説明

産業車両のウイングバケット回動機構

【課題】ウイングバケットの開き量を運転席から正確に目視できるようにする。
【解決手段】スキッドステアローダのパレット30の左右両側には、回動可能な一対のウイングバケット31、32が設けられている。ウイングバケット31、32の先端部は、シリンダ4の駆動により、パレット30の左右両側部に接近配置される閉塞位置と、パレット30の左右両側方に離れて配置される開放位置とをとり得る。シリンダ4のピストンロッド先端には、ピストンロッド先端から上方に延びる軸状の指示部材42が取り付けられており、シリンダ4を収容するカバー8の上面80には、指示部材42の先端部が上方に挿通しかつピストンロッド41の移動方向に沿って延びるスリット80aが形成されている。カバー上面80のスリット開口部には、指示部材42のスリット内の位置を示す目盛版81が貼着されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキッドステアローダ等の産業車両のウイングバケット回動機構に関し、とくに、操作者がウイングバケットの開き量を操縦席から正確に目視できるようにするための構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば畜産用舎屋内での家畜の糞の排除にスキッドステアローダ等の産業車両が用いられている。このようなスキッドステアローダは、アタッチメントとして、受け台の左右両側に開閉可能に設けられた一対のウイングバケットを備えている(特公昭61−53998号公報の第2図参照)。
【0003】
ウイングバケットは、基端部が受け台の左右両側後部に回動自在に支持されており、基端部が回動することで、先端部が受け台の両側部に接近配置される閉塞位置と、先端部が受け台の両側方に離れて配置される開放位置とをとり得るようになっている。また、ウイングバケットの基端部には、ウイングバケットを開閉駆動するための油圧シリンダが駆動連結されている。
【0004】
運転時には、油圧シリンダの駆動により、ウイングバケットを開放位置に配置し、この状態から、車両を前進させる。すると、舎屋内の糞は、ウイングバケットの内側面で案内されつつ、受け台の上にすくいとられる。その後、油圧シリンダを駆動して、ウイングバケットを閉塞位置に移動させることにより、受け台の上の糞が、受け台の両側部のウイングバケットで囲まれた空間内に収容されることになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、糞等の運搬物の量に応じて、ウイングバケットの開き量(開き角度)を調整する必要があるが、前記従来の構成では、ウイングバケットの開き量の調整は、操作者が操縦席から各ウイングバケットの先端部を目視しながら行っており、微妙な調整が難しかった。また、ウイングバケットの先端部が糞等の運搬物の中に埋まってしまって見えなくなる場合もあり、このような場合、前記従来の構成では、ウイングバケットの開き量を調整するのが困難であった。
【0006】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明が解決しようとする課題は、操作者がウイングバケットの開き量を操縦席から正確に目視でき、ウイングバケットの開き量の微妙な調整を可能にするウイングバケット回動機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明に係る産業車両用ウイングバケット回動機構は、産業車両の前部に配置された受け台の左右両側にそれぞれウイングバケットを有している。ウイングバケットの基端部は、受け台の左右両側の後部に回動自在に支持されている。ウイングバケットの先端部が受け台の左右両側部に接近配置される閉塞位置と、受け台の左右両側方に離れて配置される開放位置とをとり得るように、ウイングバケットを開閉駆動するシリンダが設けられている。シリンダのピストンロッド先端には、当該ピストンロッド先端から上方に延びる軸状の指示部材が設けられており、シリンダを収容する筺体の上面には、指示部材の先端部が上方に挿通しかつピストンロッドの移動方向に沿って延びるスリットが形成されるとともに、筺体の上面においてスリットの開口部には、指示部材のスリット内の位置を示す目盛が付されている。
【0008】
請求項1の発明によれば、シリンダのピストンロッド先端に指示部材が設けられるとともに、当該指示部材が筺体上面のスリットを上方に挿通しているので、シリンダの駆動によりピストンロッドを伸長または縮退させると、ピストンロッド先端の指示部材が筺体上面のスリット内を移動することになる。また、このとき、筺体上面のスリット開口部には目盛が付されているので、指示部材のスリット内の位置をこの目盛により読み取ることができる。
【0009】
したがって、操作者は、シリンダを駆動してウイングバケットを開閉する際に、スリット内における指示部材の位置を操縦席から目視することで、ウイングバケットの開き量を操縦席から正確に目視できるようになり、ウイングバケットの開き量の微妙な調整が可能になる。また、この場合、指示部材が、シリンダを収容する筺体の上面から上方に延びているので、ウイングバケットの先端部が糞等の運搬物の中に埋まって見えなくなっている場合でも、指示部材は操縦席から目視できる位置に常時配置されているので、ウイングバケットの開き量の調整はいつでも可能である。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1において、支軸の回りを回動自在なリンク機構が筺体の内部に設けられており、リンク機構にシリンダのピストンロッド先端が連結され、リンク機構の第1、第2の端部に第1、第2の連結部材の一端がそれぞれ連結されるとともに、第1、第2の連結部材の他端が各ウイングバケットにそれぞれ連結されている。
【0011】
請求項2の発明によれば、シリンダを駆動してピストンロッドを伸長または縮退させると、リンク機構が支軸の回りを回動し、このとき、リンク機構の第1、第2の端部にそれぞれ連結された第1、第2の連結部材が、それぞれ対応する各ウイングバケットを回動させる。これにより、各ウイングバケットが閉塞位置または開放位置に移動する。
【0012】
この場合には、リンク機構を介して、各ウイングバケットの運転を同期させることができる。すなわち、各ウイングバケットを左右対称の開閉位置に配置することができる。
【0013】
請求項3の発明では、請求項1において、リンク機構が左右に離隔配置された第1、第2のリンクと、これらを連結する連接リンクとから構成されており、シリンダのピストンロッド先端が第1のリンクに連結され、第1、第2のリンクの端部に第1、第2の連結部材の一端がそれぞれ連結されるとともに、第1、第2の連結部材の他端が各ウイングバケットにそれぞれ連結されている。
【0014】
請求項3の発明によれば、シリンダを駆動してピストンロッドを伸長または縮退させると、第1のリンクが回動するとともに、連接リンクを介して第2のリンクが回動する。このとき、第1のリンクの端部に連結された第1の連結部材が、対応するウイングバケットを回動させ、第2のリンクの端部に連結された第2の連結部材が、対応するウイングバケットを回動させる。これにより、各ウイングバケットが閉塞位置または開放位置に移動する。
【0015】
請求項4の発明では、請求項1において、指示部材がスリット内の所定位置に到達したことを操作者に知らせる発報手段がさらに設けられている。
【0016】
この場合には、指示部材が所定位置に到達した、すなわち、各ウイングバケットが所定の閉塞(または開放)位置に到達したことが発報手段により発報されるので、操作者は、ウイングバケットの開き量の調整を正確かつ確実に行えるようになる。
【0017】
請求項5の発明では、請求項4において、発報手段は、指示部材が所定位置に到達したことを検出するセンサと、センサの検出信号を受けて音、音声または光により発報する発報部とから構成されている。
【0018】
請求項6の発明では、請求項1において、当該産業車両がスキッドステアローダである。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明に係る産業車両用ウイングバケット回動機構によれば、ウイングバケットを駆動するシリンダのピストンロッド先端に指示部材を設け、当該指示部材を筺体上面のスリットから上方に臨ませるとともに、筺体上面のスリット開口部に目盛を付すようにしたので、シリンダの駆動によりピストンロッドを伸長または縮退させると、ピストンロッド先端の指示部材が筺体上面のスリット内を移動し、このとき、指示部材のスリット内の位置を目盛により読み取ることができる。
【0020】
したがって、操作者は、シリンダを駆動してウイングバケットを開閉する際に、スリット内の指示部材が指し示す目盛の値を操縦席から目視することで、ウイングバケットの開き量を指示部材を介して操縦席から正確に目視できるようになり、ウイングバケットの開き量の微妙な調整が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例によるウイングバケット回動機構を採用するスキッドステアローダの側面概略図である。
【図2】前記ウイングバケット回動機構(図1)の分解組立図である。
【図3】前記ウイングバケット回動機構(図1)の平面部分図である。
【図4】図3の一部拡大図である。
【図5】前記ウイングバケット回動機構(図1)のリンク機構部分の変形例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図4は、本発明の一実施例によるウイングバケット回動機構を説明するための図である。ここでは、産業車両としてスキッドステアローダを例にとって説明する。なお、図2、図3において、矢印F方向は車両の前方を示している。
【0023】
図1に示すように、スキッドステアローダ1は、操作者Pが着座して荷役操作を行うためのコントロールグリップ、各種スイッチ、表示灯等が設けられた操縦席を含む車両本体2と、車両本体2の前方(同図左方)に配置され、車両本体2に着脱自在に取り付けられるアタッチメントとしてのウイングバケット装置3とを備えている。
【0024】
ウイングバケット装置3は、図2に示すように、中央に配置されたパレット(受け台)30と、その左右に設けられた一対のウイングバケット31、32とを有している。ウイングバケット31、32は、底壁部31A、32Aと、その一端から上方に延びる立壁部31B、32Bとをそれぞれ有しており、いずれも横断面L字状の部材である。また、ウイングバケット31、32は、基端部31C、32Cを有しており、各基端部31C、32Cは、パレット30の左右両側の後部に設けられた、上下方向に延びる支軸33の回りに回動自在に設けられている。
【0025】
この構成により、ウイングバケット31の先端部は、図3に示すように、パレット30の側方に離れて配置される開放位置(実線位置)と、パレット30の側部に接近配置される閉塞位置(一点鎖線位置)と、これらの間に配置される中間位置(二点鎖線位置)とをとり得るようになっている。なお、図3では、ウイングバケット31のみを示しているが、ウイングバケット32についても同様であって、ウイングバケット32は、ウイングバケット31に対して左右対称な位置に配置される。
【0026】
パレット30の後部には、図2に示すように、各ウイングバケット31、32を開閉駆動するための油圧シリンダ4が設けられている。シリンダ4は、左右方向(つまり車両幅方向)に配設されており、シリンダ本体40と、その先端から延びる進退自在なピストンロッド41とを有している。
【0027】
シリンダ本体40の後端には、筒状部材40aが固定されており、筒状部材40aは、パレット30の後部に設けられた支持ボルト40bに回動自在に支持されている(図4参照)。これにより、シリンダ本体40は、支持ボルト40bの回りを上下方向(図4紙面垂直方向)に回動自在になっている。ピストンロッド41の先端には、筒状部材41aが固定されており、筒状部材41aには、上方に延びる軸状の指示部材42の下端が固着されている。なお、シリンダ本体40には、図示しない油圧機器からの油圧が油圧ホース43を介して供給されるようになっている。
【0028】
また、パレット30の後部には、図2に示すように、リンク5を含むリンク機構が設けられている。リンク5は、前後方向に所定間隔を隔てて対向配置された一対のリンク部材5A、5Bから構成されており、各リンク部材5A、5Bは、その中央部を前後方向に挿通するピン50に回動自在に支持されている。
【0029】
シリンダ4のピストンロッド先端の筒状部材41aは、各リンク部材5A、5B間においてリンク5の上端に配置されており、リンク5の上端および当該筒状部材41aを前後方向に挿通する支持ボルト51に回動自在に連結されている。
【0030】
一方、リンク5の左右両側方には、第1、第2の連結部材としてのコネクティングロッド6、7がそれぞれ配設されている。コネクティングロッド6は、長手方向に延びるロッド60と、その両端に取り付けられるロッドエンド61、62とを有しており、同様に、コネクティングロッド7は、長手方向に延びるロッド70と、その両端に取り付けられるロッドエンド71、72とを有している。ロッドエンド61、71の各貫通孔は前後方向に配向しており、ロッドエンド62、72の各貫通孔は上下方向に配向している。
【0031】
ロッドエンド61は、各リンク部材5A、5B間においてリンク5の上端寄りの位置に配置されており、リンク5の上端寄りの位置および当該ロッドエンド61を前後方向に挿通する支持ボルト52に回動自在に連結されている。ロッドエンド62は、これを上下方向に挿通する支持ボルト63に回動自在に連結されており、支持ボルト63は、ウイングバケット31の基端部31Cに取り付けられている。
【0032】
ロッドエンド71は、各リンク部材5A、5B間においてリンク5の下端に配置されており、リンク5の下端および当該ロッドエンド71を前後方向に挿通する支持ボルト53に回動自在に連結されている。ロッドエンド72は、これを上下方向に挿通する支持ボルト73に回動自在に連結されており、支持ボルト73は、ウイングバケット32の基端部32Cに取り付けられている。
【0033】
パレット30の後部には、図2に示すように、当該後部を上方から覆うカバー8が設けられている。カバー8の上面80には、左右方向(つまりピストンロッド41の伸長・縮退方向)に延びるスリット80aが貫通形成されている。ピストンロッド先端の指示部材42は、スリット80aを上方に挿通しており、指示部材42の上端は、スリット80aから上方に臨んでいる。また、カバー8の上面80において、スリット80aの開口縁部の近傍には、目盛版81が貼着されている。この目盛版81は、支持部材42のスリット80a内の位置を示すためのものである。
【0034】
操作者Pが荷役操作を行う際には、シリンダ4を駆動して、ピストンロッド41を伸長または縮退させることにより、各ウイングバケット31、32の開き角度を調整する。
【0035】
例えば、ピストンロッド41を伸長させると、リンク5がピン50の回りを回動して、リンク5の上端が右方に、下端が左方に移動する。これにより、リンク5の上端寄りの位置にロッドエンド61が連結されたコネクティングロッド6は右方に引っ張られ、その結果、ロッドエンド62が基端部31Cに連結されたウイングバケット31が、支軸33の回りに回動して、ウイングバケット31が閉塞側に向かって移動する。
【0036】
一方、リンク5の下端にロッドエンド71が連結されたコネクティングロッド7は左方に引っ張られ、その結果、ロッドエンド72が基端部32Cに連結されたウイングバケット32が、支軸の回りに回動して、ウイングバケット32が閉塞側に向かって移動する。
【0037】
これとは逆に、ピストンロッド41を縮退させると、リンク5がピン50の回りをピストンロッド伸長時とは逆方向に回動することで、各コネクティングロッド6、7がピストン伸長時とは逆方向に引っ張られ、その結果、各ウイングバケット31、32は開放側に向かって移動する。
【0038】
これらいずれの場合であっても、ピストンロッド41の移動時には、ピストンロッド先端に設けられた指示部材42が、カバー上面80のスリット80aから上方に挿通した状態で、スリット80aに沿って移動する。
【0039】
したがって、操作者Pは、ウイングバケット31、32を開閉する際に、スリット80a内における指示部材42の位置(および指示部材42が指し示す目盛板41の目盛)を操縦席から目視することで(図1中の一点鎖線参照)、ウイングバケット31、32の開き量を指示部材42を介して操縦席から正確に目視できるようになり、ウイングバケット31、32の開き量の微妙な調整が可能になる。
【0040】
しかも、この場合には、指示部材42が、カバー上面80から上方に延びているので、ウイングバケット31、32の先端部が糞等の運搬物の中に埋まって見えなくなっている場合でも、指示部材42は操縦席から目視できる位置に常時配置されており、このため、ウイングバケット31、32の開き量の調整はいつでも可能である。
【0041】
<変形例1>
ウイングバケット機構を構成するリンク機構としては、前記実施例に示すものに限定されない。図5は、リンク機構の変形例を示しており、同図において、前記実施例と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0042】
図5に示すように、このリンク機構は、左右方向(同図左右方向)に離隔配置されかつ連接リンク100により連結された第1、第2のリンク101、102から構成されている。第1、第2のリンク101、102はいずれも、これらの略中央部を挿通するピンの回りに回動自在に設けられている。
【0043】
第1、第2のリンク101、102は、前後方向(同図紙面垂直方向)に対向配置された一対の部材からそれぞれ構成されており、図5では、第1、第2のリンク101、102の手前側の部材がいずれも省略された状態が示されている。
【0044】
シリンダ4のピストンロッド先端の筒状部材41aは、第1のリンク101の上端にヒンジ連結されている。コネクティングロッド6のロッドエンド61は、第2のリンク102の一端にヒンジ連結されており、コネクティングロッド7のロッドエンド71は、第1のリンク101の一端にヒンジ連結されている。また、前記実施例と同様に、コネクティングロッド6のロッドエンド62は、ウイングバケット31の基端部31Cにヒンジ連結されており、コネクティングロッド7のロッドエンド72は、ウイングバケット32の基端部32Cにヒンジ連結されている。
【0045】
この場合には、図5中の実線矢印に示すように、ピストンロッド41を伸長させると、第1のリンク101がピンの回りを図示左回りに回動するとともに、連接リンク100を介して第2のリンク102が図示右回りに回動する。これにより、コネクティングロッド6は右方(図示左方)に引っ張られ、その結果、ロッドエンド62が基端部31Cに連結されたウイングバケット31が、支軸33の回りに回動して、ウイングバケット31が閉塞側に向かって移動する。
【0046】
一方、コネクティングロッド7は左方(図示右方)に引っ張られ、その結果、ロッドエンド72が基端部32Cに連結されたウイングバケット32が、支軸の回りに回動して、ウイングバケット32が閉塞側に向かって移動する。
【0047】
これとは逆に、ピストンロッド41を縮退させた場合には、図5中の一点鎖線矢印に示すように、第1、第2のリンク101、102がピンの回りをピストンロッド伸長時とは逆方向に回動することで、各コネクティングロッド6、7がピストン伸長時とは逆方向に引っ張られ、その結果、各ウイングバケット31、32は開放側に向かって移動する。
【0048】
前記実施例と同様に、これらいずれの場合であっても、ピストンロッド41の移動時には、ピストンロッド先端の指示部材42が、カバー上面80のスリット80aから上方に臨んだ状態で、スリット80aに沿って移動するので、操作者Pは、ウイングバケット31、32を開閉する際に、スリット80a内における指示部材42の位置(および指示部材42が指し示す目盛板41の目盛)を操縦席から目視することで(図1中の一点鎖線参照)、ウイングバケット31、32の開き量を指示部材42を介して操縦席から正確に目視できるようになり、ウイングバケット31、32の開き量の微妙な調整が可能になる。
【0049】
<変形例2>
前記実施例および変形例1においては、スリット80a内における指示部材42の位置を操作者Pが目視のみによって把握する例を示したが、本発明の適用はこれには限定されない。指示部材42がスリット80a内の所定位置に到達したことを操作者Pに知らせる発報手段をさらに設けるようにしてもよい。
【0050】
このような発報手段としては、電子音、ブザー音のような音や合成音声を発生させる場合のほか、ランプを点灯または点滅させるようにすればよい。
【0051】
また、指示部材42がスリット80a内の所定位置に到達したことを検出するセンサを設け、このセンサの検出信号を受けて発報手段を発報させるようにしてもよい。センサが検出する検出部位としては、指示部材42や、ピストンロッド先端の筒状部材41aのほか、ピストンロッド41の進退量などが考えられる。
【0052】
<他の適用例>
前記実施例では、本発明によるウイングバケット回動機構がスキッドステアローダに適用された例を示したが、本発明はその他の産業車両にも同様に適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上のように、本発明は、ウイングバケットを備えたスキッドステアローダ等の産業車両に適している。
【符号の説明】
【0054】
1: スキッドステアローダ

30: パレット(受け台)
31、32: ウイングバケット
31C、32C: 基端部

4: 油圧シリンダ
41: ピストンロッド
42: 指示部材

8: カバー(筺体)
80: 上面
80a: スリット
81: 目盛板
【先行技術文献】
【特許文献】
【0055】
【特許文献1】特公昭61−53998号公報(第2図参照)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業車両のウイングバケット回動機構において、
前記ウイングバケットは、産業車両の前部に配置された受け台の左右両側にそれぞれ設けられ、その基端部が前記受け台の左右両側の後部に回動自在に支持されるとともに、先端部が前記受け台の左右両側部に接近配置される閉塞位置と、前記受け台の左右両側方に離れて配置される開放位置とをとり得るように、前記ウイングバケットを開閉駆動するシリンダが設けられており、
前記シリンダのピストンロッド先端には、当該ピストンロッド先端から上方に延びる軸状の指示部材が設けられており、前記シリンダを収容する筺体の上面には、前記指示部材の先端部が上方に挿通しかつ前記ピストンロッドの移動方向に沿って延びるスリットが形成されるとともに、前記筺体の上面において前記スリットの開口部には、前記指示部材の前記スリット内の位置を示す目盛が付されている、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。
【請求項2】
請求項1において、
前記筺体の内部には、支軸の回りを回動自在なリンク機構が設けられており、前記リンク機構に前記シリンダの前記ピストンロッド先端が連結され、前記リンク機構の第1、第2の端部に第1、第2の連結部材の一端がそれぞれ連結されるとともに、前記第1、第2の連結部材の他端は前記各ウイングバケットにそれぞれ連結されている、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。
【請求項3】
請求項1において、
前記リンク機構が左右に離隔配置された第1、第2のリンクと、これらを連結する連接リンクとから構成されており、前記シリンダの前記ピストンロッド先端が前記第1のリンクに連結され、前記第1、第2のリンクの端部に第1、第2の連結部材の一端がそれぞれ連結されるとともに、前記第1、第2の連結部材の他端は前記各ウイングバケットにそれぞれ連結されている、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。
【請求項4】
請求項1において、
前記指示部材が前記スリット内の所定位置に到達したことを操作者に知らせる発報手段がさらに設けられている、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。
【請求項5】
請求項4において、
前記発報手段は、前記指示部材が前記所定位置に到達したことを検出するセンサと、前記センサの検出信号を受けて音、音声または光により発報する発報部とから構成されている、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。
【請求項6】
請求項1において、
当該産業車両がスキッドステアローダである、
ことを特徴とする産業車両のウイングバケット回動機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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