説明

現像装置の組立方法及びプロセスカートリッジの組立方法

【課題】組立時に噛み込まれたシール部材を噛み込まれていない状態に復帰させることを目的とする。
【解決手段】シール部材30を円筒状突起143の内部空間に配置させるシール部材30の配置工程と、駆動力伝達部材20を円筒状突起143の内部空間に差し込み、シール部材30の中心孔に駆動力伝達部材20の被シール部201を嵌めると共に、駆動力伝達部材20の先端を、貫通孔142を突き抜けさせてトナー収納容器14の内部に到達させる駆動力伝達部材20の差込工程と、駆動力伝達部材20を、正逆回転させつつ差し込み方向と当該差し込み方向とは反対の戻し方向とに移動させることを繰り返し行わせる駆動力伝達部材20の移動工程と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置の組立方法及びプロセスカートリッジの組立方法に関するものである。
ここで、現像装置やプロセスカートリッジが用いられる電子写真画像形成装置とは、電子写真画像形成方式を用いて記録媒体に画像を形成するものである。そして、電子写真画像形成装置としては、例えば、電子写真複写機、電子写真プリンタ(例えば、レーザビームプリンタ、LEDプリンタ等)、ファクシミリ装置及びワードプロセッサ等が含まれる。
プロセスカートリッジとは、電子写真感光体ドラムと、帯電装置、現像装置及びクリーニング装置と、を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に対して着脱可能とするものである。又は、プロセスカートリッジとは、電子写真感光体ドラムと、少なくとも現像装置と、を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱可能とするものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置においては、電子写真感光体及び電子写真感光体に作用する現像装置等のプロセス手段を一体的にカートリッジ化し、このカートリッジを電子写真画像形成装置本体に着脱可能とするプロセスカートリッジ方式が採用されている。このプロセスカートリッジ方式によれば、装置のメンテナンスをサービスマンによらずユーザ自身で行うことができるため、格段に操作性を向上させることができる。このため、プロセスカートリッジ方式は電子写真画像形成装置において広く用いられている。
このようなプロセスカートリッジ(以下、カートリッジという)では、現像装置の内部或いはクリーニング装置の内部に現像剤を攪拌・搬送する手段(以下、攪拌部材という)を配置したものが実用化されている。このような攪拌部材は、これの一端に連結された駆動力伝達部材を介して、現像装置の外部に配置された駆動入力手段から回転駆動力が伝達される。駆動力伝達部材は、現像装置の壁を貫通する貫通孔を通って現像装置の外部から内部へ挿通される。このため、駆動力伝達部材を突き抜けさせた貫通孔から現像剤が漏れることを防止するシール部材が現像装置の外側に配置される。貫通孔から現像剤が漏れることを防止するシール部材としては、従来、リップ形状を有した弾性部材で構成された弾性シールや、羊毛フェルトを用いたフェルトシールが用いられてきた。より安価なシール部材として、発泡性のスポンジシール部材を用いているものもある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−70245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、組立時に駆動力伝達部材がシール部材を圧縮しながらシール部材及び貫通孔に差し込まれる。このとき、シール部材の駆動力伝達部材に接触する側が差し込み方向に引きずられ、シール部材の一部は、現像装置の壁に設けられた貫通孔と貫通孔に通される駆動力伝達部材との間の隙間に噛み込んでしまう場合があった。これにより、攪拌部材を動作させる作動時の攪拌駆動トルクが上昇してしまうといった問題があった。
本発明は、組立時に噛み込まれたシール部材を噛み込まれていない状態に復帰させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明は、
現像剤の収納容器と、
前記収納容器の内部の現像剤を攪拌する攪拌部材と、
前記攪拌部材に攪拌動作を行わせるための回転駆動力を前記収納容器の外部から伝達する、軸部を有する伝達部材と、
前記収納容器の外部と内部を仕切る壁に設けられ、前記伝達部材を外部から内部へ挿通させる貫通孔と、
前記壁の前記収納容器の外部側において前記貫通孔の周りを囲み、前記貫通孔の孔径よりも内径の大きい円筒状突起と、
前記円筒状突起の内側に配置され、前記収納容器の内部の現像剤が前記貫通孔から漏れることを防止するシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記軸部が中心孔に嵌る円筒状のシール部材であり、前記シール部材の外周面が前記円筒状突起の内周面に接触し、前記シール部材の内周面が前記軸部の外周面に接触することでシールを行う現像装置を組み立てる組立方法であって、
i)前記シール部材を前記円筒状突起の内側に配置させる配置工程と、
ii)前記伝達部材を前記円筒状突起の内側に差し込み、前記シール部材の中心孔に前記軸部を嵌めると共に、前記伝達部材の先端を、前記貫通孔を突き抜けさせて前記収納容器の内部に到達させる差込工程と、
iii)前記伝達部材を、正逆回転させつつ差し込み方向と当該差し込み方向とは反対の
戻し方向とに移動させることを繰り返し行わせる移動工程と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、組立時に噛み込まれたシール部材を噛み込まれていない状態に復帰させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1に係る画像形成装置の概略構成図
【図2】実施例1に係る現像装置の概略構成図
【図3】実施例1に係るトナー収納容器の概略構成図
【図4】実施例1に係る現像装置の組立方法の説明図
【図5】実施例1に係る現像装置の組立方法の説明図
【図6】実施例1に係る移動工程の説明図
【図7】実施例1に係る移動工程の説明図
【図8】実施例2に係る移動工程の説明図
【図9】実施例3に係る移動工程の説明図
【図10】実施例3に係る移動工程の説明図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0009】
<実施例1>
[電子写真画像形成装置]
まず、プロセスカートリッジ(以下、カートリッジという)Bを着脱可能な電子写真画像形成装置(以下、画像形成装置という)Aについて、図1を参照して説明する。図1(
a)に本例に係る画像形成装置Aの構成を示す。図1(b)に本例に係る画像形成装置Aに着脱可能なカートリッジBの断面を示す。ここで、画像形成装置Aとして、電子写真式のレーザビームプリンタを例にとって説明する。
画像形成装置Aは、帯電ローラ8によって帯電されたドラム形状の電子写真感光体(電子写真感光体ドラム、以下、感光体ドラムという)7に対して、光学装置1から画像情報に応じたレーザ光を照射する。光学装置1は、レーザダイオード、ポリゴンミラー、レンズ、及び反射ミラーを有する。これにより感光体ドラム7に画像情報に応じた静電潜像が形成される。この静電潜像を現像装置19の現像剤(以下、トナーという)を用いて現像することで、感光体ドラム7上に可視像、即ちトナー像が形成される。
一方、トナー像の形成と同期して、給紙カセット3aにセットした記録媒体2をピックアップローラ3b、搬送ローラ対3c,3d,3eで転写位置へと搬送する。転写位置には、転写装置としての転写ローラ4が配置されており、転写ローラ4に電圧を印加することによって、感光体ドラム7上のトナー像を記録媒体2に転写する。
トナー像の転写を受けた記録媒体2は、搬送ガイド3fを介して定着装置へと搬送される。定着装置は、駆動ローラ5a及びヒータを内蔵した定着ローラ5bを有し、通過する記録媒体2に熱及び圧力を印加して転写されたトナー像を記録媒体2上に定着する。
記録媒体2は、その後、排出ローラ対3g,3hで搬送され、反転経路3iを経由して排出トレイ6へと排出される。この排出トレイ6は、画像形成装置Aの上面に設けられている。尚、揺動可能なフラッパ3jを動作させ、反転経路3iを介することなく記録媒体2を排出することもできる。
【0010】
[プロセスカートリッジ]
次に、図1(b)を用いてプロセスカートリッジBについて説明する。本例に係るカートリッジBは、感光体ドラム7の周囲に帯電ローラ8、現像装置19、及びクリーニング装置17を配置し、これらを枠体に一体的に組み込んでユニットとして構成されており、画像形成装置Aに対して着脱される。
尚、本発明のプロセスカートリッジBの組立方法を適用できるプロセスカートリッジは、本例のカートリッジBに限られない。プロセスカートリッジとしては、電子写真感光体ドラムと、電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で現像する現像装置と、を有し、電子写真画像形成装置本体に着脱可能なものであればよい。
カートリッジBは、感光体ドラム7を回転させ、その表面を帯電ローラ8への電圧印加によって一様に帯電する。次いで光学装置1からの画像情報に応じたレーザ光を感光体ドラム7へ照射して静電潜像を形成する。静電潜像は、トナーを用いて現像装置19によって現像される。現像装置19は、トナー収納容器14内のトナーTを、回転可能な攪拌部材15で送り出し、マグネットローラ10を内蔵した現像剤担持体である現像スリーブ11を回転させてトナーを搬送する。現像ブレード9によって摩擦帯電電荷を付与したトナー層を現像スリーブ11の表面に形成し、トナー層のトナーを静電潜像に応じて感光体ドラム7へ移転させることによってトナー像を形成する。感光体ドラム7のトナー像は、記録媒体2に転写される。記録媒体2にトナー像を転写後、感光体ドラム7に残ったトナーはクリーニングブレード12で掻き落とされ、廃トナー収納部13に除去される。
【0011】
[現像装置]
次に、図2(a)を用いて本例に係る現像装置19について説明する。尚、本例では現像装置19は、カートリッジBに設けられているが、本発明としてはこれに限られず、現像装置が単体で設けられるものでもよい。カートリッジBに設けられた現像装置19は、トナーTを収納するトナー収納容器14を有する。トナー収納容器14が、本発明の現像剤の収納容器に対応する。トナー収納容器14内には、回転可能に支持された攪拌部材15を有する。攪拌部材15は、トナー収納容器14の内部のトナーTを攪拌する。
また、トナーTが感光体ドラム7へ移転させる現像室16を有する。現像室16には、マグネットローラ10を内蔵した現像剤担持体である現像スリーブ11と、現像スリーブ
11上にトナー層を形成する現像ブレード9とが配置されている。
現像スリーブ11は、アルミニウム合金やステンレス鋼材で構成された非磁性スリーブであり、現像室16内の側壁に回転可能に支持されている。尚、現像スリーブ11の表面は、所望量のトナーTが搬送できるように適切な表面粗さに加工されている。
現像ブレード9は、現像スリーブ11の表面上のトナー層規制を行うため、例えばウレタンゴムやシリコーンゴム等の弾性部材9aを支持板金9bに固定して構成されており、現像スリーブ11に所定の圧力で当接している。
このような構成により、マグネットローラ10の磁力によって現像スリーブ11に引き付けられたトナーTは、現像スリーブ11と現像ブレード9との間の摺擦によって摩擦帯電及び層規制され、適切な電荷を与えられて現像領域へと搬送される。
【0012】
[トナー収納容器]
次に図2、図3を用いて攪拌部材15及び発泡材からなるシール部材30について説明する。図2(b)に本例に係るトナー収納容器14の斜視を示す。図3に攪拌部材15へ回転駆動力を伝達する構成を示す。
トナー収納容器14は、内部にトナーTを攪拌する攪拌部材15を有する。攪拌部材15には、当該攪拌部材15に攪拌動作を行わせるための回転駆動力をトナー収納容器14の外部から伝達する、軸部としての被シール部201を有する駆動力伝達部材20が連結される。駆動力伝達部材20が、本発明の伝達部材に対応する。トナー収納容器14の枠体を構成する仕切り壁141が、トナー収納容器14の外部と内部を仕切っている。この仕切り壁141には、貫通孔142が設けられている。駆動力伝達部材20は、貫通孔142を突き抜けて、トナー収納容器14の外部から内部へ挿通されている。駆動力伝達部材20を突き抜けさせた貫通孔142は、外部側からシール部材30でシールされている。
【0013】
攪拌部材15は、ポリアセタール等の樹脂で構成される攪拌棒31に、シート状の攪拌シート32が一体的に取り付けられている。
駆動力伝達部材20はギア部202、嵌合部203、被シール部201、及び攪拌部材連結部204で構成されている。ギア部202の中心には嵌合部203よりも大径の大径部が設けられている。嵌合部203は、大径部から一段小径になっている。被シール部201は、嵌合部203から一段小径になっている。攪拌部材連結部204は、被シール部201から一段小径になり、トナー収納容器14のトナー収納部14bの内部に臨んでいる。トナー収納部14bの内部に臨む攪拌部材連結部204には、攪拌棒31の一端311が支持され、攪拌棒31の他端312はトナー収納容器14の攪拌部材支持部145に回転自在に支持されている。被シール部201が、本発明のシール部材が嵌る軸部に対応する。駆動力伝達部材20は、不図示のギア列から回転駆動力が入力されると、当該回転駆動力をギア部202で受け、攪拌部材連結部204を介して攪拌部材15が回転し、トナー収納容器14の内部のトナーTを現像室16に送り出す。
図3に示すように、貫通孔142の周りにおける仕切り壁141のトナー収納容器14の外部側には、シール部材30を貫通孔142の孔径よりも内径の大きい内部空間に保持する円筒状突起143が形成されている。円筒状突起143は、駆動力伝達部材20が突き抜ける貫通孔142と同軸に形成されており、駆動力伝達部材20の回転軸方向と円筒状突起143の軸方向とが一致している。この円筒状突起143の内部空間を形成する内周面である軸受部144により駆動力伝達部材20の嵌合部203が回転可能に支持されている。
シール部材30は、発泡ウレタンシール部材であり、トナー収納容器14の内部に収納されたトナーTの貫通孔142からの漏れを防止するため、円筒状突起143の内部空間に圧入され、固定されている。シール部材30は中空の円筒状をしており、中心孔に駆動力伝達部材20の被シール部201が嵌る。シール部材30の外周面は、円筒状突起143の内周面の全周にわたって接触する。一方、シール部材30の中心孔を形成する内周面
は、駆動力伝達部材20の被シール部201の外周面に全周にわたって接触する。これにより、トナーTのシールを行う。これらシール部材30の内周部には、グリースが塗布されている。
【0014】
[組立方法]
次に、攪拌部材15、シール部材30、及び駆動力伝達部材20をトナー収納容器14へ組み付ける現像装置19の組立方法について、図4、図5を用いて説明する。
図4(a)にシール部材30を円筒状突起143の内部空間に配置するシール部材30の配置工程を示す。シール部材30の配置工程では、まず、図4(a)に示すように、シール部材30が円筒状突起143の内部に圧入されて配置される。
図4(b)に攪拌部材15をトナー収納容器14の内部に配置する攪拌部材15の配置工程を示す。シール部材30の圧入後、攪拌部材15の配置工程では、図4(b)に示すように、攪拌部材15は、攪拌棒31の一端311をトナー収納容器14の貫通孔142付近に位置させ、他端312を攪拌部材支持部145に支持されるように配置される。
図5(a)に駆動力伝達部材20を円筒状突起143の内部空間に差し込む駆動力伝達部材20の差込工程を示す。攪拌部材15の配置後、駆動力伝達部材20の差込工程では、図5(a)に示すように、駆動力伝達部材20が、先端となる攪拌部材連結部204から、トナー収納容器14の円筒状突起143の内側に差し込まれる。これにより、駆動力伝達部材20の被シール部201が、シール部材30の中心孔に嵌まり、駆動力伝達部材20の先端である攪拌部材連結部204が、貫通孔142を突き抜けてトナー収納容器14の内部に到達して攪拌部材15に連結される。
【0015】
ところで、図5(b)にシール部材30の一部が貫通孔142と貫通孔142に通された駆動力伝達部材20との間の隙間に噛み込んでしまった状態を示す。攪拌部材連結部204が攪拌部材15に連結された際、シール部材30の角部301及び302が、差し込まれる駆動力伝達部材20の先端部や段差部205によって差し込み側へ引きずられることがある。これにより、図5(b)に示すように、シール部材30の角部302を中心とする一部が、貫通孔142と駆動力伝達部材20との間に噛み込んでしまうことがあった。シール部材30の一部が噛み込んだままであると、攪拌部材15を攪拌動作させる作動時の攪拌駆動トルクが上昇してしまう問題が生じる。
そこで、以下に説明するように、攪拌部材連結部204が攪拌部材15に連結された後に、駆動力伝達部材20を、正逆回転させつつ、駆動力伝達部材の軸方向xの前後方向に移動させることを繰り返す駆動力伝達部材20の移動工程を行う。尚、軸方向xの前後方向とは、駆動力伝達部材20の差し込み方向と当該差し込み方向とは反対の戻し方向とに移動させることをいう。これにより、シール部材30の一部の噛み込みを解放し、噛み込まれていない正常状態に復帰させる。これによれば、攪拌部材15を動作させる作動時の攪拌駆動トルクが上昇してしまうことを回避できる。
【0016】
[駆動力伝達部材の移動工程]
次に、本例に係る駆動力伝達部材20の移動工程における駆動力伝達部材20の回転・移動方法について、図6、図7を用いて詳細に説明する。図6に駆動力伝達部材20と回転機構40とを示す。図7(a)に駆動力伝達部材20と回転機構40とが係合した状態を示す。図7(b)に駆動力伝達部材20の駆動入力部206と回転機構40の被係合部401とが係合した状態を示す。尚ここでの回転機構40とは、駆動力伝達部材20の移動工程を行うために回転駆動力を付与する機構である。
図6に示す様に、一方の駆動力伝達部材20には、回転機構40の被係合部401と係合して駆動を入力する駆動入力部206が設けられている。駆動入力部206は、駆動力伝達部材20の軸線上に中心を有する。駆動入力部206は、軸方向に垂直な突出方向の各断面が三角形で変わらないように捻れている突起部である。尚、本例では駆動入力部206が三角形の断面であるが、その他の多角形の断面であってもよい。駆動入力部206
が、本発明の係合部に対応する。
他方の回転機構40の被係合部401は上記駆動入力部206と同じ断面の三角形の凹みであり、凹み方向の各断面が駆動入力部206に対応して捻れている、駆動入力部206が嵌る穴部である。
そして、被係合部401が駆動入力部206に嵌るように回転機構40が配置される。このとき、回転機構40の軸方向xの位置は、図7(a)に示す様に、被係合部401と駆動入力部206とが係合し、かつ、駆動力伝達部材20が軸方向xとは反対の軸方向x’に移動可能な位置403で静止する。
そして、図7(b)に示すように、回転機構40がα方向に回転すると、被係合部401と駆動入力部206との捻れた形状により軸方向の力が発生する。よって、駆動力伝達部材20は、x’方向に、駆動入力部206の端面207が、回転機構40の端面402と当接するまで移動し、かつ、回転機構40の回転方向αと同じ方向に回転する。
一方、回転機構40がβ方向に回転すると、被係合部401と駆動入力部206との捻れた形状により軸方向の力が発生する。よって、駆動力伝達部材20は、x方向に、駆動力伝達部材20の面208とトナー収納容器14の円筒状突起先端部146が当接するまで移動し、その後、回転機構40の回転方向βと同じ方向に回転する。
従って回転機構40がα方向とβ方向との正逆回転を交互に繰り返すと、駆動力伝達部材20が正逆回転及び回転軸方向前後への移動を繰り返す。これにより、駆動力伝達部材20の組立時に発生するシール部材30の一部の噛み込みを解放することができる。
つまり、本例では、駆動力伝達部材20の移動工程においては、回転機構40によって駆動力伝達部材20を正逆回転させる。すると、駆動力伝達部材20の駆動入力部206と、駆動入力部206が挿入される回転機構40に設けられた被係合部401との関係において、回転方向に応じて、差し込み方向又は戻し方向の推力を生じさせる。これによって、駆動入力部206に被係合部401を嵌めた状態で回転機構40に設けられた被係合部401を繰り返し正逆回転させることにより、駆動力伝達部材移動工程を行う。
尚、駆動入力部206と被係合部401とは、それらが逆の部材に設けられていてもよい。
【0017】
以上説明したように、本例によれば、現像装置19の組立工程の中で、駆動力伝達部材20の挿入の際に噛み込んでしまったシール部材30を正常な状態に復帰させることができる。これによって、シール部材30の噛み込みによる不本意な攪拌駆動トルクの上昇を回避することができる。
また、回転機構40の回転動作のみで駆動力伝達部材20の回転及び軸方向移動を行うため、簡易な構成・制御での組立の自動化を行うことができる。工程を自動化することで、大量生産の効率向上を図ることができる。
さらに、回転機構40の回転のみで駆動力伝達部材20の回転及び軸方向移動を行うことで、回転機構40や制御を簡略化することができ、更なる組立効率の向上を図ることができる。
【0018】
<実施例2>
本発明の実施例2を説明する。実施例1と重複する点は説明を省略し、特徴部分について説明する。
【0019】
[駆動力伝達部材の移動工程]
図8に駆動力伝達部材21と回転機構41とを示す。図8に示すように、本例では、一方の駆動力伝達部材21の歯車部211はハスバ歯車である。
他方の回転機構41も駆動力伝達部材21と噛み合うハスバ歯車部411を有している。ハスバ歯車部411が本発明の歯車部に対応する。
攪拌部材連結部204が攪拌部材15に連結された後に、回転機構41は、ハスバ歯車部411が駆動力伝達部材21の歯車部211と噛み合う位置で静止する。
次いで回転機構41がγ方向に回転すると、駆動力伝達部材21には、ハスバ歯車部411によりζ方向の回転駆動力が伝達されるのと同時に、x’方向への軸方向の力が伝達される。
一方、回転機構41がδ方向に回転すると、駆動力伝達部材21には、ハスバ歯車部411によりε方向の回転駆動力が伝達されるのと同時に、x方向への軸方向の力が伝達される。
従って回転機構41がγ方向とδ方向との正逆回転を交互に繰り返すと、駆動力伝達部材21がζ・ε方向への回転と、x’・x方向への移動を繰り返す。これにより、駆動力伝達部材21の組立時に発生するシール部材30の一部の噛み込みを解放することができる。
つまり、本例では、駆動力伝達部材21の移動工程においては、回転機構41によって駆動力伝達部材21を正逆回転させる。すると、駆動力伝達部材21の歯車部211と、歯車部211を噛み合う回転機構41に設けられたハスバ歯車部411との関係において、回転方向に応じて、差し込み方向又は戻し方向の推力を生じさせる。これによって、歯車部211にハスバ歯車部411を噛み合わせた状態で回転機構41に設けられたハスバ歯車部411を繰り返し正逆回転させることにより、駆動力伝達部材21の移動工程を行う。
【0020】
<実施例3>
本発明の実施例3を説明する。実施例1,2と重複する点は説明を省略し、特徴部分について説明する。
【0021】
[駆動力伝達部材の移動工程]
図9、図10に駆動力伝達部材22と回転機構42とを示す。図9、図10に示す様に、一方の駆動力伝達部材22のギア部の大径部には、駆動力伝達部材22の差し込み方向に垂直な方向に突出したピン状突起部221が設けられる。
他方の回転機構42の円筒状の係合部には、ピン状突起部221が挿入する切欠き部421が設けられている。切欠き部421はピン状突起部221を駆動力伝達部材22の軸方向から真っ直ぐ挿入できる挿入部422と、ピン状突起部221を捻るようにガイドして挿入することになる捻り部423とを有している。つまり、切欠き部421は、ピン状突起部221に対向して開口しピン状突起部221の移動方向を正逆回転方向や差し込み方向又は戻し方向にガイドする形状になっている。
攪拌部材連結部204が攪拌部材15に連結された後に、回転機構42は、挿入部422にピン状突起部221が挿入されるようにx方向へ移動し、図10に示す様に、ピン状突起部221が捻り部423に差し掛かった場所424で停止する。
次いで回転機構42がη方向に回転すると、捻り部423の形状により、ピン状突起部221に軸方向の力が発生し、駆動力伝達部材22はx’方向に、ピン状突起部221が捻り部423の終点425に到達するまで移動する。その後、回転機構42の回転方向ηと同じ方向に回転する。
一方、回転機構42がθ方向に回転すると、捻り部423により駆動力伝達部材22はx方向に移動し、駆動力伝達部材22の面222とトナー収納容器14の円筒状突起先端部146が当接した後、θ方向に回転する。
従って回転機構42がη方向とθ方向との正逆回転を交互に繰り返すと、駆動力伝達部材22がη・θ方向への回転と、x’・x方向への移動を繰り返す。これにより、駆動力伝達部材22の組立時に発生するシール部材30の一部の噛み込みを解放することができる。
つまり、本例では、駆動力伝達部材22の移動工程においては、回転機構42によって駆動力伝達部材22を正逆回転させる。すると、駆動力伝達部材22のピン状突起部221と、ピン状突起部221が挿入される回転機構42に設けられた切欠き部421との関係において、回転方向に応じて、差し込み方向又は戻し方向の推力を生じさせる。これに
よって、ピン状突起部221を切欠き部421に挿入した状態で回転機構42に設けられた切欠き部421を繰り返し正逆回転させることにより、駆動力伝達部材移動工程を行う。
尚、ピン状突起部221と切欠き部421とは、それらが逆の部材に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0022】
14…トナー収納容器、15…攪拌部材、19…現像装置、20−22…駆動力伝達部材、30…シール部材、141… 壁、142…貫通孔、143…円筒状突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤の収納容器と、
前記収納容器の内部の現像剤を攪拌する攪拌部材と、
前記攪拌部材に攪拌動作を行わせるための回転駆動力を前記収納容器の外部から伝達する、軸部を有する伝達部材と、
前記収納容器の外部と内部を仕切る壁に設けられ、前記伝達部材を外部から内部へ挿通させる貫通孔と、
前記壁の前記収納容器の外部側において前記貫通孔の周りを囲み、前記貫通孔の孔径よりも内径の大きい円筒状突起と、
前記円筒状突起の内側に配置され、前記収納容器の内部の現像剤が前記貫通孔から漏れることを防止するシール部材と、
を備え、
前記シール部材は、前記軸部が中心孔に嵌る円筒状のシール部材であり、前記シール部材の外周面が前記円筒状突起の内周面に接触し、前記シール部材の内周面が前記軸部の外周面に接触することでシールを行う現像装置を組み立てる組立方法であって、
i)前記シール部材を前記円筒状突起の内側に配置させる配置工程と、
ii)前記伝達部材を前記円筒状突起の内側に差し込み、前記シール部材の中心孔に前記軸部を嵌めると共に、前記伝達部材の先端を、前記貫通孔を突き抜けさせて前記収納容器の内部に到達させる差込工程と、
iii)前記伝達部材を、正逆回転させつつ差し込み方向と当該差し込み方向とは反対の
戻し方向とに移動させることを繰り返し行わせる移動工程と、
を有することを特徴とする現像装置の組立方法。
【請求項2】
前記移動工程においては、回転機構によって前記伝達部材を正逆回転させると、前記伝達部材の係合部と、前記係合部と係合する前記回転機構に設けられた被係合部との関係において、回転方向に応じて、前記差し込み方向又は前記戻し方向の推力を生じさせることを特徴とする請求項1に記載の現像装置の組立方法。
【請求項3】
前記係合部又は前記被係合部のどちらか一方は、前記差し込み方向に垂直な突出方向の各断面の形が変わらないように捻れている突起部であり、他方は、前記突起部が挿入される前記突起部に対応して捻れている穴部であり、
前記突起部を前記穴部に挿入させた状態で前記回転機構に設けられた前記突起部又は前記穴部を繰り返し正逆回転させることにより、前記移動工程を行うことを特徴とする請求項2に記載の現像装置の組立方法。
【請求項4】
前記係合部及び前記被係合部のどちらか一方は、ハスバ歯車であり、他方は、前記ハスバ歯車に噛み合う歯車部であり、
前記ハスバ歯車に前記歯車部を噛み合わせた状態で前記回転機構に設けられた前記ハスバ歯車又は前記歯車部を繰り返し正逆回転させることにより、前記移動工程を行うことを特徴とする請求項2に記載の現像装置の組立方法。
【請求項5】
前記係合部及び前記被係合部のどちらか一方は、前記差し込み方向に垂直な方向に突出したピン状突起部であり、他方は、前記ピン状突起部に対向して開口し前記ピン状突起部の移動方向をガイドする切欠き部を有し、
前記ピン状突起部を前記切欠き部に挿入した状態で前記回転機構に設けられた前記ピン状突起部又は前記切欠き部を繰り返し正逆回転させることにより、前記移動工程を行うことを特徴とする請求項2に記載の現像装置の組立方法。
【請求項6】
電子写真感光体ドラムと、前記電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像剤で
現像する現像装置と、を有し、電子写真画像形成装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジの組立方法であって、
前記現像装置が、請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置の組立方法で組み立てられることを特徴とするプロセスカートリッジの組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−158588(P2011−158588A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18608(P2010−18608)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】