用紙穿孔処理装置
【課題】
操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供する。
【解決手段】用紙穿孔処理装置1を、穿孔すべき用紙Pが添接するパンチ台4と、このパンチ台4に添接している用紙Pに貫通する刃32、33と、用紙Pに貫通した刃32、33を用紙Pから抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネZとを具備するものとした。
操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供する。
【解決手段】用紙穿孔処理装置1を、穿孔すべき用紙Pが添接するパンチ台4と、このパンチ台4に添接している用紙Pに貫通する刃32、33と、用紙Pに貫通した刃32、33を用紙Pから抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネZとを具備するものとした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に綴じ用の孔などを形成するためのパンチや、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる綴じ機のうち、特に金属製の針を使用しない方式の、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機等に代表される用紙穿孔処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の綴じ機として、抜き刃とパンチ台とにより複数枚の用紙から切り起こされた切起片を用いて、それら複数枚の用紙を相互に接合するための綴じ機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この綴じ機は、ハンドルを一往復動作させることによって抜き刃が一往復動作するように構成されており、ハンドルの往動作時に固定されたパンチ台に添設された用紙に刃を貫入させて孔をあけ、ハンドルの復動作時に用紙から刃を抜き取って綴じ動作を完了させるようにしている。詳述すれば、従来の綴じ機は、ハンドルを往動作させる際に、刃を用紙に貫入させながら、刃を抜き取るための刃復帰用のスプリングを弾性変形させるように構成されている。そして、ハンドルから手を離すことによって、そのハンドルが前記刃復帰用のスプリングの反発力により自動的に復動作するとともに刃が用紙から抜き取られるようになっている。
【0004】
そのため、ハンドルを往動作させる際に刃を貫通させるためのエネルギーと、刃を抜き取るためのエネルギーとを同時に加えざるを得ず、操作力を小さくすることには一定の限界があり、何らかの対策が望まれていた。
【0005】
本発明者らはこのような要望に応えるべく種々の研究を行った結果、次のような知見を得て本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、従来のものは、刃復帰用のスプリングとして、コイルスプリングを用いているのが一般的である。この刃復帰用のコイルスプリングは、図14の実線Xに示すように、その変位量と反発力とが正比例するという特性を備えている。そのため、図15の実線xに示すように、操作を開始する時点(初期位置)から刃復帰用のコイルスプリングの反発力が直線的に増大し、その反発力が最大となる上死点(上死点位置)で手を離して操作をやめることにより前記反発力が直線的に減少することになる。そして、前記刃は、漸次減少する刃復帰用のコイルスプリングの反発力により駆動され、用紙から抜き取られる。
【0007】
まず、本発明者らは、刃が用紙から抜き取られる際の最も抵抗力が増大する時点となるクリンチポイントは、刃が用紙から抜き取られる動作の後半に位置することに思いが至った。この観点から検討を進めると、前記クリンチポイントにおいては刃復帰用のコイルスプリングの反発力が比較的減少した状態にあり、大きな反発力を発揮している領域では有効な働きをなしていないことが分かった。
【0008】
かかる知見に基づき、前記刃復帰用のコイルスプリングに替わる種々の弾性体に検討を加えた結果、ゼンマイバネが図14に一点鎖線Yで示すように、変位量と反発力とが正比例の関係にはなく、変位量が変わっても反発力が大きく変化しない比較的フラットな領域が存在することを利用して、この比較的フラットな領域で刃の抜き取り動作を行わせることにより前述したようなエネルギーの無駄を少なくすることができるという事実を見いだした。
【0009】
以上のような事情は、綴じ機に限らず、重ね合わせた複数枚の用紙に孔をあけるためのパンチにおいても当てはまる部分がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−228451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような究明結果に基づいてなされたもので、操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の用紙穿孔処理装置は、次の構成を備えたものである。
【0013】
請求項1に係る用紙穿孔処理装置は、パンチ台と抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をパンチ台方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とパンチ台との協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにしたものであって、前記用紙に貫通した抜き刃及び切込刃を該用紙から抜き取って元の位置に復帰させるための刃復帰用のゼンマイバネを具備してなるものである。
【0014】
ここで、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製や金属製のものも含まれる。
【0015】
請求項2に係る用紙穿孔処理装置は、請求項1に係る構成において、前記ゼンマイバネが、所定の部位において固定され、この固定された前記所定の部位の外周側又は中心側で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである。
【0016】
請求項3に係る用紙穿孔処理装置は、請求項2に係る構成において、前記ゼンマイバネの前記所定の部位が中心側の端部であり、前記ゼンマイバネの外周側の端部で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである。
【0017】
請求項4に係る用紙穿孔処理装置は、請求項1、2又は3に係る構成において、前記ゼンマイバネの弾性反発力を変更するためのバネ力調整機構を備えているものである。
【0018】
請求項5に係る用紙穿孔処理装置は、請求項4に係る構成において、前記バネ力調整機構が、前記ゼンマイバネにおける中心側の端部の固定位置を変更し得るものであり、前記ゼンマイバネの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ前記固定位置が間欠的に変化するように構成されたものである。
【0019】
請求項6に係る用紙穿孔処理装置は、穿孔すべき用紙が添接するパンチ台と、このパンチ台に添接している用紙に貫通する刃と、用紙に貫通した刃を用紙から抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネとを具備してなるものである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す用紙穿孔処理装置(綴じ機)の全体斜視図。
【図2】同実施形態における平面図。
【図3】同実施形態における側面図。
【図4】図2におけるA−A線断面図。
【図5】図2におけるB−B線断面図。
【図6】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図8】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図10】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図11】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図12】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図13】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図14】バネの変位量と反力との関係を示す説明図。
【図15】綴じ操作の時間経過と反力との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図15を参照して説明する。
【0023】
この実施形態は、本発明である用紙穿孔処理装置を複数枚の用紙Pを綴じるための綴じ機1に適用した場合のものである。
【0024】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子S、すなわち用紙束を作ることができるようにしたものである。また、この綴じ機1に用いられる刃である抜き刃32は、打ち抜き孔P1を形成し得るものであり、この綴じ機1に用いられる刃である切込刃33は、スリット状のカット孔P2を形成し得るものである。以下、詳述する。
【0025】
この冊子Sは、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃32により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成されたスリット状のカット孔P2と、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、切起片P5の先端P51部分を、カット孔P2に貫通させて用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、複数枚の用紙Pが相互に接合されている。カット孔P2は、切起片P5を主として係わり合わせるための第一のスリットL1と、この第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に屈曲して伸び略平行に対をなす第二のスリットL2とを備えている。
【0026】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pに切起片P5を形成しつつ打ち抜き孔P1を穿設する抜き刃32と、この抜き刃32に隣接して設けられ前記切起片P5の先端P51側を係止させるためのカット孔P2を穿設する切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33を保持するベース部2と、このベース部2に用紙挿入用の隙間35を介して配設されたパンチ台4とを具備してなる。そして、ベース部2に保持された抜き刃32と切込刃33とを、隙間35に挿入された用紙Pを貫通してパンチ台4側に突出するように打ち込み動作させることによって、用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成する。次いで、打ち抜き孔P1からパンチ台4側に切り起こされた切起片P5の先端P51側を切込刃33に係わり合わせた状態で、その切込刃33と抜き刃32とをベース部2側に復帰するように抜き取り動作させることによって、切起片P5をカット孔P2に貫通させて用紙Pを綴じるようにしたものである。
【0027】
換言すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して冊子Sを作るためのもので、待機位置(N)から一時的に突出側たる上方に移動することによって打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するための抜き刃32及び切込刃33と、抜き刃32及び切込刃33を待機位置(N)で収容するベース部2と、抜き刃32及び切込刃33を保持し、ベース部2に対して突没方向たる上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の外面側たる上向面F14側に用紙Pを挿入するための隙間35を介して配されたパンチ台4とを備えてなる。また、ベース部2には、操作レバー5が回動可能に取り付けてあるとともに、このベース部2の内部には、操作レバー5に接続されたリンク機構6が収容してある。
【0028】
ベース部2は、内部にスライド部材31及びリンク機構6を配する空間を備えたベースフレーム21と、このベースフレーム21の下側に外嵌されるベースカバー22とを備えてなる。
【0029】
ベースフレーム21は、ベース部2の上向面F14を形成する前部ハウジングFと、操作レバー5の上方に位置し操作レバー5を操作する際に実質的に手をかけるハンドル部を形成する後部ハウジングRとからなり、合成樹脂により一体に成形されている。前部ハウジングFは、天壁F1と、この天壁F1の前縁から垂下する前壁F2と、天壁F1の左右両側縁から垂下する左右の側壁F3とからなり、内部に抜き刃32、切込刃33、及び前記スライド部材31を主体とする刃ユニット3を収容するための空間を備えている。天壁F1は、抜き刃32及び切込刃33が通過するための開口F11を有している。この天壁F1の下面側には、インナーカム34のアーム343を係止するための係止部F13を設けている。天壁F1の上面である上向面F14と、前記パンチ台4の下向面414との間には、用紙Pを挿入するための隙間35が形成されている。この隙間35に挿入された用紙Pが当接する部位、すなわち隙間35の奥に配された係止壁I2には、用紙Pの角部P4を当接させることにより用紙Pの位置決めを行う位置決め部I1が形成されている。この係止壁I2は、ベース部2の中央部分に設けられたもので、パンチプレートたるアンビル41の取付座としての機能を有しており、この係止壁I2の上面にパンチ台4のアンビル41が取り付けられる。位置決め部I1は、係止壁I2を平面視略直角二等辺三角形状に切り欠いて形成されている。また、天壁F1には、用紙Pをパンチ台4のアンビル41側に寄せるための突部F12が設けられている。突部F12は、用紙挿入用の隙間35の奥側領域に配されたものである。
【0030】
側壁F3には、前側にスライド部材31を鉛直方向に案内するためのレール溝F31が設けられているとともに、中央にドライブシャフト36を上下方向に案内するための長孔F32が設けられている。前部ハウジングFにおける側壁F3の後側には支軸53用の軸孔F33が形成されている。この軸孔F33には、ゼンマイレバーZLと一体に形成されている下側の支軸53が貫通し、この支軸53を介して操作レバー5が回動可能に取り付けられている。
【0031】
後部ハウジングRは、前部ハウジングFの側壁F3から後方に連続して延びてなる左右の側壁R2と、左右の側壁R2の上端間を連結する天壁R1とを備えてなり、これら左右の側壁R2と天壁R1によって囲まれた内部にリンク機構6を収容するための空間を備えている。側壁R2には、上側の支軸23を介して第1のリンクメンバ61が回動可能に取り付けられている。また、側壁R2の前側には、後述する第1のリンクメンバ61に支持された回動規制用のリンク軸613が挿通される長孔R21が形成されている。
【0032】
ベースカバー22は、ベースフレーム21の下側に外嵌されるものである。このベースカバー22は、前壁221と、この前壁221の両端から後方に延びる左右の側壁222と、これら左右の側壁222の下端間を連結してベースフレーム21の前側下面を覆う底壁223とを備えている。左側の側壁222(L)には、後述するゼンマイハンドルZHの基端部ZH1が通過する略円形の貫通孔222aが設けられている。このゼンマイハンドルZHの基端部ZH1はベースカバー22内にある前記ゼンマイレバーZLに当接されており、ゼンマイハンドルZHとゼンマイレバーZLとは一体に回動できるように図示しないビス等により結合されている。また、底壁223の後部には、操作レバー5との干渉を避けるための窓224が設けられている。
【0033】
以上のようにしてなるベース部2内に、抜き刃32及び切込刃33を有した刃ユニット3が収容されている。
【0034】
刃ユニット3は、ベースフレーム21のレール溝F31に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32と、この抜き刃32に隣接させて配された切込刃33と、抜き刃32の内側に配され、抜き刃32内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃32外に突出する回動姿勢(K)との間でスライド部材31に軸341を介して回転可能に支持されたインナーカム34と、初期姿勢(S)に自己復帰する方向にインナーカム34を回動付勢するコイルスプリングCSとを具備してなる。
【0035】
スライド部材31は、ベースフレーム21のレール溝F31に上下方向にスライド可能に係合する突条311を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト36を介してリンク機構6に接続されている。すなわち、このドライブシャフト36は、リンク機構6の第1のリンクメンバ61の先端に設けられた長孔614に係わり合わせてある。
【0036】
抜き刃32は、用紙Pに矢尻状の切起片P5を形成するためのものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。
【0037】
切込刃33は、ゲタ状をなすスリットからなるカット孔P2を形成するものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。切込刃33は、第1のスリットL1を形成するための第1のブレードD1と、第1のブレードD1の途中から打ち抜き孔P1の方向に延びる第2のスリットL2を形成するための第2のブレードD2とを備えている。切込刃33の中央部分、より具体的には、切込刃33の第1のブレードD1には、用紙Pから打ち抜かれた切起片P5を通過させ切起片P5を係わり合わせるための窓D3が形成されている。
【0038】
インナーカム34は、基端に軸341を有すると共に先端に切起片P5を切込刃33に設けられた窓D3に挿入させるための押し出し部342を備えたもので、その軸341が抜き刃32及びスライド部材31に支持されている。インナーカム34の基端には、該インナーカム34を回動させるためのアーム343が突出させてある。
【0039】
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作レバー5を操作することで、前記ベースフレーム21に収容されたリンク機構6を介して上方に移動されるようにしている。
【0040】
操作レバー5は、金属製のレバープレート51と、このレバープレート51の外側に装着される樹脂製のレバーカバー52とからなる。レバープレート51は、板金素材を折曲加工したもので、底壁511と、この底壁511の両側縁から立ち上がる側壁512とを有している。
【0041】
リンク機構6は、先端がドライブシャフト36を介してスライド部材31に接続されるとともに、後端がベースフレーム21に上側の支軸23を介して接続される第1のリンクメンバ61と、この第1のリンクメンバ61に後述するゼンマイ作動軸ZJを介して接続され前記操作レバー5に一体に設けられた第2のリンクメンバ62とを具備してなる。なお、ゼンマイ作動軸ZJの後方に配置されたリンク軸613は、第2のリンクメンバ62が前記第1のリンクメンバ61に対して作動し得る範囲を規定するためのものであり、第1のリンクメンバ61に固定されて第2のリンクメンバ62の後述するリンク軸挿通孔622に挿通されている。
【0042】
第1のリンクメンバ61は、天壁611と、この天壁611の左右両側縁から垂下する左右の側壁612とを備えた金属製のものである。左右の側壁612の前端部には、ドライブシャフト36を案内するための長孔614を設けている。また、左右の側壁612の中間部分には、ゼンマイ作動軸ZJが係わり合う長孔615が形成されている。ゼンマイ作動軸ZJが係わり合う長孔615の前端部分はスリット616を介して側壁612の下縁に開放されている。また、スリット616は、ゼンマイレバーZLの支軸53と第1のリンクメンバ61との干渉を避けるための役割をも担っている。
【0043】
第2のリンクメンバ62は、レバープレート51の側壁512に一体に設けられている。すなわち、この実施形態における第2のリンクメンバ62と前記操作レバー5のレバープレート51とは、共通の板金素材により作られた一体構造物であり、ゼンマイレバーZLの支軸53を貫通させるための貫通孔513を有した操作レバー5の基端部に連続させて形成されている。そして、第2のリンクメンバ62は、ゼンマイ作動軸ZJを貫通させるための前後方向に延びる長孔状の作動軸挿通孔621と、第1のリンクメンバ61のリンク軸613を貫通させるとともにこのリンク軸613と係わり合って操作レバー5の回動範囲を規制するための長孔状のリンク軸挿通孔622とを備えている。
【0044】
この綴じ機1は、以上のようにしてなるリンク機構6を介して、刃である抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取る方向に付勢して、元の位置である初期姿勢に復帰させるためのゼンマイバネZを備えている。換言すれば、刃復帰用のゼンマイバネZは、用紙Pに貫通した抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取って元の位置である操作レバー5を操作していない時の初期の状態に復帰させるためのものである。
【0045】
ゼンマイバネZは、板状をなすバネ材を渦巻き状に巻回してなるもので、バネホルダQ内に収容された状態で、操作レバー5の基端部に配されている。バネホルダQは、有底円筒体状のもので、周壁Q1の内面にゼンマイバネZの外周側の端部Z1を係わり合わせるためのバネ掛け部Q2を備えている。バネホルダQの外周近傍には、ゼンマイ作動軸ZJが設けられてあり、このゼンマイ作動軸ZJの端部を第2のリンクメンバ62の作動軸挿通孔621に挿通させた状態で、操作レバー5の側壁512間に収容されている。
【0046】
バネホルダQの中心は、操作レバー5の基端部に設けた貫通孔513に合致させ得るようになっており、前記貫通孔513を通してバネホルダQ内に挿通させたゼンマイレバーZLの支軸53にゼンマイバネZの中心側の端部Z2を係わり合わせている。具体的には、ゼンマイレバーZLの支軸53には、径方向のスリット54が形成されており、そのスリット54にゼンマイバネZの中心側の端部Z2を係合させている。
【0047】
ゼンマイレバーZLの支軸53は、バネ力調整機構Eを介して、ベースフレーム21に固定されている。すなわち、本実施形態においては、ゼンマイバネZが中心側の所定の部位、より具体的には、中心側の端部Z2において固定されている。なお、ゼンマイバネZの中心側の端部Z2の回転方向の固定位置は、バネ力調整機構Eにより変更することができるようになっている。
【0048】
バネ力調整機構Eは、支軸53とともに回転するゼンマイレバーZLと、このゼンマイレバーZLに取り付けられゼンマイレバーZLをゼンマイバネZの反発力(バネ力)が増大する方向に正回転させるためのゼンマイハンドルZHと、このゼンマイハンドルZHへの操作を行っていない際にゼンマイレバーZLがゼンマイバネZの反発力によって逆回転されてしまうのを係止する係止爪ZS1と、この係止爪ZS1をゼンマイレバーZLから外してゼンマイレバーZLの逆回転を許容する操作ボタンZS2とを具備してなる。
【0049】
ゼンマイレバーZLは、略円盤状の本体部ZL2を有するもので、その円盤状の本体部ZL2の外周に複数の突起ZL1を円周方向に一定の間隔を開けて突設したものである。ゼンマイハンドルZHは、前記ゼンマイレバーZLにビス等を用いて固定されたもので、操作のための指掛け部ZH2を備えている。
【0050】
係止爪ZS1と操作ボタンZS2は、ベースフレームF21の側壁F3に設けられた支軸F34を介して回動可能に支持された操作部材たる回動子ZSに一体に設けられたもので、この回動子ZSには、係止爪ZS1が特定の突起ZL1に係合し得る方向に弾性付勢するための板バネZS3が一体に形成されている。しかして、この板バネZS3の付勢力に抗して操作ボタンZS2を押圧操作することにより、前記係止爪ZS1が前記突起ZL1から外れる方向に退避するようになっている。なお板バネZS3の一端は、ベースフレーム21の係止壁F35により係止されている。
【0051】
この回動子ZSには、前記係止爪ZS1から開放されて逆回転方向に移動する突起ZL1を、その下流で受け止めてゼンマイレバーZLが無制限に逆回転するのを禁止するストッパZS4を備えている。すなわち、このストッパZS4と係止爪ZS1とは回転子ZSの往復回動に伴って前記ゼンマイレバーZLの外周に背反的に接近し得るように位置付けられており、係止爪ZS1が突起ZL1を係止し得る位置まで接近した状態では、ストッパZS4がゼンマイレバーZLから離間しており、逆に係止爪ZS1が突起ZL1の通過を許容し得る位置まで退避した状態では、ストッパZS4が突起ZL1を係止し得る位置までゼンマイレバーZLに接近するようになっている。よって、このバネ力調整機構Eによれば、操作ボタンZS2に加える一操作、すなわち回転子ZSの操作ボタンZS2に対する一回の押し操作毎に、突起ZL1のピッチに対応する一定角度ずつゼンマイバネZの中心側の端部Z2の固定位置が間欠的に変化するようになっている。
【0052】
パンチ台4は、抜き刃32が挿入可能な刃貫通孔411と、切込刃33が挿入可能な通過孔である穿孔部412とを備えてなる。具体的には、このパンチ台4は、扁平箱形をなすトップケース42と、このトップケース42の下部に抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿孔するためのパンチプレートたるアンビル41とを備えている。
【0053】
アンビル41は、抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための刃貫通孔411と、前記切込刃33が通過する孔である穿孔部412とを備えた金属製のもので、前記トップケース42の下面に重ね合わせた状態で、前記ベースフレーム21に図示しないビスを用いて取り付けられている。また、アンビル41には、用紙Pをパンチ台4側から離すための突部413が設けられている。突部413は、用紙挿入用の隙間35において、綴じ機1の前方から見て奥側に位置する奥側領域351より手前側に配されたものである。
【0054】
次に、この綴じ機1の作動を、図10、図11、図12、及び図13等を参照して説明する。
【0055】
操作レバー5を操作しない状態では、図10に示すように、スライド部材31が下限位置に保持されており、インナーカム34が抜き刃32内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベースフレーム21の上向面F14とアンビル41の下向面414との間に形成されている隙間35の奥まで挿入する。
【0056】
しかる後に、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5に加えられた力が、リンク機構6を通じてスライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。
【0057】
詳述すれば、操作者の手を操作レバー5及びパンチ台4の後部に掛けて把持し、握りこむことにより操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5のレバープレート51は、下側の支軸53を中心に回転動作するとともに、このレバープレート51に一体に設けられた第2のリンクメンバ62が下側の支軸53を中心に上方に回転動作する。その結果、この第2のリンクメンバ62の回動端側に設けられたゼンマイ作動軸ZJは、第1のリンクメンバ61の方向へ、すなわち上方へと移動することとなる。その結果、第1のリンクメンバ61は、上側の支軸23を回転中心にして上方に回動し、刃ユニット3を上動させることになる。その際に、第2のリンクメンバ62が、ゼンマイ作動軸ZJをゼンマイバネZの付勢力に抗して押圧することになり、前記ゼンマイバネZに反発力が蓄積されていく。
【0058】
このようにして、操作レバー5を上方に操作した力が、第2のリンクメンバ62、及び第1のリンクメンバ61を介してドライブシャフト36に伝達される。その結果、前記スライド部材31を上方に移動させることとなる。
【0059】
スライド部材31が上方に移動を始めると、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32及び切込刃33の先端が用紙Pの一面Paに当接し、この用紙Pがアンビル41に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー5をさらに上方に操作すると、抜き刃32及び切込刃33によって用紙Pがアンビル41に押しつけられた状態のまま、抜き刃32及び切込刃33が用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が穿孔される。穿孔後さらに、抜き刃32及び切込刃33が上昇すると、図11に示すように、抜き刃32の内部に配されるインナーカム34のアーム343が係止部F13に当接し、インナーカム34とスライド部材31との間に配されるコイルスプリングCSの付勢力に抗して、インナーカム34が回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5の先端P51側が、切込刃33の窓D3に挿入される。
【0060】
ついで、操作レバー5への操作を解除、すなわち、握りこんだ手を解くと、図12に示すように、ゼンマイバネZの反発力により刃ユニット3が抜き取り方向に移動を始め、コイルスプリングCSの付勢力によりインナーカム34が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、抜き刃32及び切込刃33が、ゼンマイバネZの付勢力により没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル41から引き離されながら抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる。その際に、図12に示すように、切込刃33の窓D3に挿入されている切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、図13に示すように、切込刃33により複数の用紙Pが結合される。前述した「クリンチポイント」とは、図12に示す状態が含まれており、用紙Pに形成された切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出される瞬間の時間帯を意味している。
【0061】
このような構成のものであれば、複数枚の用紙Pを綴じるための操作に要するエネルギーを軽減することができ、本実施形態に示すような手動操作を行うものであれば、手動操作力を低減させることが可能となる。すなわち、ゼンマイバネZは、図14の一点鎖線Yに示すように、コイルスプリング(同図の実線X)と比較して変位量に対する反発力の増大傾向が少ない。そのため、例えば、クリンチポイントにおけるゼンマイバネZの反発力を従来の刃復帰用のコイルスプリングと同じに設定した場合、初期位置から上死点位置まで操作レバー5を回動操作しても、図15の一点鎖線yに示すように、刃復帰用のゼンマイバネZの反発力は、刃復帰用のコイルスプリング(同図の実線x)の反発力に比べ遙かに小さなものにすることができる。したがって、スプリングによる反発力によりクリンチポイントを通過させるという基本的な動作を損ねることなしに、操作レバーに加える操作力を低減させることができる。
【0062】
以上に述べたように、本実施形態に係る綴じ機1は、用紙Pに貫通した刃である抜き刃32及び切込刃33を該用紙Pから抜き取って元の位置に復帰させるため刃復帰手段として、弾性体であるゼンマイバネZを採用しているので、ゼンマイバネZにおける反発力の変化に関する特性を利用して操作に要するエネルギーを低く抑えつつ、抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き出して復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができるものとなる。より具体的に言えば、この綴じ機1を用いれば、前述したクリンチポイントにおいて必要な弾性反発力を維持することができるものとなる。しかも、その一方で本実施形態のものは、クリンチポイント以外の主たる操作過程である操作レバー5を握りこむ時間帯においては、刃を復帰させるための弾性反発力を従来のものと比較して低いものとすることができる。このため、本実施形態における綴じ機1であれば、操作レバー5を操作する過程において必要なエネルギーを、従来の刃復帰用のコイルスプリングを用いたものと比べて低減させることができ、操作者に軽快な操作感を与えることができる。
【0063】
また、本実施形態における綴じ機1は、刃復帰手段としてコイルスプリングを用いた従来のものと比べ、操作者が手をかけて把持する操作レバー5とパンチ台4との離間距離を小さくする構造にしやすいため、手の小さな操作者にとっても操作しやすい構造を実現しやすいものとなっている。すなわち、従来のコイルスプリングを用いたものであれば、操作レバー5とパンチ台4との間に一定の上下寸法を有するコイルスプリングを介設する必要があったため、操作レバー5とパンチ台4との離間距離が大きくなりやすいものであったところ、本実施形態における綴じ機1では、上下寸法が比較的短寸であるという基本的な特徴を有するゼンマイバネZを採用しているので、操作レバー5とパンチ台4との離間距離を小さくすることができる。
【0064】
本実施形態では、ゼンマイバネZが、中心側の端部Z2が固定され、外周側の端部Z1で抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取られる方向に付勢しているものであるので、構造の複雑化を抑制しやすいものとなっている。
【0065】
さらに、本実施形態では、ゼンマイバネZにおける中心側の端部Z2の固定位置を変更するためのバネ力調整機構Eを備えているものであるため、中心側の端部Z2が係わり合う支軸53を回転させて固定位置を変えることによりゼンマイバネZの弾性反発力を変更することができる。このようなものであれば、綴じるべき用紙Pの枚数に対応してゼンマイバネZの必要な弾性反発力を設定することができ、操作者の軽快な操作に寄与するものとなる。
【0066】
例えば、次のような使用が考えられる。すなわち、通常の執務にて3枚前後の用紙Pを綴じることが基本である場合には、バネ力調整機構Eにより3枚前後の用紙Pを綴じるのに必要なゼンマイバネZの弾性反発力を基本設定としておき、偶に8枚以上の用紙Pを綴じる必要があれば、その都度バネ力調整機構Eにより8枚以上の用紙Pを綴じるのに必要な弾性反発力を一時的に設定するという使用態様が考えられる。換言すれば、本実施形態の綴じ機1であれば、バネ力調整機構Eにより比較的多枚数の用紙Pを綴じるのに必要な弾性反発力を必要時にのみ得ることができることとなり、操作者が常時多枚数の用紙Pを綴じるための弾性反発力に抗して操作レバー5を操作する必要が無くなり、操作者の手が疲れてしまうことを好適に抑制できるものとなる。
【0067】
バネ力調整機構Eが、ゼンマイバネZの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ、ゼンマイバネZの中心側の端部Z2の固定位置が間欠的に変化するように構成されたものであるため、ゼンマイバネZの弾性反発力により急激に固定位置が変化することを回避することができ、安全性を確保することができる。
【0068】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0069】
上述した実施形態では、用紙穿孔処理装置の一例として、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、用紙穿孔処理装置には、用紙に綴じ孔を穿孔するためのパンチ等が挙げられる。
【0070】
刃の用紙に対して貫通する方向は、本実施形態のような上から下に向かう方向のものには限定されず、その逆でもよいし、左から右に向かうものや、右から左に向かうものであってもよい。
【0071】
本実施形態における綴じ機は、手で把持した状態で綴じ操作をすることが可能ないわゆるハンディタイプのものとして説明していたが、かかる態様のものに限定されるものではなく、一般に天板上に載置した状態で用いられるいわゆる卓上据え置きタイプのものであってもよいし、その他種々のタイプの綴じ機が考えられる。
【0072】
ゼンマイバネは、鋼製のバネ材や樹脂製のバネ材等、種々の弾性体を利用することができる。
【0073】
綴じ機は、手動により操作するものに限定されるものではなく、電動や他の動力を利用してもよい。
【0074】
上述した実施形態では、バネ力調整機構を備えているものについて説明したが、バネ力調整機構を備えていないものであってもよい。
【0075】
ゼンマイハンドルの形状は、種々の形状を採用することができ、本実施形態に示されるものには限定されない。
【0076】
上述した実施形態では、刃復帰用の弾性体としてゼンマイバネのみを用いてなるものを示したが、かかる態様のものに限定されるものではない。すなわち、刃復帰用に供する目的で他の弾性体を併用してもよく、例えば、刃復帰用のゼンマイバネとともに刃復帰用のコイルスプリングを適宜配してもよいのはもちろんのことである。
【0077】
上述した実施形態では、ゼンマイバネの中心側の端部が固定されているものについて説明したが、固定される部位はこれに限られるものではない。例えば、ゼンマイバネにおける中心側の端部と外周側の端部との間の中間部位を、種々の部材を用いて固定するようにしてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、ゼンマイバネの中心側の端部が固定された状態で、ゼンマイバネの外周側で抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢しているものについて説明したが、このようなものに限定されるものではない。例えば、ゼンマイバネの外周側における所定の部位を固定したうえで、その固定された所定の部位の内周側で、抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するようにしても良い。より具体的には、ゼンマイバネの外周側の端部を綴じ操作に伴って移動しないように固定したうえで、内周側の端部の弾性反発力を利用して、抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するようにしてもよい。
【0079】
上述した実施形態では、バネ力調整機構は、ゼンマイバネの弾性反発力を変更するものであればよく、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、ゼンマイバネの一端と他端との間において層状に重なり合う部分間に、スペーサを着脱可能に配するようにして弾性反発力を調整するようにしたものなどが考えられる。
【0080】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0081】
1…用紙穿孔処理装置(綴じ機)
4…パンチ台
32…刃(抜き刃)
33…刃(切込刃)
P…用紙
Z…ゼンマイバネ
【技術分野】
【0001】
本発明は、用紙に綴じ用の孔などを形成するためのパンチや、重ね合わせた複数枚の用紙の端部を一体的に綴じ合わせる綴じ機のうち、特に金属製の針を使用しない方式の、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機等に代表される用紙穿孔処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の綴じ機として、抜き刃とパンチ台とにより複数枚の用紙から切り起こされた切起片を用いて、それら複数枚の用紙を相互に接合するための綴じ機が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この綴じ機は、ハンドルを一往復動作させることによって抜き刃が一往復動作するように構成されており、ハンドルの往動作時に固定されたパンチ台に添設された用紙に刃を貫入させて孔をあけ、ハンドルの復動作時に用紙から刃を抜き取って綴じ動作を完了させるようにしている。詳述すれば、従来の綴じ機は、ハンドルを往動作させる際に、刃を用紙に貫入させながら、刃を抜き取るための刃復帰用のスプリングを弾性変形させるように構成されている。そして、ハンドルから手を離すことによって、そのハンドルが前記刃復帰用のスプリングの反発力により自動的に復動作するとともに刃が用紙から抜き取られるようになっている。
【0004】
そのため、ハンドルを往動作させる際に刃を貫通させるためのエネルギーと、刃を抜き取るためのエネルギーとを同時に加えざるを得ず、操作力を小さくすることには一定の限界があり、何らかの対策が望まれていた。
【0005】
本発明者らはこのような要望に応えるべく種々の研究を行った結果、次のような知見を得て本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、従来のものは、刃復帰用のスプリングとして、コイルスプリングを用いているのが一般的である。この刃復帰用のコイルスプリングは、図14の実線Xに示すように、その変位量と反発力とが正比例するという特性を備えている。そのため、図15の実線xに示すように、操作を開始する時点(初期位置)から刃復帰用のコイルスプリングの反発力が直線的に増大し、その反発力が最大となる上死点(上死点位置)で手を離して操作をやめることにより前記反発力が直線的に減少することになる。そして、前記刃は、漸次減少する刃復帰用のコイルスプリングの反発力により駆動され、用紙から抜き取られる。
【0007】
まず、本発明者らは、刃が用紙から抜き取られる際の最も抵抗力が増大する時点となるクリンチポイントは、刃が用紙から抜き取られる動作の後半に位置することに思いが至った。この観点から検討を進めると、前記クリンチポイントにおいては刃復帰用のコイルスプリングの反発力が比較的減少した状態にあり、大きな反発力を発揮している領域では有効な働きをなしていないことが分かった。
【0008】
かかる知見に基づき、前記刃復帰用のコイルスプリングに替わる種々の弾性体に検討を加えた結果、ゼンマイバネが図14に一点鎖線Yで示すように、変位量と反発力とが正比例の関係にはなく、変位量が変わっても反発力が大きく変化しない比較的フラットな領域が存在することを利用して、この比較的フラットな領域で刃の抜き取り動作を行わせることにより前述したようなエネルギーの無駄を少なくすることができるという事実を見いだした。
【0009】
以上のような事情は、綴じ機に限らず、重ね合わせた複数枚の用紙に孔をあけるためのパンチにおいても当てはまる部分がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−228451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、以上のような究明結果に基づいてなされたもので、操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明の用紙穿孔処理装置は、次の構成を備えたものである。
【0013】
請求項1に係る用紙穿孔処理装置は、パンチ台と抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をパンチ台方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とパンチ台との協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにしたものであって、前記用紙に貫通した抜き刃及び切込刃を該用紙から抜き取って元の位置に復帰させるための刃復帰用のゼンマイバネを具備してなるものである。
【0014】
ここで、「用紙」とは、シート状になっているものであれば、どのようなものであってもよく、紙製のものの他、プラスチック製や金属製のものも含まれる。
【0015】
請求項2に係る用紙穿孔処理装置は、請求項1に係る構成において、前記ゼンマイバネが、所定の部位において固定され、この固定された前記所定の部位の外周側又は中心側で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである。
【0016】
請求項3に係る用紙穿孔処理装置は、請求項2に係る構成において、前記ゼンマイバネの前記所定の部位が中心側の端部であり、前記ゼンマイバネの外周側の端部で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである。
【0017】
請求項4に係る用紙穿孔処理装置は、請求項1、2又は3に係る構成において、前記ゼンマイバネの弾性反発力を変更するためのバネ力調整機構を備えているものである。
【0018】
請求項5に係る用紙穿孔処理装置は、請求項4に係る構成において、前記バネ力調整機構が、前記ゼンマイバネにおける中心側の端部の固定位置を変更し得るものであり、前記ゼンマイバネの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ前記固定位置が間欠的に変化するように構成されたものである。
【0019】
請求項6に係る用紙穿孔処理装置は、穿孔すべき用紙が添接するパンチ台と、このパンチ台に添接している用紙に貫通する刃と、用紙に貫通した刃を用紙から抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネとを具備してなるものである。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、操作に要するエネルギーを低く抑えながら刃を復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができる用紙穿孔処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態を示す用紙穿孔処理装置(綴じ機)の全体斜視図。
【図2】同実施形態における平面図。
【図3】同実施形態における側面図。
【図4】図2におけるA−A線断面図。
【図5】図2におけるB−B線断面図。
【図6】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図7】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図8】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図9】同実施形態の要部を示す分解斜視図。
【図10】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図11】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図12】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図13】同実施形態の綴じ機の作動を示す部分拡大断面図。
【図14】バネの変位量と反力との関係を示す説明図。
【図15】綴じ操作の時間経過と反力との関係を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態について図1〜図15を参照して説明する。
【0023】
この実施形態は、本発明である用紙穿孔処理装置を複数枚の用紙Pを綴じるための綴じ機1に適用した場合のものである。
【0024】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するとともに、その打ち抜き孔P1から切り起こされた切起片P5を前記カット孔P2に挿通させることにより、それら複数枚の用紙Pを相互に綴じて冊子S、すなわち用紙束を作ることができるようにしたものである。また、この綴じ機1に用いられる刃である抜き刃32は、打ち抜き孔P1を形成し得るものであり、この綴じ機1に用いられる刃である切込刃33は、スリット状のカット孔P2を形成し得るものである。以下、詳述する。
【0025】
この冊子Sは、複数枚の用紙Pを束ねてなるもので、それらの用紙Pは角部P4に設定した一ヵ所の接合部分P3において相互に接合されている。この接合部分P3は、用紙Pの一面Pa側から貫入させた抜き刃32により各用紙Pに形成された打ち抜き孔P1と、この打ち抜き孔P1に隣接させて前記各用紙Pに形成されたスリット状のカット孔P2と、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5とから構成されている。そして、切起片P5の先端P51部分を、カット孔P2に貫通させて用紙Pの一面Pa側に導出させることによって、複数枚の用紙Pが相互に接合されている。カット孔P2は、切起片P5を主として係わり合わせるための第一のスリットL1と、この第一のスリットL1の途中から打ち抜き孔P1方向に屈曲して伸び略平行に対をなす第二のスリットL2とを備えている。
【0026】
綴じ機1は、複数枚の用紙Pに切起片P5を形成しつつ打ち抜き孔P1を穿設する抜き刃32と、この抜き刃32に隣接して設けられ前記切起片P5の先端P51側を係止させるためのカット孔P2を穿設する切込刃33と、これら抜き刃32及び切込刃33を保持するベース部2と、このベース部2に用紙挿入用の隙間35を介して配設されたパンチ台4とを具備してなる。そして、ベース部2に保持された抜き刃32と切込刃33とを、隙間35に挿入された用紙Pを貫通してパンチ台4側に突出するように打ち込み動作させることによって、用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成する。次いで、打ち抜き孔P1からパンチ台4側に切り起こされた切起片P5の先端P51側を切込刃33に係わり合わせた状態で、その切込刃33と抜き刃32とをベース部2側に復帰するように抜き取り動作させることによって、切起片P5をカット孔P2に貫通させて用紙Pを綴じるようにしたものである。
【0027】
換言すれば、この綴じ機1は、複数枚の用紙Pを接合して冊子Sを作るためのもので、待機位置(N)から一時的に突出側たる上方に移動することによって打ち抜き孔P1及びカット孔P2を形成するための抜き刃32及び切込刃33と、抜き刃32及び切込刃33を待機位置(N)で収容するベース部2と、抜き刃32及び切込刃33を保持し、ベース部2に対して突没方向たる上下方向に昇降可能なスライド部材31と、このベース部2の外面側たる上向面F14側に用紙Pを挿入するための隙間35を介して配されたパンチ台4とを備えてなる。また、ベース部2には、操作レバー5が回動可能に取り付けてあるとともに、このベース部2の内部には、操作レバー5に接続されたリンク機構6が収容してある。
【0028】
ベース部2は、内部にスライド部材31及びリンク機構6を配する空間を備えたベースフレーム21と、このベースフレーム21の下側に外嵌されるベースカバー22とを備えてなる。
【0029】
ベースフレーム21は、ベース部2の上向面F14を形成する前部ハウジングFと、操作レバー5の上方に位置し操作レバー5を操作する際に実質的に手をかけるハンドル部を形成する後部ハウジングRとからなり、合成樹脂により一体に成形されている。前部ハウジングFは、天壁F1と、この天壁F1の前縁から垂下する前壁F2と、天壁F1の左右両側縁から垂下する左右の側壁F3とからなり、内部に抜き刃32、切込刃33、及び前記スライド部材31を主体とする刃ユニット3を収容するための空間を備えている。天壁F1は、抜き刃32及び切込刃33が通過するための開口F11を有している。この天壁F1の下面側には、インナーカム34のアーム343を係止するための係止部F13を設けている。天壁F1の上面である上向面F14と、前記パンチ台4の下向面414との間には、用紙Pを挿入するための隙間35が形成されている。この隙間35に挿入された用紙Pが当接する部位、すなわち隙間35の奥に配された係止壁I2には、用紙Pの角部P4を当接させることにより用紙Pの位置決めを行う位置決め部I1が形成されている。この係止壁I2は、ベース部2の中央部分に設けられたもので、パンチプレートたるアンビル41の取付座としての機能を有しており、この係止壁I2の上面にパンチ台4のアンビル41が取り付けられる。位置決め部I1は、係止壁I2を平面視略直角二等辺三角形状に切り欠いて形成されている。また、天壁F1には、用紙Pをパンチ台4のアンビル41側に寄せるための突部F12が設けられている。突部F12は、用紙挿入用の隙間35の奥側領域に配されたものである。
【0030】
側壁F3には、前側にスライド部材31を鉛直方向に案内するためのレール溝F31が設けられているとともに、中央にドライブシャフト36を上下方向に案内するための長孔F32が設けられている。前部ハウジングFにおける側壁F3の後側には支軸53用の軸孔F33が形成されている。この軸孔F33には、ゼンマイレバーZLと一体に形成されている下側の支軸53が貫通し、この支軸53を介して操作レバー5が回動可能に取り付けられている。
【0031】
後部ハウジングRは、前部ハウジングFの側壁F3から後方に連続して延びてなる左右の側壁R2と、左右の側壁R2の上端間を連結する天壁R1とを備えてなり、これら左右の側壁R2と天壁R1によって囲まれた内部にリンク機構6を収容するための空間を備えている。側壁R2には、上側の支軸23を介して第1のリンクメンバ61が回動可能に取り付けられている。また、側壁R2の前側には、後述する第1のリンクメンバ61に支持された回動規制用のリンク軸613が挿通される長孔R21が形成されている。
【0032】
ベースカバー22は、ベースフレーム21の下側に外嵌されるものである。このベースカバー22は、前壁221と、この前壁221の両端から後方に延びる左右の側壁222と、これら左右の側壁222の下端間を連結してベースフレーム21の前側下面を覆う底壁223とを備えている。左側の側壁222(L)には、後述するゼンマイハンドルZHの基端部ZH1が通過する略円形の貫通孔222aが設けられている。このゼンマイハンドルZHの基端部ZH1はベースカバー22内にある前記ゼンマイレバーZLに当接されており、ゼンマイハンドルZHとゼンマイレバーZLとは一体に回動できるように図示しないビス等により結合されている。また、底壁223の後部には、操作レバー5との干渉を避けるための窓224が設けられている。
【0033】
以上のようにしてなるベース部2内に、抜き刃32及び切込刃33を有した刃ユニット3が収容されている。
【0034】
刃ユニット3は、ベースフレーム21のレール溝F31に案内されて鉛直姿勢を維持しつつ昇降可能なスライド部材31と、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32と、この抜き刃32に隣接させて配された切込刃33と、抜き刃32の内側に配され、抜き刃32内に収まる初期姿勢(S)から抜き刃32外に突出する回動姿勢(K)との間でスライド部材31に軸341を介して回転可能に支持されたインナーカム34と、初期姿勢(S)に自己復帰する方向にインナーカム34を回動付勢するコイルスプリングCSとを具備してなる。
【0035】
スライド部材31は、ベースフレーム21のレール溝F31に上下方向にスライド可能に係合する突条311を備えたブロック状のもので、ドライブシャフト36を介してリンク機構6に接続されている。すなわち、このドライブシャフト36は、リンク機構6の第1のリンクメンバ61の先端に設けられた長孔614に係わり合わせてある。
【0036】
抜き刃32は、用紙Pに矢尻状の切起片P5を形成するためのものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。
【0037】
切込刃33は、ゲタ状をなすスリットからなるカット孔P2を形成するものであって、一枚の板金素材に打ち抜き加工及び折り曲げ加工を施すことにより作られている。切込刃33は、第1のスリットL1を形成するための第1のブレードD1と、第1のブレードD1の途中から打ち抜き孔P1の方向に延びる第2のスリットL2を形成するための第2のブレードD2とを備えている。切込刃33の中央部分、より具体的には、切込刃33の第1のブレードD1には、用紙Pから打ち抜かれた切起片P5を通過させ切起片P5を係わり合わせるための窓D3が形成されている。
【0038】
インナーカム34は、基端に軸341を有すると共に先端に切起片P5を切込刃33に設けられた窓D3に挿入させるための押し出し部342を備えたもので、その軸341が抜き刃32及びスライド部材31に支持されている。インナーカム34の基端には、該インナーカム34を回動させるためのアーム343が突出させてある。
【0039】
以上のようにしてなる刃ユニット3は、操作レバー5を操作することで、前記ベースフレーム21に収容されたリンク機構6を介して上方に移動されるようにしている。
【0040】
操作レバー5は、金属製のレバープレート51と、このレバープレート51の外側に装着される樹脂製のレバーカバー52とからなる。レバープレート51は、板金素材を折曲加工したもので、底壁511と、この底壁511の両側縁から立ち上がる側壁512とを有している。
【0041】
リンク機構6は、先端がドライブシャフト36を介してスライド部材31に接続されるとともに、後端がベースフレーム21に上側の支軸23を介して接続される第1のリンクメンバ61と、この第1のリンクメンバ61に後述するゼンマイ作動軸ZJを介して接続され前記操作レバー5に一体に設けられた第2のリンクメンバ62とを具備してなる。なお、ゼンマイ作動軸ZJの後方に配置されたリンク軸613は、第2のリンクメンバ62が前記第1のリンクメンバ61に対して作動し得る範囲を規定するためのものであり、第1のリンクメンバ61に固定されて第2のリンクメンバ62の後述するリンク軸挿通孔622に挿通されている。
【0042】
第1のリンクメンバ61は、天壁611と、この天壁611の左右両側縁から垂下する左右の側壁612とを備えた金属製のものである。左右の側壁612の前端部には、ドライブシャフト36を案内するための長孔614を設けている。また、左右の側壁612の中間部分には、ゼンマイ作動軸ZJが係わり合う長孔615が形成されている。ゼンマイ作動軸ZJが係わり合う長孔615の前端部分はスリット616を介して側壁612の下縁に開放されている。また、スリット616は、ゼンマイレバーZLの支軸53と第1のリンクメンバ61との干渉を避けるための役割をも担っている。
【0043】
第2のリンクメンバ62は、レバープレート51の側壁512に一体に設けられている。すなわち、この実施形態における第2のリンクメンバ62と前記操作レバー5のレバープレート51とは、共通の板金素材により作られた一体構造物であり、ゼンマイレバーZLの支軸53を貫通させるための貫通孔513を有した操作レバー5の基端部に連続させて形成されている。そして、第2のリンクメンバ62は、ゼンマイ作動軸ZJを貫通させるための前後方向に延びる長孔状の作動軸挿通孔621と、第1のリンクメンバ61のリンク軸613を貫通させるとともにこのリンク軸613と係わり合って操作レバー5の回動範囲を規制するための長孔状のリンク軸挿通孔622とを備えている。
【0044】
この綴じ機1は、以上のようにしてなるリンク機構6を介して、刃である抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取る方向に付勢して、元の位置である初期姿勢に復帰させるためのゼンマイバネZを備えている。換言すれば、刃復帰用のゼンマイバネZは、用紙Pに貫通した抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取って元の位置である操作レバー5を操作していない時の初期の状態に復帰させるためのものである。
【0045】
ゼンマイバネZは、板状をなすバネ材を渦巻き状に巻回してなるもので、バネホルダQ内に収容された状態で、操作レバー5の基端部に配されている。バネホルダQは、有底円筒体状のもので、周壁Q1の内面にゼンマイバネZの外周側の端部Z1を係わり合わせるためのバネ掛け部Q2を備えている。バネホルダQの外周近傍には、ゼンマイ作動軸ZJが設けられてあり、このゼンマイ作動軸ZJの端部を第2のリンクメンバ62の作動軸挿通孔621に挿通させた状態で、操作レバー5の側壁512間に収容されている。
【0046】
バネホルダQの中心は、操作レバー5の基端部に設けた貫通孔513に合致させ得るようになっており、前記貫通孔513を通してバネホルダQ内に挿通させたゼンマイレバーZLの支軸53にゼンマイバネZの中心側の端部Z2を係わり合わせている。具体的には、ゼンマイレバーZLの支軸53には、径方向のスリット54が形成されており、そのスリット54にゼンマイバネZの中心側の端部Z2を係合させている。
【0047】
ゼンマイレバーZLの支軸53は、バネ力調整機構Eを介して、ベースフレーム21に固定されている。すなわち、本実施形態においては、ゼンマイバネZが中心側の所定の部位、より具体的には、中心側の端部Z2において固定されている。なお、ゼンマイバネZの中心側の端部Z2の回転方向の固定位置は、バネ力調整機構Eにより変更することができるようになっている。
【0048】
バネ力調整機構Eは、支軸53とともに回転するゼンマイレバーZLと、このゼンマイレバーZLに取り付けられゼンマイレバーZLをゼンマイバネZの反発力(バネ力)が増大する方向に正回転させるためのゼンマイハンドルZHと、このゼンマイハンドルZHへの操作を行っていない際にゼンマイレバーZLがゼンマイバネZの反発力によって逆回転されてしまうのを係止する係止爪ZS1と、この係止爪ZS1をゼンマイレバーZLから外してゼンマイレバーZLの逆回転を許容する操作ボタンZS2とを具備してなる。
【0049】
ゼンマイレバーZLは、略円盤状の本体部ZL2を有するもので、その円盤状の本体部ZL2の外周に複数の突起ZL1を円周方向に一定の間隔を開けて突設したものである。ゼンマイハンドルZHは、前記ゼンマイレバーZLにビス等を用いて固定されたもので、操作のための指掛け部ZH2を備えている。
【0050】
係止爪ZS1と操作ボタンZS2は、ベースフレームF21の側壁F3に設けられた支軸F34を介して回動可能に支持された操作部材たる回動子ZSに一体に設けられたもので、この回動子ZSには、係止爪ZS1が特定の突起ZL1に係合し得る方向に弾性付勢するための板バネZS3が一体に形成されている。しかして、この板バネZS3の付勢力に抗して操作ボタンZS2を押圧操作することにより、前記係止爪ZS1が前記突起ZL1から外れる方向に退避するようになっている。なお板バネZS3の一端は、ベースフレーム21の係止壁F35により係止されている。
【0051】
この回動子ZSには、前記係止爪ZS1から開放されて逆回転方向に移動する突起ZL1を、その下流で受け止めてゼンマイレバーZLが無制限に逆回転するのを禁止するストッパZS4を備えている。すなわち、このストッパZS4と係止爪ZS1とは回転子ZSの往復回動に伴って前記ゼンマイレバーZLの外周に背反的に接近し得るように位置付けられており、係止爪ZS1が突起ZL1を係止し得る位置まで接近した状態では、ストッパZS4がゼンマイレバーZLから離間しており、逆に係止爪ZS1が突起ZL1の通過を許容し得る位置まで退避した状態では、ストッパZS4が突起ZL1を係止し得る位置までゼンマイレバーZLに接近するようになっている。よって、このバネ力調整機構Eによれば、操作ボタンZS2に加える一操作、すなわち回転子ZSの操作ボタンZS2に対する一回の押し操作毎に、突起ZL1のピッチに対応する一定角度ずつゼンマイバネZの中心側の端部Z2の固定位置が間欠的に変化するようになっている。
【0052】
パンチ台4は、抜き刃32が挿入可能な刃貫通孔411と、切込刃33が挿入可能な通過孔である穿孔部412とを備えてなる。具体的には、このパンチ台4は、扁平箱形をなすトップケース42と、このトップケース42の下部に抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿孔するためのパンチプレートたるアンビル41とを備えている。
【0053】
アンビル41は、抜き刃32と協働して用紙Pに打ち抜き孔P1を穿設するための刃貫通孔411と、前記切込刃33が通過する孔である穿孔部412とを備えた金属製のもので、前記トップケース42の下面に重ね合わせた状態で、前記ベースフレーム21に図示しないビスを用いて取り付けられている。また、アンビル41には、用紙Pをパンチ台4側から離すための突部413が設けられている。突部413は、用紙挿入用の隙間35において、綴じ機1の前方から見て奥側に位置する奥側領域351より手前側に配されたものである。
【0054】
次に、この綴じ機1の作動を、図10、図11、図12、及び図13等を参照して説明する。
【0055】
操作レバー5を操作しない状態では、図10に示すように、スライド部材31が下限位置に保持されており、インナーカム34が抜き刃32内に収容された初期姿勢(S)を保っている。この状態で、重ね合わせた複数枚の用紙Pをベースフレーム21の上向面F14とアンビル41の下向面414との間に形成されている隙間35の奥まで挿入する。
【0056】
しかる後に、操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5に加えられた力が、リンク機構6を通じてスライド部材31の上方への動きに変換して伝えられる。
【0057】
詳述すれば、操作者の手を操作レバー5及びパンチ台4の後部に掛けて把持し、握りこむことにより操作レバー5を上方に操作すると、この操作レバー5のレバープレート51は、下側の支軸53を中心に回転動作するとともに、このレバープレート51に一体に設けられた第2のリンクメンバ62が下側の支軸53を中心に上方に回転動作する。その結果、この第2のリンクメンバ62の回動端側に設けられたゼンマイ作動軸ZJは、第1のリンクメンバ61の方向へ、すなわち上方へと移動することとなる。その結果、第1のリンクメンバ61は、上側の支軸23を回転中心にして上方に回動し、刃ユニット3を上動させることになる。その際に、第2のリンクメンバ62が、ゼンマイ作動軸ZJをゼンマイバネZの付勢力に抗して押圧することになり、前記ゼンマイバネZに反発力が蓄積されていく。
【0058】
このようにして、操作レバー5を上方に操作した力が、第2のリンクメンバ62、及び第1のリンクメンバ61を介してドライブシャフト36に伝達される。その結果、前記スライド部材31を上方に移動させることとなる。
【0059】
スライド部材31が上方に移動を始めると、このスライド部材31に取り付けられた抜き刃32及び切込刃33の先端が用紙Pの一面Paに当接し、この用紙Pがアンビル41に押し付けられる位置まで押し上げられる。そして、この位置から操作レバー5をさらに上方に操作すると、抜き刃32及び切込刃33によって用紙Pがアンビル41に押しつけられた状態のまま、抜き刃32及び切込刃33が用紙Pを貫通し、その用紙Pに打ち抜き孔P1及びカット孔P2が穿孔される。穿孔後さらに、抜き刃32及び切込刃33が上昇すると、図11に示すように、抜き刃32の内部に配されるインナーカム34のアーム343が係止部F13に当接し、インナーカム34とスライド部材31との間に配されるコイルスプリングCSの付勢力に抗して、インナーカム34が回動姿勢(K)まで回動する。その結果、打ち抜き孔P1から用紙Pの他面Pb側に切り起こされた切起片P5の先端P51側が、切込刃33の窓D3に挿入される。
【0060】
ついで、操作レバー5への操作を解除、すなわち、握りこんだ手を解くと、図12に示すように、ゼンマイバネZの反発力により刃ユニット3が抜き取り方向に移動を始め、コイルスプリングCSの付勢力によりインナーカム34が回動姿勢(K)から初期姿勢(S)に復帰する。そして、抜き刃32及び切込刃33が、ゼンマイバネZの付勢力により没入側たる下方に移動し、用紙Pがアンビル41から引き離されながら抜き刃32及び切込刃33が用紙Pから抜き取られる。その際に、図12に示すように、切込刃33の窓D3に挿入されている切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出され、図13に示すように、切込刃33により複数の用紙Pが結合される。前述した「クリンチポイント」とは、図12に示す状態が含まれており、用紙Pに形成された切起片P5がカット孔P2を通過して用紙Pの一面Pa側に抜き出される瞬間の時間帯を意味している。
【0061】
このような構成のものであれば、複数枚の用紙Pを綴じるための操作に要するエネルギーを軽減することができ、本実施形態に示すような手動操作を行うものであれば、手動操作力を低減させることが可能となる。すなわち、ゼンマイバネZは、図14の一点鎖線Yに示すように、コイルスプリング(同図の実線X)と比較して変位量に対する反発力の増大傾向が少ない。そのため、例えば、クリンチポイントにおけるゼンマイバネZの反発力を従来の刃復帰用のコイルスプリングと同じに設定した場合、初期位置から上死点位置まで操作レバー5を回動操作しても、図15の一点鎖線yに示すように、刃復帰用のゼンマイバネZの反発力は、刃復帰用のコイルスプリング(同図の実線x)の反発力に比べ遙かに小さなものにすることができる。したがって、スプリングによる反発力によりクリンチポイントを通過させるという基本的な動作を損ねることなしに、操作レバーに加える操作力を低減させることができる。
【0062】
以上に述べたように、本実施形態に係る綴じ機1は、用紙Pに貫通した刃である抜き刃32及び切込刃33を該用紙Pから抜き取って元の位置に復帰させるため刃復帰手段として、弾性体であるゼンマイバネZを採用しているので、ゼンマイバネZにおける反発力の変化に関する特性を利用して操作に要するエネルギーを低く抑えつつ、抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き出して復帰させるために必要な弾性反発力を必要な時点で確保することができるものとなる。より具体的に言えば、この綴じ機1を用いれば、前述したクリンチポイントにおいて必要な弾性反発力を維持することができるものとなる。しかも、その一方で本実施形態のものは、クリンチポイント以外の主たる操作過程である操作レバー5を握りこむ時間帯においては、刃を復帰させるための弾性反発力を従来のものと比較して低いものとすることができる。このため、本実施形態における綴じ機1であれば、操作レバー5を操作する過程において必要なエネルギーを、従来の刃復帰用のコイルスプリングを用いたものと比べて低減させることができ、操作者に軽快な操作感を与えることができる。
【0063】
また、本実施形態における綴じ機1は、刃復帰手段としてコイルスプリングを用いた従来のものと比べ、操作者が手をかけて把持する操作レバー5とパンチ台4との離間距離を小さくする構造にしやすいため、手の小さな操作者にとっても操作しやすい構造を実現しやすいものとなっている。すなわち、従来のコイルスプリングを用いたものであれば、操作レバー5とパンチ台4との間に一定の上下寸法を有するコイルスプリングを介設する必要があったため、操作レバー5とパンチ台4との離間距離が大きくなりやすいものであったところ、本実施形態における綴じ機1では、上下寸法が比較的短寸であるという基本的な特徴を有するゼンマイバネZを採用しているので、操作レバー5とパンチ台4との離間距離を小さくすることができる。
【0064】
本実施形態では、ゼンマイバネZが、中心側の端部Z2が固定され、外周側の端部Z1で抜き刃32及び切込刃33を用紙Pから抜き取られる方向に付勢しているものであるので、構造の複雑化を抑制しやすいものとなっている。
【0065】
さらに、本実施形態では、ゼンマイバネZにおける中心側の端部Z2の固定位置を変更するためのバネ力調整機構Eを備えているものであるため、中心側の端部Z2が係わり合う支軸53を回転させて固定位置を変えることによりゼンマイバネZの弾性反発力を変更することができる。このようなものであれば、綴じるべき用紙Pの枚数に対応してゼンマイバネZの必要な弾性反発力を設定することができ、操作者の軽快な操作に寄与するものとなる。
【0066】
例えば、次のような使用が考えられる。すなわち、通常の執務にて3枚前後の用紙Pを綴じることが基本である場合には、バネ力調整機構Eにより3枚前後の用紙Pを綴じるのに必要なゼンマイバネZの弾性反発力を基本設定としておき、偶に8枚以上の用紙Pを綴じる必要があれば、その都度バネ力調整機構Eにより8枚以上の用紙Pを綴じるのに必要な弾性反発力を一時的に設定するという使用態様が考えられる。換言すれば、本実施形態の綴じ機1であれば、バネ力調整機構Eにより比較的多枚数の用紙Pを綴じるのに必要な弾性反発力を必要時にのみ得ることができることとなり、操作者が常時多枚数の用紙Pを綴じるための弾性反発力に抗して操作レバー5を操作する必要が無くなり、操作者の手が疲れてしまうことを好適に抑制できるものとなる。
【0067】
バネ力調整機構Eが、ゼンマイバネZの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ、ゼンマイバネZの中心側の端部Z2の固定位置が間欠的に変化するように構成されたものであるため、ゼンマイバネZの弾性反発力により急激に固定位置が変化することを回避することができ、安全性を確保することができる。
【0068】
なお、本発明は以上に述べた実施形態に限られない。
【0069】
上述した実施形態では、用紙穿孔処理装置の一例として、いわゆる針なしステープラと称される綴じ機に適用した場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、用紙穿孔処理装置には、用紙に綴じ孔を穿孔するためのパンチ等が挙げられる。
【0070】
刃の用紙に対して貫通する方向は、本実施形態のような上から下に向かう方向のものには限定されず、その逆でもよいし、左から右に向かうものや、右から左に向かうものであってもよい。
【0071】
本実施形態における綴じ機は、手で把持した状態で綴じ操作をすることが可能ないわゆるハンディタイプのものとして説明していたが、かかる態様のものに限定されるものではなく、一般に天板上に載置した状態で用いられるいわゆる卓上据え置きタイプのものであってもよいし、その他種々のタイプの綴じ機が考えられる。
【0072】
ゼンマイバネは、鋼製のバネ材や樹脂製のバネ材等、種々の弾性体を利用することができる。
【0073】
綴じ機は、手動により操作するものに限定されるものではなく、電動や他の動力を利用してもよい。
【0074】
上述した実施形態では、バネ力調整機構を備えているものについて説明したが、バネ力調整機構を備えていないものであってもよい。
【0075】
ゼンマイハンドルの形状は、種々の形状を採用することができ、本実施形態に示されるものには限定されない。
【0076】
上述した実施形態では、刃復帰用の弾性体としてゼンマイバネのみを用いてなるものを示したが、かかる態様のものに限定されるものではない。すなわち、刃復帰用に供する目的で他の弾性体を併用してもよく、例えば、刃復帰用のゼンマイバネとともに刃復帰用のコイルスプリングを適宜配してもよいのはもちろんのことである。
【0077】
上述した実施形態では、ゼンマイバネの中心側の端部が固定されているものについて説明したが、固定される部位はこれに限られるものではない。例えば、ゼンマイバネにおける中心側の端部と外周側の端部との間の中間部位を、種々の部材を用いて固定するようにしてもよい。
【0078】
上述した実施形態では、ゼンマイバネの中心側の端部が固定された状態で、ゼンマイバネの外周側で抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢しているものについて説明したが、このようなものに限定されるものではない。例えば、ゼンマイバネの外周側における所定の部位を固定したうえで、その固定された所定の部位の内周側で、抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するようにしても良い。より具体的には、ゼンマイバネの外周側の端部を綴じ操作に伴って移動しないように固定したうえで、内周側の端部の弾性反発力を利用して、抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するようにしてもよい。
【0079】
上述した実施形態では、バネ力調整機構は、ゼンマイバネの弾性反発力を変更するものであればよく、上述した実施形態のものに限定されない。例えば、ゼンマイバネの一端と他端との間において層状に重なり合う部分間に、スペーサを着脱可能に配するようにして弾性反発力を調整するようにしたものなどが考えられる。
【0080】
その他、本発明の趣旨を損ねない範囲で種々に変更してよい。
【符号の説明】
【0081】
1…用紙穿孔処理装置(綴じ機)
4…パンチ台
32…刃(抜き刃)
33…刃(切込刃)
P…用紙
Z…ゼンマイバネ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチ台と抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をパンチ台方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とパンチ台との協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにしたものであって、
前記用紙に貫通した抜き刃及び切込刃を該用紙から抜き取って元の位置に復帰させるための刃復帰用のゼンマイバネを具備してなることを特徴とする用紙穿孔処理装置。
【請求項2】
前記ゼンマイバネが、所定の部位において固定され、この固定された前記所定の部位の外周側又は中心側で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである請求項1記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項3】
前記ゼンマイバネの前記所定の部位が中心側の端部であり、前記ゼンマイバネの外周側の端部で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである請求項2記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項4】
前記ゼンマイバネの弾性反発力を変更するためのバネ力調整機構を備えている請求項1、2又は3記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項5】
前記バネ力調整機構が、前記ゼンマイバネにおける中心側の端部の固定位置を変更し得るものであり、前記ゼンマイバネの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ前記固定位置が間欠的に変化するように構成されたものである請求項4記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項6】
穿孔すべき用紙が添接するパンチ台と、このパンチ台に添接している用紙に貫通する刃と、用紙に貫通した刃を用紙から抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネとを具備してなることを特徴とする用紙穿孔処理装置。
【請求項1】
パンチ台と抜き刃及び切込刃との間に複数枚の用紙を配設し、前記抜き刃及び切込刃をパンチ台方向に移動させて用紙に貫通させ、それら抜き刃及び切込刃とパンチ台との協働により前記用紙に打ち抜き孔及びカット孔を形成し、その打ち抜き孔から切り起こされた切起片の先端部分を前記カット孔に挿通させることにより前記用紙を相互に綴じることができるようにしたものであって、
前記用紙に貫通した抜き刃及び切込刃を該用紙から抜き取って元の位置に復帰させるための刃復帰用のゼンマイバネを具備してなることを特徴とする用紙穿孔処理装置。
【請求項2】
前記ゼンマイバネが、所定の部位において固定され、この固定された前記所定の部位の外周側又は中心側で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである請求項1記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項3】
前記ゼンマイバネの前記所定の部位が中心側の端部であり、前記ゼンマイバネの外周側の端部で前記抜き刃及び切込刃を用紙から抜き取られる方向に付勢するものである請求項2記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項4】
前記ゼンマイバネの弾性反発力を変更するためのバネ力調整機構を備えている請求項1、2又は3記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項5】
前記バネ力調整機構が、前記ゼンマイバネにおける中心側の端部の固定位置を変更し得るものであり、前記ゼンマイバネの弾性反発力を減少させる方向へ調整する際に、一操作毎に一定角度ずつ前記固定位置が間欠的に変化するように構成されたものである請求項4記載の用紙穿孔処理装置。
【請求項6】
穿孔すべき用紙が添接するパンチ台と、このパンチ台に添接している用紙に貫通する刃と、用紙に貫通した刃を用紙から抜き取って元の位置に復帰させる刃復帰用のゼンマイバネとを具備してなることを特徴とする用紙穿孔処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−218180(P2012−218180A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−83026(P2011−83026)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000001351)コクヨ株式会社 (961)
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