説明

現金処理機

【課題】装着されている入出金カセットへ異なった金種の紙幣が収納されることを防止すると共に精査時に違算が発生した場合の原因の究明を容易に行う手段を提供する。
【解決手段】窓口現金処理機1の金庫ユニット28に着脱可能に装着された複数の入出金カセット14にカセットIDを記録した記録部を設け、各入出金カセット14から読取ったカセットIDに、取外し前情報のカセットIDと一致しないカセットIDが記憶された入出金カセット14が存在する場合にID不一致エラーの発生を判定して、そのID不一致情報を保存すると共に、取外し前情報の当該入出金カセットのカセットIDを読取ったカセットIDに書替えて当該入出金カセットの装着位置とを表示したエラー情報を表示し、エラー情報の表示後に、リセットボタンの押下によってエラー情報の解除指示を受付けたときは、再度カセット情報を読取る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関の営業店の窓口に設置され、窓口担当者が入出金する現金を管理する現金処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の窓口に設置された現金処理機は、現金の補充を行う係員の係員カードの係員IDを読取る端末カードリードライト部と、入出金する現金を金種別に収納する現金収納庫と、現金収納庫に現金を補充する補充用カセットとを備え、現金処理機への現金の補充を行う場合に、大型の現金出納機から補充用の現金を補充用カセットに収納するときに、現金出納機が係員IDを読取って払出し額と係員IDとをホストコンピュータへ送信して、払出しデータベースに格納しておき、補充用カセットを係員が現金処理機へ運んで現金処理機に装着し、現金処理機の現金収納庫に現金を補充したときに、現金処理機が読取った係員IDと補充額とをホストコンピュータへ送信し、払出しデータベースに格納されている払出し額から補充額を差引いて、その差額を払出し額として記憶し、締上時の精査において違算が発生した場合の原因究明に要する時間を短縮している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、金融機関に設置された自動取引装置において、入金庫と、複数のリサイクル庫と、出金庫と、紙幣の補充回収に用いる装填・回収庫等の紙幣を金種別に収納する収納庫を扉を設けた金庫筐体に着脱可能に実装し、各収納庫に設けた把手により収納庫を引出して、紙幣の補充や回収、その他の保守作業を行っているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46974号公報(段落0015−0030、第3図)
【特許文献2】特開2009−48664号公報(段落0014−0019、第3図、第5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の特許文献2の技術においては、紙幣を金種別に収納する収納庫を金庫筐体に着脱可能に実装し、紙幣の補充や回収、その他の保守作業を行うときに収納庫を引出して作業を行っているため、保守作業時に全ての収納庫を一旦取出して保守作業を行った後に、金庫筐体に収納庫を装着したときに、収納庫の装着位置を間違えると、入金取引時に、装着位置を間違えた収納庫に本来の金種とは異なった金種が収納され、出金取引時に異なる金種が繰出されて、自動取引装置における取引において混乱が生ずる場合があるという問題がある。
【0006】
このことは、窓口の現金処理機に、入出金する現金を金種別に収納する現金収納庫を着脱可能に設けた場合であっても同様である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、カセット識別子を記録した記録部を有する複数の収納カセットを着脱可能に装着した金庫ユニットを備えた現金処理機において、装着されている前記収納カセットの装着位置に対応させて、その収納カセットのカセット識別子を、取外し前情報として格納する手段と、前記各収納カセットの前記カセット識別子を、カセット情報として読取る手段と、読取った前記カセット情報に、前記取外し前情報のカセット識別子と一致しないカセット識別子が存在する場合に、識別子不一致エラーの発生を判定する手段と、判定したエラーの種類と、前記取外し前情報のカセット識別子と、読取ったカセット識別子とを識別子不一致情報として保存する手段と、前記取外し前情報の当該収納カセットのカセット識別子を、読取ったカセット識別子に書替える手段と、判定したエラーの種類と、当該収納カセットの装着位置とを表示したエラー情報を表示する手段と、前記エラー情報の表示後に、前記エラー情報の解除指示を受付けたときは、前記カセット情報を再度読取る手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、入替え後等の収納カセットの装着位置の再確認を促して、収納カセットの装着位置を正しい位置に確実に戻すことができ、装着されている収納カセットへ異なった金種の紙幣が収納されることを防止することができると共に、正常に取引処理等を行うことができる環境が整えられた場合に取引処理等の再開を可能にして、窓口現金処理機の稼動効率を向上させることができる他、保存したID不一致情報によって、精査時等に違算が発生した場合の原因の究明を容易に行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例の窓口現金処理機を示すブロック図
【図2】実施例の窓口現金処理機の構成を示す説明図
【図3】実施例の入出金カセットを示す斜視図
【図4】実施例の金庫ユニット確認処理を示すフローチャート
【図5】実施例のエラー画面の表示例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による現金処理機の実施例について説明する。
【実施例】
【0011】
図1において、1は現金処理機としての窓口現金処理機であり、銀行等の金融機関の支店等の営業店の窓口に設置された、窓口で入出金する現金を管理する装置であって、隣合う2人の窓口担当者が顧客との窓口取引に共用で用いる。
【0012】
2はパーソナルコンピュータ等の操作端末であり、店内LAN(Local Area Network)等の通信回線3を介して現金処理機1と相互にデータ通信を可能に接続されており、窓口担当者が入金や出金等の取引の選択や、出金取引における出金金額等の入力、入金結果や出金結果等の表示を行うために用いる。
【0013】
なお、窓口現金処理機1は、一方の操作端末2で取引が行われている場合は、他方の操作端末2からの取引指令等の受付を停止する排他制御を行う機能を有している。
【0014】
4は金融機関のセンタに設置された上位装置としてのホストコンピュータであり、窓口に設置されている窓口現金処理機1と専用回線や電話回線等の通信ネットワーク5を介して接続しており、口座開設者である顧客の口座の金融機関名や口座番号等の口座情報や、口座残高等の顧客情報を保有して顧客の口座を管理する。
【0015】
7は窓口現金処理機1の制御部であり、通信ネットワーク5を介してホストコンピュータ4と接続しており、窓口現金処理機1内の各部を制御して取引処理等を実行すると共にデータ通信等も制御する。
【0016】
8は記憶部であり、制御部7が実行するプログラムやそれに用いる各種のデータおよび制御部7による処理結果等が格納される。
【0017】
9は操作表示部であり、エラー情報や、ジャム等の発生部位、紙幣の残量等を表示するLCD等の表示画面と、窓口担当者や保守員等がリセットや実行等を指示するためのボタンスイッチ等からなる指示ボタン等を備えている。
【0018】
図2において、11は入金口であり、入金取引時に投入された紙幣を受入れる部位であって、入金取引における紙幣の受入れ時に開閉するシャッタ11aや、投入された紙幣を1枚毎に分離して繰出す分離機構等を備えている。
【0019】
12は鑑別部であり、搬送された紙幣に対する各種の鑑別、つまり紙幣の真偽や正損、金種等を識別する機能、および連鎖、斜行等の搬送異常を検出する機能、これらの鑑別結果を制御部7へ送出する機能等を有している。
【0020】
13は一時保留部であり、入金処理において入金口11に投入された紙幣で、鑑別部12により真券と識別され、取込可能と識別された紙幣を集積して一時保留する集積部であって、紙幣を1枚毎に分離して繰出すと共に搬送された紙幣を集積する分離集積機構を備えている。
【0021】
14は収納カセットとしての入出金カセットであり、出金に用いる紙幣および/もしくは入金された紙幣を収納するカセットであって、紙幣を1枚毎に分離して繰出すと共に搬送された紙幣を集積する分離集積機構を備えている。
【0022】
この入出金カセット14は複数(本実施例では、4つ)設けられ、それぞれの入出金カセット14には、入出金カセット14を個別に識別するためのカセット識別子としてのカセットIDと、その入出金カセット14に収納すべき金種とを記録した図示しないメモリからなる記録部が設けられている。
【0023】
また、入出金カセット14には、図3に示すように、後述する金庫ユニット28への着脱を容易にするための収納式の把手15と、紙幣を載置する昇降可能に設けられたステージ16と、紙幣の収納や取出しのときに開閉させるカセット扉17とが設けられており、そのカセット扉17の開閉は、上下2箇所に設けられた機械式等の開閉検知スイッチ18により検知され、検知されたカセット扉17の開閉履歴(カセット扉開閉履歴という。)は、カセット内基板に設けられた電気回路に形成されたラッチ回路により保持され、入出金カセット14の底部に設けられたコネクタ部19が、入出金カセット14の装着によって窓口現金処理機1に電気的に接続されたときに、記録部に記録されたカセットID、収納すべき金種、およびカセット扉開閉履歴の読出しが可能になる。
【0024】
21は収納カセットとしての補充回収カセットであり、窓口現金処理機1へ補充する紙幣や、入出金カセット14に収納しきれない紙幣、各入出金カセット14から回収された紙幣を収納するカセットであって、紙幣を1枚毎に分離して繰出すと共に搬送された紙幣を集積する分離集積機構を備えている。
【0025】
この補充回収カセット21には、補充回収カセット21を識別するためのカセット識別子としてのカセットIDと、その補充回収カセット21に収納すべき金種(本実施例では、全金種)とを記録した図示しないメモリからなる記録部が設けられている。
【0026】
また、補充回収カセット21には、入出金カセット14と同様の、把手15やステージ16、カセット扉17、開閉検知スイッチ18、コネクタ部19が設けられており、補充回収カセット21の装着によって窓口現金処理機1に電気的に接続されたときに、記録部に記録されたカセットIDと収納すべき金種、およびカセット扉開閉履歴の読出しが可能になる。
【0027】
22は補充回収カセット21の下部に設けられたリジェクト部であり、出金処理時に入出金カセット14から繰出され、鑑別部12で重送が検出された紙幣等の出金に用いることができない出金リジェクト紙幣を集積する集積部であって、搬送された紙幣を集積する集積機構を備えている。
【0028】
23は出金口であり、出金取引時に出金された紙幣や返却紙幣、鑑別部12で偽券や外国紙幣等と識別された紙幣等の入金リジェクト紙幣を集積する部位であって、出金取引における紙幣の取出し時に開閉するシャッタ23aや、搬送された紙幣を集積する集積機構を備えている。
【0029】
上記の各部位は、ベルト対またはローラ対で紙幣を挟持して搬送する搬送路24で接続され、搬送路24の分岐部には、紙幣の搬送方向を切替える切替機構25等が設けられており、搬送路24、切替機構25等およびこれらの駆動機構により搬送部26が構成されている。
【0030】
本実施例の複数の入出金カセット14と補充回収カセット21とは、金庫ユニット28にそれぞれ着脱可能に装着され、金庫扉29を開放して金庫ユニット28を引出すことによって、入出金カセット14や補充回収カセット21を取外して、それらへの紙幣の収納や取出しおよびジャム紙幣の除去等の保守作業等が可能になる。
【0031】
図1において、31は金庫扉開閉検出センサであり、金庫扉29の開閉を検出する光学式または機械式のセンサである。
【0032】
32はカセット情報取扱部であり、金庫ユニット28に装着された各入出金カセット14および補充回収カセット21の記録部に記録されているカセットIDと金種、および電気回路に保持されたカセット扉開閉履歴をコネクタ部19を介して読取る機能や、各入出金カセット14や補充回収カセット21の電気回路にコネクタ部19を介して電気信号を出力して保持されているカセット扉開閉履歴を消去する機能を有している。
【0033】
上記の窓口現金処理機1の記憶部8には、予め各種の取引処理や入出金カセット14への補充処理、入出金カセット14からの回収処理を行うための通常の業務処理プログラムに、図4を用いて説明する金庫ユニット確認処理を実行する機能を有するアプリケーションプログラム等が追加された業務実行プログラムが予め格納されており、制御部7が実行する業務実行プログラムのステップにより本実施例の窓口現金処理機1の各機能手段が形成される。
【0034】
また、記憶部8には、入出金カセット14に収納されている紙幣の収納枚数を入出金カセット14別にカウントするための収納枚数カウントエリア、補充回収カセット21に収納されている紙幣を金種別にカウントするための補充回収紙幣カウントエリア、一時保留部13に集積した紙幣を金種別にカウントするための取込紙幣カウントエリア等が予め確保されている。
【0035】
更に、記憶部8には、各入出金カセット14および補充回収カセット21の装着位置に対応させて収納すべき金種(補充回収カセット21の場合は全金種)を設定した収納金種設定情報が予め設定されて格納される他、収納金種設定情報の装着位置に対応させて、現在装着されている入出金カセット14と補充回収カセット21の各カセットIDを、取外し前情報として格納する取外し前情報格納エリアが予め確保されている。
【0036】
上記の構成の作用について説明する。
【0037】
金融機関等の営業店の係員が、始業時等に窓口現金処理機1へ電源を投入すると、窓口現金処理機1の記憶部8に格納されている業務実行プログラムが自動的に起動され、業務実行プログラムが起動すると、窓口現金処理機1の制御部7は、後述する金庫ユニット確認処理(図4参照)を実行し、カセット情報取扱部32によって読取った、金庫ユニット28に装着されている各入出金カセット14および補充回収カセット21に記録されているカセットIDを、取外し前情報として記憶部8の取外し前情報格納エリアに格納する(ステップS24参照)。
【0038】
窓口担当者が窓口現金処理機1を用いて入金取引を行う場合は、窓口担当者が操作端末2から顧客の口座番号等を入力して入金取引を選択すると、操作端末2がその口座番号等を添付した入金取引指令を通信回線3を介して制御部7へ送信し、これを受信した制御部7は、排他制御によって他方の操作端末2からの取引指令等の受付を停止すると共に、入金口11のシャッタ11aを開放して紙幣の投入を受入れる。
【0039】
紙幣が投入されると、制御部7はシャッタ11aを閉鎖し、入金口11に投入された紙幣を繰出して搬送部26によって鑑別部12へ搬送し、鑑別部12での鑑別結果が真券である場合は、記憶部8の取込紙幣カウントエリアによって金種別にカウントしながら当該紙幣を一時保留部13へ搬送して集積する。
【0040】
投入された全ての紙幣の鑑別、集積を終えた制御部7は、取込紙幣カウントエリアでカウントした金種別の枚数を基に入金金額を算出し、これを取引指令の送信元の操作端末2へ送信して表示し、窓口担当者が確定入力を行ったことを操作端末2から受信すると、一時保留部13に保留されている紙幣を繰出して鑑別部12へ搬送し、鑑別された金種を基に、記憶部8の収納金種設定情報を参照して、その金種が設定された装着位置に装着されている入出金カセット14へ搬送して収納し、収納枚数カウントエリアによって当該入出金カセット14の収納枚数をカウントし、一時保留部13に保留されていた全ての紙幣の収納を終えると、制御部7はホストコンピュータ4へ口座番号や入金金額を送信して入金取引を終了させ、排他制御を解除する。
【0041】
なお、紙幣の入出金カセット14への収納中に、いずれかの入出金カセット14がフル状態になった場合は、当該紙幣を補充回収カセット21へ搬送して収納する。
【0042】
窓口担当者が出金取引を行う場合は、窓口担当者が操作端末2から顧客の口座番号や出金金額等を入力して出金取引を選択すると、操作端末2がその口座番号や出金金額等を添付した出金取引指令を制御部7へ送信し、これを受信した制御部7は、排他制御によって他方の操作端末2からの取引指令等の受付を停止すると共に、出金金額を構成する金種別の枚数を算出し、記憶部8の収納金種設定情報を参照して、その金種が設定された装着位置に装着されている各入出金カセット14から、収納枚数カウントエリアによって当該入出金カセット14の収納枚数をカウントしながら、算出枚数の紙幣を繰出し、鑑別部12での鑑別後に出金口23へ搬送して集積し、出金金額に相当する紙幣の集積後にシャッタ23aを開放して集積した紙幣を窓口担当者へ払出し、窓口担当者の受取りを確認してシャッタ23aを閉鎖し、ホストコンピュータ4へ口座番号や出金金額を送信して出金取引を終了させ、排他制御を解除する。
【0043】
窓口現金処理機1の設置直後や、精査時における回収処理の終了後等に、空の入出金カセット14に取引処理で用いる紙幣を補充する場合は、窓口担当者または補充を担当する係員は、金庫扉29を開放して金庫ユニット28を引出し、取外した補充回収カセット21のカセット扉17を開放して補充する紙幣を収納した後にカセット扉17を閉鎖し、その補充回収カセット21と空の入出金カセット14とを装着した金庫ユニット28を窓口現金処理機1に装着して金庫扉29を閉鎖し、一方の操作端末2から補充処理を選択すると、操作端末2が補充処理指令を制御部7へ送信し、これを受信した制御部7は、排他制御によって他方の操作端末2からの取引指令等の受付を停止すると共に、補充回収カセット21から繰出した紙幣を鑑別部12へ搬送し、鑑別された金種を基に、記憶部8の補充回収紙幣カウントエリアで補充回収カセット21の金種別の枚数をカウントしながら、記憶部8の収納金種設定情報を参照して、当該金種が設定された装着位置に装着されている入出金カセット14へ搬送して、収納枚数カウントエリアによって当該入出金カセット14の収納枚数をカウントしながら収納し、鑑別部12で金種不明等の補充時のリジェクト紙幣と鑑別された紙幣はリジェクト部22へ搬送して集積し、補充回収カセット21の全ての紙幣を収納したときに補充処理を終了させ、排他制御を解除する。
【0044】
この補充処理における金庫扉29の解放後の閉鎖を、制御部7が金庫扉開閉センサ31によって検出したときは、制御部7は、後述する金庫ユニット確認処理(図4参照)を実行する。
【0045】
また、補充する紙幣の収納時における補充回収カセット21のカセット扉17の開放、および入出金カセット14が空であることの確認のための入出金カセット14のカセット扉17の開放は、補充回収カセット21および入出金カセット14に設けられた開閉検知スイッチ18により検知され、検知されたカセット扉開閉履歴がカセット内基板に設けられた電気回路に形成されたラッチ回路により保持される。
【0046】
精査時における回収処理の場合は、窓口担当者または回収を担当する係員が、一方の操作端末2から回収処理を選択すると、操作端末2が回収処理指令を制御部7へ送信し、これを受信した制御部7は、排他制御によって他方の操作端末2からの取引指令等の受付を停止すると共に、各入出金カセット14に収納されている紙幣を、記憶部8の収納枚数カウントエリアでカウントしながら鑑別部12へ搬送し、鑑別された金種を基に記憶部8の補充回収紙幣カウントエリアで補充回収カセット21の金種別の枚数をカウントしながら補充回収カセット21へ搬送して収納し、全ての入出金カセット14の収納枚数が「0」になったときに、回収処理を終了させ、排他制御を解除する。
【0047】
その後に、窓口担当者等は、金庫扉29を開放して金庫ユニット28を引出して補充回収カセット21を取外し、カセット扉17を開放して収納されている紙幣を取出し、カセット扉17の閉鎖後に補充回収カセット21を金庫ユニット28に装着し、金庫ユニット28を窓口現金処理機1に装着して金庫扉29を閉鎖する。
【0048】
この回収処理における金庫扉29の解放後の閉鎖を、制御部7が金庫扉開閉センサ31によって検出したときは、制御部7は、後述する金庫ユニット確認処理(図4参照)を実行する。
【0049】
また、回収する紙幣の取出し時における補充回収カセット21のカセット扉17の開放、および入出金カセット14が空であることの確認のための入出金カセット14のカセット扉17の開放は、補充回収カセット21および入出金カセット14に設けられた開閉検知スイッチ18により検知され、検知されたカセット扉開閉履歴がカセット内基板に設けられた電気回路に形成されたラッチ回路により保持される。
【0050】
本実施例の窓口現金処理機1における金庫扉29の開閉は、上記の他に各処理における紙幣の搬送中に、制御部7がジャムを検出した場合にも行われる。
【0051】
すなわち、制御部7は、紙幣の搬送中に搬送路24に設けられた図示しない通過検出センサの間を順次に通過する紙幣の各搬送時間を監視しており、いずれかの通過検出センサ間の搬送時間が、所定のジャム判定時間以上である場合に、ジャムの発生を判定して搬送部26による駆動を停止させ、操作表示部9の表示画面にジャムを検出した部位を表示する。
【0052】
この表示を確認した窓口担当者または保守を担当する係員は、ジャムの発生部位がいずれかの入出金カセット14内である場合は、金庫扉29を開放して金庫ユニット28を引出し、ジャムが発生した入出金カセット14、または必要に応じて他の入出金カセット14を金庫ユニット28から取外す。
【0053】
そして、窓口担当者等は、入出金カセット14のカセット扉17を開放し、ジャム紙幣を除去して入出金カセット14を復旧させ、その復旧後にカセット扉17を閉鎖し、取外した入出金カセット14を金庫ユニット28に装着し、金庫ユニット28を窓口現金処理機1に装着して金庫扉29を閉鎖する。
【0054】
また、窓口担当者等は、ジャムが発生した入出金カセット14の復旧が困難と判断した場合は、予備の入出金カセット14に交換するために、そのカセット扉17を開放して、ジャムが発生した入出金カセット14に収納された紙幣を移し替え、予備の入出金カセット14のカセット扉17を閉鎖し、予備の入出金カセット14および取外した他の入出金カセット14を金庫ユニット28に装着し、金庫ユニット28を窓口現金処理機1に装着して金庫扉29を閉鎖する。
【0055】
この保守作業における金庫扉29の解放後の閉鎖を、制御部7が金庫扉開閉センサ31によって検出したときは、制御部7は、後述する金庫ユニット確認処理(図4参照)を実行する。
【0056】
また、復旧後の入出金カセット14または予備の入出金カセット14のカセット扉17の開放は、入出金カセット14に設けられた開閉検知スイッチ18により検知され、検知されたカセット扉開閉履歴がカセット内基板に設けられた電気回路に形成されたラッチ回路により保持される。補充回収カセット21内でジャムが発生した場合も同様にして保守作業が行われる。
【0057】
上記のようにして、窓口現金処理機1への電源の投入や、待機中、窓口現金処理機1による入出金の取引処理、補充、回収処理、ジャムの発生時における保守作業が行われている場合に、制御部7が金庫扉開閉検出センサ31によって金庫扉29の解放後の閉鎖を検出した場合の金庫ユニット確認処理の作動について、図4に示すフローチャートを用い、Sで示すステップに従って説明する。
【0058】
S1、制御部7は、金庫扉開閉検出センサ31による金庫扉29の開放の検出後に、金庫扉開閉検出センサ31が金庫扉29の閉鎖を検出するのを待って待機しており、金庫扉開閉検出センサ31が金庫扉29の閉鎖を検出したときに、金庫ユニット28の装着を認識してステップS2へ移行する。金庫扉開閉検出センサ31が金庫扉29の閉鎖を検出しない場合は、前記の待機を継続する。
【0059】
なお、電源投入時には、金庫扉29は既に閉鎖されているので、制御部7は金庫扉開閉検出センサ31によって金庫扉29の閉鎖を検出してステップS2へ移行する。
【0060】
S2、金庫ユニット28の装着を認識したことにより入出金カセット14および補充回収カセット21の装着を判定した制御部7は、カセット情報取扱部32によって、金庫ユニット28に装着された各入出金カセット14の記録部に記録されたカセットIDと金種、および電気回路に保持されたカセット扉開閉履歴をカセット情報として読取ると共に、補充回収カセット21の記録部に記録されたカセットIDと金種(全金種)および電気回路に保持されたカセット扉開閉履歴をカセット情報として読取る。
【0061】
また、未装着の入出金カセット14または補充回収カセット21が存在する場合は、その装着位置を認識する。
【0062】
なお、金庫ユニット確認処理の実行中は、後述する入出金カセット14の入替え(ステップS7等参照)等のための金庫扉29の開閉を金庫扉開閉検出センサ31が検出したとしても、それによるカセット情報の読取りは行われない。
【0063】
S3、カセット情報を読取った制御部7は、未装着を除く全ての入出金カセット14から読取ったカセットIDと、記憶部8の取外し前情報格納エリアに格納されている取外し前情報のカセットIDとを装着位置毎に比較し、少なくとも一つのカセットIDが不一致の場合はステップS4へ移行する。全ての入出金カセット14のカセットIDが一致している場合はステップS8へ移行する。
【0064】
S4、カセットIDが不一致の入出金カセット14の存在を認識した制御部7は、ID不一致エラーの発生を判定し、不一致となった入出金カセット14の全ての装着位置を認識すると共に、時計機能によって現在日時(時分秒を含む。)を認識し、後述するエラーの種類を示すコード(本ステップでは、ID不一致エラーであることを示すコード)と当該入出金カセット14の装着位置を示すコードとからなるエラー情報を生成し、生成したエラー情報と、認識した現在日時と、取外し前情報のカセットIDと、読取ったカセットIDとからなる識別子不一致情報としてのID不一致情報を記憶部8に保存する。
【0065】
S5、ID不一致情報を保存した制御部7は、記憶部8の取外し前情報格納エリアの不一致となった装着位置のカセットIDを読取ったカセットIDに書替えて、取外し前情報のカセットIDを変更する。
【0066】
S6、取外し前情報のカセットIDを変更した制御部7は、エラー発生を示す文言および4桁のエラー情報等を表示した図5に示すエラー画面を操作表示部9の表示画面に表示する。
【0067】
本実施例のエラー情報は、図5に示すように、先頭の2桁が発生したエラーの種類(本ステップでは、ID不一致エラー)を表し、後尾の2桁がエラーを発生させた入出金カセット14や補充回収カセット21の装着位置(本ステップでは、カセットIDが不一致となった入出金カセット14の装着位置)を表すように構成され、エラーの種類は数字もしくは英文字またはこれらの組合せで表示され、装着位置は8ビットの各ビットをそれぞれの入出金カセット14等の装着位置に割り当て、エラーが発生した装着位置には「1」を、エラーが発生していない装着位置には「0」を書込み、これにより形成される2桁の数字もしくは英文字またはこれらの組合せで表示され、不一致となった入出金カセット14等が複数存在する場合にもそれらの装着位置を表示することができる。
【0068】
S7、エラー画面を表示した制御部7は、窓口担当者等がID不一致となった入出金カセット14の装着位置の入替えを行った場合や、窓口担当者等が不一致となった装着位置に予備の入出金カセット14を装着した場合、前記した入替え後等の入出金カセット14の再確認である場合等に、取引処理等を再開するために、窓口担当者等が操作表示部9に設けられたリセットボタンを押下するのを待って待機し、リセットボタンの押下信号を受付けない場合は前記の待機を継続する。
【0069】
エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けた場合は、制御部7はこれをエラー情報の解除指示と認識して接続子Aを介してステップS2へ戻り、再度カセット情報を読取る。
【0070】
この場合に、本実施例の金庫ユニット確認処理では、上記ステップS5において、取外し前情報のカセットIDが書替えられているので、窓口担当者等がID不一致となった入出金カセット14の装着位置の入替えを行った場合は、ステップS3において再びID不一致エラーが判定され、入替え後等の入出金カセット14の再確認を促すことが可能になり、入出金カセット14等の装着位置を正しい位置に確実に戻して、入出金カセット14へ異なった金種の紙幣が収納されることを防止することができる。
【0071】
また、窓口担当者等が不一致となった装着位置に予備の入出金カセット14を装着した場合、前記した入替え後等の入出金カセット14の再確認である場合は、ステップS3において全てのカセットIDの一致が判定され、窓口現金処理機1を用いた取引処理等の再開が可能になる。
【0072】
このように本実施例において、ID不一致エラーの場合に取引処理等の再開を可能にするのは、予備の入出金カセット14に交換した場合のように、正常に取引処理等を行うことができる環境が整えられた場合に取引処理等の再開を可能にして、窓口現金処理機1の稼動効率を向上させるためであり、取引処理等の再開後の精査時等に違算が発生したとしても、ID不一致情報を記憶部8に保存してあるので、その原因の究明が可能になるからである。
【0073】
S8、上記ステップS3において、未装着を除く全ての入出金カセット14のカセットIDの一致を判定した制御部7は、未装着を除く全ての入出金カセット14および補充回収カセット21から読取った金種と、記憶部8に格納されている収納金種設定情報の装着位置に対応させた金種とを装着位置毎に比較し、少なくとも一つの金種が不一致の場合は、金種不一致エラーの発生を判定してステップS9へ移行する。全ての金種が一致している場合はステップS11へ移行する。
【0074】
S9、金種不一致エラーの発生を判定した制御部7は、エラー発生を示す文言、および上記ステップS6と同様にして構成した、金種不一致エラーとしたエラーの種類と、そのエラーが発生した装着位置とを4桁で表したエラー情報等を表示したエラー画面を操作表示部9の表示画面に表示する。
【0075】
S10、エラー画面を表示した制御部7は、窓口担当者等が金種不一致となった入出金カセット14の点検等の後に、取引処理等を再開するために操作表示部9に設けられたリセットボタンを押下するのを待って待機し、リセットボタンの押下信号を受付けない場合は前記の待機を継続する。
【0076】
エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けた場合は、制御部7はこれをエラー情報の解除指示と認識して接続子Aを介してステップS2へ戻り、再度カセット情報を読取る。
【0077】
この場合に、ステップS8において再び金種不一致エラーが判定された場合は、再度の確認を促すために、ステップS9において再びエラー画面を表示する。
【0078】
このように本実施例において、金種不一致エラーの場合に取引処理等の再開を不可能にするのは、収納金種設定情報の装着位置に設定された金種と、その装着位置に装着されている入金カセット14等との金種が不一致の場合は、入金処理等において当該入出金カセット14に設定された金種と異なる金種の紙幣が収納されることになり、出金取引等において異なる金種が繰出されて取引時に混乱が生ずるからである。
【0079】
S11、上記ステップS8において、未装着を除く全ての入出金カセット14等の金種の一致を判定した制御部7は、収納金種設定情報の補充回収カセット21の装着位置に補充回収カセット21が装着されているか否かを確認し、補充回収カセット21が装着されている場合はステップS14へ移行する。補充回収カセット21が装着されていない場合は、補充回収カセット未装着エラーの発生を判定してステップS12へ移行する。
【0080】
S12、補充回収カセット未装着エラーの発生を判定した制御部7は、エラー発生を示す文言、および補充回収カセット未装着エラーとしたエラーの種類を4桁で表したエラー情報等を表示したエラー画面を操作表示部9の表示画面に表示する。
【0081】
S13、エラー画面を表示した制御部7は、窓口担当者等が未装着であった補充回収カセット21を装着した後に、取引処理等を再開するために操作表示部9に設けられたリセットボタンを押下するのを待って待機し、リセットボタンの押下信号を受付けない場合は前記の待機を継続する。
【0082】
エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けた場合は、制御部7はこれをエラー情報の解除指示と認識して接続子Aを介してステップS2へ戻り、再度カセット情報を読取る。
【0083】
この場合に、ステップS11において再び補充回収カセット未装着エラーが判定された場合は、再度の装着を促すために、ステップS12において再びエラー画面を表示する。
【0084】
このように本実施例において、補充回収カセット未装着エラーの場合に取引処理等の再開を不可能にするのは、補充回収カセット21は、入出金カセット14に収納しきれない紙幣を収納するカセットであり、かつ出金リジェクト紙幣等を収納するリジェクト部22が設けられているので、補充回収カセット21が未装着であると取引処理の実行が困難になるからである。
【0085】
S14、上記ステップS11において、補充回収カセット21の装着を判定した制御部7は、金庫ユニット28に装着されている入出金カセット14の数を確認し、入出金カセット14の数が3以上の場合はステップS17へ移行する。入出金カセット14の数が3未満、つまり2以下の場合は、入出金カセット不足エラーの発生を判定してステップS15へ移行する。
【0086】
S15、入出金カセット不足エラーの発生を判定した制御部7は、エラー発生を示す文言、および入出金カセット不足エラーとしたエラーの種類を4桁で表したエラー情報等を表示したエラー画面を操作表示部9の表示画面に表示する。
【0087】
S16、エラー画面を表示した制御部7は、窓口担当者等が未装着であった入出金カセット14を装着した後に、取引処理等を再開するために操作表示部9に設けられたリセットボタンを押下するのを待って待機し、リセットボタンの押下信号を受付けない場合は前記の待機を継続する。
【0088】
エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けた場合は、制御部7はこれをエラー情報の解除指示と認識して接続子Aを介してステップS2へ戻り、再度カセット情報を読取る。
【0089】
この場合に、ステップS14において再び入出金カセット不足エラーが判定された場合は、再度の装着を促すために、ステップS15において再びエラー画面を表示する。
【0090】
このように本実施例において、入出金カセット不足エラーの場合に取引処理等の再開を不可能にするのは、入出金カセット14は、金種別に紙幣を収納しているので、2以下の場合は出金する紙幣の金種が不足し、取引処理の実行が困難になるからである。
【0091】
また、入出金カセット14の装着数が3以上の場合に取引処理等の再開を可能にするのは、入出金カセット14の装着数が3以上であれば出金取引等を実行することは可能であるので、装着されていた入出金カセット14に故障が発生した場合に、予備の入出金カセット14が準備されていなくても、取引処理等の再開を可能にして窓口現金処理機1の稼動効率を向上させるためである。
【0092】
S17、上記ステップS14において、入出金収カセット14の装着数を3以上と判定した制御部7は、読取った入出金カセット14および補充回収カセット21のカセット情報の少なくとも一つに、カセット扉開閉履歴が存在している場合はステップS18へ移行する。全てのカセット情報にカセット扉開閉履歴が存在しない場合はステップS24へ移行する。
【0093】
S18、カセット扉開閉履歴を保持した入出金カセット14および/もしくは補充回収カセット21の存在を認識した制御部7は、カセット扉開エラーの発生を判定し、カセット扉開閉履歴を保持した入出金カセット14等の全ての装着位置を認識すると共に、時計機能によって現在日時(時分秒を含む。)を認識し、エラーの種類を示すコード(本ステップでは、カセット扉開エラーであることを示すコード)と、当該入出金カセット14等の装着位置を示すコードとからなるエラー情報を生成し、生成したエラー情報と、認識した現在日時と、当該入出金カセット14等のカセットIDとからなるカセット扉開情報を記憶部8に保存する。
【0094】
S19、カセット扉開情報を保存した制御部7は、カセット情報取扱部32によって、当該入出金カセット14等の電気回路に電気信号を出力して保持されているカセット扉開閉履歴を消去する。
【0095】
S20、当該入出金カセット14等に保持されているカセット扉開閉履歴を消去した制御部7は、カセット扉開閉履歴が保持されていた収納カセットが補充回収カセット21のみである場合はステップS21へ移行する。入出金カセット14にもカセット扉開閉履歴が保持されていた場合はステップS22へ移行する。
【0096】
S21、補充回収カセット21のみにカセット扉開閉履歴が保持されていたことを認識した制御部7は、現在実行中の処理を確認し、補充処理または回収処理の実行中でない場合はステップS22へ移行する。補充処理または回収処理の実行中である場合はステップS24へ移行して、取引処理等の再開を可能にする。
【0097】
S22、入出金カセット14にカセット扉開閉履歴が保持されていたこと、または補充処理や回収処理の実行中ではないことを認識した制御部7は、エラー発生を示す文言、および上記ステップS6と同様にして構成した、カセット扉開エラーとしたエラーの種類と、そのエラーが発生した装着位置とを4桁で表したエラー情報等を表示したエラー画面を操作表示部9の表示画面に表示する。
【0098】
S23、エラー画面を表示した制御部7は、窓口担当者等が、カセット扉開閉履歴が保持されていた入出金カセット14の点検をした場合や、カセット扉開閉履歴が保持されていた入出金カセット14がジャム紙幣の除去のためにカセット扉17を開閉した入出金カセット14である場合等に、取引処理等を再開するために窓口担当者等が操作表示部9に設けられたリセットボタンを押下するのを待って待機し、リセットボタンの押下信号を受付けない場合は前記の待機を継続する。
【0099】
エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けた場合は、制御部7はこれをエラー情報の解除指示と認識して接続子Aを介してステップS2へ戻り、再度カセット情報を読取る。
【0100】
この場合に、本実施例の金庫ユニット確認処理では、上記ステップS19において、カセット扉開閉履歴が消去されているので、ステップS17において全てのカセット情報にカセット扉開閉履歴が存在しないことが判定され、窓口現金処理機1を用いた取引処理等の再開が可能になる。
【0101】
このように本実施例において、カセット扉開エラーの場合に取引処理等の再開を可能にするのは、補充処理または回収処理の実行中の補充回収カセットや、保守作業後の入出金カセット14のように、正常に補充処理や回収処理、取引処理を行うことができる環境を整えられた場合に取引処理等の再開を可能にし、補充処理や回収処理、保守作業の作業効率を向上させて、窓口現金処理機1の稼動効率を向上させるためであり、取引処理等の再開後の精査時等に違算が発生したとしても、カセット扉開情報を記憶部8に保存してあるので、その原因の究明が可能になるからである。
【0102】
S24、金庫ユニット28に装着されている入出金カセット14および補充回収カセット21によって取引処理等の再開が可能であることを認識した制御部7は、上記ステップS2で読取った各入出金カセット14および補充回収カセット21のカセットIDを、取外し前情報として記憶部8の取外し前情報格納エリアに格納して更新し、金庫ユニット確認処理を終了させて取引処理等の実行に移行する。
【0103】
上記のように、本実施例の金庫ユニット確認処理においては、複数の入出金カセット14にカセットIDを記録した記録部を設けておき、各入出金カセット14のカセットIDを読取ったときに、取外し前情報のカセットIDと一致しないカセットIDが記憶された入出金カセット14が存在する場合は、ID不一致エラーの発生を判定して、ID不一致情報を格納すると共に、取外し前情報の当該入出金カセット14のカセットIDを読取ったカセットIDに書替え、エラー画面の表示後に、リセットボタンの押下によるエラー情報の解除指示を受付けたときに、再度カセット情報を読取るようにしたので、入替え後等の入出金カセット14の装着位置の再確認を促すことが可能になり、入出金カセット14等の装着位置を正しい位置に確実に戻して、装着されている入出金カセット14へ異なった金種の紙幣が収納されることを防止することができると共に、予備の入出金カセット14に交換した場合のように、正常に取引処理等を行うことができる環境が整えられた場合に取引処理等の再開が可能になり、窓口現金処理機1の稼動効率を向上させることができる他、保存したID不一致情報によって、精査時等に違算が発生した場合の原因の究明を容易に行うことができる。
【0104】
また、制御部7がエラー画面の表示後に、リセットボタンの押下信号を受付けるまでの間は、入出金カセット14や補充回収カセット21からのカセット情報の読取りを行わないので、ジャム紙幣の保守作業中、紙幣の補充、回収のための作業中、エラー発生時の作業中等に、窓口担当者等が引出したままの金庫ユニット28に間違った入出金カセット14等を装着したとしても、その都度エラー画面が表示されることはなく、リセットボタンの押下前に、正しい入出金カセット14等に戻せば、正常に取引処理等を再開することができ、前記各作業中の煩わしさを解消してそれらの作業効率を向上させることができる。
【0105】
更に、入出金カセット14のID不一致エラーやカセット扉開エラーが発生した場合に、ID不一致情報やカセット扉開情報を記憶部に保存しておくので、精査時等に違算が発生した場合に、その原因の究明を容易に行うことができると共に、入出金カセット14のすり替えや収納紙幣の抜取り等の不正行為を抑止することができる。
【0106】
以上説明したように、本実施例では、窓口現金処理機の金庫ユニットに着脱可能に装着された複数の入出金カセットにカセットIDを記録した記録部を設け、各入出金カセットから読取ったカセットIDに、取外し前情報のカセットIDと一致しないカセットIDが記憶された入出金カセットが存在する場合にID不一致エラーの発生を判定して、そのエラーの種類と取外し前情報のカセットIDと読取ったカセットIDとをID不一致情報として格納すると共に、取外し前情報の当該入出金カセットのカセットIDを読取ったカセットIDに書替えて、エラーの種類と当該入出金カセットの装着位置とを表示したエラー情報を表示し、リセットボタンの押下によってエラー情報の解除指示を受付けたときは、再度カセット情報を読取るようにしたことによって、入替え後等の入出金カセットの装着位置の再確認を促して、入出金カセットの装着位置を正しい位置に確実に戻すことができ、装着されている入出金カセットへ異なった金種の紙幣が収納されることを防止することができると共に、正常に取引処理等を行うことができる環境が整えられた場合に取引処理等の再開を可能にして、窓口現金処理機の稼動効率を向上させることができる他、保存したID不一致情報によって、精査時等に違算が発生した場合の原因の究明を容易に行うことができる。
【0107】
なお、上記実施例においては、入出金カセットは4つ設けるとして説明したが、入出金カセットの数は3以上であれば、いくつであってもよい。
【0108】
また、上記実施例においては、入出金カセットに設ける開閉検知スイッチは2つとして説明したが、開閉検知スイッチの数は1以上であれば、いくつであってもよい。
【0109】
更に、上記実施例においては、窓口現金処理機に本発明を適用した場合を例に説明したが、現金自動預払機や券売機等の、入出金カセットを着脱可能に装着した現金処理機であれば、どのよう現金処理機に適用しても本発明と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0110】
1 窓口現金処理機
2 操作端末
3 通信回線
4 ホストコンピュータ
5 通信ネットワーク
7 制御部
8 記憶部
9 操作表示部
11 入金口
11a、23a シャッタ
12 鑑別部
13 一時保留部
14 入出金カセット
15 把手
16 ステージ
17 カセット扉
18 開閉検知スイッチ
19 コネクタ部
21 補充回収カセット
22 リジェクト部
23 出金口
24 搬送路
25 切替機構
26 搬送部
28 金庫ユニット
29 金庫扉
31 金庫扉開閉検出センサ
32 カセット情報取扱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カセット識別子を記録した記録部を有する複数の収納カセットを着脱可能に装着した金庫ユニットを備えた現金処理機において、
装着されている前記収納カセットの装着位置に対応させて、その収納カセットのカセット識別子を、取外し前情報として格納する手段と、
前記各収納カセットの前記カセット識別子を、カセット情報として読取る手段と、
読取った前記カセット情報に、前記取外し前情報のカセット識別子と一致しないカセット識別子が存在する場合に、識別子不一致エラーの発生を判定する手段と、
判定したエラーの種類と、前記取外し前情報のカセット識別子と、読取ったカセット識別子とを識別子不一致情報として保存する手段と、
前記取外し前情報の当該収納カセットのカセット識別子を、読取ったカセット識別子に書替える手段と、
判定したエラーの種類と、当該収納カセットの装着位置とを表示したエラー情報を表示する手段と、
前記エラー情報の表示後に、前記エラー情報の解除指示を受付けたときは、前記カセット情報を再度読取る手段と、を備えることを特徴とする現金処理機。
【請求項2】
請求項1において、
前記収納カセットに、カセット扉の開閉履歴を保持する電気回路を設け、
前記カセット情報の読取時に、前記カセット扉の開閉履歴を加えたカセット情報を読取り、
読取った前記カセット情報に、カセット扉の開閉履歴が存在する場合に、カセット扉開エラーの発生を判定する手段と、
前記エラーの種類と、当該収納カセットのカセット識別子とをカセット開情報として保存する手段と、
当該収納カセットのカセット扉の開閉履歴を消去する手段と、を備えることを特徴とする現金処理機。
【請求項3】
請求項2において、
前記収納カセットが補充回収カセットであって、前記補充回収カセットを用いた補充処理の実行中である場合は、前記カセット扉開エラーの発生の判定を行わないことを特徴とする現金処理機。
【請求項4】
請求項2において、
前記収納カセットが補充回収カセットであって、前記補充回収カセットを用いた回収処理の実行中である場合は、前記カセット扉開エラーの発生の判定を行わないことを特徴とする現金処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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