説明

生ゴミ処理システム

【課題】 複数のディスポーザーから排出される粉砕された厨芥を含んだ排水を、調整タンクに集めて脱水機に送り脱水処理する生ゴミ処理システムにおける、調整タンクや脱水機を小型にする。
【解決手段】 調整タンク1上部の側壁面に開口部12と、前記開口部の内側に着脱可能に取り付けたフイルター13を設け、調整タンク1内の上部の水分だけをフイルター13を介して調整タンク外に排出させて厨芥分の収納容量を増大させ、ディスポーザーからの流入量を大きくでき、脱水機に送る排水の水分量を減らし脱水効率を向上させる。
また、フイルター13が厨芥で目詰まりしてタンク1内の排水が制限水位16に達した状態を検出するセンサー17をそなえてオーバーフローを防ぎ、センサー17の出力信号でディスポーザーの排水を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のディスポーザーから排出される厨芥を脱水機に送って処理する調整タンクをそなえた生ゴミ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
集合住宅や食堂などのように、複数のディスポーザーが用いられている施設では、それぞれのディスポーザーから排出される粉砕された厨芥とともに多量の水を含んだ排水を、大量に処理する必要があり、複数のディスポーザーから同時に排出される排水は、特許文献1や特許文献2などに示されているように、パイプで連結した各ディスポーザーからの排水をタンク(貯留槽)に集め、このタンクによってそれぞれのディスポーザーからの異なる排水量をまとめ、一定値以上に集められた排水をポンプで脱水機に送り、固形分を圧縮処理した後に焼却やコンポスト化するようにしている。
【特許文献1】特開昭6−24504号公報
【特許文献2】特開2005−7385号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、ディスポーザーからの排水は、粉砕された厨芥とともに多量の水を含んでいるため、各ディスポーザーの運転が同時に行なわれ大量の排水が流れ込む場合を考慮すると、脱水機の処理能力が小さい場合は十分な脱水効果が行なわれないおそれがあり、タンクの容量を大きくしてディスポーザーから流れ込む排水を十分な脱水を行うことができる期間だけ貯めておくか、ピーク時に対応できる処理能力の大きい脱水機を設置するなどの必要があり、システムが大型化し、設置費用も高くなるなどの問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このため本発明は、複数のディスポーザーから送られる排水を貯める調整タンク上部の側壁面に開口部を設け、この開口部の内側に排水に含まれている厨芥の流出を阻止し水だけを通すフイルターを着脱可能に取り付け、前記フイルターを介してタンク内上部の水分を排出させて、脱水機に送る水量を減少させるようにしている。
なお、厨芥でフイルターが目詰まりしてタンク内の排水がオーバーフローする前に制限水位に達した状態を検出するセンサーをそなえており、このセンサーの出力信号でディスポーザーの排水を調整するとともにフイルターを取り替える。
また、調整タンク内の水分を減少させることにより、粉砕された厨芥が調整タンクの底部に沈殿し堆積する状態を防ぐため、調整タンクの底部に堆積する厨芥を攪拌する送水管を設けている。
【発明の効果】
【0005】
このように本発明は、複数のディスポーザーから送られる排水を貯める調整タンク上部の側壁面に開口部を設けてフイルターをそなえることのよりタンク内の水分だけを開口部から排出させ、脱水機に送る排水の水分量を減少させることができるので、脱水機の効率を高め、脱水機とともに調整タンクを小型にすることができる効果が得られる。
また、開口部に設けたフイルターが厨芥で目詰まりしてもオーバーフローする前にその状態を検出し、ディスポーザーの排水量を調整して開口部からの厨芥の流出を防ぎ、タンク内の水量を減らしてフイルターの取り替えを容易に行なうことができる。
また、底部に沈殿する厨芥を攪拌させて堆積を防ぎ、タンク内の清浄化と、脱水機へ送る排水の濃度を平均化してポンプ作用を円滑に行なわせる効果を得られる。
【実施例】
【0006】
図1は本発明の調整タンクの実施例を示す側断面図、図2は本発明の調整タンクを用いた生ゴミ処理システムの例を示す概念図である。
1は調整タンク、2は調理場に設けた下処理シンクのディスポーザー、3は食堂に設けた下膳シンクのディスポーザー、4は調整タンク1に集めた粉砕処理厨芥を含む排水を脱水機5に圧送するポンプである。
なお、ディスポーザーの使用対象や数は実施例に限られず、ポンプ4は調整タンク1内に設置した水中ポンプを示しているが、調整タンクの外に容積ポンプを設けてもよい。
【0007】
11は調整タンク1にディスポーザー2,3からの排水を送る搬送パイプ、12は調整タンクの上部側壁に設けた開口部、13は前記開口部の内側に配置したフイルターで、排水に含まれている厨芥の通過を阻止し水分だけを通過させる。14は前記フイルターを着脱可能に収納するフイルター保持容器、15は開口部に排出された水分を図示しない下水管に流出させる排水管、16はタンク内の排水がフイルター13をオーバーフローしないように前記フイルター上面より僅かに低い位置に設定した制限水位、17は排水面が制限水位に達したことを検出するセンサー、18はタンク底部に溜まった厨芥を攪拌させるための送水管である。
【0008】
ディスポーザー2,3からの排水が搬送パイプ11により調整タンク1に送られ、一定の水位になるとポンプ4が起動して、調整タンク1内の厨芥を含む水を脱水機5に送り込むが、搬送パイプ11から調整タンク1に流れ込む排水がポンプ4の送水量より多くなった場合は調整タンク内の水位が上昇する。この状態が続いて水位が上部側壁の開口部12に達すると、フイルター13を介して水分だけを排水管15に排出させて調整タンク内の水の増加を和らげ、水位をフイルター13の設置範囲に保たせるが、厨芥によりフイルター13が目詰まりして水分の通りが悪くなり水位が制限水位16に達すると、フイルター保持容器14からオーバーフローをする前に、センサー17が検出してディスポーザー2、3の運転を調節する指令を出し、搬送パイプ11からの流入を制限する。
【0009】
フイルター13を介して水分だけを排水管15から流出させることで、小型の調整タンクでも搬送パイプ11からの流入量を多くでき、調整タンク内の排水は、厨芥の密度が増大して脱水機5に送られる水分量が少なくなり脱水機の脱水効率が上昇する。また、粉砕された厨芥が調整タンク1内の底部に沈殿し堆積すると、適宜あるいは定期的に送水管18を開いて沈殿した厨芥を攪拌させ厨芥の密度を均等化させ、調整タンク底部の洗浄とともにポンプの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の調整タンクの実施例を示す側断面図である。
【図2】本発明の調整タンクを用いる生ゴミ処理システムの例を示す概念図である。
【符号の説明】
【0011】
1 調整タンク
2 下処理シンクのディスポーザー
3 下膳シンクのディスポーザー
4 ポンプ
5 脱水機
11 搬送パイプ
12 開口部
13 フイルター
14 フイルター保持容器
15 排水管
16 制限水位
17 センサー
18 送水管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のディスポーザーと、各ディスポーザーから排出される粉砕された厨芥を含んだ排水を集める調整タンクと、調整タンクに集められた排水を脱水機に送って処理する生ゴミ処理システムにおいて、前記調整タンクの上部側壁面に開口部を設け、前記開口部の内側に着脱可能に取り付け水分だけを通すフイルターと、前記フイルターの目詰まりで調整タンク内の排水が制限水位に達した状態を検出するセンサーをそなえ、前記センサーの出力信号でディスポーザーの排水を調整することを特徴とする生ゴミ処理システム。
【請求項2】
前記調整タンクの底部に堆積した厨芥を攪拌する送水管を設けた請求項1の生ゴミ処理システム。

【図1】
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【図2】
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