説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】トナー帯電量の均一化を計り、且つ現像スリーブ上でのトナー濃度を一定に維持することが可能な現像装置、及び画像濃度ムラがなく、良好な画像が安定して得られる画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像剤担持体4の固定磁石4aの磁束密度分布により、第2現像剤攪拌搬送部材3側から第1現像剤攪拌搬送部材2側への現像剤の受け渡しを促し、2つの現像剤攪拌搬送部材2、3間での現像剤の循環を成立させると共に、現像領域を通過した現像スリーブ4b上の現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材3側へ落下させる現像剤搬送経路を成立させる。以上の2つの現像剤循環経路により、現像スリーブ4b上でのトナー帯電量及びトナー濃度を均一にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ等に用いられ、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤によって静電潜像の現像を行う現像装置、並びにこのような現像装置を有し、画像形成を行う画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にトナーとキャリアとから成る二成分現像剤を用いる現像方法では、トナー粒子と磁性体から成るキャリア粒子とを機械的に攪拌することにより、トナー粒子とキャリア粒子とを互いに逆の極性に帯電させる。これらの粒子は、静電気的付着力により一体となっているが、感光体上の静電潜像に接近すると、トナー粒子とキャリア粒子とが引き合う静電気力よりも強い静電気力によって、トナー粒子が静電潜像側へ引かれ、潜像が可視像化される。 この時、トナー濃度は形成される画像に大きな影響を与える。トナー濃度が低い場合、画像濃度の低下を引き起こす。逆に、トナー濃度が高い場合は、画像濃度が高くなると同時に地肌汚れが発生しやすくなる。また、現像を行うと、トナーのみが感光体に転移して消費され、キャリアは現像装置内にとどまるため、消費された分のトナーを新たに補給して現像装置内のトナー濃度を一定に保つ必要がある。
【0003】
また、上述した現像では、静電潜像が形成された感光体と電気的バイアスが印加された現像スリーブとの間の電界により、感光体上の潜像形成部に帯電されたトナーが選択的に付着して現像が行われるため、トナーの帯電量が画像の形成に大きな影響を与える。トナーの帯電量が低いと、キャリアとの静電的付着力が小さいため、現像剤の中でトナーが浮遊しやすく、また、静電潜像と現像バイアスとから受ける拘束力も小さいため、地肌汚れの発生する割合は増加する。逆に、トナーの帯電量が高すぎると、トナーとキャリアとの静電的付着力は強化され、静電潜像に付着するトナー量は少なくなり、このため画像濃度が低下する。 したがって、上記のような二成分現像剤を用いる画像形成装置において高画質の画像を形成するには、トナーを均一に帯電し、且つ均一なトナー濃度の現像剤を現像領域に搬送する必要がある。
【0004】
ここで、従来の現像装置によるトナーの帯電方法及びトナー濃度調整方法について説明する。 図11及び図12に、従来の現像装置を示す。この現像装置59においては、スクリュー形状から成る第1現像剤攪拌搬送部材52と第2現像剤攪拌搬送部材53とが仕切り板55を挟んで平行に配置され、トナーとキャリアとから成る現像剤を混合攪拌しながら互いに反対の方向に搬送し、循環させる。第1現像剤攪拌搬送部材52と第2現像剤攪拌搬送部材53との対向部の反対側には、現像剤担持体54が2つの現像剤攪拌部材52、53と平行に配置されており、第1現像剤攪拌搬送部材52側から汲み上げた現像剤を表面に付着させ、回転に伴い搬送する。 現像剤担持体54は、内部に磁界発生手段である固定された磁石54a及びその外側に非磁性材料で構成され、矢印の方向に回転可能に支持された現像スリーブ54bとを有する。現像剤担持体54の周囲の、現像剤担持体54が感光体と対向する現像領域の上流には、アルミニウム、SUS等の非磁性材料で構成された現像ドクタ56が現像スリーブ54bと所定の間隔を設けて取り付けられており、現像スリーブ54b上の現像剤は、現像スリーブ54bの回転によって現像ドクタ56との対向位置を通過する時所定の量に規制される。現像剤は、現像ドクタ56通過の際強いストレスを受けてトナーが帯電され、現像領域に搬送される。現像領域では、表面に静電潜像が形成された感光体と電気的バイアスが印加された現像スリーブ54bとの間の電界の作用で、感光体上の静電潜像が帯電されたトナーにより顕像化される。
【0005】
贋造領域を通過した後消費されなかったトナーを含む現像剤は、現像剤担持体54の内部に固定された磁石54aにより形成された現像剤剥離極で現像スリーブ54bから脱落し、第1現像剤攪拌搬送部材52に戻され、第1現像剤攪拌搬送部材52上を現像剤循環下流方向へ搬送される。そして、現像剤は上記と同様の課程を繰り返しながら、第1現像剤攪拌搬送部材52と第2現像剤攪拌搬送部材53との間を循環し、再び現像スリーブ54b上に汲み上げられる。 第2現像剤攪拌搬送部材53側にはトナー濃度検知センサ57が設置され、現像装置内のトナー濃度を検知する。このトナー濃度の検知結果が設定されたトナー濃度より低い場合は、図示しないトナー補給装置から矢印Aの経路で第2現像剤攪拌搬送部材53の循環上流側にトナーを補給する。補給されたトナーは、第2現像剤攪拌搬送部材53と第1現像剤攪拌搬送部材52とにより現像剤搬送路内を循環しながら、現像装置内の現像剤と混合攪拌される。トナー補給部からのトナーの補給量は、トナー濃度検知センサ57からの信号に基づいて制御され、現像装置内のトナー濃度が設定濃度付近に維持される。そして、この行程を繰り返すことにより、現像装置内のトナー濃度を常に設定濃度付近に維持するように構成されている。
【0006】
画像濃度を安定化する方法としては、現像剤攪拌搬送手段の始端部の現像剤搬送力を他の部分の現像剤搬送力よりも大きくし、2つの現像剤攪拌搬送手段間での現像剤の受け渡し効率を向上させることにより、濃度変動の少ない画像を得る技術が、特開平3−282488号公報(特許文献1)に開示されている。
【0007】
【特許文献1】特開平3−282488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の従来の技術には次のような問題がある。 従来の現像装置では、第1現像剤攪拌搬送部材52の上流側から下流側へ現像剤が搬送される間にトナーが消費されていくため、トナー濃度は第1現像剤攪拌搬送部材52の下流側で上流側よりも低くなる。したがって、現像スリーブ54bに汲み上げられた現像剤のトナー濃度が、現像装置の長手方向で不均一となり、形成画像の画像濃度ムラが生じる。特に、画像濃度が高くトナー消費が多い画像では、画像濃度ムラは顕著となる。 また、現像剤の帯電は、主として現像スリーブ54b上に担持され、現像スリーブ54bの回転に伴って現像ドクタ56との間を通過する時に行われる。この時、第1現像剤攪拌搬送部材52側には、現像スリーブ54b上に汲み上げられ、現像ドクタ56と現像スリーブ54bとの間を通過して帯電量が上昇した現像剤と、現像スリーブ54b上に汲み上げられず、帯電量の低い現像剤とが混在する。そして、第1現像剤攪拌搬送部材52の下流側では、上流側に比べ現像ドクタ56と現像スリーブ54bとの間の通過回数の多い現像剤と、通過回数の少ない現像剤との差が大きくなり、トナー帯電量のバラツキが大きくなる。前述のように、トナーの帯電量は形成される画像に大きな影響を与えるため、帯電量の高いトナーと帯電量の低いトナーとが混在すると、均一な画像が得られなくなる。
【0009】
本発明は、上記のような問題に鑑みて成されたものであり、その目的は、トナー帯電量の均一化を計り、且つ現像スリーブ上でのトナー濃度を一定に維持することにより、濃度ムラのない画像を形成することが可能な現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤を仕切り板を挟んで互いに逆の方向に攪拌搬送する第1現像剤攪拌搬送部材と第2現像剤攪拌搬送部材とから成る現像剤攪拌搬送手段と、該現像剤攪拌搬送手段と平行に配設され、内部に固定された磁石と、周面上に回転可能に支持された現像スリーブとを備え、表面に前記二成分現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、像担持体上の静電潜像を可視化する現像装置において、前記現像剤攪拌搬送手段は、前記第1現像剤攪拌搬送部材と前記第2現像剤攪拌搬送部材との中間部で前記現像剤担持体と対向し、前記第1現像剤攪拌搬送部材が、前記第2現像剤攪拌搬送部材に対して前記現像スリーブの回転の下流側に位置するように回転可能に支持され、前記磁石は、前記第1現像剤攪拌搬送部材から現像剤を汲み上げる磁気拘束力と、前記像担持体と対向する現像領域を通過した現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材上に落下させる磁気拘束力と、を発生させるように現像スリーブの軸方向に沿って磁束密度が変化している現像装置を提供する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域L、前記現像剤攪拌搬送部材の軸方向へ現像剤を搬送し、第1現像剤攪拌搬送部材から第2現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域Mとするとき、前記磁石は、前記領域Lに対向する領域に、現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材から現像スリーブへ汲み上げた後、前記第1現像剤攪拌搬送部材へ受け渡す磁気拘束力を有し、前記領域Mに対向する領域では、現像剤を保持しないように配置されている請求項1に記載の現像装置を提供する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記仕切り板の先端は前記領域Lの範囲でカットされ、前記現像スリーブから離脱した現像剤を前記第1現像剤攪拌搬送部材へ誘導するために、前記カットにより形成される仕切り板の端部に該カット部の幅と等しい幅を有する現像剤誘導部材が設けられ、該現像剤誘導部材の先端が現像スリーブとの接触点より突き出すように現像剤誘導部材が現像スリーブに当接していることを特徴とする請求項2に記載の現像装置を提供する。
【0013】
請求項4に記載の発明は、前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域に、現像剤搬送部材を備え、 該現像剤搬送部材は、複数の突起部を有し、 第2現像剤攪拌搬送部材と第1現像剤攪拌搬送部材とを取り巻くように設けられ、仕切り板の切り欠き部を通過して回転する請求項1に記載の現像装置を提供する。
【0014】
請求項5に記載の発明は、表面に静電潜像を形成する感光体と、該感光体の表面を一様に帯電する帯電手段と、該感光体の表面に露光する露光手段と、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤によって前記静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像装置と、該トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、前記記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着装置と有する画像形成装置において、前記現像装置は、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤を仕切り板を挟んで互いに逆の方向に攪拌搬送する第1現像剤攪拌搬送部材と第2現像剤攪拌搬送部材とから成る現像剤攪拌搬送手段と、該現像剤攪拌搬送手段と平行に配設され、内部に固定された磁石と、周面上に回転可能に支持された現像スリーブとを備え、表面に前記二成分現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、前記現像剤攪拌搬送手段は、前記第1現像剤攪拌搬送部材と前記第2現像剤攪拌搬送部材との中間部で前記現像剤担持体と対向し、前記第1現像剤攪拌搬送部材が、前記第2現像剤攪拌搬送部材に対して前記現像スリーブの回転の下流側に位置するように回転可能に支持され、前記磁石は、前記第1現像剤攪拌搬送部材から現像剤を汲み上げる磁気拘束力と、前記像担持体と対向する現像領域を通過した現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材上に落下させる磁気拘束力と、を発生させるように現像スリーブの軸方向に沿って磁束密度が変化していることを特徴とする画像形成装置を提供する。
【0015】
請求項6に記載の画像形成装置は、前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域L、前記現像剤攪拌搬送部材の軸方向へ現像剤を搬送し、第1現像剤攪拌搬送部材から第2現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域Mとするとき、 前記磁石は、前記領域Lに対向する領域に、現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材から汲み上げ、前記第1現像剤攪拌搬送部材へ受け渡す磁気拘束力を有し、前記領域Mに対向する領域では、現像剤を保持しないように配置されている請求項5に記載の画像形成装置を提供する。
【0016】
請求項7に記載の発明は、前記仕切り板の先端は前記領域Lの範囲でカットされ、前記現像スリーブから離脱した現像剤を前記第1現像剤攪拌搬送部材へ誘導するために、前記カットにより形成される仕切り板の端部に該カット部の幅と等しい幅を有する現像剤誘導部材が設けられ、該現像剤誘導部材の先端が現像スリーブとの接触点より突き出すように現像剤誘導部材が現像スリーブに当接している請求項6に記載の画像形成装置を提供する。また、請求項8に記載の発明は、前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域に、現像剤搬送部材を備え、該現像剤搬送部材は、複数の突起部を有し、第2現像剤攪拌搬送部材と第1現像剤攪拌搬送部材とを取り巻くように設けられ、仕切り板の切り欠き部を通過して回転する請求項5に記載の画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の現像装置では、現像領域を通過した現像剤がすべて第2現像剤攪拌搬送部材側に戻されるため、第1現像剤攪拌搬送部材側の現像剤はすべて現像に使用されていないリフレッシュ(初期化)状態であり、トナー濃度が低下していない。したがって、第1現像剤攪拌搬送部材側のトナー濃度は、上流側から下流側にかけて常に一定であり、現像スリーブ上のトナー濃度に差がなくなるため、濃度差がなく濃度追従性の良い均一な画像を得ることができる。 また、現像領域へ搬送される現像剤は、充分に攪拌されて第1現像剤攪拌搬送部材側から汲み上げられ、現像ドクタと対向する領域を一回だけ通過してきた現像剤であるため、帯電条件が等しく、帯電量のバラツキが小さくなる。したがって、トナーが均一に帯電されているためトナー飛散や地肌汚れがなく、細部の画像バラツキのない良質な画像を形成することができる。
【0018】
請求項2に記載の現像装置では、領域L及び領域Mの磁束密度分布が得られるように設定することにより、第1現像剤攪拌搬送部材−領域L−第2現像剤攪拌搬送部材−領域Mの現像剤循環経路及び現像スリーブ−第2現像剤攪拌搬送部材の現像剤循環経路を形成する。このように、2つの現像剤循環経路を形成することにより、現像領域を通過した現像剤は直接第1現像剤攪拌搬送部材側に戻らず、このため、第1現像剤攪拌搬送部材上のトナー濃度並びに現像スリーブ上のトナー濃度は均一となり、濃度ムラのない均一な画像を形成することができる。また、第2現像剤攪拌搬送部材上に増量した現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材側へオーバーフローさせ、第2現像剤攪拌搬送部材側での現像剤詰まりを防止することができる。
【0019】
請求項3に記載の現像装置では、領域Lに現像剤誘導部材を設けることにより、領域Lでの第2現像剤攪拌搬送部材側から第1現像剤攪拌搬送部材側への現像剤の搬送を確実に行うことができる。また、領域Mでは、現像剤担持体内部の固定磁石の磁束密度分布を上記のように設定することにより、現像領域通過後の現像剤を現像スリーブから第2攪拌搬送部材上へ落下させる。これにより、2つの現像剤循環経路が形成され、第1現像剤攪拌搬送部材上のトナー濃度及び現像スリーブ上のトナー濃度を均一化し、濃度ムラのない均一な画像を形成すると共に、第2現像剤攪拌搬送部材上に増量した現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材側へオーバーフローさせ、第2現像剤攪拌搬送部材側での現像剤詰まりを防止することができる。
【0020】
請求項4に記載の現像装置では、第2現像剤攪拌搬送部材から第1現像剤攪拌搬送部材への現像剤受け渡し部に搬送部材を設けることにより、領域Lでの第2現像剤攪拌搬送部材側から第1現像剤攪拌搬送部材側への現像剤の搬送を円滑に行うことができる。また、領域Mでは、現像剤担持体内部の固定磁石の磁束密度分布を上記のように設定することにより、現像領域通過後の現像剤を現像スリーブから第2現像剤攪拌搬送部材上へ落下させる。このように、2つの現像剤循環経路を形成することにより、第1現像剤攪拌搬送部材上のトナー濃度及び現像スリーブ上のトナー濃度を均一化し、濃度ムラのない均一な画像を形成すると共に、第2現像剤攪拌搬送部材上に増量した現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材側へオーバーフローさせ、第2現像剤攪拌搬送部材側での現像剤詰まりを防止することができる。
【0021】
請求項5に記載の画像形成装置では、現像スリーブ上のトナー濃度が均一化されているため、均一な画像形成が可能となる。また、トナーの帯電量が均一であるため、トナー飛散や地肌汚れが防止され、濃度ムラのない良質の画像形成を行うことが可能となる。さらに、現像剤担持体と2つの現像剤攪拌搬送部材とが並列配置されないため、画像形成装置の幅方向の寸法増大を抑制することができる。
【0022】
請求項6に記載の画像形成装置では、2つの現像剤循環系を有するため、第1現像剤攪拌搬送部材上のトナー濃度が均一化されると共に現像スリーブ上のトナー濃度が均一化され、これにより、濃度ムラのない均一な画像を形成することができる。また、第2現像剤攪拌搬送部材上の現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材側へオーバーフローさせることにより、第2現像剤攪拌搬送部材上で増量した現像剤による現像剤詰まりを防止し、現像剤の均一な帯電量を維持して良好な画像形成を行うことができる。さらに、現像剤担持体と2つの現像剤攪拌搬送部材とが並列配置されないため、画像形成装置の幅方向の寸法増大を抑制することができる。
【0023】
請求項7に記載の画像形成装置では、領域Lでは第2現像剤攪拌搬送部材から第1現像剤攪拌搬送部材への現像剤の搬送を円滑に行い、領域Mでは現像スリーブ上で現像領域を通過した現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材側へ落下させる。このように、2つの現像剤循環経路を形成することにより、現像スリーブ上のトナー濃度を均一化し、濃度ムラのない均一な画像を形成すると共に、第2現像剤攪拌搬送部材での現像剤詰まりを防止し、均一に帯電させたトナーによる良好な画像形成を行うことが可能となる。また、このような画像形成装置では、現像剤担持体と2つの現像剤攪拌搬送部材とが並列配置されないため、画像形成装置の幅方向の寸法増大を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0025】
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態が用いられる複写機を示す概略構成図である。 この複写機は、画像読取装置60、画像書込装置70、画像形成装置80及び給紙装置90から構成される。 上記画像形成装置80は、感光体81、現像装置89、転写手段85及び定着手段87から主として構成される。感光体81の周りに帯電手段83、現像剤担持体84を含む現像装置89、転写手段85、図示しないクリーニング装置及び除電ランプ82が配置されている。また、感光体81の表面には、レーザ駆動装置71からレーザビーム73が照射される。 上記給紙装置90は画像形成装置80の下側に設置され、着脱可能な給紙カセット91内の用紙Pは中板で支えられ、図示しないスプリングによってアームを介して給紙ローラ92に押し付けられる。 なお、この画像形成装置80の裏側には、図示しない電源やプリント板(エンジンドライバーボード)等の電装及び制御装置、あるいはコントローラボードが収容される。また、現像装置89の近くには、トナー補給部が設けられている。
【0026】
このような画像形成装置を用いて画像を形成する場合、まず、帯電手段83によって感光体81の表面が均一に帯電された後、レーザビーム73が照射され、静電潜像が形成される。現像装置89内には、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤が収容され、この現像剤を現像剤担持体84の表面に担持して感光体81と対向する現像領域に搬送し、感光体81上に形成された静電潜像に転移させて可視像を形成する。給紙装置90内では、図示しない制御部からの指令により給紙ローラ92が回転し、給紙カセット91内の最上位置の記録紙Pが分離パッドで重送されながら下流側のレジストローラ96まで搬送され、感光体81上に形成されたトナー画像と同期するようなタイミングで転写手段85側に搬送される。転写手段85によって感光体81上の画像が転写された記録紙Pは、さらに搬送されて定着手段87の位置に至り、ヒータを内蔵した加熱ローラ87aと、加熱ローラ87aに圧接対向される加圧ローラ87bとの間を通過し、加熱及び加圧されてトナー像が定着される。 このようにして画像が形成された記録紙Pは、その後排紙ローラによって排紙口から排紙トレイ部88上に排出され載置される。
【0027】
(第1の実施形態) 上記の画像形成装置に用いられる本発明の現像装置であり、請求項1に記載の現像装置の一実施形態について説明する。図2にこの現像装置の概略構成図を、また、図3には図2に示す現像装置のS−Sにおける断面図を示す。 この現像装置9は、開口を有するハウジング内に現像剤担持体4及び現像剤攪拌搬送手段が収容され、この開口が感光体1と対向するように設置されている。 現像剤担持体4は、内部に複数の磁石を有し、固定支持されたマグネットローラ4aと、その周面上に形成され、矢印の方向に回転可能に支持された現像スリーブ4bとから成り、感光体1と近接対向するようにハウジングの開口部に配置されている。現像剤担持体4の周面付近の、現像スリーブ4bと感光体1とが対向する現像領域の上流側には、現像スリーブ4b上の現像剤を帯電させる現像ドクタ6が現像スリーブ4bに近接配置されている。 現像剤攪拌搬送手段は、仕切り板5を隔てて平行に配設されたスクリュー形状の第1現像剤攪拌搬送部材2と第2現像剤攪拌搬送部材3とから成る。第1現像剤攪拌搬送部材2は、長手方向の寸法が現像スリーブ4bの長手方向の寸法に一致するように形成され、第2現像剤攪拌搬送部材3は、第1現像剤攪拌搬送部材2よりも長手方向に長く形成されており、いずれも現像スリーブ4bの回転方向と同方向に回転可能に支持され、互いに現像剤を軸の逆方向に搬送する。現像剤担持体4は、仕切り板5と対向する位置で現像剤攪拌搬送部材2、3と平行に配設されている。また、第2現像剤攪拌搬送部材3の下流側には、トナー濃度検知センサ7が取り付けられている。
【0028】
現像装置9内の現像剤は、2つの異なる現像剤循環経路によって搬送される。 第1の現像剤循環経路は、図3に示す矢印C→D→E→F→Cに従う循環経路である。矢印C及びEの現像剤の搬送は、それぞれ第2現像剤攪拌搬送部材3及び第1現像剤攪拌搬送部材2の回転により行われる。また、矢印Dの現像剤の搬送は、現像スリーブ4bの回転で第2現像剤攪拌搬送部材3側から第1現像剤攪拌搬送部材2側へ現像剤を汲み上げることにより行われ、矢印Fの搬送は重力落下である。 第2の現像剤循環経路では、現像剤を矢印Gのように、第1現像剤攪拌搬送部材2側から、図2に示すように第1現像剤攪拌搬送部材2と第2現像剤攪拌搬送部材3とからほぼ等距離で、仕切り板5をまたぐ位置に配置された現像剤担持体4の現像スリーブ4b上に汲み上げることにより成立する。
【0029】
現像スリーブ4b上に汲み上げられた現像剤は、現像スリーブ4bの回転により、現像ドクタ6の位置を通過するときに現像剤の量が規制されると共にトナーが帯電され、現像領域に搬送される。現像領域では、静電潜像が形成された感光体1と、電気的バイアスが印加された現像スリーブ4bとの間の電界によりトナーが感光体1側へ移動し、感光体1の静電潜像を顕像化する。現像領域を通過した現像剤は、仕切り板5の長手方向の寸法に一致した寸法を有し、仕切り板5に取り付けられた現像剤剥離部材8により、第2現像剤攪拌搬送部材3の上方で現像スリーブ4b表面から離れ、第2現像剤攪拌搬送部材3側へ落下する。このように、現像剤を現像スリーブ4bから放出する方法として、本実施形態では仕切り板5に現像剤剥離部材8を取り付けることにより行ったが、これ以外の方法、例えば仕切り板と現像スリーブとの間隔を狭くして現像剤を通過させないようにする方法を用いることもできる。
【0030】
このように、本実施形態の現像装置4は2つの現像剤循環経路を有し、現像領域を通過した現像剤が直接第1現像剤攪拌搬送部材2側に戻らないため、第1現像剤攪拌搬送部材2上流側と下流側とでトナー濃度差がなくなり、濃度差がなく濃度追従性の良い均一な画像を得ることができる。 また、現像領域へ搬送される現像剤は、攪拌されて第1現像剤攪拌搬送部材2側から汲み上げられ、現像ドクタ6を一回だけ通過してきた現像剤であり、現像剤の帯電条件が等しく、現像剤の帯電量のバラツキが小さい。したがって、トナーが均一に帯電されているため、トナー飛散や地肌汚れがなく、画像の細部でのバラツキのない良質な画像を得ることができる。
【0031】
(第2の実施形態) 請求項2に記載の現像装置の一実施形態について説明する。図4は、この現像装置内部の配置及び現像剤の循環方向を示す上面図であり、図5及び図6は、それぞれ図4中の14l及び14mにおける各部材の配置及び磁束密度分布を示す断面図である。 現像剤を現像剤攪拌搬送部材12、13の軸方向に搬送し、第1現像剤攪拌搬送部材12側から第2現像剤攪拌搬送部材13側へ受け渡す領域である14mに対応する領域における固定磁石の磁束密度分布を図5に示す。この領域の現像装置19内部に固定された磁石14aは、第2現像剤攪拌搬送部材13に面した領域で磁気拘束力が弱いため、この領域で現像スリーブ14b上に現像剤を保持できなくなる。このため、現像領域を通過してきた現像剤は、仕切り板15と現像スリーブ14bとの間を通過して第1現像剤攪拌搬送部材12側へ運ばれることなく第2現像剤攪拌搬送部材13上に落下し、矢印Cの下流側端部へ運ばれる。同時にこの領域では、固定磁石14aのS2極により第1現像剤攪拌搬送部材12側から現像剤が汲み上げられ、N2極、S1極及びN1極により現像領域へ運ばれる。
【0032】
第2現像剤攪拌搬送部材13から第1現像剤攪拌搬送部材12への現像剤受け渡し部である14lの領域における磁束密度分布は、図6に示すとおりである。この領域では、第2現像剤攪拌搬送部材13側の現像剤がN3により汲み上げられ、S2極と現像スリーブ14bの回転により第1現像剤攪拌搬送部材12側へ搬送される。搬送された現像剤は、N2極を経てS1極の領域で現像ドクタ16により現像剤量が規制されると共にトナーが帯電される。この時、余分な現像剤は第1現像剤攪拌搬送部材12側へ落とされる。仕切り板15は、第2現像剤攪拌搬送部材の下流側は図4に示すように現像装置の側面まで延長し、第2現像剤攪拌搬送部材13側から第1現像剤攪拌搬送部材12側への現像剤受け渡し部では、現像スリーブ14b上の現像剤の搬送を妨げない程度に、現像スリーブ14bとのギャップが設定される。また、14lの範囲には、図4及び図5に示すように、第1現像剤攪拌搬送部材12側へ搬送された現像剤の第2現像剤攪拌搬送部材13側への落下を防止するための現像剤落下防止部材18が仕切り板15に具備されている。現像剤落下防止部材18は、マイラ等の弾性部材によって形成し、現像スリーブ14bのトレーリングに当たるように仕切り板15に取り付けられている。
【0033】
この時、矢印G方向の現像剤搬送量G’は、現像スリーブ14bの現像ドクタ16を通過後の現像剤汲み上げ量と回転数、つまり現像条件によって規定される。矢印D方向の現像剤搬送量D’は、図4に示す現像スリーブ14bの14lの領域で第2現像剤攪拌搬送部材13側から第1現像剤攪拌搬送部材12側へ汲み上げられる現像剤の量であり、この現像剤量は図6に示す固定磁石14aの磁力分布と図4に示す14lの長さにより規定される。また、現像剤搬送量F’は、現像装置内の現像剤量により決定される。 この現像装置において現像剤の循環を円滑に行うためには、現像剤搬送量D’=現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’とならなければならない。現像剤搬送量D’<現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’となった場合には、第2現像剤攪拌搬送部材13側で現像剤量が増え続け、第2現像剤攪拌搬送部材13側で現像剤詰まりが生じてしまう。現像剤詰まりが発生しないようにするためには、現像条件と現像剤量を決定した後、現像剤搬送量D’=現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’の関係が成立するように図6の固定磁石14aの磁力分布と、14lの長さを設定する。また、現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’を搬送できるように、第2現像剤攪拌搬送部材13のスクリュー径、スクリューピッチ及びスクリュー回転数を設定する。 また、図5の現像スリーブ14bと仕切り板15との間にギャップを設け、現像剤搬送量D’<現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’となった場合、第2現像剤攪拌搬送部材13側で増量した現像剤をギャップを通して矢印Hのように第1現像剤攪拌搬送部材12側へオーバーフローさせ、第2現像剤攪拌搬送部材13側での現像剤詰まりを防止する。
【0034】
以上のように、この現像装置では、現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材側から第1現像剤攪拌搬送部材側へ受け渡す領域での現像剤の移動を促すことによって、第2現像剤攪拌搬送部材−現像剤受け渡し部−第1現像剤攪拌搬送部材−現像剤受け渡し部−第2現像剤攪拌搬送部材のように現像剤を循環させる循環経路と、上記以外の領域で、現像領域を通過した現像スリーブ上の現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材上に落下させる経路の2つの現像剤循環経路を形成し、これにより、現像スリーブ上のトナー濃度を均一にすると共に、第2現像剤攪拌搬送部材上での現像剤詰まりを防止し、良好な現像を行うことができる。
【0035】
(第3の実施形態) 請求項3に記載の現像装置の一実施形態について説明する。図7は、この現像装置内部の配置及び現像剤の循環方向を示す上面図であり、図8は、図7中の24lにおける各部材の配置及び磁束密度分布を示す断面図である。 この現像装置29の図7に示す領域24mでは、仕切り板25の先端が、図8のように固定磁石24aの反発磁極部(S2極−S3極間)より現像スリーブ24bの回転方向下流に位置する。これにより、現像スリーブ24bの反発磁極部で現像スリーブ24bから離れた現像剤は、仕切り板25によって妨げられることなく、すべて第2現像剤攪拌搬送部材23側へ落下する。したが
って、24mの範囲では、現像領域を通過した現像剤が仕切り板25と現像スリーブ24bとの間を通過して第1現像剤攪拌搬送部材22側へ運ばれることはない。また、この範囲では、S2極で第2現像剤攪拌搬送部材22側から現像剤を汲み上げ、N2、S1及びN1極により現像領域へ搬送する。第2現像剤攪拌搬送部材23側へ落とされた現像剤は、矢印Cの下流側端部へ運ばれる。
【0036】
また、24lの領域では、図8中の斜線部で示したように、仕切り板25の先端をカットし、この端部にカット部の幅と等しい幅(24l)を有する現像剤誘導部材28が当接されている。この現像剤誘導部材28は、マイラ等の弾性材料から形成され、先端が現像スリーブ24bとの接触点より突き出すように現像スリーブ24bに当接されているため、現像剤誘導部材28により現像スリーブ24b上の現像剤が掻き落とされることはない。これにより、24lの領域で現像スリーブ24bから離れた現像剤は、現像剤誘導部材28上に落ち、第1現像剤攪拌搬送部材22側へ戻される。
【0037】
したがって、この現像装置によれば、第2現像剤攪拌搬送部材23側から第1現像剤攪拌搬送部材22側へ現像剤を受け渡す領域に誘導部材を配置することにより、第2現像剤攪拌部材23側から第1現像剤攪拌搬送部材22側への現像剤の受け渡しを促し、これ以外の領域では、仕切り板25の先端を固定磁石24aの反発磁極部より現像スリーブ24bの回転方向下流に位置させることにより、現像領域を通過した現像剤をすべて第2現像剤攪拌搬送部材23側へ落下させる。これにより、現像スリーブ上のトナー濃度を均一化し、濃度ムラのない均一な画像を形成すると共に、第2現像剤攪拌搬送部材での現像剤詰まりを防止し、均一に帯電させたトナーによる良好な画像形成を行うことが可能となる。
【0038】
(第4の実施形態) 請求項4に記載の現像装置の一実施形態について説明する。図9は、この現像装置内部の配置及び現像剤の循環方向を示す上面図であり、図10は、図9中の34lにおける各部材の配置を示す断面図である。 この現像装置39は、第2現像剤攪拌搬送部材33側から第1現像剤攪拌搬送部材32側へ現像剤を受け渡す領域(領域34l)の第2現像剤攪拌搬送部材33及び第1現像剤攪拌搬送部材32の端部に、第2現像剤攪拌搬送部材33側の現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材32側へ搬送する現像剤搬送部材40が設けられている。現像剤搬送部材40は、複数の突起部40aを有するキャタピラ形状から成り、第2現像剤攪拌搬送部材33の中心軸と第1現像剤攪拌搬送部材32の中心軸とを取り巻くように取り付けられており、第1現像剤攪拌搬送部材32又は第2現像剤攪拌搬送部材33の駆動を受けて回転し、もう一方の現像剤攪拌搬送部材に駆動を伝達する。この現像装置39の仕切り板35の現像剤搬送部材40側の端部は、現像装置39の内側面まで延長されているが、現像剤搬送部材40と交叉する部分には図10に示すような切り欠きを有し、これにより、現像剤搬送部材40が仕切り板35の切り欠き部を通過して回転することができるように構成されている。 また、現像剤搬送部材40は、各突起部40a間に貫通穴40bを備え、現像剤はこの突起部40aによって汲み上げられ、第2現像剤攪拌搬送部材33側から第1現像剤攪拌搬送部材32側へ搬送される。そして、現像剤は第1現像剤攪拌搬送部材32の上方付近まで搬送されて、突起部40aの間の貫通穴40bから仕切り板35上へ落下し、第1現像剤攪拌搬送部材32へ取り込まれる。
【0039】
この時、矢印Gの現像剤搬送量G’は、現像スリーブ34bの現像ドクタ36を通過した後の汲み上げ量と回転数、すなわち現像条件によって決定される。また、矢印Dの現像剤搬送量D’は、現像剤搬送部材40による第2現像剤攪拌搬送部材33側から第1現像剤攪拌搬送部材32側への現像剤汲み上げ量であり、この量は、現像剤搬送部材40を駆動する第1現像剤攪拌搬送部材32又は第2現像剤攪拌搬送部材33の回転数と現像剤搬送部材40の形状により決定される。矢印Fの現像剤搬送量F’は、この現像装置内の現像剤量により規定される。 このような現像装置において現像剤循環を円滑にし、良好な現像を行うためには、現像剤搬送量D’=現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’の関係が維持されることが望ましいが、現像剤搬送量D’<現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’のような変動が生じた場合は、第2現像剤攪拌搬送部材33側で現像剤量が増加し、第2現像剤攪拌搬送部材33側で現像剤詰まりが発生する。そこで、このような現像剤詰まりの発生を防止するためには、現像条件を決定した後、現像剤搬送量D’=現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’の関係が成立するように、現像剤搬送部材40の形状と、第2現像剤攪拌搬送部材33のスクリュー径、スクリューピッチ及びスクリューの回転数を設定する。 さらに、図10の現像スリーブ34bと仕切り板35との間にギャップを設け、現像剤搬送量D’<現像剤搬送量G’+現像剤搬送量F’となった場合に、第2現像剤攪拌搬送部材33側に増量した現像剤をギャップを通して第1現像剤攪拌搬送部材32側へ矢印Hのようにオーバーフローさせ、これにより第2現像剤攪拌搬送部材33側での現像剤詰まりを防止する。
【0040】
以上のように、この現像装置では、第2現像剤攪拌搬送部材から第1現像剤攪拌搬送部材への現像剤受け渡し部に搬送部材を設けることにより、第2現像剤攪拌搬送部材側から第1現像剤攪拌搬送部材側への現像剤の搬送を円滑に行うことができる。また、現像剤担持体内部の固定磁石の磁束密度分布を上記のように設定することにより、現像領域通過後の現像剤を現像スリーブから第2現像剤攪拌搬送部材上へ落下させる。このように、2つの現像剤循環経路を形成することにより、第1現像剤攪拌搬送部材上のトナー濃度及び現像スリーブ上のトナー濃度を均一化し、濃度ムラのない均一な画像を形成すると共に、第2現像剤攪拌搬送部材上に増量した現像剤を第1現像剤攪拌搬送部材側へオーバーフローさせ、第2現像剤攪拌搬送部材側での現像剤詰まりを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の画像形成装置の一実施形態が用いられる複写機を示す概略構成図である。
【図2】請求項1に記載の現像装置を示す概略構成図である。
【図3】図2に示す現像装置のS−Sにおける断面図である。
【図4】請求項2に記載の現像装置の一実施形態を示す上面図である。
【図5】図4中の14lにおける各部材の配置及び磁束密度分布を示す断面図である。
【図6】図4中の14mにおける各部材の配置及び磁束密度分布を示す断面図である。
【図7】請求項3に記載の現像装置の一実施形態を示す上面図である。
【図8】図7中の24lにおける各部材の配置及び磁束密度分布を示す断面図である。
【図9】請求項4に記載の現像装置の一実施形態を示す上面図である。
【図10】図9中の34lにおける各部材の配置を示す断面図である。
【図11】従来の現像装置を示す概略構成図である。
【図12】図11に示す現像装置の上面図である。
【符号の説明】
【0042】
1、11、21、31、81 感光体 2、12、22、32、52 第1現像剤攪拌搬送部材 3、13、23、33、53 第2現像剤攪拌搬送部材 4、14、24、34、54、84 現像剤担持体 4a、14a、24a、34a、54a 固定磁石 4b、14b、24b、34b、54b 現像スリーブ 5、15、25、35、55 仕切り板 6、16、26、36、56、86 現像ドクタ 7、17、27、37、57 トナー濃度検知センサ 8 現像剤剥離部材 9、19、29、39、59、89 現像装置 18 現像剤落下防止部材 28 現像剤誘導部材 60 画像読み取り装置 61 排風装置 70 画像書込装置 71 レーザ駆動装置 72 反射鏡 73 レーザビーム 80 画像形成装置 82 除電ランプ 83 帯電手段 85 転写手段 87 定着手段 87a 加熱ローラ 87b 加圧ローラ 88 排紙トレイ部 90 給紙装置 91 給紙カセット 92 給紙ローラ 93 反転用カセット 94 反転用給紙ローラ 95 紙搬送ローラ 96 レジストローラ A トナー補給経路 C、D、E、F、G、H 現像剤循環経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとから成る二成分現像剤を仕切り板を挟んで互いに逆の方向に攪拌搬送する第1現像剤攪拌搬送部材と第2現像剤攪拌搬送部材とから成る現像剤攪拌搬送手段と、 該現像剤攪拌搬送手段と平行に配設され、内部に固定された磁石と、周面上に回転可能に支持された現像スリーブとを備え、表面に前記二成分現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、 像担持体上の静電潜像を可視化する現像装置において、 前記現像剤攪拌搬送手段は、前記第1現像剤攪拌搬送部材と前記第2現像剤攪拌搬送部材との中間部で前記現像剤担持体と対向し、 前記第1現像剤攪拌搬送部材が、前記第2現像剤攪拌搬送部材に対して前記現像スリーブの回転の下流側に位置するように回転可能に支持され、 前記磁石は、前記第1現像剤攪拌搬送部材から現像剤を汲み上げる磁気拘束力と、前記像担持体と対向する現像領域を通過した現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材上に落下させる磁気拘束力と、を発生させるように現像スリーブの軸方向に沿って磁束密度が変化している ことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域L、 前記現像剤攪拌搬送部材の軸方向へ現像剤を搬送し、第1現像剤攪拌搬送部材から第2現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域Mとするとき、 前記磁石は、前記領域Lに対向する領域に、現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記現像スリーブに汲み上げた後、 前記第1現像剤攪拌搬送部材へ受け渡す磁気拘束力を有し、前記領域Mに対向する領域では、現像剤を保持しないように配置されている ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記仕切り板の先端は前記領域Lの範囲でカットされ、 前記現像スリーブから離脱した現像剤を前記第1現像剤攪拌搬送部材へ誘導するために、前記カットにより形成される仕切り板の端部に該カット部の幅と等しい幅を有する現像剤誘導部材が設けられ、 該現像剤誘導部材の先端が現像スリーブとの接触点より突き出すように現像剤誘導部材が現像スリーブに当接している ことを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域に、現像剤搬送部材を備え、 該現像剤搬送部材は、複数の突起部を有し、 第2現像剤攪拌搬送部材と第1現像剤攪拌搬送部材とを取り巻くように設けられ、仕切り板の切り欠き部を通過して回転する ことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項5】
表面に静電潜像を形成する感光体と、該感光体の表面を一様に帯電する帯電手段と、該感光体の表面に露光する露光手段と、トナーとキャリアとから成る二成分現像剤によって前記静電潜像を現像し、トナー像を形成する現像装置と、該トナー像を記録媒体上に転写する転写装置と、前記記録媒体上に転写されたトナー像を定着する定着装置と有する画像形成装置において、 前記現像装置は、 トナーとキャリアとから成る二成分現像剤を仕切り板を挟んで互いに逆の方向に攪拌搬送する第1現像剤攪拌搬送部材と第2現像剤攪拌搬送部材とから成る現像剤攪拌搬送手段と、 該現像剤攪拌搬送手段と平行に配設され、内部に固定された磁石と、周面上に回転可能に支持された現像スリーブとを備え、表面に前記二成分現像剤を担持する現像剤担持体とを有し、 前記現像剤攪拌搬送手段は、前記第1現像剤攪拌搬送部材と前記第2現像剤攪拌搬送部材との中間部で前記現像剤担持体と対向し、前記第1現像剤攪拌搬送部材が、前記第2現像剤攪拌搬送部材に対して前記現像スリーブの回転の下流側に位置するように回転可能に支持され、 前記磁石は、前記第1現像剤攪拌搬送部材から現像剤を汲み上げる磁気拘束力と、前記像担持体と対向する現像領域を通過した現像剤を前記第2現像剤攪拌搬送部材上に落下させる磁気拘束力と、を発生させるように現像スリーブの軸方向に沿って磁束密度が変化している ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域L、 前記現像剤攪拌搬送部材の軸方向へ現像剤を搬送し、第1現像剤攪拌搬送部材から第2現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域を領域Mとするとき、 前記磁石は、前記領域Lに対向する領域に、現像剤を第2現像剤攪拌搬送部材から現像スリーブへ汲み上げた後、前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す磁気拘束力を有し、 前記領域Mに対向する領域では、現像剤を保持しないように配置されている ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記仕切り板の先端は前記領域Lの範囲でカットされ、 前記現像スリーブから離脱した現像剤を前記第1現像剤攪拌搬送部材へ誘導するために、前記カットにより形成される仕切り板の端部に該カット部の幅と等しい幅を有する現像剤誘導部材が設けられ、 該現像剤誘導部材の先端が現像スリーブとの接触点より突き出すように現像剤誘導部材が現像スリーブに当接している ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第2現像剤攪拌搬送部材から前記第1現像剤攪拌搬送部材へ現像剤を受け渡す領域に、現像剤搬送部材を備え、 該現像剤搬送部材は、複数の突起部を有し、 第2現像剤攪拌搬送部材と第1現像剤攪拌搬送部材とを取り巻くように設けられ、仕切り板の切り欠き部を通過して回転する
ことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−64029(P2009−64029A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−267713(P2008−267713)
【出願日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【分割の表示】特願2008−193(P2008−193)の分割
【原出願日】平成11年4月16日(1999.4.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】