説明

環形蛍光ランプおよび照明器具

【課題】 ランプの非発光部が目立たない構造の環形蛍光ランプおよび照明器具を提供する。
【解決手段】 本環形蛍光ランプは、両端部2が同一方向に折り曲げられた環形の発光管1と、この折り曲げられた両発光管端部2を覆う口金3と、この口金3の外側であって両発光管端部2に隣接した環形の発光管1内にそれぞれ配置された電極6、7とを備える。発光管端部2は、環形の発光管1の環平面に対して約90度折り曲げ、または環形の発光管の環平面と同じ平面で約90度折り曲げて形成することができる。発光管端部間の空間部の距離は、0〜15mmとすることが好ましい。このような環形蛍光ランプを備えることで、明暗の少ないランプによる照明を可能とする照明器具が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は環形蛍光ランプおよび照明器具に係り、特に非発光部を目立たなくした環形蛍光ランプおよび照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環形蛍光ランプは、環状に曲がった発光管の両端部に電極を具備しており、それぞれの発光管端部から出ているリード線を口金に設けられたピンと接続した構造となっている。この口金は、発光管の外径寸法より大きい円筒形の構造をしており、発光管の両端と連結して固定するものであり、ランプ外観は連続した環状の形状をなしている。
【0003】
また、電極が具備されている発光管端部には、発光管内に導入しているリード線が存在する他に、発光管内を真空に近い状態にするために用いた排気管も残っている。さらに、この発光管端部は、発光管内を真空に近い状態に排気し、その状態を保つために、蛍光体がきれいに剥離された状態となっている。
【0004】
近年では、従来の発光管外径が29mmの環形蛍光ランプに加え、省エネルギー、省資源に対応した発光管外径が20mmの2重環形蛍光ランプや16mmの環形蛍光ランプが普及してきており、発光管表面の輝度も高くなっている。このような細径の環形蛍光ランプについては例えば特許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開平11−3682号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、発光管外径寸法が小さくなることにより、発光管の表面輝度が高くなってきているが、輝度が高くなるに従って、口金構成部品による非発光部の暗さが目立ってくる。非発光部は口金構成部品の影響もあるが、発光管の電極が封止してある発光管端部の距離があるため、口金構成部品を透明の材料に変更しても、暗さは解決できない。さらに、発光管外径寸法が小さくなることにより、環形蛍光ランプはコンパクトで薄くなり、点灯器具も薄型で天井直付け構造が主流となっている。天井直付けの器具は白色のプラスチック材料でランプを覆う構造となっており、プラスチック材料を透してランプを見ると、口金部分の非発光部の暗さがはっきりと判り、環形蛍光ランプの円周の一部が欠けたシルエットとなるため、美観上改善の余地がある。
【0006】
従って本発明の目的は、ランプの非発光部が目立たない構造の環形蛍光ランプおよび照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を解決するため、本発明者は、電極が封止されている発光管端部の距離を短くすること、および口金構成部品が発光管の外径全周を覆う構造ではなく、発光管の外周の一部で口金を取り付けることが可能な環形蛍光ランプと口金の構造を検討した。これまで発光管端部の距離を短くできなかった原因は、発光管端部周辺に残っている排気管が端面から飛び出ており、排気管が残っている端面がもう一方の端面に接触するためである。従って本発明では、排気管が残っている端面がもう一方の端面に接触しない構造とすることで、距離を短くする。具体的には、環状に曲げた発光管の円周上から外した位置に排気管を設けるものである。さらに、口金の材質は一般的にはプラスチック等の合成樹脂であり、かつ電極近傍はランプ点灯中温度が高くなるため、樹脂の変色や変形等の劣化を防止するために、電極は口金の外側の環形の発光管内に配置し、口金の中に電極が入り込まない構造とした。
【0008】
即ち、上記目的は、両端部が同一方向に折り曲げられた環形の発光管と、前記折り曲げられた両発光管端部を覆う口金と、前記口金の外側であって前記両発光管端部に隣接した前記環形の発光管内にそれぞれ配置された電極とを備えた環形蛍光ランプにより、達成される。
【0009】
ここで、前記発光管端部は、前記環形の発光管の環平面に対して約90度折り曲げ、または前記環形の発光管の環平面と同じ平面で約90度折り曲げて形成することができる。また、前記発光管端部間の空間部の距離は、0〜15mmとすることが好ましい。
さらに、本発明に係る照明器具は、上述した環形蛍光ランプと、前記環形蛍光ランプを点灯するための点灯回路とを備えたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ランプの非発光部が目立たない構造の環形蛍光ランプおよび照明器具を得ることができる。すなわち、発光管の端部の排気管を環円周上以外の位置に設けることにより、発光管が不連続となる空間部の距離を短くすることができ、明暗の少ない環形蛍光ランプを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る環形蛍光ランプおよび照明器具の実施例を図面にしたがって説明する。図中に記載する参照符号は全て共通符号とする。図中の、参照符号1は発光管、2は電極を封止するための発光管端部、3は口金、4は口金ピン、5はリード線、6および7は電極(フィラメント電極)、8は発光管1の環円周が不連続となる空間部、10は照明器具、11は器具本体、12は環形蛍光ランプを点灯するための点灯回路、13は取付部材、14は樹脂製の透光性カバーである。
【実施例1】
【0012】
図1は本発明に係る環形蛍光ランプの一実施例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図2は図1の環形蛍光ランプから口金を取り外した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図1および図2に示すように、発光管1は環形に湾曲しており、その両端部は発光管1の環円周外へ折り曲げられ、電極を封止するための発光管端部2を形成する。本実施例では、発光管端部2は発光管1の環平面に対して約90度折り曲げられる。このようにして、電極を封止するための発光管端部2は、発光管1の環円周上に存在していない構造とされる。一方、電極6および7は、発光管端部2ではなく、口金3の外側であって各発光管端部2に隣接した環形の発光管1内にそれぞれ配置される。これにより、口金3はランプ点灯中温度が高くなる電極近傍から距離を置くことができ、口金3の材質が合成樹脂の場合でも、その変色や変形等の劣化を防止することができる。
【0013】
図1および図2に示した構造の環形蛍光ランプは以下の方法で製作した。まず、直管のガラス管の内面を洗浄し、乾燥させた後、公知の方法にて、保護膜、蛍光体を塗布乾燥させる。その後、保護膜、蛍光体層に含まれているバインダを公知の方法にて焼成する。焼成したガラス管の端部2に付着している蛍光体を公知の方法にて拭き取り、予め公知の方法により作成しておいたリード線5に接続された電極6、7を両端部2に封止する。電極6を封止した一方の端部2で電極が設けられている周辺部を加工し、約90度折り曲げる。電極7を封止した他方の端部2も同様に、同じ方向に約90度折り曲げる。その後、ガラス管全体を加熱し、折り曲げた管端部2が環平面に対して約90度の方向に位置するように、環形形状に加工する。その際、折り曲げた管端部2間、すなわち環円周が不連続となる空間部8の距離を本例では10mmにあわせる。その後、公知の方法にて、電極の活性化、ガラス管内排気、希ガス封入、水銀封入し、発光管1を作成する。この発光管1に口金ピン4を具備した口金3を取り付ける。口金3と発光管1の接着はシリコーン系の接着剤またはセメント系の接着剤の何れでも良い。なお、空間部8には、管端部2間を安定保持するために、図示しない緩衝部材を設けることができる。
【0014】
本実施例に係る環形蛍光ランプを点灯装置を用いて点灯したところ、不連続となっている10mmの空間部8における非発光部の暗さは目立たず、ほとんど違和感がなかった。また、プラスチック材料を透して見た本ランプも同様に違和感がなかった。
【実施例2】
【0015】
図3は本発明に係る環形蛍光ランプの他の実施例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図4は図3の環形蛍光ランプから口金を取り外した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。図3および図4に示すように、発光管1は環形に湾曲しており、その両端部は発光管1の環円周外へ折り曲げられ、電極を封止するための発光管端部2を形成する。本実施例では、発光管端部2は発光管1の環平面と同じ平面で約90度折り曲げられる。この場合、側面から見て、ランプの厚みを発光管の外径とほぼ同じくらい薄くすることができる。発光管端部2の方向は本実施例では環外に向いているが、環内に向けることもできる。このようにして、電極を封止するための発光管端部2は、発光管1の環円周上に存在していない構造とされる。一方、電極6および7は、発光管端部2ではなく、口金3の外側であって各発光管端部2に隣接した環形の発光管1内に配置される。これにより、口金3はランプ点灯中温度が高くなる電極近傍から距離を置くことができ、口金3の材質が合成樹脂の場合でも、その変色や変形等の劣化を防止することができる。
【0016】
図3および図4に示した構造の環形蛍光ランプは、ガラス管を環形形状に加工する時、折り曲げた管端部の方向が異なる以外、実施例1と同じ方法で製作した。折り曲げた管端部間、すなわち環円周が不連続となる空間部8の距離は本実施例においても10mmにあわせた。
【0017】
本実施例に係る環形蛍光ランプを点灯装置を用いて点灯したところ、不連続となっている10mmの空間部8における非発光部の暗さは目立たず、ほとんど違和感がなかった。また、プラスチック材料を透して見た本ランプも同様に違和感がなかった。
【0018】
上記実施例1、2では、折り曲げた管端部2間、すなわち環円周が不連続となる空間部8の距離を10mmとしたが、この距離を1mmずつ増やして同様な環形蛍光ランプを製作し、点灯し、非発光部の暗さの違和感を調べた。その結果、空間部8の距離が15mmまでは問題なかったが、空間部8の距離を16mmとしたとき、非発光部は違和感がある暗さとなり、プラスチック材料を透して見ると、さらにはっきりと暗さを感じるようになった。空間部8の距離を17mm以上としたときはその違和感が増加した。したがって、環円周が不連続となる空間部8の距離は15mm以下とすることが好ましい。空間部8の距離は0mmでもよいが、両電極間の干渉を避けるため多少の距離、例えば1mm程度の距離を設けた方がさらに好ましい。
【実施例3】
【0019】
図5は本発明に係る環形蛍光ランプを備えた照明器具の一実施例を示す側面図である。本実施例においては、天井直付けの照明器具を例にとって説明するが、これに限定されることはなく、吊下げ式照明器具やその他の照明器具でも適用可能である。本実施例では、実施例1の環形蛍光ランプ1を用いている。図示のように、照明器具10は、環形蛍光ランプ1と、器具本体11と、環形蛍光ランプ1を点灯するための点灯回路12とを有する。環形蛍光ランプ1は口金3の口金ピンにより点灯回路12に接続される。また、環形蛍光ランプ1は複数の取付部材13により器具本体11に取り付けられ、樹脂製の透光性カバー14で覆われる。
【0020】
本発明によれば、口金3は環形の発光管1外に配置されているので、従来口金部分で生じていた非発光部の暗さのない、ほぼ均一の明るさを有する環形蛍光ランプを備えた照明器具を提供することができる。
【0021】
以上のように、本発明の環形蛍光ランプは、両端部2が同一方向に折り曲げられた環形の発光管1と、この折り曲げられた両発光管端部2を覆う口金3と、この口金3の外側であって両発光管端部2に隣接した環形の発光管1内にそれぞれ配置された電極6、7とを備えるものであり、これによりランプの非発光部の暗さが目立たない構造の環形蛍光ランプを得ることができる。発光管端部2間の空間部8の距離は、0〜15mmとすることが好ましく、さらに好ましくは1mm〜15mmである。蛍光ランプの細経化や器具の薄形化が進むにつれ、従来製品では口金部の暗さが目立つが、本発明の環形蛍光ランプを備えた照明器具によれば、発光部と非発光部の輝度差が解消されるので、明暗の少ないランプによる照明が可能となり、美観上有利である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は環形蛍光ランプおよび照明器具に係り、特に非発光部を目立たなくした環形蛍光ランプおよび照明器具に関するものであり、産業上の利用可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る環形蛍光ランプの一実施例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図2】図1の環形蛍光ランプから口金を取り外した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図3】本発明に係る環形蛍光ランプの他の実施例を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】図3の環形蛍光ランプから口金を取り外した状態を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図5】本発明に係る環形蛍光ランプを備えた照明器具の一実施例を示す側面図である。
【符号の説明】
【0024】
1 発光管
2 発光管端部
3 口金
4 口金ピン
5 リード線
6、7 電極
8 発光管の環円周が不連続となる空間部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端部が同一方向に折り曲げられた環形の発光管と、前記折り曲げられた両発光管端部を覆う口金と、前記口金の外側であって前記両発光管端部に隣接した前記環形の発光管内にそれぞれ配置された電極とを備えたことを特徴とする環形蛍光ランプ。
【請求項2】
前記発光管端部が、前記環形の発光管の環平面に対して約90度折り曲げられたことを特徴とする請求項1記載の環形蛍光ランプ。
【請求項3】
前記発光管端部が、前記環形の発光管の環平面と同じ平面で約90度折り曲げられたことを特徴とする請求項1記載の環形蛍光ランプ。
【請求項4】
前記発光管端部間の空間部の距離が、0〜15mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の環形蛍光ランプ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の環形蛍光ランプと、前記環形蛍光ランプを点灯するための点灯回路とを備えたことを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−196322(P2006−196322A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−7043(P2005−7043)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000005474)日立ライティング株式会社 (130)
【Fターム(参考)】