説明

用紙束の綴じ構造及び綴じ機

【課題】複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片を前記カット孔に挿通させることにより接合部分を形成し、それら複数枚の用紙を相互に綴じるようにした用紙束の綴じ構造において、切起片とカット孔との接合状態が外れやすいという課題を解決可能な用紙束の綴じ構造を提供する。
【解決手段】複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P4を前記カット孔P2に挿通させることにより接合部分P3を形成し、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じるようにした用紙束Bの綴じ構造において、前記接合部分P3に隣接する部位に、用紙P同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記接合部分P3に作用するのを緩和するための逃がしスリットP5を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる用紙束の綴じ構造のうち、特に金属製の針を使用しない方式の用紙束の綴じ構造、及びこの用紙束の綴じ構造を実現するための綴じ機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚の用紙に切起片を形成しつつ打ち抜き孔を穿設する抜き刃と、この抜き刃に隣接して設けられ前記切起片の先端側を係止させるためのカット孔を穿設する切込刃と、これら抜き刃及び切込刃を保持するベース部と、このベース部に用紙挿入用隙間を介して配設されたパンチ台とを具備してなり、前記ベース部に保持された前記抜き刃と切込刃とを前記用紙挿入用隙間に挿入された用紙を貫通してパンチ台側に突出するように打ち込み動作させることによって、前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、前記打ち抜き孔からパンチ台側に切り起こされた切起片の先端側を前記切込刃に係わり合わせた状態でその切込刃と前記抜き刃とをベース部側に復帰するように抜き取り動作させることによって、前記切起片を前記カット孔に貫通させて前記用紙を綴じるようにした綴じ機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ところが、このような綴じ機では、用紙に形成されたカット孔に、基端から先端にかけて前記カット孔の幅寸法に対応した切起片を係わり合わせている。すなわち、この綴じ機で綴じられた複数枚の用紙は、切起片がカット孔を貫通する際に表面側から裏面側に潜り込むようにして接合状態が維持されている。そのため、綴じられた各用紙が離れる方向やひねる方向に力を加えられると、切起片の潜り込んだ状態が比較的容易に解除されることがあり、保持しにくい。特に、摩擦抵抗の少ない用紙、例えばレシートに用いられる感熱紙等では、上述した接合状態が外れやすく、なんらかの対策が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−300847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、切起片とカット孔との接合状態が外れやすいという課題を解決することができる用紙束の綴じ構造、及びこのような綴じ構造を実現するための綴じ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明に係る用紙束の綴じ構造は、複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片を前記カット孔に挿通させることにより接合部分を形成し、それら複数枚の用紙を相互に綴じるようにした用紙束の綴じ構造であって、前記接合部分に隣接する部位に、用紙同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記接合部分に作用するのを緩和するための逃がしスリットを設けていることを特徴とする。
【0007】
このようなものであれば、綴じられた各用紙が離れる方向やひねる方向に力を加えられた際には、用紙同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記逃がしスリットの基端部分に作用し、この力が前記接合部分に作用するのが緩和されることにより、切起片とカット孔との係わり合いが解かれ、接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0008】
なお、本発明において、「接合部分」とは、前記切起片及び前記カット孔からなるものであり、打ち抜き孔はこの「接合部分」に含まれない。また、「用紙」とは、シート状をなすもの全般を示す概念であり、紙製のものの他、プラスチック製、金属製又は木製のもの等も含む。
【0009】
このような用紙束の綴じ構造の好適な一例として、前記逃がしスリットの少なくとの一部が、接合部分として打ち抜き孔とカット孔とが延出する方向に概ね沿う方向に延びているものが挙げられる。
【0010】
また、用紙束を構成する用紙を外れにくくするために有効な構成の一例として、前記逃がしスリットが、用紙の綴じ元側の縁に交差しかつこの縁から離間する方向に延伸する対をなす側スリットと、これら対をなす側スリットの先端部間を接続し用紙の綴じ元側の縁に概ね沿う方向に延伸する奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、側スリットと奥スリットとの境界同士を接続した線から打ち抜き孔の基端までの距離よりも大きいものが挙げられる。
【0011】
さらに、用紙束を構成する用紙を外れにくくするために有効な構成の他の一例として、前記逃がしスリットの一端が用紙の綴じ元側の縁に開口し、この逃がしスリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、綴じ元側の縁からカット孔までの距離よりも大きいものが挙げられる。
【0012】
加えて、用紙束を構成する用紙を外れにくくするために有効な構成の他の一例として、前記逃がしスリットが、用紙の綴じ元側の縁に交差しかつこの縁から離間する方向に延伸する対をなす側スリットと、これら側スリットの先端部間を接続し用紙の綴じ元側の縁に概ね沿う方向に延伸するとともに打ち抜き孔の基端部と連続する奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、打ち抜き孔の基端からカット孔までの綴じ元側の縁に直交する方向の距離よりも大きいものが挙げられる。
【0013】
その他、用紙束を構成する用紙を外れにくくするために有効な構成の例として、前記逃がしスリットが、用紙の一隅を形成する一辺である綴じ元側の縁から用紙の一隅を形成する他辺である縁に沿って延伸する開口部と、この開口部の先端から用紙の一隅を形成する前記一辺に沿って延伸し用紙MPの一隅を形成する他辺である縁近傍に達する接続部とを備え、接続部の長さ寸法が、開口部からカット孔の該開口部から遠い側の端までの距離よりも大きいものや、打ち抜き孔と接合部分のカット孔とを用紙の綴じ元側の縁に沿う方向に並列して設け、前記逃がしスリットが、その両端から綴じ元側の縁に直交する方向に延び対をなす側スリットと、これら側スリットの両端を接続し綴じ元側の縁に沿う方向に延びる奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法が、奥スリットから打ち抜き孔の奥スリットに近い側の端までの距離よりも大きいものも挙げられる。
【0014】
このような用紙束の綴じ構造を実現するための綴じ機として、前記打ち抜き孔を形成するための抜き刃と、前記カット孔を形成するための切込刃と、前記逃がしスリットを形成するためのスリット形成刃とを具備してなることを特徴とするものが挙げられる。
【0015】
このような綴じ機の好適な構成の一例として、前記スリット形成刃が、一端が用紙の綴じ元側の縁に開口された逃がしスリットを形成するものが挙げられる。
【0016】
このような綴じ機の好適な構成の他の一例として、前記スリット形成刃が、両端が用紙の綴じ元側の縁の内側に位置し、前記接合部分を囲う形状の逃がしスリットを形成するものが挙げられる。
【0017】
上述したような前記接合部分を囲う形状の逃がしスリットを形成する前記スリット形成刃を備えた綴じ機の好適な構成の一例として、前記カット孔が、打ち抜き孔よりも綴じ元側の縁部寄りに位置するように抜き刃及び切込刃を配置しているものが挙げられる。
【0018】
上述したような前記接合部分を囲う形状の逃がしスリットを形成する前記スリット形成刃を備えた綴じ機の好適な構成の他の一例として、前記カット孔が、打ち抜き孔よりも綴じ元側の縁部寄りに位置するように抜き刃及び切込刃を配置しているものが挙げられる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、切起片とカット孔との接合状態が外れやすいという課題を解決可能な用紙束の綴じ構造、及びこのような綴じ構造を実現するための綴じ機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係る綴じ機の概略側面図。
【図2】図1におけるX−X線断面図。
【図3】図2におけるY−Y線断面図。
【図4】同実施形態に係る綴じ機の要部を示す分解斜視図。
【図5】同実施形態に係る綴じ機の要部を示す平面図。
【図6】同実施形態に係る綴じ機の作動を示す概略図。
【図7】同実施形態に係る綴じ機の作動を示す概略図。
【図8】同実施形態に係る綴じ機の作動を示す概略図。
【図9】同実施形態に係る綴じ機の作動を示す概略図。
【図10】同実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図11】同実施形態の用紙束の各用紙をひねる方向に相対移動させた際の作用を示す図。
【図12】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図13】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図14】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図15】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図16】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図17】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図18】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図19】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図20】図15に示す実施形態の用紙束の用紙をめくった際の作用を示す図。
【図21】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図22】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図23】図21に示す実施形態の用紙束の用紙をめくった際の作用を示す図。
【図24】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図25】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図26】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図27】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【図28】本発明の他の実施形態の用紙束の綴じ構造を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図11を参照しつつ説明する。
【0022】
この実施形態は、本発明である用紙穿孔処理装置を複数枚の用紙Pを綴じるための綴じ機1に適用した場合のものである。
【0023】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P4を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子B、すなわち用紙束を作ることができるようにしたものである。また、この綴じ機1に用いられる刃である抜き刃32は、打ち抜き孔P1を形成し得るものであり、この綴じ機1に用いられる刃である切込刃33は、スリット状のカット孔P2を形成し得るものである。以下、詳述する。
【0024】
この冊子Bは、図2及び図3に示すように、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは綴じ元側の縁Pa又は隅部に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Px側から貫入させた抜き刃32により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成されたスリット状のカット孔P2と、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Py側に切り起こされた切起片P4とから構成されている。そして、切起片P4の先端P41部分を、カット孔P2に貫通させて用紙Pの一面Px側に導出させることによって、複数枚の用紙Pが相互に接合されている。カット孔P2は、切起片P4を主として係わり合わせるためのものであり、前記打ち抜き孔P1に向かう方向に略直交する方向に延伸している。そして、この接合部分P3に隣接する部位に、用紙同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記接合部分P3に作用するのを緩和するための逃がしスリットP5を設けている。この逃がしスリットP5は、本実施形態では、一端が用紙の綴じ元側の縁に開口していて、この縁に直交する方向に延伸している。また、本実施形態ではこの逃がしスリットP5を対をなして設け、対をなす逃がしスリットP5の間に前記接合部分P3を配している。
【0025】
一方、綴じ機1は、複数枚の用紙Pに切起片P4及び逃がしスリットP5を形成しつつ打ち抜き孔P1を穿設する抜き刃32と、この抜き刃32に隣接して設けられ前記切起片P4の先端P41側を係止させるためのカット孔P2を穿設する切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33に隣接する部位に設けられ前記逃がしスリットP5を穿設するスリット形成刃37と、これら抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37を保持するベース部2と、このベース部2に用紙挿入用の隙間35を介して配設されたパンチ台4とを具備してなる。そして、ベース部2に保持された抜き刃32と切込刃33とスリット形成刃37とを、隙間35に挿入された用紙Pを貫通してパンチ台4側に突出するように打ち込み動作させることによって、用紙Pに打ち抜き孔P1、カット孔P2及び逃がしスリットP5を形成する。次いで、打ち抜き孔P1からパンチ台4側に切り起こされた切起片P4の先端P51側を切込刃33に係わり合わせた状態で、その切込刃33と抜き刃32とをベース部2側に復帰するように抜き取り動作させることによって、切起片P4をカット孔P2に貫通させて用紙Pを綴じるようにしたものである。
【0026】
換言すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して冊子Bを作るためのもので、待機位置(N)から一時的に突出側たる上方に移動することによって打ち抜き孔P1、カット孔P2及び逃がしスリットP5を形成するための抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37と、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37を待機位置(N)で収容するベース部2と、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37を保持し、ベース部2に対して突没方向たる上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の外面側たる上向面211d側に用紙Pを挿入するための隙間35を介して配されたパンチ台4とを備えてなる。また、ベース部2には、操作レバー5が回動可能に取り付けてあるとともに、このベース部2の内部には、操作レバー5に接続された図示しないリンク機構が収容してある。
【0027】
前記ベース部2内には、図1に示すように、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37を有した刃ユニット3を収容するための空間を備えたベースフレーム21と、このベースフレームの下側に外嵌されるベースカバー22とからなる。
【0028】
前記ベースフレーム21は、その天壁211に、前記抜き刃32及び切込刃33が通過するための開口211aと、前記スリット形成刃37が通過するための開口211bとを有している。この天壁211の下面側には、前記開口211aの縁の近傍に設けられ後述するインナーカム34の軸341を受けるための図示しない軸受部と、この軸受部に隣接して設けられインナーカム34のアーム344を係止するための係止壁211cとを設けている。この天壁21の上面である上向面211dと、前記パンチ台4の下向面41aとの間には、用紙Pを挿入するための隙間35を形成している。そして、この隙間35の用紙挿入方向側端部には、用紙Pの位置決めを行うための位置決め壁21aを設けている。
【0029】
刃ユニット3は、図4〜図9に示すように、ベース部2に形成した図示しないレール溝に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32と、この抜き刃32に隣接させて配された切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33に隣接する部位に対をなして設けてなるスリット形成刃37と、抜き刃32の内側に配され、抜き刃32内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃32外に突出する回動姿勢(K)との間でスライド部材31に軸341を介して回転可能に支持されたインナーカム34と、初期姿勢(S)に自己復帰する方向にインナーカム34を回動付勢する(図示しない)コイルスプリングCSとを具備してなる。また、この刃ユニット3のスライド部材31と前記ベース部2のベースフレームとの間には、該ベースフレームを足場にしてスライド部材31を下方に付勢する図示しない弾性体を設けている。
【0030】
スライド部材31は、図4及び図6〜図9に示すように、ベース部2のベースフレーム21に設けたレール溝2xに上下方向にスライド可能に係合する図示しない突条を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト36を介して前記リンク機構に接続されている。
【0031】
抜き刃32は、図4〜図9に示すように、用紙Pに切起片P4を形成するためのものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。
【0032】
切込刃33は、図4〜図9に示すように、直線状をなすスリットからなるカット孔P2を形成するものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。この切込刃33の中央部分には、用紙Pから打ち抜かれた切起片P4を通過させ切起片P4を係わり合わせるための窓33aが形成されている。
【0033】
スリット形成刃37は、図4〜図9に示すように、直線状をなす逃がしスリットP5を形成するものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工を施すことにより作られている。このスリット形成刃37は左右一対に設けていて、これら対をなすスリット形成刃37間に前記抜き刃32、前記切込刃33及びインナーカム34を配している。
【0034】
インナーカム34は、図4及び図6〜図9に示すように、基端に軸341を有すると共に先端に切起片P4を切込刃33に設けられた窓33aに挿入させるための押し出し部342を備えたもので、その軸341が抜き刃32及びスライド部材31に支持されている。インナーカム34の基端には、該インナーカム34を回動させるためのアーム343が突出させてある。
【0035】
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作レバー5を操作することで、前記ベースフレーム21に収容された前記リンク機構を介して上方に移動されるようにしている。
【0036】
パンチ台4は、図4及び図6〜図9に示すように、抜き刃32及び切込刃33が挿入可能な刃貫通孔411と、スリット形成刃37が挿入可能な通過孔であるスリット形成部412とを備えてなる。具体的には、このパンチ台4は、扁平箱形をなすトップケース42と、このトップケース42の下部に抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿孔するためのパンチプレートたるアンビル41とを備えている。
【0037】
アンビル41は、図4及び図6〜図9に示すように、抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するとともに前記切込刃33が通過する孔である前記刃貫通孔411と、スリット形成刃37が挿入可能な通過孔である前記スリット形成部412とを備えた金属製のもので、前記トップケース42の下面に重ね合わせた状態で、前記ベース部2のベースフレーム21に図示しないビスを用いて取り付けられている。そして、上述したように、このアンビル41の下向面41aと前記ベースフレーム21の天壁211の上面211dとの間に、用紙Pを挿入するための隙間35を形成している。
【0038】
次に、この綴じ機1の作動を、図6〜図9等を参照して説明する。
【0039】
操作レバー5を操作しない状態では、図6に示すように、スライド部材31が下限位置に保持されており、インナーカム34が抜き刃32内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベースフレーム21の上向面211dとアンビル41の下向面41aとの間に形成されている隙間35の奥まで挿入する。
【0040】
しかる後に、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5に加えられた力が、リンク機構を通じてドライブシャフト36に伝達され、スライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。
【0041】
スライド部材31が上方に移動を始めると、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37の先端が用紙Pの一面Pxに当接し、この用紙Pがアンビル41に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー5をさらに上方に操作すると、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37によって用紙Pがアンビル41に押しつけられた状態のまま、図7に示す状態を経て、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37が用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1、カット孔P2及び逃がしスリットP5が穿孔される。穿孔後さらに、抜き刃32、切込刃33及びスリット形成刃37が上昇すると、図8に示すように、抜き刃32の内部に配されるインナーカム34のアーム343が係止部211cに当接し、インナーカム34とスライド部材31との間に配されるコイルスプリングCSの付勢力に抗して、インナーカム34が回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Py側に切り起こされた切起片P4の先端側が、切込刃33の窓33aに挿入される。
【0042】
ついで、操作レバー5への操作を解除、すなわち、握りこんだ手を解くと、図9に示すように、前記弾性体の付勢力により刃ユニット3が抜き取り方向すなわち待機位置(N)に向かう方向に移動を始め、インナーカム34が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、抜き刃32及び切込刃33が没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル41から引き離されながら抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる。その際に、図10に示すように、切込刃33の窓D3に挿入されている切起片P4がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Px側に抜き出され、図9及び図10に示すように、切込刃33により複数の用紙Pが結合される。
【0043】
このようにして形成した冊子Sにおいて、綴じられた各用紙Pをひねる方向に相対移動させると、用紙P同士の相対位置を変更させる際に加わる力は、図11に示すように、前記接合部分P3よりも先に前記逃がしスリットP5の基端部分P5aに作用する。
【0044】
また、本実施形態では、逃がしスリットP5は綴じ元側の縁Paからこの縁Paに直交する方向に延び、その長さ寸法d1は、綴じ元側の縁Paからカット孔P2までの縁Paに直交する方向の距離d2よりも大きくしている。
【0045】
すなわち本実施形態によれば、用紙P同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記接合部分P3よりも先に前記逃がしスリットP5の基端部分P5aに作用する、すなわち接合部分P3への力が加わることを回避することにより、このような逃がしスリットP5を設けない場合と比較して前記接合部分P3に作用する力が緩和される。従って、このような力が加わることにより切起片P4とカット孔P2との係わり合いが解かれ、接合部分P3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0046】
また、逃がしスリットP5の長さ寸法d1を、綴じ元側の縁Paからカット孔P2までの縁Paに直交する方向の距離d2よりも大きくしているので、用紙P同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットP5の基端部分P5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分P3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0047】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限らない。
【0048】
ここで、図12〜図19、図21、図22、図24〜図28は、模式図であり、カット孔の形状及び打ち抜き直後の打ち抜き孔及び逃がしスリットの形状を実線で示すとともに、カット孔に係わり合った状態の切起片の形状を二点鎖線で示している。また、抜き刃、切込刃及びスリット形成刃については、図示しないが、図示する打ち抜き孔、カット孔及び逃がしスリットの形状にそれぞれ対応する形状を有するものである。しかして、以下に説明する他の実施形態において上記実施形態に対応する構成要素には、頭に「B」、「C」、「D」、「E」、「F」、「G」、「H」、「I」、「J」、「K」、「L」、「M」、「N」、「O」、「P」をつけた同様の符号を付して示すものとし、具体的な説明を省略する。
【0049】
第一実施形態においては、図10に模式的に示すように、接合部分P3を挟んで用紙Pの綴じ元側の縁Paに沿う方向両側に、この縁に直交する直線状をなし、一端が用紙Pの綴じ元側の縁Paに開放された逃がしスリットP5を対をなすように設けたものについて説明したが、本発明はこのようなものに限られるものではなく、例えば、一端が用紙Pの綴じ元側の縁Paに開放された逃がしスリットP5を対をなすように設けたものの変形例においては、図12、図13、図14に示すようなものが挙げられる。以下、各図について説明する。
【0050】
図12に示す用紙束たる冊子BBの綴じ構造は、円弧状をなすとともに一端が用紙BPの綴じ元側の縁BPaに開放された逃がしスリットBP5を対をなすように設け、これら対をなす逃がしスリットBP5間に接合部分BP3を設けたものである。
【0051】
図13に示す用紙束たる冊子CBの綴じ構造は、直線状をなすとともに一端が用紙CPの綴じ元側の縁CPaに開放された逃がしスリットCP5を対をなすように設け、これら逃がしスリットCP5間の距離が用紙CPの綴じ元側の縁CPaに近づくにつれ大きくなるようにし、これら対をなす逃がしスリットCP6間に接合部分CP3を設けたものである。
【0052】
図14に示す用紙束たる冊子DBの綴じ構造は、直線状をなすとともに一端が用紙DPの綴じ元側の縁DPaに開放された逃がしスリットDP5を対をなすように設け、これら逃がしスリットDP5間の距離が用紙DPの綴じ元側の縁DPaに近づくにつれ小さくなるようにし、これら対をなす逃がしスリットDP5間に接合部分DP3を設けたものである。
【0053】
これらの構成を採用しても、綴じられた各用紙BP、CP、DPをひねる方向に相対移動させると、用紙BP、CP、DP同士の相対位置を変更させる際に加わる力は、それぞれ前記接合部分BP3、CP3、DP3よりも先に前記逃がしスリットBP5、CP5、DP6の基端部分BP5a、CP5a、DP5aに作用するので、上述した実施形態に係るものと同様の効果を得ることができる。
【0054】
さらに、これらの態様においても、用紙BP、CP、DPの綴じ元側の縁BPa、CPa、DPaから逃がしスリットBP5、CP5、DP5の基端に至るまでの綴じ元側の縁BPa、CPa、DPaに直交する方向の距離Bd1、Cd1、Dd1が、用紙BP、CP、DPの綴じ元側の縁BPa、CPa、DPaからカット孔BP2、CP2、DP2までの綴じ元側の縁BPa、CPa、DPaに直交する方向の距離Bd2、Cd2、Dd2よりも大きければ、用紙BP、CP、DP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットBP5、CP5、DP5の基端部分BP5a、CP5a、DP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分BP3、CP3、DP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0055】
また、両端が用紙の綴じ元側の縁の内側に位置し、前記接合部分を囲う形状の逃がしスリットを形成するようにしたものも考えられる。このような用紙束の綴じ構造の例として、図15、図16、図17、図18、図19に示すようなものが挙げられる。以下、各図について説明する。
【0056】
図15に示す用紙束たる冊子EBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙EPの綴じ元側の縁EPaに直交しかつこの縁EPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットEP51と、これら対をなす側スリットEP51の先端部間を接続し用紙EPの綴じ元側の縁EPaに沿う方向に延伸する奥スリットEP52とを一体に備えた逃がしスリットEP5を有する。また、この逃がしスリットEP5により区画される領域内、換言すれば前記側スリットEP51及び前記奥スリットEP52により区画される領域内には、接合部分EP3を設けている。この接合部分EP3のカット孔EP2は、打ち抜き孔EP1よりも綴じ元側の縁EPa寄りに配している。加えて、この態様では、用紙EP同士の相対位置を変更させる際に加わる力が逃がしスリットEP5の基端EP5aに加わり用紙EPが破損する不具合を効果的に抑制すべく、各側スリットEP51の基端からそれぞれ離反する方向に延伸する逃げ短スリットEP50を設けている。
【0057】
図16に示す用紙束たる冊子FBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙FPの綴じ元側の縁FPaから離間する方向に延伸し、綴じ元側の縁FPaから離間するにつれ相寄る方向に延伸する対をなす側スリットFP51と、これら対をなす側スリットFP51の先端部間を接続し用紙FPの綴じ元側の縁FPaに沿う方向に延伸する奥スリットFP52とを一体に備えた逃がしスリットFP5を有する。また、この逃がしスリットFP5により区画される領域内、換言すれば前記側スリットFP51及び前記奥スリットFP52により区画される領域内には、接合部分FP3を設けている。この接合部分FP3のカット孔FP2は、打ち抜き孔FP1よりも綴じ元側の縁FPa寄りに配している。そして、前記奥スリットFP52は、打ち抜き孔FP1の基端部と連続している。
【0058】
図17に示す用紙束たる冊子GBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙GPの綴じ元側の縁GPaに直交しかつこの縁GPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットGP51と、これら対をなす側スリットGP51の先端部間を接続し用紙EPの綴じ元側の縁GPaから遠ざかる側に膨出する曲線状の奥スリットGP52とを一体に備えた逃がしスリットGP5を有する。また、この逃がしスリットGP5により区画される領域内、換言すれば前記側スリットGP51及び前記奥スリットGP52により区画される領域内には、接合部分GP3を設けている。この接合部分GP3のカット孔GP2は、打ち抜き孔GP1よりも綴じ元側の縁GPa寄りに配している。
【0059】
図18に示す用紙束たる冊子HBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙HPの綴じ元側の縁HPaに直交しかつこの縁HPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットHP51と、これら対をなす側スリットHP51の先端部間を接続し用紙FPの綴じ元側の縁HPaに沿う方向に延伸する奥スリットHP52とを一体に備えた逃がしスリットHP5を有する。また、この逃がしスリットHP5により区画される領域内、換言すれば前記側スリットHP51及び前記奥スリットHP52により区画される領域内には、接合部分HP3を設けている。この接合部分HP3のカット孔HP2は、打ち抜き孔HP1よりも綴じ元側の縁HPa寄りに配している。そして、前記奥スリットHP62は、打ち抜き孔HP1の基端部と連続している。また、この態様では、側スリットHP51の長さ寸法Hd1は、打ち抜き孔HP1の基端HP1aからカット孔HP2までの距離、すなわち切起片HP4の基端HP4aからカット孔HP2までの距離Hd2よりも大きくしている。換言すれば、スリット形成刃のうち側スリットEP51を形成するための部分の長さは、抜き刃の基端からカット刃までの最短距離、すなわちスリット形成刃のうち奥スリットEP52を形成するための部分からカット刃までの最短距離よも大きくしている。
【0060】
図19に示す用紙束たる冊子IBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙IPの綴じ元側の縁IPaから離間する方向に延伸して打ち抜き孔IP1の基端とそれぞれ接続する対をなす逃がしスリットIP5を有する。また、これら対をなす逃がしスリットIP5により区画される領域内には、接合部分IP3を設けている。この接合部分IP3のカット孔IP2は、打ち抜き孔IP1よりも綴じ元側の縁IPa寄りに配している。
【0061】
このような逃がしスリットEP5〜IP5を備えた用紙束たる冊子EB〜IBにおいて、用紙EP〜IPを綴じ元側の縁EPa〜IPaと反対側の縁からめくった場合、図20に示すように、用紙EP〜IPに係るめくり力は接合部分EP3〜IP3に直接向かうことなく前記逃がしスリットEP5〜IP5の両端EP5a〜IP5aに優先して掛かり、まず逃がしスリットEP5〜IP5により区画され接合部分EP3〜IP3を含む部分を残してその他の部分を他の用紙EP〜IPから離間させるように、換言すれば逃がしスリットEP5〜IP5により区画される部分を切り起こすように作用する。それから、逃がしスリットEP5〜IP5の両端を結ぶ線に沿った部分が他の用紙EP〜IPから離間した際にはじめて逃がしスリットEP5〜IP5により区画される部分が他の用紙EP〜IPから離間するような作用を受ける。なお、図20には図15に示す態様の冊子EBについて示しているが、図16〜図19に示す態様の冊子FB〜IBの場合も各部が上述したような作用を同様に受ける。
【0062】
また、この態様においても、綴じられた各用紙EP〜IPをひねる方向に相対移動させた場合に加わる力は、前記接合部分EP3〜IP3よりも先に前記逃がしスリットEP5〜IP5の一端EP5a〜IP5aに作用する。
【0063】
すなわち、この態様の用紙束の綴じ構造によれば、用紙EP〜IPを綴じ元側の縁EPa〜IPaと反対側の縁からめくった場合、及び用紙EP〜IP同士の相対位置をひねる方向に相対移動させた場合、用紙EP〜IPに加わる力は前記接合部分EP3〜IP3よりも先に前記逃がしスリットEP5〜IP5の端EP5a〜IP5aに作用するので、このような逃がしスリットEP5〜IP5を設けない場合と比較して前記接合部分EP3〜IP3に作用する力が緩和される。従って、このような力が加わることにより切起片EP4〜IP4とカット孔EP2〜IP2との係わり合いが解かれ、接合部分EP3〜IP3の接合状態が意図せず外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0064】
その一方で、これらの態様によれば、用紙EP〜IPを綴じ元側の縁EPa〜IPaからめくると、めくり力により綴じ元側の縁近傍に位置するカット孔EP2〜IP2の綴じ元側が他の用紙EP〜IPから離間するとともに切起片EP4〜IP4が持ち上げられ、この切起片EP4〜IP4がカット孔EP2〜IP2に挿入された状態が解除される。すなわち、これらの態様によれば、綴じ元側の縁EPa〜IPaからのめくり力が接合部分EP3〜IP3に伝わりやすく、用紙EP〜IPを綴じ元側の縁EPa〜IPaからめくることにより用紙EP〜IPを破損させることなく冊子EB〜IBから意図的に取り外すことを容易に行うことができる。
【0065】
さらに、図15の態様によれば、側スリットEP51の長さ寸法Ed1を、奥スリットEP52から打ち抜き孔EP1の基端EP1aすなわち切起片EP4の基端EP4aまでの距離Ed2よりも大きくしているので、用紙EP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットEP5の基端部分EP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分EP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0066】
加えて、図17の態様においても、側スリットGP51の長さ寸法Gd1が、側スリットGP51と奥スリットGP52との境界GP53同士を接続した線から打ち抜き孔GP1の基端GP1aすなわち切起片GP4の基端GP4aまでの距離Gd2よりも大きければ、用紙GP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットGP5の基端部分GP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分GP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0067】
また、図18の態様によれば、側スリットHP51の長さ寸法Hd1を、打ち抜き孔HP1の基端HP1aからカット孔HP2までの距離、すなわち切起片HP4の基端HP4aからカット孔HP2までの距離Hd2よりも大きくしているので、用紙HP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットHP5の基端部分HP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分HP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0068】
加えて、図16及び図19の態様においても、側スリットFP51又は逃がしスリットIP5の長さ寸法の綴じ元側の縁FPa、IPaに直交する方向の成分Fd1、Id1が、打ち抜き孔FP1、IP1の基端FP1a、IP1aからカット孔FP2、IP2までの綴じ元側の縁FPa、IPaに直交する方向の距離、すなわち切起片FP4、IP4の基端FP4a、IP4aからカット孔HP2までの綴じ元側の縁FPa、IPaに直交する方向の距離Fd2、Id2よりも大きければ、用紙FP、IP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットFP5、IP5の基端部分FP5a、IP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分FP3、IP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0069】
一方、用紙を綴じ元側の縁からめくった場合においても用紙を用紙束から取り外しにくくすることを図る場合に好適な用紙束の綴じ構造の例として、図21及び図22に示すようなものが挙げられる。以下、各図について説明する。
【0070】
図21に示す用紙束たる冊子JBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙JPの綴じ元JPa側の縁に直交しかつこの縁JPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットJP51と、これら対をなす側スリットJP51の先端部間を接続し用紙JPの綴じ元側の縁JPaに沿う方向に延伸する奥スリットJP52とを一体に備えた逃がしスリットJP5を有する。また、この逃がしスリットJP5により区画される領域内、換言すればこれら側スリットJP51及び奥スリットJP52により区画される領域内には、接合部分JP3を設けている。この態様において、打ち抜き孔JP1を接合部分JP3のカット孔JP2よりも綴じ元側の縁JPa寄りに配している。また、この態様では、側スリットJP51の長さ寸法Jd1は、奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも大きくしている。換言すれば、スリット形成刃のうち側スリットJP51を形成するための部分の長さは、スリット形成刃のうち奥スリットJP52を形成するための部分から打ち抜き刃の基端までの最短距離よりも大きくしている。
【0071】
図22に示す用紙束たる冊子KBの綴じ構造は、両端部からそれぞれ用紙KPの綴じ元側の縁KPaに直交しかつこの縁KPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットKP51と、これら対をなす側スリットKP51の先端部間を接続し用紙KPの綴じ元側の縁KPaから遠ざかる側に膨出する曲線状の奥スリットKP52とを一体に備えた逃がしスリットKP5を有する。また、この逃がしスリットKP5により区画される領域内、換言すればこれら側スリットKP51及び奥スリットKP52により区画される領域内には、接合部分KP3を設けている。この態様において、打ち抜き孔KP1を接合部分KP3のカット孔KP2よりも綴じ元側の縁KPa寄りに配している。
【0072】
このような逃がしスリットJP6、KP6を備えた用紙束たる冊子JB、KBにおいて、用紙JP、KPを綴じ元側の縁JPa、KPaと反対側の縁からめくった場合、図23に示すように、用紙JP、KPに係るめくり力は接合部分JP3、KP3に直接向かうことなく前記逃がしスリットJP5、KP5の両端JP5a、KP5aに優先して掛かり、まず逃がしスリットJP5、KP5により区画され接合部分JP3、KP3を含む部分を残してその他の部分を他の用紙JP、KPから離間させるように、換言すれば逃がしスリットJP5、KP5により区画される部分を切り起こすように作用する。それから、逃がしスリットJP5、KP5の両端JP5a、KP5aを結ぶ線に沿った部分が他の用紙JP、KPから離間した際にはじめて逃がしスリットJP5、KP5により区画される部分が他の用紙JP、KPから離間するような作用を受ける。なお、図23には図21に示す態様の冊子JBについて示しているが、図22に示す態様の冊子KBの場合も各部が上述したような作用を同様に受ける。
【0073】
また、この態様においても、綴じられた各用紙JP、KPをひねる方向に相対移動させた場合に加わる力は、前記接合部分JP3、KP3よりも先に前記逃がしスリットJP5、KP5の一端JP5a、KP5aに作用する。
【0074】
すなわち、この態様の用紙束の綴じ構造によっても、用紙JP、KPを綴じ元側の縁JPa、KPaと反対側の縁からめくった場合、及び用紙JP、KP同士の相対位置をひねる方向に相対移動させた場合、用紙JP、KPに加わる力は前記接合部分JP3、KP3よりも先に前記逃がしスリットJP5、KP5の端JP5a、KP5aに作用するので、このような逃がしスリットJP5、KP5を設けない場合と比較して前記接合部分JP3、KP3に作用する力が緩和される。従って、このような力が加わることにより切起片JP4、KP4とカット孔JP2、KP2との係わり合いが解かれ、接合部分JP3、KP3の接合状態が意図せず外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0075】
その上、逃がしスリットJP5、KP5を備えた用紙束たる冊子JB、KBにおいて、用紙JP、KPを綴じ元側の縁からめくった場合、綴じ元側の縁JPa、KPaから接合部分JP3、KP3までの距離が図15等に示す態様のものと比較して長く、用紙JP、KPの打ち抜き孔JP1、KP1近傍の部位が他の用紙JP、KPから離間した後、初めて接合部分JP3、KP3にめくり力が作用するので、図15等に示す態様と比較して、綴じ元側の縁EPa〜IPaからのめくり力は接合部分EP3〜IP3に伝わりにくく、従って、用紙JP、KPを綴じ元側の縁からめくった場合においても用紙JP、KPを冊子JB、KBから取り外しにくくすることができる。
【0076】
さらに、図21の態様によれば、側スリットJP51の長さ寸法Jd1を、奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも大きくしているので、用紙JP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットJP5の基端部分JP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分JP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0077】
具体的には、用紙JPがPPCに代表される普通紙である場合、側スリットJP51の長さ寸法Jd1が奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも小さい場合には、下側の用紙JPに対して上側の用紙JPが立ち上がる程度の半開き状態までめくった際に接合部分JP3の接合状態が外れるのに対して、側スリットJP51の長さ寸法Jd1が奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも大きい場合には、下側の用紙JPに対して上側の用紙JPが完全に開かれる見開き状態の手前までめくっても接合部分JP3の接合状態が外れない。
【0078】
また、用紙JPがレシートに代表される薄い紙である場合、側スリットJP51の長さ寸法Jd1が奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも小さい場合には、下側の用紙JPに対して上側の用紙JPが立ち上がる程度の半開き状態を少し越えたところまでめくった際、換言すれば、前記半開き状態から前記見開き状態に到る途中の半開き状態に近い第1の状態までめくった際に接合部分JP3の接合状態が外れるのに対して、側スリットJP51の長さ寸法Jd1が奥スリットJP52から打ち抜き孔JP1の基端JP1aすなわち切起片JP4の基端JP4aまでの距離Jd2よりも大きい場合には、下側の用紙JPに対して上側の用紙JPが完全に開かれる見開き状態の手前までめくっても、換言すれば、前記半開き状態から前記見開き状態に到る途中の見開き状態に近い第2の状態までめくっても接合部分JP3の接合状態が外れない。
【0079】
また、図22の態様によっても、側スリットKP51の長さ寸法Kd1を、側スリットKP51と奥スリットKP52との境界KP53同士を結んだ線から打ち抜き孔KP1の基端KP1aすなわち切起片KP4の基端KP4aまでの距離Kd2よりも大きくしているものであれば、用紙KP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットKP5の基端部分KP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分KP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0080】
加えて、図24及び図25に示すように、用紙LP、MPの隅部で綴じる場合、すなわち用紙LP、MPの隅部に接合部分LP3、MP3を形成する場合には、この接合部分LP3、MP3に隣接する部分に逃がしスリットLP5、MP5を設け、この逃がしスリットLP5、MP5と用紙LP、MPの一縁LPa、MPaとの間に接合部分LP3、MP3が位置するようにしてもよい。
【0081】
図24に示す逃がしスリットLP5は、用紙LPの隅を中心とする円弧状をなすとともに一端が用紙LPの隅を形成する一辺である縁(綴じ元側の縁)LPaに開口し他端が用紙LPの隅を形成する他の辺を形成する縁LPb近傍に達する形状を有する。
【0082】
図25に示す逃がしスリットMP5は、用紙MPの一隅を形成する一辺である縁(綴じ元側の縁)MPaから用紙MPの一隅を形成する他辺である縁LPbに沿って延伸する開口部MP51と、この開口部MP51の先端から用紙MPの一隅を形成する前記一辺MPaに沿って延伸し用紙MPの一隅を形成する他辺である縁LPb近傍に達する接続部MP52とを一体に有する。また、この態様では、接続部MP52の長さ寸法Md1は、開口部MP51からカット孔MP2の該開口部MP51から遠い側の端MP2aまでの距離Md2よりも大きくしている。換言すれば、スリット形成刃のうち接続部MP52を形成するための部分の長さは、スリット形成刃のうち開口部MP51を形成するための部分から打ち抜き刃の該開口部MP51から遠い側の端までの最短距離よりも大きくしている。
【0083】
用紙LP、MPの隅部に接合部分LP3、MP3を形成する場合、用紙LP、MPの中心を挟んで反対側の隅からめくられ、また、用紙LP、MPがひねられる場合も用紙LP、MPの中心を挟んで反対側から力が加えられるので、この態様の用紙束の綴じ構造によっても、用紙LP、MPに加わる力は前記接合部分LP3、MP3よりも先に前記逃がしスリットLP5、MP5の端LP5a、MP5aに作用するので、このような逃がしスリットLP5、MP5を設けない場合と比較して前記接合部分LP5、MP5に作用する力が緩和される。従って、このような力が加わることにより切起片LP4、MP4とカット孔LP2、MP2との係わり合いが解かれ、接合部分LP3、MP3の接合状態が意図せず外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。特に、図25の態様によれば、接続部MP52の長さ寸法Md1を、開口部MP51からカット孔MP2の該開口部MP51から遠い側の端MP2aまでの距離Md2よりも大きくしているので、用紙MP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットMP5の基端部分MP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分MP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0084】
そして、図26に示すように、打ち抜き孔NP1と接合部分NP3のカット孔NP2とを用紙NPの綴じ元側の縁NPaに沿う方向に並列して設けている場合、その両端NP5aがそれぞれ用紙NPの綴じ元側の縁NPaから離間し接合部分NP3よりも綴じ元側の縁NPa寄りである部位に位置し、前記両端NP5aを結ぶ直線とにより前記接合部分NP3を囲繞する形状の逃がしスリットNP5を形成する態様や、図27に示すように、打ち抜き孔OP1と接合部分OP3のカット孔OP2とを用紙OPの綴じ元側の縁OPaに沿う方向に並列して設け、その両端NP5aから綴じ元側の縁OPaに直交する方向に延び対をなす側スリットOP51と、これら側スリットOP51の両端を接続し綴じ元側の縁OPaに沿う方向に延びる奥スリットOP52とを備え、前記両端OP5aを結ぶ直線とにより接合部分OP3を囲繞する形状の逃がしスリットOP5を有する態様も考えられる。特に図27の態様では、側スリットOP51の長さ寸法Od1を、奥スリットOP52から打ち抜き孔OP1の奥スリットOP52に近い側の端OP1aすなわち切起片OP4の奥スリットOP52に近い側の端OP4aまでの距離Od2よりも大きくしている。換言すれば、スリット形成刃のうち側スリットOP51を形成するための部分の長さは、スリット形成刃のうち奥スリットOP52を形成するための部分から打ち抜き刃の奥スリットOP52に近い側の端までの最短距離よりも大きくしている。図27の態様を採用すれば、用紙OP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットOP5の基端部分OP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分OP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0085】
加えて、上述した各実施形態では、カット孔を直線状に形成しているが、切起片を主として係わり合わせるための第一のスリットと、この第一のスリットの両端から打ち抜き孔方向に屈曲して伸びる左右方向に対をなす第二のスリットとからなるものとする等、カット孔の形状は任意に設定してよい。また、上述した各実施形態では、逃がしスリットの端部は用紙の綴じ元側の縁に略直交する方向に伸びているが、逃しスリットの端部に用紙の綴じ元側の縁に沿う方向に伸びる鍔部をさらに設ける等、逃がしスリットの端部の形状も種々に変形してよい。
【0086】
そして、打ち抜き孔、カット孔及び切り起こし片の形状を以下に述べるようなものとしてもよい。すなわち、図28に示すように、この実施形態に係る切り起こし片PP4は、境界部PP43を挟んで基端PP4a側に基端領域PP44を備えるとともに、先端PP41側に先端領域PP45を備えている。前記基端領域PP44は、ほぼ矩形状をなしており、切起片PP4の基端PP4aから境界部PP43にいたるまで同じ幅寸法に設定されている。前記先端領域PP45は、前記基端領域PP44の境界部PP43側から一体的に形成されたもので、先端PP41を尖らせた矢印形状としている。この先端領域PP45は、切起片PP4の境界部PP43から先端PP41にいたるまでの間に、境界部PP43及び先端PP41よりも大きな幅寸法w2を有する幅広部PP46を備えている。そして、前記打ち抜き孔PP1は、この切起片PP4に対応する大きさ及び形状をなしている。
【0087】
一方、カット孔PP2は、図28に示すように、切起片PP4を主として係わり合わせるための第一のスリットL1と、この第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に屈曲して伸びる左右方向に対をなす第二のスリットL2とからなる。第一のスリットL1は、直線状をなすメインスリットL11と、このメインスリットL11の両端から他方向、すなわち第二のスリットL2と反対の方向に屈曲して伸びるサブスリットL12とを備えている。これらメインスリットL11とサブスリットL12との境界部分から前記第二のスリットL2が伸びている。このカット孔PP2は、前記第一のスリットL1と前記第二のスリットL2とが一定の角度をなしており、本実施形態では、これら第一のスリットL1と第二のスリットL2との間の角度を略90度に設定している。なお、この実施形態においては、第一のスリットL1の長さを前記第二のスリットL2の長さよりも長くしており、対をなす第二のスリットL2の長さはほぼ同じに設定してある。そして、前記切り起こし片PP4の幅広部PP46の幅寸法w2を、メインスリットL11の長さw1よりも大きな値に設定している。
【0088】
また、この態様において、逃がしスリットPP5は、図21に示す態様のものと同様の構成を有する。すなわち、両端部からそれぞれ用紙PPの綴じ元PPa側の縁に直交しかつこの縁PPaから離間する方向に延伸する対をなす側スリットPP51と、これら対をなす側スリットPP51の先端部間を接続し用紙PPの綴じ元側の縁PPaに沿う方向に延伸する奥スリットPP52とを一体に備えている。また、この逃がしスリットPP5により区画される領域内、換言すればこれら側スリットPP51及び奥スリットPP52により区画される領域内に、接合部分PP3を配している。この態様においては、打ち抜き孔PP1を接合部分PP3のカット孔PP2よりも綴じ元側の縁PPa寄りに配している。そして、この態様では、側スリットPP51の長さ寸法Pd1は、奥スリットPP52から打ち抜き孔PP1の基端PP1aすなわち切起片PP4の基端PP4aまでの距離Pd2よりも大きくしている。換言すれば、スリット形成刃のうち側スリットPP51を形成するための部分の長さは、スリット形成刃のうち奥スリットPP52を形成するための部分から打ち抜き刃の基端までの最短距離よりも大きくしている。
【0089】
このように構成すれば、切起片PP4の幅広部PP46から基端PP42に至る縁を前記第二のスリットL2に係わり合わせ得るようにしているので、切起片PP4が第一のスリットL1と係わり合わされるのみならず、第二のスリットL2とも係わり合わされ、切起片PP4とカット孔PP2との接合状態をより信頼性の高いものにすることができる。すなわち、第一のスリットL1が上下方向に大きく開口してしまった場合であっても、切起片PP4は第二のスリットL2にも係わり合っているため、切起片PP4と第二のスリットL2との係わり合いは解除されることなく、その係合状態が保たれるものである。したがって、切起片PP4とカット孔PP2との接合状態を従来のものよりも良くすることができる。また、このような構成によっても、側スリットPP51の長さ寸法Pd1を、奥スリットPP52から打ち抜き孔PP1の基端PP1aすなわち切起片PP4の基端PP4aまでの距離Pd2よりも大きくしているので、用紙PP同士の相対位置を変更させる際に加わる力をより確実に前記逃がしスリットPP5の基端部分PP5aに作用させることができ、従って、さらに効果的に接合部分PP3の接合状態が外れてしまう不具合の発生を抑制することができる。
【0090】
そして、図16〜図19、図21、図22、図27及び図28に示す態様においても、側スリットEP51〜KP51、OP51、PP51の基端からそれぞれ離反する方向に延伸する逃げ短スリットを設けてもよく、図26に示す態様においても、逃げスリットNP5の両基端NP5aからそれぞれ離反する方向に延伸する逃げ短スリットを設けてもよい。
【0091】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0092】
B、BB〜PB…冊子(用紙束)
P、BP〜PP…用紙
P1、BP1〜PP1…打ち抜き孔
P2、BP2〜PP2…カット孔
P3、BP3〜PP3…接合部分
P4、BP4〜PP4…切起片
P5、BP5〜PP5…逃がしスリット
1…綴じ機
32…抜き刃
33…切込刃
37…スリット形成刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成するとともに、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片を前記カット孔に挿通させることにより接合部分を形成し、それら複数枚の用紙を相互に綴じるようにした用紙束の綴じ構造であって、
前記接合部分に隣接する部位に、用紙同士の相対位置を変更させる際に加わる力が前記接合部分に作用するのを緩和するための逃がしスリットを設けていることを特徴とする用紙束の綴じ構造。
【請求項2】
前記逃がしスリットの少なくとの一部が、接合部分として打ち抜き孔とカット孔とが延出する方向に概ね沿う方向に延びている請求項1記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項3】
前記逃がしスリットが、用紙の綴じ元側の縁に交差しかつこの縁から離間する方向に延伸する対をなす側スリットと、これら対をなす側スリットの先端部間を接続し用紙の綴じ元側の縁に概ね沿う方向に延伸する奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、側スリットと奥スリットとの境界同士を接続した線から打ち抜き孔の基端までの距離よりも大きい請求項1又は2記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項4】
前記逃がしスリットの一端が用紙の綴じ元側の縁に開口し、この逃がしスリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、綴じ元側の縁からカット孔までの距離よりも大きい請求項1又は2記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項5】
前記逃がしスリットが、用紙の綴じ元側の縁に交差しかつこの縁から離間する方向に延伸する対をなす側スリットと、これら側スリットの先端部間を接続し用紙の綴じ元側の縁に概ね沿う方向に延伸するとともに打ち抜き孔の基端部と連続する奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法の綴じ元側の縁に直交する方向の成分が、打ち抜き孔の基端からカット孔までの綴じ元側の縁に直交する方向の距離よりも大きい請求項1又は2記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項6】
前記逃がしスリットが、用紙の一隅を形成する一辺である綴じ元側の縁から用紙の一隅を形成する他辺である縁に沿って延伸する開口部と、この開口部の先端から用紙の一隅を形成する前記一辺に沿って延伸し用紙MPの一隅を形成する他辺である縁近傍に達する接続部とを備え、接続部の長さ寸法が、開口部からカット孔の該開口部から遠い側の端までの距離よりも大きい請求項1又は2記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項7】
打ち抜き孔と接合部分のカット孔とを用紙の綴じ元側の縁に沿う方向に並列して設け、前記逃がしスリットが、その両端から綴じ元側の縁に直交する方向に延び対をなす側スリットと、これら側スリットの両端を接続し綴じ元側の縁に沿う方向に延びる奥スリットとを備え、側スリットの長さ寸法が、奥スリットから打ち抜き孔の奥スリットに近い側の端までの距離よりも大きい請求項1又は2記載の用紙束の綴じ構造。
【請求項8】
請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の用紙束の綴じ構造を実現するための綴じ機であって、
前記打ち抜き孔を形成するための抜き刃と、前記カット孔を形成するための切込刃と、前記逃がしスリットを形成するためのスリット形成刃とを具備してなることを特徴とする綴じ機。
【請求項9】
前記スリット形成刃が、一端が用紙の綴じ元側の縁に開口された逃がしスリットを形成するものである請求項8記載の綴じ機。
【請求項10】
前記スリット形成刃が、両端が用紙の綴じ元側の縁の内側に位置し、前記接合部分を囲う形状の逃がしスリットを形成するものである請求項8記載の綴じ機。
【請求項11】
前記カット孔が、打ち抜き孔よりも綴じ元側の縁部寄りに位置するように抜き刃及び切込刃を配置している請求項10記載の綴じ機。
【請求項12】
前記打ち抜き孔が、カット孔よりも綴じ元側の縁部寄りに位置するように抜き刃及び切込刃を配置している請求項10記載の綴じ機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2013−1001(P2013−1001A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−135065(P2011−135065)
【出願日】平成23年6月17日(2011.6.17)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)