、分級処理としては、例えば、風力分級機等を用いて行うことが好ましい。
そして、このようにして得られたトナーを、上記外添剤等とともに公知の方法を用いて混合することによって、外添剤を含有したトナーを得る事ができる。
なお、このようなトナーと、外添剤との混合方法は、例えば、ヘンシェルミキサー等を用いて行うことができる。
【0031】
2.キャリア
(1)構成
第1の実施形態に用いられるキャリアは、キャリアコアと、かかるキャリアコアを被覆する被覆材とからなることが好ましい。
【0032】
(1)−1 キャリアコア
キャリアの一部を構成するキャリアコアとしては、磁性粉を用いることが好ましい。好ましい磁性粉の種類としては、フェライト、マグネタイト、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性を示す金属もしくは合金、またはこれらの強磁性元素を含む化合物、あるいは、強磁性元素を含まないが適当な熱処理を施すことによって強磁性を示すようになる合金等を挙げることができる。
また、このようなキャリアコアとして、ポリビニルアルコール樹脂やポリビニルアセタール樹脂等おバインダー樹脂中に、上述した磁性粉を分散させて、造粒したものを用いることも好ましい。すなわち、磁性粉と、バインダー樹脂と、必要に応じて添加剤等とを混合分散した後、造粒し、乾燥してコア素粒子を得ることができる。その後、得られたキャリアコア素粒子を公知の方法を用いて焼成、粉砕を行ってキャリアコアを得ることができる。
なお、造粒処理は、例えば、スプレードライヤー等を用いて行うことが好ましい。また、焼成処理は、例えば、電気炉や赤外ランプ等を用いて行うことができる。また、粉砕処理は、例えば、ハンマーミル等を用いて行うことが好ましい。さらに、粉砕処理後、風力分級機等を用いて分級処理を行うことが好ましい。
【0033】
(1)−2 被覆材
また、キャリアの被覆材としては、ポリエステル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂等を用いることが好ましい。
また、かかる被覆材の被覆量は、キャリアコア100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値にすることが好ましい。この理由は、かかる被覆材の添加量が0.1未満の値になると、キャリアコアを十分に被覆することができず、耐久性、帯電性が低下する傾向があるためである。一方、被覆材の添加量が20重量部よりも大きい値になると、流動性が低下したり、スペントが発生しやすくなったりする傾向があるためである。
また、かかる被覆材は、キャリアの周囲に全面又は部分的に被覆されていることが好ましい。この理由は、かかる被覆材がキャリアの周囲全面に被覆されていることにより、流動性が向上するためであり、一方、キャリアの周囲に部分的に被覆されていることにより、長期間にわたって耐久性、帯電性を維持することができるためである。
【0034】
さらに、キャリアの周囲に部分的に被覆されている場合、その被覆率を0.1〜90%の範囲内の値にすることが好ましい。また、かかる被覆率は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6380LV)及び画像解析装置(日本AVIONICS社製、EXCEL)を併用して測定することができる。すなわち、樹脂被覆したキャリア粒子の表面を走査型電子顕微鏡にて加速電圧50KV、真空度50Pa(反射)の条件のもと500倍に拡大して反射像撮影及び通常のSEM撮影を行ない、得られた二つの写真を画像解析装置に取り込んで、それらを重ね合わせて画像処理することで、被覆率を算出することができる。
【0035】
なお、キャリアの被覆材中に添加剤を用いることが好ましい。かかる添加剤としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ等の無機微粒子、または硬化剤や着色剤等が挙げられる。
また、かかる添加剤の添加量を、例えば、被覆材100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0036】
(2)製造方法
また、キャリアの製造方法としては特に制限されるものではないが、例えば、キャリアコアに対して、被覆材と、必要に応じて添加剤とをコーティングした後、解砕処理及び分級処理を行って製造することが好ましい。
例えば、コーティング処理は、噴霧法や浸漬法等を用いることが好ましく、具体的には、流動層造粒装置等を用いて行うことが好ましい。
また、解砕処理は、例えば、ハンマーミル等を用いて行うことが好ましい。さらに、粉砕処理後、風力分級機等を用いて分級処理を行うことが好ましい。
【0037】
(3)比抵抗
また、キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるキャリアの比抵抗が1×109未満の値になると、磁気スリーブと現像スリーブとの間で電流リークが生じる傾向があるためである。一方、キャリアの比抵抗が1×1012より大きくなると、磁気スリーブ上のキャリアと、トナーとの間の静電付着力が強くなる傾向があるためである。したがって、トナーが十分に飛翔しないため、ゴースト現象が生じるとともに、トナー脱離後にキャリアがトナーの逆極性の電荷を帯びるため、かかるキャリア飛びが生じる傾向があるためである。
したがって、キャリアの比抵抗を5×109〜5×1011Ω・cmの範囲内の値とすることがより好ましく、1×1010〜1×1011Ω・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、このようなキャリアの比抵抗は、後述する実施例1に記載した方法で測定することができる。
【0038】
(4)飽和磁化
また、キャリアの飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかるキャリアの飽和磁化が36emu/g未満の値になると、キャリアの穂の強度が弱くなるため、ゴースト現象及びキャリア飛びが発生する傾向があるためである。一方、キャリアの飽和磁化が60emu/gより大きくなると、キャリアの穂の強度が強くなりすぎ、現像スリーブ上を掃いてしまうため画像に掃き目をつける可能性があるためである。
なお、キャリアの飽和磁化は、後述する実施例1に記載した方法で測定することができる。
【0039】
[第2の実施形態] 第2の実施形態は、キャリア及びトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させるための現像剤搬送体と、該搬送体よりトナーを移送してその表面にトナーの薄層を形成するための現像ロールと、該現像ロールと潜像担持体の最近接位置において現像バイアスを印加して潜像担持体の潜像現像を行うための現像装置と、を備えたハイブリッド現像装置に使用される現像剤であって、キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とするとともに、飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とし、かつ、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とした現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法である。
【0040】
以下、図1及び図2を参照しながら、第1の実施形態において既に説明した内容は省略し、第2の実施形態として、ハイブリッド現像装置で使用される現像剤を用いた画像形成装置の構成及び画像形成方法について中心に説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施例1による現像装置が用いられるカラー画像形成装置の一例を示す図である。このカラー画像形成装置20は、無端状ベルト(搬送ベルト)21を備えており、この無端状ベルト21は給紙カセット22から給紙された記録紙を定着装置23に向かって搬送するように構成されている。また、無端状ベルト21の上側には、ハイブリッド現像装置であるブラック用現像装置24a、イエロー用現像装置24b、シアン用現像装置24c、及びマゼンタ用現像装置24dが、それぞれ記録紙の搬送方向に沿って配置されている。また、これらハイブリッド現像装置24a〜24dには、それぞれ供給ローラ(磁気ローラ)25a〜25d及び現像ローラ26a〜26dが備えられており、現像ローラ26a〜26dに対して、ハイブリッド現像方式によって、トナー薄層を形成することができる。
【0042】
また、現像ローラ26a〜26dに対面して、それぞれ像担持体である感光体ドラム27a〜27dが配置されている。また、これら感光体ドラム27a〜27dの周囲には、それぞれ帯電器28a〜28d及び露光装置29a〜29d等が配置されている。そして、感光体ドラム27a〜27dが、帯電器28a〜28dによって帯電された後、画像データに応じて、露光装置29a〜29dにより感光体ドラム27a〜27dを露光する。このようにして、感光体ドラム27a〜27d上に、静電潜像が形成される。次いで、現像ローラ26a〜26dによって、感光体ドラム27a〜27d上の静電潜像が現像されて、各色トナー像が形成される。
また、無端状ベルト21で搬送されてくる記録紙上に、順次、転写装置30a〜30dによって各色トナー像が転写されて、カラートナー像が形成される。その後、記録紙は定着装置23に送られて、ここでカラートナー像が定着されて、排紙経路を介して記録紙が排紙される。
【0043】
次いで、図2を参照しながら、ハイブリッド現像装置24aを例にとって、より詳細に説明する。
かかるハイブリッド現像装置24aは、磁気ローラ(供給ローラ)25a及び現像ローラ26aを備えており、このうち、磁気ローラ25aは、非磁性金属材料で円筒状の回転スリーブ31aとその内部に配置された固定磁石体31bとを有し、固定磁石体31bには複数の磁極が形成されている。また、これら磁気ローラ25a及び現像ローラ26aは現像容器32中に配置されている。そして、現像ローラ26aに対して、直流(DC)バイアス電源33aからDCバイアスVdc1が印加されるとともに、交流(AC)バイアス電源33bから交流バイアスVacが印加されるように構成されている。さらにまた、磁気ローラ25aには、直流(DC)バイアス電源34からDCバイアスVdc2が印加されるように構成されている。そして、これらバイアス電源33a及び34は、図示しない制御装置によって制御されている。
【0044】
また、現像容器32中には、パドルミキサー35及び攪拌ミキサー36が備えてあり、パドルミキサー35及び攪拌ミキサー36との間には、仕切板37が配置されている。そして、現像容器32中の2成分現像剤は、攪拌ミキサー36によって攪拌搬送されつつ帯電する。そして、パドルミキサー35によって現像剤が攪拌帯電されつつ、磁気ローラ25aに供給される。また、磁気ローラ25aに対面して、穂切りブレード(層厚規制ブレード)38が設けられており、この層厚規制ブレード38によって磁気ローラ25aに形成される磁気ブラシの高さが規制される。なお、仕切板37は、その長手方向(現像ローラ26aの軸方向)長さが現像容器32の幅より短く、仕切板37の両端側で現像剤が自由に通過できるようになっている。
【0045】
そして、DCバイアス(Vdc2)と、DCバイアス(Vdc1)との電位差の絶対値((Vdc2)−(Vdc1))(以下、デルタ値と表す)に応じて、現像ローラ26a上のトナー層厚が規制される。例えば、かかるデルタ値を大きくすると、現像ローラ26a上のトナー薄層が厚くなり、逆にデルタ値を小さくすると、トナー薄層が薄くなる。
したがって、このようにトナー薄層の厚さが制御された状態において、感光体ドラム27aと現像ローラ26aとの電位差に応じて、現像ローラ26a上のトナー薄層からトナーが感光体ドラム27a上に形成された静電潜像に飛翔して、ハイブリッド現像が行われる。
すなわち、このようなハイブリッド現像装置の構成下、使用する現像剤において、キャリアの比抵抗及び飽和磁化、並びにキャリアの平均粒径をそれぞれ所定範囲内の値に制限することにより、ゴースト現象、キャリア飛び現象及び電流リークの発生等を抑制しながら、鮮明画像を得ることができる。
なお、ゴースト現象とは、図3(a)に示すように、矩形黒ベタのソリッド画像11に続けて、ソリッド画像11より広いハーフトーン画像12を印刷した際、残像部分(ゴースト)13が生じる現象である。すなわち、現像ローラ上に、トナーの消費領域と、非消費領域とが生じてしまうことに起因して、図3(b)に示すように、ハーフトーン画像12中に残像部分(ゴースト)13が生じる現象である。
【実施例】
【0046】
1.各種トナーの合成
(1)トナーAの合成方法
ポリエステル(数平均分子量:4300、重量平均分子量:9800、Tg=58℃)90重量部と、フィッシャートロプシュワックス(日本精鑞製)3重量部と、カーボンブラックPr−90(キャボット製)9.5重量部とを、ヘンシェルミキサーを用いて、3000rpm、55℃以下、10分の条件で混合した。その後、2軸押出機を用いて溶融混練し、トナー用樹脂組成物を調整した。得られたトナー用樹脂組成物に対して、気流式粉砕を用いて微粉砕し、さらに風力分級機を用いて分級処理して、体積平均粒子径が9μmのコア材を得た。次いで、平均粒径20nmの疎水化度60、比抵抗値1012Ω・cmのシリカ微粒子をコア材に対する被覆率が80%となるように、前述のコア材に添加し、ヘンシェルミキサー3000rpmを用いて、10分間、混合してトナーAを作成した。なお、トナーAの比抵抗値は4.6×1014Ω・cmであった。
【0047】
また、トナー粒子に対するシリカ微粒子の被覆率は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6380LV)にて測定した。すなわち、樹脂コートで被覆したキャリア粒子の表面を走査型電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−6380LV)にて加速電圧50KV、真空度50Pa(反射)の条件のもと500倍に拡大して反射像撮影及び通常のSEM撮影を行ない、得られた二つの写真を画像解析装置(日本AVIONICS社製、EXCEL)に取り込んで、それらを重ね合わせて画像処理することで、被覆率を算出した。
なお、疎水化度とは、メタノール滴定試験により測定されたものである。すなわち、水50ml中に添加されたシリカ微粒子0.2gの全量が湿潤されるまで、溶液を攪拌しながらビュレットよりメタノールを滴下して滴定し、その終点でのメタノールと水の混合物中に含まれるメタノール(%)により表される値をいう。
【0048】
(2)トナーBの合成方法
カーボンブラックの添加量を11重量部とした以外は、トナーAと同様に作成した。比抵抗値は2.8×1013Ω・cmであった。
【0049】
(3)トナーCの合成方法
カーボンブラックの添加量を8.5重量部とした以外はトナーAと同様に作成した。比抵抗値は7.8×1015Ω・cmであった。
【0050】
(4)トナーDの合成方法
カーボンブラックの添加量を11.5重量部とした以外はトナーAと同様に作成した。比抵抗値は5.4×1012Ω・cmであった。
【0051】
(5)トナーEの合成方法
カーボンブラックの添加量を8重量部とした以外はトナーAと同様に作成した比抵抗値は1.7×1016Ω・cmであった。
【0052】
2.トナー比抵抗測定
トナーの比抵抗測定は、200Kgf/cm2の荷重をかけてφ20mm、厚さ1mmのペレットにし、その後、電極でペレットを挟んで、電圧を印加し、流れる電流を測定してトナーの比抵抗とした。なお、測定条件としては、荷重180g、測定電界強度を2×104V/mとした。
【0053】
3.各種キャリアの合成及び評価
(1)キャリア製造例A
CuOを20重量部、ZnOを15重量部、Fe23を65重量部、乾式ボールミルに充填し、120rpmの回転条件で2時間粉砕混合した。次いで、ロータリーキルンを用いて、800℃、2時間の条件で焼成した。得られた磁性粉粒につき、ボールミルを用いて、120rpmの回転条件で2時間粉砕し、その後、ポリビニルアルコール(PVA−235:クラレ社)を10重量部添加し、スプレードライヤーを用いて造粒した。その後、電気炉において1200℃、20時間の条件で焼成し、さらにハンマーミルを用いて粉砕して、キャリアコアを得た。
このように作成したキャリアコアに対し、シリコーン樹脂(SR2115、東レシリコーン社製)20重量部と、酸化チタン(EC−100、チタン工業製)2重量部と、を流動層造粒装置を用いて、180℃、3時間の条件でキャリアコアにコーティングをした。その後ハイブリタイザーを用いて解砕し、さらにディスパージョンセパレータを用いて、篩い分けを行い、比抵抗値2.5×1010Ω・cm、飽和磁化47emu/gのキャリア粒子Aを得た。
なお、キャリアの比抵抗については、セルにキャリア粒子を充填し、該充填キャリアに接するように電極を配し、該電極間に電圧を印加した際に流れる電流を測定し、キャリアの比抵抗値を算出した。すなわち、比抵抗の測定条件としては、充填キャリアと電極との間の接触面積を約2.3cm2、厚みを0.5mm、荷重180g、測定電界強度を2×104V/mとした。
また、キャリアの飽和磁化の測定は、振動磁力計VSM-3S-15(東英工業製)により、1Kエルステッド下において行い、その磁化量を飽和磁化とした。
【0054】
(2)キャリア製造例B
酸化チタン3重量部を添加した以外はキャリア製造例Aと同様に行い、比抵抗値3.1×109Ω・cm、飽和磁化47emu/gのキャリア粒子Bを得た。
【0055】
(3)キャリア製造例C
酸化チタン1重量部を添加した以外はキャリア製造例Aと同様に行い、比抵抗値7.1×1011Ωcm、飽和磁化47emu/gのキャリア粒子Cを得た。
【0056】
(4)キャリア製造例D
酸化チタン5重量部を添加した以外はキャリア製造例Aと同様に行い、比抵抗値6.9×108Ω・cm、飽和磁化47emu/gのキャリア粒子Dを得た。
【0057】
(5)キャリア製造例E
酸化チタンを添加しなかった以外はキャリア製造例Aと同様に行い、比抵抗値2.2×1012Ω・cm、飽和磁化47emu/gのキャリア粒子Eを得た。
【0058】
(6)キャリア製造例F
原材料の配合をCuOが15重量部、ZnOが10重量部、Fe23が75重量部とし、ボールミルにて2時間粉砕、混合した事以外は製造例Aと同様に行い、比抵抗値2.5×1010Ω・cm、飽和磁化38emu/gのキャリアFを得た。
【0059】
(7)キャリア製造例G
原材料の配合をCuOが20重量部、ZnOが20重量部、Fe23が60重量部とし、ボールミルにて2時間粉砕、混合した事以外は製造例Aと同様に行い、比抵抗値2.5×1010Ω・cm、飽和磁化55emu/gのキャリアGを得た。
【0060】
(8)キャリア製造例H
原材料の配合をCuOが15重量部、ZnOが5重量部、Fe23が80重量部とし、ボールミルにて2時間粉砕、混合した事以外は製造例Aと同様に行い、比抵抗値2.5×1010Ω・cm、飽和磁化30emu/gのキャリアHを得た。
【0061】
(9)キャリア製造例I
原材料の配合をCuOが20重量部、ZnOが30重量部、Fe23が50重量部とし、ボールミルにて2時間粉砕、混合した事以外は製造例Aと同様に行い、比抵抗値2.5×1010Ω・cm、飽和磁化63emu/gのキャリアIを得た。
【0062】
4.ゴースト現象の評価
ゴースト現象の評価として、得られた現像剤をカラープリンターLS−5016(京セラミタ製)にセットし、原稿濃度100%で画像形成を行った。その後、すぐに原稿濃度25%でベタ画像を出力し、濃度100%で画像形成を行ってからちょうど現像スリーブが一回転した箇所の濃度、および25%ベタ画像の濃度を反射濃度センサー(SpectroEye GretagMacbeth社製)によりそれぞれ測定し、その濃度差を求めた。得られた濃度差から、下記基準に準じてゴースト現象を評価した。
【0063】
◎:0.01%未満
○:0.01〜0.015%
△:0.016〜0.018%
×:0.019%以上
【0064】
5.リーク性評価
リーク性については画像濃度100%のベタ画像を出力し、目視で確認を行うことにより評価した。すなわち、かかる画像濃度100%のベタ画像に白い箇所がある場合は評価を×で示し、白い箇所がない場合は評価を○にした。
【0065】
6.キャリア飛び評価
キャリア飛びについては画像濃度100%のベタ画像を出力し、目視で確認を行うことにより評価した。すなわち、かかる画像濃度100%のベタ画像に白い箇所がある場合は評価を×で示し、白い箇所がない場合は評価を○にした。
【0066】
[実施例1]
トナーAとキャリアAをトナー濃度が10%となるように配合し、ボールミルにより均一に攪拌混合して現像剤とした。
この現像剤をカラープリンターLS−5016(京セラミタ製)を用いて感光体の表面電位を200V、磁気スリーブの表面電位を200V、現像スリーブの表面電位を50V、感光体と現像スリーブの間に印加する交流電圧を周波数2.4KHz、ピーク電圧1.3KVに設定して画像形成を行い、上述したゴースト現象の評価、リーク性評価、及びキャリア飛び評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
[実施例2〜3]
実施例2〜3においては、トナーB〜Cを用いたこと以外は、実施例1と同様に、ゴースト現象等の評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0068】
[実施例4〜7]
実施例4〜7においては、キャリアB、C、F、Gを用いたこと以外は、実施例1と同様に、ゴースト現象等の評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0069】
[比較例1〜2]
比較例1〜2においては、トナーD〜Eを用いたこと以外は、実施例1と同様に、ゴースト現象等の評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0070】
[比較例3〜6]
比較例3〜6においては、キャリアD、F、H、Iを用いたこと以外は、実施例1と同様に、ゴースト現象等の評価を行った。得られた結果を表1にそれぞれ示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1に示す結果から理解されるように、実施例1〜7においては、キャリアの比抵抗が1×109〜1×1012Ω・cm、飽和磁化が36〜60emu/gであり、トナーの比抵抗が1×1013〜1×1016Ω・cmである現像剤を用いたので、ゴーストの発生が抑制され、リークやキャリア飛びのない良好な画像が得られた。
一方、比較例1においては、トナーの比抵抗が5.4×1012Ω・cmと小さいので、リークが発生した。
また、比較例2においてはトナーの比抵抗が1.7×1016Ω・cmと大きいのでキャリアとトナーとの静電付着力が強くなり、トナーが現像スリーブに十分に供給できず、ゴーストが発生した。
また、比較例3においては、キャリアの比抵抗が6.9×108Ω・cmと小さいので、リーク及びキャリア飛びが発生した。
また、比較例4においては、キャリアの比抵抗が2.2×1012Ω・cmと大きいのでキャリアとトナーとの静電付着力が強くなり、トナーが現像スリーブに十分に供給できず、ゴーストが発生した。また、トナー脱離後の逆帯電によるキャリア飛びが起こった。
また、比較例5においては、キャリアの飽和磁化が30emu/gと小さいので、キャリアの穂が弱く、ゴーストが発生し、且つキャリア飛びが起こった。
さらに、比較例6においてはキャリアの飽和磁化が63emu/gと大きいのでゴーストは現れなかったが、キャリアが現像スリーブを強く掃き、画像に掃き目の模様が現れた。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】画像形成装置を説明するために供する図である。
【図2】画像形成装置における現像器を説明するために供する図である。
【図3】ゴースト現象を説明するために供する図である。
【符号の説明】
【0074】
11:矩形黒ベタのソリッド画像
12:ソリッド画像11より広いハーフトーン画像
13:残像部分(ゴースト)
20:画像形成装置
21:無端状ベルト(搬送ベルト)
22:給紙カセット
23:定着装置
24a:ブラック用現像装置
24b:イエロー用現像装置
24c:シアン用現像装置
24d:マゼンダ用現像装置
25a〜25d:供給ローラ(磁気ローラ)
26a〜26d:現像ローラ
27a〜27d:感光体ドラム
28a〜28d:帯電器
29a〜29d:露光装置
30a〜30d:転写装置
31a:回転スリーブ
31b:固定磁石
32:現像器
33a:直流(DC)バイアス電源
33b:交流(AC)バイアス電源
34:直流(DC)バイアス電源
35:パドルミキサー
36:攪拌ミキサー
37:仕切板
38:穂切りブレード(層厚規制ブレード)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア及びトナーからなる現像剤を磁気保持しながら帯電させるための現像剤搬送体と、該搬送体よりトナーを移送してその表面にトナーの薄層を形成するための現像ロールと、該現像ロールと潜像担持体の最近接位置において現像バイアスを印加して潜像担持体の潜像現像を行うための現像装置と、を備えたハイブリッド現像装置に使用される現像剤であって、
前記キャリアの比抵抗を1×109〜1×1012Ω・cmの範囲内の値とするとともに、飽和磁化を36〜60emu/gの範囲内の値とし、かつ、トナーの比抵抗を1×1013〜1×1016Ω・cmの範囲内の値とすることを特徴とする現像剤。
【請求項2】
前記キャリアの平均粒径を20〜45μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載の現像剤。
【請求項3】
前記現像剤の全体量を100重量%としたときに、前記トナーの含有量を0.1〜20重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像剤。
【請求項4】
前記トナーが、バインダー樹脂と、カーボンブラックと、を含むとともに、前記バインダー樹脂100重量部に対して、前記カーボンブラックの添加量を0.01〜30重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像剤。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれか一項に記載の現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−284786(P2006−284786A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−102990(P2005−102990)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】