説明

生葉管理装置

【課題】生葉の萎凋を任意に行わせることができるとともに、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる生葉管理装置を提供する。
【解決手段】製茶工程前の生葉を収容して管理可能な生葉管理装置において、搬入された生葉を収容可能とされ、当該収容された生葉の鮮度を維持可能な鮮度維持手段1と、該鮮度維持手段1から生葉を受け入れ、当該生葉の含有水分を任意まで低下させて萎凋させるとともに、当該萎凋後の茶葉を製茶工程に供給可能な萎凋手段2とを具備するとともに、萎凋手段2は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製茶工程前の生葉を収容して管理可能な生葉管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般緑茶の生葉は、各茶園での摘採作業が一段落する度に製茶工場に運び込まれるので、製茶工場内では、製茶工程における茶葉蒸機等に供給するまでの間において生葉の鮮度を保ちつつ一定時間貯蔵する必要がある。かかる貯蔵を行わせしめる従来の生葉管理装置(鮮度維持手段)は、特許文献1にて開示されているように、コンベアで構成される生葉収容部内に生葉を収容するとともに、生葉の管理(加湿又は送風)を行い得るものとされていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−289982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の生葉管理装置においては、生葉の鮮度維持を行わせるべく加湿又は送風等の管理を行うよう構成されているものの、萎凋を積極的に行わせて管理するものではないため、製茶工程に供給される茶葉の萎凋度を一定に保つのが困難であるという不具合があった。即ち、上記従来の生葉管理装置は、貯蔵過程の萎凋を許容するものの萎凋度を任意とすべく積極的な萎凋を図るものはないため、製茶工程に供給する際の萎凋度にばらつきが生じてしまう虞がある。
【0005】
また、茶園での摘採作業は、通常、昼間に行われるため、その摘採された生葉が昼間の一定時間に集中して多量に製茶工場に運び込まれることとなり、その後の製茶工程に不具合を生じてしまう虞がある。即ち、製茶工程は、通常、製茶処理速度が一定であるため、一定時間に集中して多量に生葉が供給されても製茶処理が追い付かず、その間に萎凋が進んでしまって、一定品質の製茶が困難となってしまうのである。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、生葉の萎凋を任意に行わせることができるとともに、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる生葉管理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、製茶工程前の生葉を収容して管理可能な生葉管理装置において、搬入された生葉を収容可能とされ、当該収容された生葉の鮮度を維持可能な鮮度維持手段と、該鮮度維持手段から生葉を受け入れ、当該生葉の含有水分を任意まで低下させて萎凋させるとともに、当該萎凋後の茶葉を製茶工程に供給可能な萎凋手段とを具備するとともに、前記萎凋手段は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされたことを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の生葉管理装置において、それぞれの前記萎凋手段による生葉の萎凋の開始は、所定時間ずらして行われるとともに、各萎凋手段で萎凋された茶葉を製茶工程に対して連続的に供給可能とされたことを特徴とする。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の生葉管理装置において、前記萎凋手段は、前記鮮度維持手段から受け入れた茶葉を所定量収容可能な収容手段と、生葉の投入口から搬出口まで茶葉を搬送可能な搬送手段と、前記収容手段で収容された生葉の含有水分を低下させるための含有水分調整手段と、前記収容手段で収容された生葉の萎凋度を検出し得る萎凋度検出手段と、該萎凋度検出手段で検出された生葉の萎凋度に基づき、前記製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう前記含有水分調整手段を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の生葉管理装置において、前記萎凋度検出手段は、前記収容手段で収容された茶葉の重量を検出してその萎凋度を検出し得ることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項3又は請求項4記載の生葉管理装置において、前記萎凋手段は、前記搬送手段で搬出口まで搬送された茶葉を投入口まで搬送して当該茶葉を折り返し搬送させ得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、鮮度維持手段と萎凋手段とを具備するとともに、萎凋手段は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされたので、生葉の萎凋を任意に行わせることができるとともに、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、それぞれの萎凋手段による生葉の萎凋の開始は、所定時間ずらして行われるとともに、各萎凋手段で萎凋された茶葉を製茶工程に対して連続的に供給可能とされたので、より容易且つ正確に、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、萎凋度検出手段で検出された生葉の萎凋度に基づき、製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう含有水分調整手段を制御手段にて制御するので、更に容易且つ正確に、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、萎凋度検出手段は、収容手段で収容された茶葉の重量を検出してその萎凋度を検出し得るので、より容易且つ精度よく萎凋度を検出することができる。
【0016】
請求項5の発明によれば、萎凋手段は、搬送手段で搬出口まで搬送された茶葉を投入口まで搬送して当該茶葉を折り返し搬送させ得るので、萎凋手段における萎凋過程で茶葉の撹拌を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る生葉管理装置を示す全体平面図
【図2】同生葉管理装置を示す全体正面図
【図3】同生葉管理装置における萎凋手段を示す平面図、側面図及び正面図
【図4】同生葉管理装置における風導を示す模式図
【図5】同生葉管理装置における制御手段による制御内容を示すフローチャート
【図6】同生葉管理装置における制御手段による制御内容を示すフローチャート
【図7】同生葉管理装置における制御手段による制御方法を説明するためのグラフ
【図8】同生葉管理装置における萎凋手段による萎凋時間を示すタイムチャート
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明する。
本実施形態に係る生葉管理装置は、製茶工程前の生葉を収容して管理可能なものであり、図1〜4に示すように、鮮度維持手段1と、複数並設された萎凋手段2とを有して構成されている。即ち、本実施形態においては、製茶工程前の生葉管理工程において、萎凋を抑制して鮮度を維持させる鮮度維持手段1と、萎凋を積極的に行わせる萎凋手段2とを具備しているのである。
【0019】
鮮度維持手段1は、製茶工場に搬入された生葉を収容可能とされ、当該収容された生葉の鮮度を維持可能な生葉収容コンテナから成るものである。より具体的には、本実施形態に係る鮮度維持手段1は、通気性コンベアで構成される生葉収容部内に生葉を収容するとともに、生茶葉の赤やけ等を防止するため下方から冷風を送り込む送風ファンを備え、収容された生葉を萎凋手段2へ搬送する際には、通気性コンベアを駆動させて必要量の生茶葉を取り出すよう構成されたものである。
【0020】
尚、鮮度維持手段1の一端側(図1中下端側)には、製茶工場に搬入された生葉を順次鮮度維持手段1に送り込む搬送コンベア10が配設されている。尚、図中符号9は、ピットを示しており、当該ピット9内に搬送コンベア10のホッパー(収容部)が設けられている。また、鮮度維持手段1の他端側(図1中上端側)には、鮮度維持手段1から搬出された生葉を搬送し得る搬送コンベア11と、当該鮮度維持手段1から搬出された生葉を複数並設された萎凋手段2のそれぞれに送り込む搬送コンベア13とが配設されている。尚、図中符号12は、ピットを示しており、当該ピット12内に搬送コンベア13のホッパー(収容部)が設けられている。
【0021】
更に、鮮度維持手段1には、生葉収容部内に生葉を略均一に散茶すべくレール上を前後左右に移動可能な搬送コンベア1aと、該搬送コンベア1aと搬送コンベア10とを接続する搬送コンベア1bとが配設されている。然るに、搬送コンベア10で搬送された生葉は、搬送コンベア1bを介して搬送コンベア1aに至り、当該搬送コンベア1aがレール上を前後左右に移動することによって、搬送した生葉が生葉収容部に投入されるよう構成されている。尚、搬送コンベア13は、その基端側のホッパ内においてセンサが検知するまで生葉を収容し、不図示の掻き戻し手段にて茶層を制限調整しながら搬送するための傾斜コンベアで構成されている。
【0022】
搬送コンベア13の先端側には、搬送コンベア14が配設されており、この搬送コンベア14の一端側に搬送コンベア15及び搬送コンベア17が配設されるとともに、他端側に搬送コンベア16及び搬送コンベア18が配設されている。搬送コンベア17の一端側には、生葉を萎凋手段2内に排出させるためのシュート17aが形成されるとともに、他端側には搬送コンベア19が配設されている。かかる搬送コンベア19の両端には、それぞれ生葉を萎凋手段2内に排出させるためのシュート19a、19bが形成されている。同様に、搬送コンベア18の一端側には、生葉を萎凋手段2内に排出させるためのシュート18aが形成されるとともに、他端側には搬送コンベア20が配設されている。かかる搬送コンベア20の両端には、それぞれ生葉を萎凋手段2内に排出させるためのシュート20a、20bが形成されている。
【0023】
搬送コンベア14は、その搬送方向を任意切り換え可能とされており、搬送コンベア15及び搬送コンベア17側に搬送すべく駆動されれば、搬送コンベア15、搬送コンベア17及び搬送コンベア19を介して任意の萎凋手段2(具体的には、図1、2中左側3つの萎凋手段2の何れか)に生葉が搬送される一方、搬送コンベア16及び搬送コンベア18側に搬送すべく駆動されれば、搬送コンベア16、搬送コンベア18及び搬送コンベア20を介して任意の萎凋手段2(具体的には、図1、2中右側3つの萎凋手段2の何れか)に生葉が搬送されることとなる。
【0024】
更に、搬送コンベア17、18及び搬送コンベア19、20は、萎凋手段2の投入口2a側を跨いで配設されたレールR上を摺動可能とされており、生葉を供給する萎凋手段2に応じて任意に摺動させ得るようになっている。また、生葉を各萎凋手段2に供給する際、搬送コンベア17、18又は搬送コンベア19、20をレールR上で摺動させて左右方向に往復動させる(幅方向に散茶させる)ことにより、萎凋手段2内に収容させる茶葉を略均一な高さで収容させることができる。
【0025】
萎凋手段2は、鮮度維持手段1から生葉を受け入れ、当該生葉の含有水分を任意まで低下させて萎凋させるとともに、当該萎凋後の茶葉を次工程である製茶工程に供給可能なものである。より具体的には、萎凋手段2は、図3、4に示すように、鮮度維持手段1から受け入れた茶葉を所定量収容可能な収容手段aと、生葉の投入口2aから搬出口2bまで茶葉を搬送可能な搬送手段4と、収容手段aで収容された生葉の含有水分を低下させるための送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段(含有水分調整手段)と、収容手段aで収容された生葉の萎凋度を検出し得る萎凋度検出手段7と、萎凋度検出手段7で検出された生葉の萎凋度に基づき、製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう送風ファン5又は風導6に接続された熱風発生手段(含有水分調整手段)を制御する制御手段8(図1参照)とを有するものである。
【0026】
収容手段aは、茶葉を収容可能なコンテナで構成されるものであり、搬送方向に対して長尺状に形成されたものである。かかる収容手段aの搬出口2b側には、掻き落し手段3が配設されており、搬送手段4で搬送された茶葉が搬出口2bに達すると、当該掻き落し手段3にて搬送コンベア21に掻き落とされるよう構成されている。尚、搬送コンベア21の左右端には、図1に示すように、垂直バケットコンベア22、23がそれぞれ配設されており、これら垂直バケットコンベア22、23から吐出された茶葉を受けた後、搬送し得る搬送コンベア24、25が配設されている。
【0027】
搬送手段4は、例えば無端状ベルト(通気性のベルト)を駆動させて収容手段a内の茶葉を投入口2aから排出口2bまで搬送させ得る搬送コンベアから成るものである。また、収容手段aには、その長手方向に沿って複数の送風ファン5(含有水分調整手段)が配設されており、当該送風ファン5を駆動させることにより、収容手段a内の茶葉に対して送風し、生葉の含有水分を低下させ得るようになっている。
【0028】
また、隣り合う萎凋手段2の間には、風導6が延設されており、かかる風導6の基端側には熱風を発生し得る不図示の熱風発生手段(含有水分調整手段)が接続されている。かかる風導6は、上述した複数の送風ファン5の位置にそれぞれ開口部とスライド蓋とが設けられており、当該風導6を介して熱風発生手段からの熱風を送風ファン5の(外気の)吸引口近傍へ供給させ得るよう構成されている。これにより、熱風を吸い込んだ送風ファン5がその熱風を萎凋手段2内に送風することができる。尚、本実施形態における風導6は、スライド蓋により開口部の開口面積を調整して、供給する熱風を制御することができるよう構成されている。而して、供給される熱風により、収容手段a内の生葉の含有水分を低下させ得るようになっている。
【0029】
萎凋度検出手段7は、収容手段aを構成するフレームF1と床面に固設されたフレームF2との間に介装された重量検出センサ(例えばロードセル)から成るもので、本実施形態においては、収容手段aで収容された茶葉の重量を検出してその萎凋度を検出し得るものとされている。即ち、萎凋度検出手段7は、茶葉を収容した状態の収容手段a全体の重量を検出し、検出値から収容手段aの重量を減算することにより茶葉の重量を検知可能とされており、その検知された茶葉の重量と収容当初の重量とを比較することにより、含有水分量(含有水分率)を算出し、これにより萎凋度を検出し得るものとされている。
【0030】
制御手段8は、萎凋度検出手段7と、含有水分調整手段(送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段)と電気的にそれぞれ接続されたもので、図5、6に示す如き制御がなされるものである。まず、図5で示すように、萎凋手段2に対する生葉の投入が完了したか否かを判定し(S1)、投入が完了したと判定されると、S2に進んで、萎凋度検出手段7で検知された投入完了時のコンテナ重量(即ち、茶葉を収容した状態の収容手段aの重量全体。以下同じ。)を記憶しておく(S2)。
【0031】
その後、経験則又は予め測定した生葉の水分値に基づき含有水分調整手段(送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段)を駆動させ、風量制御又は温度制御を開始させる(S3)とともに、風量・温度制御の開始からの時間を測定すべくタイマによるカウントを開始させる(S4)。そして、投入完了時のコンテナ重量に対する現在のコンテナ重量の割合を演算(例えば、現在のコンテナ重量をA、投入完了時のコンテナ重量をBとした場合、生葉における重量減の割合C=(A÷B)×100なる演算)する(S5)。
【0032】
その後、風量・温度制御の開始から所定時間経過してタイマがカウントアップしたか否かを判定し(S6)、カウントアップしたと判定されると、S7に進み、図6で示す如き風量・温度制御が行われることとなる一方、カウントアップしないと判定されると、S8に進み、萎凋工程設定時間が経過したか否かが判定される。かかるS8にて、萎凋工程設定時間が経過していないと判定されると、S5に戻って生葉における重量減の割合Cを演算を再び行わせ、萎凋工程設定時間が経過したと判定されると、一連の萎凋工程が終了する。本実施形態に係る風量・温度制御は、図6で示すように、萎凋工程が開始してから1回目の制御か否かが判定され(S1)、1回目の制御である場合はS2に進み、2回目以降の制御である場合はS3に進む。
【0033】
S2においては、経過時間を横軸とし重量減割合Cを縦軸とした場合のグラフ(図7参照)における現在値(t0、y0)と、投入完了時の値(0、100)とから1次直線を求め、S3においては、同グラフにおける現在値(t0、y0)と、前回の値(t1、y1)とから1次直線を求める。そして、S2又はS3にて求められた直線の1次直線式からΔY(設定萎凋時間Tにおける直線αの値と直線βの値との差)を求める(S4)。即ち、求められた1次直線式に基づき、設定された萎凋時間Tにおける重量減割合を算出することができ、かかる算出値と予め定められた目標含有水分Yとの差がΔYとされるのである。
【0034】
その後、ΔYの大きさに応じて送風ファン5による風量又は風導6に接続された熱風発生手段による熱風温度を制御し、製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう微調整する(S5)。即ち、ΔYが0より大きい場合は、風量又は熱風温度を上げる一方、ΔYが0より小さい場合は、風量又は熱風温度を下げ、目標値(T、Y)となるよう含有水分調整手段(送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段)を制御するのである。最後に、現在値(t0、y0)を前回値(t1、y1)として記憶させ(S6)、一連の風量・温度制御が終了する。
【0035】
一方、搬送コンベア24、25のそれぞれの一端側には、搬送コンベア26が配設されており、かかる搬送コンベア26にて萎凋手段2で萎凋された茶葉を次工程である製茶工程まで搬送し得るよう構成されている。一方、搬送コンベア24、25のそれぞれの他端側には、搬送コンベア27、28がそれぞれ配設されており、これら搬送コンベア27、28の先端側には、搬送コンベア15、16が配設されている。かかる搬送コンベア15、16の先端側には、搬送コンベア17、18が配設されている。
【0036】
搬送コンベア24、25は、その搬送方向を任意切り換え可能とされており、搬送コンベア26側に搬送すべく駆動されれば、当該搬送コンベア26を介して製茶工程に茶葉を搬送可能とされる一方、搬送コンベア27、28側に搬送すべく駆動されれば、当該搬送コンベア27、28、搬送コンベア15、16及び搬送コンベア17、18を介して萎凋手段2のそれぞれの投入口2aに搬送されるようになっている。而して、搬送手段4で搬出口2bまで搬送された茶葉は、掻き落し手段3で搬送コンベア21に掻き落とされ、垂直バケットコンベア22、23、搬送コンベア24、25、搬送コンベア15、16を介して投入口2aまで搬送可能とされており、当該茶葉を折り返し搬送させ得るようになっている。
【0037】
ここで、本実施形態においては、萎凋手段2は、1つの鮮度維持手段1に対して複数(本実施形態においては6つ)並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされており、且つ、それぞれの萎凋手段2による生葉の萎凋は、図8に示すように、所定時間ずらして行われるとともに、各萎凋手段2で萎凋された茶葉を製茶工程に対して連続的に供給可能とされている。尚、各萎凋手段2による萎凋は、それぞれが等しい一定の時間(萎凋時間B)行われるよう設定されているとともに、同図中符号Cは、鮮度維持手段1による鮮度維持工程を示している。
【0038】
即ち、生葉の摘採可能時間帯A(例えば朝8時〜16時といった昼間の時間帯)にて鮮度維持手段1に対する生葉の収容が行われる場合、それぞれの萎凋手段2による萎凋の開始時間を所定時間ずつずらして行わせるよう設定されており、製茶工程Dに対する供給が途絶えず連続的になるよう構成されているのである。これにより、それぞれの萎凋手段2による生葉の萎凋の開始は、所定時間ずらして行われるとともに、各萎凋手段2で萎凋された茶葉を製茶工程に対して連続的に供給可能とされたので、より容易且つ正確に、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。
【0039】
上記実施形態によれば、鮮度維持手段1と萎凋手段2とを具備するとともに、萎凋手段2は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされたので、生葉の萎凋を任意に行わせることができる(即ち、生葉の含有水分を任意に調整することができる)とともに、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。然るに、鮮度維持手段1による鮮度維持と萎凋手段2による萎凋とを別個の手段で行わせるので、鮮度維持と萎凋とをそれぞれ別個に行わせることができ、鮮度維持及び萎凋に適した条件を設定することができる。
【0040】
特に、萎凋度検出手段7で検出された生葉の萎凋度に基づき、製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう含有水分調整手段(送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段)を制御手段8にて制御するので、更に容易且つ正確に、製茶工程に対して一定の萎凋度の茶葉を供給することができる。また、制御手段8による制御により、生葉の管理の自動化を図ることができる。
【0041】
更に、萎凋度検出手段7は、収容手段aで収容された茶葉の重量を検出してその萎凋度を検出し得るので、より容易且つ精度よく萎凋度を検出することができる。また、本実施形態にかかる萎凋手段2は、搬送手段4で搬出口2bまで搬送された茶葉を投入口2aまで搬送して当該茶葉を折り返し搬送させ得るので、萎凋手段2における萎凋過程で茶葉の撹拌を行わせることができる。
【0042】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば各萎凋手段2の構成を他の形態としてもよく、萎凋度検出手段は、収容手段aで収容された生葉の萎凋度を検出し得るものであれば足り、例えば生葉の含有水分量(又は含有水分率)を直接検出し得るセンサ等としてもよい。また含有水分調整手段は、送風ファン5及び風導6に接続された熱風発生手段に限定されず、収容手段aで収容された生葉の含有水分を低下させ得るものであれば他の形態のものであってもよい。更に、萎凋手段2は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされていれば足り、本実施形態の如く鮮度維持手段1に対して6つ並設されたものの他、2〜5つ或いは7つ以上並設させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
搬入された生葉を収容可能とされ、当該収容された生葉の鮮度を維持可能な鮮度維持手段と、該鮮度維持手段から生葉を受け入れ、当該生葉の含有水分を任意まで低下させて萎凋させるとともに、当該萎凋後の茶葉を製茶工程に供給可能な萎凋手段とを具備するとともに、萎凋手段は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされた生葉管理装置であれば、外観形状が異なるもの或いは他の機能が付加されたもの等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 鮮度維持手段
2 萎凋手段
3 掻き落し手段
4 搬送手段
5 送風ファン
6 風導
7 萎凋度検出手段
8 制御手段
a 収容手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製茶工程前の生葉を収容して管理可能な生葉管理装置において、
搬入された生葉を収容可能とされ、当該収容された生葉の鮮度を維持可能な鮮度維持手段と、
該鮮度維持手段から生葉を受け入れ、当該生葉の含有水分を任意まで低下させて萎凋させるとともに、当該萎凋後の茶葉を製茶工程に供給可能な萎凋手段と、
を具備するとともに、前記萎凋手段は、複数並列に配設され、それぞれが独立して生葉に対して萎凋可能とされたことを特徴とする生葉管理装置。
【請求項2】
それぞれの前記萎凋手段による生葉の萎凋の開始は、所定時間ずらして行われるとともに、各萎凋手段で萎凋された茶葉を製茶工程に対して連続的に供給可能とされたことを特徴とする請求項1記載の生葉管理装置。
【請求項3】
前記萎凋手段は、
前記鮮度維持手段から受け入れた茶葉を所定量収容可能な収容手段と、
生葉の投入口から搬出口まで茶葉を搬送可能な搬送手段と、
前記収容手段で収容された生葉の含有水分を低下させるための含有水分調整手段と、
前記収容手段で収容された生葉の萎凋度を検出し得る萎凋度検出手段と、
該萎凋度検出手段で検出された生葉の萎凋度に基づき、前記製茶工程に供給する茶葉が予め定められた目標含有水分になるよう前記含有水分調整手段を制御する制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の生葉管理装置。
【請求項4】
前記萎凋度検出手段は、前記収容手段で収容された茶葉の重量を検出してその萎凋度を検出し得ることを特徴とする請求項3記載の生葉管理装置。
【請求項5】
前記萎凋手段は、前記搬送手段で搬出口まで搬送された茶葉を投入口まで搬送して当該茶葉を折り返し搬送させ得ることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の生葉管理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−217697(P2011−217697A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−92808(P2010−92808)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000104375)カワサキ機工株式会社 (30)
【Fターム(参考)】