説明

画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラム

【課題】 VDPジョブを印刷する際に、画質とコストのバランスのとれた画像処理が可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】 本発明によるプリンタ108は、複数のページで繰り返し利用されるリユーザブルデータ及び繰り返し利用されないバリアブルデータを含むVDPデータを処理可能であり、リユーザブルデータから、複数の色処理設定に従った複数の中間言語を生成し、複数の中間言語からビットマップ画像を生成する際に使用される中間言語を選択するCPU114と、選択された中間言語に対してRIP処理を施すことによりビットマップ画像を生成するRIP11とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、VDPにおいて、リユーザブルデータ(複数回参照可能な共通データ)の色合わせをバリアブルデータ(複数回参照不可能なデータ)に応じて切り替えて印刷を行う画像処理装置、画像処理装置の制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、One To One Marketingの市場拡大に伴い、個々の顧客ニーズに合わせた情報を提供するダイレクトメールが普及してきている。このようなダイレクトメールに係るバリアブルジョブ(VDPジョブ)の印刷には、PPML(Personalized Print Markup Language)に代表される特殊なVDPのページ記述言語が採用されている。バリアブルジョブは、以下の3つから構成される。各ページで繰り返し利用されるリユーザブルデータと、顧客情報等を含む多数のバリアブルデータと、文書情報の実態を定義したページ記述言語で構成される。
【0003】
また、PPMLで使用されるPDLのPS(PostScript)/PDF(Portable Document Format)/Jpegダイレクト、TIFFダイレクトのインタプリタ内では色処理まで行われている。そのためインタプリタ処理を始める前に色処理の設定を決めておかなければならなかった。
【0004】
色処理CMS(Color Matching System)の代表的な設定としては、「画質重視」と「カウンタ重視」がある。「画質重視」は、黒やグレーの部分をC(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、BK(Black)の4つのインクを混ぜて再現する設定である。「画質重視」の設定は、滑らかなグラデーションを出すことが可能であり、画質を重視する設定である。「カウンタ重視」は、黒やグレーの部分をBK(Black)の1つのインクで再現する設定である。「カウンタ重視」の設定は、BKの1色だけで出すことによりモノクロで機械を動かし、カラーモノクロカウンタはモノクロとカウントされるため、コストを抑えることが可能な設定である。
【0005】
色処理のデフォルト設定としては「画質重視」か「カウンタ重視」かが予め決定されていた。また、VDP言語のPPML言語はPS/PDF/Jpegダイレクト、TIFFダイレクトを含んでおり、色処理の設定は、従来PS/PDF/Jpegダイレクト、TIFFダイレクトの設定に準拠していた。さらに、VDPの特徴的なデータであるリユーザブルデータは、何度も使うデータは1回のインタプリタ処理すなわち色処理でデータを作成しておき、その作成されたデータを何度も使いまわすようにすることでパフォーマンスを向上していた。
【0006】
特許文献1には、VDPジョブのデータ解析を行い、ワークフローとして、オフセット印刷とデジタル印刷と切り替える技術が記載されている。すなわち、各ページが共通な共通データのグループはオフセット印刷機で高速出力し、各ページが異なるバリアブルの部分のあるデータのグループはデジタル印刷機でそれぞれ異なるページを出力する。これによりバリアブルジョブの短納期化及び低コスト化を実現させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−152624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の背景のもと、現状はデジタル印刷機の高速化に伴い、VDPジョブをすべてデジタル印刷機で出力するケースが増えてきており、オフセット印刷よりは画質が劣るデジタル印刷機を少しでも高画質で使用したい。デジタル印刷機よりコストも掛かるため、できるだけコストを掛けたくないとの要望が増えてきている。
【0009】
さらに、VDP印刷では、リユーザブルデータとバリアブルデータがさまざまに組み合わせられている。また、リユーザブルデータでは商品画像や背景画像とイメージであることが多い。イメージは画質を重視し滑らかな階調で少しでもきれいに出力したいが、白黒画像などの場合は画質重視でカラー出力するのではなくモノクロで出力しコストを抑えたい。しかし、従来の仕組みでは画質重視とカウンタ重視設定が両立せず、予めどちらか一方に決めなければならなかった。
【0010】
CMSの機器デフォルトを画質重視にすると黒やグレーの階調が滑らかになる反面カラーが多くなりコストアップにつながる。また、カウンタ重視にすると黒いやグレー部がBKトナー単色となりコスト面では有利だが、画質的には階調の滑らかさは画質重視よりも劣るという課題があった。
【0011】
上記の課題を鑑み、本発明は、VDPジョブを印刷する際に、画質とコストのバランスのとれた画像処理が可能な画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、本発明による画像処理装置は、複数のページで繰り返し利用されるリユーザブルデータ及び繰り返し利用されないバリアブルデータを含むVDPデータを処理する画像処理装置であって、前記リユーザブルデータから、複数の色処理設定に従った複数の中間言語を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された複数の中間言語からビットマップ画像を生成する際に使用される中間言語を選択する選択手段と、前記選択手段により選択された中間言語に対してRIP処理を施すことによりビットマップ画像を生成するRIP手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、ページに含まれるリユーザブルデータの性質から、色処理の設定を切り替え、画質とコストのバランスのとれた画像処理が可能な画像処理装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】VDP印刷システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施例1における処理の流れを示すフローチャート
【図3】リユーザブルDL生成処理の流れを示すフローチャート
【図4】バリアブルDL生成処理の流れを示すフローチャート
【図5】本発明の実施例7におけるリユーザブルDL生成処理の流れを示すフローチャート
【図6】実施例2においてUIに表示される画面の一例を示す図
【図7】実施例3においてUIに表示される画面の一例を示す図
【図8】実施例4においてUIに表示される画面の一例を示す図
【図9】実施例5においてUIに表示される画面の一例を示す図
【図10】実施例6においてUIに表示される画面の一例を示す図
【図11】本発明の一実施例における印刷データの一例を示す図
【図12】本発明の一実施例における印刷データの一例を示す図
【図13】本発明の一実施例における印刷データの一例を示す図
【図14】本発明の一実施例における印刷データの一例を示す図
【図15】本発明の一実施例における印刷データの一例を示す図
【図16】画質重視設定及びカウンタ重視設定において生成されるデータの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
本発明の第一の実施例をまず図1を用いて説明する。図1は、本実施例に適用されるVDP印刷システムの構成を示すブロック図である。VDP印刷システムは本発明に適用される情報処理装置であるPC(Personal Computer)101及び、本発明に適用される画像処理装置であるプリンタ108により構成される。また、PC101とプリンタ108とはネットワーク107を介して通信可能に接続されている。
【0016】
PC101は、ホットフォルダ102、表示部103、CPU104、HDD105、RAM106からなる。ホットフォルダ102は、ネットワーク107を介してプリンタ108へPPML等ダイレクトプリントデータを送信するものである。表示部103は、CPU104を介してホットフォルダ102、HDD105等のPC101の状況を表示するものである。CPU104は、PC101の各種処理に用いられる中央演算ユニットである。HDD105は、PC101に関するデータや、PPML等ダイレクトプリントデータなど各種データを格納し、読みだされ使用されるものである。RAM106は、CPU104での各種演算処理で用いられるデータの記憶手段であり、PC101の各種処理に使用される。
【0017】
プリンタ108は、コントローラ109、プリントエンジン117からなる。コントローラ109は、インタプリタ110、RIP111、画像処理部112、UI(User Interface)113、CPU114、RAM115、HDD116からなる。インタプリタ110は、PC101からネットワーク107を介して送信されてきたPPML等PDL(Page Description Language)プリントデータを解釈翻訳するものである。RIP111は、解釈したプリントデータを各ページのビットマップの印刷データに変換するものである。画像処理部112は、ビットマップの印刷データをプリントエンジンに最適なプリントデータに変換したり補正したりするものである。UI113は、プリンタ108の各種状況を表示し、プリンタに各種設定を入力するものである。CPU114は、プリンタ108やプリントエンジン117の各種処理に用いられる中央演算ユニットである。RAM115は、CPU104での各種演算処理で用いられるデータの記憶手段であり、プリンタ108やプリントエンジン117の各種処理に使用される。HDD116は、プリンタ108やプリントエンジン117に関するデータや、プリントデータなど各種データを格納し、読みだされ使用されるものである。プリントエンジン117は、コントローラ109で生成したプリントデータを実際に印刷するものである。
【0018】
次に、図1に示すVDP印刷システムにおける簡単な動作について説明する。まずPC101は、図示してないPPML言語を生成するアプリケーションでVDPデータを作成する。作成されたデータは、ZipファイルにまとめられHDD105に保存される。この保存されたファイルをPC101の表示部に表示されているホットフォルダ102にファイルを格納し、印刷させるとネットワーク107を通してプリンタ108へVDPデータを投入することができる。投入されたVDPデータは、コントローラ109内のインタプリタ110で解釈翻訳される。解釈翻訳されたデータは、RIP111でページごとのビットマップデータに変換される。ビットマップデータは、画像処理部112でプリントエンジンに最適なプリントデータに変換補正される。プリントエンジン用のプリントデータは、プリントエンジン117で印刷出力される。
【0019】
図2は、VDPデータ(印刷ジョブ)が投入されたのち、CPU114の制御の下、インタプリタ110及びRIP111がビットマップ画像を生成する処理の流れを示すフローチャートである。
【0020】
まず、VDPデータがPC101から投入されると、ステップ201において、CPU114はVDPデータ投入を受け付ける。VDPデータに含まれるデータにはリユーザブルデータ(複数回参照可能な共通データ)とバリアブルデータ(複数回参照不可能なデータ)とがある。以下ステップ202〜206までのステップで、対象となるデータ(対象データ)のDL(Display List)を順次生成する。尚、DLとはVDPデータに含まれるPDLが解釈され、ビットマップ画像が生成される工程における中間言語である。
【0021】
ステップ202において、CPU114は、対象データが繰り返し使われるリユーザブルデータかどうか判定する。対象データがリユーザブルデータであると判定された場合には、ステップ203に移行し、対象データがリユーザブルデータではない(つまりバリアブルデータである)と判定された場合は、ステップ205に移行する。
【0022】
ステップ203において、CPU114は、対象データのDLがすでに生成されているか否かを判定する。ここで、リユーザブルデータは、繰り返し使われるため、以前投入されたデータのDLは生成済みある。そのため再度DLは生成する必要がなく、ステップ203でDLが生成済みかどうか確認される。ステップ203において、対象データのDLがすでに生成されていると判定された場合は、ステップ206に移行し、対象データのDLがまだ生成されていないと判定された場合はステップ204に移行する。
【0023】
ステップ204において、CPU114は、リユーザブルデータの中間言語であるリユーザブルDLを生成するようインタプリタ110を制御する。尚、ステップ204におけるリユーザブルDLの生成処理の詳細は、図3を用いて後述する。また、ステップ204において、リユーザブルDLとして、色処理CMSの設定(色処理設定)が画質重視で生成された画質重視DLと、色処理CMSの設定がカウンタ重視の設定で生成されたカウンタ重視DLとの2種類が生成されることとなる。尚、画質重視DLから生成されたビットマップは、カウンタ重視と比べて画質が高く滑らかなグラデーションを出すことが可能である。一方、カウンタ重視DLから生成されたビットマップは、BKの1色だけで出力が可能であるため、画質重視DLに比べてコストを抑えることが可能である。
【0024】
ステップ205において、CPU114は、バリアブルデータの中間言語であるバリアブルDLを生成するようインタプリタ110を制御する。尚、ステップ205におけるバリアブルDLの生成処理の詳細は、図4を用いて後述する。ステップ206において、CPU114は、1ページ分に対応する対象データのDLが生成されたか否かを判定する。1ページ分に対応する対象データのDLが生成されたと判定された場合は、ステップ207に移行し、1ページ分に対応する対象データのDLが生成されていないと判定された場合は、ステップ201に戻り次のVDPデータが投入されるのを待つ。
【0025】
ステップ207において、CPU114は、バリアブルDLのカラーフラグが0であるかを判定する。バリアブルDLのカラーフラグが0であると判定された場合は、ステップ208に移行し、バリアブルDLのカラーフラグが0でない(つまり1以上)と判定された場合は、ステップ209に移行する。ステップ208において、CPU114は、リユーザブルDLのカラーフラグが0であるかを判定する。リユーザブルDLのカラーフラグが0であると判定された場合は、ステップ210に移行し、リユーザブルDLのカラーフラグが0でない(つまり1以上)と判定された場合は、ステップ209に移行する。尚、それぞれのDLのカラーフラグに関しては、ステップ204、205におけるDL生成処理の詳細説明において後述する。
【0026】
ステップ209において、CPU114は、1ページ分のDLから1ページに対応するビットマップ画像を生成する(RIP処理)ようRIP111を制御する。このとき、CPU114は、RIP処理に使用するリユーザブルDLとして、画質重視DLを使用するようRIP111を制御する。ステップ210において、CPU114は、1ページ分のDLから1ページに対応するビットマップ画像を生成する(RIP処理)ようRIP111を制御する。このとき、CPU114は、RIP処理に使用するリユーザブルDLとして、カウンタ重視DLを使用するようRIP111を制御する。
【0027】
ステップ211において、CPU114は、バリアブルDLをクリアする。これは、バリアブルDLはジョブ内の別のページにおいて、繰り返し利用されることがないためである。ステップ212において、CPU114は、印刷ジョブに含まれる全ページのRIP処理が終了したか否かを判定する。全ページのRIP処理が終了したと判定された場合は、ステップ213に移行し、全ページのRIP処理が終了していないと判定された場合は、ステップ201に移行する。
【0028】
ステップ213において、CPU114は、リユーザブルDLをクリアする。これは、すでに全ページのRIP処理が終了し、リユーザブルDLが必要なくなったためである。
【0029】
ステップ213において、リユーザブルDL(画質重視DL及びカウンタ重視DL)がクリアされた後、本フローチャートの処理を終了する。
【0030】
図3は、図2のフローチャートのステップ204における、リユーザブルDLの生成処理の流れを詳細に示すフローチャートである。ステップ301において、CPU114は、対象データであるリユーザブルデータを一時保存する。これは、画質重視DL及びカウンタ重視DLの2種類のDLを生成するためである。
【0031】
ステップ302において、CPU114は、色処理CMSの設定を画質重視に設定する。ステップ303において、CPU114は、対象データの色値を、画質重視設定に応じたデバイス色に変換する。ステップ304において、CPU114は、画質重視設定に応じたデバイス色に変換された対象データから画質重視DLを生成する。ステップ305において、生成された画質重視DLを保存する。
【0032】
ステップ306において、CPU114は、ステップ301において一時保存しておいた対象データ(リユーザブルデータ)を再度読み出し取得する。ステップ307において、色処理CMSの設定をカウンタ重視に設定する。ステップ308において、CPU114は、対象データの色値を、カウンタ重視設定に応じたデバイス色に変換する。ステップ309において、CPU114は、カウンタ重視設定に応じたデバイス色に変換された対象データからカウンタ重視DLを生成する。
【0033】
ステップ310において、CPU114は、カウンタ重視の場合黒の部分はBK単色となりモノクロとなるのでステップ308において変換されたデバイス色にカラーが含まれているか否かを判定する。デバイス色にカラーが含まれていると判定された場合は、ステップ311に移行し、デバイス色にカラーが含まれていないと判定された場合は、ステップ312に移行する。
【0034】
ステップ311において、CPU114は、リユーザブルDLのカラーフラグの値をカウントアップしカラーを付加する。ステップ312において、CPU114は、リユーザブルDLのカラーフラグ値をカウントアップせず、カラーを付加しない。ステップ313において、生成されたカウンタ重視DLを保存する。ステップ314において、保存されていた対象データをクリアし、処理を終了する。
【0035】
ここで色処理CMS設定の画質重視設定、カウンタ重視設定を詳細に説明しておく。「画質重視設定」では、黒やグレーの無彩色のデータをC(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、BK(Black)の4つのインクを混ぜて再現し、滑らかなグラデーションを出せるようにし画質を向上させる設定である。例えばグレーの図16の入力画像1601が入力されたときは出力としてはC(Cyan)、M(Magenta)、Y(Yellow)、BK(Black)を用いた1602のように出力される。C,M,Y,Kトナーを混色することで滑らかなグラデーションが再現可能となり、トナーをBK1色だけのときよりも濃度が増し色の深みが増える。そのため印刷機のカラーモノクロカウンタはカラーとカウントされ、ラインニングコスト的にはコストがかかる。「カウンタ重視設定」では、黒やグレーの無彩色のデータをBK(Black)の1つのインクで再現し、BKの1色だけで出すことによりモノクロで機械を動かし、機械のカラー部C,M,Yの部分のダメージも軽減させる設定である。例えば図16の入力画像1601が入力されたときは出力としてはBK(Black)だけを用いた1603のように出力される。BKだけで再現されるのでC,M,Yを混色したときよりは濃度が減り、色の深みが減り、少しがさついた感じとなる。しかし、印刷機のカラーモノクロカウンタはモノクロとカウントされランニングコスト的には抑えることが可能となる。また、カラーモノクロカウンタとは電子写真ではC、M、Yのトナーを用いた場合はカラーとカウントし、C、M、Yのトナーを使用せずBkだけのトナーを用いた場合はモノクロとカウントしている。これは電子写真ではカラー1枚いくら、モノクロ1枚いくらという形式で料金と取る場合にこのカラーモノクロカウンタが参照される。また一般的にモノクロに較べカラーの料金が高くなっているので、モノクロでプリントしたほうがコスト的には有利である。
【0036】
図4は、図2のフローチャートのステップ205における、バリアブルDLの生成処理の流れを詳細に示すフローチャートである。ステップ401において、CPU114は、色処理CMSの設定をカウンタ重視に設定する。ステップ402において、CPU114は、対象データの色値を、カウンタ重視設定に応じたデバイス色に変換する。
【0037】
ステップ403において、CPU114は、カウンタ重視設定に応じたデバイス色に変換された対象データからバリアブルDLを生成する。ステップ404において、CPU114は、変換されたデバイス色にカラーが含まれているか否かを判定する。デバイス色にカラーが含まれていると判定された場合は、ステップ405に移行し、デバイス色にカラーが含まれていないと判定された場合は、ステップ406に移行する。
【0038】
ステップ405において、CPU114は、バリアブルDLのカラーフラグの値をカウントアップしカラーを付加する。ステップ406において、CPU114は、バリアブルDLのカラーフラグ値をカウントアップせず、カラーを付加しない。ステップ407において、生成されたバリアブルDLを保存し、処理を終了する。
【0039】
以上、リユーザブルデータから画質重視DLとカウンタ重視DLとの2つのリユーザブルDLを生成した。バリアブルデータから生成したバリアブルDLがページ内にカラーがあるかないかで画質重視DLとカウンタ重視DLとの2つのリユーザブルDLを切り替えるフローを説明した。バリアブルDLにカラーがあるときは画質重視DLを用い、カラーがないときはカウンタ重視DLが用いられる。
【0040】
具体的な事例を図11、図12、図13、図14で説明する。まず、図11のようにレコード1はA様向けのダイレクトメールの印刷ページから構成され、同様に、レコード2はB様向け、レコード10はZ様向けの印刷ページから構成される。尚、点線の丸で囲まれた部分はカラーを示しているデータであり、カラーフラグがついている。これらのデータをまずレコード1のA様向けの処理を図12で説明する。レコード1でのリユーザブルデータは1201で、バリアブルデータは1202である。リユーザブルデータはここで初めて出てくるのでそれぞれ画質重視DLとカウンタ重視DLとを生成する。次にページ1、2、3、10ともにバリアブルデータにカラーがあるのでいずれのページにおいても。リユーザブルDLとしては画質重視DLが選択されビットマップ画像が生成されることとなる。
【0041】
次にレコード2のB様向けの処理を図13で説明する。レコード2でのリユーザブルデータは1301で、バリアブルデータは1302である。リユーザブルデータはレコード1ですでに出てきているのですでにReusable画質重視DLとReusableカウンタ重視DLはそれぞれ生成されている。生成済みなので再度作り直さないで済むのでVDPは従来よりも高速化される例を示している。次にページ1、2はバリアブルデータにカラーがなくリユーザブルデータもカラーがないので、選択されるリユーザブルDLタはカウンタ重視DLとなる。ページ3はリユーザブルデータがカラーなので選択されるリユーザブルDLは画質重視DLとなる。ページ4はバリアブルデータにカラーがあるので選択されるリユーザブルDLは画質重視DLとなる。
【0042】
次にレコード10のZ様向けの処理を図14で説明する。レコード10でのリユーザブルデータは1401で、バリアブルデータは1402である。リユーザブルデータはレコード1ですでに出てきているのですでに画質重視DLとカウンタ重視DLはそれぞれ生成されている。次にページ1、2はバリアブルデータにカラーがなくリユーザブルデータもカラーがないので、選択されるリユーザブルDLはカウンタ重視DLとなる。ページ3はバリアブルデータがカラーなので選択されるリユーザブルDLは画質重視DLとなる。ページ4はバリアブルデータにカラーがあるので選択されるリユーザブルDLは画質重視DLとなる。
【0043】
このように見た目モノクロのみのページはモノクロに出力することでコストを抑え、カラーが存在するページのモノクロ部分は図16の1602のようにC、M、Y、Bkで印刷され写真部の階調が滑らかで濃度も濃くなり黒の深みを増した印刷を可能とする。
【0044】
リユーザブルデータをページのデータによって、カラーがあるときは画質重視にすることで黒やグレーの階調が滑らかになり、カラーがないときはカウンタ重視にすることで黒やグレー部がBKトナー単色となりコストを安くすることが可能となる。すなわちVDPでのパフォーマンスを大きく落とすことなく、画質とコストの両立が可能となる。
【0045】
(実施例2)
実施例1では、リユーザブルデータは画質重視かカウンタ重視かは自動的に選択されていたが、ユーザーによってはどうしても画質重視で階調を滑らかに出したいというユーザーや、カウンタ重視で黒いものはモノクロで出したいというユーザーもいる。そこで図6のようにリユーザブルデータのCMSを実施例1のように自動で行う601と画質重視の602とカウンタ重視の603を選択する画面をUI113に選択可能に表示させることでさらにユーザーの希望の出力を可能にすることが可能となる。尚、図6の画面において。自動601が選択された場合は、実施例1に記載の方法で、DLの生成及びビットマップ画像の生成が行われる。また、画質重視602が選択された場合は、全てのリユーザブルデータに対して画質重視DLのみ生成され、生成された画質重視DLが用いられてビットマップ画像が生成される。また、また、カウンタ重視603が選択された場合は、全てのリユーザブルデータに対してカウンタ重視DLのみ生成され、生成されたカウンタ重視DLが用いられてビットマップ画像が生成される。
【0046】
(実施例3)
実施例1、2では、リユーザブルデータのオブジェクト種のText、Graphic、Imageに関係なくリユーザブルデータのCMSの設定がなされていた。しかし、ユーザーによっては図7で示すようにtext、Graphic、Image属性にそれぞれにCMSの設定を選択可能な画面をUI113に表示させることで、さらに好みの出力を行いたいユーザーに対しても、対応可能となる。図3の画面では、ユーザーは、オブジェクト種がTextの場合のCMS設定をボタン701〜703から選択し、オブジェクト種がGraphicの場合のCMS設定をボタン704〜706から選択する。また、ユーザーはオブジェクト種がImageの場合のCMS設定をボタン707〜709から選択する。これにより、オブジェクト種毎にユーザーの望むCMS設定が施されることとなる。
【0047】
(実施例4)
実施例1の方法では、同じユーザー(レコード)の同じリユーザブルデータ画像に対してページ毎にカウンタ重視、画質重視が切り替わってしまい同一レコードに含まれる複数のページに印刷されている同じ画像の印刷画質が変化してしまうことがある。具体的には図14の1403はカウンタ重視で図16の1603のようにBK単色で印刷され、1404は画質重視で図16の1602のようにC、M、Y、Bkの4つの色で印刷されてしまう。
【0048】
そこで、図8のようにリユーザブルデータのCMS設定をレコードごとに制御するかページ毎に制御するかを切り替えることを可能にした。実施例1の図14は、図8の802のページ単位制御にあたる。図8の801のレコード単位制御は図15に相当する。本来ならば、Page3はカウンタ重視のところを一番初めのPage1で選択したカウンタ重視をその後のページにも適用していく。それによりPage2とPage3のどちらのリユーザブルデータも図16の1603のカウンタ重視としてページ間での差を無くすことが可能となる。
【0049】
(実施例5)
実施例1、2、3、4では、リユーザブルデータを何度繰り返し使うかに関係なく画質重視DLとカウンタ重視DLを生成していた。しかし、繰り返しの回数が少ないときは2つのDLを生成することにより従来よりもパフォーマンスが著しく遅くなることがある。そこで遅くなることを回避するためユーザーによって回数を規定して、繰り返しが少ないときは画質重視DLとカウンタ重視DLを生成しないように設定可能とする。これによりユーザーのパフォーマンスを希望のパフォーマンスになるように変更可能となる。図9は、UI113に表示される繰り返し回数の下限を設定するための画面の一例を示す図である。図9の画面で設定された規定値より繰り返し回数が多い場合は、実施例1のように2種類のリユーザブルDLが生成され、少ない場合は、1種類のDLのみ生成されることとなる。
【0050】
(実施例6)
実施例1では、リユーザブルDLとして画質重視DL、カウンタ重視DLの2つを生成し、バリアブルデータに応じてどちらを使用するかを切り替えていた。これに対して本実施例では、図10に示すようにカンパニーカラー、スポットカラーなど色にこだわりがあるオブジェクトは1001を選択しその切り替えを除外可能にする。
具体的にはデータにスポットカラーが記載されているセパレーション色空間のオブジェクトのリユーザブルデータは画質重視を強制的に選択し、色みを優先することを可能にすることでユーザーの所望の設定が可能となる。
【0051】
(実施例7)
本実施例では、画質重視DL、カウンタ重視DLの2つリユーザブルDLの生成に関してリユーザブルデータの内容に応じてカウンタ重視DLの生成を省略する例について説明する。図5は、本実施例におけるリユーザブルDL生成処理の流れを示すフローチャートである。尚、図3にて説明した処理と同様の処理については同符号を付し、その説明を省略する。
【0052】
ステップ501において、CPU114は、リユーザブルデータお入力値カラーがあったか否かを判定する。ここでは入力値にR=G=Bのみのとき、C=M=Y=0のとき、Grayのみのときにそれぞれカラーはなかったと判断する。カラーがあったと判定された場合はステップ502に移行し、カラーがなかったと判定された場合は、ステップ306に移行する。ステップ502において、CPU114は、リユーザブルDLのカラーフラグの値をカウントアップしカラーを付加した後、ステップ517に移行する。この際、カウンタ重視DLは生成されないこととなる。
【0053】
以上のように、カウンタ重視DLの生成をリユーザブルデータの入力値に応じて省略することでパフォーマンスを向上させることが可能となる。
【0054】
以上が本発明の実施例の説明であるが、本発明において、これら上記の構成に限られるものではなく、特許請求の範囲で示した機能、または実施の形態の構成が持つ機能が達成できる構成であればどのようなものであっても適用可能である。
【0055】
以上、本発明の実施例について具体例を挙げて説明したが、本発明は上記の実施例に限定されるものではない。また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0056】
108 プリンタ
110 インタプリタ
111 RIP
114 CPU

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のページで繰り返し利用されるリユーザブルデータ及び繰り返し利用されないバリアブルデータを含むVDPデータを処理する画像処理装置であって、
前記リユーザブルデータから、複数の色処理設定に従った複数の中間言語を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された複数の中間言語からビットマップ画像を生成する際に使用される中間言語を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された中間言語に対してRIP処理を施すことによりビットマップ画像を生成するRIP手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記バリアブルデータから、一つの色処理設定に従った一つの中間言語を生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成手段は、無彩色のデータを複数の色を使用して再現する画質重視設定に従った画質重視の中間言語と、前記無彩色のデータを1つの色を使用して再現するカウンタ重視設定に従ったカウンタ重視の中間言語とを生成することを特徴とする請求項1または2いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記リユーザブルデータの含まれるページにカラーが含まれている場合には、前記画質重視の中間言語を選択し、前記リユーザブルデータの含まれるページにカラーが含まれていない場合には、前記カウンタ重視の中間言語を選択することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記生成手段は、リユーザブルデータが無彩色のデータでない場合には、前記画質重視の中間言語のみを生成し、前記カウンタ重視の中間言語を生成しないことを特徴とする請求項3または4いずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画質重視の中間言語及び前記カウンタ重視の中間言語を生成し、生成された複数の中間言語からRIP処理に使用する中間言語を選択する方法、前記画質重視の中間言語を生成しRIP処理に使用する方法、及び前記カウンタ重視の中間言語を生成しRIP処理に使用する方法のうちいずれかを選択可能な画面を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至5いずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記表示手段は、リユーザブルデータのオブジェクト種毎に前記画質重視の中間言語及び前記カウンタ重視の中間言語を生成し、生成された複数の中間言語からRIP処理に使用する中間言語を選択する方法、前記画質重視の中間言語を生成しRIP処理に使用する方法、及び前記カウンタ重視の中間言語を生成しRIP処理に使用する方法のうちいずれかを選択可能な画面を表示することを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
複数のページで繰り返し利用されるリユーザブルデータ及び繰り返し利用されないバリアブルデータを含むVDPデータを処理する画像処理装置の制御方法であって、
前記リユーザブルデータから、複数の色処理設定に従った複数の中間言語を生成する生成工程と、
前記生成工程において生成された複数の中間言語からビットマップ画像を生成する際に使用される中間言語を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された中間言語に対してRIP処理を施すことによりビットマップ画像を生成するRIP工程とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−56278(P2012−56278A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−204250(P2010−204250)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】