説明

画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラム

【課題】
本発明は、蓄積している操作履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存しない、利便性の高い画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、画像処理を実行する毎に、入力処理部、加工処理部及び出力処理部それぞれの動作を規定する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、設定情報記憶手段により記憶された設定情報の中から、ユーザが所望する設定情報を抽出する設定情報抽出手段と、設定情報抽出手段により抽出したユーザが所望する設定情報を適用して、入力処理部、加工処理部及び出力処理部に画像処理を実行させる抽出情報適用手段と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蓄積したヒストリ情報から適当な設定情報を抽出、引用して画像処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の画像処理装置(複合機)は、多機能化しており、一度の画像処理を行うために設定すべき項目も増加してきている。したがって、少しでも利用者の操作負担を軽減することのできる利便性の高い画像処理装置の実現が望まれている。このような要求に応じた従来の画像処理装置として、使用頻度の高い設定情報を装置内の記憶媒体に予め登録しておき、必要なときに登録されていた設定情報を呼び出すことのできる機能(プログラム登録機能)を備えたものもある。
【0003】
また、特許文献1では、ユーザによる設定操作の煩わしさを軽減するために、設定操作が発生する度にその操作を履歴として一旦記憶し、次回以降の操作において記憶した履歴を呼び出し、この呼び出した履歴を設定情報として引用する技術が公開されている。
【特許文献1】特開2005−212137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記技術においては、画像処理全体に係る設定情報を対象としており、設定情報の一部を部分的に引用して設定操作を行うことができず、過去の設定履歴の一部を利用したい場合には適用できないか又は設定変更の手間が掛かってしまうという問題点があった。
【0005】
さらに、上記技術において、例えば、コピー機能に係る設定履歴は、コピー機能を実行する場合しか引用することができず、利便性が低いという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に鑑み、蓄積している設定履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存しない、利便性の高い画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理装置は、画像データの入力を行う入力処理部と、画像データに対し加工を行う加工処理部と、画像データの出力を行う出力処理部とを有し、該入力処理部、該加工処理部及び該出力処理部を利用して画像処理を実行する画像処理装置であって、前記画像処理を実行する毎に、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれの動作を規定する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、前記設定情報記憶手段により記憶された前記設定情報の中から、ユーザが所望する該設定情報を抽出する設定情報抽出手段と、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を適用して、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部に前記画像処理を実行させる抽出情報適用手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記設定情報抽出手段は、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部のいずれか1つに関する前記設定情報を抽出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記設定情報は、前記画像処理単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定するジョブ単位の前記設定情報と、前記画像処理の対象である画像データ単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定する頁単位の前記設定情報とを有し、前記設定情報抽出手段は、前記ジョブ単位の設定情報又は前記頁単位の設定情報のいずれかを抽出することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記設定情報抽出手段は、宛先に画像データを送信する画像処理を行う際、該宛先毎の前記設定情報を抽出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を、当該画像処理装置の有する表示装置に表示する抽出情報表示手段を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報に追加することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る画像処理装置において、前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報で、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報を上書きすることを特徴とする。
【0014】
上記の特徴を有する本発明に係る画像処理装置は、蓄積している操作履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存せず、利便性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、蓄積している設定履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存しない、利便性の高い画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本実施の形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例>
図1を用いて、本実施の形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成の一例について説明する。図1は、画像処理装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0017】
画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)210、ROM(Read-Only Memory)220、RAM(Random Access Memory)230、HDD(Hard Disc Drive)240、通信I/F(InterFace)250、スキャナ260、プロッタ270、表示装置280を有する。
【0018】
CPU210は、ROM220に記憶されたプログラムを実行する装置であり、RAM230に展開(ロード)されたデータを、プログラムの命令に従って演算処理し、画像処理装置100の全体を制御する。ROM220は、CPU210が実行するプログラムやデータを記憶している。RAM230は、CPU210でROM220に記憶されたプログラムを実行する際に、実行するプログラムやデータが展開(ロード)され、演算の間、演算データを一時的に保持する。HDD240は、基本ソフトウェアであるOS(Operating System)、本実施の形態に係るアプリケーションプログラムなどを、関連するデータとともに記憶する装置である。
【0019】
通信I/F250は、無線又は有線の通信ネットワークを介して接続された他の通信制御機能を備えた周辺機器(PC端末や他の画像処理装置)と情報(データ)を送受信するためのインタフェースである。本実施の形態に係る画像処理装置100は、通信I/F250を介してLANに接続され、TCP/IP(Transmission Control Protocol / Internet Protocol)などの通信プロトコルに従って、LANに接続された他装置と画像処理の対象である画像データの送受信を行う。また、画像処理装置100は、通信I/F250を介して電話回線に接続され、ファクシミリ機能を実現させる。
【0020】
スキャナ260は、原稿の画像データを取得するための装置である。また、プロッタ270は、画像データを印刷媒体上に出力するための装置である。表示装置280は、ハードキーによるキースイッチやLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、画像処理装置100が有する機能をユーザが利用する際や各種設定を行う際のユーザインタフェースとして機能する装置である。
【0021】
画像処理装置100が有する各手段は、CPU210が、ROM220又はHDD240に記憶された各手段に対応するプログラムを実行することにより実現される形態としても良いし、当該各手段に関する処理をハードウェアで実現する形態としても良い。
【0022】
<本発明に係る画像処理装置のソフトウェア構成>
図2は、本発明の実施の形態における画像処理装置(複合機)100のソフトウェア構成例を示す図である。ここで、複合機とは、プリンタ、コピー、スキャナ、又はFAX等の複数の機能を一台の筐体において実現する画像処理装置をいう。
【0023】
図2で示すように、画像処理装置100におけるソフトウェアは、ユーザインタフェース層10、コントロール層20、アプリケーションロジック層30、デバイスサービス層40及びデバイス制御層50より構成される。なお、図中における各層の上下関係は、層間の呼び出し関係に基づいている。すなわち、基本的に図中において上にある層が下の層を呼び出す。
【0024】
ユーザインタフェース層10は、機能(例えば、コピー、印刷、スキャン、FAX送信)の実行要求を受け付けるための機能が実装されている部分であり、例えば、通信サーバ部11及びローカルUI(User Interface)部12が含まれる。通信サーバ部11は、例えば、非図示のクライアントPC(Personal Computer)からネットワーク経由で要求を受け付ける。ローカルUI部12は、例えば、非図示のオペレーションパネルを介して入力される要求を受け付ける。ユーザインタフェース層10において受け付けられた要求は、コントロール層20に伝えられる。
【0025】
コントロール層20は、要求された機能を実現するための処理を制御するための機能が実装されている部分である。具体的には、要求された機能に応じて、アプリケーションロジック層30における各フィルタを接続し、接続されたフィルタに基づいて機能の実行を制御する。
【0026】
なお、本実施の形態において「画像処理装置100の機能」とは、画像処理装置100がユーザに対して提供する一つのまとまった単位(要求が入力されて最終的な出力が得られるまで)のサービスと同義であり、ソフトウェア的には一つのまとまった単位のサービスを提供するアプリケーションと同義である。
【0027】
アプリケーションロジック層30は、それぞれが画像処理装置100において提供される機能の一部を実現する部品群が実装されている部分である。すなわち、アプリケーションロジック層30における部品を組み合わせることにより一つの機能が実現される。本実施の形態では、各部品を「フィルタ」と呼ぶ。これは、画像処理装置100のソフトウェアアーキテクチャが「パイプ&フィルタ」と呼ばれる考え方に基づくことによる。
【0028】
図3は、パイプ&フィルタの概念を示すための図である。図3においては、「F」はフィルタを示し、「P」はパイプを示す。図中に示されるように、各フィルタはパイプによって接続される。フィルタは、入力されたデータに対して変換を施し、その結果を出力する。パイプは、フィルタから出力されたデータを次のフィルタに伝達する。
【0029】
すなわち、本実施の形態における画像処理装置100では、各機能をドキュメント(データ)に対する「変換」の連続として捉える。画像処理装置100の各機能は、ドキュメントの入力、加工、及び出力によって構成されるものとして一般化することができる。そこで、「入力」、「加工」、及び「出力」を「変換」として捉え、一つの「変換」を実現するソフトウェア部品がフィルタとして構成される。入力を実現するフィルタを特に「入力フィルタ」という。また、加工を実現するフィルタを特に「加工フィルタ」という。更に、出力を実現するフィルタを特に「出力フィルタ」という。なお。各フィルタは独立しており、フィルタ間における依存関係(呼び出し関係)は基本的には存在しない。したがって、フィルタ単位で追加(インストール)又は削除(アンインストール)が可能とされている。
【0030】
図2において、アプリケーションロジック層30には、入力フィルタ300として、読取フィルタ301、メール受信フィルタ302、FAX受信フィルタ303、PC文書受信フィルタ304が含まれている。
読取フィルタ301は、スキャナによる画像データの読み取りを制御し、読み取られた画像データを出力する。メール受信フィルタ302は、電子メールを受信し、当該電子メールに含まれているデータを出力する。FAX受信フィルタ303は、FAX受信を制御し、受信されたデータを出力する。PC文書受信フィルタ304は、非図示のクライアントPCから印刷データを受信し、受信された印刷データを出力する。
【0031】
図2において、アプリケーションロジック層30には、加工フィルタ310として、文書加工フィルタ311、文書変換フィルタ312が含まれている。
文書加工フィルタ311は、入力されたデータに所定の画像変換処理(集約、拡大、又は縮小等)を施し、出力する。文書変換フィルタ312は、レンダリング処理を実行する。すなわち、入力されたPostScriptデータをビットマップデータに変換して出力する。
【0032】
図2において、アプリケーションロジック層30には、出力フィルタ320として、印刷フィルタ321、メール送信フィルタ322、FAX送信フィルタ323、PC文書送信フィルタ324が含まれている。
印刷フィルタ321は、入力されたデータをプロッタに出力(印刷)させる。メール送信フィルタ322は、入力されたデータを電子メールに添付して送信する。FAX送信フィルタ323は、入力されたデータをFAX送信する。PC文書送信フィルタ324は、入力されたデータをクライアントPCに送信する。
【0033】
デバイスサービス層40は、アプリケーションロジック層30における各フィルタから共通に利用される下位機能が実装されている部分であり、例えば、画像パイプ41及びデータ管理部42が含まれる。画像パイプ41は、上述したパイプの機能を実現する。すなわち、或るフィルタからの出力データを次のフィルタに伝達する。データ管理部42は、各種のデータベースを表現する。例えば、ユーザ情報が登録されたデータベースや、文書又は画像データ等が蓄積されるデータベース等が相当する。
【0034】
デバイス制御層50は、デバイス(ハードウェア)を制御するドライバと呼ばれるプログラムモジュール群が実装されている部分であり、例えば、スキャナ制御部51、プロッタ制御部52、メモリ制御部53、電話回線制御部54、及びネットワーク制御部55が含まれる。各制御部は、当該制御部の名前に付けられているデバイスを制御する。
【0035】
フィルタについて更に詳しく説明する。図4は、フィルタの構成要素を説明するための図である。図4で示されるように、各フィルタは、フィルタ設定用UI、フィルタロジック、フィルタ固有下位サービス及び永続記憶領域情報により構成される。
フィルタ設定用UIは、フィルタの実行条件を設定させるための画面をオペレーションパネル(表示装置280)に表示させるプログラムである。例えば、入力フィルタの一つである読取フィルタであれば、解像度、濃度、画像種別を設定する画面が相当する。なお、オペレーションパネルの表示がHTML(HyperText Markup Language)データや、スクリプトに基づいて行われ得ることに鑑みれば、フィルタ設定用UIはHTMLデータやスクリプトであっても良い。
【0036】
フィルタロジックは、フィルタの機能を実現するためのロジックが実装されたプログラムである。例えば、読取フィルタであれば、スキャナによる原稿読み取り制御のためのロジックが相当する。
フィルタ固有下位サービスは、フィルタロジックを実現するために必要な下位機能(ライブラリ)である。例えば、読取フィルタであれば、スキャナを制御するための機能が相当する。
永続記憶領域情報は、フィルタに対する設定情報(例えば、実行条件のデフォルト値)等、不揮発性メモリに保存する必要があるデータのスキーマ定義が相当する。当該スキーマ定義は、フィルタのインストール時にデータ管理部42に登録される。
【0037】
図5は、本実施の形態の複合機における各機能(アプリケーション)を実現するためのフィルタの組み合わせの例を示す図である。
例えば、コピー機能は、読取フィルタ301と印刷フィルタ321とを接続することにより実現される。読取フィルタ301によって、原稿から読み取られた画像データを印刷フィルタ321によって印刷すれば良いからである。なお、コピー機能に付随する、集約、拡大、縮小等の加工が要求された場合には、これらの加工を実現する文書加工フィルタ311が読取フィルタ301と印刷フィルタ321の間に挿入される。
【0038】
プリンタ機能(クライアントPCからの印刷機能)は、PC文書受信フィルタ304と文書変換フィルタ312と印刷フィルタ321とを接続することにより実現される。スキャンto email機能(スキャンした画像データを電子メールで転送する機能)は、読取フィルタ301とメール送信フィルタ322とを接続することにより実現される。FAX送信機能は、読取フィルタ301とFAX送信フィルタ323とを接続することにより実現される。FAX受信機能は、FAX受信フィルタ303と印刷フィルタ321とを接続することにより実現される。
また、アプリケーションロジック層30は、コピーアクティビティ31、プリンタアクティビティ32、マルチ文書アクティビティ33を含む。ここで、アクティビティとは、予め固定的に定義されたフィルタの組み合わせによって、一つの機能(複合機100がユーザに対して提供する一つのまとまった単位のサービス又はアプリケーション)を実現するソフトウェアである。コピーのように頻繁に利用する機能については、毎回フィルタの選択によってユーザが実行指示を行うのは煩雑であるため、予めフィルタの組み合わせを定義することで、この煩雑さを解消するために用意されるものである。
コピーアクティビティ31は、読取フィルタ301と文書加工フィルタ311と印刷フィルタ321との組み合わせにより、コピー機能(コピーアプリケーション)を実現するアクティビティである。
プリンタアクティビティ32は、PC文書受信フィルタ304と文書変換フィルタ312と印刷フィルタ321との組み合わせにより、印刷機能(プリンタアプリケーション)を実現するアクティビティである。
マルチ文書アクティビティ33は、入力フィルタ、加工フィルタ、出力フィルタのそれぞれについて、自由な組み合わせが可能なアクティビティである。
なお、各アクティビティは独立しており、各アクティビティ間における依存関係(呼び出し関係)は基本的には存在せず、したがって、アクティビティ毎に追加(インストール)、削除(アンインストール)が可能である。
【0039】
例えば、図6では「マルチ文書アクティビティUI」と「マルチ文書アクティビティ」がセットで1つのコンポーネントを構成していることを示している。ここで、リクエスト定義は、リポジトリサービスが持つマクロ情報/ヒストリ情報に対するCRUD(Create, Read, Update, Delete)機能をユーザにサービスとして提供するアプリケーションである。また、リクエスト定義リポジトリサービスは、画像処理装置100内の記憶装置(例えば、HDD240)に保管された条件をマクロやヒストリとしてユーザに認識させるための情報(マクロ情報/ヒストリ情報)を管理する機能(CRUD)を提供するコンポーネントである。さらに、データ管理は、画像処理装置100内のHDD240、RAM230(NV−RAMであっても良い)等に記憶され、画像処理装置100を制御するために永続的に記憶する情報を管理するコンポーネントである。
【0040】
そして、図6に示す構成は、アプリケーションと呼ばれるコンポーネントに特有の構成であるので、データ管理やリクエスト定義リポジトリサービスのように、図4で示す構成でないからと言って、コンポーネントではないと言うことではない。
【0041】
<本実施の形態に係る画像処理装置の動作原理>
図7を用いて、本実施の形態に係る画像処理装置100の動作原理について説明する。図7は、画像処理装置100の動作原理を説明する図である。図7で示すように、画像処理装置100は、設定情報記憶手段110、設定情報抽出手段120、設定情報表示手段130、設定情報適用手段140を有する。
【0042】
画像処理装置100は、画像処理の実行要求を受け付けた後、当該実行要求に係る画像処理を実行する。画像処理に係る画像データは、HDD240から取得する形態であっても良く、通信I/F250を介して取得する形態であっても良い。さらには、スキャナ260で読み込んで取得する形態であっても良い。
【0043】
そして、画像処理装置100は、上記実行要求に応じて、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320の各動作を規定する設定情報を設定し、設定した設定情報の下、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320それぞれを動作させることで、実行要求に係る画像処理を実行する。
【0044】
設定情報記憶手段110は、画像処理装置100が画像処理を実行する毎に、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320の各動作を規定する設定情報を記憶装置(例えば、HDD240)に記憶し、蓄積していく。つまり、設定情報記憶手段110は、設定情報のデータベース(以下、設定情報データベース)を作成する。
【0045】
また、設定情報記憶手段110は、これに加えて、アクティビティ31、32、33の動作を規定する設定情報を記憶装置に記憶する形態としても良い。設定情報記憶手段110が設定情報を記憶するタイミングは、画像処理終了のタイミング、画像処理開始のタイミング、画像処理実行中のタイミングのうち何れでも良い。
【0046】
設定情報抽出手段120は、設定情報記憶手段110によって蓄積された設定情報の中から、ユーザが所望する設定情報を抽出する。つまり、設定情報抽出手段120は、設定情報データベースから特定の設定情報を検索・抽出するための検索キーをユーザから受け付け、この受け付けた検索キーを用いて設定情報データベースを検索し、該当する設定情報を抽出する。こうすることで、過去に行った画像処理に係る設定情報を利用して、設定操作の手間を省くことができる。
【0047】
設定情報抽出手段120は、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320のいずれか1つに関する設定情報を、設定情報のデータベースから抽出する形態としても良い。こうすることで、過去に行った画像処理に係る設定情報の一部を利用して、設定操作の手間を省くことができる。
【0048】
ここで、上記設定情報は、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320それぞれに対し画像処理単位で設定されるジョブ単位の設定情報と、入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320それぞれに対し処理対象の画像データ単位で設定されるページ単位の設定情報とを含むものとする。
【0049】
その場合に、設定情報抽出手段120は、上記ジョブ単位の設定情報又は上記ページ単位の設定情報という検索キーを用いることで、蓄積された設定情報の中からユーザが所望する設定情報を抽出する。こうすることで、ジョブ単位又はページ単位という切り口で設定情報を検索、抽出することができ、動作条件を設定する際のユーザの手間を省くことができる。
【0050】
また、設定情報抽出手段120は、選択された宛先に画像データを送信する画像処理を行う際、この宛先を検索キーとして、蓄積された設定情報(設定情報データベース)の中からユーザが所望する設定情報を抽出する。例えば、設定情報抽出手段120は、宛先を検索キーとして、設定情報データベースから各宛先毎に設定されている送信設定を抽出する。こうすることで、選択された宛先に画像データを送信する画像処理を行う際に、宛先毎に決まった設定情報を簡単な手順で引用し、設定することができる。
【0051】
抽出情報表示手段130は、設定情報抽出手段120によって抽出された設定情報を、表示装置280上に表示する。この表示装置280に表示された設定情報に基づいてユーザが入力した上記検索キーを受け付け、設定情報抽出手段120が、再び、設定情報データベースからこの検索キーに対応した情報を抽出する形態としても良い。
【0052】
設定情報適用手段140は、設定情報抽出手段120によって抽出された設定情報を入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320のそれぞれに適用して、各フィルタに画像処理を実行させる。
【0053】
設定情報適用手段140は、上記画像処理の結果(画像処理の施された画像データ)を、記憶装置(例えば、HDD240)に記憶させる形態であっても良く、通信I/F250を介して外部送信する形態であっても良く、プロッタ270から印刷媒体上に出力させる形態であっても良い。
【0054】
また、設定情報適用手段140は、設定情報抽出手段120によって抽出した設定情報を適用する前段階の入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320に関する各設定情報に対して、設定情報抽出手段120によって抽出した設定情報を追加する形態であっても良い。
【0055】
また、設定情報適用手段140は、設定情報抽出手段120によって抽出した設定情報を適用する前段階の入力フィルタ300、加工フィルタ310、出力フィルタ320に関する各設定情報に対して、設定情報抽出手段120によって抽出した設定情報を以て上書きする形態であっても良い。このように蓄積した設定履歴(設定情報データベース)から抽出した設定情報を適用する際の手法を複数有することで、設定操作に関する利便性を向上させることができる。
【0056】
本発明に係る画像処理装置100は、上記の動作原理に基づいて、蓄積している設定履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存せず、利便性を高めることができる。
【0057】
<本実施の形態に係る画像処理装置による処理例>
以下では、図8〜図17を用いて、画像処理装置100による処理例を説明する。
(1)画像処理を実行する際の基本動作
図8を用いて、画像処理装置100が画像処理を実行する際の基本動作を説明する。図8は、画像処理装置100の基本動作を説明するためのシーケンス図である。
【0058】
まず、S10−S80で操作部デバイスが、操作画面生成のために各アクティビティ、フィルタに条件生成を行う。S90−S120で操作部デバイスが、全ロジックから条件生成の応答として条件が返ってきた後に画面描画を行う。ここでの条件と機能は同義である。
【0059】
次に、ユーザにより表示装置280から機能の設定がなされると、S130−S180でその機能を持ったUIが自身のロジックに対し設定を行い、ユーザにより表示装置280から実行指示されるアクティビティUIからアクティビティロジックに対して実行要求を受ける。
【0060】
S190−S220でアクティビティロジックが、実行時の条件により生成すべきジョブを判断し、必要なジョブを生成する。S230−S250でアクティビティロジックが、生成されたジョブの構成に従って画像の要求元と要求先の関連付けを行う(フィルタ接続)。
【0061】
S260−460でアクティビティロジックが、それぞれのフィルタロジックに対し実行要求を行い、実行指示を受けたフィルタはパイプを仲介して関連付けされた要求先フィルタに対して画像取得要求を行って、全ての画像を処理し要求元フィルタに流し終えるとジョブ終了となる。
【0062】
アクティビティ、フィルタのジョブの進捗状態はそれぞれのUIに対して通知され、画面に状態を表示する。進捗状態には、入力では原稿枚数表示、出力では印刷枚数表示、その他エラー状態、ジョブの開始、終了状態の通知などがある。
【0063】
(2)設定情報記憶手段によって記憶する設定情報のデータ構造
図9−図13を用いて、設定情報記憶手段110によって記憶する設定情報のデータ構造を説明する。まず、図9を用いてリクエスト定義で管理する設定情報のデータ構造を説明する。図9で示すように、リクエスト定義で管理する設定情報のデータ構造は、大分類として「ヒストリ情報」を有し、小分類として「識別子」「アクティビティ名」「フィルタ名」「アクティビティ条件」「アイコン」「登録日時」「利用者」を有する。
【0064】
ここで「識別子」は機器ローカルでユニークなIDを示し、「アクティビティ名」は実行されたアクティビティの名称を示し、「フィルタ名」は実行されたフィルタの名称の列(複数のフィルタに対応)を示すものである。また、「アクティビティ条件」は保管されたアクティビティの動作条件を特定するための情報を示し、「アイコン」はアクティビティを示すアイコンを示し、「登録日時」は情報を作成した日時(複製やインポートによって生成された場合はその日時が設定される)を示し、「利用者」は画像処理を実行したユーザ名を示すものである。
【0065】
図10を用いてアクティビティで管理する設定情報のデータ構造を説明する。図10で示すように、アクティビティで管理する設定情報のデータ構造は、大分類として「アクティビティ条件」を有し、小分類として「保管識別子」「フィルタ条件」「フィルタ名」「保管データ識別子」「入力処理順序」「出力処理順序」「各アクティビティで保持する設定項目」を有する。
【0066】
ここで、「保管識別子」はデータを特定するための値であり、記憶装置に保管(永続化)される際に採番されるものである。「フィルタ条件」は入力、出力、加工の条件として設定された全ての条件であり、機能毎に設定されるものである。「フィルタ名」はフィルタの名称であり、「保管データ識別子」は保管されたフィルタの動作条件を特定するための情報である。「入力処理順序」は加工機能を殿順番で実行するかを設定するものである。「各アクティビティで保持する設定項目」は動作条件として各アクティビティ独自に保持する設定項目であり、機能毎に設定するものである。
【0067】
図11を用いてフィルタで管理する設定情報のデータ構造を説明する。図11で示すように、フィルタで管理する設定情報のデータ構造は、大分類として「フィルタ条件」を有し、小分類として「保管識別子」「各フィルタで保持する設定値群」を有する。
【0068】
ここで「保管識別子」はデータを特定するための値であり、記憶装置に保管(永続化)される際に採番されるものである。「各フィルタで保持する設定値群」は条件として設定された全ての設定項目であり、機能毎に設定するものである。
【0069】
そして、図9−11で示す設定情報は、図9中の小分類「アクティビティ条件」と、図10中の大分類「アクティビティ条件」とが紐付けられ、また、図10中の小分類「フィルタ条件」と、図11中の大分類「フィルタ条件」とが紐付けられて記憶装置に蓄積されている。
【0070】
図12、13を用いてフィルタで管理する設定情報の一例を説明する。図12は、入力フィルタ300で管理する設定情報の一例を示した図である。図12で示すように、設定項目として「原稿面」「原稿種類」「済みスタンプ」「大量原稿モード」「サイズ混載」を有する。そして、設定項目の「原稿面」には設定値として「片面」「両面」があり、設定項目の「原稿種類」には設定値として「文字」「文字図表」「文字写真」があり、設定項目の「済みスタンプ」「大量原稿モード」「サイズ混載」には設定値として「なし」「あり」がある。
【0071】
図13は、印刷フィルタ320で管理する設定情報の一例を示した図である。図13で示すように、設定項目として「ステープル」「ソート」「パンチ」「Z折り」「印刷カラー」「トレイ」を有する。そして、設定項目の「ステープル」には設定値として「なし」「右上」「左下」「上2箇所」があり、設定項目の「ソート」には設定値として「なし」「通常」「シフト」「回転」があり、設定項目の「パンチ」には設定値として「なし」「左」「右」「上」「左上」があり、設定項目の「Z折り」には設定値として「なし」「あり」があり、設定項目の「印刷カラー」には設定値として「フルカラー」「モノクロ」があり、設定項目の「トレイ」には設定値として「給紙段番号」がある。
【0072】
そして、図12、13で示すように、設定情報は各設定項目がジョブ単位「Job」なのかページ単位「Page」なのかに関する情報を有する。
【0073】
(3)設定情報記憶手段による設定情報の記憶
図14を用いて、設定情報記憶手段110によって設定情報を記憶する処理例について説明する。図14は、設定情報記憶手段110によって設定情報を記憶する処理例に係るシーケンス図である。
【0074】
文書操作ジョブが終了すると、マルチ文書アクティビティ33は自身が保持するフィルタ条件の保管を実施する。まず、S470でマルチ文書アクティビティ33が、入力に関する条件である読取フィルタ301の条件を保管する処理を実施する。
【0075】
S480で読取フィルタ301が、自身が保持する条件の設定項目を保管可能な状態(フィルタ条件の保管情報)に変換する。保管可能なデータが作成できたら、S490で読取フィルタ301が、そのデータをデータ管理に渡しデータの保管を実施する。S500でデータ管理が、渡されたデータの保管を行い、保管されたデータを特定するための識別子を返す。
【0076】
S510で読取フィルタ301が、渡された保管されたデータを特定するための識別子をそのままマルチ文書アクティビティ33に返す。S520でマルチ文書アクティビティ33が、フィルタ条件を読み出す際に利用するために、受け取った識別子をアクティビティ条件の保管情報として記録する。
【0077】
上記S470−S520で行った処理を、S530−S580で編集フィルタ311に対して実施し、続けて、S590−S640で印刷フィルタ321に対して実施する。
【0078】
S650−S670でマルチ文書アクティビティ33が、全てのフィルタに対してフィルタ条件を保管した後、S680−S710でマルチ文書アクティビティ33が、アクティビティ条件が保持する条件の設定項目を保管可能な状態(アクティビティ条件の保管情報)に変換すると共に、ヒストリ情報としてアクティビティ名、アクティビティ条件を設定する(アクティビティ名、アクティビティ条件以外の情報は、データが保管されるときにリクエスト定義で生成、設定される)。
【0079】
保管に必要なパラメータの設定を終えたら、S720−S770でマルチ文書アクティビティ33が、ヒストリ情報の作成をおこなう。ヒストリ情報が保管されると、それに対するIDが生成され、ヒストリ情報の作成が完了する。
【0080】
このヒストリ作成の処理を実施するタイミングはジョブ終了後でなくても良い。ジョブ終了後の他には、文書操作ジョブの開始、文書操作ジョブの処理中に任意のタイミングに並行処理などが考えられるが、この実施タイミング機器のパフォーマンスを考慮して選択すれば良い。
【0081】
(4)設定情報抽出手段、設定情報表示手段、設定情報適用手段の処理例
図15−17を用いて、設定情報抽出手段120、設定情報表示手段130、設定情報適用手段140の処理例を説明する。図15に画像処理装置100の操作画面フロー図、図16に設定情報を抽出、表示する処理に係るシーケンス図、図17に設定情報を抽出、適用する処理に係るシーケンス図をそれぞれ示す。
【0082】
画像処理装置100の主電源を投入すると、表示装置280上には図15の1で示す操作画面が表示される。ここでは、画像処理装置100で利用可能なアプリケーションの一覧が表示されており、例えば、「COPY」を選択すると、スキャナ260で原稿を読み取って印刷するアプリケーションを実行する。
【0083】
図15の1のアプリケーション一覧は全体構成図上のアプリケーション管理で管理されているアプリケーションの一覧が表示されており、各アプリケーションのキーはそれぞれ、全体構成図のアクティビティコンポーネントに対応している。コピーアクティビティ31は「COPY」に対応し、送信アクティビティは「SENDER」に対応し、マルチ文書アクティビティ33は「MULTI」に対応している。
【0084】
ここで、「HISTORY」キー(図15の2)を押下すると、操作部デバイスからアプリケーション管理UIにキー押下が通知され(S780)、アプリケーション管理UIからリクエスト定義UIにヒストリの一覧表示が要求される。このときの検索キーは"ALL"になる(S790)。
【0085】
図15の4で示すヒストリ一覧はリクエスト定義UIによって表示され、この中から一つのヒストリ情報を選択すると、表示装置280は図15の5で示す操作画面となる。図15の5には「SCAN」キー、「READ」キー、「PRINT」キー、「SEND」キー、「STORE」キーが表示されているが、これらはマルチアプリケーションの操作画面である。
【0086】
図15の5に示す操作画面で、「SCAN」キーを押下して「ON」を選択すると、原稿読取動作設定をすることができる(不図示)。図15の5に示す操作画面で、「READ」キーを押下して「ON」を選択すると、画像処理装置100内に蓄積されているファイルの一覧が表示され、どのファイルを出力するか選択することができる(不図示)。
【0087】
図15の5に示す操作画面で、「PRINT」キーを押下して「ON」を選択すると、前述のデータ入力処理(「SCAN」「READ」)にて得られる画像データ群を印刷するための印刷動作設定をすることができる(不図示)。
【0088】
図15の5に示す操作画面で、「SEND」キーを押下して「ON」を選択すると、図15の24で示す操作画面が表示され、前述のデータ入力処理(「SCAN」「READ」)にて得られる画像データ群を画像処理装置100外に送信するための送信動作設定をすることができる。
【0089】
図15の5に示す操作画面で、「STORE」キーを押下して「ON」を選択すると、前述のデータ入力処理(「SCAN」「READ」)にて得られる画像データ群を1つのファイルとして画像処理装置100内に蓄積するための動作設定をすることができる。
【0090】
図15の4に示す操作画面で選択されたヒストリ情報は、リクエスト定義がデータ管理より抽出し、リクエスト定義UIを経由してヒストリ情報データ内の「アクティビティ名称」に応じたアクティビティに対してヒストリ情報が通知される(S940)。なお、画像処理装置100にユーザ認証が設定されている場合は、図15の4に示すヒストリ一覧はログインユーザがOwnerとなる。
【0091】
図15の1に示す操作画面で、「MULTI」キー(図15の3)を押下すると、表示装置280にはマルチアプリケーションの動作設定画面が表示される(図15の6)。図15の6に示す操作画面で、「HISTORY」キー(図15の7)を押下すると、操作部デバイスからマルチ文書アクティビティUIにキー押下が通知され(S800)、マルチ文書アクティビティUIからリクエスト定義UIにヒストリの一覧表示が要求される。この時の検索キーはカテゴリ"APP"、名称"マルチ文書アクティビティ"である(S810)。
【0092】
こうすることによって、表示装置280の表示は図15の8で示すようになり、ここに表示されているヒストリ情報は全て、マルチ文書アクティビティを実行したヒストリとなる。この中からヒストリ情報を指定すると表示装置280は図15の9で示す操作画面となる。図15の9上はヒストリ情報として記憶した動作条件の中のどのような設定項目を使用するかを決めるための操作である。
【0093】
図15の9で示す操作画面で、「ALL」キー(図15の10)を押下すると、ヒストリ情報に記憶されている動作設定を表示装置280上に展開する。この操作を行った場合、「ALL」であることがリクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知され(S940)、マルチ文書アクティビティUIからマルチ文書アクティビティに通知される(S950)。マルチ文書アクティビティではヒストリ情報に記憶されている自身のアクティビティ条件の保管IDを抽出し、(図示しない)データ管理よりアクティビティ条件を読み出す。
【0094】
マルチ文書アクティビティには検索キーが「ALL」であることが通知されているため、マルチ文書アクティビティでは、アクティビティ条件内のフィルタ条件全てを動作設定として展開する。
【0095】
図15の9で示す操作画面で、「JOB」キー(図15の11)を押下すると、ヒストリ情報として記憶されている動作設定の中でジョブ単位の動作設定のみが表示装置280上に展開される。図15の9で示す操作画面で、「PAGE」キー(図15の12)を押下すると、ヒストリ情報に記憶されている動作設定の中でページ単位の動作設定のみが表示装置280上に展開される。
【0096】
ここで、ジョブ単位の動作設定とページ単位の動作設定について説明する。例えば、図13で示すように、設定項目「ソート」「ステープル」はジョブ単位の動作設定になっており、設定項目「トレイ」「印刷カラー」はページ単位の動作設定になっている。つまり、ジョブ単位の動作設定とは、読み込む原稿画像の全てに対して適用されるものであり、ページ単位の動作設定とは、読み込む原稿画像ごとに設定を変えられるものである。
【0097】
ヒストリ情報の利用場面として、全く同じ原稿もしくは類似する原稿を再度過去の動作設定で入出力させる場合と、原稿は異なるが過去と同じ仕上がりにする場合とがあるが、図15の9で示す操作画面で「PAGE」キー(図15の12)を押下することで前者のニーズに答え、「JOB」キー(図15の11)を押下することで後者のニーズに答える。
【0098】
この「PAGE」「JOB」の情報は、上述の「ALL」キー(図15の10)を押下した場合と同様に、リクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUI、マルチ文書アクティビティへと通知される。この情報は、S1030、S1050、S1070で各フィルタに通知され、各フィルタ各々が有する設定情報の定義に従って、「JOB」のみの設定項目もしくは「PAGE」のみの設定項目を動作設定として展開する。
【0099】
図15の9で示す操作画面で、「IN−OUT」キー(図15の13)を押下すると表示装置280上には図15の16で示す操作画面のようになる。ここでは、ヒストリ情報の中からどの入出力部分を動作設定として展開するかを指定することができる。この情報も上述と同様にリクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知され、マルチ文書アクティビティに通知される。
【0100】
マルチ文書アクティビティでは、この情報を元に、どのフィルタの動作条件を展開すれば良いかを判断し、「ON」が選択されているフィルタに対してのみS1030、S1050、S1070における処理が実行される。
【0101】
図15の16で示す操作画面ではヒストリ情報として保持されている「フィルタ名」に対して「YES」が表示され、それ以外のものは「NO」が表示されている。ここで「NO」となっているものはヒストリ情報に含まれないものであるため、これらを「YES」とすることはできないが、「YES」となっているものを「NO」とする操作や、「YES」とする操作は可能である。
【0102】
図15の9で示す操作画面における動作設定は、全てを選択できるものではなく、選択操作に組合せが発生する。「JOB」と「PAGE」はどちらか一方のみ選択できる。「JOB」、「PAGE」の両方の種類の動作条件をヒストリ情報から展開したい場合は、どちらも非選択状態のままにすると良い。
【0103】
それとは別にアクティビティ条件内のどのフィルタ機能を用いるかを設定する「IN−OUT」と「ALL」は同時に選択できない。初期状態として「ALL」が選択状態となっているが、「IN−OUT」が選択されると「ALL」キーは非選択状態となる。逆に、「ALL」キーを押下すると「IN−OUT」キーは非選択状態となる。
【0104】
図15の9で示す操作画面において、「OK」キー(図15の14)を押下すると、表示装置280上には図15の20で示す操作画面が表示される。ここでは、ヒストリ情報の動作条件を現状の動作設定に上書きするのか、置き換えるのかを指定する。ここでは「Overwrite」キー(図15の21)を押下することでヒストリ情報の動作条件を追加する処理を行い、「Replace」キー(図15の22)を押下することで、ヒストリ情報の動作条件で従来の動作条件を上書きする処理を行うこととなる。
【0105】
ヒストリ情報の動作条件を追加する処理とは、例えば、ヒストリ情報を展開する前に既にREAD機能を「ON」にしていたとすると、READ機能を「OFF」とする設定を有するヒストリ情報から動作条件を展開したとしても、READ機能は「ON」のままである。一方、ヒストリ情報の動作条件で従来の動作条件を上書きする処理とは、例えば、ヒストリ情報を展開する前に既にREAD機能を「ON」にしていたとすると、READ機能を「OFF」とする設定を有するヒストリ情報から動作条件を展開した場合READ機能が「OFF」となる。
【0106】
これら「Overwrite」「Replace」キー押下の情報はリクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知され、マルチ文書アクティビティに通知される。マルチ文書アクティビティでは、この情報を元にヒストリとして記憶していたフィルタ機能に関する「ON/OFF」情報の取捨選択を実施する。
【0107】
また、これら「Overwrite」「Replace」キーを押下した情報は、マルチ文書アクティビティからフィルタへ通知され、フィルタの動作条件が復元される際、ヒストリ情報として記憶している動作設定をそのまま用いるか否かを判断する。
【0108】
図15の9で示す操作画面、及び図15の20で示す操作画面は共にリクエスト定義UIによって表示され、それらの設定状態は「OK」キー(図15の14、23)押下時にリクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知されるが、リクエスト定義UIが図15の9で示す操作画面を表示するには、リクエスト定義UIに対する検索キーワードのカテゴリが「ALL」又は「APP」であれば良い。検索キーワードのカテゴリが「FILTER」「PARAM」の場合は、リクエスト定義UIでは図15の9で示すような操作画面は表示されない。また、図15の20で示す操作画面は、リクエスト定義UIが受信する検索キーワードのカテゴリが「APP」、「FILTER」、又は「PARAM」であれば良い。
【0109】
図15の6で示す操作画面で、「SEND」キーを押下すると、表示装置280上には図15の26で示す操作画面が表示される。この操作画面で、「HISTORY」キー(図15の27)を押下すると、操作部デバイスから送信フィルタUIに通知され(S820)、送信フィルタUIからリクエスト定義UIにヒストリの一覧表示が要求される。
【0110】
この時の検索キーのカテゴリは「FILTER」、名称は「送信フィルタ」である(S830)。これにより表示装置280上には図15の30で示す操作画面が表示され、ここに表示されているヒストリ情報は全て、送信フィルタを使用した際のヒストリとなる。この中からヒストリ情報を指定すると表示装置280上には図15の31で示す操作画面が表示される。
【0111】
図15の31で示す操作画面では、「JOB」「PAGE」のいずれか一方を選択することができる。「JOB」キー(図15の32)が選択された場合、ヒストリ情報として記憶されている動作設定の中でジョブ単位の動作設定のみが表示装置280上に展開される。一方、「PAGE」キー(図15の33)が押下された場合、ヒストリ情報として記憶されている動作設定の中でページ単位の動作設定のみが表示装置280上に展開される。他方、「JOB」「PAGE」いずれも非選択である場合は、ジョブ単位、ページ単位を問わず、フィルタ条件の全てを展開する。
【0112】
図15の31の操作画面において、「OK」キー(図15の34)を押下すると、表示装置280上には図15の36で示す操作画面が表示される。ここでは、ヒストリ情報として記憶されているフィルタ条件を展開する際、「Overwrite」か「Replace」を選択することができる。
【0113】
図15の31の操作画面において、「OK」キー(図15の39)を押下すると、「JOB/PAGE」の設定状態、「Overwrite/Rplace」の設定状態、及び検索キーワードが、リクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知され(S940)、マルチ文書アクティビティに通知される(S950)。これら情報はマルチ文書アクティビティから関連するフィルタに通知され、フィルタ条件展開時にフィルタが参照する(S1160)。
【0114】
図15の26で示す操作画面で、「HISTORY」キー(図15の28)を押下すると、操作部デバイスから送信フィルタUIにその旨が通知され(S840)、送信フィルタUIからリクエスト定義UIにヒストリの一覧表示が要求される。この時の検索キーのカテゴリは「PARAM」、名称は「送信フィルタ+宛先」である(S850)。これにより表示装置280上には、図15の30で示す操作画面が表示され、表示されているヒストリ情報は全て、送信フィルタを使用したヒストリとなる。
【0115】
この中からヒストリ情報を選択すると、表示装置280上には図15の42で示す操作画面が表示される。ここでは、ヒストリ情報として記憶されているフィルタ条件を展開する際、「Overwrite」又は「Replace」を指定することができる。
【0116】
図15の42で示す操作画面で、「OK」キー(図15の45)を押下すると、「Overwrite/Replace」の設定状態及び検索キーワードが、リクエスト定義UIからマルチ文書アクティビティUIに通知され(S940)、マルチ文書アクティビティに通知される(S950)。これら情報はマルチ文書アクティビティから関連するフィルタに通知され、フィルタ条件展開時にフィルタが参照する(S1190)。これにより、送信フィルタは、ヒストリ情報として記憶している動作条件の中で宛先選択情報のみを動作条件として展開する(S1200、S1210)。
【0117】
<総括>
本発明は、蓄積している設定履歴の中から必要な情報だけを抽出し、設定情報として引用することで操作の手間を省くことができ、また、利用するアプリケーションに依存しない、利便性の高い画像処理装置、画像処理方法、画像処理プログラムを提供することができる。
以上、本発明の実施の形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像処理システムの概略を説明するための図である。
【図3】パイプ&フィルタの概念を説明するための図である。
【図4】フィルタの構成要素を説明するための図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の各機能を実現するためのフィルタの組合せの例を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る画像処理装置のソフトウェア構成例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の動作原理を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る画像処理装置の基本動作を説明するためのシーケンス図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るリクエスト定義で管理する設定情報のデータ構造を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態に係るアクティビティで管理する設定情報のデータ構造を説明するための図である。
【図11】本発明の実施の形態に係るフィルタで管理する設定情報のデータ構造を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態に係るフィルタで管理する設定情報の一例を説明するための図である。
【図13】本発明の実施の形態に係るフィルタで管理する設定情報の一例を説明するための図である。
【図14】本発明の実施の形態に係る設定情報記憶手段による処理例を説明するためのシーケンス図である。
【図15】本発明の実施の形態に係る設定情報抽出手段、設定情報表示手段、設定情報適用手段の処理例を説明するための操作画面フロー図である。
【図16】本発明の実施の形態に係る設定情報抽出手段、設定情報表示手段、設定情報適用手段の処理例を説明するためのシーケンス図である。
【図17】本発明の実施の形態に係る設定情報抽出手段、設定情報表示手段、設定情報適用手段の処理例を説明するためのシーケンス図である。
【符号の説明】
【0119】
100 画像処理装置
110 設定情報記憶手段
120 設定情報抽出手段
130 抽出情報表示手段
140 抽出情報適用手段
210 CPU
220 ROM
230 RAM
240 HDD
250 通信I/F
260 スキャナ
270 プロッタ
280 表示装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力を行う入力処理部と、画像データに対し加工を行う加工処理部と、画像データの出力を行う出力処理部とを有し、該入力処理部、該加工処理部及び該出力処理部を利用して画像処理を実行する画像処理装置であって、
前記画像処理を実行する毎に、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれの動作を規定する設定情報を記憶する設定情報記憶手段と、
前記設定情報記憶手段により記憶された前記設定情報の中から、ユーザが所望する該設定情報を抽出する設定情報抽出手段と、
前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を適用して、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部に前記画像処理を実行させる抽出情報適用手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記設定情報抽出手段は、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部のいずれか1つに関する前記設定情報を抽出することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定情報は、前記画像処理単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定するジョブ単位の前記設定情報と、前記画像処理の対象である画像データ単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定する頁単位の前記設定情報とを有し、
前記設定情報抽出手段は、前記ジョブ単位の設定情報又は前記頁単位の設定情報のいずれかを抽出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記設定情報抽出手段は、宛先に画像データを送信する画像処理を行う際、該宛先毎の前記設定情報を抽出することを特徴とする請求項1乃至3の何れか一に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を、当該画像処理装置の有する表示装置に表示する抽出情報表示手段を有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報を、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報に追加することを特徴とする請求項1乃至5の何れか一に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段により抽出した前記ユーザが所望する設定情報で、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報を上書きすることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一に記載の画像処理装置。
【請求項8】
画像データの入力を行う入力処理部と、画像データに対し加工を行う加工処理部と、画像データの出力を行う出力処理部とを有し、該入力処理部、該加工処理部及び該出力処理部を利用して画像処理を実行する画像処理装置の画像処理方法であって、
設定情報記憶手段が、前記画像処理を実行する毎に、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれの動作を規定する設定情報を記憶するステップと、
設定情報抽出手段が、前記設定情報記憶手段によって記憶された前記設定情報の中から、ユーザが所望する該設定情報を抽出するステップと、
抽出情報適用手段が、前記設定情報抽出手段によって抽出された前記ユーザが所望する設定情報を適用して、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部に前記画像処理を実行させるステップと、を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
前記設定情報抽出手段は、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部のいずれか1つに関する前記設定情報を抽出することを特徴とする請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記設定情報は、前記画像処理単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定するジョブ単位の前記設定情報と、前記画像処理の対象である画像データ単位で前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれが行う動作を規定する頁単位の前記設定情報とを有し、
前記設定情報抽出手段は、前記ジョブ単位の設定情報又は前記頁単位の設定情報のいずれかを抽出することを特徴とする請求項8又は9に記載の画像処理方法。
【請求項11】
前記設定情報抽出手段は、宛先に画像データを送信する画像処理を行う際、該宛先毎の前記設定情報を抽出することを特徴とする請求項8乃至10の何れか一に記載の画像処理方法。
【請求項12】
抽出情報表示手段が、前記設定情報抽出手段によって抽出された前記ユーザが所望する設定情報を、当該画像処理装置の有する表示装置に表示するステップを有することを特徴とする請求項8乃至11の何れか一に記載の画像処理方法。
【請求項13】
前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段によって抽出された前記ユーザが所望する設定情報を、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報に追加することを特徴とする請求項8乃至12の何れか一に記載の画像処理方法。
【請求項14】
前記抽出情報適用手段は、前記設定情報抽出手段によって抽出された前記ユーザが所望する設定情報で、該ユーザが所望する設定情報を適用する前の前記設定情報を上書きすることを特徴とする請求項8乃至13の何れか一に記載の画像処理方法。
【請求項15】
画像データの入力を行う入力処理部と、画像データに対し加工を行う加工処理部と、画像データの出力を行う出力処理部とを有し、該入力処理部、該加工処理部及び該出力処理部を利用して画像処理を実行する画像処理装置の画像処理プログラムであって、
コンピュータに、
設定情報記憶手段が、前記画像処理を実行する毎に、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部それぞれの動作を規定する設定情報を記憶するステップと、
設定情報抽出手段が、前記設定情報記憶手段によって記憶された前記設定情報の中から、ユーザが所望する該設定情報を抽出するステップと、
抽出情報適用手段が、前記設定情報抽出手段によって抽出された前記ユーザが所望する設定情報を適用して、前記入力処理部、前記加工処理部及び前記出力処理部に前記画像処理を実行させるステップと、を実行させるための画像処理プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2010−68343(P2010−68343A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−233830(P2008−233830)
【出願日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】