説明

用紙折り装置

【課題】 プレスローラのニップと折り筋とのずれを円滑に矯正でき、しかも用紙の搬送抵抗を軽減して完成品の美観を高めることができる用紙折り装置を提供する。
【解決手段】 用紙11に折り目11aを形成する用紙折り装置10であって、平坦な用紙11を徐々に山型に変形させる変形機構13と、この変形機構13の下流側に設けられ、山型に変形させた用紙11の頂部を挟み、搬送方向と平行な折り目11aを用紙11に形成する1対のプレスローラ15と、これら1対のプレスローラ15と同一軸上で且つ軸方向に隣接して設けられ、山型に変形させた用紙11を挟み、プレスローラ15に案内する1対のガイドローラ16と、を備え、このガイドローラ16の外周面の摩擦力を、プレスローラ15の外周面の摩擦力よりも大きく設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙折り装置に関し、折り筋とプレスローラのニップとのずれを円滑に矯正でき、しかも用紙の搬送抵抗を軽減できる用紙折り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
重ねた用紙の中央を折り曲げ、この折り曲げラインに沿って針で綴じた中綴じ折り冊子が広く使われている(例えば、特許文献1(図2)参照。)。
【0003】
特許文献1に開示される技術は、中綴じ折り冊子を作成する方法であって、1枚または複数枚重ねた用紙を搬送しながら、山型に折りこんでいくと共に、その用紙の頂部をプレスローラの間に通し、折り目を付ける用紙折り装置を用いる。
【0004】
この用紙折り装置は、特許文献1の図2に示されるように、折り部(8)(括弧付き数字は、特許文献に記載された符号を示す。以下同様)を有する。この折り部(8)では、先ず、折る前の用紙に筋入れローラ(8b)で折り筋を入れる。次に、用紙を丸ベルト(8e)によって搬送しながら山型に折りこんでいく。そして、用紙の頂部をプレスローラ(8d)の間に通すことで折り目を形成する。
【0005】
このように、プレスローラ(8d)に入る前は、用紙に折り筋が形成されているものの、用紙は、しっかりと山型に折り曲げられていない。この状態で、用紙はプレスローラ(8d)に突入するが、プレスローラ(8d)に突入すると、プレスローラ(8d)のニップと折り筋とのずれが矯正される。この矯正により、用紙には、折り筋に沿う折り目が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003-211865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、プレスローラ(8d)のニップと折り筋とのずれが矯正される際、搬送抵抗が生ずる。この搬送抵抗により、丸ベルト(8e)と用紙面との間に滑りが発生し、用紙面にその擦り跡が付くため、完成品の美観が損なわれる。
【0008】
そこで、プレスローラ(8d)のグリップ力を強くすることが考えられる。この場合、用紙のくわえ込み力が向上し、搬送抵抗を軽減できる。しかし、プレスローラ(8d)のニップと折り筋とのずれを矯正できなくなるため、折り筋と異なるラインに折り目が形成されてしまい、不良冊子となってしまう。
【0009】
また、丸ベルト(8e)を無くすことで、擦れ跡の問題は解消できる。しかし、丸ベルト(8e)を無くすと、プレスローラ(8d)にくわえ込まれた用紙が搬送中に下降し、プレスローラ(8d)から外れてしまうことがある。これは、用紙を下から支える部材が無くなるからである。
【0010】
そこで、本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、プレスローラのニップと折り筋とのずれを円滑に矯正でき、しかも用紙の搬送抵抗を軽減して完成品の美観を高めることができる用紙折り装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、用紙に折り目を形成する用紙折り装置において、平坦な前記用紙を徐々に山型に変形させる変形機構と、この変形機構の下流側に設けられ、前記山型に変形させた用紙の頂部を挟み、搬送方向と平行な折り目を前記用紙に形成する1対のプレスローラと、これら1対のプレスローラと同一軸上で且つ軸方向に隣接して設けられ、前記山型に変形させた用紙を挟み、前記1対のプレスローラに案内する1対のガイドローラと、を備え、前記ガイドローラの外周面の摩擦力を、前記プレスローラの外周面の摩擦力よりも大きく設定したことを特徴とする。
【0012】
上記発明では、1対のプレスローラと同一軸上に1対のガイドローラを隣接させて設け、このガイドローラの外周面の摩擦力を、プレスローラの外周面の摩擦力よりも大きく設定した。
【0013】
この構成によれば、用紙は、プレスローラと低摩擦で接し、ガイドローラと高摩擦で接する。低摩擦側のプレスローラでは、用紙が突入すると、ニップと折り筋とのずれが円滑に矯正されながら、折り目が形成される。一方、高摩擦側のガイドローラでは、用紙の外面がしっかりと接触するので、用紙は、滑ることなくプレスローラに引込まれる。結果、搬送抵抗が軽減される。このように本発明では、矯正の余地を残しながら、プレスローラへの用紙のくわえ込みを改善することができるようになる。
【0014】
上記発明は、プレスローラの外周面におけるガイドローラ側の端部に、丸みを設けたことを特徴とする。
【0015】
上記発明では、プレスローラの外周面において、ガイドローラ側の端部に丸みを設けた。
プレスローラの端部に丸みを設けたので、プレスローラの端部により用紙が損傷することを防止できる。
【0016】
上記発明は、プレスローラの材質を金属又は合成樹脂としたことを特徴とする。
【0017】
上記発明では、プレスローラの材質を金属又は合成樹脂とした。
プレスローラの材質は、用紙との間で適度な滑りを生じさせ、折りずれを矯正できる金属又は合成樹脂から選定することが好ましい。
【0018】
上記発明は、ガイドローラの材質をウレタンゴム又はシリコンゴムとしたことを特徴とする。
【0019】
上記発明では、ガイドローラの材質をウレタンゴム又はシリコンゴムとした。
ガイドローラの材質をウレタンゴム又はシリコンゴムとしたので、ガイドローラの摩擦力を容易に高めることができ、折りずれの矯正機能を損なわずに搬送抵抗を一層軽減することができる。
【0020】
上記発明は、ガイドローラの軸方向幅をプレスローラの軸方向幅よりも狭く設定したことを特徴とする。
【0021】
上記発明では、ガイドローラの軸方向幅をプレスローラの軸方向幅よりも狭く設定した。
仮に、ガイドローラの軸方向幅をプレスローラの軸方向幅と同等、または、それよりも広く設定した場合を考える。この場合、高摩擦側のガイドローラの外周面が広くなるため、用紙がガイドローラ側に引かれてしまい、折りずれの矯正が不安定になる虞がある。
この点、本発明では、ガイドローラの外周面が狭いので、用紙がガイドローラに適性に接触する。このため、矯正機能が安定して働き、完成品の品質を安定させることができる。
【0022】
上記発明は、ガイドローラの外周面を凹凸形状としたことを特徴とする。
【0023】
上記発明では、ガイドローラの外周面を凹凸形状とした。
ガイドローラの外周面を凹凸形状にすることで、ガイドローラのグリップ力が強化される。また、この凹凸形状によって、ガイドローラと用紙が適度に接触するため、搬送抵抗を一層軽減することができる。
【0024】
上記発明は、変形機構には、用紙を山型に変形させ、且つ、用紙の外面に接して、用紙を搬送するベルトが設けられており、このベルトの下流側の端部を、プレスローラよりも上流側に配置したことを特徴とする。
【0025】
上記発明では、変形機構には、用紙を山型に変形させ、且つ、用紙の外面に接して、用紙を搬送するベルトが設けられており、このベルトの下流側の端部を、プレスローラよりも上流側に配置した。
【0026】
この構成では、変形機構を構成するベルトは、プレスローラまで達しておらず、従来のようなプレスローラの下を通る丸ベルトは無くても良い。これは、プレスローラにくわえ込まれた用紙の下降を、高摩擦のガイドローラが防ぐ(支持する)からである。したがって、従来の丸ベルトを省略することで、部品点数の削減を図ることができる。
【0027】
上記発明は、ガイドローラの下方位置に、ガイドローラの上流側から下流側に巻掛けられて、山型に変形した用紙をプレスローラに案内するベルトを設けたことを特徴とする。
【0028】
上記発明では、ガイドローラの下方位置に、上流側から下流側に巻掛けられ、山型に変形した用紙をプレスローラに案内するベルトを設けた。
【0029】
上述のように従来のような丸ベルトは無くても良いが、用紙の仕様(材質や厚み、寸法等)に応じて、プレスローラの下にベルトを通しても差支えない。この構成によれば、ベルトを追加又は上流側から延長することで、用紙をより安定して搬送することができ、様々な仕様の用紙に対応することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、プレスローラのニップと折り筋とのずれを円滑に矯正でき、しかも用紙の搬送抵抗を軽減して完成品の美観を高めることができる用紙折り装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る用紙折り装置の斜視図である。
【図2】用紙折り装置の側面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】プレスローラ及びガイドローラの斜視図である。
【図5】プレスローラ及びガイドローラの断面図である。
【図6】変形機構の作用を説明する図であり、(a)は図2のA−A断面図、(b)は図2のB−B断面図、(c)は図2のC−C断面図である。
【図7】変形機構の作用を説明する図であり、(a)は図2のD−D断面図、(b)は図2のE−E断面図、(c)は図2のF−F断面図である。
【図8】プレスローラ及びガイドローラの作用を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための実施形態について詳細に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。また、左・右は、用紙の進行方向(上流側から下流側に向く方向)に対する左・右とする。
【0033】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る用紙折り装置10は、例えば、中綴じ折り冊子の作成に供され、1枚または複数枚重ねた用紙11を搬送し、搬送方向(矢印(1)で示す方向)と平行な折り目11aを用紙11に形成する装置である。
【0034】
この用紙折り装置10は、製造ラインの所定位置に設置される支持プレート12と、この支持プレート12の上方に設けられ、平坦な用紙11を徐々に山型に変形させる変形機構13と、この変形機構13の下流側に設けられ、山型に変形させた用紙11の頂部を挟み、用紙11に折り目11aを形成する左右1対のプレスローラ15と、このプレスローラ15と同一軸上で且つ軸方向に隣接して設けられ、山型に変形させた用紙11を挟み、左右1対のプレスローラ15に案内する左右1対のガイドローラ16と、を備える。
【0035】
また、用紙折り装置10は、変形機構13を覆う左右1対の第1カバー17と、この第1カバー17の下流側に配置される第2カバー18と、変形機構13、プレスローラ15及びガイドローラ16を駆動する左右一対の駆動軸21と、を備える。
【0036】
なお、変形機構13の上流側に、筋付用の上ローラ22及び下ローラ23が配置される。これらローラ22、23の間に用紙11を通すことで、用紙11の所定箇所(この例では中心線11b)に折り筋を形成する。
【0037】
以下、用紙折り装置10の各部の構成を詳しく説明する。
変形機構13は、支持プレート12に設けられる複数(この例では6本)の支軸25と、これら複数の支軸25のそれぞれに設けられる複数の下プーリ26A〜26Fとを備える。上流側の下プーリ26Aは、二段プーリであり、筋付け用の下ローラ23によりベルト27で駆動される。下プーリ26A〜26Fには、下ベルト(この例では丸ベルト)28が巻掛けられており、この下ベルト28は、矢印(2)の向きに走行する。
【0038】
また、変形機構13は、第1カバー17に設けられる支軸31と、この支軸31に設けられる上プーリ32Aとを備える。この上プーリ32Aは、左右2本の上ベルト(この例では丸ベルト)33を介して駆動軸21に従動する。この上プーリ32Aよりも下流側には、複数組(この例では5組)の左右のローラ35B〜35Fが支軸36を介して第1カバー17に設けられる。上ベルト33は、これらローラ35B〜35Fの下部で走行位置が規制され、矢印(3)の向きに走行する。また、第2カバー18に、ベンドプーリ37が設けられており、このベンドプーリ37は、駆動軸21から外側に回る上ベルト33を内側に戻す。また、支持プレート12の下流側端部に、支軸38を介して回転板41Gが設けられ、この回転板41Gの上に、左右1対のローラ42Gが配置される。
【0039】
駆動軸21は、プレスローラ15の上流側近傍で上下に延びる。この駆動軸21には、上から順に、駆動プーリ43、第1中間プーリ45、第2中間プーリ46が配置される。駆動プーリ43は、図示しない駆動源(例えば、電動モータ等)により、平ベルト(図2、符号47)で回転する。第2中間プーリ46には、上ベルト33が巻掛けられており、上ベルト33は、この第2中間プーリ46の回転により走行する。
【0040】
駆動軸21の下流側近傍に、従動軸48が配置される。この従動軸48には、上から順に、従動プーリ51、プレスローラ15、ガイドローラ16が配置される。従動プーリ51は、平ベルト52及び第1中間プーリ45により、互いに反対方向に回転する(矢印(4)、(5))。
【0041】
図2に示すように、上プーリ32A、ローラ35B〜35Fは、下流側に行くに従って、各々の位置が、下プーリ26A〜26Fに近づくように配置される。このように各プーリや各ローラを配置することにより、上ベルト33下部の走行線P1は、下ベルト28上部の走行線P2に対して、角度Qだけ傾斜する。
【0042】
図3に示すように、下プーリ26Aの上部において、上ベルト33の下縁は、下ベルト28の上縁よりも下に位置する。これにより、搬送された用紙11は、折り筋11cが下ベルト28に支えられ、左右の外面(斜面)11dが上ベルト33により上から押される。結果、用紙11は、折り筋11cを頂部とした山型(逆V字状)にやや変形する。さらに下流側では、上ベルト33の傾斜角(図2、符号Q)の作用により、上ベルト33と下ベルト28とが相対的に近づいて交差するため、用紙11の頂角θが徐々に小さくなる。
【0043】
次に、プレスローラ15、ガイドローラ16及びこれらの周辺構造を、図4、図5に基づいて詳細に説明する。図4に示すように、プレスローラ15は、左右に並んで設けられ、第2中間プーリ46の下流側近傍に位置する。すなわち、変形機構を構成する上ベルト33の下流側の端部33aは、プレスローラ15よりも上流側に位置する。
【0044】
プレスローラ15の下流側には、用紙の仕様(材質や厚み、寸法等)に応じて、支軸53及びプーリ55を設けてもよい。この場合、プーリ55と第2中間プーリ46にベルト(この例では丸ベルト)56を巻掛け、矢印(6)、(7)の向きに走行させることで、このベルト56によっても用紙を搬送できる。
【0045】
プレスローラ15の材質は、用紙との間で適度な滑りを生じ、折りずれを矯正する材質が好ましく、ステンレス鋼に代表される鉄系金属や、アルミニウム等の非鉄金属、あるいは、合成樹脂などから任意に選択できる。
【0046】
ガイドローラ16は、プレスローラ15の下部に配置される。ガイドローラ16の外周面16aの摩擦力は、プレスローラ15の外周面15aの摩擦力よりも大きく設定される。このため、ガイドローラ16の材質は、ウレタンゴム又はシリコンゴム等のゴム材料が好適であるが、ガイドローラ16に求められる性能に応じて、金属や合成樹脂等の材料からも任意に選択可能である。また、ガイドローラ16の外周面16aは、凹凸形状(この例では、凹部16bと凸部16cからなる歯車状)が望ましく、例えば、梨地、ローレット、斜行する溝などが有効である。
【0047】
図5に示すように、プレスローラ15の下端には、プレスローラ15よりも外径の小さい嵌合筒57が一体形成される。プレスローラ15及び嵌合筒57には、従動軸(図1、符号48)が嵌る軸穴15bが設けられる。また、プレスローラ15の外周面15aにおいて、ガイドローラ側の端部(下端部15c)の角には、所定のR寸法で丸み58が設けられる。
【0048】
ガイドローラ16は、プレスローラ15下部の嵌合筒57に嵌合される。ガイドローラ16の外径は、プレスローラ15の外径と略同じである。そして、ガイドローラ16の軸方向幅W1は、プレスローラ15の軸方向幅W2よりも狭く設定される。
【0049】
以上に述べた用紙折り装置10の作用・効果を図6〜図8に基づいて説明する。
図6(a)では、折り筋11cを付けた用紙11を上プーリ32Aと下プーリ26Aとの間に通す。すると、用紙11は、折り筋11cが下ベルト28に支持されながら搬送され、左右の外面11dが上ベルト33によって下へ押される。これにより、用紙11の左半部及び右半部は、折り筋11cを基点として傾斜する。このとき、用紙11の頂角はθ1である。
【0050】
(b)では、下ベルト28に対して、上ベルト33が相対的に下がる(近づく)ため、用紙11の頂角は、より小さくなりθ2となる。(c)では、上ベルト33は、下ベルト28に対してさらに下がり、下ベルト28と略同じ高さ位置となる。これにより、用紙11の頂角もさらに小さくなり、θ3となる。
【0051】
図7(a)〜(c)では、上ベルト33が、下ベルト28に対してさらに下がり、最終的に下ベルト28よりも低い位置を走行する。これに伴い、用紙11の頂角もθ4、θ5と一段と小さくなり、用紙11は、頂角が鋭角(θ6)になる程度まで山型に変形する。この山型に変形した用紙11は、ローラ(図1、符号42G)、回転板(図1、符号41G)により形態を維持したまま、上ベルト33により搬送され、プレスローラ15に達する。
【0052】
図8に示すように、用紙11は、プレスローラ15とは低摩擦で接し、ガイドローラ16とは高摩擦で接する。低摩擦側のプレスローラ15では、用紙11が突入すると、折り筋11cとニップ61とのずれが円滑に矯正されながら、折り目(図1、符号11a)が形成される。一方、高摩擦側のガイドローラ16では、外周面16aに用紙11の外面がしっかりと接触するので、用紙11は、滑ることなくプレスローラ15に引込まれる。このため、搬送抵抗が軽減される。このように本実施形態では、矯正の余地を残しながら、プレスローラ15への用紙11のくわえ込みを改善することができる。
【0053】
したがって、本実施形態によれば、プレスローラ15のニップ61と折り筋11cとのずれを円滑に矯正でき、しかも用紙11の搬送抵抗を軽減して完成品の美観を高めることができる。
【0054】
また、プレスローラ15に丸み58を設けたので、プレスローラ15により用紙11が損傷することを防止できる。また、ガイドローラ16の材質をウレタンゴム又はシリコンゴムとすることで、ガイドローラ16の摩擦力を容易に高めることができ、折りずれの矯正機能を損なわずに搬送抵抗を一層軽減することができる。
【0055】
また、ガイドローラ16の軸方向幅W1をプレスローラ15の軸方向幅W2よりも狭く設定したので、ガイドローラ16の外周面16aが小さくなる。
仮に、ガイドローラ16の軸方向幅W1をプレスローラ15の軸方向幅W2と同等、または、それよりも広く設定した場合を考える。この場合、高摩擦側のガイドローラ16の外周面16aが広くなるため、用紙11がガイドローラ16に引かれ過ぎてしまい、折りずれの矯正が不安定になる虞がある。
この点、本実施形態では、ガイドローラ16の外周面16aが狭いので、用紙11がガイドローラ16に適性に接触する。このため、矯正機能が安定して働き、完成品の品質を安定させることができる。
【0056】
さらに、ガイドローラ16の外周面16aを凹凸形状に形成したので、ガイドローラ16のグリップ力が強化される。また、この凹凸形状によって、ガイドローラ16と用紙11が適度に接触するため、搬送抵抗を一層軽減することができる。
【0057】
加えて、図4に示すように、上ベルト33の下流側端部33aは、プレスローラ15まで達しておらず、従来のような丸ベルトは無くても良い。これは、プレスローラ15にくわえ込まれた用紙の下降を、高摩擦のガイドローラ16が防ぐ(支持する)からである。したがって、従来のような丸ベルトを省略することで、部品点数の削減を図ることができる。
【0058】
このように本発明では、従来のような丸ベルトを省略できるが、用紙の仕様に応じて、プレスローラ15の下にベルト56を別途設けたり、上ベルト33をプレスローラ15の上流側まで延長したりする形態としても差支えない。ベルトを追加・延長することで、用紙をより安定して搬送することができ、様々な仕様の用紙に対応することができる。
【0059】
なお、本発明の用紙折り装置は、本実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。例えば、本実施形態では、プレスローラと一体形成した嵌合筒にガイドローラを嵌める構成としたが、ガイドローラとプレスローラのそれぞれを個別に軸に嵌合させてもよく、ガイドローラとプレスローラが隣接する構成であれば、各ローラの軸への嵌合手段は、任意である。
【符号の説明】
【0060】
10 用紙折り装置
11 用紙
11a 折り目
11d 外面
13 変形機構
15 プレスローラ
15a 外周面
15c 下端部(ガイドローラ側の端部)
16 ガイドローラ
16a 外周面
16b 凹部
16c 凸部
33 上ベルト
33a 下流側の端部
56 ベルト
58 丸み
W1 ガイドローラの軸方向幅
W2 プレスローラの軸方向幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に折り目を形成する用紙折り装置において、
平坦な前記用紙を徐々に山型に変形させる変形機構と、
この変形機構の下流側に設けられ、前記山型に変形させた用紙の頂部を挟み、搬送方向と平行な折り目を前記用紙に形成する1対のプレスローラと、
これら1対のプレスローラと同一軸上で且つ軸方向に隣接して設けられ、前記山型に変形させた用紙を挟み、前記1対のプレスローラに案内する1対のガイドローラと、を備え、
前記ガイドローラの外周面の摩擦力を、前記プレスローラの外周面の摩擦力よりも大きく設定したことを特徴とする用紙折り装置。
【請求項2】
前記プレスローラの外周面における前記ガイドローラ側の端部に、丸みを設けたことを特徴とする請求項1記載の用紙折り装置。
【請求項3】
前記プレスローラの材質を金属又は合成樹脂としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の用紙折り装置。
【請求項4】
前記ガイドローラの材質をウレタンゴム又はシリコンゴムとしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項記載の用紙折り装置。
【請求項5】
前記ガイドローラの軸方向幅をプレスローラの軸方向幅よりも狭く設定したことをと特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項記載の用紙折り装置。
【請求項6】
前記ガイドローラの外周面を凹凸形状としたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の用紙折り装置。
【請求項7】
前記変形機構には、前記用紙を山型に変形させ、且つ、前記用紙の外面に接して、前記用紙を搬送するベルトが設けられており、
このベルトの下流側の端部を、前記プレスローラよりも上流側に配置したことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項記載の用紙折り装置。
【請求項8】
前記ガイドローラの下方位置に、前記ガイドローラの上流側から下流側に巻掛けられて、前記山型に変形した用紙を前記プレスローラに案内するベルトを設けたことを特徴とする請求項1〜請求項6記載のいずれか1項記載の用紙折り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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