説明

生ゴミ処理機

【課題】使用上の安全性が高く、設置面積を削減できるとともに、漏水による動作不良や故障を確実に防止する。
【解決手段】処理槽20を有する処理機本体10と、処理槽20の内部の生ゴミおよび処理材を攪拌する攪拌部材28および駆動手段(駆動モータ29)からなる攪拌手段と、処理機本体10の投入口14aを閉塞する蓋体59と、駆動手段を制御する制御手段(マイコン71)とを備えた生ゴミ処理機において、攪拌部材28を、垂直方向に延びる回転軸30と、該回転軸30から放射状に突出する複数の羽根部35,39A,39B,43とを有する縦型とするとともに、攪拌部材28の回転位置を検出する回転位置検出手段(遮光部材47とフォトセンサ48)を設け、制御手段は、駆動手段による攪拌部材28の停止時に、回転位置検出手段を介して羽根部35,39A,39B,43を予め設定した所定範囲に停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオ方式の生ゴミ処理機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の生ゴミ処理機は、好気性の微生物(バイオ菌)を基材に担持させた処理材によって生ゴミを発酵させて分解するもので、処理機本体の処理槽内に、回動可能な攪拌手段が配設されるとともに、前記処理槽の外部に、内部を加熱するための加熱手段が配設されている。そして、前記加熱手段によって処理槽の内部を所定温度範囲内に維持しながら、投入した生ゴミを前記攪拌手段によって処理材と攪拌することによって処理を行うものである。
【0003】
本発明の生ゴミ処理機に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【0004】
【特許文献1】特開平10−94774号公報
【0005】
この特許文献1には、処理槽の内部に、水平方向に延びる回転軸と、該回転軸から放射状に突設した複数の羽根部とからなる攪拌部材を配設し、この攪拌部材の回転位置をセンサによって検出可能とした生ゴミ処理機が記載されている。そして、この生ゴミ処理機では、生ゴミの投入時や処理材の交換時に、羽根部の停止位置を制御することにより、ユーザの安全を確保できる構成としている。
【0006】
しかしながら、この特許文献の生ゴミ処理機は、攪拌部材の回転軸が水平方向に配置されているため、機器全体の設置面積が広くなってしまうという問題がある。また、攪拌部材の回転軸は、処理槽の内部において、処理材に埋没する位置で両端を貫通して、回転可能に支持するとともに駆動手段に接続する必要がある。そのため、水分を多く含んだ生ごみを投入した際に、処理槽と回転軸との隙間から処理槽の外部に水分が浸出すると、動作不良や故障の原因となる問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来の問題に鑑みてなされたもので、使用上の安全性が高く、設置面積を削減できるとともに、漏水による動作不良や故障が生じ難い生ゴミ処理機を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の生ゴミ処理機は、生ゴミおよび処理材を収容する処理槽を有する処理機本体と、前記処理槽の内部の生ゴミおよび処理材を攪拌する攪拌部材および駆動手段からなる攪拌手段と、前記処理機本体に開閉可能に取り付けられ該処理機本体における上面前側または前面上側に設けた投入口を閉塞する蓋体と、前記駆動手段を予め設定されたプログラムに従って制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、前記攪拌部材を、垂直方向に延びる回転軸と、該回転軸から放射状に突出する複数の羽根部とを有する縦型とするとともに、前記攪拌部材の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、前記制御手段は、前記駆動手段による攪拌部材の停止時に、前記回転位置検出手段を介して前記羽根部を予め設定した所定範囲に停止させる構成としている。
【0009】
具体的には、この生ゴミ処理機では、前記攪拌部材の停止位置は、前記投入口から処理槽内を臨んだ状態でその下部に前記羽根部が位置しない範囲であることが好ましい。
【0010】
前記生ゴミ処理機によれば、回転軸を垂直方向に延びるように配置する縦型の攪拌部材を設けているため、処理機本体の横断面形状の小型化が可能であり、設置面積を削減することができる。また、処理機本体の上部前側または前部上側に生ゴミの投入口を設けているため、ユーザの投入作業性の向上を図ることができる。しかも、制御手段は、回転位置検出手段の検出に基づいて、前記投入口から処理槽内を臨んだ状態でその下部に前記羽根部が位置しない範囲に攪拌部材を停止させるため、ユーザが処理槽内に手を挿入しても、羽根部に接触することはない。そのため、生ゴミの投入や処理材の交換時の安全性を確保できる。
【0011】
また、前記処理槽の底中央に前記攪拌部材の回転軸の下端を回転可能に支持する有底筒状の軸受部を設けるとともに、前記攪拌部材の回転軸の上端を前記処理槽の上部に配設した前記駆動手段に連結することが好ましい。このようにすれば、回転軸は、上端が駆動手段により支持され、下端が処理槽の底に設けた筒状の軸受部に支持されるため、その取付構造は特別な部品を必要とせず、簡素化を図ることができるとともに剛性を高めることができるうえ、組付作業性や取外作業性を向上できる。しかも、処理槽の底には、前記軸受部を設けているが、何ら孔は設けていないため、処理槽内の水が外部に漏水することを防止できる。その結果、処理槽の上部に配設した駆動手段は勿論、処理機本体の下部に制御基板などを配設していても、漏水による動作不良や故障が生じることを防止できる。
【0012】
さらに、前記攪拌部材の回転軸と前記駆動手段の出力軸とを、継手部材により周方向に回転不可能に連結することが好ましい。このようにすれば、攪拌部材の組付作業性および取外作業性を更に向上できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の生ゴミ処理機では、回転軸を垂直方向に延びるように配置する縦型の攪拌部材を設けているため、処理機本体の横断面形状の小型化が可能であり、設置面積を削減することができる。また、制御手段は、回転位置検出手段の検出に基づいて、ユーザが処理槽内に手を挿入しても、羽根部に接触しない範囲に攪拌部材を停止させるため、生ゴミの投入や処理材の交換時の安全性を確保できる。さらに、処理槽の底中央に有底筒状の軸受部を設けるとともに、前記駆動手段を前記処理槽の上部に配設しているため、処理槽内の水が外部に漏水することを防止でき、漏水に伴う動作不良や故障を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る生ゴミ処理機を示す。この生ゴミ処理機は、内部の処理槽20に、好気性の酵母菌からなる微生物(バイオ菌)をおがくずや木片チップなどの基材に担持させた処理材を収容し、投入した生ゴミを処理材によって分解させるバイオ方式であり、大略、処理機本体10と、該処理機本体10の上部を開閉可能に閉塞する蓋体59とからなる。
【0016】
前記処理機本体10は、その外装体11の内部に処理槽20を配設することにより、該処理槽20内の処理部と処理槽20外の部品配設部とに区画したものである。なお、この処理機本体10は、床面からの全高が60〜70cm、幅25.5cm、奥行き43.0cmになるように構成されている。前記全高は、この生ゴミ処理機を頻繁に使用する年齢層である成人女性が前屈みなどの苦しくなるような無理な姿勢をすることなく、生ゴミを投入できる高さを検討した結果、見出したものである。
【0017】
前記外装体11は、略四角筒状をなす枠体12の底に底板13が配設されるとともに、上部に蓋枠14が配設されたものである。前記枠体12の後面(図1中右側)には、後述する処理槽20の排出口21から突出した筒部22を露出させる開口部12aが設けられている。そして、この枠体12の前面(図1中左側)と前記開口部12aが設けられた後面には、前カバー15と後カバー16とが着脱可能に配設されている。前記蓋枠14には、その前部、即ち、処理機本体10の上面前側に生ゴミの投入口14aが設けられている。また、枠体12の内部には、処理槽20の上端に位置するように仕切板17が配設されている。この仕切板17は、処理槽20の上端前部に位置するように開口部17aが設けられ、該開口部17aと前記蓋枠14の投入口14aとの間には筒状をなすダクト部材18が配設されている。このダクト部材18の後面側には吸気口19が設けられ、この吸気口19に後述する排気手段を構成する排気ダクト53が接続されている。
【0018】
前記処理槽20は樹脂製であり、横断面矩形状をなし、かつ、その横断面積が上側の開口に向けて徐々に広がる有底筒状のものである。この処理槽20の前側壁20aは、その上部が前方に位置するダクト部材18の前面を覆うように前方に膨出した形状をなす。また、この処理槽20の後側壁下部には、外部に連通する排出口21が設けられ、その開口縁には先端が前記枠体12の開口部12a内に配置される筒部22が突設されている。この筒部22には、ネジ締めにより蓋23が着脱可能に取り付けられている。さらに、処理槽20の底には、有底筒状をなす軸受部24が一体に設けられている。
【0019】
前記軸受部24には、別体の台座部材25と球状部材27とが配設されている。台座部材25は金属(ステンレス鋼板)材料からなる円柱形状のもので、その上面には略半球状に窪む第1球状凹部26が設けられている。前記球状部材27は、後述する攪拌部材28の回転軸30と前記軸受部24との間の抵抗を抑制するためのもので、(ステンレス鋼板)材料からなる球体により構成されている。なお、前記軸受部24は、前記台座部材25と球状部材27とを内部に配置した状態で、その上端面が前記球状部材27の頂部より十分に上方に位置する深さで形成されている。
【0020】
前記処理機本体10には、前記処理槽20内に回転可能に支持される攪拌部材28と、前記仕切板17上に配設した前記攪拌部材28の駆動手段である駆動モータ29とからなり、処理槽内に収容した生ゴミと処理材とを攪拌する攪拌手段が設けられている。
【0021】
前記攪拌部材28は金属製であり、図2および図3に示すように、垂直方向に延びる回転軸30に、攪拌翼を構成する第1から第3の羽根部35,39A,39B,43を放射状をなすように固着した縦型のものである。ここで、この攪拌部材28は、前記処理機本体10内において後面側に位置し、生ゴミを投入するための投入口14aおよびダクト部材18からは処理槽20内を臨んだ上面視で殆ど見えないように構成されている。
【0022】
前記回転軸30は、その下端が前記軸受部24に回転可能に支持される一方、上端に継手部材33が配設されている。そして、この継手部材33が前記仕切板17を貫通され、該仕切板17上に配設した前記駆動モータ29に接続されている。具体的には、回転軸30の下端には、前記球状部材27上に載置される略半球状の第2球状凹部31が設けられている。また、回転軸30の上端には、断面略D字形状をなすように非円形凸部32が設けられている。
【0023】
前記継手部材33は円柱形状をなし、その上下端面に略D字形状に窪んだ非円形凹部34が設けられている。そして、これら非円形凹部34に、前記回転軸30の非円形凸部32と、駆動モータ29の出力軸29aに形成した非円形凸部29bとを差し込むだけで、周方向に回転不可能に接続できるように構成している。
【0024】
前記第1羽根部35は、前記回転軸30の下端近傍に接合され、処理材および生ゴミを上向きに押し上げるように作用するものである。この第1羽根部35は、挿通孔36aを有する第1取付部36を備え、該第1取付部36から屈曲されて回転方向後側に向けて上方に傾斜するように設けられている。この第1取付部36は、回転軸30に対して水平方向に延びるように接合されるもので、その回転方向後側の縁37は先端に向けて先細になるように形成され、この傾斜縁37に略扇形形状をなす第1羽根部35が連設されている。これら第1羽根部35および第1取付部36には、その連続部分である前記傾斜縁37を除く外周縁に、それぞれ第1リブ部38a,38bが屈曲により連設されている。第1羽根部35の第1リブ部38aは攪拌部材28の回転方向後側に向けて突設され、該第1羽根部35の補強の役割をなす。第1取付部36の第1リブ部38bは下向きに突設され、該第1取付部36の補強、および、前記軸受部24の上端を覆うカバー部の役割をなす。言い換えれば、本実施形態では、この第1羽根部35は、回転軸30を軸受部24に支持させた状態で、前記第1リブ部38bが軸受部24に対してオーバーラップするように、回転軸30の下端近傍に固着されている。
【0025】
前記第2羽根部39A,39Bは、前記処理槽20内に収容された処理材および生ゴミに埋没されるように回転軸30の中間部分に接合され、処理材および生ゴミを上向きに押し上げるように作用するものである。この第2羽根部39A,39Bは、挿通孔40aを有する第2取付部40を備え、該第2取付部40の先端から上下に屈曲されて回転方向後側に向けて上方に傾斜するように設けられている。この第2取付部40は、回転軸30に対して水平方向に延びるように接合されるもので、略D字形状をなし、その先端の直線縁41に略扇形形状をなす第2羽根部39A,39Bが連設されている。具体的には、第2羽根部39A,39Bは、回転方向前側の縁39aが直線縁41の回転方向前側から下向きに屈曲され、回転方向後側の縁39bが直線縁41の回転方向後側から上向きに屈曲され、これらの間に流曲線状の面を形成したものである。これら第2羽根部39A,39Bおよび第2取付部40には、その連続部分である前記直線縁41を除く外周縁に、それぞれ第2リブ部42a,42bが屈曲により連設されている。第2羽根部39A,39Bの第2リブ部42aは攪拌部材28の回転方向後側に向けて突設され、第2取付部40の第2リブ部42bは下向きに突設され、それぞれ補強の役割をなす。
【0026】
前記第3羽根部43は、前記処理槽20内に収容された処理材および生ゴミの上表面より露出するように回転軸30の上方部分に接合され、投入口14aからの投入により処理材上に載った生ゴミを下向きに押し下げ、処理材内に没入させるように作用するものである。この第3羽根部43は、挿通孔44aを有する第3取付部44を備え、該第3取付部44の先端から上下に屈曲されて回転方向前側に向けて上方に傾斜するように設けられている。この第3取付部44は、回転軸30に対して水平方向に延びるように接合されるもので、略D字形状をなし、その先端の直線縁45に略扇形形状をなす第3羽根部43が連設されている。具体的には、第3羽根部43は、回転方向前側の縁43aが直線縁45の回転方向前側から上向きに屈曲され、回転方向後側の縁43bが直線縁45の回転方向後側から下向きに屈曲され、これらの間に流曲線状の面を形成したものである。これら第3羽根部43および第3取付部44には、その連続部分である前記直線縁45を除く外周縁に、それぞれ第3リブ部46a,46bが屈曲により連設されている。第3羽根部43の第3リブ部46aは攪拌部材28の回転方向前側に向けて突設され、第3取付部44の第3リブ部46bは下向きに突設され、それぞれ補強の役割をなす。
【0027】
前記羽根部35,39A,39B,43からなる攪拌翼は、回転軸30の一番下側である一段目に、前記第1羽根部35が配設される。この際、回転軸30を軸受部24に支持させた状態で該軸受部24の上部を第1リブ部38bで覆う位置とする。また、二段目に配設される第2羽根部39Aは、第1羽根部35に対して、攪拌部材28の回転方向前側に120度回転した位置に固着される。また、三段目に配設される第2羽根部39Bは、二段目の第2羽根部39Aに対して、同様に攪拌部材28の回転方向前側に120度回転した位置に固着される。また、回転軸30の一番上側である四段目に配設される第3羽根部43は、第2羽根部39Bに対して、攪拌部材28の回転方向前側に90度回転した位置に固着される。これにより、本実施形態の攪拌部材28は、回転軸30から各羽根部35,39A,39B,43が放射状に突出する。
【0028】
前記攪拌部材28は、継手部材33に配設した遮光部材47と、発光素子48aおよび受光素子48bを有するフォトセンサ48とからなる回転位置検出手段により回転位置が検出され、停止時には、図3に示す予め設定した位置に停止される。遮光部材47は、発光素子48aが投射した光を透過しない材料からなり、前記継手部材33への接続部47aと、発光素子48aと受光素子48bとの間に進入される遮光部47bとからなるL字形状のものである。前記フォトセンサ48は、前記仕切板17の下面に固定されている。なお、これら遮光部材47およびフォトセンサ48は、発光素子48aが投射した光の乱反射光を受光素子48bが受光(検出)する現象を防止するために遮光カバー49により覆われている。
【0029】
図1に示すように、前記処理槽20の下部外周面には、処理槽20内の処理材を所定温度範囲内に維持するための加熱手段としてヒータ50が配設されている。また、外装体11を構成する枠体12の前面と処理槽20との間には、蓋体59を自動開放するために人体の足の進入を検出する測距センサ51と、該測距センサ51を床面から所定高さに配置するためのケース52とが配設されている。前記測距センサ51は、ケーシングの内部に発光素子と、該発光素子から投射した赤外線の反射光を受光する受光素子とを配設したもので、前記発光素子による照射光量により検出可能な範囲(距離)が予め設定されたものである。そして、本実施形態では、その検出可能範囲外に床面が位置するように配置して、床面との間の進入物の有無を検出する構成としている。
【0030】
前記ダクト部材18に接続する排気手段は、図3および図4に示すように、前記攪拌部材28の駆動モータ29を迂回するように配設した排気ダクト53と、該排気ダクト53の内部に配設した第1送風手段である第1送風ファン54と、前記処理槽20内に配設した第2送風手段である第2送風ファン55とを設けたものである。また、この排気ダクト53の内部には、排気する空気に含まれた臭分は勿論、処理槽20内の空気に含まれた臭分を分解除去する脱臭手段が更に配設されている。この脱臭手段は、機内側から機外側に向けて順次配設した加熱ヒータ56と、加熱温度の検出手段であるサーミスタ57と、臭分を化学的に反応させてCOやHOに変化させる触媒58とを備え、サーミスタの検出値に基づいてマイコン71がオン、オフ制御するものである。
【0031】
前記蓋体59は、図1に示すように、前記処理機本体10を構成する蓋枠14の上面に回動可能に取り付けられるとともに、付勢手段であるヒンジスプリング60により開放方向に付勢されたものである。なお、このヒンジ接続部分の近傍には、下向きに円弧状に突出する押圧部材61が設けられ、該押圧部材61によりスイッチ62のオン、オフにより、蓋体の開放および閉塞状態を検出できるように構成している。また、この蓋体59の前部には、図1に示すように、下向きに突出した係止受部63が設けられ、この係止受部63がロック手段64によってロックおよびアンロックされる。このロック手段64は、前記係止受部63を係止する回動可能な係止部材65と、該係止部材65を動作させるソレノイド66とを備えている。
【0032】
このように構成された生ゴミ処理機には、図5に示すように、前記処理槽20内に収容された処理材によって生ゴミを分解する処理機能の状態を検出するための検出手段として、処理槽20内の温度、処理材の温度、および、外気の温度を検出する3個の温度センサ67〜69が配設されている。処理槽用温度センサ67は、処理槽20内における処理材の上部の空間に配設されている。基材用温度センサ68は、処理槽20内における底に配設されている。外気用温度センサ69は、処理機本体10の外装体11に配設されている。
【0033】
そして、図1に示すように、前記外装体11と処理槽20との間の前方下部には、制御基板70が配設され、この制御基板70に実装された制御手段であるマイコン71は、予め設定されたプログラムに従って動作される。具体的には、このマイコン71は、商用電源からの電力が電源回路部72により直流電圧に変換され、この直流電圧が印加されることにより動作する。
【0034】
そして、蓋体開放手段の役割をなし、前記測距センサ51により人体を含む物体が検出可能な範囲内に近づいたことを検出すると、前記ソレノイド66を動作させて係止部材65による係止受部63の係止を解除することにより、ヒンジスプリング60の付勢力によって蓋体59を自動開放させる。この際、攪拌部材28が動作(回転)中である場合には、該攪拌部材28の動作の停止処理を行った後に蓋体59の開放処理を行い、動作中でない場合にはそのまま開放処理を行う。
【0035】
また、スイッチ62により蓋体59が閉塞されたことを検出すると、その閉塞時を制御の開始点として、内蔵した時間計時タイマ73により時間の計測を開始し、攪拌部材28の回転、ヒータのオン、オフ、ファン54,55のオン、オフ制御を開始し、処理材の温度が20〜60℃程度で、含水率が40〜60%程度の範囲で、常に新鮮な空気に接触するように制御する。
【0036】
さらに、所定時間毎に温度センサ67〜69による検出値に基づいて処理材の処理機能(含水量)の状態を判断する処理材状態判断手段の役割をなし、その判断結果に基づいて前記ヒータ50のオン、オフ、および、攪拌部材28の回転数を制御するとともに、操作パネル74の表示部に処理材の処理機能の状態を表示する。なお、判断する処理材の状態は、含水量が適量である良好状態、含水量の少ない乾燥状態、含水量が良好状態より多い控えめ状態、および、含水量が多く新たな投入を停止するべとつき状態である。
【0037】
また、処理材の判断結果に基づいた攪拌部材28の制御は、図6に示すように、7分を1周期とし、その1周期の時間内に攪拌部材28を回転させる回転数を変更したものである。具体的には、処理材が良好状態の場合には、1周期の始めから攪拌部材28を10回転させた後、残りの時間は停止させ、水分が現状を維持するように制御する。また、乾燥状態の場合には、1周期の始めから攪拌部材28を8回転させた後、残りの時間は停止させ、水分の発散を抑制するように制御する。また、控えめ状態の場合には、1周期の始めから攪拌部材28を12回転させた後、残りの時間は停止させ、水分の発散を促進するように制御する。また、べとつき状態の場合には、1周期の始めから攪拌部材28を14回転させた後、残りの時間は停止させ、水分の発散を促進するように制御する。なお、駆動モータ29による攪拌部材28の回転速度は、全て1分当たりの回転が1700rpmに設定されている。
【0038】
そして、前記フォトセンサ48により攪拌部材28が1回転したことを検出した直後に、駆動モータ29への通電を停止することにより、図3に示す停止位置に攪拌部材28が停止するように構成している。ここで、この停止位置は、前記投入口14aから処理槽20内を臨んだ状態でその下部に前記羽根部35,39A,39B,43が位置しない状態である。具体的には、本実施形態の攪拌部材28は、処理材の表面より露出される第3羽根部43を有している。この第3羽根部43は、ユーザの手が接触する可能性が最も高いため、処理槽20の後側に位置される。そして、処理材に埋没される第1羽根部35および一対の第2羽根部39A,39Bが120度間隔で突設されており、前記第3羽根部43と逆向きに突出するのは一対の第2羽根部39A,39Bである。そのため、投入口14aの中心から攪拌部材28の回転軸30の軸心にかけて延びる前後方向の線Lに対して、手前に位置する一対の第2羽根部39A,39Bが対称に位置するように構成している。但し、処理材は、生ゴミの水分を吸着することにより含水量が変化すると、攪拌部材28に対する回転抵抗も変化する。そのため、本実施形態では、フォトセンサ48の設置位置により、この図3に示す停止位置から±5度の範囲に停止する。
【0039】
このように構成した生ゴミ処理機は、回転軸30を垂直方向に延びるように配置する縦型の攪拌部材28を設けているため、処理機本体10の横断面形状の小型化が可能であり、設置面積を削減することができる。また、処理機本体10の上部前側または前部上側に生ゴミの投入口14aを設けているため、ユーザの投入作業性の向上を図ることができる。さらに、攪拌部材の駆動モータ29は、処理槽20の上部である区画用の仕切板17上に配設しているため、生ゴミに含まれる水が付着することにより短絡する可能性がなく、動作不良や故障が生じることを抑制できる。
【0040】
また、攪拌部材28の回転軸30は、上端を前記駆動モータ29により支持し、下端を処理槽20の底に設けた筒状の軸受部24に支持しているため、その取付構造は特別な部品を必要とせず、簡素化を図ることができる。しかも、処理槽20の底には、前記軸受部24を設けているが、何ら孔は設けていないため、処理槽20内の水が外部(外装体11と処理槽20の間)に漏水することを防止できる。その結果、処理機本体10の下部に配設した制御基板70に、漏水した水が付着することを防止でき、その漏水による動作不良や故障が生じることを防止できる。
【0041】
さらに、軸受部24の底を構成する台座部材25および回転軸30に、略半球状に窪む球状凹部26,31を設けるとともに、これらの間に球状部材27を配設し、回転軸30と軸受部24との間の抵抗を抑制できるようにしているため、回転軸30を円滑に回転可能に支持することができる。さらに、攪拌部材28の回転軸30と駆動モータ29の出力軸29aとを継手部材33により連結しており、前記回転軸30および出力軸29aに、断面D字形状をなす非円形凸部29b,32を設けるとともに、継手部材33に非円形凹部34を設けている。即ち、本実施形態の攪拌部材28は、回転軸30の両端を支持する構成であるため、組付状態での剛性を高めることができる。しかも、その両端の連結部分は、それぞれ抜き差しにより行うため、組付作業性および取外作業性を向上できる。
【0042】
次に、マイコン71による生ゴミ処理制御工程について具体的に説明する。
【0043】
この生ゴミ処理制御工程では、マイコン71は、図7に示すように、まず、ステップS10で、測距センサ51によりユーザである人体が近づいているか否かを検出する。そして、人体を検出した場合にはステップS11に進み、人体を検出しない場合にはステップS15に進む。
【0044】
ステップS11では、攪拌部材28や排気手段のファン54,55などの各負荷部品の停止処理を行う。なお、この停止処理では、これらの負荷部品を制御するためのタイマもリセットする。ついで、ステップS12で、ロック手段64のソレノイド66を動作させて蓋体59の開放処理を実行してステップS13に進む。
【0045】
ステップS13では、スイッチ62を介して蓋体59が閉塞されたことを検出するまで待機する。そして、蓋体59の閉塞を検出すると、ステップS14で、処理材の処理機能の状態を検出する周期である2時間タイマをリセットしてスタートさせてステップS15に進む。
【0046】
ステップS15では、2時間タイマがカウントアップしたか否かを検出し、カウントアップした場合にはステップS16に進み、カウントアップしていない場合にはステップS18に進む。
【0047】
ステップS16では、温度センサ67〜69によって次に処理材の状態を判断するために2時間タイマをリセットしてスタートさせた後、ステップS17で、処理材の状態を判断する処理材状態判断処理を実行してステップS18に進む。
【0048】
ステップS18では、駆動モータ29および攪拌部材28からなる攪拌手段の制御処理、ヒータ50による加熱手段制御処理からなる処理材調整処理、ファン54,55による排気手段制御処理、および、加熱ヒータ56による脱臭処理、および、操作パネル74の表示処理を実行してリターンする。なお、これらの制御において、攪拌手段の制御を除く他の負荷部品の制御は従来と同一であるため詳細な説明は省略し、以下では攪拌手段の制御のみを説明する。
【0049】
ステップS11の停止処理のうち、攪拌手段停止処理では、マイコン71は、図8に示すように、まず、ステップS20で、攪拌部材28を回転駆動させるために駆動モータ29に対して通電を行っているか否かを検出する。そして、通電中である場合にはステップS21に進み、通電中でない場合にはそのままリターンする。
【0050】
ステップS21では、フォトセンサ48によって攪拌部材28の1回転を検出するまで待機する。そして、攪拌部材28の1回転を検出すると、ステップS22に進み、駆動モータ29への通電を停止してリターンする。
【0051】
また、ステップS18の処理材調整処理のうち、攪拌手段制御処理では、マイコン71は、図9に示すように、まず、ステップS30で、周期計測タイマが動作中であるか否かを検出する。そして、動作中でない場合にはステップS31に進み、動作中である場合にはステップS39に進む。
【0052】
ステップS31では、攪拌部材28の動作条件(1周期当たりの回転数(N))を読み込んだ後、ステップS32で、周期計測タイマをリセットしてスタートさせる。その後、ステップS33で、駆動モータ29への通電を開始して攪拌部材28の回転を開始させる。
【0053】
ついで、ステップS34で、フォトセンサ48によって攪拌部材28が1回転したか否かを検出する。そして、攪拌部材28の1回転を検出した場合にはステップS35に進み、1回転を検出しない場合にはリターンする。
【0054】
ステップS35では、検出数(n)に1を加算した後、ステップS36で、その検出数(n)が予め設定された回転数(N)になったか否かを検出する。そして、n=Nになった場合にはステップS37に進み、n=Nになっていない場合にはリターンする。
【0055】
ステップS37では、駆動モータ29への通電を停止して攪拌部材28の回転を停止させた後、ステップS38で、検出数(n)をリセットしてリターンする。
【0056】
一方、ステップS30で、周期計測タイマが動作中であった場合には、ステップS39で、計測した時間により1周期が経過したか否かを検出する。そして、1周期が経過した場合にはステップS32に進み、以下前記と同様の処理を行う。また、1周期が経過していない場合にはステップS40に進む。
【0057】
ステップS40では、フォトセンサ48によって検出した攪拌部材28の回転検出数(n)が設定された回転数(N)になっているか否かを検出する。そして、n=Nになっていない場合にはステップS34に進み、以下前記と同様の処理を行う。また、n=Nになっている場合にはリターンする。
【0058】
ここで、前述のようにして蓋体59を開放させた状態で、前記投入口14aから処理槽20内に生ゴミを投入した場合、生ゴミが含んだ水分などによる抵抗で、生ゴミが処理槽20の攪拌部材28の近傍まで至らず、ダクト部材18や処理槽20の前側壁20aの傾斜した上部に付着することにより、ユーザが手を挿入して生ゴミを処理槽20内に直接的に投入しなければならないことがある。また、処理材の定期的な交換時には、後カバー16および蓋23を取り外して処理槽20の下部の排出口21から古い処理材を排出するが、この際にも投入口14aからユーザが手を挿入して処理材に触れて作業を行う必要が生じることがある。
【0059】
一方、処理槽20内に配設する攪拌部材28は、生ゴミと処理材とを攪拌する目的のみならず、生ゴミを破砕する目的も有するものであるため、金属製としており、この金属製の攪拌部材28の羽根部35,39A,39B,43に投入口14aから挿入したユーザの手が接触すると、怪我をさせてしまう可能性がある。
【0060】
しかし、本実施形態の生ゴミ処理機では、制御手段であるマイコン71は、回転位置検出手段であるフォトセンサ48の検出に基づいて、前記投入口14aから処理槽20内を臨んだ状態でその下部に前記羽根部35,39A,39B,43が位置しない範囲に攪拌部材28を停止させるため、ユーザが処理槽20内に手を挿入しても、羽根部35,39A,39B,43に接触することはない。そのため、生ゴミの投入や処理材の交換時の安全性を確保できる。
【0061】
なお、本発明の生ゴミ処理機は、前記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0062】
例えば、前記実施形態では、処理材に埋没される攪拌部材28の第1および第2羽根部35,39A,39Bを120度間隔で放射状に突出したが、4以上の羽根部を90度間隔以内の等間隔で突設してもよい。このようにしても、投入口14aの中心から攪拌部材28の回転軸30の軸心にかけて延びる前後方向の線Lに対して、手前に位置する一対の羽根部が対称に位置するように停止位置を設定することにより、前記実施形態と同様の作用および効果を得ることができる。
【0063】
また、前記実施形態では、処理材の判断結果に基づいた攪拌部材28の制御は、1周期当たりの回転数を変更させたが、動作時間を変更させるように構成してもよい。この場合、動作時間が経過した後、フォトセンサ48によって1回転を検出すると駆動モータ29を停止させることにより、前記と同様の作用および効果を得ることができる。
【0064】
さらに、前記実施形態では、フォトセンサ48によって攪拌部材28の1回転を検出した直後に駆動モータ29への通電を停止して攪拌部材28を停止させたが、所定時間後に通電を停止してもよく、その通電停止時期はフォトセンサ48の設置位置との相関関係で設定すればよい。
【0065】
勿論、攪拌部材28の回転位置を検出する回転位置検出手段はフォトセンサ48に限られず、マイクロスイッチと該マイクロスイッチの接点を押圧する突起との組み合わせでもよく、希望に応じて変更が可能である。また、投入口14aを形成する位置は、処理機本体10の上面前側に限られず、前面上側に設けてもよく、このようにしても前記と同様の作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態に係る生ゴミ処理機の断面図である。
【図2】撹拌部材を示す斜視図である。
【図3】生ゴミ処理機の平面視要部断面図である。
【図4】排気手段の構成を示す要部断面図である。
【図5】生ゴミ処理機の構成を示すブロック図である。
【図6】駆動手段の制御を示す図表である。
【図7】マイコンによる制御を示すフローチャートである。
【図8】攪拌手段の停止処理を示すフローチャートである。
【図9】攪拌手段の制御処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10…処理機本体
14a…投入口
18…ダクト部材
20…処理槽
24…軸受部
28…攪拌部材
29…駆動モータ(駆動手段)
30…回転軸
33…継手部材
35…第1羽根部
39A,39B…第2羽根部
43…第3羽根部
47…遮光部材(回転位置検出手段)
48…フォトセンサ(回転位置検出手段)
49…遮光カバー
59…蓋体
64…ロック手段
71…マイコン(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生ゴミおよび処理材を収容する処理槽を有する処理機本体と、前記処理槽の内部の生ゴミおよび処理材を攪拌する攪拌部材および駆動手段からなる攪拌手段と、前記処理機本体に開閉可能に取り付けられ該処理機本体における上面前側または前面上側に設けた投入口を閉塞する蓋体と、前記駆動手段を予め設定されたプログラムに従って制御する制御手段とを備えた生ゴミ処理機において、
前記攪拌部材を、垂直方向に延びる回転軸と、該回転軸から放射状に突出する複数の羽根部とを有する縦型とするとともに、
前記攪拌部材の回転位置を検出する回転位置検出手段を設け、
前記制御手段は、前記駆動手段による攪拌部材の停止時に、前記回転位置検出手段を介して前記羽根部を予め設定した所定範囲に停止させるようにしたことを特徴とする生ゴミ処理機。
【請求項2】
前記攪拌部材の停止位置は、前記投入口から処理槽内を臨んだ状態でその下部に前記羽根部が位置しない範囲であることを特徴とする請求項1に記載の生ゴミ処理機。
【請求項3】
前記処理槽の底中央に前記攪拌部材の回転軸の下端を回転可能に支持する有底筒状の軸受部を設けるとともに、前記攪拌部材の回転軸の上端を前記処理槽の上部に配設した前記駆動手段に連結したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の生ゴミ処理機。
【請求項4】
前記攪拌部材の回転軸と前記駆動手段の出力軸とを、継手部材により周方向に回転不可能に連結したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の生ゴミ処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−239571(P2006−239571A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58760(P2005−58760)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】