生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置
【課題】生コンクリートの再振動時期を気温、天候によるバラツキがあっても、最適な時期を検出し表示して、最適な状態で再振動を行なうことができるとともに、簡単に設置して楽に使用することができる生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置を得る。
【解決手段】生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とで生コンクリートの再振動時期判定方法を構成する。
【解決手段】生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とで生コンクリートの再振動時期判定方法を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生コンクリートの打設時に振動を与えるとともに、一定時間後に再び振動を与えることで、密実で耐久性の高いコンクリートを得る場合に使用する生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートの打設後に行う再振動締固めの開始タイミングは、打設した生コンクリートに指を差し込んで抜き去った時にできる指穴が壊れることなく、該指穴の底面に水が溜まり始めたことを目視で確認して再振動を行っていた。
【0003】
しかしながら、生コンクリートの硬化時間は気温や天候のみならず、コンクリートの種類や用いる材料によって大きくバラツキがあり、水の溜りが一様にできないので、適切な再振動時期の判断が困難で、定性的な評価であり、定量的・客観的な根拠として提示できなかった。
【0004】
また、作業者によって再振動時期の判断にバラツキが生じ、必ずしも最適なタイミングで再振動を行うことができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−276342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、生コンクリートの再振動時期を気温、天候によるバラツキがあっても、作業者の勘に頼ることなく、最適な時期を検出して表示して知らせ、最適なタイミングで再振動を行うことができるとともに、簡単に設置して使用することができる生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の特徴を添付図面を参照しながら説明する。
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、本発明は打設した生コンクリートの再振動時期を判定する方法であって、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とで生コンクリートの再振動時期判定方法を構成している。
【0009】
また、本発明はケース体と、このケース体よりセンサ部が突出するように、該ケース体に設けられた打設した生コンクリートの粘度を測定する粘度計と、この粘度計からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置と、この演算装置からの出力信号が入力されると生コンクリートの再振動締固め時期であることを表示する前記ケース体に設けられた表示装置とで生コンクリートの再振動時期判定装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1) 請求項1により、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定し、該閾値と現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値とを比較し、実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定しているので、作業者の勘に頼ることなく客観的に生コンクリートの再振動締固め時期を判定することができる。
(2) 請求項2により、従来の指差し法による再振動締固め時期の判定では、適切な再振動時期の判断が困難で、定性的で作業者の勘に頼っていた。打設された生コンクリートの粘度を音叉型振動式粘度計を用いて実測することにより、気温、天候およびコンクリートの種類が異なっても、確実に再振動締固め開始時期を判定できる。
(3) 請求項3により、打設した生コンクリートの粘度が設定された閾値にあるときに、演算装置からの信号が表示装置に入力されて、表示装置で生コンクリートの再振動締固め時期であることが表示される。
したがって、表示装置の表示で生コンクリートの再振動時期がわかり、再振動を最適な時期に行なって密実かつ耐久性の高いコンクリートを提供することができる。
(4)前記(3)によって、打設した生コンクリートの粘度を粘度計によって測定しているので、気温、天候およびコンクリートの種類や用いる材料によって生コンクリートの硬化の進行具合にバラツキが生じても、確実に再振動効果が発揮される粘度を検知して生コンクリートの再振動締固め時期を、表示装置で表示することができる。
したがって、生コンクリートの再振動締固め時期を、指差し法等による作業者の勘に頼ることなく定量的に数値を表示して知らせることができる。
(5)前記(3)により、打設した生コンクリートの粘度が測定できるように粘度計を設置するだけでよく、簡便な方法で、かつ誰でもが客観的に生コンクリートの再振動時期を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図である。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の概略ブロック図。
【図5】生コンクリート打設経過時間と粘度との関係を示す説明図。
【図6】再振動時期が検出され、再振動を行なう時の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の側面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の概略ブロック図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、打設した生コンクリートの再振動時期判定方法Aは、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と指差し法により判断される再振動開始時期との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程Bと、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程Cと、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程Cで測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程Bで設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程Dと、この実測値と閾値の比較工程Dで実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程Eとで構成されている。
【0014】
このような打設した生コンクリートの再振動時期判定方法Aは、図6に示すような生コンクリートの再振動時期判定装置1を使用して行うことができる。生コンクリートの再振動時期判定装置1は、ケース体2と、このケース体2より先端部が突出するように設けられたセンサ部3、3と該ケース体2に設けられた打設した生コンクリート4の粘度を測定する音叉型振動式粘度計5と、前記ケース体2よりセンサ部6が突出するように設けられた打設された生コンクリート4の温度を測定する温度センサ7と、この温度センサ7のセンサ部6および、前記粘度計5のセンサ部3を覆い、生コンクリート4の骨材を除去するモルタル濾編8と、前記粘度計5からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置9と、前記温度センサ7からの温度をリアルタイムに測定し、再振動予想時期を計算する前記演算装置9に設けられた再振動予想回路10と、前記演算装置9からの出力信号が入力される生コンクリートの再振動時期および再振動予想時期を表示する表示装置11と、前記ケース体2に取付けられた、持ち運ぶための取っ手12とで構成されている。
【0015】
前記表示装置11は生コンクリート4の再振動時期は、前記ケース体2に設けたライト13の点滅で表示し、再振動予想時期は前記ケース体2に設けられたディスプレー14で表示するものである。
【0016】
ディスプレー14には打設した生コンクリート4の温度と粘度を表示できるようにしてもよい。
【0017】
なお、前記粘度計5で打設した生コンクリート4の粘度(パスカル秒)が設定された閾値にあるとき前記演算装置9で表示装置11へ出力信号を出すように設定したのは、図5に示すように実験結果から、粘度(パスカル秒)が2〜4で、再振動をさせることにより、確実に密実で耐久性の高いコンクリートを打設することができるからである。特に粘度(パスカル秒)が2に達してから50分以内に再振動するとすれば、熟練者による再振動締め固めの判定時期と良く一致することが確認されている。
【0018】
上記構成の生コンクリートの再振動時期判定装置1はバイブレーター15で振動を与えながら生コンクリート4を打設する。生コンクリート4の打設が終了すると、モルタル濾編8を打設した生コンクリート4へ挿し込む。
【0019】
この状態で装置をONにすると、粘度計5のセンサ部3で粘度を測定するとともに、温度センサ7のセンサ部6で温度をリアルタイムに測定し、表示装置11のディスプレー14に表示するとともに、温度センサ7で測定した温度より演算装置9の再振動予想回路10で予想した再振動予想時期をディスプレー14に表示する。
【0020】
また、粘度計5で打設した生コンクリート4の粘度(パスカル秒)が2〜4を測定すると、演算装置9が表示装置11へ出力信号を出し、該表示装置11のライト13を点滅させて再振動による締固めするための時期であることを表示する。
【0021】
表示装置11でライト13の点滅があると、バイブレーター15を作動させて打設した生コンクリート4に再振動を与え、密実で耐久性の高いコンクリートを打設する。
【0022】
なお、表示装置11のディスプレー14で表示される再振動予想時期の表示によって、再振動する時期をおおざっぱに知ることができ、効率よく生コンクリート打設現場作業を行なうことができる。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、点滅するライト13と告知音を出すブザー16のいずれか、本発明の実施の形態では両方を備えた表示装置11Aを用いた点で、このような表示装置11Aを用いて構成した生コンクリートの再振動時期判定装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、温度センサを使用しない粘度計5からの測定信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに表示装置11へ出力信号を出力して表示させる演算装置9Aを用いた点で、このように構成することにより、演算装置9Aが容易で安価なものが使用でき、コストの低減を図ることができる生コンクリートの再振動時期判定装置1Bにできる。
【0026】
なお、前記本発明を実施するための各形態では音叉型振動式粘度計5を用いるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、生コンクリートの粘度を測定できるものであれば、どんな構造のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は生コンクリートを打設する作業を行なう産業で利用される。
【符号の説明】
【0028】
A:打設した生コンクリートの再振動時期判定方法、
B:粘度の閾値を設定する工程、
C:打設された生コンクリートの粘度の実測工程、
D:実測値と閾値の比較工程、
E:再振動実行時期と判定する判定工程、
1、1A、1B:生コンクリートの再振動時期判定装置、
2:ケース体、 3:センサ部、
4:生コンクリート、 5:粘度計、
6:センサ部、 7:温度センサ、
8:モルタル濾編、 9、9A:演算装置、
10:再振動予想回路、 11、11A:表示装置、
12:取っ手、 13:ライト、
14:ディスプレー、 15:バイブレーター、
16:ブザー。
【技術分野】
【0001】
本発明は生コンクリートの打設時に振動を与えるとともに、一定時間後に再び振動を与えることで、密実で耐久性の高いコンクリートを得る場合に使用する生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生コンクリートの打設後に行う再振動締固めの開始タイミングは、打設した生コンクリートに指を差し込んで抜き去った時にできる指穴が壊れることなく、該指穴の底面に水が溜まり始めたことを目視で確認して再振動を行っていた。
【0003】
しかしながら、生コンクリートの硬化時間は気温や天候のみならず、コンクリートの種類や用いる材料によって大きくバラツキがあり、水の溜りが一様にできないので、適切な再振動時期の判断が困難で、定性的な評価であり、定量的・客観的な根拠として提示できなかった。
【0004】
また、作業者によって再振動時期の判断にバラツキが生じ、必ずしも最適なタイミングで再振動を行うことができないという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−276342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、生コンクリートの再振動時期を気温、天候によるバラツキがあっても、作業者の勘に頼ることなく、最適な時期を検出して表示して知らせ、最適なタイミングで再振動を行うことができるとともに、簡単に設置して使用することができる生コンクリートの再振動時期判定方法および生コンクリートの再振動時期判定装置を提供することを目的としている。
【0007】
本発明の特徴を添付図面を参照しながら説明する。
ただし、図面はもっぱら説明のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的を達成するために、本発明は打設した生コンクリートの再振動時期を判定する方法であって、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とで生コンクリートの再振動時期判定方法を構成している。
【0009】
また、本発明はケース体と、このケース体よりセンサ部が突出するように、該ケース体に設けられた打設した生コンクリートの粘度を測定する粘度計と、この粘度計からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置と、この演算装置からの出力信号が入力されると生コンクリートの再振動締固め時期であることを表示する前記ケース体に設けられた表示装置とで生コンクリートの再振動時期判定装置を構成している。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1) 請求項1により、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定し、該閾値と現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値とを比較し、実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定しているので、作業者の勘に頼ることなく客観的に生コンクリートの再振動締固め時期を判定することができる。
(2) 請求項2により、従来の指差し法による再振動締固め時期の判定では、適切な再振動時期の判断が困難で、定性的で作業者の勘に頼っていた。打設された生コンクリートの粘度を音叉型振動式粘度計を用いて実測することにより、気温、天候およびコンクリートの種類が異なっても、確実に再振動締固め開始時期を判定できる。
(3) 請求項3により、打設した生コンクリートの粘度が設定された閾値にあるときに、演算装置からの信号が表示装置に入力されて、表示装置で生コンクリートの再振動締固め時期であることが表示される。
したがって、表示装置の表示で生コンクリートの再振動時期がわかり、再振動を最適な時期に行なって密実かつ耐久性の高いコンクリートを提供することができる。
(4)前記(3)によって、打設した生コンクリートの粘度を粘度計によって測定しているので、気温、天候およびコンクリートの種類や用いる材料によって生コンクリートの硬化の進行具合にバラツキが生じても、確実に再振動効果が発揮される粘度を検知して生コンクリートの再振動締固め時期を、表示装置で表示することができる。
したがって、生コンクリートの再振動締固め時期を、指差し法等による作業者の勘に頼ることなく定量的に数値を表示して知らせることができる。
(5)前記(3)により、打設した生コンクリートの粘度が測定できるように粘度計を設置するだけでよく、簡便な方法で、かつ誰でもが客観的に生コンクリートの再振動時期を知ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の工程図である。
【図2】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の側面図。
【図4】本発明を実施するための第1の形態の概略ブロック図。
【図5】生コンクリート打設経過時間と粘度との関係を示す説明図。
【図6】再振動時期が検出され、再振動を行なう時の説明図。
【図7】本発明を実施するための第2の形態の正面図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の側面図。
【図9】本発明を実施するための第2の形態の概略ブロック図。
【図10】本発明を実施するための第3の形態の正面図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の側面図。
【図12】本発明を実施するための第3の形態の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0013】
図1ないし図6に示す本発明を実施するための第1の形態において、打設した生コンクリートの再振動時期判定方法Aは、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と指差し法により判断される再振動開始時期との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程Bと、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程Cと、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程Cで測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程Bで設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程Dと、この実測値と閾値の比較工程Dで実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程Eとで構成されている。
【0014】
このような打設した生コンクリートの再振動時期判定方法Aは、図6に示すような生コンクリートの再振動時期判定装置1を使用して行うことができる。生コンクリートの再振動時期判定装置1は、ケース体2と、このケース体2より先端部が突出するように設けられたセンサ部3、3と該ケース体2に設けられた打設した生コンクリート4の粘度を測定する音叉型振動式粘度計5と、前記ケース体2よりセンサ部6が突出するように設けられた打設された生コンクリート4の温度を測定する温度センサ7と、この温度センサ7のセンサ部6および、前記粘度計5のセンサ部3を覆い、生コンクリート4の骨材を除去するモルタル濾編8と、前記粘度計5からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置9と、前記温度センサ7からの温度をリアルタイムに測定し、再振動予想時期を計算する前記演算装置9に設けられた再振動予想回路10と、前記演算装置9からの出力信号が入力される生コンクリートの再振動時期および再振動予想時期を表示する表示装置11と、前記ケース体2に取付けられた、持ち運ぶための取っ手12とで構成されている。
【0015】
前記表示装置11は生コンクリート4の再振動時期は、前記ケース体2に設けたライト13の点滅で表示し、再振動予想時期は前記ケース体2に設けられたディスプレー14で表示するものである。
【0016】
ディスプレー14には打設した生コンクリート4の温度と粘度を表示できるようにしてもよい。
【0017】
なお、前記粘度計5で打設した生コンクリート4の粘度(パスカル秒)が設定された閾値にあるとき前記演算装置9で表示装置11へ出力信号を出すように設定したのは、図5に示すように実験結果から、粘度(パスカル秒)が2〜4で、再振動をさせることにより、確実に密実で耐久性の高いコンクリートを打設することができるからである。特に粘度(パスカル秒)が2に達してから50分以内に再振動するとすれば、熟練者による再振動締め固めの判定時期と良く一致することが確認されている。
【0018】
上記構成の生コンクリートの再振動時期判定装置1はバイブレーター15で振動を与えながら生コンクリート4を打設する。生コンクリート4の打設が終了すると、モルタル濾編8を打設した生コンクリート4へ挿し込む。
【0019】
この状態で装置をONにすると、粘度計5のセンサ部3で粘度を測定するとともに、温度センサ7のセンサ部6で温度をリアルタイムに測定し、表示装置11のディスプレー14に表示するとともに、温度センサ7で測定した温度より演算装置9の再振動予想回路10で予想した再振動予想時期をディスプレー14に表示する。
【0020】
また、粘度計5で打設した生コンクリート4の粘度(パスカル秒)が2〜4を測定すると、演算装置9が表示装置11へ出力信号を出し、該表示装置11のライト13を点滅させて再振動による締固めするための時期であることを表示する。
【0021】
表示装置11でライト13の点滅があると、バイブレーター15を作動させて打設した生コンクリート4に再振動を与え、密実で耐久性の高いコンクリートを打設する。
【0022】
なお、表示装置11のディスプレー14で表示される再振動予想時期の表示によって、再振動する時期をおおざっぱに知ることができ、効率よく生コンクリート打設現場作業を行なうことができる。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図7ないし図12に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図7ないし図9に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、点滅するライト13と告知音を出すブザー16のいずれか、本発明の実施の形態では両方を備えた表示装置11Aを用いた点で、このような表示装置11Aを用いて構成した生コンクリートの再振動時期判定装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図10ないし図12に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、温度センサを使用しない粘度計5からの測定信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに表示装置11へ出力信号を出力して表示させる演算装置9Aを用いた点で、このように構成することにより、演算装置9Aが容易で安価なものが使用でき、コストの低減を図ることができる生コンクリートの再振動時期判定装置1Bにできる。
【0026】
なお、前記本発明を実施するための各形態では音叉型振動式粘度計5を用いるものについて説明したが、本発明はこれに限らず、生コンクリートの粘度を測定できるものであれば、どんな構造のものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は生コンクリートを打設する作業を行なう産業で利用される。
【符号の説明】
【0028】
A:打設した生コンクリートの再振動時期判定方法、
B:粘度の閾値を設定する工程、
C:打設された生コンクリートの粘度の実測工程、
D:実測値と閾値の比較工程、
E:再振動実行時期と判定する判定工程、
1、1A、1B:生コンクリートの再振動時期判定装置、
2:ケース体、 3:センサ部、
4:生コンクリート、 5:粘度計、
6:センサ部、 7:温度センサ、
8:モルタル濾編、 9、9A:演算装置、
10:再振動予想回路、 11、11A:表示装置、
12:取っ手、 13:ライト、
14:ディスプレー、 15:バイブレーター、
16:ブザー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
打設した生コンクリートの再振動時期を判定する方法であって、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とを含むことを特徴とする生コンクリートの再振動時期判定方法。
【請求項2】
打設された生コンクリートの粘度の実測工程は音叉型振動式粘度計を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の生コンクリートの再振動時期判定方法。
【請求項3】
ケース体と、このケース体よりセンサ部が突出するように、該ケース体に設けられた打設した生コンクリートの粘度を測定する粘度計と、この粘度計からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置と、この演算装置からの出力信号が入力されると生コンクリートの再振動締固め時期であることを表示する前記ケース体に設けられた表示装置とからなることを特徴とする生コンクリートの再振動時期判定装置。
【請求項1】
打設した生コンクリートの再振動時期を判定する方法であって、予め、打設時から生コンクリートの粘度の経時変化と再振動の結果との相関関係から再振動実行時期に適した粘度の閾値を設定する工程と、現場において打設された生コンクリートの粘度の実測値を測定する打設された生コンクリートの粘度の実測工程と、この打設された生コンクリートの粘度の実測工程で測定した粘度の実測値と前記粘度の閾値を設定する工程で設定された閾値とを比較する実測値と閾値の比較工程と、この実測値と閾値の比較工程で実測値と閾値が適合したときに再振動実行時期と判定する判定工程とを含むことを特徴とする生コンクリートの再振動時期判定方法。
【請求項2】
打設された生コンクリートの粘度の実測工程は音叉型振動式粘度計を用いて行うことを特徴とする請求項1記載の生コンクリートの再振動時期判定方法。
【請求項3】
ケース体と、このケース体よりセンサ部が突出するように、該ケース体に設けられた打設した生コンクリートの粘度を測定する粘度計と、この粘度計からの信号が入力され、この信号が設定された閾値にあるときに出力信号を出す、前記ケース体に設けられた演算装置と、この演算装置からの出力信号が入力されると生コンクリートの再振動締固め時期であることを表示する前記ケース体に設けられた表示装置とからなることを特徴とする生コンクリートの再振動時期判定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36162(P2013−36162A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−170128(P2011−170128)
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(592158969)西武建設株式会社 (4)
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月3日(2011.8.3)
【出願人】(592158969)西武建設株式会社 (4)
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
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